俺は部活の練習から上がって、今日も自分が作った投球場で練習した。
右上 カーブ…
左下 ストレート…
俺は球が遅いから、せめて畠君の言うとおりの場所に投げれるようになりたい…。
俺は三星学園の野球部エース。三橋廉。
エースといってもひいきでやらせて貰ってる…。
それは俺のおじいちゃんが三星学園の校長だから…だと思う。
監督は俺だけ君で呼ぶし。
俺せいで三星の野球部はずっと負けまくりだった。
明日は大切な試合。
俺が出ず、控えピッチャーの叶君がでればきっと三星はいい試合ができる。
でも、俺はマウンドが大好きだ。
誰にも譲りたくない。譲れない。
俺だけの場所であって欲しい。
そんなわがままが、みんなを楽しく野球することを奪っているってずっと分かっているつもりなのに…。
九分割のストライクゾーンはもう試合でも十分使えるようになっていた。
今昨日の家での練習も合わせて100球目だけど、外した球は一個もない。
ここまでくるのに気が遠くなりそうな毎日だった。
60球に一回はストライクゾーンからはみ出してしまう時期が一番辛かった。
自分の集中力のなさを嘆いた。
100パーセント出来なければ意味なんて全くない…
畠君のリードに従えなくなってしまう。
でも俺は今、九分割を物にした。
明日、畠君に言おう。今日から九分割で投球の指示だしてくれって