1 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
昭和55年に放映された八千草薫さん主演のドラマ、「熱い秋」を覚えている人はいますか。
これから始まる2CH生活の中で沢山キリ番ゲットするでしょう。
だけどこれほど簡単に2をゲットできる瞬間は他には無い。かな
ζ
,,.-‐''""""'''ー-.、
,ィ" \ やった波平が3ゲットじゃ!
/ `、 ボケどもが・・・わしの部屋に来なさい!!
,illlllllllllll i
r'-=ニ;'_ー-、___,,.ィ‐‐-,,_ _|
>>1いたずらばかりしおって!
| r,i ~`'ー-l;l : : : `l-r'"メ、
>>2本当にけしからん奴じゃ!
ヾ、 `ー‐'": i!_,l_ノ`
>>4お前も反省しなさい!
| ,:(,..、 ;:|/
>>5今日という今日はかんべんならん!
| ,,,..lllllll,/
>>6いい気になりおって!
/ `::;;. '"`ニ二ソ
>>7このままではろくな人間にならんぞ!
/7 ゙゙:`-、;:;:;;;:;:;:;;/
>>8バッカモーーーーン!
,,.ィ"`:、 "/;:`ー-:、.._
>>9さよう、母さんのいうとおりじゃ!
‐'":;:;:;:;:;:;:;:\ . : :;: . ;/;:;:;:;:;:;:;:;:;:~`'''ー--:、,,_
4 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/01 14:14 ID:n0+SH7pT
第1話で八千草薫がレイプされる(未遂?)場面があったような気が…
1987年に津軽から転校してきた河野君子が一流私立高校の男にレイプされるという場面が(以下略
6 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/01 20:09 ID:yoYB53N+
自分の記憶では、アフリカへ夫と一緒に赴任していた奥さん(八千草薫)が帰国を目の前にしたある晩、現地人の強盗に家に侵入される。そして夫は殴られて失神し、二階の寝室に逃げ込んだ八千草はそこで強盗に…という内容だったのを覚えてる。
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/02 21:37 ID:Jv9exqGJ
ううっ、何をされたんだ八千草薫!
いろんな想像をしてしまうよ、誰か知らないか?
8 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/03 23:14 ID:wOlSNp8H
究極の美熟女レイプ!
9 :
ラジオ関東:03/04/04 00:49 ID:KPGqL1vJ
国広富之と竹下景子も出てた。坊ちゃん役の国広はいとこかなんかの竹下をこともあろうに「宇宙人」(なんつーあだ名だ)と呼んでた。
音楽担当はフュージョンブームで売り出し中の「ネイティブサン」
八千草が本当に手込めにされたのか? でダンナも真実がわからずに苦しむ、夫婦間に亀裂が生じる。重い出だしですね〜。
11 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/04 17:49 ID:1JodDc7P
ところで、八千草香はほんとにレイプされたの?
?
???
14 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/05 00:25 ID:+RFex0kt
夫婦間の亀裂の結末はどうなった?それと、八千草薫はやっぱり強盗に犯されていたのか?
15 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/05 15:40 ID:rDqY7pTx
16 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/05 21:53 ID:LVD+eW5R
こ、こんな場面が本当にあったの?結構リアルに見えるけど…
17 :
ラジオ関東:03/04/05 23:22 ID:UoA7ozp4
>>14 いやワリイけど「熱い秋」について覚えてんのは 9 で全部。
18 :
山崎渉:03/04/20 00:59 ID:ZmWQwAtB
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
19 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/04/27 10:11 ID:Zu/WgLmO
age!
20 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 05:20 ID:1ZGloNsH
あげ!
21 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 07:13 ID:zVr2WGEY
強盗は一人?複数?
いずれにしろ、美しかった時の八千草薫が、
どんな風にヤラれてしまったのか?
あぼーん
23 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/06/21 01:04 ID:gz0yAYJT
あげ
24 :
山崎 渉:03/07/15 11:40 ID:vinlrhnr
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。
黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。
(黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。
また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。
「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。)
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。
あぼーん
27 :
:03/08/09 20:03 ID:akRSWo/a
岸辺のアルバム
家族の神話
も八千草薫さんだよね
あぼーん
あぼーん
30 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/21 01:32 ID:2P0aJfK2
八千草薫のレイプシーンについてもっと詳しく教えてよ!!もしくは岸辺のアルバムでのベッドシーン!?(あれば)
31 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/25 10:52 ID:E2tO6sqd
八千草は岸辺のアルバムで着替えシーンの時に上半身ブラジャーだけの
姿になってる。さらに夫に強制的に犯されるシーンが2回あった。
「ああっ・・ああ・・・」という悶え声が聞けるぞ!
32 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/25 22:59 ID:8p8nQi+b
>>31 サンクス!うぉー!八千草薫のブラジャー姿か、想像しただけで萌えて来る!
それって、ただの着替えのシーン?それとも竹脇とひとしきりヤリまくって、
その後のシーン?後者だったら詳しい情報きぼーん。
33 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/25 23:23 ID:9OwDWclI
>>32 竹脇とやった後に帰宅した時の着替えシーンでした。ブラジャーは白です。
34 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/25 23:37 ID:8p8nQi+b
ドラマのレイプシーンスレでこのスレの紹介があったので来ました。向こうも熱い秋
で盛り上がっていました。でもイマイチ情報が乏しいのでいい情報教えて下さい。
今のところよく分かっていないのは。
・実際に八千草薫が犯されてピストン運動されている最中のシーンはあったのか
・パンチラなどはあったのか
・妊娠、出産の話まであるがほんとうか(岸辺・・であったのは中田喜子だったらしい)
ヨろしく!
35 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/26 00:19 ID:wcWclbwX
>>33 たびたびサンクス!
竹脇との濡れ場ってどの程度のものがあったんだろう。TVガイドで二人が
今にも抱き合うところのシーンの写真は見たことあるのだが。
本(原作)ではホテルの部屋の中で抱き締められたところで描写が終わるんだよね。
スレちがだろうが、同じ薫ちゃん系ということで・・。
36 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/26 00:32 ID:wcWclbwX
阿修羅のごとくも八千草薫でてたよね。あれはセクスシーン無いの?
37 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/26 09:03 ID:sfBXQLsb
38 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/26 22:35 ID:mKF6hT9G
>>37 モロじゃん!!どう言う理由でこんなヒゲ野郎にあの清楚なイメージの八千草薫が
レイプされてしまったんだ?
39 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/26 23:35 ID:mKF6hT9G
>>38 あの当時はどういう訳かレイプモノがはやった。田中裕子のザ・レイプもこの頃ではなかったか。
おそらく女優間にレイプを演じたら私が上みたいな風潮があり、考えれない女優がレイプ
されている。八千草薫しかりだが、三田佳子や司葉子が堂々とレイプを演じていた。
だれか画像を下さい。
40 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/27 02:07 ID:zfd9V4In
>>35 八千草薫と竹脇無我
抱き合う→ディープキス→スカートのホック外されスカート床に落ちる→
あのオープニングテーマが流れる中、毛布の中で二人が裸で抱き合って、
竹脇は薫の首筋に激しく接吻し、薫は悶えまくる→コトが終わって、薫が
竹脇の腕枕で余韻にふけっている。
41 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/27 15:45 ID:8xLb6wcS
>>38 八千草薫さんが黒人にレイプされるまでのくわしいストーリーを知っている人がいれば、書き込みをお願いします。
42 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/28 01:27 ID:0yoWo5eM
>>39 当時はスタッフが女優を説得するガッツがあったんだよ
八千草薫も岸辺のアルバムでの不倫主婦の役はイメージが悪いって嫌がったんだけど
脚本の山田太一が「このキャラはあなたが演じることで価値が出るキャラだ」と
必死で説得して出演承諾させたそうだ
44 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/29 00:49 ID:Kyrd0MB+
>>43 そういえば何かの記事に、八千草をキャスティングする際、あんな白いパンツを
はいていそうな女優に勤まるか、という声が出たそうだ。
だが実際はその白いパンツのイメージが逆にキワドさを増幅し大成功したんだけどね。
ところで
>>40さん、その時それこそ白いパンツ(パンティー)は見えたの?
濡れ場そのものはあったような記憶があるんだけど・・。
45 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/29 21:13 ID:h30rx26M
>>31 八千草さんが夫に犯されたシーンの詳細を知りたいので、お願いします。
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/29 23:26 ID:Y7LobaYA
別スレの、今まで見た中で一番綺麗・美人な女優は? で、八千草薫タンは
のりピーらと肩を並べて39位です。
がんばれ薫タン!!
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/10/31 04:20 ID:qMbrg7M3
>>46 若い人たちは、薫さんのかつての美しさを知らないので、この順位かな…
48 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/01 00:55 ID:UXupOn5g
49 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/01 23:52 ID:ZNVA/DgC
50 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 00:12 ID:S4b83T+e
>>48 確か薫さんが「足をそろえて乗れるから、美しく乗れるんですよ。」と、
スカート姿で本当に美しく乗っていた。
また、フロントに折りたたみ式の風除けバイザーが付いていて、コレに関しては
CM中、薫さんからの説明はなかったが、あれは走行中、風が奥様方のスカートを
めくり上げないように付いたもの。あれがなかったら薫さんのスカートも風で
ふわっとめくれて・・いや、失礼しました。
51 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 01:19 ID:5sU8yj4J
もっと薫タンの画像くんれぃ!
若い頃のネ。
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/02 22:54 ID:FlTGAzY5
岸辺・・の頃、フィギュアスケートの真っ白な超ミニのコスチュームで、銀盤に
舞う薫さんを勝手に妄想し、萌えていました。想像してみてください。
なかなかよいでしょ!
53 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/03 05:09 ID:wjQ0inpp
「熱い秋」の情報、もっとないでしょうか?
TBSのドラマだから
CS「TBSチャンネル」にリクエストすれば光明はある…かも
55 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/03 23:35 ID:uDW1w56O
48>>のような清楚で慎ましやかな薫が竹脇無我とラブホテルの一室でブ
ラもパンティーも脱ぎ捨てて、汗まみれになってひたすら交尾しまくっ
てる痴態の数々を想像すると、今でもハアハアする。
男とことヤリまくった後、自宅で白いブラ姿を晒す薫、観たかったな。
生々しいよな、きっと。
56 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/04 11:16 ID:p3AmB914
>>55 そうそう。いくら清楚で慎ましやかな人妻でも、いったんベッドに入ったら、もう燃えに燃えるはず。
バックや前座位なんて当然だろう。
逝く寸前では薫さんのあの声で、「あぁー!あなたが好き!!あなたに奪われたい!!
何もかも捨てて、あなたに捧げたいぃぃ!!」なんて言ってるだろう。
で、全てが終わって、竹脇の横でいつもの貞淑な女に戻って、「恥ずかしいわ私、さっき
あんなふうに言ってしまって・・。」なんてやってるはず。
ああー、素晴らしい!!
57 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/04 13:24 ID:p3AmB914
>40はネタですか・・?それほどのシーンまではなかったような気がします。
58 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/04 16:17 ID:aHVaOx0L
なまじ八千草薫みたいな貞淑な女は無理やり強姦されるよりも、
竹脇無我みたいなどこかの中年男と同意の上でホテルで性交する
人妻役の方が、生々しい女の生活感がってハアハアするよね。
清楚で貞淑な人妻の薫の下着姿なんか堪らないだろうな。
あの頃の薫を妊娠させてやりてえなあ。
ま、今の薫でも妊娠は無理だろうけど、根元まで突っ込んで
はみたいな。
ああ、薫の中にドクドクと中射精してえなあ。
59 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/04 18:10 ID:OTU3y6sN
岸辺で薫さんが竹脇とヤりまくった時、果たして中出しだったかどうか・・。
まず初回の1発目は絶対中出しだったはず。その後は竹脇が気を使ってゴム
付けたんだろうけど、そのうち面倒になって、中出しばっかだったんだろうなぁ。
竹脇の子をはらんじゃう展開も見てみたかった。
いやー、大学生や高校生の子を持ちながら、他人の子を妊娠!萌えるなぁ!!
そう言えば熱い秋でも妊娠した(こちらはレイプでの妊娠?)というレスが
あるが、その辺の詳細はイマイチ不明だよね。
60 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/04 20:35 ID:0T8nwYXd
自分を生んで愛情の全てを注いでくれた母親が、父親以外の男の性欲の
道具にされて、中出しされてるのを知った息子の国広富之の心境はいかば
かりだったろうな。
ドラマの中でも母親がラブホテルに入ってゆくのを目撃するシーンもあ
るし、今頃あの中で、母親の八千草が清楚で清潔感あふれるノースリーブの
ワンピースを脱ぎ捨てて、涎を流しながらディプープキスを交わし、竹脇と
獣のように貪り合い、カエルのように股を大きく広げて交わり合ってると思
うと凄まじい嫉妬と母親の肉体への欲望で漏れだったら間違いなく母親の
八千草を犯しとるな、多分。
母親が父親以外の男の、ヤル為だけの”モノ””女””生肉ダッチワイフ”
になってしまうのは息子としては最高に萌えるしな。
しかし、今更ながら、八千草薫には絶対に無我の子供を孕んで欲しかったなぁ…。
61 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/04 20:40 ID:ecsjh4mu
>>60 実際のトコ、岸辺で薫と無我のヤリシーンってどの程度だったの?
62 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/04 21:10 ID:0T8nwYXd
>>61 それが、観てないんですよ。
八千草が無我とラブホテルに行く前の回までは観てるんだけどね。
二回とも(再放送)、肝心の回を観れずじまい。
だから妄想ふくれまくり。
観た人のウソ偽りの無い書き込み希望。
63 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/05 00:09 ID:JReTDxtJ
熱い秋に関しては、実際にレイプシーンがあったと思われる1,2話は見ておらず
その後の回の回想シーンでしか知らない。それでよければ・・。
1 白いネグリジェ姿の薫さんが寝室に追い詰められていて、切迫した表情
2 外人3,4人がいやらしそうに迫るアップ
3 強引にベッドに押し倒されて、「あぁ!!」と悲鳴を上げる薫さん
4 そしてとうとう気を失う薫さん
5 次のシーンは夫が朝方気絶から立ち直って、薫を探す。
6 寝室のベッドの上で仰向けで気を失っている薫さんを発見
7 膝か胸か不明だが、破れているネグリジェのアップ。レイプされたことを暗示している感じ。
(て、言うか、普通一晩中レイプされてたら全裸だぜ普通、まぁそれは映像上無理でしょうから)
8 夫が気絶したままの薫さんを抱き上げる。
以上です。
実際は1の前に侵入を受けて逃げまどうシーン 2から4の間に他のカットがあったかも
8の後、気が付いてレイプされまくられたことにたいして、どう薫さんが反応する
といったシーンがあったはず。あと、ガイシュツの妊娠の有無など、謎は多いです。
情報求む!!
64 :
ラジオ関東:03/11/05 00:54 ID:ohuXnWua
なんか「ドラマのレイプシーンを教えて」スレより熱いなあ。。
65 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/05 01:01 ID:JReTDxtJ
八千草薫さんてね、自分らの世代では天使のようなご婦人だったんです。
その人が他人に体を許したり、レイプされたりするんです。
それも妙に露骨なシーンではなく、見てる側の想像を掻き立てる様な映像美で。
どうしても萌えてしまうんです。
結局この作品には明確なレイープシーンは無いよ
八千草薫も襲われかけたところで気絶してしまい
自分も結局何処までされたか分からないから
亭主に対して話し難くて
それがお互いの関係を悪化させてしまうのが
この作品のメインだから
67 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/05 09:27 ID:jganBKDa
>>66 レスさんくす!
そうですか、「何処までされたか分からない」ですか、実際、外人が一晩中に入れ替わり
立ち替わり中出ししてったら、股間の感覚やお互い(!?)の愛液で察しが付きそうなの
にね。まぁドラマだから(特に八千草薫だし)あと、薫が気絶から気付いての第一声は
どんなことを言ったのかな?また妊娠の事実は?是非教えて下さい!!
