トラです。今からヒグマ食います

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57番組の途中ですが名無しです
高校生の頃、家に野良猫を閉じ込めた事がある。

ドアを閉められた事を認識したと同時に猫は暴れ始めた。
床といわず壁と言わず、まさに眼にも止まらぬ凄まじいスピードで疾風の様に立体的
に駈け回る猫を見て、俺はすぐにドアを空けて逃がそうと思った。

ところが、俺が何かをしようとしてピクリとでも動くと猫は暴れ方を増し、しまいには
こっちに向かってくるようにもなった。
猫が俺にぶつかってすぐに離れた。

たまたまガードしていた俺の腕には、何故かキリで刺したような深い穴が3つ程あいていた。
流れ出る血を見て「なんじゃこりゃ〜」と優作の如く叫んだ俺は本気で自分の死を意識して
眼を潤ませ震えて縮こまっていた。

またも猫の体当たりが来てぷすぷすと穴があいた(何処にあいたかは憶えてない)。
もうなすすべもない。

まだ猫の方もこの状態から逃れようとして錯乱しているだけだが、もし本気で俺を殺して自分の
身を守ろうと考え出したらもうお終いだ。
首にでも攻撃されたら秒殺されるだろう。
そして猫科の動物は本能的に首を狙う。

あんなに可愛かった猫ちゃんが、今や恐怖の野生動物になってしまった。
しかし、絶体絶命を本気で意識したので逆に度胸が沸いてきた。
覚悟を決めてドアまで走り一気に開け放った。
その瞬間に閃光のように猫は外に飛び出して行った。
もぬけの殻となった俺はしばらく呆然と立ち付くしていたが、そのうち疲れて眠ってしまった。

猫を踏み潰すとか首を絞めるとかは、少なくともオリンピック選手並の運動能力がある奴が挑戦すべき事だ。
それでも殺すつもりで襲ってくる猫を倒すのはまず不可能だろうね。