元893の元女 part 42

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いろいろな明るさのX線連星からの放射を系統的に調べたところ,
落ち込むガスの量が減ってくると,ガスの落ち込み方が変わり,
あまり摩擦が起きなくなるらしいことがわかってきました。
こうなると降着円盤からの放射は極端に減ってしまいます。
ブラックホールの場合,降着円盤からの放射がなければ,
ガスはそのままブラックホールに飲み込まれるだけです。
ところが中性子星の場合には,ガスがその表面に衝突する際に
高温になるため,X線で明るく輝きます。つまり,
暗い状態を観測すれば,両者の顕著なX線強度の違いから,
ブラックホールと中性子星が区別できると期待されます。
そこで,「あすか」で,13個のX線連星の暗い時期の観測を行い,
そのX線光度の決定が試みられました。
中性子星を含む連星は,ブラックホールを含むと考えられている
連星より明るいことがわかります。X線光度が上限値しか
求められていない連星は,実際にはもっと暗いと考えられます。
また,ブラックホールを含むと考えられている連星で
検出できた2天体は,落ち込むガスの量が
十分小さくなり切っていないものと考えられます。
つまり,暗い時期のX線光度を比較すると,中性子星と
ブラックホールでは大きく異なることが観測から示せたことになります