68 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/07 01:38 ID:eyclQu+2
岸辺がよほど衝撃的・刺激的だったのか、これ以降、薫さんの役柄って、単純な
母親役ではなく、どこか一点萌えさせてくれるような役どころが多かったような
気がする。自分の知る限り・・
・ある日突然のスパゲティ(だったと思う)→未亡人役だったか?最後は明るく駆け落ちする。
・単発のサスペンスモノで、最初は軽蔑していた岡田真澄と最後はディープキス
・わたしの可愛いひと、で年下の三浦洋一といちゃいちゃ。まるで我々薫さんファン
を見透かしたようなデキ。
・隣りの未亡人とおかしな二人・・草刈正雄らが薫さんをあの手この手で口説こうとする。
そして、熱い秋・・、なんだかんだ言って薫さんの周辺にはいつも誘惑とその先に必ず
行われるであろうセックスの予感があり、そのたびに私は萌えていました。
69 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/09 06:44 ID:Q06OObjg
岸辺のアルバム・・・八千草薫扮するごく普通の主婦の日常が描かれて
いたのも、良かったね。
その後の無我とのラブホテルでのセックスに目覚めてゆく”女”の部分
とのギャップがこれでより鮮明になって、漏れは萌え萌えだった。
でもって、この何気ない日常の薫もなかなかソソるものがあった。
たとえば、ブラウスにエンジ色のスカートといった普段着姿の薫が家の
風呂場を洗うシーン。
カメラは主婦として、腰を屈めて家事に勤しむ薫の後ろ姿を捉えてい
るのだが、それがまたエロい。
エンジ色のスカートを大きく張り出させている薫の丸くて重々しい尻、
小鼻に汗を浮かべて一心に風呂場のタイルを磨く薫の横顔、スカート
から覗く折り曲げられた太めで短めの薫の脚…平凡な主婦の膝小僧と
熟れて肉付きのいい脹脛。
生活観丸出しの場面でありながらどこにでもいる中年の人妻の日常に
おけるエロスと孤独を見事に描いた名場面だったような気がするなあ。
このシーンをビデオで再生しながら何度も抜いたなあ。
70 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/09 12:40 ID:Gig7OehQ
八千草薫の画像をJPEG方式で一つ持ってるんだけど、みんなに見てもらうには
どうすればいいんでしょう。もしよろしければ教えて下さい。
www.42ch.net/UploaderSmall/
↑こーいうところに行ってアップロードします。勿論、アップロードしただけでは
だーれもその事実すら知らずに終わってしまいますから
「○○(場所)に△△(内容)をアップしました」とこことかで知らせて欲しい。
その際、アップしたファイルに添えたコメントとか、アップしたときに付けられたファイル名なども忘れずに。
santa.s1.x-beat.com/index1.html
↑ここはそーいうところのリンク集です。
さぁ、щ(゚Д゚щ) カモーン!
72 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/09 15:45 ID:HJfd3GQb
73 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/09 21:42 ID:Q06OObjg
>>72 サイコーの薫、サンクス!
柔らかそうなスカートから伸びた清楚な脚。
優しげな母親そのものの薫の顔と身体…
理想の薫の画像です。
萌えます!
74 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/09 22:16 ID:RHkDKC7r
75 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/09 22:40 ID:/44ua/qJ
おお〜犯したい〜
76 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/09 23:04 ID:RcBMUcyW
>>74 サンクス!!
薫さんの画像がどんどん出てくる!!
こんなうれしいことは無い!!
77 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/10 00:59 ID:sYxoxe6u
78 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/10 01:17 ID:sYxoxe6u
79 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/11 01:44 ID:eByuiFIp
80 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/11 20:45 ID:Q7MwQjs5
>>71のような清楚な人妻の薫はスカートをたくし上げた状態でパンストと
パンティーを剥ぎ取り、ラブホのベッドの服を着せたまま正常位で、薫の膣
の奥深くまで抜き差ししながら責めたくなります。
膣肉の粘膜を擦り上げながら、ふっくらとした薫の唇をディープキスで犯し
まくり、今まで寝た男の数を訊くのもいいかもね。
81 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/11 20:48 ID:Q7MwQjs5
↑
ラブホのベッドの上で、服を着せたまま…でつた
82 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/11 22:46 ID:+2zWlLeV
>>52 なるほど。ワシの場合、冬の旅、という小説の冒頭で、主人公の母親が犯され
そうになる記述があり、この母親をずっと八千草薫のイメージで考えていて萌
えていた。
実際にTVドラマ化された時は別な女優さんが演じていたがね。
83 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/13 00:09 ID:iYo3ew4n
84 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/13 21:20 ID:buFh6YD/
85 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/14 01:12 ID:Xq/CEMWt
86 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/15 00:46 ID:3Ly0J1mb
みんな良く持ってるね。
八千草薫の画像ではないので、品の良い奥様風の女優か素人の画像ではだめでしょうか。
87 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/15 02:03 ID:GBB+JUzl
>>86 画像ではないので× → 画像は持ってないので〇
88 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/16 00:03 ID:IlDpCZIo
89 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/17 00:37 ID:8zdA/Wyv
90 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/18 09:43 ID:8L+37TSb
91 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/18 09:45 ID:8L+37TSb
92 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/18 22:18 ID:YmgDTogd
国会図書館のHP検索で、熱い秋の原作が蔵書されているのを知りました。
明日、早速閲覧してきます。その内容は明日お伝えしようと思います。
ご期待ください!!
八千草薫レイプ萌え〜!!
93 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/22 04:02 ID:R22je3nQ
age
94 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/23 01:09 ID:JTa8BRGA
ジャーン!図書館で熱い秋の原作を読んで来ました。遅くなりましたが、書かせて
頂きます。
原作とTVでは異なる部分があるのでしょうが、とりあえず原作のあらずじは・・
1 アフリカに開発のために夫婦(つまりTVでの児玉清と八千草薫)が赴いているが
強引な開発らしく、現地人には反対派もおり、また、ライバル会社の社員も
いる。(この社員が薫のことを狙っているのだが当初は存在が伏せられている)
2 で、帰国直前に現地人が侵入し、二人とも気絶する。TVとは違い、明確なレイプ
シーン描写は無い。夫が気付いた時、妻は倒れていたが、明確なレイプの痕跡(裸に
されていた等)は無く、気が付いた妻も自分はレイプされていないと主張する。
3 真実がわからぬまま帰国し、夫婦間に疑心暗鬼が生じる。そしてある日、妻の妊娠
が発覚する。夫はやはりレイプ行為があって、その時の子供だろうから中絶を勧めるが
妻は夫の子の可能性もあるので中絶を拒否する。
4 ある日妻は見知らぬ男(これが前述のライバル会社の男)にホテルに呼び出され、あの日
強盗を雇ったのは自分で、仕事の妨害と同時に薫を奪うためだったことを明かす。
そしてあの日気絶した薫を犯したのは外人ではなく自分ひとりで、犯しつくした後、痕跡
が分からぬように衣類などを整えたのだと話す。薫は自分が宿している子はこの男のもの
だと悟る。
5 で、夫の、妻の実の妹との不倫なども発覚し、最終的に薫はそのレイプした相手との新しい
生活を選択する。
以上、斜め読みだったので詳細や順番はちがうかもしれませんが、おおよそこんな感じでした。
ライバル男にホテルへ呼び出された時、帰ろうとする薫をレイプしたかのような記述も
あるので、妊娠の事実発覚はその後だったかも・・。いずれにしても妊娠が判明する
記述は八千草薫をイメージして読むととっても萌えます。
96 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/25 03:09 ID:0A7/6w8/
97 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/26 01:44 ID:w62Yw4bI
上でも書いたが、妊娠の記述がいいんだ。今度コピーしてきたら前文カキコします。
ちなみにドラマではどんな感じだったんだろう。
あの八千草薫が突然吐き気を!そして妊娠を悟る!!
ああ萌えますなー!!
98 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/30 16:14 ID:C+dTCz5q
あげ
99 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/03 16:52 ID:N2oxNadg
どこかのスレに、
熟女と言うものは、年令は30台後半から40台ぐらいの
・成熟した女の魅力
・母のような包容力と優しさ
・少女のような可愛らしさ
の3要素が高いバランスで保たれている女性である
とあったが、八千草薫はまさにそれにぴったりな女優である!
100 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/12/31 20:58 ID:YahYWijR
age
101 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/10 01:21 ID:TCCPZG2l
画像UPして!
102 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/12 03:09 ID:SmFwHp9I
八千草さんには昔怒られた事アルよ(裏方でした)
フジの「女達の場所」って単発ドラマで
あれから苦手だ。
103 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/01/12 03:20 ID:pVa/lFz1
>>102 なら楽屋裏へ引きずり込んでレイプしちゃえばよかったのに・・。
104 :
↑:04/01/12 19:25 ID:SAJnv90E
レイプ後はなすがままだね。
キュウリがパパだね。
106 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/02/04 20:53 ID:XoCB0hc0
>>35>>40 遅レスですが、岸辺のアルバム、では原作、TV、でそれぞれどの程度のセックスシーンが
描かれたのでしょうか?原作ではレスのように具体的な記述は無かったのでしょうか?
107 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/03 02:25 ID:OMm5ZpJV
画像希望age
108 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/03 02:29 ID:MuIt3sed
109 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/03 17:51 ID:7DQIhCFv
八千草薫さんのパッソルのカタログ入手しました。イイ!萌えー!
何種類か有るようなので、他にも色々探しています。そんなに年いってない漏れの目から見ても
すごく綺麗です。がんがってもっと探そう。それにしても結構同じ事考えている人がいるんですね。
このひとの映画での最高の演技は勝新太郎の悪名シリーズのアバズレ役なんだけど
残念ながらタイトル忘れた。
関西弁丸出しで地の「イケズ(標準語でいう意地悪)」な素の顔も介間見えて
オモシロイよ。
勝新に対抗するには宝塚時代の女帝ぶりの本性見せるしか手はなかった?
って感じ。
111 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/06 02:40 ID:nYWuwHDw
八千草さんは美しい!
112 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/07 01:24 ID:8Mkis71R
113 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/07 01:28 ID:odxbnZZz
/ / }
_/ノ.. /、
/ < }
ry、 {k_ _/`;, ノノ パンパン
/ / } ;' `i、
_/ノ../、 _/ 入/ / `ヽ, ノノ
/ r;ァ }''i" ̄.  ̄r'_ノ"'ヽ.i ) ―☆
{k_ _/,,.' ;. :. l、 ノ
\ ` 、 ,i. .:, :, ' / / \
,;ゝr;,;_二∠r;,_ェ=-ー'" r,_,/ ☆
【ラッキーレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
114 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/08 00:47 ID:p77p9NH7
109>>若い方ですか?だとすればそんな方が薫さんの美しさに気付いてくれるとは
うれしいことです。さあ、八千草薫さんレイプを語りましょう!
115 :
109:04/03/08 07:31 ID:zNLcWifK
>114
小生20代後半です。レイプはともかくw、パッソルのカタログを持っている人は
知ってると思うけど、ほんとにきれいです。一発でファンになってしまった。
今もきれいですなー。八千草さんに詳しい方、色々このスレで語ってください。
116 :
七草:04/03/09 21:40 ID:m/y9rEYy
最初の方の画像誰か上げて下さい。
117 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/10 17:09 ID:WyXfM9DA
118 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/29 02:31 ID:ubJlblZw
また画像アップして!
素晴らしいエロだ。
権利関係か何かでUPしてもすぐ画像が消えるのは残念だが。
エロの基本形。
120 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 15:49 ID:yZg0TiUa
誰かパッソル関連の画像お持ちの方アップして下さい。
121 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/01 21:27 ID:Fmh4MePv
↑フェチやねえー
122 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/03 01:31 ID:hUul2Ksy
123 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/06 01:25 ID:sDbTqThG
いつの間にか岸辺のアルバムの別スレが出来ているね。でもあちらは岸辺・・を
純粋なドラマの視点で見ているようだ。やっぱり八千草のレイプ・不倫セクスは
こっちのスレだね!
124 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/09 00:51 ID:+XJ4fqJ2
>>94 オレも原作読んだ。確かに原作だとレイプの描写は全然無い。その点ドラマのほうが
すごい。でもそれじゃつまらないから、そのうちオレが自分でオリジナルの原作書いて
アップするよ!
(あと、原作の後半、ストーリーが少し違うんじゃないの?)
125 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/09 04:36 ID:gBYMHxWp
126 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/12 01:26 ID:/PAGBYO6
>>124 あと、原作の後半、ストーリーが少し違うんじゃないの?
・・・どう違うの?
127 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/16 02:03 ID:v2nC1d4N
>>125 サンクス!!でも今ちょっと忙しいからGWくらいまで待ってね!
128 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/17 16:05 ID:Q5SCsFqF
ソフトバイクあげ。(わかるかな)
129 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/20 23:00 ID:Lz7qyl+4
早速つくってみました。ドラマを見たうえでの全くのオリジナルで、役名も忘れたので八千草薫さんの薫、
の名で書いています。(その他登場人物も)
現地人が侵入し児玉清が失神したあたりからはじめています。適当に読んでね
異変に気付いた薫は1階の様子を確かめようと、白いネグリジェ姿のままドアに走り寄った。
その時、激しい音とともに先にドアが開いた。
現地人。5,6人はいる。
男どもの視線は、まるで獲物を前にした獣のようにギラギラと異様な光を帯びていた。
声も出せず立ちすくんでいる薫をよそに、男どもは寝室にどっとなだれ込んで来た。
そして、何のためらいも無く、薫の小柄な体に突進する。
「あぁっ!」
そう言って声を上げる薫に、男どもが瞬く間にまとわり付いた。
「助けて!」
緊張と恐怖で、薫はそう叫ぶのが精一杯であった。そして棒立ちする薫を男どもははがい締めにする
と、いとも簡単にベッドの横へ運び付けた。
そして、何人かの手が薫のネグリジェの裾、つまりスカートを・・、めくり上げたのだ。
「あっ!」
めくられるスカートを押さえようとしたのか、一瞬、薫の両手に力が入ったが、当然、両腕は男たちによ
ってガッチリと押さえられていた。
すっかりめくり上げられたスカートの下にあった、色白の素足と、そして純白のショーツ。
はいていたのはパンティーではなかった。薫は外出する時こそパンティーをはいてはいたが、日常は
ショーツが多かった。しかし、逆にこの状況では、ショーツのほうが妖しく白く眩かった。
男どもに下着を見つめられ、恥ずかしさに膝を身じろぎさせる薫のしぐさは、40才を過ぎた、熟した人妻
にしかない刺激的な艶かしさだった。
「きゃっ!」
男どもは我慢出来なかったかのように、とうとう薫をベッドに押し倒した。
「やめて!いや!」
女として、妻として、そして母親として、この危機に面して頼れるものは、もはや自分自身でしかない
ことを薫は悟っていた。必至に抵抗をはじめた薫であったが、男どもにかけられてしまっては、何も出来
なかった。
「あっ!あっ!」
130 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/21 00:51 ID:TkN7KzXX
ネグリジェがめくられたままであったので、抵抗することでベッドの上のショーツ丸出しの薫の下半身
が大きく弾み、それを男の1人が体ごと乗りかかって押さえ付け、そして別の2人は薫の上半身に挑み
かかり、ネグリジェの上半身を引き裂いた。
「いやっ!いやっ!いやよぅー!」
豊満な乳房が、蛍光灯の下、男たちの視線にさらされた。
その、薫の乳房に、男の一人がそっと触れる。そして、ゆっくりと揉みしだき始めた。いとおしそうに・・。
それだけでもう、薫の心は張り裂ける思いであったが、次の瞬間、不安は限界に達した。
ショーツが下ろされ、脱がされたのだ。
もはや、薫はほとんど全裸であった。
あらわになった股間を、男の一人がまさぐった。乳房は休むことなく揉まれ続けれていた。
美しい婦人の裸体を、まるで人形のようにたやすく、男達は触れた。
薫は、衣類を剥ぎ取られることの攻防から、体をいじられることでのやむを得ない感性・自分自身との
攻防が始まったことを体で感じた。
いや、もしここで薫の体に何の変化も起きなかったら、男どもが失望し、引き上げる可能性は全く無い
わけではなかっただろう。生娘ではない、40才をとうに超え、高校生の子供すらいるこの女に、男ども
がしらけたかもしれない。
だから薫は、必至に歯を食いしばった。
もはや大声を上げても誰も助けには来はしない。それなら神経を集中させて、余計なことを考えない
ようにして・・。
しかし、現実は無情で厳しいものであった。
摘んでは離れ、触れては離れる乳首への男の手。
たゆみなくまさぐられる股間。
触れられる下腹部の色白の敏感な部分。
ほんの一瞬、薫が気を緩めた時、下半身が一気に熱くなり、ついに潤いをそこに与えた。
後悔と恥ずかしさが薫の緊張感を削いだ。
すると、全身への愛撫が確実な感覚となって一気に股間に集中し、股間は見る見るうちにみずみずし
さを増した。
131 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/21 11:33 ID:Ccu1mEp2
男どもがそれを見逃すはずは、無かった。
まるでその順番が決められていたかのように、一人目の男がズボンのベルトを外した。
そして、薫の上にゆっくりと乗りかかると、薫の両足は大きく押し広げられた。
男が入ってきた時、薫はぼんやりと、初めて自分が性交渉を持った時のことを思い出していた。
あれから20年以上経て、まさかあの時と似たような感覚を知らしめられるとは・・
(思っても、みなかった・・・・。)
男は薫にきっちりと押し込むと、その、小柄な色白の裸体をいとおしそうに抱き締めた。
抱き締めたまま、現地語で何事か囁いた後、唇を重ねた。
(そういえば、キスは今、初めてされたかも)
(もっと始めにされていたら、もっと驚いていただろうなぁ)
少しの間、キスの、そのふれあいを楽しんでいるように思えた男だったが、すぐに激しく唇を押し付け
てきた。
そして、いっそう薫を硬く抱き締めると、とうとうゆっくりと腰を動かし始めた。
自分の股間を幾度も往復していく見ず知らずの男。
その単純な動きによってもたらせる自分の体の変化を予見し、薫は見を硬くした。
いまの薫に出来るのは、せめて妻らしい、母親らしい態度のままそれを終わらせることだけであった。
しかし、それも難しいことだったかもしれない。
結び付けられたそこからの男の激しい動きは、やがて薫の下半身を熱くし、そして薫の脳裏に、火花
が散った。
「あっ!」
薫はそういった直後、下半身を思わず身じろぎさせた。
「ああっ!あっ!」
シーツをぐっと掴んでいた薫の両手が離れ、ついに男の背中に回った。
「あっ!あっ!あっ!」
二人の体はひとつになり、ベッドの上を縦横にうごめいた。
男は彼女の首筋の、右に左に唇を這わせ、乳房に吸い付き、しかし腰の動きが休むことは無かった。
「ああっ!んあっ!んあっ!」
男の腰の動きと同調していた薫の喘ぎ声が、徐々に乱れ初め、彼女の眉間にしわが寄った。
そして、どちらともなく、お互いの唇を求め合い、お互い硬く抱き締めあった時、男はついに薫に射精
を始めた。
132 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/21 20:43 ID:k7SO8qdy
>>129 素晴らしいです!
