10月6日(161回)
磯島医院の裕起枝の部屋に修三が来ている。長島から見舞金が届いたことを初めて知らされた裕起枝。
あの男(長島)と出会ったのも、裕起枝が借金を頼んだのも因縁なのだろうか・・・と話す修三と裕起枝。
場面変わって、謙吾の役場。修三が、志摩での就職を世話してもらうために来ている。謙吾はなにやら、
修三と裕起枝との仲を心配している様子。「(裕起枝とは)なんの関係もありませんよね・・・?」と、
謙吾から遠慮がちに聞かれて、思わず咳き込む修三。
謙吾から、養殖真珠の仕事を紹介してもらい、その仕事場へ謙吾とともにやってきた修三。
そのとき、一人の男がスパイと疑われて連れてこられる。みると、美村礼二である「この人は怪しい人じゃない。
銀座で、真珠店を経営していた人だ」と、修三。
氷屋で、修三と礼二が向き合って座っている。礼二はかたくなな表情のままである。荒れた様子で酒を飲み、
「これ以上かまわれるのは迷惑です」、そういって去っていく。
真知子が倒れたと聞いて、水沢家に草薙校長が見舞いに来る。茶の間で謙吾の母と話している校長。「二日酔いとはね・・・」
真知子の部屋には、すでに修三が来ていて、礼二に会ったことを話している。
礼二にその気がないなら、(蘭子と会う気がないなら)自分には何もできない、という修三。
真知子の「両親を亡くし、兄弟もない私は、一人ぼっちです。どんなに遠くても、自分を待っている父や母がいたらどんなに心強いか・・・。
蘭子さんに知らせてあげてください」と、修三に言っている言葉が、校長に聞こえてくる。
東京。蘭子の店。担ぎ屋の女たちが、綾から手入れの情報を聞き、あわただしく荷物を背負って出て行く。
急にスッカラカンになった蘭子の店。
蘭子に、礼二のところに行くように勧める綾。「行くのよ。あなたが行かないで、誰が(礼二さんを)見つけてやるの?」
そのころ、志摩では、校長が真知子を訪ねてきていた。
「代用教員?私がですか?」 161回終わり
10月7日(162回)うーん・・この日の分は長くなりそうだけどな・・・。
草薙校長の持ってきた話は、真知子に代用教員を頼めないかというものだった。
磯島医院の裕起枝の部屋で、みかんをむいている真知子。「どうして断ったの?自身がない?」と、
裕起枝に問われてうなづく真知子。「はじめから自信のある人のほうがおかしいんじゃないかしら」
自分も教員になりたかったが、父に反対された。自分の意思を貫き通さなかった弱さが、結局、こういうことになった・・・と、言う裕起枝。
真知子の足は、ひとりでに分教場に向かっていた。教師という仕事に興味がないではなかったが、やはり、自信がなかった。
教室でオルガンの前に座り、「あかとんぼ」を弾く真知子。そっと近づいてくるのは、貝の首飾りをした、あの、里子という少女。
真知子が、里子に気がつくと、里子は逃げようとする。「きれいな貝殻ありがとう」と声をかけるが、走り去る里子。
教室に貼り出されている子供たちの絵を眺める真知子。そのなかに、黒と赤に塗りつぶされた絵が、一枚ある。
「それは、内野里子の絵や」いつの間にか草薙校長が立っている。里子は、内野夫婦の実の子供ではない、船着場で泣いていたのを
拾ってきて育てているのだという。その絵は、どこぞの空襲の絵らしい、よほど、怖い目にあったらしい、と校長。
そして、代用教員の話を、考えてほしいと言う。どこかで、自分を待っている人がいたら、どんなに心強いだろう、と
言っていた真知子の話を聞いてしまった、「たとえば、あんたが、誰かのためにそういう人になってやること、できるんとちゃうか?」
就職を知らせるため、春樹が志摩へ戻ってきた。水沢家座敷で、春樹、真知子、ほか数人で食事会。謙吾母は、なぜかぶりぶり。
春樹が名古屋で就職してしまったら、婚約者である春樹と真知子は、もう一生会えないかもしれない、少しでも、二人きりにしてやろうと
思いやる人はおらんのか、そう言って、大声で泣き出す謙吾母。
246続き。
東京では、綾が、ふと、とある飲み屋に入っていく。
カウンターに座り、店の主人に愚痴をこぼす綾。
「自分の男を別の女にゆずった女がいてさ・・・。でも、誰もあたしのこと、ほめてやる人いないじゃない?
だから、自分に言ってやりたいじゃない?よくがんばったね、よく決心ついたね、って」
そこへ、奥から、本当の店主があらわれる。どうやら、さっきから、店の主人のように振舞っていたのは、
空き巣のようである。金をカウンターに置き、「その酒、俺のおごりだ」と、言いながら逃げていく。
「あたし、空き巣に愚痴こぼしてたの?」ボーゼンとする綾。
志摩へ向かう列車の中には、蘭子の姿があった。夫、美村礼二と再び会うために・・・。
志摩の朝。水沢家台所で、真知子が食事のしたくをしている。
起きてきた春樹は、「なんだか、その姿・・・」と、エプロン姿の真知子を見て、ちょっと照れる。
「手伝います」腕まくりをして、真知子と一緒に台所に立つ春樹。
「わたし、分教場の話、受けてみようと思います。どうなるかわからないけど、できる限りのことをしてみようと思って・・・」
という真知子に「がんばって」と答える春樹。
火にかけた鍋がふきこぼれて、あわてる二人のツーショット。
162回終わり。