北海道の中央部、帯広市の北に位置し、その面積は東京都の約2分の1、
人間より牛の数がはるかに多い町、新得町。この町に拠点を置く「新得町サホロリゾート」
(加森観光グループ)が、この春、「ベア・マウンテン」と名付けた、ヒグマの放し飼い施設を
オープンさせるという。
この施設は、サホロスキー場に隣接する15ヘクタールの森林を二重の柵で囲い、
同じ加森観光グループの「のぼりべつクマ牧場」から雄のヒグマ20頭を移し、より自然に
近い状態で飼育するとのことだ。入場者は高さ5メートルの歩道や専用のバスから
ヒグマを観察できるという。
加森観光は計画にあたり、スウェーデンのクマ放牧施設「オッシャの森」を視察し、
協力関係を結んだという。しかし、加森観光の施設については、クマの研究者らでつくる
「日本クマネットワーク」が公開質問状を送付するなど、疑問が投げかけられている。
もっとも疑問な点は、広大な縄ばりを持つヒグマを、15ヘクタールという、ヒグマにとっては狭い面積の
中に雄ばかり20頭も放すことが、自然に近い飼育といえるのかということだ。
ヒグマの生態展示を目的とするのであれば、雄だけ20頭ということにはならないはずだ。
この施設周辺は元々、野生のヒグマの生息地。雌を放牧した場合は野生の雄を呼び寄せる
可能性がある。雄だけを飼育するのは混乱≠避けるためなのだろう。
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