政府は、イラク南部のサマーワに派遣している陸上自衛隊について、
この地域の治安維持を担当しているイギリス軍などが撤退するかどうかや、
現地の復興を見極めながら、状況によっては、ことし12月の派遣期限を
待たずに、部隊を撤収させることも検討することにしています。
政府はイラクへの自衛隊派遣について、引き続き国際社会の一員としての
責任を果たす必要があるとして、先月、派遣できる期間をことし12月まで
1年間、延長しました。しかし、サマーワ周辺の治安維持を担当している
イギリス軍とオーストラリア軍は、現地の警察に治安の権限を移したうえで、
ことし前半にもこの地域から撤退する可能性が出ています。
政府は、両国が撤退することになれば、治安に対する懸念を払拭できず、
自衛隊が現地にとどまるのは難しくなるという見方を強めています。
そして、両国と緊密に連絡を取り合うとともに、現地の復興状況を
見極めながら、12月の派遣期限を待たずに部隊を撤収させることも
検討することにしています。
ただ、今のイラクの治安情勢では、民間企業やボランティアが活動するのは
難しく、仮に、陸上自衛隊を撤収させた場合、イラクの復興支援を、どのような
形で行うか、明確な道筋は描けていないのが現状です。
また、同盟国のアメリカが部隊の駐留を継続し、自衛隊が引き続き、
積極的な役割を果たすことを期待している以上、日米関係に悪影響を与えない
ような配慮が必要だという意見も出ており、政府は、難しい判断を迫られる
ことになりそうです。
NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/2006/01/03/k20060103000010.html