(´∀`)マアム?3!ファンタシースターオンラインPart373
1 :
名も無き冒険者:
2 :
名も無き冒険者:2001/05/16(水) 12:37
3 :
ワルキューレ:2001/05/16(水) 12:37
782 名前:白蘭花投稿日:2000/12/25(月) 13:28
>>780 今んとこ弊害はないと思うよ。俺は1度やったきりで、もうやってないが。
ソニークチームが制裁を考えているなら、いずれログとられてバレるだろう。
894 名前:白蘭花投稿日:2000/12/25(月) 15:23
>>890 最近の出川は秋葉でビラ配りに忙しいらしい。
900 名前:白蘭花投稿日:2000/12/25(月) 15:27
>>895 ゲーム再開するとシンクロ率は5%低下する。
903 名前:白蘭花投稿日:2000/12/25(月) 15:29
ぐあ…。何気に踏んでもうた。
立ててくる。
猫まっしぐら ファンタシースターオンライン Part58
1 名前:白蘭花投稿日:2000/12/25(月) 15:32
公式HP
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=hako&key=977582116&ls=50 2 名前:名も無き冒険者投稿日:2000/12/27(水) 19:31
なんですか?コレ
3 名前:白蘭花投稿日:2000/12/28(木) 14:54
sageで立てて上がってこなかった分だ…。スマソ
う。ファンタシースターオンラインPart59
1 名前:白蘭花投稿日:2000/12/26(火) 15:11
公式HP
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=hako&key=977726509&ls=50 2 名前:名も無き冒険者投稿日:2000/12/27(水) 19:32
これも。なんだろう…
3 名前:白蘭花投稿日:2000/12/28(木) 14:54
sageで立てて上がってこなかった分だよ…。スマソ…
4 :
ワルキューレ:2001/05/16(水) 12:38
おつかれ
お疲れ
おおっでかいのがもりもりでた
オTukaレ
ちゅーか、そろそろ身のある話を…
しません…か?
おつかれ
11 :
原反吐:2001/05/16(水) 12:39
おChu!かれ
つづきがはじまるよかん・・・
オツ
おつかれー
何気に前スレの766が面白かったのは漏れだけ?
モー娘。長文に埋もれてたが…
20 :
関谷:2001/05/16(水) 12:41
・いいかっ!!ここにあるレアは全部おれのものだっ!!
・今日から俺がラグオルの支配者だっ!!チーター様と言ってみろっ!!
・チーターは人間で他のプレイヤーは動物よ!!
だからチーターが他のプレイヤーを生かすも殺すも勝手よ!!
・この口のうまいやつが!!レア欲しいだけのくせして!!
・いつも厨房、厨房とばかにしくさって!!
・ここにあるレアは全部おれのものだ!!みんなにそう伝えろ!!
・流行歌を歌えっ!!
・うるさい!! まだレア代はもらってないんだ!!
これはぜんぶおれのものだ!!
・ゆるしてください!!ソニチ様!!
>>21 よかんがしただけで、要望はしてないです。はい。
乱入しようと思ったら、いつも同じ人の部屋。
あまり同じ人のトコにばかり乱入すると
「ストーカー?」とか思われるんでしょうか。
>>26 誰も来ないよりマシだと思うが。
つーか俺は歓迎するな。
>>19 荒らしに紛れて同じような事するなんて最低。
ネタ自体も不謹慎。問題外。
>>26 結構気にするよね。
俺もいつも気にしながら乱入してる。
逆にその人が良い人ならば毎日でも乱入して欲しいとか思いながら部屋作ったりしてるよ。
>>26 うーん、微妙だね。同じ人とばっかりもぐるのも
なんか新鮮味がないし。私は同じ人とは1週間に
2回くらいでいいかなって思ってる。
33 :
26:2001/05/16(水) 12:45
>>27 >>28 う、そうですか。アリガトウゴザイマス。
ここ見てて「最近ストーカーに・・」とか言うのがあったので。
気にせずに乱入してみます。
>>30 んで、ウザいヤツには来て欲しくないよな(藁
にくまんの写真ください で、部屋を作ってみようと思うが、どうか?
来て欲しくない奴の見本だな。
今晩もあのコのところに乱入しよう・・・
話すことないのにロビーでべったりされるとすげウザ
XIAOは許せるが、何故か心情的にAKIHABARAは許せない俺は心が狭い?
>>34 ウザがられているか、どうかの判断が難しいですね。
みんな愛想良く対応してくれるんですけど、
内心「またコイツだよ、ウザ!」とか思われてたらアレだなぁ。
とか、思ったりしてまふ。
>>26 私も同じ恐れを抱いております。
やはり、Uzeeeeのでしょうか……。
44 :
1:2001/05/16(水) 12:47
あ、このスレはage進行でヨロ
どうしてノーマルの誰でも部屋には必ずLV60以上のキャラが居るのか
>>41 仕方のないことだ。
愛想だけでは上辺だけかも知れんからな。
チョッパリは氏んでね
))41
まふの人は大丈夫だと思いまふ
マジで。
>>42 とりあえず、その「毎回乱入する人」が居ないときに部屋作って、
その人が乱入してくれば、「ウザくない」。
乱入してこずに別部屋立ててたら「ウザ」。
って判断はどうでしょう。
>>44 嫌
来て欲しい人はいつまで待っても来ない罠
54 :
名も無き冒険者:2001/05/16(水) 12:49
>>41 自分もそう思っちゃう…
結構ドキドキです
>>45 ???
2ちゃん部屋で、そんなの見たことないディス
59 :
killermania:2001/05/16(水) 12:50
野猿は人殺し
))51 イイ
>>56 うん、2ch部屋(ピリオド付き)で
「誰でも..」とかは見たことないなぁ。
大体、マターリ系か痛い系だス。
>>56 2ちゃん部屋って書いてないんだが・・・
ココみてる全員が2ちゃん部屋いくわけではない
がいしゅつだが。
でも、乱入するときに
「度々スミマセン。ウザくないですか」
って聞けないしなぁ。
どんな人がウザくないんだろ…
ザ・サイあク
DGK <phjexeizxy> 2001/05/16 10:23:34
私でよければ ごいっしょします
私はレベル100ですけど 何度か、貴方のように
レベルがハード達していない人の、レベルアップ協力
したことが 何度も有りますし、経験値独り占めパターンや
あて逃げして、経験値だけ稼ぐパターンも何度かあります
ですから、きっと楽しいと思うのですが・・・・・・ヒューマー
なんですよ、それと 私では高すぎますかレベルが?
あと、何時やるのか解らないので、そこを教えて頂ければ
御一緒しますよ
では ウルフ・リッターでした
ウザイ奴は、自分をウザイと認識してないからウザイのでふ
2ちゃん部屋だってよ。(ふ゜
>>63 NORMALで強キャラの人って、チャットしながら潜りたい人なのでは。
それ以外の理由って思いつかない。
>>64 それいいなぁ、今度からそう言いながら入ってみようっと
73 :
でじこ:2001/05/16(水) 12:55
ノーマルじゃないと出ないアイテムもあるだろ。
ウザクないやつはウザクない
75 :
でじこ:2001/05/16(水) 12:55
にょ付けるの忘れたにょ!!
高レベルキャラでサポートすんのはホントにカンベンして欲しい。
厨房っつーか、一般人でもやる奴多いからなぁ
>>70 >>72 「そうですね、ちょっとウザいです」
って言われたらどうする?
>>69 弱キャラに混じって優越感に浸りたい奴もいると思われ
>>62 ピリオド付けてる時点で、「誰でも」ですもんね。
それでも、高レベルのヒューマーは見た記憶ないなぁ。
ピリオド無しの馴れ合いルームは見てないので知らん
自分がウザくないだろうかと、いつも気にしてしま。
85 :
でじこ:2001/05/16(水) 12:56
なんでいつも同じ部屋に入りたがるんだ?
シノワ欲しいからハード部屋つくろうかな、と思ったりもするけど
それだったら他のサーバ逝こうと思う今日この頃。
ヘドが出るぜ!!!!!
原召還するかな。
>>71 アワワ・・・
多分、ロビーに帰ります・・・
ショボーン
>>86 入ろうと部屋を物色してたら、
条件の合うのが「いつも同じ部屋」なのです。
>>76 よくサポートを頼まれる。
勘弁して欲しい、本当は。
うぇーん。定食屋を出たらどしゃ降りだったヨ。
傘も持ってないし、あうー
>>88 勝手に逝けよ。
イチイチ報告ウゼェェェェ!!!
カマって欲しいのか?あん?
>>77 2度といっしょに潜ろうとしないからギルカ頂戴といえ
えいうlfgdkじおぷあえlrkgfdbvxしlk。、えrtfgぽj;lkfgdzbjkl;。dg、svck。、dfgzbcvxj;kl。f、gdzbcx;jlmdfzgv
>>94 条件ってのがよくわかんねえけど。
そんなのはじめからカードでも交換してさ、
また潜りましょうって約束しとけばいいじゃん。
あー。だめだ。
AAとか長文なくてもつまんね。
漏れもVer.2まで隠居しよかのう。
>>93 ほんとはやってほしいくせに。
このマゾ荒らし。
ギルドカード貰った人と二度と合わないのですが、、、
つまんない人が集まるスレ
しかも、雨の中走っていたら交差点の前で転んだよ。(゚д゚)ウマー
>>117 しょうが無いにょ、ここには馬鹿ばっかりだにょ。
俺もおまえもだがなー
コピーして!とかそういうのでなければイイやと思って流浪の旅
鍵付きばっかしで入れるところがあまりない
チートお断りとかそういうのも別の意味でイヤだし
PSOの話はやめましょー。
私について語って(騙って)
そろそろミンナにウザイって思われてるころだな
・・・今日はロビー行かずに潜ってよう・・・
645123867218751325735431357898745332465768753431253246875423132657873541335246878242574489106352784413133782427843132
912 名前:ワルキューレ 投稿日:2001/05/16(水) 12:56
騙られてる・・・。何が面白いのか・・。
912 名前:ワルキューレ 投稿日:2001/05/16(水) 12:56
騙られてる・・・。何が面白いのか・・。
912 名前:ワルキューレ 投稿日:2001/05/16(水) 12:56
騙られてる・・・。何が面白いのか・・。
912 名前:ワルキューレ 投稿日:2001/05/16(水) 12:56
騙られてる・・・。何が面白いのか・・。
乱入の条件
尻レイマーの場合
1.ヒューマがいない
2.一人だけ飛び出たレヴェルがいない。
3.同じ尻がいない。
4.フォースがいる。
5.アレ名名前がない。
6.部屋名が正常。
今日は雨 → 学校に逝かないで荒らす
ところで31鯖についての公式アナウンスってあった?
ウザイ人リストに入ってない人の方がウザイと感じる今日このごろ
>>134 漏れもそうする時期かもな...。でも繋ぐと自然に2chロビーへと
逝ってしまう習慣が怖い今日この頃、いかがお過ごしですか?
>>145 (T私の心にはいつも悲しみの雨が降ってますT)
162 :
名も無き冒険者:2001/05/16(水) 13:06
キシャー!だってバンザイするぞ。
キシャーで麻痺らセルとたのしいな。
隣りで記念撮影だよ。
白蘭花はキャップあるんだから騙ることできないのにね。
よく騙らないでとか言えるよね、白蘭花ちゃん
>>148 相も変わらずラグオってますよ
おかげで今年の経常利益もなんとかアップしましたし
このご時世ですからねぇ、ありがたいことです
乱入の条件
レベルが自分と比較して+−10以内ぐらい
職業がかぶらない
昨日一緒にやった人がいない
部屋の名前が変じゃない
↓
ダイブ(゚д゚)ウマー
・乱入の条件
4人じゃない。
固定メンバーっぽくない。
そろそろ白蘭花をいじめるのはやめてくれよ。
そうだよ、はっきり言うよ。オレは白が好きだよ。
だから白蘭花、どっかに二人きりになれるスレを作ってくれ。
そこでそっと引き篭もって愛を育もう。
固定メンバーっぽくないって、、わからんのでは。。
乱入を条件考えるよりも、入ってから考えた方が早いにょ。
ロボしかいない「誰でも」という部屋に入ろうとしたら操作ミスって別の部屋。
間違えて乱入した部屋はLV50台のフォマ3人
俺もLV50のフォマ(藁
夢幻4とかやってつらかったけど楽しかったよ
あまりこだわらない方がいいこともある。
眠いなぁ・・・
明らかにID操作のための名前が複数ある部屋は入りたくないな。
なんとなく。
>>174 4人のところには乱入できんぞ(藁
まぁ、それには気を使うな。
乱入しても、3人が内輪話でも続けていた日には交換所前へ走る
道で落ちたくなる気分だ。まぁ、今までそういうのには出会ったこと
がないが...。
どうにもぐるぐる温泉での放置の記憶がトラウマになっているな...漏れ。
激しく鬱だ
こだわってる訳じゃないがなぁ、、ま、乱入する所のレベルぐらい
気にしたい。
あ・・・
時計の針が七時をまわり、窓の外の風景が、モえるような夕焼けから
徐々に冬の夜らしく変わり始めた。
安倍ナツミが、控え室の後ろ寄りのその席から、
室内をひとわたり見回すと、天井の、くすんだパネルから落ちる
にぶい蛍光灯の明かりの下、モーニング娘。のメンバーたちは、
まだまだ元気におしゃべりを繰り返していた。
遅い夕食のロケ弁を食べ終えてまもなくだった。
ナツミが妙なことに気づいたのは。
左側にいる矢口真里がいつの間にか、静かに寝息を立てていた。
飯田圭織の体が、座席から通路側にだらしなく傾いている。
全員が眠っているようだった。
…みんなちょっと眠るには早過ぎないべか?…
そして何より問題なのは…ナツミ自身がものすごい
眠気に襲われている事だった。…
右側で何かを叩く音がして、ナツミは随分苦労してそちらに首を傾けた。
市井サヤカが出口の扉を開けようとしていた。幾らもしないうちに、
市井の体から力が失われた。ナツミもすぐに、眠りに落ちた。
意識を取り戻した時、慣れ親しんだアサヤンのスタジオは、
不快な違和感をナツミに与えた。
…スタッフが誰もいない。こんなデイパック持ってたっけ…
靄のかかったような頭を、現状を把握する為に酷使した。
突然、正面のスクリーンに何かが映し出された。
「はーい、岡村先生にちゅうもーく!じゃ、説明しまーす。
今日皆さんにあつまってもらったのはほかでもありませーん」
>>194 不自然なスペースとかアンダースコアとかあるだろ。
ナッチは静かにスタジオを見渡した。ナッチのまわりには他の
モー娘。のメンバーがいる。裕ちゃんの向うに太陽とシスコムーン
の4人、一番後ろの席に並んで座ってるのはココナッツ娘だったかしら?
あれっ、彩っぺがいる…。それに、彩っぺの隣にいるのは…明日香?
「今日は皆さんにちょっと、殺し合いをしてもらいまーす。
最後に残った人だけソロデビューできまーす。つんくさんにプロデュー
スしてもらえるんだぞー。すごいだろー。ASAYANでも超大プッシュ
するぞー」
全員の動きがとまった。ただ…ナッチは気付いた。明日香だけがガムを噛み
続けている。その表情にはいささかの変化もなかった。ただ少し…苦笑いに
にた表情が、その面貌をかすめたような気もした
「これはマジな企画だからなー、
信じられない人は、振り返って後ろを見てみろー。」
ナツミは恐る恐る首をまわし、ごくりと唾を飲み込んだ。
床の上の、半分方開けられた袋の中から、番組出演者の
中山エミリがのけぞっていた。
確かめるまでもなく、死んでいるのがわかる状態だった。
「はいはいはい、静かにしなさーい。
ルール説明をしまーす。皆さんの持っているデイパックの中には
適当な武器が入っています。それを使って殺し合いをしてくださーい。
もちろん、その辺にある椅子とかで殴ってもいいぞー。
テレ東の皆さんのいるエリアは閉鎖されていまーす。
最後に残った一人しか出してあげませーん。
それじゃ、いっせいに散らばって5分後に開始してくださーい。」
居合わせた全員が、一瞬、こわばった顔で視線を合わせた後、
次の瞬間、互いに背を向けて走り去った。
>>194 ワルキューレ1とか
ワルキューレ2とか
白とか。
保田圭は薄暗い通路を慎重に進んでいた。圭より40分ほど先にスタジオを出る
前、プッチモニの偉大なリーダー、サヤカが手渡したメモには「二階の食堂で
まっている」とあった。もちろんこのゲームでは味方はいない。しかし、市井
ファミリーには、絶対の絆があった。とりわけ圭とサヤカのあいだには、特別
なものがあった。現在のサヤカをつくったのはある意味で圭だったからだ。
サヤカのこと、この状況にどう対応すればよいか、とっくに計算しているに
違いない。市井サヤカが本気になったら、アサヤンなんてメじゃないはずだ
「圭」
突然声がかかり、圭は反射的に振り返りながら右手の銃を持ち上げかけた。
カウンターの陰に、サヤカが腰をおろしていた。
圭は「…ボス…」と、安堵の声を出した。…だが、圭はそのサヤカの足元に、
三つの塊が転がっているのにきずいた。仰向けになって倒れているのは、太シス
の信田、横向きになっているには同じく太シスの関西人だ。もう一人はうつ伏せ
でよく分からないが、ココナッツ娘の誰かのようだ。後藤はいない。
「こっ、これは…?」
「あたしを殺そうとしたんだ。だからやった」
「わっ、私は大丈夫よ、サヤカを殺そうなんて思ってない。ね、にげるんでしょ」
「…あたしは、どっちでもいいとおもってたんだ」
「ど、どっちでもいいって?」
「…あたしはコインを投げたんだ。表が出たらアサヤンと戦う、そして…」
圭の全神経は右手にさげたワルサーPPK、その引き金にかかった人差し指に集中
していた。その指がぴくりと動き…しかしそのときにはもう、圭の胸には四つの穴が空いていた。
「裏が出たら、このゲームに乗ると」
>>200 なるほど。
それでID操作してるんですね。
中澤裕子は女子トイレのなかで途方に暮れていた。周りはみんな敵だ。殺し合いなん
て恐ろしすぎて、だからこそ私はここで震えている。だいたい、私はもう演歌でソロ
やってるし。なんで携帯通じへんのやろ?
「よかった、誰もいないのね」
急に聞こえたその声に、中澤は凍り付いた。他のメンバーだったらまだ話し合えるかもし
れない。だが後藤真希は。天使みたいな愛くるしい顔だちをしてるくせに、視線ひとつで
スタッフを震えあがらせる真希。あの娘は私がリーダーでも気にするなんて事ない。あの
娘なら、私なんか、喜んで殺してのけるだろう。
急に携帯が鳴った。中澤は慌ててポケットから携帯を引っ張り出すと必死でボタンを押した。
「あのー、矢部ですけどー、中澤、電源切っといたほうがええぞ。みつかったらヤバいで」
やっと、通話停止ボタンを探り当て、矢部の声はぷっつりときれた。
「…中澤さん?…そこにいるんですか?」
中澤は携帯をそっと置くと、ナイフを握りしめた。力は自分のほうが強いはずだ。勝ち目は
ある。殺さなければ、真希は私を殺すだろう。殺される前に殺さなければ。
後藤はぺたんと床に腰を落し、中澤を見つめていた。後藤の目からは、涙がこぼれていた。
「よかった…。中澤さんなら大丈夫よね?…あたしを殺そうなんて、しないでしょ?
一緒にいてくれるでしょ?…あたし、怖くて…」
ああ、そうだったのだ。真希にどんな噂があったってまだ14の女の子に過ぎないんだ。
真希だって同じメンバーを殺すなんてできるわけがなかったんだ。
「大丈夫よ。私が一緒にいてあげるから」
後藤はしゃくりあげるようになきながら、頷いている。中澤はそのまま、トイレの床で後藤と
抱き合った。
「真希・・・。ごめんね。私、一瞬あなたを殺そうとしたの。とても怖かったから…」
それを聞いて後藤は一瞬目を丸くしたが…怒り出しはしなかった。涙でぐしゃぐしゃになった
顔で、何度も頷いた。それから、にこっと笑って言った。
「いい。いいの。そんなこと、気に、しないで」
中澤の顎の下あたりから、ざくっ、というレモンを切るような音がした。
中澤の目には自分ののどに、何かバナナのような緩やかにカーブした刃物が入っているのが
見えた。カマだ。声はでず、胸の辺りが自分の血で暖かくなる感触を最後に、中澤の意識は
途切れていた。
後藤はうっとうしい涙を拭い、鎌を中澤からひきぬくとたちあがり、静かな声でいった。
「ごめんね。あたしもあなたを殺そうとしてたの」
「動かないで」
声がしたほうに振り向くと、小柄な人影が立っていた。ポンプ式ショットガンを手にしている。
「…明日香? 明日香、ちょっと待って、わたし…」
「動かないで。持ってるものを捨てて。…なっち?…なんで泣いてるの?」
「さっき、トイレに隠れようとおもったの。したら、裕ちゃんが…」
「オーケイ。とにかく、ちょっと隠れよ」
「ね、つんくさんに頼んでこんなことやめさせてもらおうよ。私、こんなのヤだべ」
「…このゲームを仕組んでるのがヤツなんだ。むださ。それに、サヤカはもうやる気みたいよ」
明日香はバッグから紙パックのミルクを取り出すとナッチに投げて寄越した。
「食堂にたべもの仕入れにいったら、圭ちゃんとか、4人殺されてた。スタジオ出るとき市井ファ
ミリーがメモ回してたの、気付いてた? サヤカ、自分の子分を皆殺しにして武器を手に入れたって
わけ。あと、裕ちゃんを殺ったヤツもいたね」
「…なんで明日香も巻き込まれたの?もう引退してたのに」
再び、明日香に苦笑いに似た表情が浮かんだが、返事はかえってこない。
「…でも、明日香が一緒にいてくれてうれしい」
「ほんと? あたしが一緒にいるのはナッチを利用したいだけで、いつかナッチを殺そうとするかも」
「私、明日香のこと、信じる。娘。じゃ最初から一緒にがんばった仲間だもん」
「そう。信用してくれてうれしいわ。一人じゃ寂しくってね」
「…でも、ほんとになんで明日香まで…。つんくさんが仕掛けたって本当なの?何か知ってるの?」
「…私が引退したいって言ったとき、条件だされたの。ゲームに参加しろって。以前にも行われてたのよ
このゲーム」
「……」
「私、前回のゲームの優勝者なの」
稲葉貴子は言いようのない不安感に襲われていた。階段を上がる途中に散らばっていたずたずたに引き裂かれた死体。かろうじてココナッツ娘のアヤカとレファだと分かったが、あの異常な殺され方、人間の仕業じゃない。誰がやったんだろう。神経をとがらせながら、一歩一歩階段をゆっくりと上る。あたりにただよう不気味な妖気に稲葉は手に持った自動小銃をぐっと握りしめた。そのとき、
「うふふ、稲葉さーん。」
頭上からかけられた声に信田ははじかれるように天井を見上げ,そして凍りついた。
「い、飯田さん……まさか、」
濡れたように艶やかな黒髪の女が、ヤモリのように階段踊り場の天井に逆さにへばりついて笑っている。獲物を狙って猫のように光る瞳。
モーニング娘。の飯田圭織!その口元がべったりと赤い血に濡れているのを見た瞬間、稲葉は全てを悟った。ココナッツの二人を殺ったのは彼女だ。そして彼女はいま、私を狙っている!
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
稲葉は無我夢中で天井に向けて自動小銃の引き金を引き続けた。弾が切れるまで。ドサリという音とともに天井から飯田の体が床に落ちる。
「はあっ、はあっ、はあっ」
命が助かった安堵と、人(?)を殺してしまった恐怖で稲葉は荒い息をついだ。床に横たわる飯田の死体に目をむける。そのとき、蜂の巣になったはずの飯田の目がぱちりと開いた。
ウソでしょ、何十発も撃ち込んだのに生きてるはずが……。愕きで声も出ない稲葉の前で飯田はむくりと体を起こした。
「稲葉さんに一言、言いたいことがあります。ねぇ、笑ってぇぇぇぇぇ」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
稲葉貴子死亡。
「ミナサーン! コロシアイノコト、ヤメテヨー!」
階下から聞こえてきた声に、明日香は舌打ちをした。
「馬鹿、殺されちゃうよ。ナッチ、あの声だれ?」
「たぶん、ルルだ…! やめさせないと!」
ナッチは、食べかけのアンパンをポケットに押し込み立ち上がろうとした。
「まって、あたしが見てくる」
明日香はショットガンを手に取ると、声のするほうの様子をうかがう。声はまだ聞こえてくる。
「アタシ、ろびーニイルヨー! ミンナ、キテー! ケンカ、ヤメテヨー! ミ」
ぱららららっ、というタイプライターの音に似た銃声が聞こえ、階下の声は途切れた。
「…もう終わった。ナッチ、ここはもうヤバい。ちょっと動こう」
階下で、もう一度、ぱららっという銃声が聞こえた。
コピペもうつまんなーい★
さっきから何度か、近いところで銃声が聞こえていた。石黒彩はゲーム開始以来ずっと倉庫に身を潜めて
いたのだけれど、結局、このままでは事態は好転しないと判断した。誰か…少なくとも自分の信用できる
友達を探し出して、一緒に行動することが必要だった。もちろん、自分にとって信用できる相手が、自分を
やはり信用してbュれるとは限らない。でも…タンポポのあの二人なら信用できる気がする。
彩は、倉庫から出て、通路を明るいほうへ向かって歩き出した。
カオリか真里っぺを見つけられればいいんだけど…。でも、カオリはともかく、真里っぺはまだ大丈夫かな?
もし、タンポポの二人じゃなくても、ナッチや裕ちゃんなら話しできるかも。いきなり撃たれたりしないよう
気を付けて…
考えに気を取られ、不注意に通路の角をまがった目の前に、二人の少女がいた。
ひとりは仰向けに倒れていて、床が大量の血で真っ赤になっている。小湊だ。
…どう見ても死んじゃってるな。しかも、全然少女じゃないし。
もうひとりの女の子は、小湊のそばにしゃがむようにして顔をのぞきこんでいる。右手には鎌。すごいね、鎌だって!
瞬間、そいつは顔をあげた。彩と目が合っていた。
…最悪。真希だ。後藤真希。
平家みちよは身を隠そうと入った四階の一室で驚くべきものを発見していた。
床の隅に無造作に転がっているそれは、どう見てもココナッツ娘のダニエルに見えた。しかし奇妙なことにダニエルの体はまるで空気を抜かれた風船のように薄くしぼんでいる。
「ダニエォ、大丈夫?」
近寄ってペラペラのダニエルの体に触れて平家は驚愕した。ダニエルの背中には首筋から尻までチャックが付いていたのだ!!チャックは全開になっている。中身はもぬけのカラだ。
「まさか、これダニエォの抜けガラ?じゃあ、今までわたしたちがダニエォやと思ってたのはいったい何者やの?いや、それより中身はどこにいったん?」
言いようの無い恐怖に平家は震えた。この部屋にいるのは何かヤバイ。そういえばさっきから誰かに見られているような気がする。
立ち上がって入り口のドアにかけより、外に出ようとした瞬間、平家の足に物陰から触手のようなものが絡みついた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
平家みちよ死亡
そのころ鈴木あみは赤プリのスウィートルームでつんくの胸に抱かれていた。この愛人関係ももう半年になる。最近あみはつんくが遊びで始めたモーニング娘。に危惧を抱いていた。あまり裕福でない家庭に産まれたあみは、芸能界の女王になるためにあらゆる裏取り引きを続けてきた。整形もした。小室とも寝た。アサヤンプロデューサーとも寝た。安室の母も殺した。浜崎に毒を持ったこともある。そうしてきづき上げた今の地位をあの素人芸人集団は運で奪おうとしている。
「ねぇ、つんくぅ、ほんとにモーニング娘。皆殺しにしてくれるの?」
「しつこいやつやなぁ、あいつら今ごろ、ソロデビューに目がくらんでお互いに殺しあっとるところやで。誰が勝ち残るか知らんけど、生き残ったやつも交通事故に見せかけて殺してもーたらええがな。モーニング娘の代わりなんていくらでもおるからのぅ。そや、今度あみぃごメインで新しいユニット作ったろか?きっと売れるでぇ。」
「やだぁ、私はソロでやってくの。」
「そんなこと言わんとつんくファミリーに来いやぁ」
そう言ってあみの体をまた求めてくるつんくに、あみは内心舌打ちした。今ごろモー娘は殺し合いか……。もうこいつの利用価値もないな。
「つんくぅ、このお薬飲んでみて、すっごく気持ちよくなるよ。」
「ほんまか?ひひ、あみぃご今夜はねかさへんで。」
疑うことなくつんくはあみに渡された錠剤をゴクリと飲み込む。
「げ、げふぅ」
数秒後、つんくは口から大量の鮮血を吐いてベッドに倒れ込んだ。
「うふふ、象も五秒で死ぬ猛毒よ。この私があんたなんかにプロデュースされるような器だと思ってるの?チャンチャラおかしいわ。あはは。」
高らかに笑い声を上げるとあみは赤プリ最上階の窓を開け、地上まで軽々と飛び降りて猛烈に走り出した。
最後まで油断はできない。最後に生き残った一人はこの私が直接始末してやるわ。待っていなさい、モーニング娘。!!!
