207 :
抜いたら負けかなと思っている:
会社から帰ったら、銀ちゃんが両手一杯に桜の花びらを持っていた
俺が『銀ちゃん、綺麗だね。どうしたのそれ?』って言ったら、
銀ちゃんが『風に散って可哀想だったからぁ、地面に落ちる前に助けてあげたのぉ』って言うんだ
俺が『銀ちゃんは優しいね。この桜の花びらもきっと喜んでいるよ』って言ったら、
銀ちゃんが『ううん、私なんてぇ全然優しくなんかないわぁ』って寂しそうに言うから、
俺は『銀ちゃんは優しいよ。きっとその桜にも銀ちゃんの優しさは伝わってるよ』って言ったんだ
銀ちゃんが『でもぉ、この子達しか救えなかったのよぉ?』って手の中の花びらに涙を零すから、
俺が『大丈夫だよ。銀ちゃんがあげた優しさの分だけ、来年その桜も綺麗に咲いてくれるよ』って言ったら、
銀ちゃんが『本当に綺麗に咲いてくれるぅ?』って手の中の花びらに聞くんだ
そしたら不思議なことに銀ちゃんの涙に濡れた花びらが、キラキラと輝きながら宙を舞い踊ったんだ
俺と銀ちゃんは桜の舞い散る中、幸せの奇跡が花開くことを信じて、優しくキスを交し合ったんだ
もちろんその夜は、俺の太い幹が銀ちゃんの桜色のに包まれて朝まで百花繚乱だったんだけどね