【大沢たかを】深夜特急【NO HURRY NO WORRY】

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593ガール ◆bswrhNLi8.
朝食を済まし、とりあえず宿に戻った。
部屋は三階にあって階段で昇るのだが、そこにまだ年端のいかない子供たち、それも
女の子が五人くらい宿の手伝いをしている。この国ではこんな子供が働いているのか。
子供たちの表情は決して明るくない。別段その事についてその時に僕は考えはしなかった。
途上国、あまり裕福ではない国のごく当たり前の姿なんだろうと理解しただけだ。

部屋の外の廊下の窓からすぐ大通りが見え、交通量も激しく、けたたましく
街が活動している。ふとほんの二十四時間前は関西空港でひとり心細く不安にうろちょろ
していたのに、今は違う国の、これはなかなかにディープというわけでもないけど
このカオサン通りという特異な街の片隅に身を置いている、ということが胸の内で不思議に思えた。
あれー、なんかこんなこと、あの沢木氏も香港の最初の描写で書いてたな。
あの沢木貫太郎氏が。でも、そんな感じなんだよなー。