「あはははははははははははは!!!!」
東京の夜にあみの雄叫びがこだました。
つんく死亡
っ…
保田圭は意識を取り戻した。
そう言えば気を失う直前に聞こえてきた言葉…
「ゲームが終わるまで眠ってな…」
……ボス………サヤカ…………
急所を外れているとはいえ出血はかなりのものである。
圭は再び意識を失った。
岡村「今、どうなってるんですか? 誰残ってんの?」
矢部「まず、市井さんですね。今んとこ、殺戮人数トップ、独走ですね。
岡村「いきなり4人殺しはったからね」
矢部「そのあと、ルルもやってますね。太陽とシスコムーン、全滅ですか」
岡村「あの人ら、もう年やからね」
矢部「市井さん、そのあと番組のスタッフとか、関係ないひとも殺しちゃってますよ」
岡村「怖いわー。ターミネーターやね」
矢部「ほんまターミネーターですよ。もう、完全武装してはりますよ。スタッフも合わせて
もう8人殺してはりますね」
岡村「オレらも殺されるんとちゃう?」
矢部「2位が飯田さんですね。3人です。この娘も怖いね。武器使ってへんもん。なんか、不死身
っぽくないっすか、このひと」
岡村「貞子やね」
矢部「次が後藤さんですね。おっ、中澤ねえさんを殺してます」
岡村「がんばってるね。この娘、だまし討ちが得意みたいやね」
矢部「あと、ナッチと明日香さん、まだ一緒にいてはりますね。石黒さんも残ってます。矢口さん
見かけませんね。隠れてはるんでしょうか?」
岡村「小さいから見えへんのとちゃうの?」
矢部「あと、ココナッツ娘、残ってますね、ダニエル」
岡村「あれ、ぬいぐるみちゃうの?」
矢部「さぁ、誰が勝ち残ると思いますか、岡村さん? ボクはやっぱ、市井や思いますけど」
岡村「オレは前回優勝の明日香さんやと思うけどね」
矢部「なんか、平家とかあみーごとか、呼ばれてないひとも来てるみたいですね」
岡村「ほんと、凄いことになっとるね」
CMのあと、超急展開!?
「ねえ」後藤が言った。
「前から思ってたの、彩さんだけはスタッフに媚びない人だって」
石黒は後藤の意図が読めないまま、その顔をみつめていた。
「あたし、ちょっと悔しかったの」後藤が続けて言った。
「彩さん、きれいだったし、あたしよりいい女だったしね」
石黒は黙って聞いていた。何かおかしかった。
すぐに気づいた、なんで、真希は、過去形で喋っているのか?
「でも」後藤の目がいたずらっぽく笑んだ。以下は現在形に戻った。
「彩さんみたいな女の人が、あたし、とても好きよ。
あたしちょっと、レズっけがあるのかな。ふふ。だからとても…」
石黒は目を見開いた、ばっと体を翻す。
「だからとても…」
後藤は鎌をすいと持ち上げた。躊躇うことなく眼前の背中に振り下ろす。
石黒は前のめりに倒れ、うつぶせになったままずずっと、と地面をすべり
動かなくなった。
後藤が鎌を下ろし、言った。
「とても残念」
飯田は首の向きを階段の下の方向に戻した。
そして、見た、さっきまで何も無かった空間に、
湧き出した様に現れたその娘を、その冷たく光る目を。
市井サヤカだ、と認識した時には、ばららら、と言う音とともに
上半身に幾つもの衝撃を受け、吹っ飛ばされていた。
銃声の残響がすっ、と夜の空気の中に消え、再び静寂が支配した。
無論飯田は死んではいなかった。息を殺し、
体をぴくとも動かさずに、ほくそ笑みたい衝動を押さえ付けていた。
ふふふっ、近づいてきたら最後よ。
しかし、どう言うわけか、市井は銃を飯田の頭に向け構えなおした。
…なんで?心の中飯田はそう問うた。カオリはもう死んでいるのよ?
見てよ、こんな完璧な死人が他にいる?
カオリはもう死んでいるのよ!なんで!…
不意に恐怖と狼狽に支配された飯田は、我を忘れて目を見開いた。
その瞬間、市井の銃は飯田の運動中枢を完全に粉砕した。
背中から心臓に届かんばかりの傷を負っていたにもかかわらず、
石黒はまだ生きていた。後藤はとっくに立ち去っていたが、
いずれにしてもそれは石黒の知るところではなかった。
石黒は半ばまどろみ、夢を見ていた。
…カオリ、真里っぺ、あたしたち、ずっと一緒に頑張ってきたよね。
モー娘。を止める時でも、たんぽぽが一番大切だったよ。
それは彼を好きだったのとはまた別の話だけど。
理解してもらえていたのかな。
今の矢口の顔が浮かんだ。泣いていた。
「彩っぺ、死なないで、誰にやられたの?」
「真希よ」と石黒は答えた。自分の唇から漏れる声を聞いた時
ああ.、もう長くは生きられない、と確信した。
「生き残るのよ、真里っぺ、折角そんなに良い女になったのだから。」
「そんな…」矢口が言った。
「彩っぺは世界一良い女だよ…」
矢口は生命を失ってぐたりと全身を重力に委ねている石黒の体を
抱きしめたまま、しばらく、泣いた。
静寂を破り、ばらららら、と言う銃声が聞こえ、安倍のすぐ前で
ドアが千切れて舞った。
そして安倍は見た、三十メートル程向う、廊下の曲がり角に
特徴的な母さんカットの頭がすいっと引っ込むのを。
市井サヤカだった。
「なんで?なんなの?あの娘は?」
「叫んでないで、とにかく撃って!」
火力の差は如何ともし難く、市井は徐々に距離を詰めてくる。
「ナッチ逃げるよ!」
マシンガンというのは弾丸のシャワーであって、
近距離なら絶対にあたる銃器なので、どれだけ離れられるか、
それだけが勝負であった。
安倍は走った。モー娘。の中で一番速い(はずだ、ピンチランナーの
ロケの際の計測では市井サヤカよりコンマ1秒速かった、そう、
市井があの時に手を抜いていなければ)足だけが頼りだった。
どれだけ走ったかも、どちらへ向かっているのかもわからなかった。
不意に安倍の足元が消失した。階段際まで来ていたと、わかった時には
転がり落ちる体をどうする事も出来なかった。安倍は意識を失った。
おい!みんな今回のゲームラボ読んだか?
PSOのチート話と2chVS日生のことや2chグッズのことまで
掲載されてるぞ!モナーエプロンほしい・・・
彩っぺ・・・・・カオリは無事なの……
そんな事を考えながら、矢口真里は何気なく通路をまがった。
ぎょっとした。
通路の向こう、ほんの一メートル向こうに誰かが立っていた。
真里は目を見開くよりも早く、スライディングの要領で
シルエットの足元をくぐろうとした。
同時に、シルエットの手の辺りが激しく火を吹き上げ
さっきまで真里のいた場所を弾丸の列が通過した。
一転して起き上がったときには、それは市井サヤカだとわかった。
マシンガンは近接距離では充分にその効果を発揮できない。
必要なのは、市井に距離を与えない事だった。
市井サヤカは、そのまま前方にとんぼを切っていた。
まるきりカンフー映画を思わせる優雅さで一回転と一捻りすると
立った時には、魔法の様に右手の中にリボルバーを抜き出していた。
しかし、真里の動きはその市井にとっても、多少の驚きであったに違いない
真里は一瞬のうちに前へ出て、ぴったり市井の眼前七十センチの間合いで、
詰めていたのだから。「うっ!はっ!」
左の手刀で市井のリボルバーを叩き落し、右の正拳を叩き込む。
一呼吸のうちに完璧に行った。
みしっと言う骨のきしむ音は、真里の耳に、奇妙に遅れて聞こえた。
市井が顔の前に上げた左の手刀で、払いのけたのだ、とわかった。
休憩をはさみながら荒らすのはやめてくれヨ。
いちいち理由つけて、あらすよとか言うのワラエル
次の瞬間には、市井の右が貫手の形を取って、
まっすぐ真里の顔面に向かっていた。真里の目を狙っていた。
頭を下げ、それをよけられたのは奇跡的だったかもしれない。
それほどに、恐ろしく速い一撃だった。
しかし、真里はとにかくそれをよけた。よけたときには
その手首をつかみとり、逆関節をきめていた。
同時に右膝を、市井の腹に向けて思い切り跳ね上げた。
真里は、左手で市井の腕をきめたまま、痛む右手で拳銃を抜き出し、
市井のみぞおち辺りに押し付けると、引き金をひいた。
市井の右腕を握った真里の左手に、市井の体からゆっくり力が
抜け落ちる感じが伝わった。
・・・勝った。勝ったんだ、あの市井サヤカに、あるいはナッチよりも、
そして裕ちゃんよりも恐らくは優れた身体能力を誇り、
聞きかじる限りでは、格闘において四百戦無敗、
といわれたあの市井サヤカに。
そのサヤカに、私は・・・・・・
「はうっ」
途端、真里の右脇腹に鋭い痛みが突き刺さった。
市井サヤカは、相変わらず美しい、しかし冷たい目で
真里を見上げていた。そして、その左手・・・ナイフを握った左手が、
真里の腹に食い込んでいた。
なぜ・・・まだ・・・生きているの?
もちろんそれは、市井サヤカが防弾チョッキを着ていたからなのだが
それは真里の与り知るところではなかったのだ。
マズい・・・これは。とても。
左の前蹴りで市井を引き剥がすと、真里は踵を返して走り出した。
走りながら脇腹からナイフを抜いた。血が噴き出した。
真里の肺の奥から、息が漏れた。
背後に聞こえる銃声を無視し、真里は走り続けた。
みんな…死んでいた。
血の池の中を、見知ったメンバー達の首がコロコロと転がっている。
安倍ナツミは、視線はその光景にくぎづけにされたまま、
両手で頭を抱え、思い切り口を開いた。気が狂いそうだった。
自分の腹の底から叫び声が絞り上げられるのがわかった。
ふいに、ナツミの視界に人影らしきものが映った。
ナツミは、なお荒い自分の息に気づきながらも、その手から腕、
腕から肩へと目で追って、見た、知っている顔、ダニエォが
静かに微笑んでいるのを。
「ヨカタ。ナツミブジ、ウレシイヨ。」
ナツミは、それにきちんと答える余裕は無く、
ただ、首を回して辺りを見た
部屋の奥にあるものは何・・・平家のミッちゃん?
ふむふむ。
読んでみるとけっこー面白い・・・。
いい気分転換になるかもね。
ミチヨは口の端から赤い泡をこぼしていた。
その目は殆ど限界まで見開かれ、飛び出してそうになり、
その青い顔は、すっかりグロテスクな怪物のお面みたいに
成り果てていた。
・・・この違和感…なに?…殺らなければならない・・・
このままでは、何か、
とてもめちゃくちゃな事になってしまう。・・・
斜め後方にとび起きた。上体を起こす余裕もなく、
そのまま後ろ向きのまま全力疾走した。
ほとんど現実感の無いこの状況で、ナツミは、
場違いなことに、ピンチランナーのロケを思い出していた。
安倍ナツミ、背面競争チャンピオン。イエーイ。
ダニエォの顔が遠ざかる。スカートの後ろにさした拳銃を引き抜いた。
バンッバンッバンッと撃発音が部屋にこだまし、ダニエォの頭に
三つの穴が開いていた。ダニエォはそのまま吹っ飛び、
仰向けに床に転がった。確かめるまでもなかった。
頭の大半を失って、誰が生きていられる?
ぜえぜえと肩で息をしているナツミの胸の奥から、
鈍い吐き気が波のように突き上げてきた。
自分は人を殺したのだ。昨日までつんくファミリーだった仲間を。
それも、確証無しに殺した。
吐き気とともに、興奮でどこかぼうっとしていたナツミの頭の中が
急速に冷え、半ば麻痺していた感覚が・・・
マトモな感覚が戻ってくるのがわかった。
・・・。 気配に気づいた瞬間、矢口真里は頭を下げていた。
同時に、体を回転させ、左の裏拳を一閃させた。
今日の奴は随分がんばるな。
背後に立っていた影の腕を見事にとらえ、影が「うっ」と
うめいて、手にしていたもの・・・拳銃を取り落とした。
そして真里は見た、立ち尽くしたその誰かが、
セーラー服を着ているのを。次に、その天使のように愛らしい顔を。
後藤真希だった。
「お願い!殺さないで!話しかけようとしただけなの!
あたし、誰かを殺そうなんて思ってないわ、お願い!
助けて!助けて、真里さん…」
真里はただ黙って、その真希を見ていた。
「信じて・・・くれるの?」と言った。
怯えた小動物の目、心底の安堵があふれ出た、と言う笑みだった。
真里は左手で銃を後藤に向けた。
まあ白が出ちゃったんなら荒れんのもしょうがないやな。
漏れは容認してるよ
「な・・・何。何するの、真里さん・・・」
真希の顔が驚愕と恐怖に歪んだ・・・少なくとも歪んで見えた。
見事なものだわ。まず大抵の者なら、この愛らしい顔を歪ませて
哀願されたら、信じきってしまうでしょうね・・・
「もういいのよ。真希」真里は言った。
「私、彩っぺに会ったの。彩っぺが死ぬ直前に」
「あ…」
後藤が形の整った。大きな目を震わせて真里を見つめた。
ただ、怯えた表情。理解と保護を求める表情。
「ち…違うの。あれは事故なの。彩さんに会ったとき…
彩さんの方だったのよ、あたしを…あたしを殺そうとしたの。
だから…だからあたし…」
真里は後藤の額の中央に狙いを絞った。
「私は彩っぺを良く知っているわ。進んで人を殺すような人じゃないし、
錯乱して誰構わず撃つような人じゃない。」
「…だめっか」後藤が言った。笑みながら。軽やかな口調ですらあった。
「あのね、あたし、今の地位を手に入れる為に、何でもしたのよ。
胸なんかぺったんこのうちから、必要ならロリコンオヤヂとでも寝た。
すっかり慣れちゃって、今じゃ、どんなサービスでも出来るよ。
今のスタッフだって、何回寝てあげたことか…
それを、こんなことで、全て無駄にするなんて納得できなかったの。」
一気にそれだけ喋った後藤の、変わらず、
にこやかな笑顔を見つめながら、真里は慄然としていた。
すさまじい後藤の話に、打ちのめされていた。
それは…
真里は何か、言おうとしたかも知れない。
あるいは、右脇腹の痛みの影響があったのかも知れない。
真里は後藤の右手が背中に回っていたことにようやく気づいたが、
その時にはもう、真里の左胸に鎌が深々と刺さっていた。
真里の喉からうめき声が漏れ、銃を取り落とし、後ろへ倒れた。
「あなた、ほんとおばかさんよ。」
やれやれと言うように頭を振ると、後藤は、
もう二度と真里だった物に関心を向けなかった。
これで必要なものは全てそろった。
通路の端の物置き場で、硝酸アンモニウムと灯油缶を見つけたとき
市井サヤカは、このゲーム開始以来の微笑を浮かべた。
既に閉鎖区域内は一通りまわった。監視カメラの位置と
そして、何より閉鎖区域外への通路を把握する為に。
建物の構造を考えれば、目的のポイントは、もはや明白であった。
あとはコンクリート壁を一枚破壊するだけだ。
サヤカは、己に課した徹底的な特殊教育により、
この歳にして、既におよそ世界中のほとんどありとあらゆる
事を知っていた。格闘術、銃器の取り扱い、爆弾の製造、ハッキング、
政治、経済、料理、ダンス、歌………
市井サヤカに不可能は無いのだ。
ワタシに、こんなゲームをやらせた事を後悔させてやる。絶対に。
もう終わったのかな…
モーニング娘。なんかに負ける事は、私のプライドが許さないの。
生き残りがいれば、この手で処分してやる。
鈴木アミは妄想に心を躍らせていた。そして、ターゲットを見つけた。
眼下のおどり場にいる女、安倍ナツミだ。
モー娘。の『有象無象』に、親しい友人など無論いるわけがなかった。
アミは心底、自分と同じアサヤン出であるモー娘。を憎悪していた。
ことに、その顔とされている…そう、あの安倍ナツミを。
>>229 ワルたんはモーニング娘。知らないんじゃなかったっけ
自覚はないが、単にルックスで安倍に負けているという理由からだろう。
(アミはそれと意識した事はなかったけれど、深層意識のレベルでは、
自分の醜い顔が大嫌いだった。)
アミは、ほくそ笑みながら、右手の銃の狙いを定めた。
また吐き気がした。
だが、再び立ち上がり、踵を返した。
何としても、再び明日香と合流しなければならない。
しかし、安倍ナツミは再び目を見開くことになったのだった。なぜなら…
眼前僅か十メートル、階段の真上に…そう、鈴木アミが立っていたので。
そして、鈴木は拳銃を握っていた。
…回避する事は到底間に合わなかった。
あの銃口の吐き出す小さな鉛玉が私を殺すのだ。…私を…殺す…
「やめて!」と言う別の声がした。
ナツミの位置からでは姿は見えないが、福田明日香の声に違いなかった。
いきなり、鈴木が福田に向けて撃った。
福田のショットガンの銃声がした。
次の瞬間、鈴木の右腕が消失していた。
「ぐがああああああああぁ」
鈴木は、思い出したように狂った動物のような奇声をあげ、
武器を持たない左手のみで、福田に向かい突進した。
福田がもう一度撃った。鈴木は
こま落としのようにがくんと仰向けに倒れ、それきり動かなかった。
櫛を持った右手を動かし髪形を整えてから、
眼下に見える物置き場に目をやった。
さ・や・か・さ・ん。ね・ちゃ・っ・た・の?
少女は厚めの唇を歪めて、ふにっと笑った。
そう、市井ファミリーの一員、
堕天使の笑みを浮かべる少女、後藤真希だった。
不自然なスペースか…入ってるキャラあるなあ
こんな風に
例
hed
真希が見下ろしている場所には、あの市井サヤカがいたのだ。
もう一時間近く、そこから動いていなかった。
このゲームの優勝候補最右翼は、間違いなく市井サヤカだった。
恐らく、正面からぶつかっては誰も市井に勝てないだろう、と思えた。
市井の後を、ついて行けば危険は少ないし、
何なら最後に市井をヤれば、労せずしてゲームに勝てるだろう。
偶然に市井を見かけた時から、真希は、しのび笑いが止まらなかった。
保田圭は机の下で、じっと息を殺していた。
意識は既に回復していたものの、市井の思いを、
忠実に守っていたのだ。
そりゃ最初は、年下のくせに、自分本位で、ムカつくこともあった。
でも、しばらくして、ホントは不器用な照れ屋さん、
その裏返しなんだなって、わかっちゃった…
今日だって、ちょこっとやりすぎだけど、わたしを殺せなかったジャン…
「圭ちゃん!」
突然声をかけられたので、圭はビクっとして、目を開いてしまった。
安倍ナツミと福田明日香だった。
「大丈夫?誰にやられたの?」
「サヤカ?」
「………」
圭は、安倍の真摯な顔を見ていると、否定も肯定も出来なかった。
保田圭の息遣いが激しくなってきている、と思った。
安倍ナツミは水ボトルのうち一本に残った水を全部使って、
ハンカチを湿らせなおすと、汗にぬれた保田の顔を拭いた。
「明日香」 「なに?」
「薬箱のあった部屋を見たよね? 私、取って来るよ。」
「駄目よ。あれは随分離れた部屋だった、幾らなんでも危険すぎるわ。」
「明日香、あなたはそんなに危険を冒すのが嫌なの?
そんなに自分の事ばっかりが大切なんだべ?」
ナツミはしばらく、福田の目をにらんだ。
福田は静かな表情を変えなかった。
「ナッチ…」
背後から保田の声が聞こえ、ナツミは振り返った。
「やめて。これ以上メンバーの皆が争うのを見たくないよ。」
苦しそうな息の間から、途切れ途切れにそれだけ言った。
「圭ちゃん」ナツミは言った。
「わからないの?圭ちゃんはどんどん衰弱している。
このままじゃ、駄目になっちゃうのよ。」
ナツミは再び、福田明日香の方へ向き直った。
「明日香が来ないって言うのなら、わたしは一人で行くよ。
もう、ここからは別行動をして。」
ナツミは言い捨て、ドアの方へ歩き出そうとした。
>>241 メンバーとか詳しくは知らないけど、この小説の内容自体が
おもしろいね。
「待って」福田が言った。
保田に微笑みかけると、はやるナツミを見やって言った。
「どの薬が必要かなんて、ナッチじゃ判らないでしょ。」
「私も行く」と言った。二人が出かけてからすぐに、保田圭は、
灯油缶!を持って部屋の前を通過する、市井サヤカの姿を見た。
市井は部屋の中の圭に、視線を向けようとはしなかった。
圭は若干落胆したが、その気持ちも長くは続かなかった。
市井のすぐ後にもう一人現れ、しかも部屋の中に入って来たからだ。
美しい黒髪の少女、後藤真希が自分を見下ろし、
その手が鎌を握っているのを、圭は、ぼんやりと見ていた。
ただ、その天使のような愛らしい、美しい顔に浮かんだ笑みに、
なぜか、心の底からぞっとした。
とにかく、その真希が「大丈夫?」と言って圭の手を握った。
圭は、同じ市井ファミリーでも後藤真希とは良く揉めた事を思い出した。
「ねえ真希。ボスの事はボスと呼びなよ。」とか何とか。
圭は内心この天衣無縫娘が苦手だった。真希が無邪気に「何よ、
細かい事にこだわらないでよ。おばさんくさーい。」とか言うと、
ただ苦い表情を浮かべて黙っている事しかできなかった。
後藤の方が、小さい頃から芸能界を目指し、
大人の世界を垣間見てきていた分、多少世間ズレしていた辺りが、
二人がどこか馴染めない原因であったのだろうか。
後藤は、ほほ笑みを絶やすことなく続けた。
「大丈夫じゃ無さそうだから、楽にしてあげるね。」
後藤の右手が鎌を振り上げた。
裏切りっていつもありうるのよね。この世界ってそうだもの。
ただ、機械的に腕を振り下ろそうとして… 後藤真希は、ぱらららら、
と言う古びたタイプライターのような音を聞いた。
同時に、身体中に幾つもの衝撃が跳ねた。セーラー服が裂け、
血が噴き出していた。頭を占めたのは、しかし、その痛みによる
ショックよりも、そんなばかな…という気持ちだった。
背後を取られて全く気が付かないなんて、そんなばかなことがある?
意識を失いつつも、真希は振り返った。
ショートの特徴的な髪形、端正に整った顔立ち、ただその瞳だけが
さえざえと冷たい女…市井サヤカ…ボス?…
ほどなく、市井サヤカが口を開いた。
「圭、このくそやくたいもないゲームは、もうすぐ終わる。
私が…私の手で、全てぶっ壊してやるよ。」
市井のその口元の辺りを見ながら、保田圭は、ああ、やっぱり、
と思った。市井は、真面目過ぎて、不器用過ぎるのだと。
「しばらくの間、そのバカ…真希の面倒を見てやって。」
圭は、ちゃんと急所を外している、市井の妙な律儀さと冷静さに
なかば呆れ、なかば感心していた。
一瞬、閃光が瞬き、そして、夜の空気を轟音が揺るがせた。
市井は、それ以上なにも言わず、部屋を出ていった。
安倍ナツミが階段を登りきったとき、階下でものすごい爆発音がした。
その音には福田明日香も多少驚いたようだった。
一旦は足を止め、ナツミの顔を見て言った。
「とにかく今は、圭ちゃんの所に戻るよ。」と。
ナツミは、保田の待つ部屋で、すぐにもう一度驚かされることとなった。
倒れているセーラー服の少女は、後藤真希…?
ナツミに混乱する間さえ与えないかのように、
保田は堰を切ったようにしゃべりだした。
「お願い。ボ…サヤカを助けに…助けに行ってくれない?
私は…私と真希は大丈夫だから、お願い。
さっきの爆発は、多分サヤカが…。」
口を開きかけたナツミを制して、
福田が言った。穏やかで、力強く、まるで神託を告げる巫女のように。
「そんな顔しないで。私、たまに根拠も無く、
不明確なことに確信を抱くことがあるの。
それで、それが外れたことは無いの、どう言うわけか。」
ナツミと保田はただ黙って、福田の顔を見つめていた。
福田が言った。
「サヤカは大丈夫よ。もうみんな誰一人死にはしない。
なぜか私はまた、確信しているの。」
スミマセン、、名前の最後に半角スペース入れてIDを
白にしました。ゴメンナサイ
三人は、ふっと表情をゆるめた。今福田が話したことには
何の根拠も無いけれど、ただ、
そういう会話ができることが嬉しかった。
「すぐに戻ってくるから、ちょっとの間待っててね。
行くよ、ナッチ。」
「うん」保田は微笑んで頷いた。
「ありがとう。明日香、ナッチ。」
警備員に向かって、何度めかの応射をしようとした
市井サヤカは、体の何ヶ所かに、焼け火箸を
突っ込まれたような感覚に襲われた。
自分の体に何か突き刺さった・・・当然銃弾だ、クソ・・・ドジったな・・・
・・・もう少しなのに・・・こんな所で足止めを食う訳にはいかない。
致命傷ではないのだ・・・
ごめん。漏れスペース2つ入ってるよ
サヤカはのどの奥から息を吐き出し、肩までのショートヘアを、
これは無意識に耳の上にかき上げると、
再びマシンガン・・・イングラムM10を握った。
ぱん、ぱん、ぱんと乾いた音が鳴り、前方の警備員の額に穴が開いた。
振り返った市井サヤカは、くすんだ非常灯の下、
その二人が安倍ナツミと福田明日香だと認識した。
ナツミは市井に、にこっと笑って見せた。
それから、自分が泣きそうになっていることに気がついた。
死にすぎた・・・このゲームではもう、人が死に過ぎている。
もうこれ以上の犠牲は真っ平だ・・・
市井が歩み寄ってくると、すっ、と右手を差し出した。
ナツミは一瞬その意味を測りかね・・・それから、
了解して、その手を握った。
「ナッチと明日香はスタッフルームの方をお願い。」
穏やかな声で、市井が言い、体を翻しかけた。
「待って、サヤカ!」ナツミは呼び止めた。
「どこ、行くの?わたし達と一緒にいた方が安全でしょ?」
市井はナツミの方へ顔を振り向けた。
厳しい表情だったけれども、そこには、いつもの市井らしい
控えめな優しさの光があった。言った。
「テープをおさえなきゃならない。事は一刻を争うから
二手に分かれなければ、多分間に合わない。だから、行くよ。」
「けど・・・」ナツミはどうにも、たまらない気分だったが、
のどまで出かかった言葉を、苦労して飲み込んだ。
編集室のドアが三つ並んでいる。一番向こうのドアから光が漏れ
廊下に反射し、冷たい感じの光の水たまりをつくっていた。
市井サヤカはドアに近づき・・・一気に押し開いた。
部屋の中では、一人の男・・・高畑?よく知らないがそんな名前だ。・・・が
机の上の拳銃に手を伸ばそうとしていた。
まるで、亀の様にスローモーション・・・サヤカは、
冷静に狙いを定める余裕すらあった。撃った。
次の瞬間、男の首から上が空中に消失した。
心もち唇を歪めただけで、サヤカはトリガーにかけた指に、再び力を入れた。
ぱらららららら、という音とともに、フラッシュを焚くような光が連続し
部屋の中に弾丸がばらまかれた。
モニターがこなごなに割れた、デッキが吹き飛んだ、
テープが千切れ飛び、どこかのコンソールの一部が舞った。
何かの資料は、紙ふぶきと化して降りそそいだ。
サヤカは、言いしれぬ歓喜に包まれながら、他人事のように
その光景を眺めていた。
ははは・・・被害総額?億円おめでとう・・・・・・・・・快・・・・・・感・・・・・
安倍ナツミは、棒状のドアノブを回した。
部屋の中を覗きこもうとした刹那、ばんと銃声が鳴り響き
右手の拳銃はナツミの所有権を離れていた。
「よお、遅かったな?安倍、福田」
ナツミと福田を歓迎したのは、銃を構える山崎と
プロデューサー泉、岡村タカシそして矢部ヒロユキであった。
山崎は銃を構えたまま、短い足を動かし歩を進め、
部屋の中央の、ビールの空き缶やサキイカ、ビスタチオなどが
無造作に散乱しているテーブルの脇に立った。
「何から話そうかなあ」
山崎は、薄ら笑いを噛み殺していた。
「安倍、今回のゲームでのお前のオッズは50倍近かったんだぞ。
ゲームが中途半端になったお陰で俺は大損だよ。」
薄々感づいてはいたが、想像以上に低劣な性根を見せつけられて
ナツミは何も言えなかった。
山崎はまた笑んだ。それから、言った。
>>244 ここで後ろスペースはわかりにくいな(藁
「お前達はもう用済みなんだよ。
在庫整理と娯楽を兼ねた、最高のゲームをダメにした上に
飼い主に噛み付こうとは、どうしよーもない欠陥商品だな。」
それで、山崎は、またにっこりと笑みをを広げた。
今度はいささか内緒話をするような調子で言った。
「あのさ、安倍。実を言うと、さっき、つんくが殺されたんだよ。
まあ、念願のソロデビューを果たすヤツには、
元々別のプロデューサーをつけてやるつもりだったから
関係無いがな。・・・大衝撃的緊急発表だろ?」
押し黙っていたナツミは、耐え切れなかった。
眉を寄せ、吐き捨てるように言った。
「屑・・・最低・・・」
「そうかそうか。」
山崎が頷いた。そして、ついに、と言うべきだろうか
これは幾分、強い調子で。
「欠陥商品は処分しないといかんなあ」
そして、四つの銃口が火を吹いた。
福田明日香は、銃口の延長線が収束する部分を追って
体を投げ出した。
明日香の体のあちこちにヘビー級ボクサーに殴られたかのような
衝撃が跳ねた。
…あの日、娘。を止めた日から、私は何かを少しずつ失っていった。
そして私は、抜け殻になってしまった…。
でも、今は違う…
明日香の腕に力がこもり、銃が持ちあがった。
引き金をひいた。立て続けに。
弾倉に残っていた三発の弾丸は、間違いなく最大効率を発揮した。
安倍ナツミは目を見開いた。
銃声が四発…
福田明日香の背中…
銃声が三発…
ナツミの眼前、スローモーションのようにゆっくりと、
福田の体がくずれおちようとしていた。
その向うには、ボウリングのピンの様に
無機質に倒れていく三人の男と、
慌てて銃を構えなおす、狼狽した山崎が見えていた。
ばん、と音がして、ナツミは一瞬、目を閉じた。
胸の辺り、きゅんと何かが食い込む感じがして、
ナツミは、ああ、わたしは死んだんだ、と思った。
目を開いた。死んでいなかった。
蛍光灯の青白い光の下、山崎の鼻の部分に、
赤い穴がぽっかりと穿たれていた。手から拳銃が落ちた。
すぐに、体が後へ傾いだ。倒れた。
ナツミは、ゆっくりと振り向いた。
市井サヤカが、右手でリボルバーを構えて、戸口に立っていた。
「明日香!」
ナツミは、我に返ると、床に膝をついて、福田を抱き起こした。
福田の体は、力を失って、重かった。
福田は、うっすらと目を開いた。
「寝たい。寝かせて」と言った。
「だめだめだめだめー!」ナツミは叫んだ。
「すぐに病院に連れて行くから…」
「もうダメよ。自分が一番良く判る。」
福田は言った。何処か満足そうに笑った。
IDなんて好きに選べるようにしたらよかったのに。
どうせトライアルの頃に法則わかってたんだしね。
名前で決めるようにした意図がわからないです。
「お願い」ナツミは福田を抱く手に力をこめた。
「いかないで。 みんな死なないって言ったのは、明日香でしょ?」
「ごめんね、ナッチ。少しだけ外れちゃったみたい。」
言うそばから、どんどん福田の顔が白くなっていった。
ナツミはもう、福田が死にかけていることを悟った。
いや、とっくにわかっていたのだが、それを認めた。
認めるよりほかなかった。
「ナッチ」福田は目を閉じて、言った。
「どうか生きて、喋って、考えて、行動して。歌ったり、踊ったり…」
ちょっと言葉を止めた。続けた。
「絵を見たりして、感動して、よく笑って、たまには涙も流して。
もし、素敵な男の子を見つけたら、恋をして、愛を交わして」
ナツミは黙って聞いていた。福田が続けた。
「きっと、それでこそ、私が本当に好きだった、ナッチだと思う。
みんなと、お互いを信じ、敬い、助け合っていってね。」
福田は、一気にそこまで言って、すうっと息を吸い込んだ。
「…それが、私の望みよ」はっきり言った。
それが最後だった。福田はもう、息をしていなかった。
天井の安っぽい蛍光灯の光が、真っ白になったその顔を照らしていた。
穏やかな表情だった。
「明日香!」ナツミは叫んだ。
言うべきことがまだまだあったのに。遅かった。
福田の耳には、もう何も届かないのだ。それでも、
その顔は、あまりにも安らかだった。
「明日香」ナツミの唇が震え、それが伝わって、語尾が震えた。
ナツミは福田の手を握り…ようやく泣き出した。
市井サヤカは、手中のリボルバーに弾を込めなおした。
ナツミは、撃鉄を起こす音で、現実に引き戻された。
ゆっくりと振り返ったナツミは、自分に向けられる物を見て、言った。
「どうして、サヤカ?…もう、終わったんだよ?」
市井は、若干苦笑したように見えた。そして言った。
「あんたの、そんな所、結構好きだな。
でもね、現実って言うのは、ナッチが考えている様には
融通が利かないんだよ。」
「わかった?」というように、あごを動かすと、市井は続けた。
「別に、永遠に別れるわけじゃない。すぐにまた会えるよ。」
ナツミは何も言えなかった。殺されるという恐れがあるのでは無い。
市井の言う事が理解できなかった訳でもない。
ただ悔しかった、みんなに守られてきた…
私はみんなに、一体何をしてあげられたのだろうか?…
そんな思いを断ち切るかのように、数回衝撃をあじわった後、
ナツミの意識は途絶えた。
市井サヤカは、イングラムM10を投げ捨てた。
そして、机の上の、味も素っ気も無い電話機に手を伸ばした。
11…0…いや、119が先かな。
これで、良いんでしょ?明日香。
私が… 私と明日香が、全てやりましたってね…
もう誰も不幸にならないよ…
エピローグ
それぞれの理由で忙しく東京新宿駅を動いていく雑踏の傍らで、
ナツミはコートの襟を立てた。
やがて、保田圭と後藤真希の姿が見えてきた。
あれから、何年経ったのだろうか…
四人の失われた時は、今再び動き出すのだ。
安い映画の銃撃戦みたいな描写ばっかりだな。
>>270 ますます、白とか煮るがいなくなっちゃうし・・・
>>270 馬鹿のスイッチが入るんで名無しで書いてはくれまいか。
>>265 いや、、オンラインでも後ろに1つなら分かりにくいぞ。
2つ以上になるときづくかも。
>>270 同じIDに偏らないようにだろ?
