簡易保険不正契約 5年で120件/中国地方 '03/1/15
郵便局職員による被保険者の同意を得ない簡易保険の不正契約が、中国地方で過去五年間で
計百二十件に上ることが十四日、分かった。保険料を支払う契約者の承諾は得ているが、法
が義務付ける被保険者の同意がないケースが多い。中国郵政局(広島市中区)は関係職員を
処分し、保険料を返還。不正防止対策の強化に乗り出している。
中国郵政局によると、被保険者の同意を得ていないため無効となった契約の件数は、一九九八年度
から目立ち始めた。二〇〇〇年度は四十四件、〇一年度は四十二件に達した。本年度も四十件
を超えるペースという。
不正契約は、簡易保険の中で取扱量が最も多い「養老保険」が中心。お年寄りら契約者の承諾
はもらう一方で、家族ら被保険者の同意を得ずに契約を結ぶケースが多い。簡易生命保険法
では申込書の被保険者欄は本人による記入が義務付けられているが、職員が書き込むなどしていた。
中には一人の職員が、被保険者と面接しなかったり、加入限度額を超えたりして、二年間で
八件の不正契約を結んだケースがあった。さらに被保険者の印鑑を購入して局員が押印した
悪質な行為もあった。
ほとんどは、契約の内容確認の書類を受け取った被保険者の抗議で判明。中国郵政局は関係
局員を減給や戒告の懲戒処分にし、保険料は返還した。しかし、関係職員数と返還金総額は、
明らかにしていない。
各郵政局は毎年度、局ごとに保険契約の目標額を設定。広島県西部の郵便局職員は「目標達成
のため一日一件の契約が実質的なノルマ。不況で契約がとれず、自分が契約者になるなどの職
員もいる」と証言する。
中国郵政局は「一部職員の法令順守の認識が不十分だった。再発防止に全力を注ぎたい」と陳謝。
「ペナルティーのあるようなノルマはなく、局目標が背景とは考えていない」として、職員指導
と郵便局での申込書の点検を強化している。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn03011532.html