【夢はOL】ハッ!耳糞ぶり巻き14バキューム【5Lだけどな】
「亜麻色の髪の孝幸」
〜どんなことをしてほしいの敏史に〜
一点の曇りも無く綺麗に晴れた空。原西は眩しさに手を翳した。
「わ、暑そうやなあ」
原西はそう思って窓を開けた。すると、意外にも心地よい風が原西の顔を包んだ。
「気持ちええなあ…」
原西は空の向こうをぼーっと眺めた。
外出かけたいなあ。誰かに逢いたいなあ。
…
「そや!」
原西は携帯を手に取った。
「もしもし、おとち?今ヒマか?ほう、そか、ほなら今からそっち行くわ」
原西はそう言うと急いで部屋を後にした。
藤本は原西の電話に叩き起こされて頭をボリボリ掻いていた。
「…何や、あいつ…」
何しに来んねや。
わざわざオフの日に、何であいつと逢わなあかんねん。訳わからん。
「取りあえず片すか…」
藤本はそこら辺の物を適当にしまい、掃除機をかけた。
その頃、原西は帽子を目深に被り、バイクではなく電車に乗って藤本の元へと
急いでいた。
駅に着き、原西はある店を探していた。
「…ここら辺そんな店あったかなあ…地元で買うてきた方が良かったんかなあ…」
「…あ、あったあった!」
原西はその店へ急いで向かうと、目的の物を見付けた。
「これやこれ、あいつビックリさせたろ」
取りあえず身支度も済ませた藤本のとこへ、玄関のチャイムが鳴った。
藤本はかったるい声で「はーい」と返事をしてドアを開けた。
そこには満面の笑みを浮かべた原西が立っていた。
「オフのとこすまんな」
「ええから、中入りや」
飲み物を適当にコップへ注ぐと、藤本はテーブルの向かいに座った。
「で、何や」
「これこれ、こっち」
原西は笑顔で藤本を自分の隣に誘った。
「ジャーン!」
原西は後ろ手に隠し持っていた物を藤本の目の前に出して見せた。
「…何やこれ…」
そこには満開に咲き乱れた白いバラの花束があった。
「ビックリしたやろ?な?」
「ビックリするも何も、何でこんなもん買うて来たん」
「いや、俺いつもおとちの誕生日とかに冴えないもんばっか買うて来てたから、
今回は別にお祝いでも何でもないけど、ちょっとええもん見せたかったんや」
「…ま、でも、俺らがここまでやって来れたお祝いっちゅう事で」
原西はそう言うと藤本に花束を手渡した。
「…何か活けるもん探してくるわ」
藤本は呆然としながら席を立った。
暫くして、藤本は薄いグリーンの瓶を持ってきた。
「これ、昔買うたんやけど、やっと使えるわ」
藤本はそれに砂糖を少し混ぜた水を入れ、花束の包みを取って瓶に活けた。
「…綺麗やなあ…」
原西はまじまじとそれを眺めた。
藤本がぼやいた。
「つか、誰か死んだみたいやんか」
「ハハハ、それは一本やんか!」
「そやな、ハハハハ」
ボケツッコミが反対になって、二人は笑いながらテーブルの真ん中に置かれた
それを眺めた。
……
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