宅配サービス「ゆうパック」の配達が遅れたことが原因で荷物のクワガタ240匹が死に、死骸も無断で捨てられたとして、
大阪府の昆虫採集家の男性が、日本郵便(東京都千代田区)を相手取り、19万2000円の賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
同種のクワガタは数千?数万円で取引され、標本の価値も高いという。28日に第1回口頭弁論があり、日本郵便側は争う姿勢を示した。
訴状などによると、男性は沖縄県の昆虫店の注文を受け、鹿児島県の奄美大島で「アマミノコギリ
クワガタ」を採集。昨年7月2日、240匹を沖縄へゆうパックで送った。
ところが、到着予定日の7月4日に届かず、男性が問い合わせたところ、郵便局側のミスで熊本県
に誤配されたことが判明し、男性は奄美大島への返送を依頼。男性側は7月6日に届いた時点で
「クワガタは全て死んでいた」としている。
更に男性が弁償を請求したのに対し、郵便局は死骸を預かり、同9日に「死骸の価値は0円」と
弁償を拒否。死骸を返すよう求めても「腐ったので廃棄した」と言われたという。男性は「死体を
防腐処理すれば標本として販売することもできた。『死骸だから0円』というのは不誠実」と訴える。
昆虫店への販売代金は1匹当たり雄1000円、雌600円で240匹分の代金の賠償を求めている。
一方、日本郵便側は、誤配したことは認めたが、男性に届けた時点で「7匹しか死んでいなかった」
と反論。預かった死骸も240匹ではなく140匹だったとしている。代理人弁護士は「男性に返そう
としたが連絡がつかず、腐って業務に支障が出たので捨てたようだ。動物の取り扱いに関しての
約款はなく、配達中に死んだとしても免責される」と主張している。