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東京kitty ◆a1GNWHiwwM :
3. 異郷の地 terra aliena
男はその場所ははじめてだった。
見たことはあった。
学校でも学んだ。
だから、あることについてはそこに住んでいる人々よりも詳しかった。
しかし来たことはなかった。
彼の祖先が生まれた地なのに。
重力に捉えられつつ、彼は眼下に広がっていくこの青い星の重さを
感じていた。
シャトルが、最も小さな大陸に下りた。オーストリア、メルボルン。
タラップを降りると、二人の男が彼を待っていた。
「地球連邦モントラント情報省アルフレート・アウグスブルク少佐です」
アルフレートは自己紹介し、二人と握手した。