真・三国無双online K.O COUNT524
9 :
名も無き冒険者:
鉄材の収集といえば、特務武器の男達が、雑兵を狩ってぶつかり合う、
勇壮な特務として、この地方に知られている。
特務のあと、男達は市場に集まり、普段着に着替え、報告する。
雑兵の武器は、激しい戦闘でドロドロボロボロになるから、使い捨てで、ゴミとして出される。
俺はいつもそれが狙いだ。
捨てられている武器の、できるだけ使えそうな奴を950本ほど、
こっそりさらって家に持ち帰る。
そして、深夜、俺一人の武器作成が始まる。
俺はもう一度汚れた六尺のみ身に付け、部屋中にかっさらってきた武器をばら撒き、
ウォーッと叫びながら、溶鉱炉の海の中に投げ込む。
汚れた溶鉱炉は、焼けた鉄の臭いがムンムン強烈で、俺の鼻腔を刺激する。
溶鉱炉の中の鉄材は、もうすでに痛いほど溶解している。
溶鉱炉の近くに顔を埋める。臭ぇ。
石灰臭、コークス臭や、溶鉱炉独特の酸っぱい臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんねえ。
臭ぇぜ、ワッショイ! 武器野郎ワッショイ!と叫びながら、不純物ごと鉄材を混ぜる。
嗅ぎ比べ、一番純度の高いやつを素材に選ぶ
その鉄材には、炭素の染みまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らない。
その材料を使っていた奴は、特務で一番威勢が良かった、五分刈りで髭の、40代の、
ガチムチ卒伯だろうと、勝手に想像して、溶鉱炉の底に一番熱い部分を押し当て、
思いきり嗅ぎながら、ガチムチ鉄材臭ぇぜ!俺が溶かしてやるぜ!と絶叫し、
竈をいっそう激しく燃やす。
他の鉄材を、ミイラのように頭や身体に巻き付けたりはせず、
ガチムチ武器素材のスラグを廃棄しながら、ウオッ!ウオッ!と流れ出る鉄材の様子を見る。
そろそろ限界だ。
俺は溶鉱炉の中から流れ出る鉄材を掬い取り、ガチムチ武器の型枠の中に、思いっきり流し込む。
どうだ!気持良いか!俺も良いぜ!と叫びながら流し込み続ける。
本当に武器を作成している気分で、ムチャクチャ気持ち良い。
ガチムチ武器の型枠は、溶けた鉄でベトベトに汚される。
ガチムチ武器、貴様はもう俺のもんだぜ!
俺の武器作成が済んだあと、他の武器とまとめて、布に包んで押し入れにしまい込む。
また明後日、特務で鉄材を手に入れるまで、材料に使う。
押し入れにはそんな布袋がいくつも仕舞ってあるんだぜ。