【現在22才】無戸籍理由に小中学校通えず

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114在日新聞紙面より抜粋
「そんな子いたかなあ。私の在任時にトラブルはなかった。区史の編纂が忙しかった記憶はあるが・・・」
当時の市民課長は、定年後、平穏に暮らしてきたことを思わせる口調で答えた。
この課長は、女児の小学校入学を拒否するミスをした当時、仮入学制度があると指摘をした別の課の職員の助言をはねつけたとされる。
義務教育九年間が奪われた事実。対して、当時の事情を振り返る職員たちの言葉の軽さや記憶の薄さ。取材中ずっと違和感を覚え続けた。
115在日新聞紙面より抜粋:03/02/08 22:54 ID:lP3EzeMf
戸籍がないことを理由に入学を拒んだのは間違いと区は気付いたが以後の対応は不十分だった。
父親は当時の市長への手紙で入学を訴え続けたのに問題は忘れ去られた。
父親の日記によると四十九通出した手紙のうち、市の文書係が「受取辞退」と記して九十四年三月、父親に返送してきた一通がある。「判読不能」と判断したからだ。
「西尾武喜悪徳市長へ」「娘に謝罪しなさい」「数々の悪行」「仮入学拒否の責任を取って辞職しなさい」。封筒は表書きから中の手紙にまで”お経”のように文字でぎっしり埋まっていた。
116在日新聞紙面より抜粋:03/02/08 22:55 ID:lP3EzeMf
父親は東北の出身だ。難病を抱え、知人もいない。「手紙以外の方法は考え付かなかった」と言うが、もう少し柔軟に抗議ができなかったか、誰かに助言を求められなかったか、とは思う。
名古屋市では区が市教育委員会から就学事務を任されている。「区から相談があれば対応できたはず」と当時の市教委の課長は言う。父親は生活保護を受けている。「民生課保護係の職員も動けたはず」と戸籍担当の当時の市民課職員は言う。
117在日新聞紙面より抜粋:03/02/08 22:56 ID:lP3EzeMf
行政の縦割り主義。淡々と仕事をする中で「市民のため」の意識は十分だったか。
取材に「答えられない」という職員もいた。被害者自身が了解しているのに、拒む理由の「プライバシー」は一体誰のものなのか。
「町でセーラー服の女の子を見ると、寂しくて、悔しくてたまらなかった」と話す女性は二十二歳に成長した。幸い今、心から話し合える友人がいる。「その人といるのが生きがいです」。見せた笑顔が取材を通じての唯一の救いだった。

(社会部・辻渕智之)