補足ですが、八千草さんのドラマ中の役名は、「加納 綾」でした。
133 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/21 20:50 ID:wMVsfPtC
>>132 サンクス!!これから続きを載せていきますので、出来ましたら各シーンの感想や
今後の展開の希望を書いていただけるとパワーが沸いてきます。
あと、他の配役・・児玉清や国広富之らの配役の名前も教えていただけると
助かります。宜しく!。
134 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/21 21:27 ID:k7SO8qdy
>>133 児玉清は「加納信之」、国広富之は「加納洋一」だったと思います。
綾は信之の後妻で、洋一とは血がつながっていなかったはずです。
綾と洋一の年齢差は18歳だったと思います。
できれば、暴漢のレイプを綾は耐えに耐えたけど、とうとう力尽きて絶頂…と
いうような展開が、八千草さんのイメージには合ってると思います。
期待してますのでよろしく願います!
135 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/22 00:17 ID:RlljYRXd
溢れんばかりにそれは放たれ、綾の体の中いっぱいに広まったあと、一直線に彼女の子宮の中にな
だれ込んでいった。
その時の男の至福の下半身の律動に、綾もとうとう頭の中が真っ白になった。
「あーっ!ああーっ!」
そして、そのまま、意識が遠のいた。
綾が意識を取り戻した時、既に綾は二人目の男の腕の中で、相手はこの美しい日本人の人妻を我
が物にする為に激しく下半身を動かしてい最中であった。
行為での感覚は全身に回っていた。綾はそれでも冷静にそれをやり過ごそうと、再びシーツを強く握り
締めた。しかし、下半身にはじわじわと、こらえきれない優美な感覚が徐々に押し寄せて来て、何とか
耐えようと、大きく押し広げられた両足を、男の差し引きの動きにあわせて、しきりにシーツの上で屈伸さ
せ、激しく足ずりをさせていた。
しかし、男の往復の回数が増す度に、耐えようとする綾の気持ちが消えかかりそうになった。
「やめて!やめて!やめてー!」
そして次の瞬間、綾はシーツから思わず手を放し、男の背に腕を回した。
「いや!いや!いや!」
もちろん、現地人にはその綾の声の意味など理解出来なかった。逆にそれが歓喜の声あることは理解
出来た。
実際、無意識のうちに、綾は相手の動きの合わせて、自らの腰を揺りうごかしてた。
やがて綾は徐々に体が熱くなり、息づかいを荒くした。
「んんんっー!!ああーっ!!」
綾は一気に登りつめ、そしてその余韻の中で、相手の射精を受け止めた。
配役 加納 綾・八千草薫
136 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/23 20:45 ID:BA6TlUA4
>>135さんへ
今後はどうなるのかな?特に義理の息子との絡みが楽しみです。
137 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/24 00:12 ID:pd715lKh
熱 い 秋
配役加納 綾・八千草薫 加納信之 ・ 児玉清
前回までのあらすじ
アフリカへ夫の信之(児玉清)と一緒に赴任していた綾(八千草薫)は帰国を目の前にしたある晩、
現地人の強盗に家に侵入される。信之は殴られて失神し、二階の寝室にいた綾は逃げることが出来
ず強盗に襲われる。必死の抵抗も空しく、綾は5人組の現地人に次々とレイプされていく・・。
この時は綾は意識を失わなかったので、3人目の男との行為は始めの触れ合いから始められた。
綾は早速抱き締められるのかと思っていたが、服を脱ぎ終えたその相手が求めてきたのは、まず互
いのを握り合ったままキスをすることであった。
初めての男に、ましてや自分が若い娘ではないことも相手は知っている筈なのに、そんな行為を行う
ことは綾は恥ずかしくてたまらなかったが、今さらそれを拒める状況下では無かった。
他の男どもに見つめられる中、全裸のまま二人は手に手を握り合って唇を重ねた。
唇を重ねて綾は、相手がまだ若い、自分の息子とさほど変わらない年令であることを悟った。
そしてそうやってキスの時間が交わされた後、綾はようやくベッドに仰向けにされ、そして行為が始め
られた。
相手はかなりキスが好みなのであろうか。セックスの最中、綾は常に激しいキスの嵐を唇に受けた。
もはや彼女が抵抗してこないことを知っているので、その男はキスの最中、しきりに舌を綾側に入れ
て来た。さぁ奥さんもからめなヨ、と催促していることが良く分かった。
仕方なく綾は、自分の舌を相手にからませた。玩具をねだってだたをこねる子供に応じたかのように。
綾のその反応の変化に相手は歓喜したのか、明らかに腰の動きを活発にした。
「あっ!あっ!ああっ!」
一気に体を熱くされた綾は、そのまま登りつめて力を失った。
直後に相手も綾の唇を求め、固く彼女を抱きしめて、射精して果てた。
138 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/24 00:50 ID:pd715lKh
残りの二人は、後に回されただけあってまだこの類のグループの中で地位が低く経験も浅いらしく、
どちらもそれほど時間をかけずあっけなく果てた。
この信じがたい極限の中で、それは多少は綾の心理的負担を軽くした。
ともかく一通り、男どもが綾を犯し終えた。幾ばくかの静寂の後、初めの男が再びその日本人妻に挑み
かかる意思を見せた。
その間、体をシーツにくるませていた綾は、ベッドから出ろという男のしぐさに、シーツから出て、全裸の
ままベッドの脇に立った。
その黒髪は男たちにかきむしられ、乱れきっていたが、それを振り返る余裕は綾には無かった。
男がそんな、全裸で立ちすくむ綾の姿を征服感たっぷりの視線で見つめながら、またなにか無言で指
示をした。
その指示をすぐに綾は理解した。後ろ向きになって四つん這いになれというのだ。
綾は戸惑った。正直これまで、そういう形で行為をしたことはほとんど無かったのだ。
しかも相手が、その・・、自分の下半身のどこに結びつけることを考えているのか分からないことも不安
だった。
自分の要求に綾が明らかに狼狽したことを知ったその男は、<問題ない>というような意味の言葉を発し
ながら指で「3」の数を作って突き出し、その真ん中の中指をもう片方の手の指で指示した。
綾はそれを見て顔を真っ赤にした。そして、わかった、とうなずいた。
男が綾の体に近づき、肩を抱いて頬にチュッといとおしげにキスをすると、彼女をカーペットに膝まづか
せ、上半身をベッドの上にうつ伏せにさせた。
突き出された綾のヒップを少し押し開いた後、果たせるかな、綾の中心の本来の場所に、きっちりと挿入
した。
それは良かったが、ただ綾にはすぐに別の、2つの懸念が生じた。
139 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/24 01:03 ID:pd715lKh
138です。皆様ご感想真に有難うございます!!パワーが沸いてきます!!
色々な展開を考えていますが、初夜!?のレイプシーンは力を入れてしまいましたので
もう少し続きます・・。ご勘弁下さい!?
また、このシーンが良かった、薫さんなら本当はこう反応した筈、など
ぜひお答えいただければ幸いです!!
140 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/24 07:53 ID:3f9F4kPD
>>138さん
ワクワクして読んでいます。
綾さんの心は抵抗したり、拒否したりしても、身体は別の反応を見せる…
そんなシーンをこれからも期待します。
がんばって!
141 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/25 00:53 ID:h+NKBDW9
1つは、慣れない体勢でしっかり埋め込まれたその感触が、それが動き出した時の未曾有の感覚を
予感させること・・。そして2つめは、小柄な綾の体に大柄な現地人の体では、男が綾の背後から両手
を彼女の胸に回すと、男の両手は彼女の乳房をしっかり鷲掴み出来てしまい、行為の最中ずっと、自分
の乳房が男の手中で持て遊ばれることが考えれること。であった。
しかし、今さらどうすることも出来ない。
男は、奥さん行くよ、という意味で、背後から彼女の黒髪を撫でた。
綾はこっくりとうなずいた。
男の下半身がゆっくりと動き始め、同時に股間のそれが綾をグッと突き立てる。
「・・!!・・。」
そしてやはり、男は彼女の乳房を揉みしだき始めた。
«<ああっ!!»
予想通り、明らかにこれまで感じたことの無い激しい感覚だった。
始めはそれでも、必至に歯を食いしばって耐えていた綾であった。
耐え切らないと、おそらく妻と母親のプライドが、このような状況下であっても最後まで守ら
なければならない何かが、瞬く間に吹き飛んでしまう自体になることが明白であったからだ。
しかし、額に汗がじっとりとにじみ出て、徐々に自分の吐く息が熱くなってくる。
そして、股間と乳房の感覚が結び付き、綾の全身に広がった時、綾はとうとう耐え切れなくなった。
「あっ!!ああっ!」
思わず声を上げた。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!」
男が突き上げるのと同時に、切なくなる程甲高く、そう声を上げる。
「んあっ!んあっ!ああっ!ああっ!」
その綾の反応に、男は歓喜していっそう激しく腰を彼女のヒップに打ち付ける。
そして激しく乳房を揉む。
そして揉む手の指が、かすかに乳首に触れて・・。
「ああんっ!ああんっ!んあっ!あああっ!あああー!!」
はばからずそう声を上げ始めた。
腕を目いっぱい真っすぐ伸ばし、シーツをギュッっと鷲つかみにする綾。激しく首を左右に振る。
「あああー!あああー!あああー!あああー!ああっ!!ああっ!!」
142 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/25 23:08 ID:aax5G/gq
次の瞬間、頭の中が真っ白になった。
その時確かに綾の脳裏に浮かんだ。
(自分は、なんて幸せなんだろう・・。)
同じ頃、綾をそこまで導いた当の男本人も、2度目となる射精を彼女に行った。
その後、ベッドの上では、一人の日本人の美しい人妻に対する行為が、いつ終わるともなく続けられた。
ただし、このような状況にありがちな、男どもの嬌声と女の泣きじゃくる悲鳴や、数人がかりで行う荒々
しい蛮行はそこには見られなかった。
男どもは互いにほとんど口を聞かなかった。
ベッドを緩慢に軋ませて揺れる綾と男の営みを、皆ただ見つめていた。まるで高貴な芸術品を鑑賞する
かのように。
やがて営みは、二人の息づかいが高まった直後、綾のかすれるような甲高い歓喜の声で終わる。
一度の行為が終り、綾の体から余韻が去ると、綾はつかの間の休息をもらう際、それぞれの手で股間
と乳房を隠した。
そこしぐさが可愛らしく、男どもをいくらでも刺激した。
明け方近くなった。
もはやどの男が何回綾に射精したか全く分からないくらい。
男どもは互いにもう十分だと確認しあうと、ベッドの上で黒髪をくしゃくしゃにして全裸のまま正座して
たたずむその日本人の女に、それそれが惜別のキスをすると、おのおの部屋から出て行った。
ポツンと、一人、綾は部屋に残された。
この日初めて挿入されたあの時、綾はやがてこれらの男が立ち去った時は、おそらく自分には自殺
するしか残された道は無くなっているだろう、とその時考えた。
いかに人は打算的になれるものだろうか。それが現実になってみると、今、綾の脳裏にはいかにして
今夜の事態を穏便に隠蔽するかの優先順位を決めることが思い浮かんできたのである。
いかにしていつもの貞淑な妻に、やさしき母親に戻れるか・・。
ともかく、部屋の乱れを直して、ベッドのシーツをピンと張って、そうしよう・・。
143 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/28 22:22 ID:cItuMqRc
直後綾は、全裸のままである自分に気付いて、脱がされて、部屋の隅に放り出されていたショ
ーツをはいた。そして、ネグリジェを着付けると、ドレッサーに向かい、かき乱された黒髪をなんとか
まとまる程度、手早くブラシで整えた。
そして再びベッドの上に横になると、無理も無いことであるが、どっと疲れが押し寄せてきた。
(自分が犯されたことを隠し通すことは無理でも、せめて、輪姦されたこととその時の自分の反応だけは
絶対に・・・。)
そう思いながら彼女は、まるで地の渕に吸い込まれるかのように深い眠りにおちいった。
赤道に近いこの周辺諸国では、朝7時にもなると、日本の真昼間位の灼熱の太陽がいやおなしにふり
そそぐ。
その陽射しには、宿舎のガラス戸を通し、信之の目を捉えた。
(朝日か・・なぜ俺は・・。)
頭がずきずきと痛む。
はっと、信之は我に帰った。
(そうだ!昨夜、自分達は・・。)
現地人の暴漢に侵入され、そして、
(綾!綾はどうした!?)
信之は痛む頭に手をやって立ち上がり、綾の姿を求めて、彼女がいるはずの寝室に向かった。
意識がまだ朦朧としているので、階段を上がる足取りがおぼつかない。
ようやく寝室にたどり着き、そして信之は見た。
ベッドの上で、仰向けになって気を失っている綾の姿を・・。
連中が大暴れして乱雑になっている1階と違って、寝室は予想外に荒らされてはいなかった。
ベッドの上の綾は・・、ネグリジェをまとい、黒髪を丁寧に整えて寝入っているその姿は、普段と別段
変わりが無いかのような様子であった。
しかし、彼女のその白いネグリジェの胸元は、無残にも大きく引き裂かれていた。
その場所と破れ方、そして昨夜の状況下を考えると、それは単に暴漢が暴れた不可抗力では説明が
つきそうもなかった。
「・・綾・・。」
144 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/29 01:26 ID:SMWWDtZq
信之はゆっくりと綾の上半身を抱き起こした。
すると、綾も気が付いて、ゆっくりと瞼を開いた。
「・・あなた・・!」
そう言って、信之を見た後、すぐに大きく引き裂かれたネグリジェの胸元を見た。
「わたし・・!!」
「何も言うな・・、言わなくていい・・。」
「わたし!!わたし!!」
「綾・・!。」
「ごめんなさい!あなた!」
そこまで言うのが精一杯で、綾はうつ伏せになり、泣いた。
昨夜、彼女がどの程度の行為をされたのか、それを彼女がどの程度認識しているのか、信之には状況
だけでは十分把握出来なかった。しかし、今、それを綾に確認することはあまりにも酷なことであろう。
ただ、いずれにしても、彼女が強姦されていることだけは明白だ。
何だかの手当ては必要に思えた。
「とりあえず、病院へ行こう。赤十字病院だ。あそこなら日本人の医者が多い。」
信之がそう言うと、綾は頷いた。
「・・シャワーを、浴びてもいいかしら・・。」
「そうだ。そうしろ。すっきりさせて、全て忘れてしまえ・・。」
信之はそう言って、綾をささえて立ちあがらせた。
綾がシャワーを浴びている間、信之は改めて部屋を見渡した。
あるものを探してみたのだ。
おそらく、脱がされて放り出されているはずの綾の下着であった。
が、しかし、それは見当たらなかった。
(もしかすると、綾はそれほど激しい乱暴はされてはいないのかもしれない。)
だとすると、綾は穏やかに見えて芯の強い女だ。不幸中の幸いとして、以外に早く立ちなおってくれるか
もしれない。と信之は考えた。
昨夜の連中がどこからの差し金で来たかはおおよそ見当がついていた。おそらく今回のプロジェクトに
反対する例の組織による、脅しと警告の為だろう。
だとすれば綾を犯すことも、偶発的なものであったかもしれない。そう願いたい・・。
145 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/29 06:33 ID:J3XX26h3
ドラマのシーンを想い出せる文章です。スゴイ!
