豊中市で建設中の地上50階建ての高層マンションの建設現場で、
19階部分の柱1本のコンクリートやタイルがはがれる事故があったことがわかった。
柱の継ぎ目を接着するセメント系の材料を一部注入し忘れるミスがあったのが原因。
施工している竹中工務店(本社・大阪市)は「安全性に問題はない」と説明。
補修工事をして、予定通り09年6月末までに完成させるとしている。
マンションは北大阪急行千里中央駅のそばに建てられている「ザ・千里タワー」。
高さ約160メートル、総戸数は356戸で、販売価格は約3千万〜2億円。
豊中市などが進めている千里ニュータウン再整備事業のシンボルに位置づけられ、ほぼ完売している。
関係者によると、14日午後2時すぎに、「ドン」という音と揺れがあった。
竹中工務店が建物内を調べたところ、19階の南側の柱(約90センチ四方)のタイルなどが
継ぎ目から上下約15センチずつ、最大で厚さ5センチほどひび割れて、はがれていた。
工場でつくられた柱の部材を現場で組み立てる際、接合するために高強度の充填(じゅうてん)材を
2回に分けて注入すべきところを1回しか入れず、継ぎ目から差し込む6本の鉄筋の穴のうち
2本分しか埋まっていなかった。
同社によると、上層階の工事が進むにつれて重さに耐えきれなくなり、約2・5センチ幅の継ぎ目が1・7ミリ縮んだという。
事故後にすべての接合面を確認したところ、注入忘れはこの1カ所以外になかった。
同階で作業手順を変更したために「うっかり忘れていた」という。
同階には柱が36本あり、構造計算上、安全性に問題はないという。
同社は高層ビルの安全性に関する国土交通大臣認定について、検査機関に補修内容を届け出て再度評価を受ける。
17日に事故の報告を受けた豊中市建築審査課は、今後の調査結果や補修工事に問題がないかどうかを確認、指導するとしている。
再整備事業とマンション販売を進めている住友商事によると、契約者には既に事故の概要を通知。
不安を持った購入者との契約の解除には応じるとしており、これまでに数件の申し出があったという。
同社は「補修で同じ安全性能を持った物件とし、資産価値は変わることはない」としている。
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