日本が戦前、中国東北部につくった旧満州国で実施されたアヘンの
専売制度をめぐり、同国の中央銀行だった「満州中央銀行」が、生
産や販売に資金を提供するなど制度確立に重要な役割を果たしてい
たことが明らかになった。愛知県立大の倉橋正直教授(中国近現代史)
が、中国・吉林省の公文書館にあたる「档案館(とうあんかん)」
が保存していた同銀行の内部文書を入手した。同国は建国当初から
アヘンを歳入の柱の一つとしており、背後にあった当時の日本のア
ヘン戦略の全体像を解明する手がかりになる可能性もある。
1912年のハーグアヘン条約などでアヘンの輸出は国際法違反とさ
れていたが、日本は国内で生産したアヘンを、アヘン戦争以降も多
数の中毒患者のいた中国大陸に大量に流通させた。満州国でのアヘン
専売は、同国を日本の傀儡(かいらい)政権とみなした国際連盟から
厳しい非難を浴びたが、制度自体は敗戦まで継続した。
http://www.asahi.com/national/update/0104/OSK200601030009.html