PSPのコピペの作者は作家になるべき

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282番組の途中ですが名無しです
少年は、勉強ができなかった。運動ができなかった。ガキ大将からはいつもいじめられていた。
彼の元にやってきたのは、遥か未来で作られた青いペイントのロボットだった。
ロボットと少年は親友だった。いっつもささいなことで喧嘩をしてしまうけれど、それでもやっぱり親友だった。
そんなある日のこと。
「ねえ、PSPを出してよぉ」
「だめだよ。きみはいっつもそうやって人にたよろうとする。そうしてるうちはPSPなんてあげられないよ」
「ケチ! きみなんかじゃなくてPSPが来ればよかったのに!」

家を飛び出してからどれだけの間、一人ぼっちで空き地の土管の上に座っていただろう。
普段だったらすぐに探しにくるはずのロボットは、とうとう陽が沈むまでやってこなかった。
時間が経つにつれ、少年にはゲーム機程度でロボットを罵ってしまった自分がなんだか悪いように感じられてきた。
「・・・ぼくがわるかったよ。さっきはごめん」
部屋の襖を開けながら少年は謝った。けれど部屋の隅にいるロボットからは何の反応もない。
「なあ、つむじを曲げないでくれよ。ぼくときみとのなかじゃないか」
背中を向けたロボットに触れる。ころん、と倒れると同時に丸い手からPSPが転がった。
「おい、どうしたんだよ。うごいてよ!」
何度揺すっても、ロボットは動かなかった。たちの悪い冗談ではないのはすぐに分かった。
PSPを抱いて少年は泣いた。あんなに酷く罵った自分に、青い色をした親友は最高のプレゼントを用意してくれていたのだ。

――どれだけの年月が経ったのか。とある小さな研究所で一台のロボットが横たわっていた。
いまやロボット工学の俊英と呼ばれる男は、青いボディと向かい合って一心不乱に工具を動かしている。
「あと少しなんだ! このブラックボックスの部分が分かれば・・・」
何気なく辺りを見回して、あるところで目を留まる。――PSP。
「まさか、ね・・・」
予想に反して、黒いシックなボディは未来の技術で作られた回路の中にぴったりと嵌った。
モーターの動く音が響き、青くて丸い形をした躯体が、ゆっくりと身体を起こす。
「――やあ、のびたくん。宿題は終わった?」
髭だらけのかつての少年は、親友を深く抱きしめた。

ありがとう。持っててよかったPSP。