侍魂part８　一発屋　健

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大学で紹介されるアルバイト


今日はアルバイトの話なんですが、実は大学って奴はですね
一般の雑誌や広告には載っていない珍しいアルバイトの宝庫なんですよ。

なにせ大学には貧乏で餓死の恐怖と闘ってる奴がいるくらいですから
金欲しさに自分の人生を切り売りする奴らが後をたちません
ちょっとダークな仕事をしてほしい人にとって最適な環境です。

新薬の実験台だとか中身を詮索しないバイク便だとか
医療関係から、その筋の方々までバイトの種類は様々です

一般的な雑誌や広告が表のアルバイトならば
大学でクチコミで紹介されるアルバイトは裏のバイトです。

最初からその手の仕事を持ってくる人は、学生の弱みを分かったうえで
斡旋にくるのでまさに需要サイドと供給サイドの蜜月の関係が成り立っております。

つーわけで大学では普通はお目にかかれない怪しいバイトに
結構出くわすんですが、その中でも俺が大学一年の時に紹介された
あるアルバイトはひときわ異彩を放っておりました。

あれは俺がまだ大学一年の時の事
友達といつもの場所で喋っているとサークルのOBの方が訪ねてきました。

「おう　元気してるかーお前ら？」
「こんちわーっすAさん」

この方Aさんと言いまして、たまにブラブラと俺達の前に現れては
割の良い仕事の斡旋をしてくれるんですが
ぶっちゃけていうとカタギの道を踏み外しちゃった人でして

俺達が大学一年生なら、この方は構成員一年生。

一年生つながりで妙な親近をもたれたためか
当時よく割の良い仕事を紹介しにきてました。

「なぁ　お前ら金欲しくてたまらんのだろ？」
「そりゃもちろんですよ」　うなずく一同

この人はいつもそうなんですが
貧乏学生の一番弱いところをピンポイントでついてきます

とりあえず突然のAさんの出現に過去何回か仕事を受けた奴らが
まずは話を聞く体制に入ります。

「今日はとっておきの仕事を持ってきたよ
簡単な仕事で報酬は１０万だ１０万！」

Aさんいわくとっておきの仕事
でも仕事内容の前に報酬を先に言うあたり怪しさ大爆発

しかし貧乏どん底の学生達には１０万はたまらなく魅力的です
興味を持つなと言う方が無理であろう、数名が食いつきました。

「一体どんな仕事なんですか？」
「ビデオの撮影なんだけどお前らに夏の海辺を走ってもらいたいんだ」
「まじすか？海辺走るだけで１０万すか！！」

どよめく学生達、でもさすがに俺達も馬鹿じゃない
今どき海辺走るだけで１０万もらえる訳がない。

「Aさん　なんかあるんでしょう？」

「いやな、海辺を走るのは本当なんだがちょっと全裸なんだ」

「・・・・・。」

どう考えてもまともなビデオじゃない
あきらかにホ●ビデオじゃないか！！

一発で青ざめる俺達、こんな仕事うけたら無事に帰ってこられる訳がない
多少食いつき気味だった奴らも引き気味になってしまう。

「いや　俺達ちょっとそっち系は無理っすよ」
「馬鹿勘違いすんな！、確かにそういう方の為のビデオだが違うんだよ」
「若い男に全裸で海辺走らせといて、なにが違うっつーんですか！」

「あのな良く聞け、ちゃんとモザイクも入るし本番とか無くてお前らの身の安全は
保障する、このビデオはまだそっちの世界にはまりたての方々の為の
ソフトなイメージビデオなんだよ」
「いやソフトなイメージビデオだから安全ってその理屈ノンケには分かりませんよ」

「大丈夫　本当に夕日の射し込む海辺を走るだけだから大丈夫、本当絶対無事、
お前海辺走るだけで１０万だぞ、こんな美味しい仕事無いってまじで、
本番とかないから絶対無事だって」

とにかく必死に無事に帰れる事をアピールするAさん
すでにこの時点で誰も受ける気は無かったのですが
０万にちょっとだけ惹かれた奴らがまだAさんに話を振ります。

「本当に海辺走るだけで１０万？絶対無事に済むんですか？」
「あぁ　夕日の射し込む海辺を全裸でただ走るだけだ、
　お前らは無事だ何もされないこれだけは保証する」

「１０万かーおいしいなー」
「な　夏の海辺を裸で走るくらい大したことないだろ？
　南国の島国じゃ当たり前のようにやってるよ、重ねて言うけど絶対無事に返すから」

「なかなか１０万即金でもらえるなんてねぇよな、俺やっちゃおうかなー（笑）」



「だろお得な仕事だろ、ただちょっとだけ
　　　　　　　　　　後ろから体格のいいお兄さんが追ってくるけどな」




早く言えよソレ

夏の海、マッシブな彼と海辺の追いかけっこのお値段１０万円

　　　逃げ切れるならば、無事


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（ｃ）KEN-samuraidamasii 2001