愚難民恣意(おろなみんしい)
三国時代、魏の国に、残忍で知られる厳溌・厳剌(げんはつ・げんらつ)という兄弟の将軍がいた。
彼らは国境の守備に就いていたが、ある時戦乱によって自国に流れてきた多量の難民が起こした暴動に対して、
兵を出して皆殺しにして鎮圧した。
かろうじて生き残った難民は鬼のような厳兄弟を憎み、また恐れ、「厳鬼溌剌(げんきはつらつ)!」と叫んで抗議の声を上げた。
それに対して厳兄弟は「愚難民恣意(愚かな難民は恣意的であり、勝手気ままに動くから手に負えない)」と、うそぶき取り合わなかった。
この後、厳兄弟は悪と不幸の主であるとして「悪不幸主(おふこうす)」と呼ばれたという。
現在でも、「げんきはつらつ!」という掛け声に対して「おふこうす!」「おろなみんしい」などという言葉を返すCMがあるが、
それはこの故事の名残である。
(民明書房刊「大村昆はどこへいった」より)