■政治と経済は車の両輪
2006年05月31日
経済同友会の日中両国政府へのメッセージ「今後の日中関係への提言」には、両国が連携、
協力し、東アジアの持続的発展に取り組むような新日中関係の構築に向けて、相互理解、
相互交流の促進、官民連携による経済面での協力関係強化等々の提言がなされている。
首相の靖国参拝への再考を求める部分については「商売と政治は別」と首相からいなされ、
次期総理の呼び声高い官房長官からは「視野狭窄(きょうさく)的」と不快感を示されたが、
同友会が「提言」に至ったゆえんが我が国政治家の視野の狭さにあることは言うまでもない。
一方、今年は外務省の「日中21世紀交流事業」が実施され、1千人規模の日中両国の高校
生の交流が実現するという。日中双方の将来にとってその持つ意義は大変に大きいと思う。
それらの状況を踏まえこのたび新体制となった日本経団連に対して以下を要望したい。
それは経済同友会と連携し、政府首脳レベルでの日中交流を再開させること、また外務省と
連携の上、民間レベルでの交流の推進力となることである。経済界を代表しての政治に対する
提言、意見具申が「財界総本山」とも言われる日本経団連に期待される役目の一つである。
もちろん今般成立した行政改革推進法や市場化テスト法に魂を入れ、あるいは骨抜きに
ならないよう監視することもある。だが貿易立国の我が国にあって海外諸国との政治外
交関係の正常化に向けての意見具申、行動もその大きな役割と考える。
日本経団連新体制の長期ビジョンの柱の一つに自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の
積極推進が位置づけられると聞く。「商売と政治は別」と言う政治に対し、新会長には
「政治と経済は車の両輪」との持論にのっとり健全な日中関係の構築に取り組んで欲しい。
日中両国にとって極めて重要なFTA交渉もその先にある。(啄木鳥)
http://www.asahi.com/business/column/TKY200605310170.html