30 :
番組の途中ですが名無しです:
しかし本当はわかっていた。女の子は出てこない事を。
次第に濃くなる一酸化炭素。意識が朦朧とし始めたそのときケイタイが鳴った。
メールが届いた。母からだった。
「件名:元気にしてる?
本文:食事はちゃんと食べてる?風ひかないように気をつけてね。
何かあったら連絡ちょうだいね。」
あるニートは賭けにでた。
自分の置かれた状況にうんざりした彼は、人生最後の賭けに出た。
自分の事を心配してくれる人がいる。
だから、せめて、その人を心配させない程度に生きてみようと
心に誓った。 もう一度だけ人並みに生きることに、生死を賭したのだ 。
しかし本当はわかっていた。自分には、それが、とてつもなく難しいことを。
しかし本当はわかっていた。自分には、それが、できる事を。
昔、塾の講師が言っていた。
「死ぬ気でやれば大抵の事はできる。死ぬくらいなら死ぬ気で生きろ」
俺は、玄関を開けて外に出た。