)“号泣王子”を卒業だ!! ヤクルトのルーキー、由規(よしのり)投手(18)=仙台育英高出=が
6日、巨人19回戦(神宮)で6回2安打3失点の力投。直球はプロ入り後最速タイ155キロをマークするなど8三振を奪い、
プロ2戦目でうれしい初勝利を挙げた。チームも巨人戦の連敗を8で止め、4位に浮上。クライマックスシリーズ進出へ、ニューパワーが加わった。
スタンドで声援を送り続けた家族はすぐに見つけた。入団会見、入寮時に涙を流した由規は、目を潤ませながらも涙を必死でこらえた。
初めての神宮のお立ち台では声が震えた。
「メッ…、チャクチャちゃうれしいです!! ここまでのピッチングができるとは思わなかった。自分でもビックリです」
言葉と裏腹に、投球は強気だった。最速155キロの直球に切れのあるスライダー、チェンジアップを織り交ぜ、
四回まで一人の走者も許さなかった。六回に同点とされ、なお二死一、二塁では前の打席で本塁打を喫した高橋由を150キロの直球で
二ゴロに仕留めると、直後に福川の決勝3ランが飛び出した。
2度目の先発での初勝利。笑顔の裏には隠し続けた苦悩があった。キャンプ中に左足首を痛め、精密検査の結果、「有痛性三角骨」と
診断されていた。12人に1人の割合で発症するという過剰骨(余分な骨)が痛む病にも、「苦しい時期もあったけど、プラスに考えられるようになった」と成長につなげた。
どうしても勝ちたかった。3日は母、美也(みや)さんの49歳の誕生日。「3日遅れだけど、初勝利のボールをプレゼントしたい」。
前夜、美也さんが埼玉・戸田寮に差し入れてくれた大好物のヒジキの煮物とポテトサラダを完食し、パワーに変えた。
“孝行息子”の登場に「誰が行っても抑えられなかったのに、由規が勝ってくれた。次も楽しみですよ」と高田監督。次戦は13日の
巨人戦(東京ドーム)が有力。“号泣王子”が「ここで終わっちゃいけない。強気のピッチングを続けたい」と笑った。