「噂の真相」99年2月号より。
「おそらく漆さんが話をつけたんでしょう。1年くらい前に渡辺学部長にある会合で会って、依頼したと言われていますね」
「漆さん」とは、広末が通う品川女子学院の理事長兼校長である漆邦臣のことである。
品川女子学院の創設者一族である漆家の娘婿にあたり、ヤリ手学校経営者としてつとに知られる人物だ。
何しろ、86年に同校の理事長に就任するや、校名変更、校舎の建て替え、
制服のモデルチェンジなどといった露骨なまでの志望者獲得の施策を次々と打ち出し、
それまで無名だった品川女子を都内でも有数の人気校に仕立て上げてしまったのである。
しかしだとしても、一高校の理事長になぜ、早稲田と「話をつける」力があったのか。
ここにその漆理事長が編著者を務めた本がある。タイトルは『今、中学・高校教師に望むこと』。
この本をめくっていくと、ある人物が巻末に論文を掲載していた。
他でもない、前学部長の渡辺重範教授である。
ようするに広末の通う高校のオーナーは早大教育学部の学部長と論文を寄稿してもらうほど
懇意な関係だったのである。
いや、学部長だけではない。漆理事長は教育学部全体に太いパイプを持っていた。
早稲田大学には教育学部の卒業生だけで組織される「稲門教育会」という組織がある。この「稲門教育会」
、卒業生の進路の修繕や寄付金を集める会として76年に発足したいわゆるOB会なのだが、
今も教育学部に絶大な影響力を持っているという。そして漆理事長自身も早大教育学部の卒業生で、
この「稲門教育会」の常任理事を務めているのだ。
「たしかに漆さんは教育学部にかなり顔が利きますよ。もともと漆さんのところは前理事長のお義父さんが
稲門教育会発足当初からの顧問という有力OB。邦臣さんの奥さんも娘さんも教育学部出身で、稲門会メンバーですからね。
多額の寄付金もしているし、彼らが経営する品川女子に教育学部の卒業生を率先して就職させてもいる。
大学としては頭が上がらないでしょう」(稲門教育会メンバー)