ID気にせず自分の好きな名前付けてる人もいっぱいいる
>>279 騙りだろ。
いくら白でもそこまで馬鹿・・・・・なんだよな・・・・・・・・・
>>282 ゴメン、、気にしてスペースいれて白にしちゃった。
>>263にツリー立てた奴がどんなレスつけるのか楽しみ。
ネタでしょ、、、マジなら引くなぁ、、ワラ
>>270 決められるようにしたら同じIDしかいなくなるだろうが!氏ネ!!
煮るってそんなダメなお?
白い歯っていいな
でも、名前で決まるのはイヤかもね。
生年月日とかの方がよかったかも
>>282 自分の好きな名前をベースに大文字小文字かえてみたりしてる
>>289 煮るレイマーだが、別に普通じゃないか?
その前は紫だが
完全なランダムにしたところで、作り直すだけだしな。
俺はちょうどいいと思うが。
次はなにをコピペしようかな
>>289 そんなことない、そんなことないよー!
さあ、アイスでも買ってあげる。煮るでやろう
にくまんの写真みたいか?
私は32のオヤジであり、デブであり、若ハゲであり、眼鏡であり、
ワキガであり、油ぎっしゅな男だからです。
さりげなく眼鏡って・・・そんなに嫌われてんのか?
新キャラのIDが既存のにカブってしまったら
スペース入れたりしてるな
スペースいれてID黄色は死罪ディスカ?
>>287 そうかなー?
ID別で人気の有無が出てきたのは製品版発売されてからじょじょに
でしょ?
発売当初だったらVIRIDIAがいっぱいっていう事には
ならなかっただろうし。
>>296 PSOのAAをどんどん自作するってのはどうでしょ
ついに明日発売だ。
>>301 スペースはカコワルイから泣く泣くその名前は
あきらめてるよ。
僕の友達の一人がオンライン接続停止になりました。現実の友達なので直接電話で聞きました。彼はチートをしていましたから「自業自得」だと思われてもしょうがないかもしれません。でも、彼は決して悪意からチートに走ったわけではありません。(おそらく大半のチーターがそうでしょう。少なくとも僕が出会ったチーター達は・・・)原因は僕が最初にロストした事から始まったんです。僕はその時放心状態で本気でオンラインをやめようと思っていました・・・。その時、彼がはじめて「PAR」を持っている事と、それを使えばロストを回復できるかもしれない事を話してくれました。(彼のPARは元々エターナルアルカディアの為に買ったといってました)僕はその時、「ロストが回復できる」と言う言葉に惑わされ、「お願いしていい?」といってしまったのです。それで、その時は僕の持っていたアイテムを全て元に戻してもらいました。その後も、彼はロストした時だけにその方法で僕達(チームのみんな)を回復してくれました。ですが、それ以上の事は彼が「あくまでロスト復旧だけ。それ以上はつまらなくなる」と言って拒否しました。(チームの中にはそれ以上を求める人もいましたが)そんな彼が昨日の11時にオンラインに来ないのを不思議に思い電話をしてみたら「シリアルは停止されちゃった」と言いました。それでも、彼は「ま、しょうがないよ」と笑って言ってくれました。
僕はその時やるせない気持ちになりました。彼がオンラインができなくなった原因は僕にあるのに、自分だけオンラインをするなんてできません・・・ソニックチームの方、見ていたらお願いします。彼以外にもロストのせいでチートをした人がいると思うんです。チートはどんなに正当化しても悪いけど僕はそんな彼の優しさが嬉しかったんです。ソニックチームの皆さんお願いします。彼をオンラインに戻してあげてください。ロストがなくなるVER2では誰も悪さなんてしません。お願いします。ロストが言い訳にならない事はわかったいます。僕は頭が悪いからチートとかの理屈もあまりわかりません。でも、VER2のロストの無い世界で彼と一緒に冒険がしたいだけなんです。ごめんなさい。文章がおかしくなってしまったけど僕が言いたいことはこれだけです。お願いします。本当にお願いします。
>>304 自分で作れよ
俺は娘。の小説だけコピペする
>>303 今なら深緑で一杯だな。ワラ
漏れ的には、、○○○‐2ndとか、アンマリ好きくない。
>>302 検証じゃ色々でてるがウチの黄色はレア貧乏なんで全然OK
移動部屋で「泥棒?」とか言われましたよトホー。
気分転換に潜ってきます
100歩譲ってにくまんの良いところと悪いところをあげてみようかと思う。
たしかに制服来て来られたらトキメク。
レアのでやすさはイサオIDで決まる!・・・・とか言ってみた。
>>317 そういうときこそ。
泥棒です。オマエイッテヨシ
とかいいなよ。
いきなり泥棒扱いする奴もやだな。
>>263 ネタだろうけどなぁ。
本当なのかなぁ。
本当だったらなんかスゲェっていうか
哀愁感じるよ・・
GUY(○th)
バソチ読んだ
シティーハソターの続編だけコミックで買うか
>>317 いきなりそう言ってきたんなら容赦無く晒せ。
165cm B83 Cカップの写真ください
>>297 ソフトクリーム買ってくれたら煮るにしまーす
また公式にレスしてこようか?
くぅ。彼女9つ下の女子高生なのに、私服の学校だから制服着てこない。
なんか損したキブン
>>329 w100 h110の写真が送りつけられる
>>330 不憫だ。ワラ
知らない人からお菓子もらちゃだめだと、教えられなかったか?
>>327 ちょっとでも同情した自分はアホでした。モーヲタ逝ってよし。
>>332 そうなんだ、うーらーやーまーしーいーなー
まだ生きてますか?
そう信じてこのレスを書きます。
とにかく、死ぬのは駄目!!
いろいろ辛いことあると思うけど、絶対死んでは駄目です。
私だっていろいろ辛いことはあります。
野猿解散はすっごくショックでした。
生きる意味も無くしかけました。でも生きる。
五輪招致大阪絶望的、というニュースもとてもショックです。
でも、生きていれば、必ずいいことがある。
うんこが固くてなかなかでない時、死にたくなります。
私は若ハゲです。鏡を見るたび死にたくなります。
32才にして、未だに童貞です。死にたくなります。
幸せそうな家族を見ると、死にたくなります。
でも私は生きている。生き続ければ、いつか必ずいいことがある。
私はそう信じています。
だからあなたも生き続けてください。
私の大好きなミニモニ。の歌の一節に
「パッパッパッパ歌おう騒ごう、パッパッパッパ、パパパだピョ〜ン」
というものがあります。元気が出ましたか?
また、私の大好きなモーニング娘。の歌の一節に
「超超超いい感じ、超超超超いい感じ」
という一節があります。勇気が涌いてきましたか?
生きてれば いいことあるさ 後藤真希
これは、私が作った川柳です。なにかのきっかけになれば幸いです。
今日は外は雨。
でもきっと、いつかは晴れの日が訪れるのです。
>>340 あれはネカマなんかじゃないんだよ。
きっと、そうなんだよ
>>329 オパーイはBあればじゅうぶんよ!! BYにくまん
>>345 写真に撮ってみせてほしいです。判断はそれからします。
雀斑 <kgdmywiomf>
>>344 このネタを単独でやってるのだろうか。
ネタだとしたら、彼をここに迎え入れたい。
雀斑 って、、このスレの誰かだろ!!
心当たりの有る者は手をあげろ。
にくまんたんの胸はBカップ・・・ハァハァ
こんな時ほどBBSの検索がちゃんと動けと思ったことないや。
>生きてれば いいことあるさ 後藤真希
(・∀・)イイ!
>>351 心当たり、ってそいつは無意識書いてるのか?(藁
そもそもにくまんの胸がBだなんて何故わかる?
>>322 煽りヘタクソなので考え付きもしませんでした。
ワルたんの煽りを参考にしてみます・・・
>>328 晒すのはちょっと・・・控えまス。アイテム倉庫キャラだろうし。
ひらいけんのきすおぶらいふはつばいちゅう
公式の検索ってなんでこんなに重いんだYO!!
>>359 自分で「Aにほどなく近いB」と告白してたがな
>>359 本人が前に言ってた。
ロビーの連中がAカップでしょ?かわいいなぁとか言ってたら
にくまんがキレて「Bだよ!文句あるかバカー!」と叫んでた。
本人かなり後悔してるらしい。
保田ペヤングに感動
貧乳イイ!
AカップだろうがBカップだろうが形だな、重要なのは。
生きてれば いいことあるさ 後藤隊長
(;´Д`)小振りなピンクイイ!
チクビィィィィxム
なんかワルキューレの名前で騙ってる人たちは
なんなんですか・・・
今後このHNで発言することはありませんのでこれが最後です。
他のスレとかでも騙らないでください。
以後、ワルキューレは放置でお願いします。
そろそろ雑談は終わりにしようや
てぃくびピンコ立ち
>>379>>380 勝手に妄想するのはいいが、、ロビーで聞くなよ。
ハズカシイヤツラダナ。ワラ
コテハンばっかだな・・・
今夜あたりにくまんに聞いてみるよ。
みんなで兆発するように言えばキレて自分から言うだろうて。
>>385 直接会わないから、いいんだよぉ
ムンムン
い〜けないんだ、いけないんだ、な〜かたんに言うてやろ。
フライング〜 フライングはおらぬか〜
触んじゃねえタコ!
にくまん、嫌い
>>388 8118で会ってみりゃいいじゃん。 にくまんは赤くて太いぞ。
ファミ通買ってきてもいいけど
俺引き篭りだしなぁ
>>384 逝ってらっしゃい、雨降ってるから風邪ひかないように。
>>394 この雑談をとめるのはキミしかいない!ガンバレ!11
>>394 外に出れたら引き篭もりとは言わないような。
にくまんにシンボルチャットでセクハラしたやつはどうなったの?
人と交流しなければ引き篭もりだよ(たぶん)
だから行ってきてぇ〜
買って来たらスキャナ使ってウプすればいいのか?
走れアラス
Ver2が当初の予定通り発売だったら、こんなことには・・・
>>398 あ、荒らしでもいいよ。悪いのは白や原だからね。
(ケッ、、情報吐いたら追い出すか、、)
ほら、勇気をだして。
う〜ん、だけど俺の知ってる場所売り始めるの6時ぐらいなんだよなぁ
イヤァァァァァッァァァッァァ
>>408 なんかすごかったらしいよ、リアルだったらしい。
>>409 こうしたらどう?
6時まで荒らしてそれ以降、フライング情報でお詫びする、ってのは。
=====うざい人一覧改訂版Ver1.08=======
[プラチナ殿堂]
Ba-Lei hua : 追放決定、本気でウザイ
Zonic@2ch : 狂言自殺華撃団ウザイ
Gyu(9th) : 潔癖キチガイかなりウザイ
にくまん : 自己中ウザイ(ヤリマン)
原ヘッド(XIAO) : スレでもロビーでもウザイ
SARA : 晒し上げ返しネカマウザイ
[ウザイ人々]
ASA : 酔っ払いネタがウザイ
Asobin k : ネチネチウザイ
あんまん : エロゲヲタチーターウザイ(シルバー)
XL : 晒されたがりでウザイ
kitman@osaka : にくまんの腰巾着ウザイ
バーニィ : アルウザイ
HIGEDandy : 名前からしてウザイ
ぴざまん : 何気にすごくウザイ
Nagi : いいひとウザイ
No.3 : 名前が嫌いウザイ
Yomihi : 何がウザイって何かウザイ
るさちー : シモネタウザイ
ツキシロ : 自己悦バカ ウザイ
ボブ : オナニ厨房、マジウザ
808puropera : 腰巾着厨房かなりウザイ(シルバー)
V' : US鯖ウザイ
refrain : 下ネタ異常嫌悪ウザイ
megaera : エルガイムウザイ
かれーまん : ある意味にくまん以上にウザイ
========================
という事だから、6時になったら買いに逝く
それで帰ってきたらウプする
この板では駄目なのか。
かわいい???
そういや、、シンボルチャットって使ったことねぇや。
かわいい???
ショートカット→SC
シンボルチャット→SC
どうやって区別するの
>>424 ボクにもやりかた教えて。IDだけでもいいから
>>424 __
/__ヽ 氏ネゴルァ・・・
|/(,,゚Д゚) |
※ |∪∪※
〜| |
し`J
>>424 __
/__ヽ 氏ネゴルァ・・・
|/(,,゚Д゚) |
※ |∪∪※
〜| |
し`J
騙りだってば。
かちゅ〜しゃじゃなくてブラウザで見てみれ。
>>424 __
/__ヽ 氏ネゴルァ・・・
|/(,,゚Д゚) |
※ |∪∪※
〜| |
し`J
>>424 __
/__ヽ 氏ネゴルァ・・・
|/(,,゚Д゚) |
※ |∪∪※
〜| |
し`J
>>424 __
/__ヽ 氏ネゴルァ・・・
|/(,,゚Д゚) |
※ |∪∪※
〜| |
し`J
>>424 __
/__ヽ 氏ネゴルァ・・・
|/(,,゚Д゚) |
※ |∪∪※
〜| |
し`J
ここ最近他の板にちょっかい出し過ぎなような。
> PSOver2の発売日が延期されたそうです。
> 31日発売から発売日未定に・。
マジデスカ・・・(欝
テステス
こうか?
=====うざい人一覧改訂版Ver1.09=======
[プラチナ殿堂]
Ba-Lei hua : 追放決定、本気でウザイ
Zonic@2ch : 狂言自殺華撃団ウザイ
Gyu(9th) : 潔癖キチガイかなりウザイ
にくまん : 自己中ウザイ(ヤリマン)
原ヘッド(XIAO) : スレでもロビーでもウザイ
SARA : 晒し上げ返しネカマウザイ
[ウザイ人々]
ASA : 酔っ払いネタがウザイ
Asobin k : ネチネチウザイ
あんまん : エロゲヲタチーターウザイ(シルバー)
XL : 晒されたがりでウザイ
kitman@osaka : にくまんの腰巾着ウザイ
バーニィ : アルウザイ
HIGEDandy : 名前からしてウザイ
ぴざまん : 何気にすごくウザイ
Nagi : いいひとウザイ
No.3 : 名前が嫌いウザイ
Yomihi : 何がウザイって何かウザイ
るさちー : シモネタウザイ
ツキシロ : 自己悦バカ ウザイ
ボブ : オナニ厨房、マジウザ
808puropera : 腰巾着厨房かなりウザイ(シルバー)
V' : US鯖ウザイ
refrain : 下ネタ異常嫌悪ウザイ
megaera : エルガイムウザイ
かれーまん : ある意味にくまん以上にウザイ
LUNA : 所帯持ちウザイ
========================
ほほー(藁
res.htm
ブラウザで見てる俺は何の事かわからんかった。
なるほどね。
にくまん
あんまん
ぴざまん
かれーまん
かばまん
いかすみまん
ぶたまん
あと何?
436 名前:&MAIL 投稿日:2001/05/16(水) 14:09
騙りだってば。
かちゅ〜しゃじゃなくてブラウザで見てみれ。
あ
え?
粘着は全員氏んでね。
ageンナ
かちゅ〜しゃにだけ通用する騙りだな(ワラ
ブラウザで見てる俺には何がなにやらサーパリだな。
職場にゃかちゅーしゃいれてないし。
うむす
名前チェックすりゃばれるだろ。
あがっちゃうのがちょっとな・・・
sageにならんからヤメレ
もうやめとこ
ここの奴らスレ一覧なんてほとんど見ないから平気な気もするがな、上がるのは
31から延期なのか?
誰かホントのこと教えて…
白も白粘着もかちゅ〜しゃ使いだという事がわかったのでよしとします。
なんとなく、再就職先を本気で探す決心がついた。
ありがとうソニチ
セガに電話でもしてみるか
こんにちは、初代にくまんの粘着をやっていた者です。
お、俺もためしていい?
>>477 公式BBSの赤板によると、5月31日→発売日未定、への延期という話です。
本当に延期ならいっそVer2でなく2にして欲しいが
延期ねぇ・・・次スレタイトルは決まったな。
>>489 一度でいいからキャップつけたかった・・・
延期は本当だったみたいね
初めから発売日なんて決めなければいいのに、、
中途半端なままでもいいから31日にだすべきだね
31日はセガガガでも買うかね。
クレタクはすぐ飽きそうだ
PSO板つくるね
31じゃなくなったの!?
PSOスレは全部削除対象
>>494 明日発売じゃねーの?セガガガ。
早く買わないと売りきれるぞ。
PSOスレ以外は全部削除っす。
ぐは・・・リコン
白たんが作った、かちゅ〜しゃのカスタマイズ版なら
メールアドレスが一緒に表示されるから、バレバレだ〜よ
マァム(゚д゚)ウマー
でも誰も裏をとったわけではないので…
わかった!神殿と宇宙船を正式に通常ステージにするための延期だね!
>>497 少なくとも、漏れは、、ポッ
果てしなく怪しいな延期情報。
こう?
誰かサポセンに電話。
延期マンセー!!!
>>507 まだわからないと。
そういう認識でよいかね?
マリナーズ4対3ホワイトソックス
うん。騙ってすまん。戻るヨ。
0120−444−444
(公式の情報に踊らされて、、デジキュで予約したやついないのかの)
しつこいね
>>517 多分あんた・・・にくまんから・・・いや何でもない。
>>508 ヒュマール、ヒュニュウム、ヒュキャシールも追加です。
他も追加ですが隠し
いい加減やめれ、サル。
生きてれば いいことあるさ 辻希美
リコの妹でエリコが欲しい
>>526 にくまんは中華街で歩いて食べるとおいしいよね。
PSOの中華街ステージなんてあったりしたら、おもしろいかも。
山下公園あたりで決闘!
発売延期 しにます 雀斑
生きてれば いいことあるさ 伊集院
生きてれば いいことあるさ 凛として
リコの子供はココリコ
D-Directより転載。
> NEW!!■商品販売延期のお知らせ
> ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ございません。
> 下記商品の販売延期をお知らせいたします。(2001/5/16)
> ・ファンタシースターオンライン Ver.2 2001/5/31→2001/7/10
「豪にして優。静にして動。無駄のない筋肉質の鍛えぬかれた端正な身体。
世界唯一の男性等身大人形としての誇り。その顔立ち、凛として。」
「豪にして優。静にして動。無駄のない筋肉質の鍛えぬかれた端正な身体。
世界唯一の男性等身大人形としての誇り。その顔立ち、凛として。」
は???延期???
180武器ならゴロゴロある
7/10って火曜日だしな〜
漏れの知り合いの乳はフププニの事を猫くしゃ銃という。
猫がくしゃみしているみたいな音だからって。
どうよ?
よしなよ。
>>544 確かめにいっちゃったじゃんかよ・・ドキドキ・・・
>>554 帰ったら、うちのチコに聞いてみるから待て
にくまんでもかれーまんでもいいからヤらせてくれないかなぁ。
(;´Д`)火炎歳暮イイね。
>>562 ほれ、そこらのコンビニ行って買ってくるがよい。
>>554 乳はフププニの事を猫くしゃ銃という。
フププニ・・・って?
と揚げ足をとってみたりする。
=====うざい人一覧改訂版Ver1.09=======
[プラチナ殿堂]
Ba-Lei hua : 追放決定、本気でウザイ(限定版再販中
Zonic@2ch : 狂言自殺華撃団ウザイ(在庫品限り
Gyu(9th): 潔癖キチガイかなりウザイ(品切れ中
にくまん : 自己中ウザイ(ヤリマン)(続編予約受付中
原ヘッド(XIAO) : スレでもロビーでもウザイ(生産中止
SARA : 晒し上げ返しネカマウザイ(店長オススメ
[ウザイ人々]
ASA : 酔っ払いネタがウザイ(ロングセラー品
Asobin k : ネチネチウザイ(メーカー欠品
あんまん : エロゲヲタチーターウザイ(シルバー)(中古買い取り中
XL : 晒されたがりでウザイ(表示価格より20%OFF
kitman@osaka : にくまんの腰巾着ウザイ(動作不良品交換中
バーニィ : アルウザイ(嘘だと言ってよ
HIGEDandy : 名前からしてウザイ(マスターシステムでは動きません
ぴざまん : 何気にすごくウザイ(限定版のみ高価買い取り中
Nagi : いいひとウザイ(お子様の情操教育にもオススメです
No.3 : 名前が嫌いウザイ(フランソワです
Yomihi : 何がウザイって何かウザイ(南、タッちゃんが好きっ!
るさちー : シモネタウザイ(PCEコアのユーザー向け
ツキシロ : 自己悦バカ ウザイ(この商品に限り一週間以内の返品可
ボブ : オナニー厨房、マジウザ(R指定、レジにて身分証を提示して下さい
808puropera : 腰巾着厨房かなりウザイ(シルバー)(人に向けないで下さい
V' : US鯖ウザイ(値引きしました
refrain : 下ネタ異常嫌悪ウザイ(サターン後期型では動作不安定です
megaera : エルガイムウザイ(ドルアーガのスタッフと永野護が製作
かれーまん : ある意味にくまん以上にウザイ(多い日も安心です
LUNA : 所帯持ちウザイ(Win98以上のOSが必要です
========================
にくまんとかれーまんは処女です。
にくまんは生理中です、イライラしてます。
人気投票明日からか。誰に入れようカナ。
>>574 箱!!箱!!箱!!
箱最下位だるなぁ。
フランソワってフランソワーズ=アルヌール?
おお、何気に人物追加されてるじゃん。
ウざい人リスト作ってる人って、マメにロビーいってるんだね。
>Yomihi : 何がウザイって何かウザイ(南、タッちゃんが好きっ!
ワラタ
>>573 そうなのかぁ?
あとに引きずりそうでやだなぁ。どうしよう
生理中のイライラしてる女の子に死ぬほど優しくしても機嫌がよくならないワナ
誰が何と言おうとにくまんはオレが愛してるからな。
誰かサポセンに電話きぼん。
延期ってまじなのディスカ?
シアターいちなち
第一話
昼休み、となりのクラスのなつみと2人きりで過ごすことは、さや
かにとってもはや日常だった。その日もいつものように昼食を持
ち、午前中の授業から解放され思い思いざわめく生徒達で混雑する
廊下を屋上へと急ぐ。
「あー。遅くなっちゃったよ。まったく。」
4時間目が体育の今日は、一度校庭から教室まで昼食をとりに戻ら
ねばならない。少しでも多くなつみと時間をすごしたいさやかに
とって、はたはた迷惑な時間組みであるのだ。校舎の端のあたりに
くると、そろそろ他の生徒もいなくなる。これ幸いと一段飛びで階
段を駆け上がる。
屋上入り口の錆びて思い、鉄のドア。力を入れて開くと5月独特の
きらきらした風景が、木々の香りをはらんだ空気と共にさやかを包
んだ。
「なーっち。待った?」
いつもの場所になつみをみつけたさやかは、うれしそうに彼女のも
とに走りよった。
様子がどうやらいつもと違う事に気がついたのは、なつみがさやか
の問いかけに応えずもくもくとサンドウイッチを食べていたから
だ。普段の彼女なら必ず振り向いて、そして少し照れたように微笑
む。そのなつみの顔をさやかはとても気に入っていて、見る度ごと
に自分の彼女への気持ちを確認させられるのだ。
「なに?どうしたの?なんかあった?」
さやかは不審に思いたずねる。
「‥‥。」
なつみは相変わらずなにも応えない。手に持っていたサンドウイッ
チを食べ終り、残りのメロンを口に入れている。
「どうしたのー?なんか怒ってる?あたし、なんかした?」
とりあえず自分も昼食をとらねばと、包みを開けながらさやかはふたたびたずねた。
缶のアイスティーでカラカラになった喉をうるおし、おにぎりを一口ほおばる。
今日はおかか、か。そんなことを考えながらもなつみの態度は気になって仕方がない。
「なに?なんなの?言ってくれなきゃわかんないじゃーん。」
「‥‥。」
「ゆってみ?ゆってみそ?」
捨て身の寒い言葉になつみの顔が少し反応した。思わず吹き出しそ
うになったが、なんとか堪えたようだ。すぐに元の無愛想な顔にも
どったなつみだったが、さやかがそんな反応を見過ごすはずはな
い。ここぞとばかり、すかさずなつみにたたみかけた。
「なに?な〜に?教えてよ〜う。ね、なっちゃん?どうしたのん?
