本県有権者が民主党候補を知事に当選させなければ、政権党の力を
使って県民全体に不利益を与えると脅した、まぎれもない恫喝
(どうかつ)発言である。われわれは、断じてこれを許さない。
有権者には憲法で保障された投票の自由がある。政党が有権者に
対して、特定候補に投票しなかった場合には報復措置を取ると示唆して
脅すのは、この権利を踏みにじる行為だ。民主主義を否定する暴言を
吐いた石井氏の政治家としての資質を問わねばなるまい。
民主党は知事選で、小沢一郎幹事長が「(民主候補を知事に選べば)
高速道路を造ることもできる」と述べるなど、大臣や党幹部が露骨な
利益誘導発言を連発した。それは、かつての自民党の利益誘導政治と
何ら変わらないという点で、国民の政権交代への期待を裏切るものだった。
石井氏の発言も利益誘導路線の延長上にあると考えられるが、有権者へ
の恫喝にまで発展すれば、これはもう、利益誘導とは次元の異なる悪質
な暴言と言うしかない。
本県有権者の価値観は多様で、支持する政党も、誰に投票するかも、
人それぞれだ。それでも、われわれは選挙結果を粛々と受け入れ、
みんなで尊重していく。それが民主主義だ。これからも、与えられた
1票を大切に行使しながら、この長崎の地で、民主主義を守り、
より良い政治を実現すべく地道な努力を続ける決意である。それが、
有権者恫喝発言を行った石井氏に対する、われわれ長崎県民の答えだ。(高橋信雄)
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/ronsetu/10/012.shtml (2010年2月25日長崎新聞掲載)