146 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/29 13:47 ID:5HpgmUGq
>>145有難うございます。また頑張ってアップしていきます。
147 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/29 22:16 ID:No+zOKoF
水玉模様のワンピースに着替えた綾は、信之の運転する車で病院に向かった。
しばらく車中へ、で二人は無言だった。
病院に近づいた頃、ようやく信之が口を開いた
「・・覚えているのか・・昨夜のこと・・。」
綾は後部座席に座っているので、信之のその言葉への反応は読み取れない。
「襲われて・・すぐ、気を失ってしまったから・・。」
少し間をおいて綾はそう答えた。
「・・痛みはあるのか?」
「・・・分からないの。自分でも・・。」
そうしている間にも車は病院に到着した.
殴られて脳震盪を起こしていた信之であったが、レントゲンを取り、額の傷口に消毒液を塗られるだけで
治療は短時間で済んでしまった。
綾の方は、やはり時間がかかっているようだ・・。
産婦人科の前まで移動して少し経つと、看護婦がドアを開けて信之を伺った。
「加納様のご主人でいらっしゃいますか。」
「はい、そうですが・・。」
「先生がお呼びです。どうぞ。」
信之は一瞬戸惑ったが、促されるまま病室に入った。
ソファーに促された。綾もそこにいた。
「この度は大変なことになったようで、お気の毒です・・。」
主治医の先生がそう言って向かいに座った。
「ええ、自分はともかく、妻の体と、心の後遺症が心配です。」
綾は黙ってうつむいている。
「・・そうですねぇ・・、いや、奥様には前向きにご協力いただきました。まずは、まぁ申し上げにくいので
すが、奥様の体内には放出間もないと思われる男性の体液が付着しておりました・・。」
やはり、綾はレイプされていた・・。予測はしていたので、ショックは少なかったが、信之にとって残念な
結果であった。
148 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/29 22:23 ID:No+zOKoF
147です。綾って病院行かなかったのでは?原作と違う
という声が聞こえそうですが、オリジナルと言うことで・・
またよろしくお願いします・・。
149 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/29 23:48 ID:2mYoQTBW
「それについてはナースの手で、先ほど洗浄を致しました。同時に奥様には避妊薬を服用していただ
きました。」
「妊娠の可能性があるんですか?」
信之は思わず聞き出した。綾も目を見開いて身を乗り出した。
「いや、念のためです。医療用の特殊な避妊薬なのですが、放出されている精液の量に関係なく、おお
よそ20時間以内に服用しないと効果がありませんので、服用いただきました。」
続けて主治医が話した。
「まぁ、こう言っては失礼ですが、奥様のご年令からしますと、妊娠される可能性は低いと思われます
よ。こういった状況で妊娠してしまう確率が高いのは女性ホルモンの分泌が活発な若い女性ですね。」
専門家の自身ありげな説明に二人はやや安堵した。
そのせいもあって、信之は思い切って問い掛けた。
「先生、家内は気を失って昨夜のことは覚えていないのです。診て頂いた限り、どの程度の行為であ
ったと思われますか・・。」
綾は一瞬、信之を見たが、しかしそれ以上、何か言葉を発することは無かった。
「実際ですね、この種の場合、かなり無理な性交状態が多いものですから、避妊の処理よりも前に、女性側の
性交部の擦傷の手当てが先決なのです。しかし奥様の場合はその心配はございませんでした。怪我は
ほとんどございませんでしたよ。奥様が事前にご自宅でシャワーで洗浄されたこともあって、昨晩の奥様
の被放出精液の量は正確にはわかりませんが、ご安心ください。何人も何回もと言うわけではなさそう
ですよ。」
「そうですか・・、いや、それを知って少し安心しました。なぁ綾・・。」
「そう,ね・・。乱暴されてしまったことは仕方が無いけれど・・、これならあまり気にしないで日本に帰れ
るわ・・。」
しかし実際は・・。昨夜のあのときが綾の脳裏に思い出される。
男どもが迫ってくる!
押さえつけられて、そして!
<あっ!>
挿入される!
乳房を吸われ!
<あっ!ああーっ!ああーっ!>
そして、頂点を向かえ、脱力する・・。
150 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/01 01:13 ID:TWBKagoP
なぜ自分の体の傷が、回数にかかわらず見受けられなかったのか。
その理由は綾だけが知っていた。しかしもちろん、その事を口に出すわけには行かなかった。昨夜の
ことは絶対の秘密なのだ・・。
重苦しい雰囲気が去ったようなので、主治医がさらに話し始めた。
「いや実際ですね、まだこの国周辺では政情不安が多いですからね。どんなやからがいるか分からん
のですよ。なのに最近働く女性が増えたせいか、日本人の女性がどんどん入国してきていましてね。
その女性達が表ざたにならない誘拐や強盗などの事件に巻き込まれてしまうことが多いんです。それら
の女性はまず間違いなく大勢の男どもに乱暴されてしまいます。そんな被害者が結構私の所に診察に
来られますが、もう体以上に精神がボロボロになっています。私も奥様について第一報を聞いた時、カウ
ンセラーに連絡しようかと考えましたが・・。いや、奥様は本当に軽症で幸運な方だと思われますよ。おそ
らくカウンセラーも必要ないでしょう・・。」
その後、すぐに二人は帰国の途についた。
信之の素早い手回しのよさで、事件は公にならず、特に綾までが被害に遭ったことを知るものは会社の
ごく一部の関係者にとどまった。
成田に到着した後、出迎えに来た若手社員の笑顔に、事件の認識が全く無いことがうかがい知れた。
<しめた!この調子でやるんぞ。>
信之は綾にそういった面持ちで視線を向けた。
綾もそれにうなずいた。
そして綾にはもう1つ。帰国したことで、あの忌まわしい事件を忘れられそうな出来事がある。
息子の洋一に4年ぶりに会え、そしてまた共に生活出来ることであった。
151 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/02 02:05 ID:99rtq7Qe
「洋ちゃんくらいは空港に出迎えに来てくれるのかと思って、母さん楽しみにしていたのよ。」
九品仏の自宅に着くなり、綾は留守番をしていた洋一にそう言うと微笑んだ。
「本当は行きたかったんだけどね。会社の人の中に混じっていくのは恥ずかしかったからね。」
「そうね。洋ちゃんももうすっかり立派な大学生ですものね。」
国際電話で話は出来ていたものの、久しぶりに目にする洋一の姿は、すっかり大人びていて、綾には
新鮮な喜びであった。
長い海外生活にもかかわらず変わらない母の容姿に、洋一も、心を弾ませていた。
洋一が小学生3年生の時、信之は綾と再婚した。綾は後妻であった。
しかし、洋一の実の母は彼が幼い頃他界し、ずっと母親を知らずに育ってきたこともあって、洋一にとっ
ては綾はほとんど本当の母親か、あるいはそれ以上の女性に思えた。
洋一にとって、綾は或る時は母親であり、或る時は理想の女性になった。特に洋一は思春期になった
あたりからそれをはっきりと自覚した。
だから、綾が海外生活をするため家を留守にすることになったとき、洋一は大きな衝撃を受けた。たとえ
わずか4年とはいえ、まるで綾が自分を見捨てていくようで、自分より父である信之を取ったようで、綾が
うらめしいとも思った程だ。
一方、綾にとっても、洋一は本心から思える、かけがいのない子供であった。
信之に求婚された時、洋一の存在が・・、継母となる自分を彼が受け入れてくれるかどうか多いに悩ん
だものであった。
それが実際は、自分を予想以上に慕ってくれ、そして日に日にたくましく成長していく姿をみて、すっか
り洋一をいとおしく思うようになっていった。
本当の母子のような二人のやりとりを、信之はほほえましく横で見ていたが、しかし、近いうちに洋一に
だけは、綾が受けたあの日の事実を伝えなければならないと、同時にその時考えていた。
152 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/02 17:59 ID:Hth2qA1/
洋一が、綾の受難を信之から告げられたのは、帰国後3日目のことであった。
信之は改めて、事実を洋一に伝えるかどうか迷った。しかし、社内に事実を知るものがいる以上、何だかの形で
会社の者から洋一の耳に入ってしまう可能性もある。それならその前にと、正直に伝える決心をしたのである。
母を、綾をはげましてやって欲しいと思ったことも理由のひとつである。
『狼藉者の侵入を受けた際、母さんがそのうちの一人に乱暴されてしまった』
信之は、洋一にそう伝えられた。当然綾のいない場で。
「母さんはあまり気に留めていないし、お医者さんも何も心配は要らないといっていたよ。だからおまえも・・。」
「冗談じゃないよ!」
務めて明るく話した信之ではあったが、洋一は高揚した。
洋一はすでに大学3年生になる22歳の大人の青年である。
様子を知る当事者で、またそうあって欲しいと願う先入観での信之の、綾の受けた傷は浅いという話とは違い、洋
一は極めて客観的に綾の受難を思い浮かべた。
「父さんは本当に、お母さんがその程度のことしかされていないと思っているのかい!?」
洋一のその言葉に、信之は苛立ちを隠しきれず、
「今は、そう信じるしかないだろう!」
「楽観しすぎだよ!」
そう言うと洋一は、思いつめたように自室にこもってしまった。
(母さんは!その連中に!輪姦されたに違いない!いや、しない筈が無い!)
それは容易に推測出来る事であった。
「あぁ、何てことだ・・。お母さんが、レイプされたなんて!」
洋一は頭を抱えた。
(母を辱めた連中を絶対に許せない!)
(母を辱めた連中を、いま目の前にしたら、そいつらを殴り殺す!)
それが、当然の感情であった。
そして、輪姦と言うものがどういうものか、それを思い起こす度、女性としてそれを受けた綾の恥辱は
いかばかりかと猛烈に思い悩んだ。
それから、 しばらくなかなか寝つけない日々が続いた。
その綾と、洋一は日常をなにげなく過ごさねばならない・・。
が、画像プリーズ・・・。全部消えてる・・・。
154 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/03 01:55 ID:kpuhKyt3
どの画像が見たいの?
全部三田井・・・
156 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/03 14:03 ID:O4th+EpT
「洋ちゃん、今日は夕飯はお家で食べるのかしら?それなら好きなハッシュドビーフにしましょうか。」
「洋ちゃん、大学は楽しい?」
洋一が家にいる時は、綾はそうやさしく声を掛けてくる。
(お母さんは・・、僕が事件について知っていると、分かっているのだろうか・・。)
普段の綾に、それを思い起こすような様子は一切見られなかった。
そんな綾の何気ない日常のしぐさを見るにつけ、その時の、襲われる綾の様子をつい連想してしまう。
<いや!いや!やめてっ!>
必至に抵抗する綾に群がる男たち。
衣類が無残に引き裂かれ、男たちが挑みかかっていく!
<いやーっ!いやーっ!ああーっ!!>
そして、全てを奪われ、呆然とする綾の姿・・。
(それは・・、俺の勝手な妄想なのか・・。)
普段を見る限り、綾に暗い影は見えなかった。
確かに父のいう通り、もしかしたら本当に一度きり「いたずら」をされただけで済んでいるのかもしれない
とも思った。
その根拠は、綾が相変わらずスカートをはき続けている事であった。
レイプされた女性は、しばらくスカートをはけなくなるという記事を何かの雑誌の記事で読んだ記憶がある。
襲われた際、スカートをはいていれば、たいがいそれはめくられるので、その時のトラウマがそうさせるらしい。
ただそれはあくまでも若い女性に通用する判断手法であって、綾ほどの年令になれば、あえて耐えて
スカートをはくこともあるかもしれないが・・。
時が経つにつれ、洋一の感情的な気持ちはやや収まり、冷静に事態を把握するようになってきた。
そうなのだ。何も知らないそぶりで日々を過ごすことが綾にとって最もあり難い事かも知れない。
しかも、気持ちが落ち着いてくると、男の性というものが、綾を見る目を変わらせる。
レイプされる綾を想像することで綾に同情し思い悩む自分から、単に、綾がどうやって、どういう行為をされた
のか、その時彼女がどう言う反応を示したのか、興味本位に想像してしまっている自分に、最近はっとして、
気付くことが多い。
157 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/03 15:21 ID:A7i1QaUE
義理の息子・洋一登場!
ますます楽しみです。
158 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/03 20:06 ID:hjW9MOkp
画像再アップしたいけどアップローダーの調子が悪いのか今出来ないっす。
160 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 00:10 ID:GpAgX2SO
>160
。・゚・(ノд`)・゚・。また見逃しました・・・。早すぎ・・。
162 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 15:00 ID:K5DYk7t5
163 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 16:37 ID:K5DYk7t5
そして、ある日、ふと妙なことを思い浮かべてしまった。
もし綾が輪姦されていたとしよう。
何の抵抗も出来ず性行為を繰り返される中で、その行為に溺れてしまうことはあり得ないだろうか。
綾の輪姦はおそらく事実であろうから、それは洋一にとって大変危険な発想であった。それを前提に
考えると、なぜ綾があそこまで変わりなく日々を過ごせるのか。なぜスカートをはき続けることが出来る
のか。全てに都合が付くのである。
綾が全てを捨てて現地人と絡み合う姿を思わず連想した。
相手の腰の動きに合わせ、悶え、絶叫する綾・・。
(ばかな!そんなこと、ありえない!)
洋一はそうはき捨てて、机に向かいなおった。
洋一が、綾がレイプされた事実を知ってから、10日程たった。
文系の大学生である洋一は、同じ学生達がそうであるように、洋一も昼近くなって、のんびりと大学に
出かけることが多い。
その日も、リビングでくつろぎながら、意味も無くテレビを眺めている。変に綾を意識しないように・・。
『戸締り用心!火の用心!・・』
(いつまで同じCMを続ける気なんだ、高見山、引退したぜ・・、)
『あ、うだだ!うだだ!表から、ゴハンですよ!』
(これも同じだ・・。)
『今の君は、ピカピカに光って・・』
(おっとっ・・)
画面ではぽっちゃりとしたかわいい女の子が、ジーンズとTシャツを脱いで水着になっている。
この子はこれで人気が出ているらしい。洋一もご多分に漏れずお気に入りのCMだ。
食い入るように画面を見つめていると、キッチンから、
「まあ、洋ちゃんたら、そんなはしたないCMなんか見て。」
と綾が声を掛けてくる。
「別にわざと見ているわけではないさ・・。」
そう言って洋一はチャンネルを変えた。この辺が綾の、妙に気の付く、本当の母親のような一面だ。
164 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 16:40 ID:K5DYk7t5
その時、電話が鳴った。
洋一が電話を取る。綾宛だった。
「お母さん電話、中原さんから!」
「あら・・。」
朝食の後片付けをしていた綾は、そういってキッチンから出てきて、受話器を洋一から受け取った。
「はい、もしもし・・」
『わたしよ!今忙しいの?』
電話の相手は中原久子である。
加納一家が九品仏の実家に引っ越す前、横浜の郊外のニュータウンに住んでいた時から付き合いの
ある主婦である。確か二人の小学生の子供がいる、綾より少し年下の女性だ。
ニュータウンにいた頃は同じ年代・同じ環境の家族が多く、近所の家族同士の付き合いが多かった。
その中でも綾と一番仲が良かったのが中原久子だった。
ニュータウンのメンバーと疎遠になった今でも、久子は綾の唯一の親友である。
もう関心はないが、相変わらずニュータウンでは、久子を含めあの近隣のメンバーが、様々な人間模様
を繰り広げていることだろう。
『今日、横浜に出かけるのよ。あなたも出てこない?』
「わたしは大丈夫だけれど・・。」
受話器片手に綾はそう言いながら、洋一を見た。洋一は<俺は全然かまわないから行ってきなよ>と身
振りする。
「いいわ。馬車道でいいのかしら?」
『そうよ。待ってるわよ。』
そう言って、久子は電話を切った。
165 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 19:06 ID:gtbEqpJT
九品仏から東横線に出ると、横浜までは急行ですぐに出られる。見慣れた、緑色の蛙のような電車に綾は
乗った。
馬車道が待ち合わせ場所なのは、以前久子と二人で通った英会話の学校が馬車道にあって、そのそば
にある喫茶店が二人のお気に入りであったからだ。
ただ東急では終点から少し歩かなければならない。ゆくゆくは今車窓に広がる造船所が無くなり、整備され
てオフィス街に変わるそうだ。東急も地下鉄になって元町まで延びるという、そんな話を信之から聞いたこと
があるが、随分遠い未来の話のようである。
そう思っているうちに、電車は終点に到着した。
綾が、喫茶店の『十番館』に入ると、久子が<ここよ!>と、手を振った。
あの、細面の、少しエキゾチックな面持ちが特徴の久子。
腰を落ち着け、コーヒーを注文し終えた綾に、久子が言った。
「ひさしぶりだわねぇ。」
「お子さん達は元気?」
「うん。上の子はもうすぐ中学生。」
そう言って、少し沈黙した後、久子は綾を見た。
「・・びっくりしたわ、話を聞いた時・・。」
「・・驚かせてしまったわね、ごめんなさいね・・。」
実は綾は先日、親友の久子だけには、レイプされた事実だけは電話で伝えていた。
いくら気丈に振舞う綾であっても、悩みを打ち明ける相手が欲しかったのだ。
久子は首を振って、そして綾を見た。
「・・大変だったわねぇ。つらかったねぇ・・。」
そう言われて、綾の脳裏にあの夜の出来事が、瞬間、よみがえる。
ネグリジェの裾をめくられて、丸出しになるショーツ
ベッドの上に横倒しにされ、ショーツが下ろされる
そして、挿入される!