なっちゃんたら☆」
保健の先生が生理中の時は授業サボれなかったな、
生理中の女は恐いね(;´Д`)
するとさやかの必死の問いかけに意を決したのか、なつみは自分の
膝を睨みながらポツリポツリと話し出した。
「さっき‥、さ。校庭だった‥でしょ。見えちゃったの。ずいぶ
ん、仲よさそう‥ね。」
「は?なんの事?そりゃ、体育でグランドにいたけど‥。」
そんな事をいきなり言われても、さやかに自覚はない。
「あの子、後藤さん‥だっけ?かわいい子だよね。」
なつみのきつい言い方に、さやかは焦って先ほどの一時間を思い出
そうとした。
しかし。
キーンコーンカーンコーン------------- そんなさやかの思考を遮
るように、予鈴がなった。気がつくとなつみは、かわいらしい小さ
なかばんにランチボックスを片付け終えていて、呆然とするさやか
を残し、一人さっさと重いドアの中へ消えていった。
「あ、あれかー‥。」
直後さやかはおもいあたるフシを見つけたが、時すでに遅し。ほと
んど手をつけられなかったランチをしまい、とりあえず自分の教室
へと急いだ。
ドルアーガと永野護はエアーズアドベンチャー
>>581 友達の彼女はわかりやすかったなぁ。
ナウティカたん状態だたよ・・
その日の午下がり、そろそろ素肌にきつくなった午後の日ざしを優
しくシェイドする白いカーテンは、入り込む微かな風に波立ち、春
の光の中まばゆいばかりの外の景色を時おり垣間見せる。普段なら
間違いなく夢とうつつの間を行ったり来たりしてしまう状況のな
か、さやかは窓際最前列の席で先程突然おこった小さな事件-------
--もちろん本人にとってはかなり真剣な事態だが----------につい
てずっと考えていた。
後藤真希。彼女は2年生になって初めて同じクラスになった。2週
間前の今年最初の席換えで、さやかの真後ろの席をくじで引いた生徒。
はじめの数日は彼女のいわゆる派手な容姿に気後れし、話しかける
のをためらった。が、一週間もすると、大人びた外見とは裏腹な真希の
天然ぶりも手伝ってすっかり打ち解け、今では休み時間や教室
の移動などクラス内での行動を共にするようになった。しかしさやか
はもちろん、真希にとってもそれ以上の気持ちはお互いない。
要するに単なる気の合う友達だったし、そもそも2人だけで仲良く
しているわけではない。もう一人、去年から引き続き同じクラスに
なったさやかの親友、保田圭も含めた3人で一緒にいるのだ。
当然なつみもそれは知っている。
そんなふうにぐるぐると思考を巡っていると、5限終了の鐘がなった。
>>581 理由わかっててやってるなら、
逆にでりかしーのない奴と思われるだけだな。
「さやか。」
5限の文法の教師が出ていくとすぐに、圭がやってきた。
「あんたさー。さっきの時間めちゃめちゃ悩んでなかった?」
斜め後方に位置する圭の席から、どうやら小羊さやかは丸見えだったようだ。
「え〜、なに?そうなの?」
後ろから真希が覗きこむ。
「あー。見えてた?ちょっと‥ね。」
「てゆーか、どうせなっちの事でしょ。」
なかなか打ち明けようとしないさやかに、何でもお見通しだと言い
たげな表情の圭。
「う〜ん、まあね。そりゃあね。」
なつみとの関係をとっくに打ち明けてある2人を前に、さやかは
あっさり認めた。
「うそ。なにかあったの?」
真希は相変わらず呑気だ。
「じつはさあ‥。」
さやかは昼休みの出来ごとを2人に話し始めた。
サポセン、繋がりませんでした(;´Д`)
「ありゃー。なっちゃん。そりゃかんぺきに誤解だわ‥。」
「でしょー?あの時は後藤がさー、バカだからー。転んでひざから
血だしてさー。」
「へ?あたしのせい?でもあのときはありがとね。えへへ。」
4限の体育はテニスだった。決して運動神経は悪い方ではないという
秘かな自負からか、真希が相手の打った方向違いな球を無理に打ち
返そうとした。しかしそれでも限度があるというもので、バランス
を崩した真希が派手に転倒したのだ。
「でさー、チャイム鳴って教室帰ろうとした時ー、あたしが後藤に
肩かしてたじゃん。それ見てなっち、誤解したんだと思うんだ。きっと。
圭ちゃんは後片付けしてたから一緒じゃなかったしさ。」
「うん。体育委員だからね、あたし。でも、あの時のさやかと後藤
はそういう風に見えたかもね。2人とも、後藤のドジのこと笑ってて、
なんだかんだ楽しそうだったし。」
「だってウケるんだもん、後藤。あそこまで追っ掛けないっしょ、ふつう。」
さやかの軽口を解っているのかいないのか、あいかわらずふにゃふにゃ
と真希が言う。
「でもさ〜。あたしヤだな〜。そういう風に思われちゃったのか〜。
ぜんぜん。そんなこと小指の先程も思ってないのに〜。市井ちゃん
とだなんて、そんな、超きもちわる〜い。」
「てか、後藤マジむかつく。」
真希の言葉に息巻くさやかを押さえつつ、普段から割と大人びている
圭がさやかに言った。
「まあ、でも、さ。あたしとさやかとなっちは去年クラスが一緒で
けっこうお互い解り合ってるからいいけど。後藤はなっちゃんと
ほとんど話した事ないからね。後藤、中身はこんなだけど、一見
目立つから仕方ないか。ほーんと。こんなに天然だって知ったら皆びっくりするよ。」
「ね〜、市井ちゃん。なんかなっちってかわいいね。今度ちゃんと紹介してよ〜。」
「やだよ。バカがうつったらやだもん。」
「ちょっと、聞いた?圭ちゃん〜?ひどくない〜?」
真希の天真爛漫さに顔を寄せ合って笑うさやかと圭。いつまでも笑い
が止まらない2人を残し、トイレへと席を立った真希が去り際につぶやいた。
「でもさ〜、なっちって、市井ちゃんのこと教室の窓から見てたんだね〜。
いや〜、市井ちゃ〜ん。すっごい愛されてるってかんじ〜。いいね〜。」
特に考えたふうでもない真希の一言に、残された2人は思わず笑いを呑み込んだ。
「ねえさやか‥。後藤ってさ、超たまにスルドイ事言うよね‥。思わない?」
「うん、思う‥。なにげに大物だよね、あいつ‥。」
放課後。帰りのホームルームが終ると、さやかはすぐに一階下のなつみの教室へと急いだ。
「どうか、なっちがまだ教室にいますように。」
そう祈りながら全速力で階段を駈け降りた。
当然、というか、幸いなつみのクラスはまだホームルームを終えて
いなかった。さやかだけに限ったことではなく、ひたむきかつ真摯な
少女の願いはたいてい叶うものだ。
壁に凭れながら6限終了後の短い空き時間に圭が言った言葉を思い出す。
「なっちだって、そんな。さやかのこと好きでもなんでもなかったら
そんな事で怒るわけないんだし、当然だけど。なんてゆーか腹を立てる
理由の些細さと、相手の事を好きな気持ちってきっと比例すんだよ、多分ね。」
圭の成熟した思考について、真希の意外な直感力について、そして
なによりなつみへの第一声をどうするかについていろいろと考えて
いると、どうやらホームルームが終ったらしい。生徒達がそれぞれ
自分が退屈な放課後をいかに有意義にすごすかを誇り合いながら
出てくる。なかにはさやかの知っている顔いくつかあったが、それら
の少女達も笑顔で手を振ると階段へと消えていった。
なつみはなかなかやってこない。自ら教室を覗き込みなつみを探す
事をためらっていると、なつみと仲のよい矢口真里が、メールを
チェックしているのか携帯電話を操作しながら現れた。
「矢口。なっちいる?」
「おっ。さやか。聞いたよ〜、なっちから。いるよ。どうする?呼ぶ?」
「いやちょっと待って。どう、怒ってる?」
「そーとー怒ってる、あれは。なっちもねー。そんなに怒んなくても
いいのにねー。」
「うーん。まあね。でもホラ、うちら愛し合ってるから。仕方ないよ。」
「あっそ。勝手に。ってかんじ。」
あてられて少しふて腐れながらも、笑いながら真里が教室の中を見る。
「あ、なっち来るよ。後ろのドアから出るみたい。じゃ、矢口は
これで。邪魔しちゃ悪いしー。じゃね。がんばれよ。」
そういうと真里は不器用なウインクをひとつ残して駈けていった。
動悸を抑えようと軽く深呼吸をしてから顔を上げると、ちょうど教室
から出てきたなつみと目があった。なつみは一瞬戸惑った顔をして
いたが、すぐに口をきつく結ぶとさやかの脇をすり抜けるようにして
階段へと早足で向かってしまった。
さやかは事態があまりにも唐突な為にしばらく動けなかったが、
すぐに気をとりなおすとなつみを追い掛けた。
「ちょっと待ってよ、なっち。あれは、後藤は、誤解だってば。」
何も応えず、相変わらずの早足で階段を降りるなつみを、さやかは
必死に説得する。少しでも自分の話を聞いてもらえるよう懸命に
話し掛けるが、なつみは聞く耳を持たずにどんどん階段を降りていく。
「だから、なっち-----」
とあらたに呼び掛けたその瞬間、勢いのあまり足を滑らせたのか
なつみはバランスを失った。
あやうく転倒しそうになったなつみの体を寸前で支えると、さやか
がため息と共に言った。
「ふぅ。危機一髪‥。まじ危ないっつーの。」
なつみは突然の恐怖からすぐには立ち直れず、さやかの腕にしばらく
すがっていた。
少ししてなつみが落ち着きを取り戻したのか、気持ちのやり場
に困り下を向くと、それを確認したさやかはなつみの肩に手をまわすと
静かに、しかし力強く言った。
「あれは、誤解。話を聞いて。」
「‥‥‥。」
なつみはまだ俯いたままだった。
「とりあえず、ここじゃなんだから。落ち着いて話ししよう。」
さやかはなつみの手を取ると、転倒しかけたなつみに気を使って
ゆっくりと残りの階段を降りる。放校になってからしばらく経ち、
校舎内に残っている生徒はもはや少なくなっているとはいえ、やはり
日直当番の者あるいは屋内で活動するいくつかのクラブの部員などが
まだ時おり通り掛かる。対して、相変わらず口を開かないなつみでは
あったが、先程危機を救われたことが功を奏したのか、さやかに手を
引かれて素直に歩き出した。
校舎脇にあるガラス張りの温室は、卒業後名を成したある高名な同窓生から
寄贈されたもので、中心にある、清らかな水を常にたたえる人工の泉を
取り囲むようにして、さまざまな種類の珍しい植物がそれぞれ色とりどり
の花を咲かせていた。昼休みなどはランチを楽しむ生徒でにぎわうが、
校門と逆の方向にあるため、放課後はほとんど人影がない。
>>596 でも、大丈夫?とかって声かけたくなるじゃない。
何も言わずなつみの手を引いてその温室に入ると、さやかは小振りの白い花
がたくさん咲いている横の、重そうな石のベンチになつみを座らせた。
自分もなつみの隣に腰をおろすと、さやかはしばらく思考を整理
するように黙り込んでいたが、数分後なつみのほうを向くと静か
に話し出した。
「あのさ、なっちが見たのって、あたしが後藤の肩を組んで笑いながら
歩いてた、とかいうやつでしょ?」
なつみは下を向いたまま頷く。
「あれはね、後藤が授業中に怪我をして、ひとりじゃ歩けなかったから
あたしが肩をかしてあげてたの。だから、なっちが考えてるような
事じゃ、ぜんぜんないんだよ?」
すると、今まで下を向いて黙っていたなつみは顔をあげてさやかを睨んだ。
その目にはうっすらと涙をにじませている。
「でも、ずいぶん楽しそうだったけど?2人っきりでさ‥。」
「だからね、圭ちゃんは体育委員で、あの時は授業のあとかたづけ
してたの。ボールしまったり。だから、後藤と2人だけだったんだよ。
後藤とあたしはそんなんじゃないってば。だいたいあたし、
気持ち悪いとか言われたんだよ、後藤に?」
「でも‥!」
さやかを見つめるなつみの目はさらに潤み、大粒の涙がひとつ、頬を伝い
制服にポトリと落ちる。
「でも、なに?」
「さやかはあんなに楽しそうな顔、なっちにはあんまり見せてくれないじゃん!」
訴えながら感情を抑え切れなくなったのか、とうとうなつみの瞳からは
ポロポロと涙が溢れだした。さやかに泣き顔を見せまいと横を向き、ブレザー
の裾をぎゅっと握りしめている。そんななつみが愛しくてたまらず、
さやかは思わず震えるなつみの華奢な肩を抱きしめた。
新しいコテハン&MAIL
コピペがつまんないです
「あのね、なっち。」
なつみは相変わらずむこうを向いたまま肩を震わせている。
「あたしが、後藤とか圭ちゃんにたいして見せる表情、てゆうか態度と、
なっちにみせる態度が同じなわけないよ。だって、あたしなっち
といる時、緊張?じゃないけど、ちょっとドキドキしてるもん。
好きすぎて。」
さやかの腕のなかで、なんとか暴走する自分の感情を抑えようと
していたなつみだったが、さやかのそんな言葉を聞いて、ますます
胸がつまり、もはやあとからあとからあふれだす涙を止めることは
できなかった。
「そりゃ、なっちの知らないあたしをあの2人には時々見せてるかも
知れないけど‥、でも、あの2人が想像もできないようなあたしを
なっちにはたくさん見せてるんだよ?」
どれくらいこうしていただろうか。ふと気がつくと、午後の日ざし
のなかさんさんときらめいていたはずの風景は、すっかり薄暗くなり、
温室内に一定の間隔をおいて立っているガス灯を模した照明が、
暗さのせいで色を濃くした植物をところどころ鮮やかに浮かび上がら
せていた。
腕のなかで自分に体をあずけているなつみがどうやら落ち着いてきた
らしいことを息づかいから確認し、回していた腕を解くと手をとって
こちらを向かせた。
「だから、あたしにとってなっちは、べつ。特別。どう?落ち着いた?」
「うん。ごめんね。へんにヤキモチ焼いて‥。」
なつみはすこし恥ずかしそうに微笑み、頷く。
そのはにかんだなつみの顔を、さやかはとてもかわいいと思った。
こんな笑顔を見せてくれるなら、今回みたいな事件も悪くはないかな、
と思った。
始まっちゃったのか・・・
「ねえ、なっち。キスしていーい?」
いたずらっこのような上目遣いで突然聞いてくるさやか。
さやかはいつも、突拍子のないことを急に言っては、よくなつみを
困らせるのだ。案の定なつみはストレートな言葉にすこしとまどったが、
すぐにさやかの目を見つめ返して、おかえしとばかり自分も言った。
「いいよ。てゆーか、して。」
普段とはちがうなつみの反応にさやかは意表をつかれたが、そんな
かわいらしいなつみの反抗をさやかはとても嬉しく思い、
いたずらっぽく微笑むなつみに顔を近付けた。
すっかり暗くなった道を、手をつなぎながら駅へと歩く。
「さやかって、やさしいよね。皆にもそうなんでしょ。」
「えー、ちがうよー。あたしがなっちに言ってる言葉とか聞いたら、
後藤も圭ちゃんもびっくりするよ。」
「そうなの?ふふふ。‥あ、ねえ、こんど真希ちゃん紹介して?」
「えー。やだよ。なっちがバカになったらやだもん。」
そういいつつも、今度ちゃんと会わせてみようかな。と真剣に思う
さやかでありましたとさ。
−おわり−
荒らしてる暇あったら、フライングしてる店探してくれ。
第二話
みなさまへ。
今週の土曜日、なっちの18才を記念してバーベキューをやるよ。
食べ物はあたしが揃えるから、みんなは飲み物を持ってきてくれ。
4時頃さやか家にきてね。
あ、言っとくけど夕方の4時ね。
朝に来られても、まだ寝てるよ☆
さやか
今夜にくまんに聞いてみていい?
「SEXすれば生理とまるよ」とか。
夏休み。バトン部の練習を終え、仲間とすこし遊んでから帰宅した
圭宛てに、一枚のFAXが届いていた。冷蔵庫から取り出した麦茶を
グラスに注ぎながら、それを読む。
「わかるっつーの。」
つぶやいて圭はよく冷えた麦茶を一口飲んだ。
「あー、後藤?圭だけど。」
「あ、圭ちゃん?市井ちゃんからFAX来たね。」
夕食後、ひとしきり見たいテレビ番組を見てから自分の部屋に戻ると、
圭は真希に電話をかけた。
「うん。なっちの誕生日ね。でさー、プレゼントの事で、あたし
ちょっと考えたんだけどー、」
圭は先程テレビを見ながらふと思い付いた考えを真希に相談した。
「おー、圭ちゃん、ナイスアイデア。絶対うれしいよ、それ。」
「でしょ?まあ、来る人数にも寄るけどさ。でもさやかの事だから
いっぱい人呼んでるでしょ。ひとり2000円くらいだせば、余裕で
なんとかなるんじゃん?」
「なるなる。ヘタに個人でなんかあげるより、そっちのほうが絶対
いいって。」
「じゃ、あたしさやかに電話して、誰が来るのか聞いてみる。」
「あ、圭ちゃん、このこと市井ちゃんにも内緒にしておくんでしょ?」
「当然ね。じゃ、おやすみ。」
そういって圭は電話を切ると、携帯の液晶画面にさやかの番号を表示させた。
「もしもし、さやか?圭。FAXよんだよ。」
「あー、圭ちゃん?ほんと来ないでね、朝4時とかに。」
「うん、行くよ。‥てゆうかさむいね、あれ。」
「あ、やっぱりそう?てか何?それを言うための電話なの、これ?」
「ははは。さすがに違うけど。あのさー、パーティーって、誰が来るの?」
元発言消えたにょ
「ふーん。けっこう来るね。」
「うん。でも、なんで?嫌いな人でもいるの?」
「ううん、ちがうけど。いや、もし大勢来るんなら手伝って
あげようかなー、とか思ってさ。」
「わ。さすが圭ちゃん!ありがと〜〜う。じゃ、ちょっと早め
に来てもらっていい?」
「じゃ、お昼過ぎくらいに行くよ。後藤もつれて。」
「うん、ありがとう。めっちゃ助かる。」
コードレスフォンの電源を切り、圭はいましがた聞き出した名前のリスト
をもういちど見直した。自分と真希を入れて、16人。
秘密のプレゼントについて、さやかは何も気がつかなかったようだ。
招待客の名前を聞き出す理由を尋ねられた時は少し焦ったが、どうやら
うまくごまかす事ができた。なりゆき上、早く行って手伝う羽目に
なったが、もとよりそれはこころづもりしていた事だ。真希もそれは
快諾してくれるだろう。それより、計画を進めなければ。
圭はまず、リスト中ただひとりの社会人である裕子に相談することにした。
「ねー、なっちー。カルビ味って何入れるんだっけー?」
当日。自宅キッチンで昨日のうちに買い込まれた大量の食材を前に
さやかはひとり奮闘していた。
都心をすこし離れたマンションの12階にある市井家は、
リビング、キッチンの他に部屋が3つ、さらにフロアの隅に位置するため
屋根のない随分大きなテラスがついている。その、人工芝が敷かれた
コンクリートの庭が、今日の会場だ。
この広いマンションに、さやかは主にひとりで生活している。
おもに、と言うのは、多忙な両親がほとんど家を開けているからだ。
ピアニストの母親と、指揮者の父親。さやかが高校生になってから
本格的な活動を再開した彼等は、1年の半分以上を海外ですごす。
昨年まで一緒に暮らしていた姉は、大学のピアノ科を卒業すると共に
現在は両親について世界中を廻っていた。
斧書いてみました
_______________
Д
なつみは昨日の夜からさやかの家に泊まっていた。年上の裕子に頼み
車を出してもらって買い出しを済ませたあと、お願いついでになつみも
ピックアップしてもらったのだ。
「何も今から一緒にいなくてもええんちゃうの。どうせ明日会うねんから。」
ぶつぶつ言いながらも笑ってなつみの家へと向かってくれた裕子。
用事があるからと昨夜は早めに帰っていった。
先ほどからリビングのソファに座って、なつみはひとり張り切る
さやかを所在なく眺めていた。
「もー、さやかー。そんなんだったらなっちも手伝うってばー。」
「いいの、今日は。それより、ホラ、カルビを付け込むタレって何入れるの?
本のとおりにやってるんだけどあんまりおいしくないんだよねー。」
「本見てやってるんだったら平気だってば。はやく肉付け込んだほうが
いいよ。さやかの好きな、おにく。」
あぶなっかしいさやかの手付きをみかねたなつみが、カウンターを
まわってキッチンに入って来た。
「ねー、さやか?ほんとうになっち何もしなくていいの?」
「いいの、いいの。主役は座っているもんだゼ、べいびー。」
「もう、またそんなこと言って‥。」
片目をつぶり、気取ったポーズを作って言うさやかに、なつみは微笑んだ。
結局、忙しいさやかはあまり構ってくれなかった。
「だってなっち、ヒマなんだよ。」
呟きながらしぶしぶソファに戻ったなつみがパラパラと雑誌をめくっていると、
来客を伝えるインターフォンがなる。
「あ、圭ちゃんたち来たよ。ホラなっち、出番。下のドア開けてあげて。
数分後、玄関のドアが騒がしくなった。なつみが圭と真希を出迎えている。
「なっち、おめでと〜〜〜。」
「ありがと〜〜。」
はしゃぎながら外履きを脱ぎ、玄関からこちらへ向かってくる様子が、
キッチンにいるさやかにもはっきり伝わった。
「おっす、さやか。」
「圭ちゃん、後藤、おっす。いらっしゃい。」
2人の後に続いてリビングに戻ってきたなつみは、おおきな花束を
抱えている。
「見て、これ。すごくない?」
「2人にもらったの?」
「うん。すっごいいいにおい。さっそく花瓶に入れちゃお。
さやか、花瓶どこ?」
さやかが花瓶の場所を教えると、なつみは楽しそうにリビングを出ていった。
「圭ちゃん、後藤。ありがとね、花。すごいきれい。」
「うん。てゆうか、あんたにじゃないから。」
圭は持参した飲み物をさやかに渡すと、笑ってソファに座った。
しばらくの間ソファにすわり、なつみと談笑しつつ渇いたのどを
潤していた圭と真希は、顔を見合わせるとどちらともなく立ち上がった。
「さってと。そろそろ手伝いますか。」
少し残念そうな顔をするなつみに微笑むと、2人はさやかのいるキッチンへ
と入った。
「さやかー。何すればいーい?」
「うーん、圭ちゃんはとりあえず、野菜切って。肉はあたしがやるから、
肉好きのこのあたしが。」
「オッケー。」
「市井ちゃん、あたしは?」
「そうさな。後藤はとりあえず、なっち連れて映画でも行ってこい。」
「え。映画?」
「ああ、そうだ。近くに映画館あるし、これから部屋のセッティングも
しないといけないからな。ホラ、これ持ってけ。」
と、言うとさやかは丸めた5千円札を真希の手に握らせた。
「う、うん。わかった。」
「終ったら必ず電話しろよ。あ、あと、あんまり飲み食いするんじゃねえぞ。
そのあとバーベキューなんだから。わかったな。」
「‥はい。」
とまどうなつみを真希が連れ出してから約3時間。まだまだ日射しの強い
テラスには、備え付けのパラソルがついた白い大きなテーブルと、
それに組んだ椅子が6つ。バーベキューセットをその脇に置いて、まわり
には家中から集めてきた椅子を配置した。
「ふいー。こんなもんか?」
テラスをざっと見渡すと、さやかは額の汗をぬぐった。
これだけあれば、不自由しないだろう。全員がすわる事は無理だとしても、
どうせ立食パーティーのようなかたちになるのだろうし、要は疲れた時
に座れればいいのだ。部屋の中に入ってもらってもいいし、人工芝なので
直接腰を下ろしても、服はそれほど汚れないはずだ。
圭はオープンキッチンで、えんえんと大量の野菜を準備していた。
ひとしきり切り終えたところで一息つこうと顔をあげると、午後の
強い日射しの中、テラスで汗だくになって動くさやかが見える。
いつになく真剣な顔のさやか。普段は割と調子の良いところも
ある彼女が、あんな表情を見せる事は少ない。
「愛ですなあ。」
呟いて缶のカルピスを冷蔵庫から一本取り出した。栓を開けて
ゴクリと飲んでから、圭は数時間後になつみが手にするだろうプレゼント
の事を考えた。自分が貰うわけでもないのに、その事を考えると
圭もなんだか嬉しかった。
ピンポーン-------
もうひとがんばり。圭が切り終えた野菜を皿に盛り付けていると、
インターフォンが鳴った。
「さやかー。誰か来たよ−。」
圭はあわててまだテラスにいるさやかを呼ぶ。
「あー。そこにモニターあるから、ドア開けてあげてー。*9で
開くからー。」
さやかはバーベキューセットに炭を入れている。軍手をせずにやって
いるため、手がよごれて受話器をとれないようだ。カウンター脇の
来客用モニターを窓の外から指差して圭に指示する。
「オッケー。」
モニターの電源を入れると、マンションの玄関前に立つ圭織と真里
の姿が映った。
「もしもーし。あたし圭。いらっしゃーい。」
「あー、圭ちゃん。カオリ。カオリ。早く開けて。暑いよ〜。」
受話器越しに、機械を通した圭織の声はかすれて届く。
「はいはい。ちょっと待ってね。*9っと。」
>>616 嘘バレバレすぎ。
「生理中にすると気持ちいいんだよ」っていえ
しばらく経つと、玄関の呼び鈴がなった。
相変わらず手の離せないさやかに代わって、これまた圭がロックを外す。
「いえーい、圭ちゃん。早いね〜。もう来てたの?」
決して狭くはない玄関をふさぐようにして入ってきた圭織が、ビールを
手渡しながら圭に言った。
「うん。さやか一人じゃ大変だと思ってさ。早めにきて手伝ってた。
あ、矢口も。いらっしゃい。」
「いよう、圭ちゃん。えらいねー。はい、矢口からはコレ。」
「お。ワインクーラー。いいね。飲みやすいし。」
「てゆーか、はい。圭ちゃんに渡していいんだよね?」
大きなサンダルを脱ぎおえると、真里が財布から千円札を2枚出して言った。
「うん。一応、裕ちゃんが今のところ立て替えといてくれてるんだけど。
とりあえずじゃあ、あたしが預かっとく。」
圭織からもお金を受け取った圭は2人をリビングに招き入れ、
ソファに座るよう促した。
このコピペはマジつまらん、他のにしてくれ。
白い皮のソファに2人が腰を下ろすと、さやかが窓を開けて入ってきた。
クーラーが効いてほどよく冷えた室内に、外の熱気がむっと入り込む。
それを最小限に抑えようと手早くサッシを閉めてさやかが言った。
「ういーす。お2人さん。暑いなかご苦労様。何か冷たいものでも
いかが。」
「カオリ、水でいい。」
「矢口、麦茶!ある?」
「あるよん。圭ちゃん、おねがい。」
さやかは自分の手のひらを見せて圭に言った。
「はいはい。グラス、どこ?」
「そこ。」
さやかはカウンターの上に位置する棚を顎でさして言った。
>>613 「−おわり−」に一瞬期待した漏れがバカだったよ・・・・・・
仕事するか。
「ねー、なっちは?」」
出された麦茶を飲んで真里がたずねた。
キョロキョロあたりを見回していた圭織も、そうそう、と言いながら
立ったままのさやかを見る。
「後藤と一緒に映画見に行ってる。その間に準備しようと思って。」
「あたしもそっちの役目が良かったよ。ただで映画見れてさ。」
さんざんさやかにこき使われたといわんばかりの圭が口をはさむ。
さやかは笑って、感謝してます、と言った。
「なんだ。準備大変なんなら、カオリも手伝ったのに。」
「うん。でも大体終ってるんだ。さやかの方はどう?」
「ばっちりスよ。」
「こっちもそう。あとは盛り付けるだけ。」
「じゃ、カオリ達がやるよ。圭ちゃん、ちょっと休んでな。」
圭織の言葉に、真里もうんうん、と頷く。
「じゃあさ、あたしちょっとシャワー浴びてきていい?なんか、
汗だくになっちゃって。」
申し訳なさそうに聞くさやかに、圭が言う。
「そうだよ、さやか。ちょっとシャワー浴びてきな。真っ黒だよ
あんた。」
「いいなー。ゴン黒。うらやますぃー☆」
真里の冗談に笑って返した後、さやかは自分がシャワーを浴びている
間の事を、3人に細かく指図した。
「じゃ、圭ちゃん、誰か来たらよろしくね。*9。あと、携帯。
ここ置いとくね。たぶん後藤からかかってくると思うから。誰か出といて。」
3人がそれぞれ了解するのを見ると、さやかはバスルーム
へと向かっていった。
濡れた髪をごしごしふきながらさやかがリビングに戻ってくると、
招待したメンバーはあらかた揃っていた。思い思いのドリンク
を手にし、あちこちで話に花を咲かせている。
「毎日暑いねー。」
「招待ありがとう。」
「夏休み、どう?」
など、現れたさやかを見つけると口々に尋ねてきた。
ゴルァ!11!つまんねーぞ!!1!1!
