92 :
その一:
通信業界のガリバー、NTTが、あの掲示板サイト「2ちゃんねる」と提携!?
にわかには信じがたい情報だが、「2ちゃんねる」にかかわる会社の役員
がグループ会社に出入りしているという。それも、NTTの肩書きがついた
名刺まで持っているのだ。何があったのか。
NTTグループ各社が入っているビルが林立するJR品川駅港南口。
いかにもNTT社員らしいカッチリしたスーツ姿のサラリーマンが行き交うなか、
この4月から、ラフな服装で一見、ゲーム業界のクリエーターふうの男が
見かけられるようになった。
彼の名刺にはこうある。
「NTTコムウェア第一営業部ネットビジネスコンサルティングG
クリエイティブプロデューサー 上田浩」
NTTコムウェアとは、むろん通信業界のガリバー、NTTグループの一員で、
国内最大のシステムインテグレーション企業。簡単に言えば、
企業内のインターネットシステム構築を業としている。年商4千億円。
実は、上田さんは、コムウェアの正社員ではない。
93 :
その二:03/06/10 00:34 ID:+Y5mKFze
本業は、
産業界では「悪名」高いインターネット掲示板サイト、「2ちゃんねる」
にかかわる東京プラスの役員なのだ。そう、あの「2ちゃんねる」の
関係者が「NTT」の名刺を持ち、会社に出入りしている。
「いったい何があったのか」は、おいおい述べるとして、「2ちゃんねる」は、
管理人で東京プラス社長の西村博之さん(26)が1999年5月に趣味で
始めたサイトが出発点だ。あれよあれよという間に爆発的人気を呼び、
現在は毎月200万〜400万人が訪れ、月に6億ビュー(ページ)、
書き込みは一日に100万件にものぼる。
人気の理由は、約450ある「掲示板」にある。訪れた人は、好みの掲示板を
閲覧したり、それに書き込みができる。しかし反面、真偽不明の裏情報や
誹謗中傷、内部告発などもないまぜに垂れ流されているため、特に企業は
戦々恐々。なかには入社時、「2ちゃんねるに職務上知り得た情報を
書き込まないこと」という誓約書を書かせる企業まであるという。
名誉毀損のトラブルも多く、西村さんは現在8件の訴訟を抱えている。
94 :
その三:03/06/10 00:36 ID:+Y5mKFze
そんな西村さんに、NTTコムウェアが接触をはじめたのは今年3月のこと。
コムウェアは、昨年9月からネットビジネスのコンサルティング事業を
立ち上げるため動いていたが、その一環としての接触だった。
コンサルティング事業について、同社営業本部担当課長の中澤一敏は話す。
「機器や技術を提供するだけのビジネスでは、厳しい時代になりました。
もともと技術的なコンサルティングは行っていたので、新たにホームページ
運営などソフト面でのコンサルティングも始めることにしたのです」
背景には、インターネットビジネスが曲がり角を迎えている事情があるようだ。
つい数年前までは、「インターネットの普及で無限のビジネスチャンスが生まれる」
と囃されたが、三菱総研情報通信政策部の高橋衛主任研究員が、
「消費者に向けたネットビジネスに機体をかけた企業が多かったが、
利益をあげているのはわずかです。ADSLに代表されるブロードバンド(BB)でも、
映像配信などコンテンツビジネスは費用対効果が上がっていません」
と言えば、当の中澤さんも、「確かに、BBに業界は踊らされた感があり、
95 :
その四:03/06/10 00:37 ID:+Y5mKFze
BBのコンテンツビジネスは崩壊したというのが大方の見方です。だからこそ、
インターネットを改めて活性化させなければいけない。その最初の課題は
集客力です」と話す。
双方の警戒感を克服して新事業
中澤さんによると、活性化策として具体的に出てきたテーマが
「ネットコミュニティー」だったという。自由に知らない者同士が結びつき、
情報を公開し合ったり友達になったりする。人が集まる魅力的なサイト
ができれば、それをビジネスとして活用できるはず-----。
そこでコムウェアは、人を集められる有力なサイトを次々に研究、接触する。
ヤフー、ソネット・・・・。そしてその一つが「2ちゃんねる」だった。
NTTグループ内には、
「取引先のなかに『2ちゃんねる』の”被害”に遭っているところがある
。そんなところとの接触がバレたら、説明のしようがない」
と、反対の声も多いというが、
「2ちゃんねる」研究家で東大大学院研究員の松村真宏さんは、
逆に中澤さんの動きを後押しする。
96 :
その五:03/06/10 00:37 ID:+Y5mKFze
「『2ちゃんねる』の掲示板は、問題を起こすという先入観を持たれていますが、
まじめな議論が戦わされているものも多く、そこに焦点を当てればビジネスになる
可能性は高いと思います」
確かに、「2ちゃんねる」の掲示板で、「○○しよう」と呼びかければ、
賛同者が自然と集まってくる「オフ会」の現象は面白い。
ユニークなものには、「歌舞伎町の吉野家で牛丼を食べよう」という
書き込みに、約300人が同じ時間に行列をつくったり、最近では
「謎の白装束集団に対抗して黒装束で」との呼びかけに応じて多くの人が
白装束の滞在地に集合。結局は報道陣などのゴミを掃除して帰ってきた。
さて、気になる両者の実際の関係はどうなのか。
冒頭のNTTの名刺を持った上田さんは、「2ちゃんねる」のノウハウの
伝道師的役割を演じているようだ。
「コムウェアの新事業であるコンサルタントグループに加わって、集客ノウハウ
を伝授し、自らのネットワークコミュニティー理論を駆使してコンサルティング
の方向性も提案していると聞いています。」(コムウェア関係者)
97 :
その六:03/06/10 00:38 ID:+Y5mKFze
コンサルティング事業は、当面は企業のホームページを活性化させるための
コンサルティングを行う予定。
上田さん本人に聞くと、「昔は、僕らパソコンのヘビーユーザーは
NTTのことをよくばかにしていました。巨大なものへの反発や、巨人は足元が
見られないと考えていたからです。コムウェアにまず話したのは、
企業のサイトといっても見に来るのは一般の人であり、そのニーズを
履き違えたらダメだと。そしてヘビーユーザーを見返すようなものを
つくりましょう、と」
一方、西村さんも、コムウェア側をしばしば訪れているようだ。
「西村さんは、最初は『NTTがいろいろやるの無理じゃないか』と
否定的だったと聞きましたが、コムウェア内のディスカッションにも
参加しているようです。討論というより、コムウェア社員への講義みたいな
ものかもしれません」(前出の関係者)
98 :
終り:03/06/10 00:38 ID:+Y5mKFze
いま、コムウェアと「2ちゃんねる」は、受験生や大学生が集まる既存の
コミュニティーポータルサイトを使い、サイト主催者と共同で、
安定した集客およびビジネスに発展させる実験を始めている。
NTTは、5月13日に発表した02年度の連結決算で、52年の旧電電公社発足以来
初めての減収になった。今後も固定電話の契約者は減り続けることが予想
されているし、一方、グループを引っ張ってきたドコモも、
iモード以降、目立ったヒットが出ていない。
要するに、「ガリバー」は頭を痛めている。今後の課題は、何と言っても
インターネット関連の収益をいかに増やすかだ。
その意味で、グループのSIの主軸であるコムウェアの役割は重要。
その「コンサルティング事業」は7月にスタートする予定だ。