日朝接近に韓国動揺 韓国紙「これほどの進展あるとは…」
日本と北朝鮮が、日本人拉致被害者らの再調査で合意したことに、関係諸国は関心を高めている。
朴槿恵 (パク・クネ)大統領率いる韓国は、旅客船「セウォル号」沈没事故で対北朝鮮政策に本腰が入らないこともあって動揺し、
習近平国家主席率いる中国は北東アジアでの孤立化を恐れて警戒を強めているようだ。
30日付の韓国各紙は日朝合意を1面などで大きく報じ、強い関心を示した。
聯合ニュースは「拉致問題に対する日本政府の立場は理解するが、北朝鮮核問題への韓米日の協力は続けなければならない」と韓国政府当局者の見解を報じた。
中央日報は外交部関係者の話として「韓日米の間で北朝鮮問題の対応について、より緊密な協力と
情報交流が必要だ」と伝えたほか、「これほどの進展があるとは予想できなかった」という別の外交部関係者のコメントも載せた。
日朝協議の急進展に困惑を隠せない様子だ。
朴大統領は今年に入って「統一」を前面に出し、南北問題での取り組みをアピールしているが、 具体的成果はあがっていない。旅客船沈没事故の余波で内政も混乱している。
北朝鮮には516人の韓国人拉致被害者も抑留されているが、朴政権での進展はゼロ。韓国の拉致被害者家族からは「問題解決を北朝鮮に求めない韓国政府に憤りを感じる」との声も出ている。
中国はこれまで、韓国の取り込みに必死だったが、日本が北朝鮮にクサビを打ち込むことを警戒しているようだ。
中国政府系のシンクタンクに所属する朝鮮問題専門家は「日朝間の最大の懸案事項である拉致問題が
前進すれば、北東アジア情勢に大きな変化をもたらす可能性がある」と話した。
北朝鮮が昨年12月、中国に近いとされる張成沢(チャン・ソンテク)派を粛清して以降、中国の北朝鮮に対する影響力は低下したとされる。このタイミングで日朝が接近すれば、北東アジアでの中国の 孤立は一層深まる可能性がある。
一方、米政府は、拉致問題解決へ向けた日本政府の取り組みを支持しているが、北朝鮮の核・ミサイル開発への対処で関係国の結束を堅持する観点から、日本の制裁緩和の動きとの間にジレンマを抱えているようだ。