知らない内ににぎやかになっていた部屋に、多少動揺していた
さやかは、ソファから圭に声をかけられて我に帰った。
「いまさっき後藤から電話があったよ。もうすぐ着くってさ。
あと10分くらいじゃん?」
「お姫様、もうすぐとうちゃく〜。さあ、これからが勝負だいちいさやか!」
誰かがふざけて叫ぶ声に苦笑しながら窓の外に目をやると、テラスの準備
はすっかり整っている。
ビールの缶を手に、壁に寄り掛かる真里と圭織を部屋の隅の方にみつけ、
目でサンキューと合図を送る。と、小さく大きい2人は笑いながら首を
横にふった。
さやかは肩にかけていたバスタオルを自室の机にかけると、すぐに
テラスへと戻った。バーベキューの火加減を見る為だ。セットの蓋を開くと
炭はほどよく熱され、まわりのタールをすっかり落としている。
準備ばんたん。まだ家族が家にいた頃、父親がバーベキューを
取り仕切るのをいつも横で見ていたさやかは思った。
一歩進む度にまわりからかかる声を愛想よくあしらいながら、さやかは
皿に盛り付けられた材料を外のテーブルに準備するため、キッチンと
テラスを何度も往復していた。すると、一体今日何度めになるのか
わからないインターフォンが鳴った。
真希となつみだ、皆が少し緊張する。皆の視線の中、さやかはモニター
に映る2人を確認すると無言でふりかえって、全員テラスに出るようにと
合図する。
「はい。」
ひと呼吸おいて受話器をとったさやかは、すぐにロックを解除した。
受話器を置いてすぐ、さやかはテラスに走り、準備してあったクラッカー
を全員にいきわたらせた。
テラスで待機していた招待客はカーテンが開かれるとともに
ハッピーバースデイトゥーユー、と歌いだす。最後の旋律が終るか終らないか
のうちに、クラッカーをパン、パン、と派手に鳴らし、口々に祝いの言葉
をさけんだ。ひとしきり続いた破裂音の洪水が静まると、なつみはさやか
の腕を抱きしめ、おどけて眉をしかめて見せた。
そこへ、先程さやかから渡されたクラッカーを、最後にひとつ
真希が鳴らすと、一瞬なつみは驚いた顔をしたが、脇で得意げに口を
歪めるさやかと目が合うと、さも楽しそうにアハハと笑った。
「えっと。今日はみんな、なっちの誕生日に来てくれて、ありがとう。
こんなにいっぱいの人にお祝いしてもらって、なっちは本当にしあわせ
です。準備をしてくれた圭ちゃん、真希、ありがとう。」
「ちょっとー。うちらも手伝ったんだけどー?」
わざと不満げに言う真里と圭織にも、笑顔でありがとうと言った。
「それから、さやか。ほんとにありがとね。さやかの誕生日、なっち
倍にして返すからね。」
みんながなつみの言葉に聞き入るなかひとり材料を焼いていた
さやかは、振り向いて親指と人指し指とでオーケーのサインを作ると
大きな声で言った。
「みなさーん、そろそろ焼けてますよー。お肉が食べたいおともだち〜。」
その声を合図に、全員が皿とフォークを持って立ち上がった。
太陽がいちばん遠くのビルの向こうに消えて、そろそろまわりの建物
に明かりが灯り始めた頃になっても、集まったメンバーの食欲は
依然衰えない。酔いがまわってはしゃぎだす者もちらほら出てくる
中で、さやかはバーベキューセットの周りにあつまる仲間のために
せっせと肉を焼いていた。時おり気を遣った圭が手伝いを申し出たが、
今日のホスト、さやかは笑って断わった。
とりあえず今まで焼いていた分を皆に行き渡らせ、次回の分の
肉と野菜を網の上にならべながら、ふう。と息をひとつを吐いた
さやかは、すぐ脇に置いておいた自分のビールへと手をのばした。
「裕ちゃんの分、とっておかなくっちゃ。早くしないとなくなっちゃうよ。」
そんなことを考えつつビールをひとくち飲んだところへ、それまで
様々の場所で咲いている話の輪をひとつひとつまわっていたなつみ
がやってきた。
「さやか。お疲れさま。ちゃんと食べてる?」
なつみはいちごのダイキリを片手に微笑み、さやかの横にならぶように
して屈んだ。
「うん。焼きながら食べれるから平気。おいしいもんはあたしが
一番さきに食べてるモン。それよりなっち、楽しい?」
普段は目立ちたがるさやかが、今日は自分の為に影の仕事に徹している。
自分に対するさやかの愛を改めて確認したなつみの胸は、まるで見えない
手に掴まれたようにつんとした。
「さいこう。」
と言ってなつみは素早くさやかの頬に口付けると、自分を呼ぶ声の
方に走っていった。
「酔ってるのかな。」
唇の感触が残る頬に手をやりながら、さやかは珍しく人目を憚らない
なつみの行動に少しぼうっとしていたが、ハッと我に帰って
ぷるぷると頭を振った。気がつくと網の上のとうもろこしが少し
焦げている。あわてて裏返すと、リビングで数人と共に寛いでいた
圭が声をかけた。
「裕ちゃん来たよー。下のドア、開けておいたから。」
「あー、サンキュー。ついでに玄関も開けてあげて。今あたし
手が離せないから。」
「オッケー。」
圭はサッシを閉めるとすぐに、玄関に裕子が到着したのか、廊下の方へと
向かっていった。
漏れ、娘。って辻と加護以外名前一致しないんだよね。
「おっさん。いいもん入ってますか。」
程なくして、皿を持った裕子がさやかの側に現れた。
持っていた皿を手渡すと、さやかのすぐ側の椅子に腰を下ろす。
「裕ちゃん、遅かったね。もう少しでなくなっちゃうとこだったよ。」
「あー、仕事やってん。ほんま土曜日やのに、きっついわー。
あー、ビールうま。」
焼けているもの中から、さやかが適当に見繕った物を皿に乗せて
持っていくと、上目遣いで裕子が言った。
「ほんま、あんた。後ろから見たらおっさんやで?花の女子高生とは
思われへんわ。」
「いいの。今日は。あ、昨日はありがとね。」
「ええねんて。いつでも言い。」
年は離れているが、気さくな裕子のキャラクターは誰からも慕われる。
仕事や自分のプライベートの付き合いで忙しいはずなのに、さやか達
の誘いにも、大抵顔を出してくれた。
「おーい。裕ちゃーん。」
そんな裕子をいつまでも一人占めしていられないのは当然で、すぐに
他のグループからお呼びがかかってしまった。
「あ、呼ばれてもうたわ。ほいだらな。自分もいい加減にして、
少しは休み。」
はいはい、今行きますよー。と言いながら、裕子は声のほうへ
歩いていった。
ふうーっ。さやかは立ち上がって体をのばすと、腰をとんとんたたいて
空を見上げた。すっかり夜の帳は降りている。向こうには60階建て
のビルが煌めいていた。その奥は新宿。昼間の熱気のせいで
空にスモッグがかかりすこしぼやけていたが、それら人工の景色は
十分美しかった。
今日4本目のビールを空けながら大方片付いた食料を見て、簡単に
後始末をする。空いた食器をかたそうと部屋へ入ると、圭が気付いて
手伝ってくれた。
その場にいるみんなの顔が赤い。みんなそれぞれ楽しんだようだ。
よかった。簡単に洗い物をしながらふとテラスを見遣ると、ほろ酔いに
なった裕子に抱きつかれて、困りながらも笑っているなつみがいた。
そんな2人を微笑ましく眺めていると、圭が尋ねてきた。
「ねえ。思ったんだけどさー。ああいうのはいいわけ?」
「え?なっちと裕ちゃん?うーん、そりゃ時々はまてまてまてー!
って思う時もあるけどさ。でもあんまり気にならない。なっち楽しそうだし。」
「じゃ、裕ちゃん以外の人だったら?」
「ダメ。決まってんじゃん。考えただけでも殺したいね。」
「そういう人、いるわけ?」
「いや、いないけど。裕ちゃんは、まあオトナだし。うちらの関係知ってて
やってるんだから。べつにいいっすよ。ヤっすけどね。」
「どっちよ。」
「いや、いいよ。わかってるもん。裕ちゃん本気じゃないって。」
つまらないコピペを延々貼るのは
かなり拷問な今日この頃
みなさん健やかで
よろしゅうござんすねぇ
「はい、みなさ〜ん。ちょっと集まって〜。」
窓を少し開けた真里が、小さな体で大きく言った。
水を止め手を拭くと、さやかと圭はほとんど片付いたキッチンを出て、
テラスへと急いだ。
テラスにはみんなが集まっていた。何ごとかと不思議に思い圭の顔を
みると、なにやら彼女もにやにや笑っている。見つけたなつみの顔は、
自分と同じようにわけのわからぬ様子をしていた。そこにいる全員の顔
からするに、何も知らないのはどうやら自分となつみだけのようだ。
「は〜い。プレゼントタイム〜。いえ〜い。」
おもむろに立ち上がった圭織が、中心に進みなつみを手招きする。
依然不思議そうにしているなつみが自分の元にくると、圭織は満足げに
後ろ手に持っていた封筒を胸の前にかざした。
「はい。みんなから。」
そう言って手渡された封筒を開いたなつみは
「うっそ‥!」
と言って中身を確認し、興味ぶかげなさやかの目を、自分の目も
丸くしながら見つめる。
「なに?なんなの?」
いぶかって尋ねるさやかに、喜色満面の圭織が言った。
気が着けば、集まったメンバー全員が圭織と同じような顔をしてさやかの
動向を伺っている。
「じゃ〜ん。えっとぉ〜、箱根の旅・2泊3日、2名様ご宿泊け〜ん。」
一瞬事態が飲み込めないさやかに、まわりがヤジをとばす。
「よ。しあわせもの!」
「愛しあってる、2人!!」
「ヒュー、ヒューだよ☆アツイ、アツイ☆」
ダブル斧
-----------======------------
Д Д
ようやく状況を把握したさやかが顔をぐにゃぐにゃにして悲鳴をあげた。
「まじっすか〜〜!!!」
圭を見てほんと?と確認するさやかに、圭は笑いながら3度頷く。
それを見て矢口が言う。
「圭ちゃんが考えたんだよ!」
再び、圭をみたさやかとなつみに、圭は少し照れたように言った。
「いや。思い付いたのはあたしだけど、ほとんど裕ちゃんが
やってくれたんだよ。予約とか、いろいろ。足りない分、出してくれたし。」
「ステキっ!」
さやかは圭に抱きついた。
なつみは裕子に抱きついている。
「ん〜。」
なつみにキスする振りをしてから裕子が皆の方を見て言った。
「はいはい、みんな。もう夜も遅いしお開きやで。電車なくなるまでに
帰り。今日は大勢やしお酒も入ってるから、裕ちゃん送ったったれ
へんで。」
その言葉でパーティーは開き、みんなそれぞれかえり支度を始めた。
裕子がまた言う。
「寄り道せんと帰んねんで。なんかあったら全部成人しとー
裕ちゃんの責任になるからな。」
口々に返事をして、みんなはぞろぞろと帰って行った。
真希も圭織も真里も、それぞれ同じ方面の仲間と一緒に帰って
行ったが、ただひとり裕子と家が近い圭だけは、酔いの抜けるのを待って
裕子の車で送ってもらう事になった。
皆が帰って、やけに広々と寂しく感じるリビングで、残された
4人はすっかり話し込んでいた。ずっと肉を焼いていた為にすっかり匂い
が体についてしまったさやかは先程、今日2度目のシャワーを浴びて
髪を乾かすと、疲れた。と言ってソファの隣にすわるなつみの膝に
頭を乗せてしまった。
「おいおい。お二人さんよう。」
裕子がつっこむと、なつみは、ん?というふうに膝の上のさやかの
顔を覗き込んだが、当のさやかはえへへへ。と笑ってみせるばかりで
決して動こうとはしない。
「まあ、ええか。さやかは今日がんばったしな。」
裕子は仕方がないと言いたげな顔でぼやいた。
しばらくするとよほど疲れていたのか、さやかは寝息を立て始めた。
「あ、さやか寝ちゃったみたい。」
ほんとだ。初めに圭が気付き、他の2人もさやかの顔を覗く。
「やだ。さやか、一度寝ちゃうとなかなか起きないんだもん。」
「ま、寝かせといてやり。今日はなっちの為にそうとうがんばったんやで。」
「そうそう。今日のさやか、働きっぱなしの立ちっぱなしなんだよね。」
そんな圭と裕子の言葉に、本当は体裁を整える為に言っただけのなつみは、
照れながらも素直に頷いた。
このコピペOMOSIREEEEEEEEEEEEEEEEE!!
「なっちゃん、今日は楽しかった?」
なんとなく3人の会話が途切れた時に圭が聞いた。
なんの気なしにさやかの髪に指を埋め、もてあそんでいたなつみ
が圭を見て応える。
「すごく、楽しかったよ。プレゼントも、ほんと。ありがとう。」
「いや、あたしはほんと。なんにもしてないよ。さやかと裕ちゃん
とみんなにお礼言って。」
自分が誉められる事に対してとても繊細な圭が、照れ隠しに烏龍茶
の入ったグラスを手にとりながら言う。
「そんなことないでー。圭ちゃん、野菜とかほとんど一人で切って
たんやろう。真里がゆっとったで。ま、あたしかてけっこう
がんばってんけどなー。」
おどけて言う裕子と謙遜する圭に、なつみは改めてありがとう
と言った。
「ま、あんたに対するさやかの気持ち見てたらなー。助けてあげた
なんねんね、いかんせん。」
わざと拗ねたような口調で横を向きながら言う裕子に、圭があいづち
を打った。
「そうそう。さやか、ほんっとに愛してるよ、なっちゃんの事。
さやかってさー、あんまり、なんていうの執着しない、てゆうか
見せないじゃん?他人に。そういうの。」
うん、うん、と頷く2人に圭は続けた。
「でもさー、いっつもなっちゃんの事になると、超真剣。もうほんと。
みてらんない程、ってゆうか。今日も外あっついのに、1人でがんばって
椅子とかならべてたしさー。」
「そうなんだ‥。」
なつみはいかにも驚いたような声を出したが、本当は知っていた。
さやかがどれだけ自分を好きで、また、どれだけ自分に対して一生懸命に
なっているか。もちろん滑稽なのはお互い様で、自分が実はどれだけ
さやかに執着しているか、圭も裕子も、そして当のさやかでさえも
知らない。なつみはふと、この2人にはその事を告白してしまおうか
という衝動にかられたが、少し考えてやはりやめた。自分の内側にしまって
おいた方が、こういう事はいいのだ。なんとなくそう思った。
さやかが起きるから、となつみの見送りを遠慮した裕子と
圭が帰ってから、なつみは自分の膝の上で規則正しい
寝息をたてるさやかの顔をじっと眺めていた。眠るさやかの
顔は減らず口を叩かず無表情なだけに、より端正に見える。
ふと、悪戯心が持ち上がり頬を軽く抓ると、大きく息をついて
さやかが目を醒ました。
「ん‥。なっち。まだ寝ないの‥?」
手のひらで顔をこすりながら、寝惚けた口調でさやかが言う。
「さやかがそこで寝てるから、動けなかったんだよ?」
くすくす笑いながらなつみは応えた。
「あれ‥、裕ちゃんと圭ちゃんは‥?」
「アナタがぐっすり眠ってる間に、とっくに帰りました。」
「ふぅん‥。ん‥。じゃあ、なんでなっちはまだ起きてるの‥?」
なつみは、すぐにも再び眠りに落ちていきそうなさやかに
堪え切れず吹き出した。
「だから、あんたがそこで寝てるからだってば。」
そのままさやかの顔を抱きしめると、アハハと笑った。
−おわり−
>>644 いや、辻と加護を見分けられるのはすごいぞ
第三話
とても静かだった。
絶え間ない蝉の声に遠方で続く建設工事の音が混じって
とうとう一定の旋律となったそれは、ぴったりと閉じた窓のわずかな
隙間を確実について入り込む。室内ではクーラーが低いエンジン音
を立て続け、つけ放しの大きなテレビからは高校野球を中継する乾いた
音が響いていた。
静かだ------------。ひとつひとつの音が互いに溶け合い、もはや
柔らかな周波となって満ちる部屋でさやかは思った。少し前まで
確かに経過を追っていたはずの野球の試合は、すでに状況を把握
できずに久しい。そもそもこれはさっきまで見ていたものと同じ
ゲームなのか。
どっかに延期の一報が出しだい速報きぼんぬ。
本当なのか…。
>>648 面白いコピペじゃ、ただのネタ披露にしかならないよ。
ま、娘。分からんからつまらん。
モーヲタ怖いとさえ思う。
ふいに不安になって頭上に目を遣ると、先程食べたそうめんのつゆが残る
丸いガラスの器が、これまたガラス製の背が低いリビングテーブルの上で
裏返しに目に入り、その向こうにはソファで膝を組んだなつみが雑誌を
めくっているのが見えた。
「甲子園、今どっちが勝ってんの?」
興味のない野球の中継をなつみが気にしているはずもない、とは
わかっていたが、いつの間にまどろんでいた気恥ずかしさをかき消す
為の、声をかける何か適当な口実が欲しかった。
夏休みに入ってからというもの、なつみは特別な用事がある日以外
ほとんど毎日さやかの家で過ごしている。なつみの親が心配しないようにと
随分気を遣っていたが、やはり家族のいない家でひとり過ごすことが
多いさやかにとって、それはまるで新しい家族が増えたように思えて
嬉しかった。そのことを知っているなつみの両親も、毎日とまでは
いかなくとも大分多い娘の外泊をさやかの家に限っては大目にみてくれていた。
タンポポなんて、辻+加護+しらん人二人だよな
「え、わかんないよ。見てないもん。出てるでしょ?画面に。スコアが。」
あたり前の事をあたり前に返される。
うん、と言ってテーブルの下をくぐり、座るなつみの足元に移動した。
上体を起こしてソファに体を凭せかけると、頭をスライドさせて
なつみの腿の側面に自分の鼻を押し付ける。ピンク色のスカートの、
薄く柔らかい生地が肌に心地いい。すーっと深く吸い込んだ息を
ため息と共に吐き出して、そのまま額を擦り付けた。
「ちょっと。何やってんの。」
呟くように言うとなつみは、雑誌から目を離すふうでもなく、さやかの頭を
軽く払った。
「たいくつ〜。なんだけど。」
さやかの言葉にようやく読んでいたページを諦めたなつみは、雑誌を
膝に置いてさやかを見下ろす。
「そんなにヒマなら、食器洗ったら?さやかが言ったんでしょ、
自分が後片付けするって。」
そういうとなつみはさやかの髪に指を入れ、無造作にかき回した。
既に目は先程の雑誌に注がれている。さやかはしばらくされるまま
にしていたが、わかってるようと言った後、勢いをつけて体を持ち上げ、
なつみの腕の中へ入り込むように自分もソファの隣に座ると、頭を
そのままなつみの肩にのせた。
「なに?今日はずいぶん甘えん坊だねー。」
微笑んで問うなつみの言葉には何も答えず、逆に自分もなつみが
開いていたページに目を遣ると、さやかは聞いた。
「なに読んでるの。」
なつみは、行動とは裏腹に横柄なさやかの態度がおかしくて思わず
微笑んだが、すぐに自分も雑誌に目を落として答える。
「うーん。箱根行くとき、どういう服を着てこうかなー。と思って。」
箱根、と聞いて気を良くしたさやかは、少し考えて見せたが
すぐ思い付いたように目を輝かせて言った。
「ワンピースにしなよ。あの白いやつ。」
「あの、ノースリーブの?」
「そう。あたしあれ超すき!かわいいじゃん!!」
「あれねー。うーん‥。てゆうかほんとは薄い水色なの。」
ほんの少し上品なかんじに惹かれたそのワンピースは夏の初めに
買ったもので、ほんとうはなつみもすごく気に入っているのだが、
うって代わって極端にはしゃぎだしたさやかの前にすこし意地悪
を言ってみたくなった。
「えー。でもあれー、汚れちゃったらやだしー。」
なつみも同意するものと信じて疑わなかったさやかは、からかわれていると
知らず真剣に反論する。が、大して深刻でも無いような理由をあれこれと
つけてははぐらかそうとするなつみに焦れ、とうとうさやかは
「アレ超かわいいのに!!」
と言って口をとがらせてしまった。
そんなさやかにたまらず吹き出したなつみがさやかの目を満足気に
覗き込みながら笑って言う。
「冗談。もともと着てくつもり。」
「じょうだん‥?」
まだ事態が呑み込めないさやかが目をぱちくりさせる。
「だってさやかかわいいんだもん。真剣になっちゃってさ。」
いたずらっぽく言われてようやくからかわれていた事に気づいた。
「もーーーーう!!!」
さやかは破顔してなつみに抱きつくと、その勢いにまかせて押し倒し
そのままなつみにくちづけた。
いったん顔を離したさやかが、腕の中で笑うなつみを睨んで言う。
「だましたね〜〜〜!?」
不機嫌そうに眉をしかめた顔はしかし、どこか楽しそうだ。
しばらくさやかのされるがままになっていたなつみは、笑いながら
くちびるを塞がれていた為に息を弾ませている。
そのなつみが笑いすぎた目に涙をいっぱい溜めて言った。
「だってさやか。すっごい真剣になってるんだもん。」
「うるしぇいな。」
拗ねた口調で言ったさやかが、なつみの耳にくちづける。
「超おっかしー。」
さんざん笑われてなお、今もまだ自分の下で笑うなつみ。
つられてさやかも爆笑して、今度は鎖骨にくちづけた。
>>606 声をかけるぐらいならいいだろうけど、
死ぬほど親切にするのはマズイ。
お互いの笑いがおさまってからもしばらく、さやかは抱きついた
格好のまま、なつみの胸に頭を預けていた。おそらくは自分の鼓動
が聞こえているであろうさやかに、なつみが話し掛ける。
「ねえさやか。髪のびたね。」
先程自分がかき回したあと、乱れたままだったさやかの髪を
なつみはそっと整えてやった。
「うん。‥てゆーか、超おもしろい。今なっちの声すごかったよ。」
胸に耳を当てている為、声帯の反動が直接伝わるのだろう。興味を持った
さやかはなつみを促す。
「ね、あー。って言って。ちょっと言って。」
「あーーー。ねえ、髪のびてるってば。美容院いった方がいいよ。」
「ちょう、おもしれー。」
田中っていなかったっけ
前髪などあちこち触るなつみに、さやかは突然思いついた。
「じゃあさ、なっちが切ってよ。」
思いがけない一言になつみは当然戸惑った。が、一度他人の髪の毛を
切ってみたい、とはなつみもふつうに思っていた。
「だってなっち、しろうとだよ?失敗するかも‥。いいの?」
「いいよ。ちょっとくらい。別に気にしない。ワックスつければ
わかんないって。でもやばいと思ったらそこでやめてね。
美容院いくから。」
簡単に言ってのけるさやかにはやる心を抑え、なつみはもう一度
確認する。
「ほんとに?ほんっとうにいいの?じゃ、やるよ?」
「いいってば。でもわざと失敗するのとかはやめてね。」
ちょっとがんばってみる。というなつみの言葉に、さやかは
ワクワクして、いてもたってもいられなくなった。
「じゃ、やろう!今すぐやろう!!」
「その前に。」
なつみは言った。
「お皿、洗っちゃって。約束でしょ?」
胸の前で手を組んで言うなつみに、さやかはしぶしぶ返事をする。
「じゃ、さやかが洗ってる間に、なっちは準備しといてあげるからね。」
ね?となつみは楽しそうに言ってさやかにハサミの場所をたずねた。
さやかは水道を止めて、ふやけて少し白くなった手を拭いた。
リビングにはすでに新聞紙が数枚敷かれ、その中央にはぽつんと
キッチン用の椅子がひとつ置かれている。ガラスのテーブルの
上に大きなステンレスのハサミを置いたあと、先程からどこかへ姿を
消していたなつみを探しに部屋をひとつひとつ開けて歩くと、
なつみはさやかの部屋の鏡の前で立っていた。
はやくおわんねーかなこのクソコピペ。
「ちょっと〜。人のもん勝手に着ないでよねー。」
鏡のなかのなつみに目を合わせ、さやかはわざと口をとがらせて
言った。クローゼットに入っていたはずのT−シャツと短パン姿で
上目遣いのなつみがにっこりと笑う。
「だって今日の服、毛がついたら落とすの大変そうだしー。
いいじゃん。てゆーかほんとは全然気にしてないくせに☆」
いわゆるひとつのポーズだった言葉をあっさり見破って笑ってから
また鏡に向き直るなつみにさやかは呟いた。
「よくわかるね。」
ベッドの上にはこれまたなつみが引っ張り出した、しかも既に
試着した後とわかるさやかの部屋着が他にも数着おかれてあり、
壁にはピンクのスカートと黒いキャミソールがしっかりハンガーに
掛かって吊るされている。それらに対しさやかは少し大袈裟めに
閉口した素振りをみせた後、ふたたびなつみに目を戻した。
「いいけどなんでそんなずっと鏡見てるわけ?べつにいいじゃん。
そんなの。なんだって。」
チラチラと数回角度を変えては熱心に目の前の姿見を覗き込むなつみに
さやかはデスクの椅子を引いて、よいしょ。と腰掛けた。
「うーん、なんていうの?やっぱり。好きな人の前では?いつでも
キレイでいたい?ミタイナ?」
軽く言うなつみに、さやかも負けじと返す。
「べっつに。T−シャツと短パンじゃん。てゆうか『ミタイナ』‥。
どうかと思うよ。」
「やっぱり?」
と、言ってぎゅっと目を閉じて見せたなつみは、
でも、そうなの。とさやかに聞こえないよう、今度は声を出さずに
言った。
しゃあねえ、電話してみっか
どうやら納得したらしいなつみの様子を見てさやかが立ち上がると
なつみは、こっち。とさやかの手をとった。リビングとは反対方向に
進むなつみに、手をひかれるさやかが問う。
「だって。先に頭濡らさないとでしょ?」
ああ、と納得するさやかに、なつみは続けた。
「超大サービス。なっちがシャンプーしてあげる。」
「熱い?」
蛇口を捻ったなつみがさやかの頭にシャワーあてながら聞く。
「大丈夫。気持ちいい。」
服を着たままでさやかは浴槽のへりに首をのせて目を閉じていた。
「さやか、Tーシャツすこし濡れちゃうかもしれないけど‥、ってゆってたら
さっそく少しかかっちゃったよ。ごめんね。」
「うん。いいよ。夏だし。」
直接陽は当たらないとはいえ、夏の午後のバスルームはそれでも
程よく明るい。既に屋外で何度か照り返した後、さらにすりガラスを
透過することで、窓の外でぎんぎらぎんの日射しがさりげないものに
変わっていた。そのやわらかな光をふんだんに吸収した水色のタイルが、
ひっそりと淡い光を放つこの空間において現在シャカシャカとさやかの
髪をなつみが洗う音以外に何も聞こえない。
やさしく揺らされる振動に、少しぼうっとする頭でさやかは考えた。
じっさい今この瞬間にも世界には他者が存在し、ましてや息をし活動
していることなどすべては嘘に違いない。その証拠に先程までひどく
うるさかったセミの声はどうだ?聞こえないではないか。このところ
ずっと続いているビル工事の音にしたってそうだ。間違いない。今世界
にはなつみと自分だけか。
そうと確信したさやかは、同時にこの時間が永遠には続かないという
ことも知っていた。世界から隔絶されたこの薄青いバスルームを出れば、
すべては元に戻るのだろう。
>>677 お茶でも飲んでくると吉。
俺は仕事するよ。
あ。無人島に行けば平気かな。
そうだよなっち、無人島行こう。行こうよ。
そこまで考えてそっと目を開けると、目の前になつみの喉元があった。
普段は飽くまで白いそれが、少し上気しているのか今はかすかにピンク
がかって見える。そこに透けて見える青い血管が例えようもないくらい
に美しくて、しばらくさやかは見とれていたが、なつみがこちらを向く
気配を一瞬はやく察知すると、あわてて再び目を閉じた。
「はい。じゃあこっち向いて。頭の後ろ流すよ。」
程なくしてなつみが言う。どうやらあれこれ考えている間に随分時間が
経ったようだ。とうとう終わりが近いこの世界にさやかは試しにひとつ
ため息をついてみたが、やはり何も起こらない。
「首がいたい。」
と、さすって素直に体の向きを変えた。
今荒してるのはウザイ奴一覧の誰かかい?
アゲ長文コピペ荒らしかよ
トリートメントまできちんと終えてバスルームを出ると、2人の服には
だいぶ水がかかっていた。洗濯機の上にある備え付けの白い棚から、
さやかは黄色いバスタオルをなつみに一枚とりだしてやって、自分も
今朝つかった後すぐ側に掛けておいた青いタオルで体を拭いた。
「ちょっと待って。着替え持って来る。」
そう言ってさやかはバスルームを後にした。
先程なつみが引っ張り出した物の中からさやかが適当に選んだ服に
それぞれ着替えて二人はリビングに戻った。濡れたあとに冷房の
効いた部屋はなつみが寒いと言うので、クーラーを切ったさやかが
ほんの少しためらってサッシを開けると、室外の熱気と騒音が一気に
室内を満たした。ついに自分達との関わりを完全に取り戻してしまった
外界をさやかが眺めているところへ、なつみもやってきて体を暖めた。
「うるさいね。」
依然続くセミの声と工事の騒音、さらに窓を開けたことによってますます
多様になった音に、日射しの中へ腕を差し出して、なんの気なしに
なつみが言う。
「‥そうだね。」
さやかはもういちどあたりを眺めなおして返事をした。
また荒れてるのかよ…この白は本人?
前にキャップ付きも騙れるとか言ってた奴がいたけど…。
本人だとしたらちょっと…な。
個人的には嫌いじゃなかっただけに、大変遺憾に思われ。
しばらくしてソファに座り、新しく注いだ麦茶を飲むさやかに、
なつみも戻ってきて隣に腰をおろした。
「あ。また自分だけ飲んでー。なんでなっちにはいれてくれないのー?」
といってなつみは不満そうに頬を膨らます。
「だって寒いって言ってたからいいのかと思って〜。じゃ、今持って来て
あげるから。」
さやかがキッチンへと立ち上がると、
「やっぱいい。これ一緒に飲むから。」
と言ってなつみはさやかのグラスを手にとると、カランと氷を鳴らせて
一口飲んだ。
ふう。となつみが息をついてさやかを見る。
「ねー、さやかー。なっちちょっと疲れちゃった。髪切るの、
また今度にしよ?ダメ?」
「いいよ。シャンプーしてもらったし。ぜんぜんいい。なんだかんだ言って
あたしもけっこう疲れちゃった。」
そう言って準備された新聞と椅子を元に戻そうとするさやかを
なつみが止める。
「いいじゃん。そのままで。明日切ろうよ。てゆうか切りたいの。」
その言葉に動作を中断してソファに戻ると、満面の笑みを作ったさやかは
またなつみをクッションの上に押さえ込んだ。
「じゃ、今日も泊まってきなよ。」
そんなさやかになつみもわらう。
「えー。ママに怒られちゃう。」
ママ!?さやかが言いかけた瞬間、重厚なバロック音楽がTVから
盛大に鳴り響いた。どうやら野球中継が予定の時間より早く終了し、
残りの時間をうめる為のプログラムが始まったらしい。画面上の映像は
今のところ森と湖だけだが、それらは異国情緒にあふれ、一見した
だけで国外の風景とわかる。間もなくとあるヨーロッパの古城近辺
だという事がわかった。なにげなくそのまま見入っていたうちに、
ため息まじりのなつみが口を開いた。
「きれーい‥。こういう所、すごい行ってみたい。」
自分の腕の中で目を輝かせ、しきりに瞬きをしながらあれこれと
夢を話すなつみはとても可愛らしい。先程世界から完全になつみを
切り離して自分だけの存在にしたいとさやかは願ったが、ほかでもない
その世界が今なつみにこういう顔をさせている。
どうでもいいや。そう思った。
「聞いてるの!?」
さっきからあいまいな相づちしか打たないさやかの態度に気づいた
なつみが少し大きめの声で言ってさやかの腕を揺らした。
「え、うん。聞いてるよ。」
下から自分の目を覗き込むなつみに、さやかは慌てて頷いた。
「じゃあ、さやかはどこに行きたい?」
むじんとう。めずらしくしく臥せ目がちにそう答えるさやかに
なつみは少し首を捻ったが、すぐに元の表情に戻ると愉快そうに
言った。
「無人島ですか。でも、さやかってターザンとかそういうの
似合いそうね。あ〜アあ〜。とか言いそう。」
笑いながら声色をまねるなつみにさやかの頬もゆるむ。
ジェーン。ターザンの恋人の名前。本当はそう思ったがなんだか
照れくさくて言いだせなかった。
「じゃあなっちは、チーター。チーターってかんじ。」
「チーターって、あのサル?絶対ジェーンて来ると思ってたのに。」
サイテ−。と言ってケタケタ笑うなつみは楽しそうである。
−おわり−
第四話
午後11時56分。白い封筒に数枚の便せんをしまい終えた少女は、目の前
にある置き時計を止めると、おもむろに椅子を立った。各部屋に常備された
携帯用の光源をクロゼットから取り出し、もう二度と動くことのない時計
をちらりと見下ろす。そのまま今書き終えたばかりの手紙を机の上から手に
とって、早足に部屋を出た。部屋の明かりはそのまま点けておくことにした。
青みがかった照明灯にぼうっと浮かび上がる廊下を、少女はひとり
ぐんぐん進んだ。階段を通りすぎた突き当たりの部屋まで来て足を止め、
手にしていた手紙をドア下の隙間へそっと差し入れる。
完全に手紙が部屋の中へ入ってしまうと、今度は来た道を引き返し階段を
降りてホールへと出た。
誰もいない石のホールは、よく磨かれていて靴音がよく響く。
やけに大きく聞こえる自分の足音を確かめるようにホールを横切っていたが、
途中、階段正面にかけられた旧式の振り子時計が突然重たい音を響かせ始めて、
少し怖くなった少女はとうとう走り出した。
夜の森の覆い被さるような闇の中、手に持ったわずかな光源だけを
頼りに息が切れるのもかまわず走りつづける。湖の上に聳える崖の上に
立った頃には、彼女の額にわずかな汗が浮いていた。弾んだ呼吸を
整えようとランプを置いてその場に佇む。しばらくして少女はだいぶ
落ち着くと、青い月を大きく仰いでそのまま遠くへジャンプした。
斜めに射しこむ早朝の光の為すべてが白く輝くキッチンで、ひとり
圭織は信じられない程に大きい業務用のフライパンと格闘していた。
「いくらカオリに力があるってゆったって‥、こりゃちょっと重い
でしょ、さすがに‥、っと。」
ぶつぶつ文句を言いながらも3つの目玉焼きは型が良く、我ながらかなり
満足の行く出来である。
「あら。カンペキ。」
嬉しそうに言った圭織は紐を引いて勝手口に取り付けられた古い鐘を
ゴンゴン鳴らし、手早く料理を皿に移すと食堂へと運んだ。
生理中はシテも気持ち悪い
個人差あるけど、腹と腰が痛すぎて
寝たきりの日だってあるくらいだしナ
>>690 名前欄に指をあててごらん。あげ荒らしです
圭織が最後にミルク用のグラス出そうとしていたところへ、合図の鐘の音
を聞いて裕子とさやかが入ってきた。圭織の手からグラスを受け取った
裕子が言う。
「おう、かおりん。今日は上手くいったんかい。」
「カオリだってそうそういっつも失敗ばっかじゃないのよ。」
この間の当番の時に作ったオムレツで裏返すのに失敗して、卵料理なし
の朝食を二人に提供したばかりの圭織は得意満面に返したところで
ナプキンを出していなかった事を思い出し、急いでキッチンへ戻った。
荒らしてるのはにくまんだろう?