166 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 19:13 ID:gtbEqpJT
「ううん。ほとんど何にも覚えていないの。お医者さんに診てもらって、状況が分かっただけ。」
久子は、綾がレイプされたことを知る数少ない第三者だった。
事実を知って驚いて、<今すぐに会いに行くわ>と取り乱した久子を綾は逆になだめた程だった。
「息子さんは、知っているの?」
「私から直接は話してないし、とても話せないわ。でも、主人から、伝えているんじゃないかしら・・。」
そう言って綾は少し下を向き、お絞りで手を拭きながら、話し続けた。
「その事を気にかけているのか、やさしい言葉をかけてくれるのよ、あの子・・。」
久子は当然、洋一が綾の実の息子でないことは知っている。
「もう大学生だっけ?洋ちゃん。いい子に育ったわね。」
そう言われて綾はにっこりして、うん、とうなずいた。
それを見て久子が切り出した。
「気晴らしの意味も含めてさ。あなたも始めてみない?」
「何を?」
「テニスよ。」
「わたしが、テニスを!?。」
「そう。私も少し前から始めているの。楽しいわよ。」
「でもわたし、いまさらスポーツなんか・・、それに運動音痴だし・・。」
「んー、何ていうのかなぁ、スポーツとも違うのよねぇ。もちろん上のクラスもあるんだけど、わたしがやって
いるのはホントに遊びみたいなもの。」
「ニュータウンのみんなも一緒なの?」
「ううん。私だけ。」
そう言って、少し久子が黙った後、また口を開いた。
「こっちもいろいろあってね。・・村瀬さん、離婚したし・・。」
「村瀬さんって、ご主人が中古車屋さんだった人でしょ。」
「うん。・・そのことは、また今度詳しく話すわ。まずはあなたが嫌なこと忘れるのが先よ。」
「ホントにわたしでも出来るかしら?」
「だいじょうぶよ。それじゃ、すぐ行きましょうか。」
「え!行くって、どこへ?」
「服、服!まずは格好から入るのが先よ。」
久子が立ち上がった。
167 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 19:26 ID:gtbEqpJT
綾が九品仏の自宅に戻ると、洋一が既に大学から帰宅していた。
「あら、洋ちゃん、今日は早いのね。」
「いつも飲み歩いているわけではないさ。それより買い物は楽しかった?」
「楽しかったわよ。4年の間に横浜も随分変わっていたのねぇ。中原さんに案内してもらったわ」
そう言って、綾はひとまず紙袋をリビングに置くと、隣室の寝室に入った。
普段着に着替えるためである。
その様子を、洋一はつい想像してしまう。
初めて出会ってから,綾と洋一は実の母子のように仲が良かった。そして常に一緒に生活をしてきた
が、それでも洋一は綾の裸はもちろん、下着姿さえ希にしか見たことが無かった。
近いようで遠い存在が綾なのであった。
綾がレイプされたことで湧き上がった憤りと正義感は、時間が経つにつれ徐々に収まりつつあった。
逆に、どのようなことをされたのか、彼女がどう反応したのかの興味は日増しに強くなっていく。
(自分は、加納綾という女性を、どのような意味であれ、確かに愛している。それなのに、彼女を愛して
いない人間が、その肢体を奪った・・。)
無茶な考え方ではあるが、本能的に洋一はなぜか納得が出来なかった。
別室で着替えている綾であるが、さすがに部屋の鍵まではかけていない。
おそらく、彼女は一時的に下着だけの姿になるであろう。
(もし、いま、俺が彼女を襲ったら・・。)
一瞬、そう考えて、あわててその妄想を脳裏からかき消した。
(バカなことを考えるな!そんなことをしたら、俺と母さんの仲はおしまいだ!)
そう考えているうち、綾はあっさりとしたブラウスとスカートに着替えて、部屋から出てきた。
洋一は信之から電話があったことを思い出した。
「お母さん、父さんから電話があったよ。今日も遅くなるらしいよ・・。」
それを聞いた綾の表情が、一瞬、曇ったのを、洋一は見逃さなかった。
「まぁ、そうなのね。お父さんも帰国早々、毎日大変ね。」
綾は笑ったが、確かに、信之はずっと仕事で深夜帰宅である。
そう、レイプされた綾を最もいたわってやらなければならない信之が。
168 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 19:36 ID:gtbEqpJT
やはり、信之の帰宅は遅くなりそうであった。
一人で寝室のベッドにもぐった綾は、仕方がないこととはいえ、自分とほとんど顔を合わさない夫にさす
がに失望気味であった。
このまま自分は一人になってしまうのではないかというわびしい気持ちが湧いてくる。
そして、あの夜のことが、レイプされた時のことが、また思い出されるのであった。
(あの時自分は、体を奪われて、不覚にも肉体的な悦びを感じてしまった。自分はふしだらな女なので
あろうか・・。しかし、あの状況下では、引き換えに悦びを得なければ、あの恥辱を打ち消すことは出来
なかった。)
あの悦び・・。股間から全身へ、電流のごとく広がった、あの感覚。
寂しさが募るに連れ、恥辱よりも増してくる悦楽の思い出を、綾は恐れた。
信之は深夜1:00頃、タクシーでようやく帰宅した。
洋一はまだ1階にいた。信之に一言言いたかったのだ。
「お母さんをほったらかしてまで、そんなに会社が大事なのかい父さん!」
「そんなこと、俺だってわかっているさ!」
そうなのだ。仕方がないではないか。信之はそう思った。
(今日だって・・。)
信之は専務室でのやり取りを回想した。
「加納君、この度は大変だったねぇ、特に奥さんには・・。」
専務のデスクの前で直立していた信之は、
「いえ、妻も随分と元気を取り戻しておりますので・・」
「そうか、それならいいが・・。まあ、かけたまえ。」
「はい。失礼します。」
そう言って信之はソファーに座って、専務の斎藤と向き合った。
「君に随分と現地で骨を折ってもらった高純度ウランだがね。実は早速取引先が現れて、今、船便で
運んでいる。10日後、納品の予定だ。」
「10日後ですか?私は何も聞いておりませんが」
「極秘なんだよ。本来は君にも、いやもしかすると私にも伝達されないレベルの話なんだ。
政府高官レベルのね。まぁ、それでは仕事ににならんからなぁ」
斎藤はそう言って笑った。
169 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 20:16 ID:KWsmoVBS
「10日後、横浜港に船便でウランが到着する。君はそれを車で箱根まで運んでもらいたい。もう一人
ほど若い社員を選んでおいてくれ」
箱根か・・かなり近距離だが、物が物だけに仕方がないが・・。箱根でウランを使って何をしようという
のだろうか。まぁ余計な詮索は無用ということなのであろうが。
「もちろん、うちと取引が多い信頼できる警備会社をつける手配をしている。まぁ宜しく頼むよ」
そうなのだ。自分には重大な任務があるのだ。
信之は我に帰った。
「とにかく、寝させてくれよ。」
そう言って信之は2階に上がっていった。
「洋一は軽蔑のまなざしで信之の背を見た。」
そしてその10日後がやってきた。
貨物船からの引き取り場所は、横浜港でも最も外れたところであった。もし夜になると、まるでギャング
映画の舞台になりそうなところであった。
信之は若手社員の太田と「波止場」で荷揚げを待っていると、向こうから大型のセダンが砂埃を上げて
近付いて来た。「OPEL-GTだ。」車好きの太田がそう言った。信之は車種までは分からなかったが、
白銀のそのボディから外車であることは分かった。
車体にフクロウのマークが描いてある。専務が言っていた、警備会社の車だろう。
その車から二人の男が降りてきた。一人は信之よりも少し若い感じの責任者らしき男と、もう一人は
ずっと若い長身でスマートな男。
「はじめまして。東京パトロールの高倉です。これはメンバーの杉井。」
「杉井です!」
若い男が元気よくそう挨拶した。
二人とも、カルダンのスーツをビシッとまとっている。信之のイメージしていた警備会社のイメージの
人間と全く違っていた。
「いつもわが社をご贔屓にしていただきまして有難うございます。お話は専務さんから聞いております」
「宜しくお願いします。そうなんです。ここから箱根まで随分大げさに思われると思われるでしょうが、
なにしろ物が物ですから」
船から下ろされたウランは微量で、アタッシュケース1つ分ほどしかなかった。待った割には拍子抜け
したが、ただその内容は極めて高純度なのである。
170 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 20:17 ID:KWsmoVBS
引き取ったウランのケースを、後部座席で太田が抱えた。
一行は出発した。
車は第三京浜を経て国道1号線を箱根に向かう。後ろから高倉たちのオペルがぴったりとついてくる。
このウランの使用目的を誤れば、その気になれば原爆が何発も製造が可能となる。
念には念を入れるのは当然だが、ただそうそう不測の事態など起こりえるのであろうか。信之は緊張
はしながらも、楽観的に車を運転した。
引渡しの指定場所の地図を頼りに運転を続けているうち、箱根の市街地はとうに通過し、どんどん
道が細くなっていく。
ついに未舗装の道に入った。林道である。
ゴトゴトと車が揺れる。
その時、突然信之の車をさえぎるように、林の脇の小道から、見知らぬ別の車が出現した。
あっけにとられる信之をよそに、その車から二人組みが降りてきて、そして胸元から何か取り出した。
(拳銃だ!)
一人がパンッ!と威嚇射撃した。
そして信之に向かって大声を張り上げた。
「車を降りろ!」
「太田!ケースを放すなよ!」
信之はそう言って車を降りかけた。その瞬間!突然強い力で逆に車中に押し戻された。そして自分と
拳銃の男の前に割って入る人影。
「我々ガードマンが相手だ!」
高倉と杉井!
「やっちまえ!」
パン!パン!パン!と立て続けに拳銃の弾が発射された。一発が車に命中した。
(もしかすると死ぬかもな・・。)
身をかがめて、信之は一瞬そう思った。
アフリカで現地人に侵入されて格闘したあの夜のことが頭をよぎった。
だが、高倉たちは冷静に弾道をかいくぐると、二人組みに猛然とタックルした。
そして、何発かパンチを食らわせると、一人は車を置いて逃走し、一人は杉井に押さえつけられた。
「加納さん、怪我はないですか?」
まるで、何事もなかったかのように平然と高倉がそう言ってきた。
171 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 20:24 ID:KWsmoVBS
「私は大丈夫です。」
後部座席の太田はケースを抱えたまま、顔面蒼白になっていた。もちろん怪我はなかった。
「杉井、お前は犯人とここに残ってくれ。清水を応援によこす。」
「キャップ、こいつら何者でしょう?」
「うむ、」と高倉が少し考えた後、信之に言った。
「任務が終わるまで、連中は我々の手で係留と捜索をします。警察への連絡は引渡しが終わるまで
控えて置いた方がいいと思います。」
「そうして下さい。助かります。」
高倉が頷いた。
「警備を続けます。」
その後、さらに荒れた道をしばらく走り続けた。
「頼りになる男たちだ。」
「はい・・!」
太田が答える。
あんな男たちがアフリカで自分たちの警護についていたら、綾もあんな目に・・。
信之はそう考えた。
そして今度は何事もなく、目的地まで到着した。いや、確認しなくても明らかにそこが目的地であると
分かった。
こんな山奥だというのに、立ち入り禁止の物々しい看板があり、その奥では林を切り開いた仮設のヘリ
ポートがいくつもあった。そこではヘリコプターが資材を運んでいた。
指定場所には4人の男が待っていた。二人は技術者風であったが、もう二人は、こちらが引き取り主
なのだろうが、まるで拳闘家のようなガッチリした体つきをしている。その内の中年の男のほうが軍人
のようなキッチリした礼を信之にした。自衛官か?いや、少し違うようだ。
「キリヤマと申します。隣にいるのはフルハシ・・。わけあって詳細は申し上げられませんが、ご協力有
難うございます。」
そこはふたご山という山の麓であった。キリヤマという男が続けた。
「本来なら私どもが港からヘリで運ぶところなのでしょうが、撃墜の際のリスクがありましたので、今回
のお願いとなりました。」
撃墜とは随分物騒な言葉だが・・
172 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 20:31 ID:KWsmoVBS
「私どもは一向に構いません。だた・・。」
信之はそう言って、おそらく回答は無理であろうが、一つの質問をしてみた。
「かなり大掛かりな工事と思われますが、何を建設されているのですか?」
キリヤマは、やはりそう来ましたかと微笑しながら、
「今はお答えできませんが、皆様の安全を守る、期待にこたえられるものをお造りすると確約いたしま
す・・。では!」
一礼して、彼らは、地球儀のような模様の入った銀色の大型車に乗って去っていった。
「あんな車、見たことがないです。」
「まるで空でも飛びそうな形だ。君が知らなくても無理はなさそうだな。さぁ!帰るか」
帰路、東京パトロールと分かれた後、信之は途中のドライブインで本社に任務無事終了の連絡を入
れようとした。
「太田くん、君はすまないが、ウチに電話を入れておいてくれないか。」
「はい。部長」
「今夜も遅くなるとそれだけ伝えておいてくれ。」
歩いていく太田に向けてそう言ったが、太田の耳にそれは入っていなかった。
そして太田は、電話に出た綾に、ご丁寧に事の顛末を全て話したのだ。
テニスのレッスンの開始時間までには間に合わせるつもりだったが、すっかり遅くなってしまった。
洋一の運転する自動車の助手席で、綾はあざやかに緑色を帯びた街路樹を無言で眺めていた。
「もう上達したの?」
洋一がそう言う。
久子に誘われるままテニスを始めて、<3ヶ月>くらいになる。
「全然ダメよ。ボール遊びをしているようなものね。でもわたしのクラスは、誰も同じようなものよ。」
「中原さんは上手なの?」
「わたしよりは上手いけど、それほど変わらないわ。」
車はやがて、たまプラーザにある、綾の通うテニススクールの駐車場へ入った。
「どうもありがとう、洋ちゃん。」
そう言うと綾は、車を降り、早足でクラブハウスの中へ入っていった。
173 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 20:36 ID:KWsmoVBS
テニスコートは道路から高い位置にあり、植え込みが囲ってあるので外からはうかがえない
が、駐車場からだとコートの様子は全て目にすることが出来る。
意外とたくさんの人数の女性がコートでラケットを振るっている。彼女らは綾と同じか少し下の
年代に思えたが、皆、スコートという極端に短いスカートのテニスウエアを着込んでるので、実際の年令
よりも若々しく見えるように思えた。
綾は、既に人の気配がないガランとしたロッカールームへ入った。
(すっかり遅くなってしまったわ。)
綾はバッグをテーブルに置くと、せわしく着替えを始めた。
細いベルト緩め、スカートを脱ぐ。
ブラウスのボタンを外し、ブラウスから袖を抜く。
パンティーとブラジャーだけの姿になる綾。そして手を後ろに回し、ホックを取ってブラジャーを外すと、
一瞬あらわになった胸廻りに柔らかなスポーツブラを回し、小さなフロントホックを掛けた。
そこに乳房を少し押し込んで整える。
その上から木綿のTシャツを着込むと、3本のフリルの付いた純白のアンダースコートを取り出した。
片足づつアンダースコートに通すと、それを大腿部上まで引き上げて、パンティーの上に重ねた。
そして、アンダースコートからパンティーがはみ出していないか丁寧に確認した。
最後に、濃紺の、プリーツが少し入っているスコートを、アンダースコートを包み込むように腰に巻くと、
ジッパーをとめた。
しゃがんで靴を履き替え、ラケットを抱えると、入り口にある大鏡の前に立って、自分の姿を映し出す。
そこには、短いスコートから色白の両足を出した、まるで別人のような自分がいる。
ラケットを胸元で抱えて、ちょっとポーズを決めてみる。可愛らしく。
どうしてなのか分からないが、気持ちが高揚するように思えた。
久子が自分にテニスを勧めた意味が、最近なんとなく分かるような気もして来た。
そして、そのまま、午後の陽のふりそそぐテニスコートへ、綾は出て行った。
174 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 20:51 ID:KWsmoVBS
173です。
随分横道にそれてしまいましたが、一応伏線になってます。
ただ綾の着替えのシーンは全くの好みです。(^-^;
ご感想お待ちしてます。
それにしてもアップロードできないなぁ
挿絵代わりに色々アップしたいのですが。
>175
