イメクラ嬢三橋。 *エロ無し注意 *三橋不在注意
すまない、今日はこれだけ。
昨日も今日も、レンはイメクラ店を休んでいる。
帰り際、阿部に聞いてみた。
「明日は、来るかな?」
「さあどうですかね。うちとしても指名No1が無断欠勤ってのはきついんですよ」
阿部は苦々しくため息をつく。
「明日、電話いただければレンが来ているかどうか教えますよ」
阿部はそう言って安っぽい名刺を俺に手渡した。
「ありがとう」
そう言えば俺はレンの素性をなにも知らないんだった。
連絡先一つ、知らないんだ。
客と風俗嬢。
レンの言った言葉がいまさら胸を突いた。
次の日、就業時間と共に休憩室に突進し、携帯から店に電話をした。
『お電話ありがとうござい』
「俺だよ、俺」
『ああ、俺さんですか。レンは…すみません、来てないんです』
「どういうことだよ」
俺はイライラとタバコを吸いつつ、休憩室に入ってくる上司に頭を下げる。
『俺からも電話してるんですが、出ないですよあの野郎』
「行方不明なのか…!」
『いや、俺と住んでるんで。ただ出勤時間になると、押入れから出てこないんです。いくら怒鳴ってもなだめても餌で釣っても』
…こいつと一緒に住んでるのか。いや、変な想像はしちゃだめだ。
「お前んち、住所は?」
『…書くもの、ありますか?』
俺は阿部に言われた住所を会社のパソコンで調べ、だいたいの位置を確認した。
仕事は残っていたが、これ以上レンのいない生活は俺には無理だ。
いや、今を逃したらもうレンと会えないかもしれない。
そんな不安に背中を押されて、俺は地下鉄に乗り込んだ。