生理言われてキレやがった。
胡椒をとろうとして圭織がふと目を上げると、フォークを使ってレタスを
細かくちぎるさやかが目に入った。しばらく見つめていたが、一向に
口に運ぶ気配がない。
「ねえ。おいしくないわけ?」
カチンときた圭織が挑むように言うとさやかは慌てて一口食べて見せた。
「おいしいよ。」
あきらかに無理をして作ったとわかる笑顔で、さやかが答える。
見ると、目玉焼きには手がつけられていなかった。
「さやかが卵の黄身嫌いなの、カオリだって知ってるけどさー。
でも、カオリ、ゆいいつ上手くできるのって目玉焼きだけなんだもん。
しようがないじゃん。」
それを聞いたさやかが卵に手を出そうとするのを、更にイライラした圭織が
ますますキツい口調で遮った。
「無理矢理食べるなんて、いちばんイヤミよね。」
困ってどうしたらいいかわからなくなったさやかをかばって、見兼ねた裕子が
圭織をなだめる。
「今日さやかちょっと、体調わるいねん。」
しかし圭織は返事をしない。黙々と自分の分を口に入れていく。
「ふぅー。」
ため息をついた裕子が隣を見ると、さやかが不安そうに見つめていた。
そんなさやかを見て裕子はふっと頬をゆるめる。
「ほれ。卵こっちよこし。裕ちゃんがたべたるわ。」
陽に照らされて学校をとりまく森がさんさんと輝く午後、湖を少し
過ぎたところにある墓地で、さやかはひとり目の前にある白く小さな墓碑を
見下ろしていた。さやかは黙って何ごとかを考えるようにしていたが、
しばらく経つと一歩後ろに引き、表情の無い顔でポケットから
白い封筒を取り出した。
「関係ないから。」
冷たい視線のまま吐きすてるように言って手紙を破ると、小さな
紙片がひらひらと雪のように舞って、先程さやかが供えた白い
花束の上に積もるように落ちた。
学校に戻ろうと踵を返したところで、さやかは自分を見つめるひとつの
視線に振り返った。墓地の外から一人の少女が自分を見ている。
あれは-----------------。
「‥‥!」
驚いたさやかは一瞬動けなかったが、すぐに自分を取り戻して
フェンスを廻ると、走って彼女に近付いた。
「真希‥?生きてたの‥?」
しばらくさやかの勢いに押されて瞠目していたその少女は、ひと呼吸
置くと怪訝な顔で言う。
「は?マキ?それ、誰?私はなつみ。てゆーか、人に名前聞く前に、
自分が名乗らないっていうのはどうなの?」
不快感を露にしたなつみが聞き返す。
「ごめん。似てるの。すごく。こないだ自殺したコに‥。」
そこまで言うと、ハッとしたようにさやかは口をつぐんだ。
自殺、と聞いてなつみは驚いた顔をする。
「なに、そのマキって言う子?自殺、したの?」
「‥‥。」
はっきり語ろうとしないさやかになつみは、特に興味もなさげに聞いた。
「あなた、学校の生徒でしょ?寮はこっちでいいのよね?」
あまりにも真希に似ているなつみに呆然としているさやかは首を縦に振る
のがやっとだった。
さほど重そうでもないトランクを抱えたなつみはすたすたと歩き出したが、
さやかから10メートル程離れたところでもう一度振り返った。
「さやか。帰ってきたよ。」
確かにそう言った気がした。驚いたさやかがすでに再び歩き出している
なつみを呼び止める。
「今、なんて言ったの?」
振り返ったなつみが眉をしかめる。
「は?べつに何も言ってないけど。」
「なんであたしの名前知ってるの?」
「だって今さやかって言ってたじゃない。」
釈然としないさやかを置いて、なつみはさっさと行ってしまった。
裕子は外の日射しを避けて自室で一人本を読んでいた。解りやすい文章で
書かれたその本は読みやすく、内容も裕子にとって興味あるものだったが、
しばらく読み続けていたのでなにか冷たい物が飲みたくなった。それを
求めてキッチンへと階段を降りていると、ひとりの見知らぬ少女が階段を
上がってくる。荷物を抱えている為、まだこちらには気づいていない。
不審に思った裕子がしばらく様子を眺めていると、気配に気づいたのか
少女は顔を上げた。裕子の顔からさっと血の気がひく。
息をのんだまま見つめる裕子になつみは臆する事もなく近付いて話かける。
「転校生なんだけど。」
「名前は?」
裕子は動揺をさとられぬよう聞いた。
「なつみ。安倍なつみ。」
「あなた、真希とは‥。」
「ふう。また、真希、か。」
なつみは肩を竦めてため息をついた。
「さっきもお墓のところでさやかっていう子に会って言われた。
ここに入る前、もうひとり髪が長い子が花を摘んでたけど、その子
はなっちの顔見たら逃げちゃった。」
「ああ。さやかとカオリやわ。カオリだけ二年生なんよ。」
そこまで言って、裕子は自分のことを少し話した。
「いちおう監督生やねん、ここの。新学期に転入生が一人入るとは
聞いていたけどな。まさか休み中に来るとは思えへんかったわ。」
だめ?と不安そうな顔で聞くなつみに笑顔を見せ、さらに続ける。
「ま、なんとかなるやろ。夏休みやし開いてる部屋どこでも使ってええよ。」
そう言うと裕子は、なつみが部屋を選びやすいようにトランクを持ってやった。
さんざん迷ったあげくなつみは棟の東側に位置する日当たりのよい一人部屋を
選んだ。ずいぶん気に入ったらしく、すでにベッドに腰を下ろしてしまっている
なつみに、トランクを部屋の隅において微笑んだ裕子が問う。
「そんなに気に入ったん、この部屋。」
「うん。なんか。他の部屋より、住んでる人のにおいがしないってゆうか。」
そう答えるなつみに裕子は窓に寄ってあふれるばかりの緑を眺めた。
「ここに住んどった子なあ、こないだ亡くなったんよ。ちょうど
一ヶ月くらい前かな。」
なつみは驚いて眉をひそめた。
「それって‥。例の自殺した真希っていう子?」
「さやかがそうゆうたん?」
呟くように答える裕子は相変わらず窓の外に向かったままで、なつみから
その表情は見えなかった。
「事故や。事故。」
最近せっかくマターリスピードだったのに、
もうこのスレも終わりが近いよ
ウトゥ
一週間もしないうちに元来明るいなつみは、裕子や圭織とどんどん
打ち解けていった。殊に圭織とはよく気が合うようだ。
「早めに宿題やっとかんと、後からきっついで。」
という裕子の忠告もよそに昼食後にはきまって二人ででかけてしまった。
「ちょっと聞いてよー。今日なっちったらさー。」
夕食時、昼間の出来ごとを楽しそうに報告する二人。どうやら今日は湖でボート
を漕いだようだ。
「あれはー、絶対カオリが悪いんだってば。カオリの左手が強すぎるんだよ。
右利きなのに、絶対ヘン。」
はしゃぐ二人に笑って相槌を打ちながら、隣のさやかを裕子はチラリと
見た。やはり沈んだ顔をしている。真希が死んでからというもの沈みこむ
ことが多くなったさやかだったが、その真希とうりふたつのなつみの存在が
どうやらそれに拍車をかけている。
ある夜、昼間うたた寝をしたせいでなかなか寝つけなかった裕子は、帰省
した友人宛てに手紙を書いていた。
愛は燃えるから消えるのですか。教えて下さい。 by なかざわ
書き終えて「よし。」と頷くと、満足げに顔をあげる。
同室のさやかはすやすやと寝息を立てていた。
椅子に腰掛けたまま紅茶の入ったカップを手に、裕子はしばらくさやかの
寝顔を眺めていた。と、突然夢を見ているのか、さやかが自分の
首をおさえて唸りだした。
「マキ‥、やめてよ‥。手‥離して‥。」
いつまでたっても激しくうなされ続けているさやかに不安になった
裕子は、椅子を立ってさやかを揺り起こした。
「さやか!夢や、夢!しっかりし!」
さやかは一度険しく眉をしかめると、目を開けて辺りを見回した。額には
激しく汗をかいている。
「夢を、見ていた‥。」
自分に言いきかせているともとれる口調で呟く。
「今、何時‥?」
「3時。」
いつまでたっても真希を忘れることのないさやかに苛立ちながら、それでも
裕子は落ち着いた声で答えた。
「3時か‥。うちのおばあちゃんが言ってた。一番人が死ぬ時間なんだってさ。」
「悪趣味やで、自分。ほんま。」
裕子がため息をつくと、突然さやかの目がドアに釘付けになった。大きく
目を見開いたままのさやかが声をあげる。
「部屋の外に、誰かいる!立ってる!」
「そんなわけないやろ。こんな時間やで。」
「いるってば!絶対だれかいるよ!」
ひどく怯えるさやかに軽く舌打ちをして、裕子はドアへ向かった。
昨日は平和だったな・・・・・・・・・
「誰もおらへんやん。」
そら見たことかと呟いた裕子がドアを閉めて室内を振り返ると、
あろうことかさやかはベッドに倒れていた。意識を失ったさやかは
先程同様ひどくうなされている。
「なんやねん、自分。」
うろたえた裕子が再び起こそうとした時だった。
「マキ‥、」
と呻いたさやかは息を吸い込むと、そのまま呼吸をしなくなった。
「ちょー。さやか!さやか!」
裕子が叫んでも反応はない。
めくるめく事態のなかにありながら、裕子の判断はしかし冷静だった。
仮死状態にあるさやかが横たわったベッドにつかつかと歩み寄ると、
身をかがめてさやかの顎をもちあげ鼻を押さえる。そのまま口づけると
力を込めて息を吹き込んだ。
どのくらい続けただろうか。裕子の適切な人工呼吸によってなんとか
息を吹き返したさやかは、今は落ち着いてぐっすり眠っている。一気に緊張
が解けて床に腰を下ろした裕子は、向かいの自分のベッドに凭れて天井を
仰いでいた。
「いいかげん忘れたらええやんか。」
ぽつりとつぶやいた。
電話つながんNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!
あの時、ドアの外に確かに立っていた人物がいた。しかしさやかの
危惧した通りの真希ではなく、夜中に目を醒ました圭織だった。いつまで
たっても再び眠りがおとずれないことに対して急に不安になった圭織は、
起きだして二人の部屋を覗いてみたのだ。ドアの下から漏れる明かりに一瞬
心を弾ませた圭織だったが、同時に漏れてくる話し声に自分が入れる
雰囲気ではないと知った。
「ちぇ。カオリはいつもひとりぼっち。」
つまらなそうに呟いた。
「そうだ。なっちのとこ行〜こうっと‥。」
圭織がなつみの部屋を訪ねると、さいわいなつみも起きていた。
「ん、カオリ。どした?」
「うん。目が覚めちゃって。裕ちゃんとさやかのところにも行ったんだけど、
カオリはいつも仲間はずれだから‥。」
「そんなことないよ。」
笑って優しく迎え入れるなつみに、圭織は安心して明るい部屋へと入る。
「なっちも眠れないの?」
すっかりなつみの生活がなじんだ、以前は真希のものだった部屋を見回して
圭織が聞く。どうやらレコードを聞いていたらしく、清潔なベッドの上
にはプレーヤーにつないだヘッドフォンが伸びていた。
「うーん。ちょっと、ね。そうだ。圭織も音楽聞く?」
頷く圭織を見て、なつみはヘッドフォンのプラグを抜いた。
生きてれば ソニチに捧げる DDoS
すでになつみのベッドに寝そべっていた圭織が流れだした曲に
驚いて顔をあげる。
「ねえ!この曲、マキが好きだった曲だよ!」
そうなの?となつみは微笑んで自分も圭織の脇に腰を下ろした。
「ねーカオリ。この学校の事もっと教えて。」
そう言うとなつみは圭織にならんで、うつ伏せて枕に肘をついた。
カオリはぽつりぽつりと話しだした。自分がこの学校にいる理由。中庭の
噴水の工事。講堂にいるという妖精。そして今は静まり返っている学校が普段
はどれほど騒がしいか。
「マキは--------」
しばらくして圭織は亡くなった少女の事に触れた。
「さやかの事が好きだったの。さやかはマキに冷淡で‥。でも、それで自殺
したのかどうかはわからない。事故かもしれないし‥。」
それで?なつみは圭織に体を寄せると、やわらかく続きを促した。
「死体はまだあがってないみたい。お墓はあるけど。カオリ、マキの
ことは好きだったよ。カオリにやさしかったし‥。ううん、皆にやさし
かったよ、マキは。」
そこまで話して圭織は涙の滲む目を擦った。それは眠いのかからなのか、
それとも悲しいからなのか、圭織自身にもはっきりとはわからなかった。
「さやかは、みんなに好かれる。さやか自身は決して誰も好きになんか
ならないのに‥。たぶん、裕ちゃんもさやかが好きなんだと思う。
どーしてだろ?みーんな。さやか、さやか‥。さやかばっかり。」
そんな、さやかを、自分は‥。と言いかけたまま圭織は眠ってしまった。
なつみは横で寝息をたてる圭織にブランケットを掛けなおした。
ある日の午後。珍しくなつみは考えたい事があると自室に戻って
しまったので、時間を持て余した圭織はさやかと裕子の部屋を久しぶりに
訪れていた。最初の方こそあたりさわりのない会話を交わしていたが、
話題は自然とその場にいないなつみのこととなる。
「ねー、昨日さ、なっちが作ったごはん、めちゃめちゃおいしかったね。」
昨夜、夕食の係だったなつみがビーフシチューを作った。休みに入って
専用のコックも帰省したため、久しぶりの本格的な味に感動した圭織が
感動を思い出す。
「そういえばさ、マキも料理得意だったよね。」
無邪気に言う圭織に、裕子はさやかを気にしながら頷いた。もともと表情を
あまり表にすることはないため今も案の定平静を装っているが、真希と聞いて
さやかがひそかに苛立っていることは明確に見て取れた。それを知ってか
知らずか、圭織はさらに続ける。
「あの二人ってほんとに似てるよねー。性格はけっこう違うところが
多いけどさ。」
「せやな。なっちと違ってマキは引っ込み思案だったね。」
裕子はさやかを気遣ってなつみと真希の違いを強調した。さやかは相変わらず
無言だ。窓の景色を眺め出した為、もはやその表情を裕子が読み取ることは
できなかった。
「でもさー。見た目なんておんなじじゃん。ほんとになんにも関係ないの
かなー。こないだなんてさ、マキが好きだった曲なっちも聞いてたんだよ?」
場の雰囲気に耐えかねた裕子が話題を反らそうとしたその時。
きらびやかな古典の楽曲が大音量で棟内に響いた。
「あ!これもそう!こないだ聞いた曲じゃないけど、これもマキが好きだったヤツ!」
突然の出来ごとに目を見張るさやかと裕子をよそに、興奮の面持ちで圭織は続ける。
「やっぱマキだ。マキが帰って来たんだ!」
目を見開いていたさやかは裕子が自我を取り戻すよりも僅かに早く椅子から立ち上がると、
青ざめた顔のままドアを開けて部屋を飛び出した。
バンッ。ドアを開けてさやかはつかつかと部屋の奥まで進むと、突然の侵入者に
驚くなつみに声をかける間も与えずにレコードプレーヤーの電源を引き抜いた。
針を落としたままで回転を止められたレコードが、ぎゅるると伸びた音を立てる。
「ちょっと!何すんの!?」
あまりの事に呆然としていたなつみだったがしばらくして我に返ると、コンセントプラグ
を持ったままその場に立ち尽くすさやかに向かって行った。
憤って自分の肩を掴むなつみを、彼女より背も高く力の強いさやかは、凍った瞳のまま
軽く振払い、正面に向き合って思いきり突き飛ばした。しりもちをついた格好で
床に手をついたなつみを、尚も無表情に見下ろす。激情したなつみが顔を
あげてさやかを睨み返したところで、慌てて後を追ってきた裕子と圭織が入ってきた。
「なにやってんねん‥!さやか!」
裕子は責める視線をさやかに向けた。圭織は何も言えず黙っている。と、二人が
やって来て安心したのか、なつみの目からぽろぽろ大粒の涙が溢れ出した。突然
のさやかの行動に、絞り出すように訴える。
「なっちが何したの‥?」
しゃくりあげるなつみの声に我に返ったさやかは、しばらく下を向いていたが、
ついにいたたまれなくなって、ごめん。と吐きすてるように言うとそのまま
部屋を出て行った。
その出来事からしばらく、さやかとなつみは口を聞かなかった。そのこと
を気遣って裕子はもちろん圭織までもが妙に明るく振るまい、それがかえって
寮内の雰囲気をギクシャクさせている。そんな中気分転換にさやかは散歩に
でかけたが、何も考えずにふらふら歩いているといつしか例の崖の上に出ていた。
いや応なしに真希のことを思い出していると、いつの間にやってきたのか裕子
が現れ、何も言わずにさやかの横にならんだ。
>>698 上の方に書いてあったね、了解。
取り敢えず阿呆は震度家。
「まさか。あんたまで飛び降りるんとちゃうやろね?」
黙って首を振るさやかに、裕子は柔らかい笑顔で聞く。
「なに、かんがえてたん?」
さやかはしばらく向かいの山々を眺めていたが、やがてぽつぽつと話しだした。
「去年、学内の音楽コンクールでバイオリン弾いたんだけど」
「ああ。さやか賞とってたね。」
当然裕子が知らないはずもない。緊張のため少し顔を紅潮させながらも、精一杯
すました格好で弓を操るさやかは随分微笑ましかった。
「あのあと、あたしなんか嬉しくて。ここに来てまた一人で弾いてたの。」
「そしたら?」
「そうしたらマキがやって来て、あたしに花束をくれた。白い花。蘭だったのかな
あれ。でもその時はなんか、一人で楽しんでたから。だから、もらった花束を、ね。
湖に投げちゃった‥。マキの目の前で。」
辛いはずの内容を、さやかは無表情に一点を見つめながら淡々と語る。それが逆に
彼女のダメージを強調しているようで、とても切なく見えた。
「な、さやか。忘れなあかんで?」
ため息をついて裕子が言った。
日暮れ近くなって草むらの虫がそろそろ鳴き出した頃、辞書を置き忘れたことを
思い出したさやかは自習室まで取りに戻った。寮のある棟から少し離れた建物
にあるそこは、午前中の勉強に割り当てられた時間以外に行くことは少ない。
がらりとドアを開けて一歩中に入ると、思いがけずなつみの姿があった。さやか
はもちろん、なつみもとまどった様子で、目を丸くしてお互い一瞬見つめ合った。
すぐに気を取り直したさやかが辞書の載った机へと歩き出すと、思い切ったような
口調のなつみが話しかけてきた。
「なんでいつもそんな暗い顔してるの?」
「べつに。」
声を掛けられるとは思っていなかったさやかが内心の戸惑いを隠してことさら
ぶっきらぼうに答える。さらになつみは続けた。
「マキは‥、さやかが殺したの?」
唐突ななつみの問いにさやかは思わずカッとなる。
「ちがうよ‥!勝手に飛び降りたんだよ!」
「なんで?マキはさやかの事が好きだったんでしょう?勝手にとか言って
ちょっとひどすぎない!?」
歯に衣着せぬなつみの物言いに、ついにさやかは感情を爆発させた。
「ひどいよ?だからなに?だってあたしは全然そんなこと望んでないんだもん。
それなのに一方的に気持ちを押し付けられたって。あたしだって困るよ。
結局人の心に土足で踏み込んでんのと同じじゃん!」
激しいさやかの慟哭に気押されたかのように口をつぐんでいたなつみでは
あったが、少しすると顔を上げて言った。
「土足じゃないよ。きっと、裸足。ハダカで、だよ。」
そういうなつみの表情にはどこか俗世離れしたような、まるで聖母のような微笑み
が浮かんでいた。あまりの自分の言い種に気の強いなつみはきっと強烈な反論を
返して来る。そう思って身構えていたさやかは、思い掛けないなつみの表情に、
我を忘れてしばらく見とれてしまった。
「‥なっちわかる。みんなが似てるって言うから。なんかちょっと他人事に
思えなくなってきちゃった。」
なつみはそう言って、はにかんだように笑った。さやかの中で何かが溶けた。
数日後。明るい図書室の窓辺に置いてある、ほどよくクッションのきいたひとりがけ
のソファに座って、さやかは写真集を眺めていた。膝の上に置いた大きく立派に製本
されたその写真集には、さやかが見たこともないようなエキゾチックな花や草があふれている。
ページいっぱいに大きく印刷されたピンク色の花を見終えたところで、なんとはなしに
顔をあげた。外の景色に目を遣ると、今日も外で遊ぶなつみと圭織が見える。
どうやらバドミントンをしている様子で、手にはそれぞれ華奢なラケットを持っていた。
「じゃ、こんどはなっちのサーブ。いくよ〜。」
笑いながらどこか真剣な面持ちで構えている圭織。ポーンと上がったシャトルを
ふらふらと追い掛けたが、瞬間に目をつぶってしまったために空振りした。
自分の失敗に大笑いしながらシャトルを拾った圭織が再びサーブをあげたが、今度は
なつみが空振りする。
「うちらヘタじゃん。」
身を捩って笑う二人につられて、さやかもひそかに吹き出した。
なにあれ。
そんな二人の様子がおかしくてしばらく眺めていたところへ、向かいに座って
小説を読んでいた裕子も気づいて口を開く。
「なんやあの二人。めっちゃ下手やん。」
「うん‥。あははっ。」
ようやく圭織が返した羽をなんとか打ち返したなつみだったが、フレームにあたって
しまったために、シャトルはへろへろと地面に落ちたのだ。
つい声を出して笑ったさやかを見て、裕子は一瞬複雑な顔をしたが、
すぐに笑顔を作りなおした。
しばらく笑って様子を伺っていたが、さやかは急に昨夜の雨で外に
出しておいたスニーカーがひどく汚れてしまった事を思い出した。
「あ。靴洗わなきゃだった。」
そう言い残してさやかが図書室から去ってしまうと、裕子は無表情に立ち上がって、
開いていた窓をピシャリと閉じた。
夕食後、当番の裕子はカチャカチャと食器を洗っていた。同じく当番である圭織が
食堂から残りの皿を持って現われ、隣で自分ももう一つのスポンジに洗剤をたらす。
「ねえ、裕ちゃん。なんか最近のさやか、明るくなってない?」
ここ最近食欲が落ちていたさやかが、近頃は出される料理を全て食べるようになった。
口数も以前に比べずいぶん増え、あまつさえ今日はなつみが残したハムを皿から奪い、
いたずらっぽく笑って口に入れたのだ。圭織に言われるまでもなく、裕子にとっても
さやかの変化は明確に見て取れた。何かあったのかねー?首を捻りながらも圭織は
懸命に皿を洗う。
「そうやな‥。」
裕子は呟くように相槌を打った。
「おうい。」
そろそろ食器も洗い終り、テーブルに出された調味料の類いをそれぞれ棚や冷蔵庫に
二人が戻しているところへ、さやかとなつみが揃って顔を出した。見るとさやかは
少し大き目の紙袋を抱えている。
「ねえ。花火やろうよ。なんか、なっちがここに来る時に持ってきてたんだって。」
「きゃ。花火〜?カオリちょ〜う久しぶり。やろうやろう。」
圭織の目がキラキラ輝く。キッチンの入り口に並んで立つさやかとなつみを見て
裕子が笑いながら言った。
「ええよ。けどさやか、なっちの部屋に行ってたん?」
「そうだよ。えへへ。」
「なーんだよ。じゃカオリたちが気を遣うひつよう、もうないのね〜。」
なつみが来て以来ぴりぴりしていた空気を少しでも和らげようと自分なりに努力
していたらしい圭織が不満げに、しかし嬉しそうに言う。
「てかアンタ、気つかってたんかい。」
「え?つかってたよ〜。もう必死。」
からかわれて大袈裟にふくれて見せる圭織に3人は大いに笑った。
湖畔のボート寄せのところに場所を決めた4人はしばし、思い思いの花火
を手にとり輝く火花が飛び散る様を楽しんでいた。さまざまの華やかな
色に照らし出されたお互いの顔は、煙のせいかどことなく現実感を喪失して
見える。実際よりも遠くに感じる3人の姿を見ながら、圭織はひそかに考えた。
本人だったら、笑うなw
‥みんなと過ごすのは、今年が最後。裕ちゃんもさやかもなっちも、来年の
夏休みにはもういないんだ。3年生だしね。卒業しちゃう。もちろん新入生は
入ってくるけどさ。夏休み寮に残る子なんて、そうそういないんだろうね。
来年カオリはひとりなのかな‥。
相変わらず他の3人は煙にかすんで遠くに見える。
「淋しいですなあ。」
そう呟いて圭織はひときわ大きい打ち上げ花火の筒を手に取った。が、こんなに
大きな花火にかつて自分で点火したことはない。迷いながらもとりあえず裏面の
説明書きに目を通していると、それに気がついたさやかが近寄って話しかけた。
「なに、カオリ。それやりたいの?」
「うん‥。けど。火つけるのいまいちこわくて。」
「かしてみ。」
答えながらも目を離さずに説明を読み続ける圭織の手から、突然さやかが
花火を奪う。驚いたカオリが顔をあげると、ポケットからライターを取り出した
さやかが得意そうに微笑んでいた。
「やってあげるよ。」
カチ。いとも簡単に導火線に点火したさやかが、少し離れたところで見守って
いた圭織の脇へと急いで戻って来る。自分にならってしゃがみこむさやかに圭織は
言った。
「なんかさやか、やさしくなったね。」
「そう?」
「今までのさやかだったら、多分放っといたと思う。カオリが困ってても。」
真剣に顔を覗き込んでくる圭織にさやかは苦笑した。
「えー。あたしってそういう人だったの?カオリにとって。」
やっぱり変わったよ、なっちが来てから------。圭織がそう言おうとしたところで花火
の筒が激しい音を立てた。
「あ。上がった。」
そういって上を見上げたさやかと同じく圭織も顔を上げる。数秒後、随分
高いところまで発射された火薬の球は、パンと弾けて上空に美しい模様を描いた。
「これって、何連発?」
次の噴射を待つ間にさやかが訪ねる。
「ろくれんぱつ。」
答えて辺りを見ると、なつみと裕子も向こうから筒を見つめていた。
アゲ嵐のバカもこのスレまでにしとけよ
次の朝、朝食の鐘の音にさやかが食堂へと降りていくと、テーブルには3人分の用意
しかなかった。既に席に着いていた圭織に理由を訪ねると、どうやらなつみの家族に
不幸があったらしい。家に戻ったようだった。
「お母さん、亡くなったらしいで。」
当番の裕子が神妙な面持ちで料理を運んできた。
「昨日連絡があって、うちのとこまで言いにきたんよ。とりあえず帰るって。
さやかは寝とったから、起こさんかったけどな。」
「ねえ、なっちのお父さんて、何してる人?」
成りゆき上食卓はなつみの家族の話題になり、圭織がミルクをのみながら聞いた。
「や。なんでもな、お父さんもずいぶん前に亡くなってるらしいんやんか。」
「兄弟は?」
監督生であるためなつみの家族に対する書類を読んでいた裕子に、圭織はさらに
聞いた。
「ひとりっこやて。ほんま、かわいそうや。」
うーん。と圭織が俯くと、急にさやかが立ち上がった。
「あたし、行ってくる。いくらなっちが明るい子だからって、ひとりはちょっと
辛すぎるよ。裕ちゃん、住所知ってるよね。教えて。」
「あー。ええよ。けど、とりあえず朝食食べてからにし。」
電話掛けたよ。
俺「PSOver2の発売日は5月31日ですよね?」
女「公式BBSご覧になったんですか?」
俺「そうですが・・・」
女「ネタにマジレスカコワルイ」
俺「・・・(;´Д`)」
「ほんとに行くん?もしかしたら迷惑かもしれへんで?」
しぶる裕子から強引になつみの実家を聞き出して、準備もそこそこに
さやかが寮を出てから、かなり時間が経っていた。
「もうそろそろ着く頃やろか。」
随分傾いた陽をみながら、誰にともなく裕子は呟く。読みかけていた
本は内容がまったく頭に入らず、とうに諦めていた。
「あたし、また負けるんかなー。」
誰にも動かせなかったさやかの気持ちは今、はっきりとなつみに傾いている。
自嘲ぎみに笑って、膝の上に置かれたままの本を閉じた。
なんできづかへんねん。さやか。なっちはマキやで。
汽車にのったさやかがなつみの実家に辿り着いたのは、すでに日が暮れ
あたりが暗くなり出した頃だった。掛けられた表札と手に持ったメモを
確かめて、ドアをとんとん叩く。しばらく待つと想像していたよりも
いくらか平気そうな顔をしたなつみが、それでも目を赤くして現われた。
「さやか‥。どうしたの?」
「うん。なんかなっち一人ぼっちだって聞いたから‥。いろいろ辛いかと思って‥。」
ありがとう‥。そう呟いてなつみはさやかを中へ通した。
された部屋はずいぶんガランとしていた。側面の棚にはさまざまな種類の油絵の具が
ならび、部屋の中央には大きいイーゼルがひとつ。ひとめで画家のアトリエとわかる。
「なっちのお母さん、アーティストだったの?」
「うん‥。まあね。なっちの絵もあるんだよ。見る?」
さやかが頷くと、なつみは自室へ案内した。
「すごい‥。いっぱいある。」
学院に来る前に使っていたであろうなつみの寝室には、ルノワール風に描かれた
なつみの肖像が数枚、それぞれ品の良い額に納められ飾ってあった。
「いちばん多いのは、やっぱりお父さんの絵なんだけど。なっちのもいっぱい
描いてくれたんだよ。」
そう言って少し悲しそうに笑うなつみ。さやかはなつみの母に対する愛をみとめて
胸が苦しくなった。身内の死をまだ知らないさやかにとって、このような際に
果たしてどのような言葉をかけるべきかなのかわからない。ただ、涙だけが
流れた。
「なんでさやかが泣くの?」
そう訊ねるなつみの目からも涙がこぼれていた。
「わからない。」
そう答えたさやかはなつみに近付いて震える華奢な手をぎゅっと握りしめた。
まーったく次から次へと騒動が絶えませんな。
しばらくして、ベッドに腰を下ろしたさやかになつみが紅茶をいれて運んできた。
「無表情なさやかが泣くなんて、ね。」
そう言ってカップを手渡すなつみに、さやかは恥ずかしくなって下を向いた。
「だって、なんか。なっちが可哀相になったんだもん。なんなんだろ。こないだ
カオリにも言われたよ。変わったって。そんなに冷血っぽかった?あたし。」
冷血、と言う言葉に苦笑しながらなつみが答える。
「冷血、っていうか。殻に閉じこもってるかんじがしたよ。まだ会ったばっかりだから、
前のことはなっち知らないけど。忘れてないもん。いきなりなっちの部屋に入って来て、
レコード止めた時の事。」
狂気じみたあの日の行動に言及されたさやかが赤くなって下を向くと、なつみは頬をゆるめて
さやかの顔を覗き込んだ。
「うそ。もう気にしてないよ。最近さやか本当にやさしくなったし。」
なつみを慰めに来たはずが、いつの間にか自分の方が慰められている。そのことに
気づいたさやかが慌てて言った。
「ごめん。これじゃ、逆だね。何しに来たんだろ、あたし。」
「いいの。そのほうが気がまぎれるってゆうか。だからもっと話して。」
そういって自分の肩にあたまを乗せるなつみにさやかは少し緊張したが、少しでも
なつみの気持ちが紛れるのなら、とぽつりぽつりと話し出した。
なっちの事、悪いけど初めはほんとうに嫌だった。マキにそっくりなんだもん。どうしたって
やっぱり思い出さずにはいられないし。マキの気持ち、はっきり言ってあたしにはちょっと重かった。
マキは、大人しかったけど、けっこうみんなから人気があったんだよ。実際いいこだったし。
そんなマキが、どうしてあたしなんかを好きになったのか不思議。わからない。なんであたし
なんだろう。って思った。だいたいあたし自身でも、自分の事あんまり好きじゃなかったのに。
それなのにマキの視線はまっすぐで純粋で。それがなんだか辛くって、マキにあんなに冷たく
しちゃったんだと思う。マキのことが嫌いだったんじゃない。純粋なマキに似合わない
自分が嫌いだったんだよ。今思えば。
随分話した。そう思って覗くと、いつの間にかなつみはすやすや寝息を立てていた。
どのくらい時が経ったのだろうか。窓の外にはきらきら星が輝いているのが見えた。
「聞いちゃいねえ。」
さやかはフッと笑うとなつみをベッドに寝かしつけた後、自分もブランケットを一枚拝借し、
アトリエへと戻ってソファに横になった。
聞いていなかったにしろ、なつみが眠りに落ちたことは良いことだ。眠っている間は、
悲しいことを考えずに済むだろう。自分も眠ればマキを思い出さずに済むかな。てゆうか
最近けっこう平気になってきたみたい。
そうこう考えているうちにいつの間にか自分も眠りに落ちていた。
翌日の正午近く、二人が揃って寮に戻ると木漏れ日の下に腰を下ろして
小説を読む裕子がいた。昨夜はあまり眠れなかったのか、多少目を赤く
腫らしている。ただいま。二人が声をかけると裕子は顔をあげ、少し疲れた
ように笑った。
「おかえり。そろそろ帰ってくると思って、ここでこうして待っとったんよ。
なっち、大丈夫?」
「うん。だいぶ平気。さやかが来てくれて本当に助かったよ。」
なつみの言葉に照れた顔をして笑うさやか。とうとう二人は自分達だけの
世界を持ってしまった。それを認めた裕子の笑顔は普段に比べほんの
少しだけ歪んでいたのだが、それは本当に微々たるものであったため二人が
気づく事はなかった。
笑顔のままの裕子が急に立ち上がる。
「こんなところで話もなんやから。中入ろ?」
そう言うとなつみの荷物を持ち、おどけた素振りでさやかに言う。
「さやかは自分で持ち。」
そうして裕子は2人に先立ち寮の中へと入っていった。
「話があるんよ。ちょっとそこまで付き合えへん?」
そう言った裕子がなつみを散歩に連れ出したのは、二人が帰ってきてしばらく
経った頃のことだ。すぐに快諾したなつみは裕子に連れ立って随分と
歩いていたが、「話がある」と言ったはずの彼女は、一向にそれらしい事を
話し始める様子がない。不思議に思ってあれこれ訊ねたが、当の裕子はいつも
どおりに微笑むばかりで何も答えなかった。
そうして森の中をめちゃくちゃに歩きまわっていると、いつしか二人はあの
崖の上に出ていた。
「ふう。随分歩いたなあ。」
明るい日射しの中振り返った裕子の笑顔はまるで、いつか見た白い天使のよう
であった。湖の向こうをふちどるように見える周囲の山々は、晩夏にあってその緑
をいっそう色濃くし、薄めの雲を2、3浮かべる空は今日も飽くまで青い。
やけにすっきりした裕子の笑顔になつみもあいまいな笑顔をつくると、遠くの
上空をとんびが横切るのが見えた。
「なあ、なっち。死んで欲しいんやんか。」
相変わらずの笑顔のままで裕子が言う。なつみはその言葉の意味をすぐには
飲み込めなかった。
「え‥?」
「いなくなって欲しいんよ。世界から。あんたマキやろ?いいかげん
うっとうしいねん。そこから飛び降り。」
「何‥言ってるの、裕ちゃん?なっちはなっちだよ‥?」
ようやく裕子の言葉を理解したなつみは、それでも笑顔を無理矢理つくって
裕子の言葉をキツイ冗談として受け流そうとした。しかし裕子の表情に先程
までの笑顔はない。
「いいや。あんたはマキや。あたしは騙されへんで。マキのおかんも
死んどるんよ。そのもともと誰もいない家に、こないだだって帰ったんやろ?