多謝。もっとほしいけど・・・。エムエクースとか・・・。
177 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 21:52 ID:KWsmoVBS
>>175 サンクス!参考にさせてもらいます。それからこの画像はこのスレの
原点ですね。
178 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 22:06 ID:KWsmoVBS
179 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 23:44 ID:TspMHYUH
「ラケットは軽ーく軽ーく、振って見て下さい。」
このクラスをコーチするのは東橋という20台後半の男だった。
若い男だが、どちらかというと3枚目で、コーチされるご婦人方にとっても肩がこらなくていい。
レッスン生の中には、若い男性コーチにお熱を上げる勘違い奥様もいるが、残念ながら、そんな魅力
的なコーチ陣は奥様テニスのレッスンは直接行わないのだ。
レッスンが終わったと、久子が綾に声を掛けてきた。
「今日、お茶していくでしょ。」
「いいわよ、特に予定はないし。」
「わたし、今日用具点検係の日だから、先に行っていて、すぐ行くわ。」
「わかったわ。」
綾がうなずいたのを見て、久子は再びコートへ戻った。
一人づつ週に一度、ボール等用具の収納を行い、スタッフに報告する取り決めがあるのだ。
綾はいつも通り着替えて、そそくさとクラブハウスをあとにした。他のメンバーも夕刻は各家庭の主婦の
役に戻らなくてはならないため、同じように切り上げ早く、あっという間にクラブハウスはガランとなった。
その後、コートの片付けを終えた久子が、白いミニのワンピースのウエアの姿のまま、報告と記録記
入のため、スタッフのいる事務室へ入った。そこにはコーチの東橋が一人いるだけだった。
「終わりましたけど、コーチ。ノートはどこ?」
「あぁ、中原さん、ノートは後でいいんで、ちょっと手伝ってくれないですか。」
促されるまま、久子は、ロッカールームに入っていった。
綾は時計を見た。喫茶店で久子を待って、もう1時間が経った。別に待ち合わせの時間を決めては
いなかったが、明らかに久子は遅かった。
(忘れて先に帰ってしまったのかしら・・。)
しかたなく、綾は店の店員に伝言すると、店を出た。
実は綾も、早く家に帰りたかった。レッスンが終わってから、なんとなく、<体調が優れない>気がしたので。
180 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 23:52 ID:/8wA9z2G
綾は基本的には夕食は材料を買ってきて、自分で調理をする。今日のようにデパートで出来上がった
惣菜を買ってくることは希だ。
「お母さんが料理を作らないなんて珍しいね。」
「ちょっと疲れているみたいなの。ごめんなさいね。」
「疲れたって、テニスで?」
綾は真顔で、洋一を見た。
「・・やぁね。」
綾は一瞬は微笑したが、すぐすました表情に戻った。
その日はめずらしく信之も帰宅が早かった。
「そろってお夕食が出来るなんて久しぶりね。」
綾はそう言って洋一を見た。
「そうかもね。」
洋一は、まるで信之がいるからそうしたかのように、そっ気なくそう言った。
「こういう、デパートの惣菜も結構いいもんだな。」
「よかったわ。手抜きと思われなくて」
そう言って綾は微笑んだ。
その日はそうして、何気なく終わると思われた。
181 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/04 23:54 ID:/8wA9z2G
深夜、なんとなく寝つきが悪く、洋一は自室のベッドから起き上がった。
かといって、することも無いので、雑誌でも読もうかと座りなおそうとした時、ふと、綾の声を聞いたよ
うな気がした。
立ち上がって、部屋のドアを開けた。
すぐ目の前の廊下に、綾が瀬を丸くしてうずくまっていた。
「お母さん・・・・、どうしたの」
綾は青白い顔を上げて、弱々しく微笑した。
「ううん。なんでもない。ちょっとめまいがしただけ。」
「僕を呼んだでしょ」
「・・・・そうかしら、なんだか母さん、少しの間ぼうとしちゃったみたいで・・・。」
「父さんを呼んでくる」
寝室へ行こうとする洋一を、綾は引きとめた。
「いいのよ、よく眠っているから、そっとしておいてあげて」
「でも・・・。」
「もう大丈夫。あなたもやすみなさい」綾は思いのほかしっかり立ちあがったが
「どこえいくのさ」
なおも心配そうにのぞきこんでくる洋一に、
「バカね、そんなこと聞くもんじゃないわ」
綾はこみ上げえてくる吐き気を押さえて、無理に笑って見せた。
吐き気は洗面所に入ってもおさまらなかった。
胃の中は空なのに、次々とこみ上げてくる吐き気が以上だった。全身がけだるくて、体の奥深い芯が
微熱にじわじわと焙あぶられるような不快感があった。生理が十日間遅れていることをあらためて綾は
思った。いきなり深い渕の際にたたされたような恐怖が背筋を伝わった。
182 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 01:14 ID:Cj1jg8hI
翌日、洋一はゼミナールの調査のため、朝から大学にいかねばならなかった。昨夜の件があり、綾
の様子が気がかりだったが、ほとんど顔を合わさずに、出かけることになった。
授業が済んだ後、ゼミの連中と飲み歩くことになり、洋一は帰りが遅くなることを伝えようと、夕方、家へ
電話を入れた。
出たのは驚くことに、綾ではなく、信之であった。
『洋一か、連絡を取りたいと思っていたんだ。よかった。』
「なんで父さんが今ごろ家にいるんだい。母さんは?昨夜具合が悪そうだったけど。」
『父さんも母さんから電話をもらって、会社を早引きしてきたんだ。』
そして、信之は、洋一に驚くべき事実を伝えた。
『母さんが、妊娠したんだ・・。』
「何だって!?」
『今日、母さんが自分で病院に行って診てもらったらしい。間違いないそうだ。』
「そんな!!バカな!!」
その事実に、洋一は様々な情報の整理を頭の中で処理し切れないまま、次の信之の言葉を聞いた。
『おそらく、いや間違いなく、あの、母さんを襲った現地人の子供だ。間違いない・・。』
「だって父さん、その心配はないと言ったじゃないか!医者にも診てもらったって・・。」
『そうなんだが、だが本当は違うんだ!俺も母さんを信じたかったよ!でも、もう3ヶ月だというんだ!』
そう言い放って信之は、少し今度は落ち着いて話し始めた。
『母さんから、俺や洋一に、あらためて話があるらしい。帰って来れるか?』
「当然だろ!」
ゼミの連中との約束など、当然どうでも良くなっていた。
洋一が家に戻り、リビングに入ると、信之と綾がソファーに座っている。
綾は和服姿で、無言でどこか一点を見つめていた。
信之は所在なげに苛立ちそうに、新聞を読みふけっていた。だが、活字など目に入っていなかったに
違いない。
洋一は立ちすくんだまま、再び綾を見た。
何か悟りきったような、覚悟を決めたような綾の表情であった。深く澄みきった瞳をしていた。
挿絵→
ttp://www.border.jp/uploader/img/3418.jpg
183 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 01:23 ID:Cj1jg8hI
その日、綾は二人に全てを話した。
現地人に侵入されたあの日・・・。
5人の現地人に、その夜何度も乱暴されたこと。
自分は気絶ぜす、ずっと意識があり、自分への出来事の全てを認識していたこと。
現地人が去った後、その場を取り繕うことを優先し、すぐに下半身の洗浄を実行しなかったこと。
恥ずかしくて、その事実を病院で話せなかったこと。
そして、最後に綾が言ったことは、二人の予測と全く異なるものであった。
「わたし・・、この子を、産みます・・!」
信之は驚愕して言った。
「お前!それがどう言うことか分かっているのか!混血の、肌の黒い子供が生まれてくるんだぞ!」
妻の受けた恥辱や、事実を隠さなければならなかった心情、そして宿した子供を生みたいという
母親としての本性、信之は全てを理解してやるつもりであった。しかし、そのことと本当にその子を
生むこととは意味が違うではないか。
「始末するんだ!この先どんな苦労が待っているか知れないんだぞ!お前にも、そして子供にも」
「産みます!」
はじめて綾が、キッとした目で信之を見た。
「おまえ・・。」
信之はかろうじてそう言った。
洋一はそのやり取りを見て、綾の、母親としての力強さを悟った。その小柄な体からほとしれぬほど
沸いてくる何か不思議な生命力を・・。
たぶん、母さんに、何を言ってももはや無駄だろう。そして母さんは、その子を、産むだろう。
たとえその子が、集団でレイプされた相手の誰かの、素性も知らぬ異国人の子であっても・・。
洋一はそう悟った。
自分は、綾を愛している。いかなることがあろうと、母を、綾を支えていきたい。
洋一はそう決心していた。
184 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 01:30 ID:Cj1jg8hI
周囲の不安をよそに、時は確実に過ぎていった。
最近のマタニティウエアは、妊婦の体型をほとんど感じさせない作りになっている。
綾もしばらくは、先入観が無ければ、一見普通の女性の姿に見えていた。
しかし、9ヶ月が過ぎ、臨月が近くなってくると、さすがに綾の腹部も丸みを帯び、移動するにも息苦し
そうにするようになってきた。
そんな綾を、洋一は心身ともに支えた。
綾は、そんな洋一が心の支えであった。相変わらず仕事が忙しく、しかも自分からどんどん心が離れ
ていく信之を、綾はもはや頼りにしていないように思えた。
混血の子を産む事実を前に、これまでは務めて複雑な表情をかもし出しているように見えた綾であっ
たが、予定日が近付くにつれ、輝きを増してくる綾の表情の変化を、洋一は知っていた。
どんな状況下でも、真の母親になるということの喜びを、洋一は綾に見ていた。
それが綾の望むものならば・・、洋一は綾をこれからも支えていく決心をしていた。
185 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 01:36 ID:Cj1jg8hI
そして、その日はやってきた。
綾は、女児を出産した。
高齢出産で、しかも初産であるにもかかわらず、出産に問題は無く、母子共に健康であった。
しかし、一つだけ大きく違っていた。
病院に駆けつけていた3人・・、信之、洋一、そして綾の妹の千恵は、全く予想だにしたかったまさに
驚愕の事実をそこで知ったのであった。
綾は混血の子など、産まなかった。
綾の産んだ子供は、誰が見ても、正真正銘、日本人の子供であった。
混血の子でなかったことは、それはそれでよかったが、しかし、またこれは、大きな別の問題を意味し
ていた。
千恵は、それならこの子は信之の子ではと彼に問うたが、信之は首を振った。
医師から許可が下りたので、4人は生まれたばかりの子供を沿い寝させている、ベッドの綾を囲んだ。
誰も口を聞かなかった。
そして綾がついに口を開いた。
「・・洋ちゃん・・。あなたの子よ・・。」
そう言って綾は、うれしそうな眼差しで、洋一を見上げた。
信之と千恵は思わず洋一を見た。
信じられないという視線で。
洋一の、口から出る言葉を待った。
そして彼は言った。
「この子は、僕の子です・・。」
その口調は、単に場を繕ったりするものではない、全てを悟ったような、力強さがあった。
信之はまだ信じられないといった表情で、一言も発せず、洋一を見ていた。
「そうだったんだね、お母さん・・。」
洋一は、綾を見た。
綾は頷いた。
洋一は、あの日からの綾との出来事を、回想した。
186 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 01:39 ID:Cj1jg8hI
洋一が、綾の受難を知って、2週間ばかり経ったある日。
その日は、朝から雨が降っていた。午前10時ごろになると、それはいっそう強く降るようになって来た。
横殴りの風が、さらに雨を強く家のガラス戸に叩き付けた。
大学が休講で家にいた洋一が、綾に言った。
「天気予報だと、しばらく雨風はやまないみたいだよ。」
「台風なのかしら?」
「じゃないけど、季節の変わり目で、気圧が相当不安定らしいよ。」
「まぁ、心配ね。物とか、飛んでこないかしら・・。」
「雨戸を閉めようか」
「そうね・・。」
それは、当然の成り行きの、何の問題も無いやりとりであった。
洋一はリビングの、綾は寝室の雨戸を閉めにかかった。
外の、あの激しい物音が雨戸を閉めることでウソのように静かになった。
(母さんの方は、うまく閉まったかな?)
そう思い、洋一は寝室に行ってみた。
既に綾は、寝室の雨戸を閉め終えていた。そして床に四つんばいになって、何かしている。
「どうしたの?」
「すごく吹き込んでしまったのよ、雨が。カーペットがシミになってしまうわ。」
綾はそう言って、タオルでカーペットを拭き続けた。
グリーンのサージ地のスカート姿で、かがんで後ろ向きの姿を、洋一に見せている。
外では相変わらず雨が激しく降り続いている。
おそらく今、家の中で何が起きても、誰も気がつかないであろう。
それに、こんな天候では、誰もこの家を訪れることは無いであろう。
そして、洋一に、スカートをまとった下半身を突き出す形の綾は、きわめて無防備であった。
その時、倫理観や平常心をまったく無視し、ただ今この機会を逃したら、その機会はずっと訪れない
であろうという、無意識の脳の判断思考が働いた。
187 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 01:44 ID:Cj1jg8hI
洋一は、綾の後ろから、どっと抱きついた。
背中でその重みを感じて、しかし綾は100%、悪ふざけと思った。
「なぁに!洋ちゃん!やだわ、重たいわぁ!」
そして、洋一が綾を抱きかかえたまま、グルっと自分が裏返り、彼女を仰向けにさせた時も、それでも
まだ50%、信じていた。
「洋ちゃんやだわ、変な格好だわ、放して・・。」
しかし、洋一の決心をはっきり認識したのは、自分を抱きかかえている洋一の両手が自分のブラウス
を左右に引き裂き、あっという間にブラジャーを押し上げて、乳房を揉みしだかれた時であった。
「洋ちゃん!何をするの!やめて!」
綾は体を左右に振ったが、そんなことでは洋一の手から逃れることは出来ない。
挿絵→
ttp://www.border.jp/uploader/img/3422.jpg 「洋ちゃん!洋一さん!いけないことよ!やめるのよ?」
相手は洋一1人である。綾であっても本気で体を使えば、この時点であれば逃れることは可能で
あった。しかし彼女はあくまでも説得でそれを切り抜けようとした。
「洋ちゃん!洋ちゃん!やめて!やめるのよ!」
しかし、そのうち洋一は、自分の足でもがく綾の両足を組み止めてしまった。
そして、揉みしだかれる乳房の感覚が、じわじわと綾を襲ってくる。
(このままではいけない!!)
綾はもう本当に力づくでこの場を切り抜ける必要が出て来たことを悟った。
しかし、既に遅かった。
両足は洋一の強い力で押さえつけられていた。
そして、全身には力が入らなくなってくる。
綾は焦った。
さらに綾は、自分の首筋に洋一の唇が押し付けられる感触を得た。
そこから、さらに全身に、グッと熱くなるものを感じた。
↑は八千草タン? なわけないか・・・。
189 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 18:36 ID:NHrf8d1+
そして、洋一の喘ぐようなその声を聞いた。
『綾!綾!好きだ!』
(!、何!なにを言うの!洋一さん!)
その言葉は、自分の体を攻める洋一の両手以上に強烈に綾の心に食い込んだ。
押し黙った綾を感じたのか、洋一はついに片手で綾のスカートをめくり上げた。
パンティーに包まれた綾の下半身は、洋一からも良く見えた。
その刺激的な肢体に、洋一の行動は決定的となった。
綾をカーペットの床に仰向けにさせると、激しく唇を奪った。
そして、片手を、パンティーの中へ。
その洋一の股間に触れた手が、我慢し続けていたものを一気に噴き出させた。
「あっ!あっ!!あっ!!」
洋一の目前で、そう甲高く声を上げてしまった綾は恥ずかしさと焦りで、頭の中が真っ白になった。
もはや綾は、逃れる術を失っていた。
パンティーが下ろされても、それは同じであった。
一瞬、空白の時間があったあと、綾は、入ってきた洋一を感じた。
それは、衝撃か、絶望か・・。
それは、洋一の、まぎれもない精神と自分への愛そのもの。
そしてそれは、洋一が自分を固く抱き締めた後、動き始めた。
「綾!綾!綾!好きだった!ずっと好きだった!」
(だめよ洋一さん!そんなこと思ってはいけない!だめよ!)
