【歴史】戦艦長門沈没からまもなく60周年

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77番組の途中ですが名無しです
長門さんが初めて僕のうちに来た。
といっても、することはいつもと同じである。
僕と長門さんは、リビングで黙々と本を読んでいる。
僕はカーペットに寝ころび、長門さんはソファに腰かけていた。
大きな窓からは、暖かな日差し。
いいお天気の贅沢な使い方だ。
他の人がなんて言うのかは知らないけど、僕らは…いや、少なくとも僕は幸せなのである。
長門さんがどう思っているのかは正直良くわからないけど……でも、きっと僕と同じ気持ちだろう。
そう思いたい。

そうして、数時間が過ぎた。
僕は思うところがあって、読んでいた村上春樹の文庫から顔を上げる。
「長門さん、おなか空かない?」
長門さんは『論理哲学論考』から目をそらさずに答えた。
「別に」
「そ、そう……」
まあ予想通りの答えだ。
「僕はおなかが空いたから、何か食べようかなって思ったりして…」
「………」
「あ、そうだ。何か作ろうかな。そしたら、長門さんも食べるかい?」
長門さんはほんの僅かに顎をひいた。それが長門さんの頷き方だ。
「さーて、冷蔵庫には何があったかな…」
僕は立ち上がり、キッチンへ向かった。
78番組の途中ですが名無しです:2006/05/29(月) 20:37:43 ID:JadWXNnS0
海軍の象徴は大和でなくて長門だ
79番組の途中ですが名無しです:2006/05/29(月) 20:38:50 ID:NQUNmqVj0
アメリカ人はそんなこと思ってないだろ。
第二次大戦での日本の軍艦は、簡単に沈没する
イメージがあるし。

>日本の高度な造船技術を米軍に見せ付けた
80番組の途中ですが名無しです:2006/05/29(月) 20:38:59 ID:cQgwmtw10
>>77
シリーズ化きぼん
81番組の途中ですが名無しです:2006/05/29(月) 20:46:43 ID:1L2nOU4l0
82番組の途中ですが名無しです:2006/05/29(月) 20:46:45 ID:pmCujZ9S0
83番組の途中ですが名無しです:2006/05/29(月) 21:09:44 ID:AuoWVX4B0 BE:34221672-#
キッチンにはいるとすぐに、バスケットに入った玉ねぎをみつける。
そうそう、先週実家から届いた新玉だ。
それと、パスタケースに入ったスパゲッティー。
冷蔵庫のあり合わせのものを眺めて、僕は一つのメニューを思いつく。
スパゲッティー・ナポリタン。
ちょっと子どもっぽいような気もするけど……まあ、僕に作れる料理のレパートリィなんて限られてるし。
それに、長門さんも気にしないだろう。
いやいや、それどころか、きっと気に入ってくれる。
そう思わなきゃ。
というわけで、僕は料理の仕込みに入った。

鍋に水を張り、お湯を沸かす。その間、僕は野菜を切っていた。
ふと気配を感じ、後ろをふり向く。
長門さんが立っていた。当然ながら(あるいは意外にも?)本は持っていない。
僕を見ていた。
「あれ? 長門さん、リビングで待っていてくれていいのに」
長門さんは微かに首を横に振った。
「興味があるから」
「あそう……」
手伝ってくれるわけではないのか…。
まあいいや。長門さんが僕に興味を持ってくれたんだもの。
「続けて」長門さんは言った。「私のことは、気にしなくていい」
「うん……」
「黙って見てるだけだから」
「………」
そういわれると、余計気になってしまう。
心臓が高鳴る。
強く意識してしまう。
(長門さんが僕を観察してる………)
だから、僕の手もとが狂うまでに、それほど時間はかからなかった。
84番組の途中ですが名無しです:2006/05/29(月) 21:39:22 ID:AuoWVX4B0 BE:97776285-#
「あ、いちち……」
僕は手を滑らせて、指を切ってしまった。
傷は大したことはない。深さは一ミリにも満たないだろう。
いつのまにか、長門さんは僕の真横に立ち、僕の手もとを覗き込んでいた。
「あはは、失敗失敗」僕は苦笑した。「大したことないよ、つばつけとけば直る」
長門さんは真顔で言う。
「つば………?」
「そう、唾液。舐めとけばいいってこと」
「………」長門さんは何か考えている様子だ。
「……どうしたの?」
「あなたの言った治療法の有効性を検討している」
そのまま十秒ほど過ぎた。長い長い十秒だった。
「あ……」
長門さんが僕の指先を銜えた。
そして、舌先で軽く傷口をなぞる。
「な、長門さん」
長門さんは指をくわえたまま、上目づかいで僕を見た。
そして、ちゅぷ、という効果音と共に口を離す。
「長門さん、何を……」
「あなたの言った通りにしたまで」
もちろん僕は、自分で傷を舐めればいいって意味で言ったのだけど……。
85番組の途中ですが名無しです:2006/05/29(月) 21:39:59 ID:AuoWVX4B0 BE:61110555-#
長門さんはうつむいて言った。
「あなたが刃物を扱っていたとき、私はあなたを見つめるべきではなかった。
それによって、あなたが緊張し、指を切ってしまうという事態は、予測してしかるべきだった」
「それは考えすぎだよ」
「そんなことはない。私が一方的に悪かった」長門さんは僕に向き直る。「ごめんなさい」
長門さんの表情はいつもと変わらない。
けれど、その瞳には、謝罪の念が深く込められていた。
ふたり見つめ合ったまま、僕は目のやり場に困っていた。そして、苦し紛れにこう言っていた。
「そ、そうだ長門さん。お昼を作るのを手伝ってくれるかな? ほら、そんな顔しないでさ……」
「………」
いつもの長門さんの頷き方。
「よ、よし。それじゃ、お湯が沸いてるから、パスタを入れてくれる? タイマーはそこにあるから………」
そうして、僕と長門さんはふたりでスパゲッティーナポリタンを作ったのだった。

それからしばらくあとのこと。発言の少ない昼食の席で、こんなささやかな会話があったことは付記しておいてもいいだろう。
「ねえ長門さん。僕が料理しているとき、長門さんは何を見ていたの?」
「あなた」
「うーん、そうじゃなくてさ。興味があったのは、僕の方なのか、それとも料理の方なのか……」
長門さんは、いつもと変わらない表情で言った。
「料理」
その表情に、どこかいたずらっぽい微笑みをみつけてしまったのは、僕の空想のなせる技なのだろうか………。
やれやれ、と僕は思った。