さやかが追ってくる事をあらかじめ予想してな。」
「な‥、ち、ちがうよ。なっちは、」
裕子は崖を背にしたなつみに言いながら少しずつ近付く。恐怖を感じたなつみ
が懸命に訴えようとしたが、裕子はそれを遮った。
「なっち。いや、マキか?あんたは死んだ。そして生き返った。今度こそ
さやかの心をつかむために、今度は明るい『なつみ』になってな。
完敗やで、ほんま。見事にさやかの心を奪ったもんやね。」
延期かあ・・・。
迷っていたけど、綾波育成を買ってくることにした
反論しかけるなつみを抑え、裕子はさらに続ける。
「マキにはほんまムカついたわ。もう必死やで。大人しいくせにあの女、
いっつもさやかの視界に入るように行動するんよ。少しでもさやかに見つめて
もらえるようにな。そんなマキがやっと死んでくれてせいせいしとったところに
あんたが来た。ほんとならさやかはあのまま、うちだけにすがるようになる
はずやったのに‥。ほんまウザいねん、消えろ。」
一歩一歩ゆっくりとなつみににじり寄る裕子。見ると崖の淵は自分の足元のすぐ
後ろだった。そんな中なつみは必死に抵抗する。
「裕ちゃん‥、おかしいよ。そんなこと言うなんて。」
「おかしい‥? そうかもな。」
裕子の顔には嘲笑が浮かんでいる。果たしてそれは自分に向けられたもの
なのか、それとも裕子自身に向けられたものなのか、なつみにははっきりと
わからなかった。
「‥狂ってる!裕ちゃんはさやかを好きだって言ってるけど、ほんとはただ
自分の物にしたいだけじゃない!すがるとかすがらないとか‥!裕ちゃんは
さやかをオリに閉じ込めたいだけなのよ!」
なつみの言葉に裕子が笑って答えた。
「‥そうや?悪いか?」
また一歩、裕子はなつみに近付いた。
「2人とも‥、何やってんの!!」
と、突然しげみの小径をかき分け、さやかが現われた。
「下でカオリと遊んでいたら、2人が見えたから‥。危ないよ!なんなの?」
ここまで駆けてきたのか、さやかは息を切らしている。激しく息をつきながら
裕子に不審な目を向けた。崖の上に立つ3人の間に緊張した空気が流れた。
しばらくして裕子が観念した様子でため息をつく。
「今あんたが現れるとはな‥。ふ、なっちに聞き。あたしには運の神様も
味方してくれんねんね。」
裕子はそう言い残すと目を合わせないようにさやかの脇をすりぬけ、
森の中へと消えていった。
「どうしたの‥、一体?」
さやかは呆然と立ち尽くすなつみの体を支え、とりあえず地面に腰掛けさせてやっ
てから聞いた。しばらく下を向いていたなつみだったが、突然顔を上げてさやかの
目をじっと見つめる。
「ねえ。さやかはなっちの事‥、好き?」
「え‥?」
突然の問いにさやかはどきどきして思わず視線を泳がせた。どうしていいか
わからず、あらぬ方向を向いた首になつみが白い腕を伸ばす。
「ねえ‥。」
返事を待たずになつみはさやかの胸元に顔を埋めた。自分の腕の中にすっぽり
おさまったなつみの体は、なぜだかひどく体温が高く、その髪からはなにやら
熟し切った花びらのようなやけに甘い香りがする。いいにおい。そんな状況の
なか、さやかは素直にコクンと頷いた。
そのまま時が流れたが、しばらくしてもはや思考を飛ばしていたさやかに腕の
中のなつみが顔をあげずに囁いた。
「さやか、なっちはね‥、マキだよ。」
「‥‥。」
突然のなつみの告白に驚かなかったわけではない。しかし、さやかは何も
答えなかった。顔を伏せたままで話すなつみの言葉を遠くの山々を見つめ
ながら、ただ聞いていた。
「なっちがまだマキだった頃、さやかはすごく冷たかった。誰も愛してなんか
やらない。そんな態度で私に接してたね。だから、飛び降りて、死んだの。
私のこと、一生忘れさせないように。でも、やっぱり悔しくて‥。だから戻って
来た。今度は絶対振り向かせようと思って。」
「ねえ、知ってる?」
ゆっくりと顔をあげたなつみの目は胸の中にずっと伏せられていたせいか幾分
熱を帯び、しっとりと潤んでとても美しかった。
「少女の時間はいちばん素敵なんだよ‥。ねえ、一緒に死のうよ。それで
また生まれ変わろう?今のままでさ‥。そしたらまた死んで‥、また
生まれ変わるの。そうやってずーっと、2人で一緒にいるの。永遠に、
少女のままで‥。」
なつみは口を動かしているものの、その声はまるで遠く空の上から響いている
ように聞こえ、熱っぽい視線とともにまるでなにかに包み込まれているようだ。
と、さやかは遠くなった意識の彼方でかすかに考えた。なつみだろうとマキ
だろうといい。自分はただこの少女を愛している。
このまま2人、永遠にいられるのなら‥。
さやかはうつろだがかすかに意志を秘めた瞳でなつみを見つめた。
「いいよ‥。一緒に‥、死ぬよ。」
なつみは再びさやかの胸に顔を戻していて、さやかからは表情が伺えない。体温を
感じながらさやかはその体をやさしく抱きしめ、まるで全てを誓うかのように
しなやかでやわらかいなつみの髪にキスを落とした。
「ちゃんと口に、して。」
顔をあげてそう言うなつみの表情は嬉しそうではあるものの、どことなく憂い
を帯び、かすかに涙のにじむ目許は比べるものが見当たらない程に美しい。顎を
あげて目を閉じたなつみに、さやかはまるで何かに吸い込まれるかのように顔を
近付けた。
マキ、なつみ、さやか。そしてあの崖-----------。混乱した思考にまかせ森の中を
歩き回っていた裕子はひどい胸騒ぎに襲われて、やみくもに動かしていた足を
止めた。
「まさか‥!」
頭から離れなくなった激しい不安感にすぐさま体の向きを転換し、断崖への道
を駆けた。途中、そこかしこから伸びる枝が手足を擦り小さな傷をいくつか
つけたが、それらにかまっているヒマはなかった。裕子は自分の不吉な想像を
打ち消すべく、先程の気まずさも忘れて無我夢中に走り続けた。
夏かね?
出るのは…。
崖の上へと引き返した裕子の目に映ったものは、互いに手を取り合い
淵に望むさやかとなつみの後ろ姿であった。
「‥‥!」
立ち尽くし息をのむ裕子の気配に感づいた2人がゆっくりと振り返る。
なつみは挑むような微笑を浮かべていた。
「裕ちゃん。正解。なっちはマキだよ。望み通り死んであげる。でも
一人じゃイヤ。さやかも連れていくよ。」
「待っ‥!」
言うが早いかなつみはさやかの腕を引き、裕子の言葉を待たずに湖へと飛び降りて
しまった。
なんて事---------!
「あたしが望んだ結末は、こんなんちゃうで!」
一瞬目を見張った裕子だったが、すぐさま自分を奮い立たせるようにそう叫ぶと、
先ほどから未だ治まっていない呼吸のまま全力でボート置き場へと向かった。
一面にうす青い湖の水中で、さやかは何もわからないままただ必死にもがいた。
ごぼごぼと音を立てた水が口といわず鼻といわず大量に自分の肺へと流れ込んで
来る。夢中で目を開くと、自分の体に絡み付くなつみの白い肘が目に入った。
酸素が足りないために、こめかみがガンガンと音を立てているようだ。
もうどうでも良かった。ただこの苦しみから一刻も早く抜け出したかった。
(苦しい‥!誰か‥。)
最後にひと振り腕をおおきく動かすと、さやかの意識はそこで途切れた。
ジリジリと鳴くセミの声が煩くて目を醒ますと、さやかはひどく明るい部屋の
ベッドに寝かされていた。ぼんやりする意識のままで辺りを見回すと、どうやら
寮の自室のようで、脇には椅子に腰掛けて心配そうに覗きこむ圭織がいた。
「裕ちゃん、さやかが気がついた!」
裕子は何ごとかを祈るような格好で机に肘をつきその上に自分の額をのせていたが、
圭織の声にはっと振り向き2人の方に向かって来た。
「さやか‥!」
裕子は喉をつまらせながらさやかの手を握る。自分は‥、死ななかったのか。
なっちは‥?そこまで考えたところでさやかは再び眠りの闇に落ちた。
日暮れ近くの風が少し冷たくなって、そろそろ秋を思い出させる頃、さやかと裕子
と圭織は湖畔の砂利にこしかけ、沈み行く太陽がひときわ赤く大地を照らす
壮大な夕焼けを眺めていた。激しかった蝉の鳴き声は以前の勢いを失い、かわりに
目立つようになったひぐらしの声が夏の終りを告げている。それぞれ思う事があり
だまりこんでいた3人だったが、ひとり離れて座り山間の大きく赤い夕日をじっと
眺めていたさやかが誰にともなく語り出した。
「昔、まだ学校に入る前に、こんな夕焼けを見たことがある。すごく綺麗で、
すごく感動したんだけど、その感動を伝えたくても、話せる人が誰もいなかったの。
それが悲しくて、あたし、その場で一人で泣いちゃったよ。なんだかすごく、自分が
ひとりってかんじがしてさ‥。」
2人が崖から飛び降りたあの日。急いでボート置き場へと走った裕子はもとから
その場にいた圭織に指示を出し、無我夢中でボートを出した。崖下でまだ波状の紋を
浮かばせている湖面を見回し、2人の姿が水面のどこにも見つけられないことを
見て取ると、不安そうに目を潤ます圭織を残してひとり湖水に飛び込んだのだ。
水中で痛む目をそれでもしっかり見開いてしばらく探していると、ぼんやりとした
水影の向こうに、漂うさやかの姿が見えた。急いでそこまで泳ぎ寄り、さやかを
抱えるとひとまず水上に顔を出して圭織に合図しボートを寄せさせた。意識を失って
いたさやかを圭織にまかせ、すぐになつみを探しに戻ったが、どれだけ泳ぎ
まわっても、とうとうなつみの姿を見つけることは出来なかった。
>>749 うん、オレはバカレイホー大好きだから信じてるよ
「さやかしか‥、助けることができなかってん‥。ほんまや。
なっち、許して‥。」
そういって嗚咽を漏らす裕子の肩を、圭織が沈痛な面持ちでぎゅっと抱きしめた。
その日3人は、炎のように辺りを朱く染め上げる夕陽をいつまでもいつまでも
見つめた。
夏休みも終わりに近いある日、圭織はひとり寮の前庭で花を摘んでいた。
あの事件が起こってからというもの、さやかはともかく裕子までが沈みこむこと
が多くなったので、暗くなりがちな食卓を少しでも華やかに飾り付けようと思った。
黄色、白、たくさんの花を摘んだ。これでもう少しピンクの花が入ればすごく
きれいだ。そう思った圭織がピンク色の花を探して腰を伸ばすと、向こうから
大きなトランクを抱えた少女が微笑みながらやってくる。おかっぱで愛らしい
顔つきの少女は確かに見覚えがあり、ある面影をはっきり認めた圭織は
嬉しそうに笑って、もはや逃げ出すこともなかった。
コピペやめとけ。今それどこじゃねーんだ。
「あなたは、なっち?それともマキ?」
少女は清純そうにきれいに整った白い歯を見せ、鮮やかに微笑むと、花束を抱えて
少しはにかむように自分を見つめる圭織に言う。
「どっちでもないの。でも、2人とも良く知っているわ。」
少女の荷物を持ち、圭織が寮へと案内する。階段のところで、小説を読んでいた
はずの裕子に会った。
「おう、おかえり。待っとったで。」
喉が渇いたのか、キッチンへと向かう途中だったらしい。そう言って笑う裕子の
笑顔は、本当に穏やかで嬉しそうなものだった。
−おわり−
第五話
ぎしぎし車体を軋ませて、ゆっくりと山を上る登山鉄道を降りた時、夏で長いはずの
日射しは既にまわりを囲む、より高い山々の向こうに隠れていた。2人が新宿を
出たのは午前のまだ早いうち。しかしついでに行きたいとなつみが言ったので
かなり遠回りにはなるが、途中鎌倉にも寄ってきた。見回すと降り立った
駅の周辺は観光地から遠いため人通りが少なく、バスは一向に来る気配を
見せない。さやかが時刻表を確かめると、次の発車まで一時間以上も間があった。
「ねー、なっち。もうタクろうよ。あたし疲れた。」
「うーん。そうする?」
タクシー乗り場には観光客の到着ラッシュをとうに終えた運転手が数人、
いかにも暇そうにタバコをふかしていた。デジタルな時計表示は6時48分。
少し渋めの顔をしたなつみの同意を得ると、さっそくさやかは彼等のところに走った。
「おう、おじょうちゃん。こんな時間じゃバスはなかなか来ねえだろ。
どこまで行くの?」
「えっと‥、」
さやかが目的地を告げると、一人の運転手があおあおと濃い髭の剃り後
を撫でながら、人の良さそうな声で言った。
「うーん。ちょっとそこは遠いなあ。5千円くらいかかっちゃうぜ。」
相変わらず髭をゾリゾリしながら運転手は上を向いて何事か考えているようだったが、
すぐにさやかに向き直るとニヤリと笑った。
「まあ、いいか。3千500円にまけてやるよ。お嬢ちゃんかわいいからなあ。」
それを聞いて、それまで不安気な様子だったさやかが、俄然目を輝かせる。
「ほんと?いいの?ありがとう。もう一人いるの。今呼んでくる。」
そう言うとさやかはなつみの元へ急いで戻り、運転手は車に乗り込んでエンジン
をかけた。
俺はまだ信じないぞ。
5/31はみんなでサカーやるんだ!だ!だ!
何度もカーブを繰り返しつつすっかり夜の色が濃くなった山道を進む車内で
さやかが運転手に訪ねる。
「ねえおじさん。箱根って何がおいしいの?」
「あー、ソバだね。」
慣れた調子でハンドルを切る運転手はミラー越しに笑いながら、どこか
誇らし気に答えた。
「ふうん。ソバなんだー。知らなかったね。」
ねー。覗き込むとなつみも真剣な面持ちで頷く。
「どっかおいしいお店とかってあるの?」
「どこで食べてもおいしいよ。でも、おじさんがよく行くのは、アレだな。
芦ノ湖のフェリーをおりた所にあるやつ。」
「芦ノ湖の、向こう側?」
興味深そうにしていたなつみが、少し体を前に乗り出した。
「そう。お嬢ちゃん達も行きな。安くてうまいぜ。」
店の名前を聞きだして、あれこれ楽しそうに言葉を交わすさやかとなつみに
運転手が顔を緩ませた。
「なに?2人は高校生?かわいいねえ。学校のお友達かなんか?」
「ええ。まあ。」
タクシーに乗り込んでからずっと、2人は手をつないだままだ。
膝に置いた荷物の影になって運転手からそれは見えない。一瞬自分の目を見た
さやかが、急に丁寧な言葉遣いで答えているのがおかしくて、なつみは思わず
吹き出しかけた。
なあに?という表情で片眉を上げたさやかが、かばんの下でつないだ手にぎゅっと
力を込めてくる。なつみは耐え切れない笑いを隠そうと先程から窓に顔を向けて
いたが、そしらぬふりのままで自分も負けじと握り返した。
「ほら。ついたよ。ここだろ?」
最後に随分急な坂を上って着いたところは、こぎれいな洋風のホテルだった。
「おじさん、ありがとね。」
笑顔で礼を言うと、開いた窓越しに片手を振ってみせた運転手は旅館の車寄せ
を出ていった。
今日もTEAM面白かったでつ
まじで延期なのか・・・
コピペに埋もれて見逃すとこだった
ホテルの玄関をくぐりながらなつみが口を開く。
「きれいなとこだねー。みんなに感謝しなくちゃ。」
「うん。」
「ほんと。さやかのぶんも出してもらってねー。」
「う〜ん。ほんと。みんな、アリガトウ☆」
品良く調度されたロビーをフロントへと向かう途中、大袈裟な表情でさやかが
感謝をあらわす。
「そのぶんもなっちだけにつかってくれたら、なっちもっと良かったのに。」
呟いたなつみをさやかがふざけて睨むと、なつみは笑いながらあらぬ方向をむいて見せた。
「ナカザワで、予約してあるんですけど。」
カウンターに寄って、フロントにさやかが話し掛ける。
「はい。承っております。」
カウンターの中には揃いのベストを着けたフロント職員が男女各ひとりずつ勤務
していて、静かな笑みをたたえた彼等はそのどちらも感じが良い。
「では、お部屋のほうにご案内いたします。」
キーを持った男性職員が2人の荷物を持って歩き出した。
職員の後に続いて部屋に向かう途中、さやかはやけに緊張していた。
なんでだろう。なっちとはいつも一緒にいるのに。旅行おそるべし。
そう思ってなつみの顔をちらりと伺うと、なつみは普段と特に変わらぬように見えた。
あたしだけかな。そう思って視線を戻すと、にこやかな顔の係員が足を止めて
振り返った。
「こちら、723号室になります。」
ドアを開けた係員は手早い調子で部屋の明かりをつけ、適当な場所に2人の荷物
を置く。
2人きりの空間。しかもいつもとは違う場所。部屋に入ったことでそれを鮮明に
実感したさやかは更に胸を高鳴らせた。
「それでは。お食事の方は食堂に準備が整っておりますので。できましたら
お早めにお願い致します。」
そう言って入り口近くの小さなテーブルにキーを置くと係員は出ていった。
パタン。ドアが閉まる。
部屋はなかなか広い。クイーンサイズのベッドが2つ。窓際には藤の椅子が2つと
それに組んだテーブルがひとつ。それ程明るくない照明の中、ぼんやりと照らし出される
部屋を、先程から続く気恥ずかしさを隠すようにさやかはうろうろと歩き回った。
まあマジだろうな。
電話かけたって奴が結構いるし。
用はないがなんとなく開けてみたバスルームから視線を部屋に戻すと、なつみは
ベッドに腰を下ろしていた。なぜか熱心にホテルの案内に目を通すなつみはわずかに
顔を伏せていて、その長いまつげが影をつくる様子はとても美しい。さやかが思わず
見とれていると、気づいたなつみが顔をあげた。
「さやか。」
ぼんやりとした明かりのなか、微笑んだなつみが自分の名を呼ぶ。部屋に入ってから
なぜか理由もなく遠くにかんじていた彼女に自分が近付くことを許されたような、そんな
気持ちにさやかはなった。
嬉しい気持ちとは裏腹に、どこか拗ねたような調子でなつみへと歩き出すさやか。
ベッドに座るなつみの前にやってきても尚、視線を合わせられず下を向いていた。
「どうしたの?」
いつもとは違う様子に、座ったままなつみはさやかの手を取り、笑いながら顔を覗きこむ。
「うん‥。ちょっと‥。」
口籠るさやかの両手をなつみは軽く揺さぶった。
「なーに?」
思わず上げた視線がなつみの目と合わさって、あわてたさやかはすぐに視線を逸らし、
顔を横に向ける。数秒おいて、とうとう観念したようにさやかが口を開いた。
「だってさー。なっち今日すっごいかわいーんだもん!なんかどきどきする!」
怒ったようになぜか早口でまくしたてたさやかは、それだけ言うと照れ隠しに口
を尖らせた。そんな様子がなつみにはとても可愛く思える。
「ちょっとー。こっち向きなよー。」
なつみが再びさやかの手を揺らすと、さやかはやっと顔を戻した。照れたような
その顔には、それでも満面の笑みが広がっている。
「えへへ。」
そう言ってさやかはなつみに抱きつき、押し倒した。キスをした後なつみがゆっくり
目をあけると、ばつの悪いように笑うさやかの顔があった。
「だってさ。ほんとかわいいよ、今日。だいすき。」
「なっちはいつもと同じだよ?いつもかわいいもん。」
腕の中のなつみがわざとふざけて言っているのは、さやかにもわかっていた。しかし今は
なぜだか何も言う気にならなかった。ただ微笑んで、そうだね。と応えた。
いつもと違うさやかの受け答えに、調子がくるったなつみは声をあげる。
「ちょっとー、なあにー?つっこんでよー!」
「やーだよー。はずかしがれ。なっちばーか。」
ひどーい。言いながらも笑うなつみの首筋に、さやかは唇をよせる。
思わず行為に熱中しそうになったさやかが、服の中に手を入れてきたところで、
なつみはそれを懸命に遮った。
「ん‥。ダメ‥だよ。さやか。食事、に‥、行かなくちゃ。」
「そうだった‥。」
ため息をついて行為を中断したものの、さやかは尚も名残り惜しそうになつみ
を抱きしめている。
「続きは、またあとで。」
笑って言うなつみに軽くキスをすると、さやかはその目を見つめた。
「言っとく。寝かさないよ。悪いけど。」
「やだー。なっちはねるもん。」
さやかは体を離すと、軽く受け流すなつみを大事そうに抱き起こした。
俺はまだ信じないぞ。
5/31はみんなで「鯖つながんねぇよ」と叫ぶんだ!だ!だ!
