「ほんとにプレステ3買ってくれるの!?」

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23番組の途中ですが名無しです
幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに私を育ててくれた。学もなく、技術もなかった母は、
個人商店の手伝いみたいな仕事で生計を立てていた。それでも当時住んでいた土地は
まだ人情が残っていたので、何とか母子二人で質素に暮らしていけた。

娯楽をする余裕なんてなく、日曜日は母の手作りの弁当を持って、近所の河原とかに
遊びに行っていた。給料をもらった次の日曜日には、クリームパンとコーラを買ってくれた。

10歳の誕生日、PS3を買ってもらえることになった。母が残業をがんばって、
なんとかお金をつくってくれた。
私は生まれて初めて自分のゲーム機を持てることに興奮し、前の日はなかなか眠れなかった。

家電量販店に着き、積んであるPS3を見て母は呆然と立ちつくした。
 【62,790円】
手持ちが4万円しかなかった私たちは、諦めて回転寿司を食べて帰った。
このときだけは、200円のお皿のお寿司を食べてもいいよ、と言われた。デザートも食べた。
帰りの電車の中で無言の母に「おいしかったよ」と言ったら、
母は「母ちゃん、バカでごめんね。ゲームがあんなに高いなんて」と言って涙を少しこぼした。

私は母につらい思いをさせた貧乏と無学がとことん嫌になって、一生懸命勉強をした。
任天堂に就職でき、チーフプログラマーになり、子供に夢を与える仕事にやりがいを持った。
自分が手がけたゲームを母に見せてやることもできた。

そんな母が去年の暮れに亡くなった。死ぬ前に一度だけ目を覚まし、思い出したように
「PS3ごめんね」と言った。私は「お寿司おいしかったよ」と言おうとしたが、最後まで声にならなかった。