イランの核開発問題に対する国際社会からの圧力が強まる中、イラン革命防衛隊の
サファビ司令官が十四日、米国がイランを攻撃したらイラク駐留米軍に反撃する考えを
示唆するなど、イラン側は強硬な発言を続けている。
同司令官は、米軍の対イラン軍事力行使は「戦略的な誤りとなる」と指摘。そのうえで、
「米国は戦争を始めることはできるが、止めることはできない。イラクの米軍が脆弱
(ぜいじゃく)であることは誰よりも米国人自身が知っている。さらに深みにはまる前に、
イラクの泥沼から抜け出すよう助言する」と語り、イラク駐留米軍などへの反撃を示唆した。
さらに、「(中東に駐留する)米軍は完全な監視下にある。過去二年間、われわれはあらゆる
シナリオに対応する準備を備えてきた」と強調した。
(略)
低濃縮ウランの製造に成功したとするイランは、濃縮活動の全面停止を求めた国際原子力機関
(IAEA)のエルバラダイ事務局長の説得を拒否、濃縮活動の規模拡大へと突き進んでいる。イランの
核兵器開発への懸念が一段と強まる一方、高濃縮ウランの製造技術獲得までには時間がかかるとの
見方も多い。だがイランがそうした技術に近づくほど、国際社会はイランに核開発放棄を迫るテコを失う。
国際社会は今後の対応を決めるにも「持ち時間」がどれだけ残されているのか、見極めに苦しむことに
なりそうだ。
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しかし、イラン側が低濃縮ウラン製造に成功したとする説明には疑問も多く、製造した量も明確でない。
イランは百六十四基の遠心分離機によって濃縮ウランを製造したとしているが、分離機の運転には極めて
高度の技術力が必要。実際に支障なく稼働できるようになるまでは「半年から一年は必要」とされる。
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これらの点から、イランが核兵器に使用できるだけの高濃縮ウランを手にするのは「早くても二〇〇九年以降」
(オルブライト氏)とする見方が一般的だ。最終的にイランが核兵器を手にする時期について、米紙ニューヨーク・
タイムズは「米政府は五−十年後とみており、二〇二〇年ごろにずれ込むとみる専門家もいる」としている。
(全文)
http://www.sankei.co.jp/news/060416/morning/16int003.htm