翌日。
「ん‥。」
カーテンから漏れる朝日の中、鳥のさえずりで目を覚ましたなつみは、脇で
すやすやと眠るさやかを残し一人ベッドを起き出した。備え付けの冷蔵庫から
水のボトルを取り出し、のどの渇きを癒すべく良く冷えた軟水を一口ふくむ。
コク、とのどを鳴らしてふとベッドのさやかに目をやってみたが、俯せて顔を
こちらにむけたまま健やかな寝息をくり返すさやかは、依然目を開ける様子が
なかった。
「ふふふ、すっごい寝癖。ボッサボサ。」
あまりに無邪気なさやかの寝顔に少し微笑んだなつみは、まだ多少ぼんやり
する自分の意識をしっかり覚醒させようとバスルームに入った。
「今日はどこに行こうかな‥。」
熱めの湯を全身に浴びながら、なつみは考えを巡らせる。
「とりあえず、お昼は例のソバ屋でしょ?だから、湖渡らなきゃだから、あの
フェリー乗って‥。あ、気をつけなきゃ。フェリー乗ってる時。さやかの事
だから絶対やってくる。ほんと気をつけよう。やだもん、人が見てる前で
タイタニックのまねとか‥。こわいよう。あ!そう言えばフェリー降りた所に
美術館あるってパンフレットに書いてあったね。ジュエリー展やってるみたい
だし。よし、キマリ。そこ行こう。ちょっと楽しみだわ。そうとなったら早く
さやか起こそうっと。」
思いついて急に楽しくなったなつみは、急いでバスルームを出るとさやかの
眠るベッドへ近付いた。先程同様、さやかは依然規則正しい寝息をくり返している。
「さやか。起きて。」
聞き慣れたなつみの声に目を開けたさやかは、しばらくの間目をしばたかせて
いたが、やがて意識がはっきりしだしたのか大きく伸びをしてから深い息を
吐き出した。
「ん‥。なっち。早いね‥。もう、起きたの?」
さやかはいかにも眠そうに顔を手でしきりに擦っている。その子供のような
仕種に表情を緩ませたなつみは、ベッドに腰をおろすと寝癖で立ち上がった
さやかの前髪の中に優しく指を埋めた。
「うん。はやくごはん食べて出かけようよ。」
「うーん‥。まだ眠いよう。もうちょっと‥。」
そう言って横を向いてしまったさやかに、なつみが覆いかぶさる。
「だーめ。一日は短いの!ね?早く起きよう?」
せかすなつみから逃れるべくしばらく布団の中に隠れていたさやかだったが、
やがて観念したように顔をだすとなつみの身体に腕をまわした。
「わーかったよ。じゃあ、キスして。キスしてくれたら起きる。」
「もう‥。」
不満な口調と裏腹に微笑んだなつみがくちづけると、満足げな表情でさやかは
なつみを抱きしめる腕に力を入れた。
「なに?なんかなっちいい匂いするよ。かわいいね。」
「だってさやかが寝てる間になっちシャワー浴びちゃったもん。さやかも早く
支度しようよー。一回きりの青春でしょ。オーイエー?」
一向に起きる様子を見せないさやかがもう一度キスをしようとしたが、なつみ
が笑顔で遮った。
「おう。いえ〜。」
少し拗ねたように言ったさやかは大袈裟にため息をついて立ち上がり、
しぶしぶとバスルームへ向かう。それを嬉しそうに見送ったなつみは、自分も
立ち上がって備え付けのクローゼットから白いワンピースを出した。
バズーカ山寺、出ませんでした。(;´Д`)
余談ですが、馬ライフル加工しまちた。
っていうか何じゃこの攻撃力は!!!11!1!(;´Д`)
朝食を軽く済ませた2人は、足早にホテルを出た。途中キーを預けに寄った
フロントには、昨日とは違う職員が同じく2人いたが、よほど行き届いた
ホテルなのか、そのどちらもまたかんじが良かった。
長い坂道をバス停まで下る途中、随分張り切っているのかなつみはさやかの
3、4メートル先を弾むような足取りで歩いてゆく。それを見ながらついて
ゆく格好になっていたさやかが突然口を開いた。
「うーん。やっぱさー、」
「ん?」
振り返ったなつみの手には、白く可憐な花が一輪握られている。道中大きな
別荘の石垣の隙間に群生していたもので、その中から一つさやかが失敬して
やったのだ。
「やっぱいいわ、そのワンピース。超高原てかんじ。すごいかわいい。」
その言葉に、はにかんだような笑みをこぼしたなつみは、答える代わりに
花を持っていない方の手のひらをさやかに向かって差し出した。
「急ごう?」
「うん。」
朝靄のためぼんやりと霞み、むせかえるほどに強い森林の薫りのなか、2人は
やんわりと手をつないで歩いた。
湖の向こう側の美術館。催しを見終えた2人が外に出ると、太陽はそろそろ
真上にきていた。朝食を急いで軽く済ませたため程よく空腹になっていた2人
は、昨日タクシー運転手から聞いた例のソバ屋を目指す。日射しの遮られた
館内から急に外に出たため、まだそれに順応しきれていない両目がかすかに
痛んだ。それにしても----------、なつみと歩くさやかは白く舗装された道に
くっきりと映し出される2人の影を見つめながら先程見た指輪のことを考えた。
あの指輪、きれいだったな。
ジュエリー展に入ってからのなつみはずっと目を輝かせていた。特に、清らか
にきらめく大粒の石を冠し、控えめで品の良いプラチナの装飾がまわりを
縁取った指輪にはことさら心を奪われたようだった。それは今回の展示の
目玉のひとつででもあるのか、大きな部屋の中央の随分目立つ場所に
飾られていた。
「この指輪、すごい。キレイ‥。」
そう言って息をのむなつみにさやかも額を近付けると、数学的な型にカット
されたその石は何層にも光を屈折させ虹と同じ色に輝く。それがとても興味
深くて、何度も角度を変えてさやかはその指輪を見つめた。
なっちの指にあったら、もっと綺麗なのかね。
5月31日に休みとったのがムダじゃねーか
「あ!あそこじゃない?」
考え込むさやかの腕をなつみが引っ張る。我に帰ったさやかが顔をあげると
確かに聞いたものと同じ名前を掲げたそば屋の看板が目に入った。
「あ、そうだね。」
「やーん。ほんとにあったねー。」
両手を胸の前に組んだなつみがきゅーっと目をつぶる。
「なっち、何食べる?」
「なっち天ざるー!取りー!」
はしゃぎ気味に言うなつみにさやかの気分も高まった。
「えー。あたしも天ざる食べたい。なっち違うのにしなよ。」
「やだよー。てゆうかいいじゃん。おんなじの頼もうよ。」
「いいよ。じゃあ。」
訳も無く不機嫌な素振りで答えてみせた。
アゲ嵐も、せっせとコピペ作業せずに、
一緒にオタオタしようじゃないか
昼時であったため少し並んで席を待った2人は、結局違うものをそれぞれ
頼んだ。たった今、先に運ばれてきた炭酸入りのソーダにストローを差し
込んだなつみが言う。
「いいの?さやかは鴨南蛮で?」
「いいよ。だって鴨好きだもん。」
答えたさやかは淡いみどり色をしたソーダを一口飲んだ。ひさびさに飲みたく
なって注文した炭酸はとても冷たく、そしてどこか懐かしい味がした。
「ほんと好きだよねー、お肉。この暑いのに南蛮てどう?ってかんじだけど。」
「いいんだよ。クーラー効いてるし。そんな事言う人にはあげないもん。」
「うそ。ごめん、ちょうだーい。」
わざと口を尖らせるさやかになつみが笑う。
「いいよ。そのかわりエビちょうだい?」
「えー、イヤに決まってるでしょ?あんたエビだよ?わかってる?」
語気を強めながらもなつみはとても楽しそうだ。冗談にきまってんじゃん。
笑いながらそう言って、さやかはまた炭酸を飲んだ。
「ふう。食べたね。」
エビの天ぷらは結局2本盛られていた。そのうちの一本と、他にもなつみが
食べ切れなかったなすとししとうをたいらげたさやかが、ふくれたお腹を
さすって言う。
「そりゃね。これだけ食べればね。」
満足げにため息をつくさやかを、微笑ましく思いながらなつみが言った。
「まあね。」
ニヤリと笑ってさやかは答えた。
んだよ・・まだ荒れてんのかよ。
発売延期・・・マジか?
ネタみたいね・・・
>>789 ギャップシステムまんせー
(゚д゚)ウマーイイ?イイの?キモチイイの?
最近、オナニーした後に
チンコの皮がパリパリした感じになるんだけど
なにかな?
リアップって、効かないなぁ、高いのに
しばらくたって伝票に目を落とすさやかが決めかねる様子で口を開く。
「ねえ、なっち。これからどうする?どっか行きたい所とかあるの?」
「うーん。特に。あ、お土産とか見よっか。なっちのやついくら?」
「1400円。あー、そっか。みんなに買わないとだよね。」
「うん‥。」
この旅行をプレゼントしてくれたみんな。その事を考えるとなつみはとても
幸福な気分になる。良い友に恵まれた。感慨に浸っていると、それを察した
さやかが穏やかな笑顔でなつみを見つめていた。
人でにぎわう高原の観光地を突然の激しい雨が襲ったのは、
あらかた土産を買い終えた2人が商店街をそのままフラフラ
歩いていた時のことだ。照りつける午後の日射しをゆっくり
と遮った灰色の大きな雲はやがてぽつりぽつりと雨粒を落とし、
間もなくそれはバケツをひっくり返したようなどしゃ降り
へと変わった。
「ぎゃー。」
あまりの雨足に叫んださやかは土産の入った大きめの紙袋を
なつみの手から素早く奪い取って、そのままもう片方の手でなつみ
の手を掴むと大慌てで走り出した。
今週のファミ通なにものってねえ
どりまがにはいろいろ乗ってたが
「夕立ちだよ。まいったね。」
雨をよけて逃げ込んだ適当な軒先で、息を切らせたさやかは
肩を弾ませて言った。
「お土産、濡れてないといいけど‥。」
少し濡れた髪を整えたなつみは不安そうに紙袋を覗く。
「平気だよ、少しくらい。それよりはやく雨やまないかね。」
辺りの景色を霞ませる程、激しく降る雨の勢いは依然衰えず、
頭上ではアーケードの屋根が大きな雨粒を跳ね返してぼとぼと
と大きな音を立てていた。
ため息をついたさやかがふと後ろをふりかえると、ぴかぴかに
磨かれたショーウィンドーの中にこぎれいな椅子とクッション
が陳列されている。その奥にわずかに見える店内には、なにやら
よさげな雑貨がいろいろと置かれているのが目に入った。わけもわからずに
逃げ込んだこの軒先は、どうやらギャル向けのこじゃれた雑貨屋のもの
だったようだ。
「んー?なんかここ、いいかんじ。見ようよ。」
さやかが声をかけると、空を見上げていたなつみも振り返った。
「あ、ほんとだ。ふーん。こんなお店があるとはねー。」
「よいしょ。」
地面の濡れていない場所を見つけて置いた紙袋をさやかが再び持ちあげ、
2人はその店のドアを開けた。
中に入ってみると店内は思いのほか広く、充分なスペースをとって
それぞれ並べられた商品は観光地にあって尚、なかなかのセンスの良さを
見せている。意表をつかれた2人がなにげなくカウンターに目をやると、
鼻にピアスを開けた店員がニコリと微笑んだ。
しばらくしてさやかはクリアパッケージに入ったきれいなきみどり色の
ビーチサンダルを手にとった。800円。8月もそろそろ後半にさしかかり
今さらビーサンを買うのもどうか。と、少し迷ったが、フレンドリーな値段に
負けて結局買うことにした。顔を上げてなつみを探すと、なつみは店内の
奥の方にいて、プラスチックで編まれた色とりどりのカゴをひとつひとつ
手に取っては熱心に選んでいる。おおかた店内を見終えてしまって時間を
もてあましたさやかは、偶然目に入った壁側のガラスケースへと寄った。
「ユビワ。ね‥。」
それほど大きくないガラスケースの中には、かわいらしいアクセサリーの類が
それでも多数収まっていて、なかでも一番数多く揃えられた指輪に目を止めた
さやかはひとりそう呟いてしばらくそれらを眺めていた。
コテハン禁止とか言う奴、うざいな
「さーやか。」
そうしているうちになつみがやっと気がすんだのか、オレンジ色のカゴを手に
さやかの元へと寄ってくる。
「なーに?指輪なんて見て。あ!もしかして買ってくれるとか!?」
「死ね。」
なつみの軽口にさやかが笑いながら答えた。
「な〜んてね。ほんとに買ってあげるよ。どれがいい?」
冗談のつもりが、さやかの予想外な返事になつみは目を丸くして言う。
「え?いいよべつにそんな。なに?どうしたの?」
「うーん、なんとなく。なんかさ、あげたくなった。」
平気な顔でそう言うさやかに、なつみは尚も繰り返した。
「なーんなの?いいって。そんな。悪いよ。」
依然として遠慮するなつみに、さやかはわざと意地の悪い表情をつくって見せる。
「なに、嬉しくないの?」
「や。いや。嬉しいけど。でもぅ‥。」
それに動揺したなつみが、慌てて首を振る。その素振りに満足したさやかは
にっこり笑った。
「ならさっさと選べコノヤロウ。」
ほんとにー?さやかはそう言いながらガラスケースに目を落とすなつみを喜色満面の
面持ちで眺めていた。とまどいながらもやがて本気で品定めを始めたなつみは、赤い唇を
心持ち上向かせている。そのいかにも真剣な横顔は、なにやらとても可愛らしかった。
「じゃあ、コレ。」
そう言ってなつみが指差したのは、銀製のシンプルな指輪だ。回りにはそれと
組んだ他のアクセサリーがいくつか揃えられ、ひっそりとケースに収まっている。
シンプルでありながら柔らかな照明に照らされ楚々とした輝きを放つその指輪はきっと、
幸福ななつみの笑顔にとても似合うだろう。そう思った。
「あ、それ。あたしもいいと思った。」
そう言ったさやかの目を一瞬意味ありげに、かつ楽しげみつめたなつみは、再びケースに
目を落とす。
「でね。これとお揃いのこのアンクレット、さやかに買ってあげる。なっちが。」
「は?」
意表をついたその言葉に今度はさやかが目を丸くすると、すでになつみは店員の座る
カウンターへと体の向きを変えていた。
延期であひゃひゃ ファンタシースターオンラインPart374
Ver2の売り切れを心配する奴ってさぁ
DCが値下げしたら、すぐに無くなるって心配してた奴と
同じだよね。
なつみに声をかけられた店員が、カウンターの下からカギを取り出してこちらに
向かってくる。鼻にピアスを開けている彼女はその人なつこい笑顔のせいか、随分
気さくな印象を与えた。程なくしてケースを開けた店員が、そのままの笑顔で
なつみに聞いた。
「どれ?」
「これと、これ。」
目を輝かせたなつみが嬉しそうに指をさす。
「あー。かわいいよねー、これ。」
そう言って取り出した指輪を、店員はなつみの手のひらにのせる。さっそくはめてみる
なつみの様子に笑いつつも、続いてアンクレットを取り出した彼女はさやかに向かって
微笑んだ。
「こっちは、アナタ用?」
いったい何が起きているのか。全く理解できず、呆然と目の前の2人を見つめていた
さやかは、店員に声をかけられてようやく我をとり戻す。それでも依然として驚きは消えず、
とまどった目でなつみを見た。
「いいのに、そんな、べつに。」
「ううん。なっちがあげたいの。お揃いでつけよう?」
すごいかわいー。そう呟きながらなつみは手をさやかの目の前にかざして見せる。
そんなやりとりを見守っていた店員が、交互に2人を見比べた。
「なになに?なにやらあやしいねー。さては付き合ってるでしょ?」
にやりと笑って片眉を上げた店員に、なつみが冗談めかした表情でこたえた。
「そ。デキてるの。うらやましい?」
微笑ましいなつみの口調に破顔した店員はさやかの背中を軽く叩いた。
「ホラ。くれるって言ってんだからもらっとけって。しょうがないから
ほんのちょこっとなんだけど、勇気振り絞ってオマケとかしてあげるし。」
そうウインクして見せる店員に目をかがやかせたなつみが声をあげた。
「え!オマケ?」
そのまま向き直って、嬉しそうにさやかの目をみつめる。
「ね、そうしようよ。それとも他のやつがいい?」
きらきらした目で自分を覗き込むなつみに、さやかもついに顔をほころばせた。
「じゃ、それでいい。てゆうか、それがいい。なっちが選んだやつ。」
少し頬を赤らめたさやかがそれでも嬉しそうに言うと、なつみと店員は顔を見合わせて
微笑んだ。
知り合いに、似てるの--------、そう言って笑った店員は結局20%も
割り引きしてくれた。笑顔の2人がようやく店を出る頃、あれ程
激しかった雨はすっかり上がっていて、何事もなかったように再び輝く
太陽の下,あたかもフィルターを一枚はがしたように全てははっきりと、
辺りの風景は鮮明さを増して映った。
陽はまだ高かった。生気を取り戻した木々の葉があまりにもきらきらと
瞬くので、それに誘われるようにして2人の足は自然と緑豊かな小径
へと向いた。表通りからたいして離れてもいないそこは、それでも随分
静かで、時折思い出したように吹く風がなつみの白いワンピースを
ひらひらとはためかせた。
「のど渇かない?」
歩き出してから半時も経った頃だろうか。さやかはなつみの声で
足を止めた。考えれば昼からずっと立ち通しだ。
「そうだね。ちょっと疲れたしね。どっか入る?」
なつみの顔ごしに周囲を見渡したものの、静かな裏通りにそれらしき
店は見当たらない。
「何もないねー。この辺。戻ろっか?」
そう言ったさやかが表通りへ向き直ると、なつみがその服の裾を引っ張った。
「ねえ。」
「ん?」
「なんかあそこに公園みたいなのがあるよ。」
振り返ったさやかがなつみの指差す方角に目をやると、いくつかの建物の
向こうになにやら広場の入り口ようなものが見えた。
「ほんとだ。」
目を凝らすと、古びた鉄製の柵で囲まれたその場所は、いかにも柔らか
そうな芝生があおあおと植えられていて、見るからに居心地が良さそうだ。
「あそこにしない?」
「いいよ。」
さやかがにーっと口角を上げて笑うと、なつみは更に手前の自動販売機を
指差す。
「ホラ。あそこに飲み物もあるね。」
「うん。」
楽しげななつみの表情に、さやかの目はますます細くなる。うきうき
した足取りで2人は進んだ。
プシュ。
ジャスミン茶の缶を開け、その3分の1ほどを一息に飲んださやかが
大きく息をつく。
「ふう。ウマイ。」
手の甲で口元を拭うその男前な仕種を見て、なつみが笑みをこぼした。
「さやか、超おやじっぽいよ。もしくは仕事後の裕ちゃん。」
公園は、入ってみると奥の方にそれほど大きくない清流が流れていて、
両岸には上の山から運ばれた大小の岩がごろごろと転がっていた。それら石の
堆積の中からひときわ大きく、平らで座り心地が良さそうな岩に腰を下ろした
2人は、目の前を流れる透明な水を眺めながら渇いた喉を潤した。
前日に延期にするなんて!(藁
「はじめてだね、お揃い。」
サワガニをとる地元の少年達が数人、向こう岸で派手に歓声をあげる。
その様子をぼんやりと眺めていたさやかに穏やかな口調のなつみが話し
かけた。
「うん。うれしいね。」
返事をしたさやかが目を向けると、手につけた新しい指輪をなつみは宙に
かざしていた。
「でも、なんで?うれしかったけど‥。急に買ってくれるって言ったから
びっくりしちゃた。」
「うん。でも結局、なっちもあたしに買ってくれたからさ‥。なんつーか、
おあいこだね。」
「さやかがくれるって言ったから、それならなっちも。って思ったんだよ。
でもほんとにどうして?あんなに突然?」
「うーん、なんかさ。約束みたいなものが欲しかった、ってゆうか。」
「約束?」
そう声に出して、なつみはさやかを見た。ぽつりぽつりと選ぶようにして
言葉を紡ぐさやかは、なんだかとても大事な事を話しているように見えた。
「うん、やくそく。なんかね、その指輪みたらなっちさ、あたしの事
思い出すでしょ。いつでも。どこでも。」
静かでゆっくりとしたさやかの口調は自分には見えない遠くの何かを
じっと見つめているようで、急に不安になったなつみはさやかの腕を
ぎゅっと掴んだ。
「え?どっか行っちゃうの?」
「ううん、どこにも行かないよ。けど、」
「けど?」
尚も生真面目な表情でなつみはさやかを覗き込む。そんななつみの様子は
さやかは胸を穏やかに満たした。
「けど、なんか。そういう証拠みたいなやつを、なっちに持ってて
欲しかったんだよ。」
「うん‥。たいせつに、する。」
そう言ったなつみは下を向いてしまって、華奢な肩に遮られたその表情は
さやかから見えない。俯いたせいで顔を覆った柔らかな髪を小振りな耳に
かけたあと、表情を隠したままのなつみは囁くように呟いた。
「さやかもアンクレット大事にしてよね。なっちがあげたんだから。
なっちのモノっていうしるしなんだよ。、」
「うん。決まってんじゃん。嬉しかったんだよ。ほんとに、すごく。
ありがとう。」
そう言ってさやかが微笑むと、岩の下からなにかの拍子で水滴が
跳ね上がり、その足飾りのついた右足をかすかに濡らした。
とりかこむ全てのものは、ともすれば閉息感すら伴うようにして
さやかを包んでいた。絶えることのないせせらぎ、頭上で鳴く鳥の声、
そして隣に座るなつみ。全てが完全で、全てが独立していた。
時折軽く前髪を揺らして去る風に、その圧倒的幸福のなか心地よい
疲労を感じたさやかは、自分の背負っていたかばんを枕にして
石の上にあおむけで寝転がった。
見上げた空は随分高く、輝く太陽は目を閉じても尚その存在を感じる
ことができた。
発売が年末とかになったら鬱だ。
いつの間にか眠っていた。肌寒さを覚えて目を醒ますと、さやかの体には
なつみのカーディガンが掛けられていた。脇を見てもなつみの姿はなく、
太陽はいつしか西に傾いて周囲の景色は随分朱みを帯びている。ハッと
したさやかが起き上がると、なつみは水際で流れに足を浸していた。
「なーっち。」
安心して胸を撫でおろしたさやかが、その後ろ姿に声をかける。
「あ、さやか。起きたの?」
今まで眠っていたせいなのか、振り返るなつみの表情がひどくまぶしい
ものに思えて、思わずさやかは目をこすった。
「うん。どれくらい寝てた?」
「うーん、一時間弱かな。」
「ふーん。起こせばいいのに。ヒマだったでしょ。」
そう言ったさやかが脇に腰を下ろすと、なつみは楽しげに微笑む。
「うん。でも、さやか良く寝てたからさ。べつにいっかとか思って。」
「目開けたらいないから、びっくりしたよ。」
そう言ってふと目をやると、騒がしかった少年達はすでに帰ってしまった
ようで、その中の誰かが置き忘れでもしたのか空っぽの虫カゴが川を隔てた
岩のかげにぽつんとひとつ置かれていた。
「寒くないの?」
川からあげた足をハンカチで拭くなつみにさやかが言った。しばらく水に
浸けられていたなつみの足首は、いつもに増して白い。桜貝のようなその
小さな爪がふいにひどく儚く思えて、無意識にさやかは手を伸ばしていた。
「寒いよ?あっためてよ?」
さやかの指先が触れると、冗談めいた口調のなつみが上目遣いで微笑んだ。
帰りのフェリーは、それ程待たずに乗ることができた。すっかり薄暗くなって
藍色めいた景色の中、遠くの岸辺に見える観光街の明かりはそれほど華やかな
ものでもなかったが、水面にうつる影と共に可憐に揺らめくその姿は、見つめる
者の内に郷愁にも似た何かを誘った。なつみの横で船の手すりにもたれ、それを
眺めていたさやかの胸も、等しくその同じ思いで溢れた。
>>814 セガ好きなんだろう、大目に見てあげよう。
俺が発売日に買えなかったゲーム
SS版DOA
これはまじでどこにもなかった。
沸き上がる不思議な感情にとうとう苛立ったさやかが目を反らすと、つないだ
なつみの手の指輪と足飾りのついた自分の足が、俯いた視線の先に目に入った。
揃いのそれらはまったく揃っていて、輝き具合もまるでぴかぴかと揃っている。
それを見ていたら先程までのおかしな感情は消えた。
----勢いついでに例の映画の真似でもしとくか。一応。----
そう思ったさやかはなつみの背後にまわろうとして、やめた。
なつみが許すはずもない。そんなことはわかっているのだった。
おわり
>>803 今週ドリマガ発売しとらんぜ
次は25日だYO
>>803 もう終わったハードの情報載せてもしょうがないっしょ。
PSOの次回作はPS2で出すんだろ。
ドラクエと一緒で延期だけしまくって
クソゲー出す気だな。
で、原たんはマジで電話したのか?
この延期で神殿と宇宙船も冒険できるように…
>>793 レールがんのことか?さして珍しい武器では。
2が出るまでプーでいようと思ったけど就職するか…。
>>833 自分の首から下の写真をアプせよ。
裸じゃねぇぞ。
>>834 してない、携帯の電池切れてた(;´Д`)
この延期でVer.1との共存プレイは不可に…
え〜、やっと電話つながりました。
結論から言うと「ガセ」です。
発売日は変わらないそうです。
電話つながったよ。。
・・・・・マジディシタ・・・・・・
何?みんな信じてくんナイノ?
それとも情報いらないってか?
>>841 わ〜い
これで31日に
「鯖つながんねぇぞ、糞ソニチ、ゴルァ」
って、叫べるるん☆
>>839 ゴラァ(゚Д゚)
つーかサポセンて携帯ははじかれなかったか?
>>841 そか・・元ネタの公式スレも消えてるしな
>>799 まだレンジャーに持たせてないから使い勝手は知らないけど、攻撃力389ある。
発売延期になって一番困るのはこのスレだったりして・・・
>>853 ツリー生きてるぞ、発言本人が削ったんだろ。
さっき、8-11でLv200のキャラが部屋にいたんだけど
いったいどういうことなんだろう・・・
あーえー。うー。
まあここで真実語ろうとしても無駄なのはわかってっけどさ。
マジで延期だよ。
近いうちに正式に発売日言えますってオニーサンは言っておりましたまりゅ
>>856 正解です。見事100メセタゲットです。
>>803 アタシのココが、あなたの情報を欲しがってるの〜
きてきてぇ〜
どさくさに紛れてエロSS貼ろうと思ったが
=======うざい人一覧改訂版Ver1.15=======
[プラチナ殿堂]
Ba−Lei hua : 追放決定、本気でウザイ
Zonic@2ch : 狂言自殺華撃団ウザイ
Gyi(9th) : 潔癖キチガイかなりウザイ
にくまん : 自己中ウザイ(ヤリマン)
原ヘッド(XIAO) : スレでもロビーでもウザイ
SARA : 晒し上げ返しネカマウザイ
[ウザイ人々]
808puropera : 腰巾着厨房かなりウザイ(シルバー)
あんまん : エロゲヲタチーターウザイ(シルバー)
ASA : 酔っ払いネタがウザイ
Asobin k : ネチネチウザイ
XL : 晒されたがりでウザイ
kitman@osaka : にくまんの腰巾着ウザイ
バーニィ : アルウザイ
HIGEDandy : 名前からしてウザイ
ぴざまん : 何気にすごくウザイ
Nagi : いいひとウザイ
No.3 : 名前が嫌いウザイ
Yomihi : 何がウザイって何かウザイ
るさちー : シモネタウザイ
ツキシロ : 自己悦バカ ウザイ
ボブ : オナニー厨房、マジウザイ
V’ : US鯖ウザイ
refrain : 下ネタ異常嫌悪ウザイ
megaera : エルガイムウザイ
かれーまん : ある意味にくまん以上にウザイ
LUNA : 所帯持ちウザイ
==========================
延期になったらしばらくPSOやめれるからいいけどな。
なんだかんだで900まぢか。
延期になるとディアブロとかぶってくるので
やめてほしい
ヒィ
なぜ表がズレて表示されるんだろう
眠くなってきた、目覚ましたいからエロ画像くれ。
発売か延期かハッキリシロ ファンタシースターオンラインPart374
マスターアップ直前でドデカイバグでもみつかったんかね。
もう一人別キャラをLV80以上にする時間、あるかな?
ウザイ人一覧って既に
ロビー住人一覧になってるような・・(藁
5/25
2001/Voi.1
コレって古い奴なのか?
マジで電話しました。
俺「公式BBSで見たんですがver2発売延期ってマジディスカ?」
女「(;´Д`)」
俺「どぴゅ」
チート対策に力入れてくれるんなら許す。
サポセンに電話ファンタシースターオンラインPart374
で、昨日某808とやらを晒した奴の正体はわかったのか?
昨日はロビーに行けなかったのでどんなふうになってたのか気になる。
まあわかっているだろうが、ここで晒された人はロビーでは殉教者にされて、晒した犯人が絶対悪になる。
その後晒した奴は村八分にあって、これから誰とも潜ってもらえなくなるということは承知しておいてほしい。
信じてないやつ電話すれ。もうつながるぞ。
03-5735-0273なら携帯でOK
発売未定?!ファンタシースターオンラインPart374
IT戦争ファンタシースターオンラインPart374
BBA出荷の7月に合わせるのでは…
クレタク2買うか ファンタシー・・・
もう何時でもよくなってくるな
生きる希望は見えましたか?
中たんポカる!ファンタシースターオンラインPart374
DCの在庫がはけたら発売なんじゃね〜の
Gジェネの追加ディスク買おうかな・・・
(´∀`)マアム?
(´∀`)マアム?
マリエリのアトリエでも買うか…
マリーの方しかやらんけど。
(´∀`)マアム?
俺立てたーい
(´∀`)マアム?
サポセン混乱 ファンタシースターオンラインPart374
立ててくるよ
(´∀`)マアム?
チーター(垢BAN対象者)対策で延期
またマアムかよ!
次もマアムなのね。
のーん、マアムにやられた
またマァムで立てたら痛いな。
>>912 7話がすごいらしいにょ、予告見るにょ。
今からチーター対策強化なんてせんだろ?
延期ならバグだろう
=======うざい人一覧改訂版Ver1.15=======
[プラチナ殿堂]
名も無き冒険者 : 追放決定、本気でウザイ
じゃあコレで
>>923 しょうがないにょ、マリエルたん(;´Д`)ハァハァ
あのー、昨日部屋つくってたら、ちゃーんと4人になりましたがーw
困タナー、村八分ディスカーw
チミの脳内デ?
起動履歴にMIL-CDがあったらサーバがはじくんじゃなくて、
VER2のソフト自体が起動しない仕様にするとみた。
と言うかそれ位して欲しい。
アホがいるな。
wはヤメレ
Ver2延期ですねー・・・。
わ・・もう新スレになってる
>>926 ダカラ、ソレジャコトリタンデ、ハァハァデキナクナチャウノ!!!11!!
コトリタンニアエナクナルノハツライヨ・・・
932 :
名も無き冒険者:2001/05/17(木) 10:40
age
今日も元気に旧スレ潰し
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