〜杉浦幸〜ヤヌスの鏡 Part3

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276名無しさん@お腹いっぱい。
小沢、この手紙に君が目を通す頃、私は九州に向かう列車の中にいるだろう。
小沢、君と別れる事は、身を切られるようにつらい事だ。
だが先生はあえて、君と別れる事を選んだ。
それはなあ小沢、先生は小沢に、
17才の青春をまるごと返してあげたいと思っているからだ。

17才の君には、17才の出会いが必要だ。
その出会いが青く未熟で、それ故にこそ傷つく事が多いとしても、
それもまた、君が引き受けなければならない17才の世界ではないだろうか。

小沢、君は昼と夜との二つの世界の中で、様々な出会いと別れを知ったはずだ。
その出会いと別れも、また深く心に刻みつけてほしい。
彼たちも、彼女たちもまた、君と同じように沢山の自由を求め、
魂を熱く熱く焦がす事を求め、それが故に深く深く傷ついた戦士たちなんだ。
277堤先生の手紙:2006/12/14(木) 15:45:50 ID:WVYkF2XV
>>276の続き


人間に絶望するよりも信頼することだ。絶望は何も生み出さないが、
信頼は君自身の生きる勇気になるだろう。
自由の戦士の苦悩と喜びを知った事こそ、
君にとって、何よりもかえがたい貴重な経験になるだろう。

小沢、君はそれら全てを、君の想像力の翼として、新しい出会いを求めてほしい。
いつか、君にふさわしい出会いが得られるまで、
賢い目と優しい心を持って、多くの人間と出会ってほしい。

小沢、君は今、裕美の心とユミの心を重ね合わせて、新しく生まれ変わった。
先生は、生まれ変わった君の人間としての力を信じてる。
人間としての力とは、この世の悲しみを全て引き受けて、
なおかつ、健やかな笑顔とともに、生き続けていく事だ。

小沢、さようなら。

小沢、先生は、小沢に会えた事を感謝している。さようなら…。

堤先生…。さようなら…。さようなら…。

1986年 4月16日
小沢裕美 17才
君の人生はまだ 始まったばかりだ