宇宙海賊とファンタシースターオンラインPart383

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798リコvsDF(1/3)
「あぅっ」
痛みに呻いたリコだったが、その痛みが彼女に本来の自分を取り戻させた。
邪神が復活してしまった今、完全な力を取り戻す前に倒さねばならない。
一撃必殺の戦鎚が唸りをあげ、脚に絡み付いた触手を叩き潰し、
リコは一旦距離を置こうと腕輪の魔力を解放して宙に舞い上がった。
しかし彼女の活躍もそこまでだった。
突然地中から触手にまたしても彼女は足を取られた。
右足に絡み付いたその触手は、彼女を凄まじい勢いで地面に叩き付けた。
「ぐはっ」
あまりの衝撃に一瞬意識が遠のいてしまった。
その隙を邪神が逃すはずもなかった。
1本の触手が戦鎚を奪い取り、別の触手は左足に絡み付き、彼女を宙吊りにしてしまった。
「負……ける、負けるもんかぁっ」
自分を奮い立たせるように叫ぶと脚に絡み付いた触手を解こうと腕を伸ばした。
その鼻先をかすめるように、戦鎚が走った。
反射的に身をすくませた彼女の首に、生暖かいものが触れた。触手だ。
ヌラヌラと粘液に照り輝くそれは彼女の首筋をゆっくりと這い上がり、
頬を撫で、ついには眼前で鎌首をもたげた。
絶体絶命の状況。それでも彼女は、気丈にも触手を睨み付けた。
右手で素早く印を切ると、早口に呪文の詠唱を始めたが、
その行為は見事に墓穴を掘っていた。
呪文を唱えるために開かれた彼女の口の中に、触手が潜り込んだ。そしてその先端から、粘つく液体を吐き出した。
「んむぅっ、むぅ、んんんぅ?」
 吐き出そうと必死になって首を振ったが、長く力強い触手を振りほどくことなど不可能った。
液体は次々に注ぎ込まれ、口の中はもう一杯だった。
息苦しさに負けた彼女は、とうとう液体を呑み込んでしまった。
「ゴホッ、ゴホッ、ウフッ」
口の端から溢れた白い液体が、糸を引いて地面に落ちていった。
それを拭おうともしなかった彼女だったが、触手が耳を撫でさすってきて、ヒッと息を呑んだ。
しかもその触手は先端部分に無数の繊毛を持っており、それが耳たぶと言わず耳の中と言わず、一斉に蠢きだした。
「ひぁっ?! ……っく、止め、止め……てぇ」