しかし、その洋一の熱い思いと、自分を何度も貫くその動きの感覚が、確実に綾を燃え上がらせ、
前後不覚になっていく自分の心身を綾は感じた。
「あっ!あっ!あっ!」
こらえきれず綾は、声を、あけっ広げに上げ始めた。
「ああっー!あっ!あっ!ああっー!」
綾は、もはや自分が最後まで絶えられないことを悟った。それなら・・、せめて守りたい。母子と男女と
の最後のギリギリの境界線だけは。
(中に、中に出してはだめ!)
喘ぎながら綾はそう心で叫んだ。
その瞬間が近いことを、綾は洋一の息づかいと腰の動きで認識していた。
<洋ちゃん!外に出して!!>
190 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 18:47 ID:NHrf8d1+
最後の力を振り絞ってそう叫ぼうとした瞬間、
「あーっ!あーあーあーっ!!」
綾は頂点を向かえた。
そして洋一は、同様に射精の瞬間を迎えた。
綾の意図は、ついに洋一に伝わらなかった。
洋一は激しく射精した。
とめども無いくらいの精液が綾に放たれた。
それが彼女の体内にいっぱいに広まった時、母子という障壁は崩れ去り、二人は男と女として、結ばれた。
外では相変わらず雨が激しく降っていた。
頂点の余韻がおさまり始めると、その雨音が徐々に綾の耳に入ってくる。
同時に現実に引き戻される自分。
洋一が自分を名前で読んだ事実、好きだったと囁いた事実、そして・・、身体的に結ばれた事実・・。
事の重大さを認識しつつ、どうしてよいか、洋一にどう接してよいか綾は全くわからなかった。
一方、洋一にとっては、10数年来綾に思い抱いていた気持ちが、崩壊されるダムの水のように今、
綾に一気に向けられるその時であった。
わずかな時間を置いて、再び洋一は綾に挑みかかってきた。
彼女を全裸にし、抱えてベッドへ仰向けに横たえると、自らも全裸となり、そして綾へ乗りかかった。
驚いた綾。しかし、もちろん、抵抗など出来はしなかった。
二人の体はひとつになると、そのままベッドを緩慢に軋ませ始めた。
洋一の激しい息使いと、堪えきれず漏れる綾の喘ぎ声が、寝室にこだます。
喘ぐ自分と、彼をさげすみ、忌み嫌う自分。
綾はその二つの心の葛藤を感じながら、下半身の、洋一の激しい動きを受け止めた。
人知れず、時間が過ぎていった。
4度目の射精を洋一が綾へ終えた時、外の雨あしが弱まったような気がした。
さすがの若い洋一も、体力を消耗し、ようやく綾の裸体から離れた。
全裸で大の字になってまだ大きく息をしている綾に、洋一はなんと声をかけてよいのかわからなかった。
いまさら、お母さんごめん、とも言えなかった。
191 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 18:54 ID:NHrf8d1+
それでも、最後の射精の瞬間に予想した、終わった後の後悔が、満足したことにカバーされ、意外な
ほど感じられないのは、男の勝手であったか・。
だが、彼女は、この後、なんと自分に言ってくるであろうか・・。
自分を罵倒する言葉か、母子の縁を解消する言葉か・・。
やがて、綾は起き上がった。
そして、全く無言で、造り付けの洋タンスから、真新しい衣類を一通り出すと、それを着た。
節目がちにしながら髪をとかし、そして身支度を整えた綾は、洋一の方を見向きもせずこう言った。
「忘れてください・・。」
洋一が何か言おうとした。
「わたしとあなたは母子なんです・・。絶対に、結ばれることは無いんです・・。お願い、忘れて・・。」
そう言って綾は、寝室を出た。
雨はとうにあがっていた。
それ以来、さすがに二人は口を聞くことは少なくなった。
必要がある時以外は顔を会わせないようにしていたし、やむを得ず会話をする際は、まるで二人の間
に何事も無かったかのような自然な振る舞いの綾が、逆に洋一の心に深い闇を作った。
信之を含めた3人で会話をするような際、自分に向けられる綾のやさしそうな微笑が辛い。
あの時、確かに綾は自分の腕の中で頂点を迎えた。迎えさせてやれた。しかし、それで心が結ばれる
わけではないのだ。洋一は実感していた。後悔はしてはいないが、これからどうやって綾との関係を修
復していけばよいのか、洋一は掴みあぐねていた。
192 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 19:22 ID:AskkyVDf
そしてその日も、お互い口を聞くことなく、家で過ごしていた。
リビングの電話が鳴った。
綾が受話器を取ったようだ。
「はい、加納でございます」
『あっ!奥様!大日商事の太田でございます!』
「あら、太田さん、お久しぶりです。お世話になっております・・。」
『こちらこそ・・、いや、奥様、今日加納部長が大変な目に遭ったんですよ!』
「えっ!何があったんです!?」
『取引商品を狙って、ギャングみたいなヤツが襲って来たんです。ピストルで撃たれたんですよ。』
「ピストル!」
『いやぁ、ボク、死ぬかと思いました!あっ、いや部長にはお怪我はありませんでしたが・・、もしもし!
聞いていらっしゃいますか?』
もう綾の耳には太田の声は入ってこなかった。綾は思いつめたような表情で受話器を置いた。
こみ上げてくる感情が、綾を襲う・・。
強盗に襲われる環境
ピストルで狙われる日常
一人孤独な夜・・、
「お母さん、どうしたの?」
さすがに洋一も、ただならぬ綾の様子に気が付いた。
「父さんに何かあったの?」
「洋ちゃん!」
そう言って綾は崩れるように洋一にしがみついた。
「もういや!母さん、こんな危険な生活はいや!」
「お母さん!」
193 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 19:31 ID:AskkyVDf
「洋ちゃん!わたし、こわい!さみしい!洋ちゃんがいてくれないとわたし!」
「お母さん・・」
洋一は自然と、綾を抱き締めていた。
「・・あったかいわ、洋ちゃん、知らない間に大きくなって・・。」
そして綾は、はっとして、洋一を見た。
洋一の目が語りかけていた。
綾は思い出した。
先日、自分が道をあやめられてしまった時、忘れて欲しいといった洋一への言葉を。
そして綾は悟った。実はそれを、自分自身が忘れることが出来なかったのだということを。
綾は一瞬体を硬くして見つめ、何か言おうと口を開きかけたその時、洋一の唇が綾の口を覆った
綾は小さく呻いて、ちょっと身もだえしたが、すぐに肩の力を抜いた。頭の中が燃えるように熱くなるの
とは反対に、急速に肩の力が抜けていくのを感じ、そのまま二人は折り重なるようにゆっくりとソファに
倒れこんでいった。
ソファーの上で、綾と洋一は激しく唇を擦り合わせ、そして洋一の手は綾のブラウスのボタンを外し、
ブラジャーを押し上げた。
洋一の唇は綾の首筋から乳房へ移り、そして、敏感な乳首に触れる。
そこから全身に広まる優美な感覚を綾は感じた。
激しく自分を求めるその洋一の姿に、綾は、今まで務めて押さえてきた自分の正直な感情を悟った。
自分が、もはや彼を拒むことは無いであろう。
そして、喘ぎながら、かろうじて、こう言った。
「・・洋ちゃん、もう、わかったわ、だから、お部屋へ・・。」
その言葉の意味の重大さに、洋一は綾を抱き締めたい衝動を抑え、彼女を寝室のベッドへと運んだ。
スカートとブラウスを脱がした。押し上げたままのブラジャーと、白地にドット柄の模様のちりばめられた
ショーツ、そして、太ももまでのストッキングを刺激的にまとっている綾を、ベッドに横たえた。
もう焦る必要は無い。洋一はそのまま、綾の乳房をゆっくりと揉みしだき始めた。
挿絵→
ttp://www.border.jp/uploader/img/3449.jpg
194 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 19:56 ID:AskkyVDf
綾も、もう自分の気持ちを押し殺すことはしなかった。
「あっ!あっ!あっ!」
洋一の手が乳房を押し上げる度、綾は声を上げた。
またたく間に自分の股間が疼き、そしてこみ上げてくることを感じた。
薄めを開けて洋一を見た綾。
洋一はその表情を見て、綾の全ての衣類を脱がし、自らも服を脱ぎ捨てると、綾にどっと抱きついた。
そして、綾の股間の様子を確かめることもしないまま、洋一は綾の太ももを押し開いた。
果たせるかな、二人の体は何の障害も無く結びつけられた。
「あぁっ!」
そう声を上げる綾の唇を、洋一はキスでふさぎ、そして思い切り抱き締めると、ゆっくり腰を動かした。
洋一の唇が綾の唇に移ると、綾は自らも腰を揺り動かしながら、洋一の背に手を回した。
全裸同士の二つの体が一つとなって、ベッドの上で揺れた。
肌と肌が熱くこすれ合い、そして夢中でお互いの唇を求め合う。
<綾!綾!好きだった!ずっと好きだった綾!>
<ああっ!嬉しい!嬉しい!抱いて!抱いて!強く抱いて!>
やがて、洋一が無口になり、腰の動きが激しくなってきた。そして綾の、洋一の背に回していた両手が、
さらに強く力を増した。
<わたしの!わたしの!>
そして綾は頂点に達した。
「あーっ!ああーっ!ああーっ!」
綾は、空高く舞い上がるような感覚の中で、律動する洋一の下半身を感じた。
洋一の射精の瞬間だった。
もはや綾はそれを拒否する必要は、既に全く無かった。
激しく射精する洋一を、綾は全身で受け止めた。
綾の中に全てを放ち終えた洋一は、力を失って綾に倒れこんだ。
そんな洋一を、綾はもう一度嬉しそうに抱き締めた。
195 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 20:01 ID:AskkyVDf
一瞬、静寂が訪れる。
(少し、お話が出来るかしら・・。)
男性のインターバルを知っているつもりの綾は、そう思った。
しかし、次の瞬間驚いた。
洋一が、再び激しく唇を求めてきたのだ。
そして、体を結び付けてきた。
洋一の回復する力を、綾は自分の股間でいやおなしに感じることになる。
そのたくましさに綾は思わず感激した。
綾はそう思いながら、洋一の腕の中に抱かれた。
若い洋一は、何度も綾を求めてやまない。
綾もそれに応えた。
ベッドの下には、クリネクスの小さな山が出来た。
そして、その日最後に愛し合った時、既に外には夕闇が迫っていた。
196 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 20:08 ID:AskkyVDf
「父さんが帰ってくるかもよ。」
「もしそうなっても、もういいわ・・」
洋一の腕枕で、綾はそう言った。
「洋ちゃん、ほんとにたくましくなってなのね。気付かなかったわ・・。」
「これから、君を綾と呼ぶ」
「まぁ、だめよ・・。」
そう言って綾は仰向けになって、洋一の胸板に顔を埋めた。
「それに、女の人を無理やり乱暴なんかしちゃだめよ。」
「乱暴なんで、しちゃいないさ」
「うそおっしゃい・・・」
「だって君は、あの時、すごく喜んでいたぜ」
「そういうことは、いわないの・・母さん怒るわよ・・」
そう言って綾は悪戯っぽく洋一を見ると、起き上がった。
「本当に、そろそろ支度をしなくてはね。」
綾は脱がされて散らかった衣類を拾い集めたが、下着だけはやはり新しいものを取り出した。
「涼しそうな色だね、それ。」
下着を着けている綾を見て洋一が言った。
「やだわ、あまり見ないで・・!」
綾が恥ずかしそうに言う。
挿絵→
ttp://www.border.jp/uploader/img/3450.jpg (この挿絵は、前の3つと違って、薫さんやその作品とは全く関係の無い、イメージです(^-^;)
ブラウスのボタンを留め、スカートをはいた綾は、もう現実の綾に戻っていた。
そして、何事もなかったかのように、台所に入っていった。
綾があえて意識しているのかは分からないが、日常の空間に二人が戻ると、相変わらず綾はあの
熱い営みのことなど全く無かったかのように振舞った。
アイロンがけをし、買い物に出かけ、食事を作る。
そして、時折、何気ない日常を語る。
197 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/05 21:48 ID:AskkyVDf
シーツの中で弾んで悶えた綾はまぼろしか、はたまた時間がさかのぼったか・・・洋一はそんな奇妙
な感覚にとらわれる。
もう二人は、お互いの愛を確認しあった仲なのだ。洋一は時折、無性に綾を求めたくなることがったが、
綾がまるでその隙を見せ付けない。
だからといって、「お母さん、また抱かせてよ」などとも正面きって言えないし。
ある日の朝。
その日も綾は、ダスキンの長いモップで、丁寧に板張りの床を掃除していた。
長めのグレーのスカートから出るふくらはぎが艶かしい。
そんな平静をきめこむ綾に、洋一は一寸、悪戯したくなった。
綾の後ろからそっと近付くと、グレーのスカートをおもいきりめくり上げた!
ヒップを包むベージュのパンティーが丸見えになった。
綾は驚いてモップから手を放すと、慌ててスカートを押さえつけ、パンティーを隠した。
そして、スカートを押さえて腰に手を当てたそのままのポーズで振り向くと、洋一をむっと、にらみつけた。
洋一は、ただスカートをめくられた時の綾の反応を見てみたかっただけであったのだが、綾からは予
想外の言葉が返ってきた。
「・・どうするの・・?」
再び向こうを向いた綾はこう言った。
「今日、3時からテニスのレッスンがあるのよ。それまでならば、いいわよ・・。」
思わず洋一は綾の後ろから抱きついて、首筋にキスをした。
「もう、悪い子ね・・。」
綾はそう言うが、洋一は、綾は日頃から実は、自分がきっかけを出すことを待っていたのかなと思った。
洋一は綾を抱えると、彼女を寝室のベッドへ運んだ。
彼女の服を脱がしていく。先ほど慌てて見られることを拒んだベージュのパンティーも、あっさりと脱が
される。
二人は全裸になると、ベッドの上で重なり合った。
洋一は綾の乳房に口を重ねた。
挿絵→
ttp://www.border.jp/uploader/img/3454.jpg (これもイメージです(^-^;)
ヤチさんの画像きぼんぬ・・・
199 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/06 00:56 ID:ta5mLqKb
197 です。GWにあわせ、一気にアップしいてきましたが、これからちょっと
アップのペースが鈍るかも・・。その間に感想いただければ幸いです。
あと、またいい画像ないかな。あったらアップします。
200 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/09 11:11 ID:xLHCYpxO
あげ
201 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/12 00:55 ID:dvm1p6T6
「ああっ!」
綾は敏感に反応した。
二人は結び合うと、お互いの体を抱き締めた。
「あっ!あっ!あっ!」
まだ洋一の腰が動いていないのに、綾の体は既に熱く燃え、思わず疼く体に声を上げた。
やがて、二人は激しく求め合い始めた。
洋一は当然のように2度、3度と綾を攻め立てた。
そして、4度目の営みを洋一は綾に求めた。
「だめよ、そんなに・・。」
「嫌なのかい?」
「そうではないけど・・」
綾は洋一に、仰向けになって言った。
「いったでしょ・・、今日テニスがあるの。遅れてしまうわ。」
「・・俺が車で送ってやるよ。」
洋一はそう言うと、再び全裸の綾に乗りかかった。
前の3回では夢中で綾を求めたこともあり、今度は、じっくりと、この美しい女性を堪能したいと洋一は考えた。
彼女の下腹部に顔を埋めると、その繊細な色白の腹部にそっとキスし、そのまま下半身に唇を這わす。
「・・!・・・。」
無言だが、明らかに綾が体をビクリと悶えさせた。
優美な、甘い匂いが洋一をとらえた。
<おんなじ匂いだ・・>
<・・何が・・?>
<僕がはじめて君と会った時の、君の匂い・・>
<そんなこと・・、憶えているのね・・>
綾は既に喘ぎつつ、答えた。
<そんなこと・・、憶えているのね・・>
<僕は気付いていなかったけど、その時からきっとずっと思っていたんだ・・、いつの日か君とこうなることを>
<私は、私は、洋ちゃんが私を放さなければ何でもいいのよ。私にはもう、洋ちゃんしかいないわ>
202 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/13 00:38 ID:BoEPX/Zl
<そんなこと・・、憶えているのね・・>
ここダブってしまいましたね。すんません。(^-^;)
読んでるやついるのか?
