【ピンクの】自称天才作詞家 瓢箪万作13章【ボブ】

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[短いけど、第二話]
 知り合いなのだろうかと思ったが、スーツ男は怪訝そうな顔をしている。私は聞き耳をたてた。
よくは聞こえないのだが、どうやら、そのピンク女はスーツ男が座っているボックスシートに座りたいらしい。
どうも、その席を譲れと言っている様だ。当然、スーツ男も戸惑っている。
 どう答えるのだろうと思っていると、突然ピンク女が体勢を崩した。
カーブにさしかかった列車が大揺れしたせいだろう。すると、スーツ男は当然のようにそのピンク女を抱き抱えた。
同時にピンク女の髪がスーツ男の顔をかすめたのだろうか、男は気持ちの悪い喘ぎ声をあげた。私の眉間に深いしわが刻まれる。
 さらに、スーツ男は暫くピンク女を抱き抱えたままぶつぶつとつぶやいている。女は女で髪を耳にかける仕種をくり返すだけで、離れようともしない。
「なんなんだ、この電波どもは」
 口にはだしていないつもりだったが、無意識につぶやいていたらしく私は慌てて顔を背けた。
 しばらくして、そろそろと視線を戻すと、なんとピンク女がスーツ男と同じボックスに腰掛けている。
 なんだよ、この展開。私はこの状況にだんだんとはまりつつあるようだった。