【青い葡萄の実】松田聖子 29【唇を寄せる少女】

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238昔の名無しで出ています
初めてのあかちゃんに無我夢中だった。

ろくに眠らず、夜鳴きもひどかった娘。


へとへとに疲れはてて、抱っこでゆすりながら
「あんたはママを苦しめたいの?ほんとにひどい子だ」
と悪態をついた日々。



赤ん坊の気持ちなんて、全然わからない。

母親の自信なんて、みじんもない。
ただ、もがくだけの日々。



あれから数年たって、娘は五歳になった。

「あのね、ママ」(もじもじ)

「なぁに」

「あたしね、ママのこと、生まれたときからすきだったの」


あの頃の私が一番聞きたかった言葉。

やっと聞けた。
こっそり台所で泣いた。