【松戸新田】アク禁豚東京kittyスレ(@w荒178

このエントリーをはてなブックマークに追加
9131/7
「エンシューさん!!」
彼の意識が戻ったとき、傍らで呼びかける者がいた。
実弟でもない、母でもない、全く知らない女性の声である。
まだ夢から覚めていないのか、それとも自分は既に死んでしまったのか分からない。
しかし、その呼ばれている名前に彼自身は違和感を持っていた。
「エンシュー・・・」
思い出せない。いや、正確に言えば自分の名前はそんな名前ではないはず。
もっとしっくりした名前が自分にはあるはずであった。
「エンシューさん。起きてます?」
また、女性は彼に呼びかけていた。
まだ薄い意識の中でその名前を反芻した。
何度反芻してもその名前は、彼の記憶の中で引っかかることはなかった。
「あの・・・ヲレは・・・」
やっとの思いで言葉を発してみる。それと同時に彼の視界が開けてきた。
そして、すべての感覚が彼の元に戻ってきた。
彼はベッドに横たわり、腕には点滴を刺されている。その彼の横には看護婦がカルテを持って呼びかけていた。外を見ることはまだままならなかったが、室内は暗くはなく、蛍光灯の明かりで照らされていた。
「起きましたか?エンシューさん。ここどこかわかりますか?」
看護婦は、普段の事務的な話し方というより、老人にでも話しかけるように、一言一言を区切りつつ大きな声で彼に話しかけていた。