■故金丸氏が総連捜査に圧力
ttp://www.sankei.co.jp/paper/today/itimen/16iti001.htm 〜平成2年、元幹部の外登法違反警視庁による本部捜索行われず〜
平成二年五月に警視庁公安部が摘発した在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の
元幹部らによる外国人登録法違反事件の捜査過程で、日朝関係への影響を懸念した
自民党の金丸信元副総裁(故人)が捜査を朝鮮総連中央本部(東京都千代田区)などに
拡大しないよう、捜査当局に圧力をかけていたことが十五日、複数の関係者の
証言で明らかになった。警視庁による朝鮮総連中央本部や朝鮮大学校
(東京都小平市)への家宅捜索は行われず、捜査当局内部からも捜査が不十分だと
疑問の声が上がっていた。金丸氏は同年九月に社会党の田辺誠副委員長(当時)らと
訪朝し、金日成主席と会談、「謝罪」と「戦後の償い」を表明した。
事件は、朝鮮総連新宿支部の元委員長と、その妻で東京朝鮮中高級学校事務員の
二人が昭和五十六年三月、新宿区内の都営住宅から葛飾区金町の住宅・都市整備
公団住宅に転居した際、外登法で定められた居住地変更申請を行わなかったという
もの。事務員の妹も同様の容疑で逮捕、元委員長の自宅や新宿支部、東京朝鮮
中高級学校など八カ所を家宅捜索した。
警視庁公安部が元委員長らの容疑裏付けのため、朝鮮総連本部や朝鮮大学校
などへの強制捜査を検討していた平成二年五月ごろ、金丸氏から警察庁幹部に
連絡が入り、捜査の拡大に懸念を表明。「日朝関係に悪影響が出る」などと指摘し、
事件の幕引きを図るよう示唆したという。
警視庁公安部は、元委員長の事件のほか、過去に摘発した朝鮮総連メンバーに
よる外登法違反事件で、北朝鮮工作員が日本国内で活動するために偽の外国人
登録証を取得していたことを把握。北朝鮮から朝鮮総連に対しさまざまな
対日工作活動の指示が出されていた可能性もあるとみて、背後関係の解明のため
朝鮮総連中央本部や朝鮮大学の家宅捜索も視野に入れていた。
金丸氏は事件当時、自民党最高実力者の一人で五月十日に田辺氏と会談し
日朝国交正常化交渉の環境整備のため訪朝実現を目指すことで一致。同年九月に
訪朝し、翌年一月には日朝国交正常化交渉の本会談が始まった。
金丸氏の当時の秘書は産経新聞の取材に対し、「金丸氏が警察に圧力をかけた
事実はないと思う」と回答。朝鮮総連中央本部は「産経新聞の取材は一切
受け付けていない」としている。