みなさんは「読書感想文」という言葉から、どんなイメージを思い浮かべますか。
私の場合学校の授業で提出を求められて四苦八苦した、 あまり楽しくない思い出がよみがえります。
しかし、漫然と本を読むのではなく、主人公を自分に引きつけ、作者の意図を想像し、
文章にしてみる体験は特別なものです。今考えると、あれほど真剣に本と向き合ったことはないとも思えるのです。
〜略〜
その16編を読んで、「やっぱり広島の子どもたちだな」と感心しました。戦争や原爆を
テーマにした感想文が目立ったのです。
知事賞に輝いた広島市立川内小学校1年、和田愛さんは、原爆を題材にした「おこりじぞう」を
読みました。 そして、学校で先生から戦争の話をきいたり、戦争についての本を借りたりして、こう書きました。
「こんなにかなしいきもちばかりなのに、どうしてせんそうをするのだろう。
どうして、いまでもせんそうをしているのだろう。 ひろしまのはなしをしらないのかな」。
この問いかけは、素直なだけに、かえって私たち大人の胸に突き刺さります。
呉市立五番町小学校5年、豊田陽子さんは、天使が大砲や機関銃に花を咲かせて戦争を
止める物語「みどりのゆび」について書き、 県議会議長賞に選ばれました。
「大砲を打つと玉の代わりに花がたくさん降ってきたら、
人の心が和むだろうし、 戦うことがばかげたことのように思えるはずです」。
これもまた、戦争にあけくれる国際社会を告発する言葉です。
入選者の中から県代表に選ばれた県立広高校2年、松本和成君も戦争の悲惨さを描いた
「天国の五人」を読み、 初めて原爆資料館を訪れた時の体験と重ね合わせます。そして、こう決意を語ります。
「僕は、毎年原爆資料館を訪れるつもりだ。 (略)この地獄から決して目をそらすことなく、原爆を問い、
平和とは何か考え続けよう。それが、広島に生まれた僕の責任であり果たすべき役割である」
昨年は戦後60年の節目で、私たちも例年以上に平和に関する記事を発信しました。
しかし、もちろん、平和報道に終わりはありません。松本君の決意は、広島にいる我々記者の決意でもあります。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060206-00000168-mailo-l34