イメクラ嬢三橋。
>>168 「雇われ店長でしたけどそれなりに給料はもらってたんで、半分はキャッシュで払って、残りはローンで返したんです」
それでも200万で済んだんです、と阿部は軽く言って笑う。
頼もしい男だな。
「そうか…大変だったな」
「もちろん金は三橋…レンの本名ですけど、三橋に体で払ってもらってるんです。あの店で働いて」
「がんばって、働いて、ます」
そこ笑うところじゃないよ、レン。そんだけ働いてたらもう返し終わってんじゃねえの?なんて邪推する俺は汚い大人ですか。
「あの、つかぬ事をお聞きしますけど…あの黒人のビリー…さんは?」
阿部は立ち上がって、背伸びをする。
「ビリーは出稼ぎの従業員です。もうビザが切れて、帰りましたけどね。どうやら彼の娘さんに三橋が似ていたらしいんですけど…本当かな」
レンが俺の腕を掴んでゆする。
「び、ビリーは、すごくいい人で、俺のこといっつもしんぱい、してくれてて…俺、いつも、助けてもらってて」
金ダライは…そういう意味だったのか。よく客から訴えられなかったな。
「じゃあ俺、店に戻ります。俺さん、どうします?」
「ああ、俺は、」
「阿部くんっ!おれ、今から店に、いく、よっ!」
阿部は少し意外そうに目を見開いて、そうか、と短く呟いた。
「俺さん、まだあのお店で俺のこと、指名してくれます か?」
レンも立ち上がって俺を見る。
「ああ、もちろん」
だって、俺は君に一目ぼれしたんだからな。
「おれ、もっと、もっと、働いて、ちゃんとお金を返して、俺さんにふさわしい男に なります。だから、もうちょっと、待っててくれますか?」
レンが俺に手を差し伸べる。
俺は釣られてその手を取った。細い体のくせに、とても肉厚で力のある手だった。
「俺の、だいじな、お客さんで、いてくださいっ!」
ああ、俺はレンの一番の客になるよ。
レンが働くのを、ずっと見ていてあげるよ。
俺だってレンが大好きだからな!