広島県府中町の安芸府中郵便局が、同町の自営業の男性あてのすべての郵便物あて書きを約一年半にわたって無断でコピーしていたことが二日、分かった。
男性は約二十年にわたって郵便物の不着が頻発しているとして、同郵便局に抗議を繰り返していた。
郵便局側は「複数回にわたり不着があったとの厳しい申し出があったため」と釈明しているが、「お客さまの了解を得ずにコピーをしたのは、プライバシーの保護の観点から問題があった。おわびしたい」としている。
日本郵政公社中国支社も「問題がある」として、事実関係の詳細な調査に乗り出した。
関係者らによると、今年五月中旬、町内の商工団体が男性に出した郵便物が届かず、男性は電話で同郵便局に抗議。この際、郵便局側は「(男性の郵便物)すべてコピーをとっているので確認する」と回答した。
六月二日には、同郵便局職員が男性宅を訪れ、付着となった郵便物の表書きのコピーを見せた上で、「平成十五年一月からコピーして配達状況を確認させていただいております」との郵便課長名の文書を示した。
男性は「プライバシーの侵害ではないのか」と憤慨。六月二十四日に同郵便局長にコピーの中止と引渡しを求めた。郵便局側は「それまで錠付きの金庫で保管していたコピーをシュレッダーで廃棄する」と説明したという。
男性によると、郵便物の不着に気付いたのは約二十年前。その後も年に数通のペースで不着が続き、その度に苦情を届け出たという。産経新聞の取材に対し、同郵便局は事実関係を認めたうえで、「コピーはすべて廃棄した」と説明している。
男性宅へは、毎日数通のペースで郵便物が届くといい、男性は「家族の手紙がすべてコピーされていたかと思うと気持ち悪い。私が、いいがかりをつけていると考えたのでは。許せない」と怒りをあらわにしている。