【死ん型】ヤフトピで再び大敗北小蛆スレ404【ブタロット】
552 :
名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:
「イアー、イアー、ハスター。クトゥルフ、ルルイエ、フタグン。」
何語であるかも判らない呪文が、都会のビルの地下室に響き渡る。
天井の高い、おそらく2階分の高さはあるのであろうその地下室は
何本もの蝋燭の揺れる炎に怪しく照らされているのだが、
そのかよわい光は、まるで暗闇に吸収されていくかのようだ。
その暗闇に目が慣れてくると、一方の壁際にリーダーらしき青年が立ち、
両手をかかげ、天に向け祈りを神に奉げているかのように、先程の呪文を繰り返す。
「イアー、イアー、ハスター。クトゥルフ、ルルイエ、フタグン。」
553 :
名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2005/12/12(月) 22:34:57 ID:5//TurwP
その青年は、かなり・・・・・・若かった。
3つボタンのスーツに身をかため、渋谷でナンパをしているような、茶髪、耳にピアス。
ただし、上半身はスーツではなく、素肌に黒いマントを羽織っただけで、
黒人のように日焼けした肌をあらわにしていた。
そのボディは、無駄な贅肉がなく、腹筋もその姿をあらわにしている。
下半身は、おそらく黒いズボンを穿いているのであろう。
暗闇に同化しているように見える。
554 :
名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2005/12/12(月) 22:35:30 ID:5//TurwP
「イアー、イアー、ハスター。クトゥルフ、ルルイエ、フタグン。
今宵、新月の闇のなか、神々のために日頃鍛えし若きシモベの聖なる液を奉げん。」
「今宵、神々のために日頃鍛えし我らが聖なる液を奉げん。」
初めてその青年が日本語の祈りを捧げると、複数の若い男の声がその祈りを続ける。
「美の神アフロデティの化身、公爵アスタロトの使い魔にして、
神々の主食であるショブ・ニグラスに、我らの聖なる液を奉げん。」
この祈りを唱和する青年は5人。20歳前後であろう。
体育会系の短髪もいれば、茶髪のフリーター風や、マジメな秀才学生風など、そのタイプは様々である。が、
いずれにしても、一種張り詰めた緊張に包まれた青年達には、凛々しさを感じさせる。
それは重大な儀式に臨む、若者の凛々しさであった。
555 :
名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2005/12/12(月) 22:36:06 ID:5//TurwP
智之が失った意識をようやく回復しはじめたのは、ちょうどその時であった。
暗闇に慣れていない目は、地下室で空気の動きがないハズにもかかわらず怪しくゆらぐ蝋燭の炎の中に、
このような一種異様な男達の祈りのシーンを認識したのであった。
回復したての意識の中、状況を把握しようと前後を見ると、
智之と同年代に見える4人の少年達が、未だ意識を回復せず、
ある者は学生服のまま、またある者はジーンズ姿など、中高校生の日常の様子のまま床に倒れている。
どうやら智之が一番先に気がついたらしい。
「ここはどこ。どうしたんだろう。」
と思い、立ち上がろうとした智之は、自分の身体に力が入らないことに驚愕した。
動けない。
指1本、動かすことができない。
せいぜい、瞼を開閉し、視線を動かす程度しかできなかったのだ。
556 :
名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2005/12/12(月) 22:37:10 ID:5//TurwP
「ひとり、少年が目覚めたようだ。」
仲間からは「ナイ神父」と呼ばれているリーダーの青年が、
智之の方をを見ることもなく他の青年達に告げた。
「他の少年も目覚めさせよう。」
その瞬間、智之のまわりに倒れていた少年達に意識が戻った。
しかし、その少年達も動く気配がない。
「怖がる必要などナイ。
そなたたちは、今宵、世に生を受けた男児としての、最高の悦びを味わうであろう。」
ナイ神父の方を向いていた青年達が、少年達の方を振り返る。
「わああああ」
声をあげられない智之は、その青年達の形相を見て、身の毛がよだつ思いがした。
いずれも、先程は凛々しかった顔を欲情に歪め、目を血走らせ、
中には口からヨダレを垂れ流している者さえいた。
「キチガイ新興宗教につかまった」
これがその時、智之にヒラめいた思いであった。
557 :
名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2005/12/12(月) 22:37:41 ID:5//TurwP
と、いうことは「イケニエ!!」
まさか!!
しかし、智之達を欲情の眼差しで見る青年達は、とても正気には見えない。
智之は言うことを利かない自分の身体を何とか動かそうとするが、無駄であった。
「動けまい。既にそなた達は、このナイの支配下にある。」
まるで少年達の心が読めるかのごとく、ナイ神父は少年達の近くに寄るでもなく、
あいかわらず両手を天にかかげていた。
「今ここに、神々の主食であるショブ・ニグラスを召喚する。」
すると地下室の一角が、滲んだようにボヤけた。
それは空間にニジミができたように見えた。
その瞬間、智之は強烈な匂いを感じた。
558 :
名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2005/12/12(月) 22:38:14 ID:5//TurwP
人はその匂いを「栗の花の匂い」と形容する。
しかし都会っ子の智也には栗の花の匂いを嗅いだことなどない。
むしろ年頃の少年達には、日常、しょっちゅう嗅いでいる、ごく身近な臭いであった。
そう、あれの臭いだ。
暗闇の中のニジミを良く見ると・・・
「アメーバー」
それが智之の第一印象であった。
透明な液体の塊の中に黄ばんだ白い液状のモノが包まれている。
それが刻一刻と形を変えていく姿が、智之にアメーバーを印象付けさせたのであろう。
しかし、その「臭い」は、そのアメーバーからする。