「私がうまくやりますから、一切任せてください。税務署には絶対にわかりません」。
東京都世田谷区の郵便局員が二年前、郵便貯金の口座を持っていた貯金者が亡くなったその日、
遺族のもとを訪れ、こういったという。遺族はその局員に貯金証書を預け、相続財産の貯金
約一千万円を税務申告せずに隠していた。国税当局が指摘した郵便貯金などの所得隠約二十件の
うち半数は、利用者の相続税の申告に絡むものだった。
名古屋市のある郵便局長は、死亡した家族名義の定額貯金について、「税務署は把握できない」と
所得隠しをアドバイス。また、長野県上田市の郵便局では、局員から「郵便貯金には税務調査が及ばない」と
持ちかけられた遺族が、死亡した家族名義の銀行預金約三千万円を遺族名義の郵貯口座に移したうえ、
簡易保険に切り替えて、相続財産を隠していた。
貯蓄性の高い養老保険など簡易保険を使った手口は他にもあり、熊本市内の郵便局では、
局員から、「郵貯を解約してしまえば、税務署には見つからない」と言われた女性が、
泣くなった夫名義の郵貯を解約して簡易保険の形に変え、税務申告していなかった。
また、岡山県笠岡市の郵便局員が働きかけて、家族の死亡保険金数千万円を架空名義を
含む六口座に分散させたり、大阪市の郵便局でも、会社社長の貯金残高が限度額の
一千万円を超えたため、知人の郵便局長が自分の名義を貸して、限度額オーバーの
貯金を預かっていたりと悪質なケースは枚挙にいとまがない。
郵政関係者は、こうした不正行為について、「二〇〇〇年に定額貯金の大量解約の
不安があり、貯金確保のために無理な勧誘に走ったのではないか」と指摘する。
また、定額貯金の新規獲得には貯金額の約0.34%が「利用貢献手当」として
局員に支払われているため、この手当欲しさのために、不正と知りつつ限度額を
超えた貯金を受け入れられていた疑いがあるという。
154 :
〒□□□-□□□□:02/11/01 23:40 ID:9G3wFHi/
郵便局側が「老人マル優」の不正利用や所得隠しに加担していた実態を突き止めた
国税当局は、郵政事業庁に対して異例の順法要請を行ったが、これは国税当局による
「厳重注意」の意味合いを持つ。
国税当局は昨年、京都貯金事務センターで多額の源泉徴収漏れを発見したことで、
全国的な税務調査に乗り出し、老人マル優の不正利用や非課税限度額のずさんな
管理がまん延していた事実をつかんだ。
郵便貯金を巡っては、一九九四年、郵便局が、業者から多額の資金を小口分散して
貯金口座に受け入れ、脱税を手助けしていたことが次々と発覚。旧郵政省が貯金受け入れの際、
窓口での本人確認を徹底させ、不正貯金の一掃を指示するなどの対策を打ち出した。
しかし、今回表面化した貯金者の所得隠しでも、仮名、借名口座の悪用が改まっていない
ばかりか、郵便局側が加担していたことも明らかになり、国税当局が郵便局の不正体質に
しびれを切らした格好だ。
簡易保険を使って相続財産を隠していた手口も複数見つかったが、ある郵便局員は、
「保険セールスには、毎日契約を取ってこいと言われるほど、厳しいノルマが課せられている」と
証言する。ノルマを達成するためには、所得隠しに手を貸してでも契約を増やそうと
していた姿が浮かぶ。
郵貯が脱税マネーの温床と指摘されて久しい。郵政当局が改めて不正行為の再発防止を
図るのは並大抵のことではない。今回の事態をまず真剣に受け止めなければ、
汚名返上はかなわない。
読売新聞 平成14年11月1日(金曜日)36面 手打ち入力
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〒□□□-□□□□:02/11/02 04:45 ID:UzpQG324
郵貯利子の税逃れ、2郵便局長の処分が判明
郵政事業庁は1日、各地の郵便局が2000年に払い戻した郵便貯金の利子
にかかる税金を徴収していなかった問題で、広島県内の郵便局長に今年3月に
停職1か月、福岡県の郵便局長に対し、2001年6月に訓告とする処分を
行ったことを明らかにした。
事業庁の調べによると、広島県の局長は65歳以上の高齢者などの貯金の
利子を非課税とする「老人マル優」が適用される預け入れ限度額(350万円)
を超えていることを知りながら、架空名義を含む貯金者の三十数口座を「マル優」
扱いにし、解約時に源泉徴収しないまま、支払いに応じていた。福岡県の局長も
貯金者が非課税限度額を超えているのを知りながら貯金者の依頼に応じて全額
非課税扱いにし、源泉徴収していなかったという。(読売新聞)
引用元
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20021102-00000501-yom-soci