205 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/14 00:29 ID:QXJIgF3X
202
日本中に5,6名はいてくれるんじゃないかな?少数でも楽しんでいただければ結構です。
206 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/16 01:18 ID:RML3ZxCz
そしてとうとう、綾がこらえきれなくなってこう言った。
<洋ちゃん!来て!>
洋一が改めて綾を抱き締めなおした。
もつれ合った二つの裸体はすぐに1つとなり、ベッドの上で弾んだ。
営みが終わった後、綾は喘ぐ息がおさまるのを待って、シャワーを浴びに部屋を出た。
洋一は服を着ながら、綾を待った。
その間、色々考え事をしていたが、特に1つ、ずっと気になっていたことがあった。
「洋ちゃんはどうするの?」
シャワーを終えた綾が、下着姿で、髪をバスタオルで拭きながら戻ってきた。
「俺はいいよ」
「そう・・。」
「髪も洗ったの?」
「うん・・。」
ドレッサーで髪を乾かす綾に、改まって洋一が口を開いた。
「お母さん・・。」
「なあに?」
「そういえばさぁ・・、ずっと、俺、お母さんの中にじかに出しっぱなしだろ?・・その、平気なのかなぁ、
お母さんの体・・」
「まぁ、お母さんだなんて改まって言うから何かと思えば・・。」
綾は、ベッドの上では常にペースを奪われていることもあり、ちょっとここは意地悪くこの子に聞いて
みようと思った。
「洋ちゃんは、母さんとの子供は欲しくない?」
「えっ!」
「もう、冗談よう」
そう言って綾は微笑した。
207 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/22 23:40 ID:FjHkZStf
そう言って綾は微笑した。
「大丈夫よ。父さんとも無かったし、若くもないでしょ・・。」
少し考え深げに綾が言った。
「女の人はねぇ、自分の体は自分が一番良く知っているものなのよ。それに、洋ちゃんだってずっと
母さんの裸に興味を持ってくれるわけではないでしょう?」
「そんなこと無いよ・・」
ブラウスを着た綾を、洋一はもう一度抱き、額にキスしながら言った。
「もう・・・、スカート、はかせて・・」
「車の用意をするよ・・。」
洋一は綾から離れた。
(そう、そうだったのだ・・。)
洋一が話す。
「あの日、テニスから帰ってきたお母さんは、少し疲れていたといっていたね・・。そして、あの日の夜、
つわりがあって、次の日、妊娠したことが分かったんだよね・・」
信之が口を開いた。
「知らなかった・・。洋一、お前は一人の女性に、何をしたか分かっているのか!綾、君もどうしてもう
少し注意を払わなかったんだ?男女の仲をとやかく言おうとは思わない。でも、避妊することくらい出来
ただろう!?」
綾も洋一も無言であった。
少しの間沈黙があって、綾が口を開いた。
「・・無いと思ったわ。だってあなたともなかったじゃない・・。」
様子を見守っていた担当医が口を開いた。
「奥様は、短期間の間に激しい性行為が重なり、急性的に女性ホルモンの分泌が活発になり、一時
的に妊娠しやすい体質になっていたと思われます。」
(そういうことか・・。)
信之はそして、アフリカでの赤十字病院の主治医の言葉を思い出していた。
『・・妊娠してしまう確率が高いのは女性ホルモンの分泌が活発な若い女性ですね・・。』
208 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/23 08:04 ID:fpntC1mL
209 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/26 11:10 ID:T0iZ2g6z
熱い秋に関しては大方ヤマ場(濡場?)は書き終えた感じがするので、あと1回のアップ
でとりあえず休止にしようかと思っています。(今後の展開は一応頭にありますが)
いかがでしたでしょうか。
で、次は、やっぱり岸辺のアルバムにしようかなぁと思っています。原作では出てこなかった
八千草と竹脇のやってるシーンとか。
210 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/06/03 00:03 ID:/BFN9f5r
もう終りですか・・・?
TBSチャンネルで
「岸辺のアルバム」再度 放送開始(6月15日〜)age
金曜ドラマ繋がりで「熱い秋」も放送してくれないかな。
>>209 楽しく興奮して読ませてもらいました。ハァハァ
とても良かったです。
213 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/06/20 01:40 ID:Wau1/ECU
>>212 ありがとうございます。時間が出来たら岸辺も行きたいと思います。
ちなみに熱い・・のやつではどのあたりの部分がよかったでしょうか。
今後の参考に教えていただければ大変ありがたいです。
全体的に良かったです!
特に前半と後半のそれぞれ綾さんの心は抵抗したり、拒否したりしても、身体は別の反応を見せる… シーンですね。
215 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/06/22 01:37 ID:SAVvIwjW
>>214 ありがとうございます!参考にさせていただきます。
自分で書いといてなんですが、自分ではテニスウエアへの着替えのシーンが気に入っています。
だって、薫さんのテニスウエア姿なんて絶対見てみたかったモノ!
216 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/07/20 23:10 ID:yjA4fEza
217 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/07/21 04:54 ID:D53mOfZM
>>217おお 素晴らしい!待ってました!
別スレの岸辺のほうはコンスタントにレス数伸びてますね。まぁ題材的には向こうのほうが
圧倒的に有名か。
ただこちらはこれまでも突然盛り上がる傾向があるからね。
>216
もっともっと!
219 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/07/21 15:24 ID:odSN1GsL
>>216 素晴らしいものをありがとうございます。
他にあれば、ぜひアップして下さい。
220 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/07/21 20:44 ID:yjJR8Y05
>>216 このスレによると薫さんの魅せシーンはこのブラモロだけらしいのですが、
他に竹脇に寄り添うシーンなどまだいいシーンがあったと思います。
(TVガイドには写真はあった。小さいけど)いや、特にそんなシーンにこだわらなくても
結構ですから、薫さんの美しい姿をどうか是非是非お願いします。
あと、小説書いた方、岸辺のアルバム編も期待しています。
おふた方、お願い致します!
221 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/07/22 16:26 ID:kfr+UyV9
パッソルのカタログを入手できますた。お裾分けをしたいが、うぷの仕方が
判りません。ごめんしてね。77年頃でつな。バイクに乗っている薫サマに
萌え殺されますた。
222 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/07/31 13:15 ID:t588Qm49
寺山修司の「田園に死す」だっけ?
まあ、普通に見てても八千草さんが綺麗だからいいんだけど、一箇所
カラミのシーンがあって、まあ男女が全裸でシックスナインしてるんだが、
顔が良く見えないので吹き替えかどうかなぞだという。
邦画板では、アレは吹き替えではない、とのことだが、顔がちゃんとみえないので
ちょい残念。でも、本人だと思うと興奮。
223 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/08/01 21:50 ID:k6CfNJiM
なんだかんだいって八千草薫はきわどいシーンよく演じている。
清楚な素顔の下にある女の性みたいな役は多い
224 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/08/04 00:32 ID:wgfq1UTP
薫タンのおっぱいモミモミ画像また出して!
225 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/08/04 07:25 ID:Flj+FXLT
226 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/08/31 00:57 ID:3D7XiQai
で、原作を読み返してみると、綾とやっちゃった洋一は、今後もうああいうことは
綾とはないだろう。なんて思っているが、絶対そんなことないと思うなぁ。なんだ
かんだいってやりまくると思うよ!綾も絶対拒否しないはず!薫さんと国広のそん
なシーンを空想してしまい萌えます。
227 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/09/13 00:23:12 ID:R2X9rM1a
そもそも「熱い秋」という題名が意味深でエロい。なんか、レイプされて、義理息子?
とやっちゃって、八千草薫の心身がどんどん「熱く」なる。そんなイメージだ。
(で、結局本当にレイプされてたの?)
228 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/09/15 14:10:27 ID:Bn/05ZAt
229 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/10/03 21:39:36 ID:pnxRELLa
230 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/10/18 20:47:08 ID:HonfHsda
あげます。
231 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/10/26 01:02:53 ID:OXhn07zo
232 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/11/03 22:49:11 ID:1Zaiv21S
233 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/11/10 00:48:10 ID:P0FKOyKs
★★熟女専門オンラインショップ★★
DVD・VHS、人妻、普通のおばちゃん、近親相姦、
三十路〜五十路以上お婆ちゃんまで取り揃えています。
235 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/11/16 22:48:39 ID:GPkB44N7
236 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/11/24 21:31:28 ID:A/wEvlDV
237 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/12/02 00:39:15 ID:XJOamKx+
238 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/12/06 20:39:48 ID:BOF4oYUw
何年か前にNHKで「いちばん綺麗な時」だったかな?
見た人いませんか?
ストーリー忘れてしまてしまったけど知りたい。
よろしくお願いします。
239 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/12/08 20:13:35 ID:gAQZMH+K
>>238 いちばん綺麗な時・・私は知りませんでした。「テレビドラマデータベース」でも探してみたんですけど見当たりませんでした。
数年前の作品なのでしょうか。多少でも中身教えていただければまた調べてみます。
240 :
238:04/12/08 23:08:33 ID:HBryyizr
>239ありがとうございます。
タイトル自体が間違っているのかもしれません。
たぶん、2年〜5年位前にNHKで単発で放送されたドラマで大変、良かったので。
主演が八千草さんで米倉斎加年さん?が共演だったような。
内容を忘れたので知りたくて・・すいません。
誰にでも一番きれいな時があったというテーマのような。
最後に昔若かりし頃に撮った写真を写真館で発見するというようなストーリーでした。
調べていただいたこと感謝してます。
241 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/12/13 00:11:47 ID:yiUI/e4l
242 :
240:04/12/13 23:28:07 ID:sI9cjdPD
>241調べて下さりありがとうございました。
残念ながら携帯からなので見れませんが間違いないかと。
ドラマの八千草さん、お綺麗でした。
詳しいストーリーを知りたいのですがいい加減、諦めます。
ほんとにありがとう。
243 :
名無しさん@お腹いっぱい。:04/12/17 00:36:27 ID:Kz0n+Z+6
244 :
名無しさん@お腹いっぱい。:05/01/05 03:55:56 ID:JWFXhKuK
245 :
名無しさん@お腹いっぱい。:05/01/27 20:32:09 ID:MC8aVdJS
あげます
246 :
名無しさん@お腹いっぱい。:05/01/28 23:02:19 ID:nsVkZFQJ
八千草薫さんのファンサイトのようなものはあるのでしょうか。
もしお分かりになる方がいらしたら教えて下さい。
247 :
名無しさん@お腹いっぱい。:05/02/04 23:57:21 ID:kFXlPiQ8
なんてね!今、八千草さんのファンサイトを準備中。
248 :
名無しさん@お腹いっぱい。:05/02/25 04:51:23 ID:3BP8/RHN
あげます
249 :
名無しさん@お腹いっぱい。:05/02/25 11:50:53 ID:fRrAOOZl
八千草薫さんを抱き締めてキスしたい!
250 :
名無しさん@お腹いっぱい。:05/03/17 20:51:10 ID:f47BCEp3
TBSチャンネルで岸辺のアルバムの再放送をやりますね。
今度は録画できるようケーブルの申し込みを済ませました。
放送と原作を織り交ぜながらまたオリジナル小説書こうと思ってます。
(といっても、放送や原作にはない八千草さんと竹脇のシーン中心になりますが)
251 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/03/30(水) 15:57:43 ID:km+ggCq1
保守します
252 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/04/07(木) 22:23:49 ID:/JLLjruU
熱い秋も再放送してage
253 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/04/20(水) 11:32:07 ID:gFjIq2wU
岸辺スレ盛り上がっていますね。こちらも何か情報が入ると
いいですね。
254 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/05/06(金) 22:38:33 ID:63GZuhow
忙しくて岸辺のオリ小説なかなかアップできません。濡れ場はすでに書いては
いるんですけどね。
255 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/05/18(水) 04:58:42 ID:JIlYUEdt
AGE!
256 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/06/10(金) 00:50:49 ID:TuMGXPA1
八千草さん大好き!
いろいろ情報ください
257 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/06/25(土) 08:58:35 ID:ZmgS4vSX
あげます
258 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/07/16(土) 15:47:09 ID:MQfyoDBI
あげ
259 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/07/17(日) 02:44:41 ID:0qYROSLQ
岸辺の再放送もあったことだし、そろそろ熱い秋の再放送もお願いしますよTBSチャンネルさん!
260 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/07/28(木) 23:21:34 ID:uCbVF+bX
関西だけど、赤い疑惑の再放送してます。
今のところは、まだヒトミちゃんだけど、もうすぐ渡辺さんに代わります。
それにしても若いし可愛い!
261 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/09/08(木) 11:08:58 ID:lH4ua/Sn
age
262 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/09/10(土) 15:53:31 ID:LQDwbVwc
263 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/10/04(火) 02:21:54 ID:nI8iLYfA
age
時代劇専門チャンネルで「銭形平次」
お静役を157話まで。モノクロ。
265 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/10/28(金) 01:42:56 ID:oozQBadt
266 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/17(木) 23:26:24 ID:rnC+nxzg
八千草薫さん大好き!
267 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/04(日) 23:20:14 ID:/ZCcKjDV
268 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/22(木) 01:00:23 ID:mgjW/upG
岸辺スレで説アップされたね
269 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/24(土) 00:52:25 ID:+Zfu4Y/g
と いうことでこちらのスレに移動しました。
あと、ご感想いただけるのって本当にうれしいですね。またお時間あったら
宜しくお願いいたします。
岸辺のアルバム
配役 田島則子・・八千草薫 北川徹・・竹脇無我 田島繁・・国広富之
授業が終わって、普段は信彦と行きつけのモスバーガーでくだらないことを話して、塾に行くか、家に帰って母に遅いととがめられる
のが繁の日常であった。
しかし今日は、すぐに家に戻った。
別に深い意味があるわけではない。ただ、なんとなく、母とまた先週のように会話を交わしてみたいと思ったからだ。
いつものように母は、家で一人でいるはずだから。
(寂しいのかもな、母さんも。たまには話し相手もしてやらないとな)
そう思いながら、繁は家のドアの鍵を開けた。
「お母さん、ただいま!」
返事はなかった。
シンと、不思議なくらい家の中が静まりかえっている。
「お母さん、いないの?」
予想外の事であった。
もっとも母だって用事がいろいろとあるのだろう。自分の都合のいいようにいつも家にいるとは限らない。
ただ、今日は少し寂しいと、繁は感じた。
(スーパーにでも買い物にいっているのかな?)
そう思いながら、繁は手を洗いに洗面所に入った。
270 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/24(土) 03:11:20 ID:DxsgG8P2
移動されたんですね。おめでとうございます。
これからも読ませていただきますので、楽しみです。
271 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/27(火) 00:54:18 ID:uf5FiBXg
洗面台の蛇口をひねりながら、ふと、横にある脱衣カゴに目をやった。
母の普段着が、そこには脱ぎ捨てられていた。
ベージュのブラウスと、紺色のスカート。
(着替えて、デパートにでも行ったのかな)
そう連想してみたが、なんとなく何か違うような、説明出来ないがなにか引っかかるものを繁は感じたような気がした。
でも、ただそれだけで、後は何も思いつかなかった。
(どこに行ったんだろうなぁ、お母さん・・)
繁は洗面所を出た。
脱衣カゴの普段着の下に、下着までが脱ぎ捨てられていることは、繁が知る由も無かった。
午後3時半を過ぎようとしていた。
272 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/27(火) 00:54:59 ID:uf5FiBXg
つい先ほどまで、夢中で唇を重ねあい、そしてお互いに相手をどんなに好いているか囁きあった熱い時間がうそのように、
今はベッドの上のふたりは、静かな時間を迎えていた。
「いやなものね・・」
則子は北川の胸板に顔を押し付けたまま、そうつぶやいた。
「どうしたんです」
「こんなこと、あなたに言うのも変だけど、人を裏切るって、いやなものね・・」
「自信がありませんか」
首を微かに横に振った。
「ただ、子供が・・息子が何の疑いもない目をしながら話しかけてくるの。今までと同じことなのに、それが少しちょっとドキドキして」
則子が一方的に話しかける。
「でも大丈夫。これからは冷静でいられると思うわ」
北川は則子を抱いたまま、黙って聞いている
「後ろめたい気持ちは仕方ないわよね。だって、こんなことしているんですもの。さわやかにってわけにはいきませんよね。」
則子は恥ずかしそうにそう言った。
「今日は・・・」
北川は微笑して言った
「奥さんの方が、よくしゃべる・・」
そういいながら、則子の髪を撫でた。
「あら、ほんとぅ」
則子は苦笑しながら、髪を撫でられる自分に陶酔した。
「綺麗ですよ」
「嘘・・」
「長く逢いたい。これからもずっと」
則子はうなずいた。
273 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/27(火) 08:47:52 ID:quZcnV6f
272さん、復活、おめでとうございます。
ムードがあって、とっても素晴らしいです。
今後も期待しておりますので、続きお願い致します。
274 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/28(水) 16:40:50 ID:KHiMfzsC
ありがとうございます。がんばってアップします。
そして、どちらからともなく唇を重ねあい、そしてもつれ合った。
体がつながれ、抱きかかえられた則子は、往復することを待った。
しかし北川は動くことはせすに、しっかりと則子を抱いたまま彼女を持ち上げて、体をベッドから起こし、ベッドの縁に腰掛けた。
大腿にまたがった格好で北川に向き合った則子は、ようやく意図がわかり、困惑し恥ずかしそうに北川を見た。
何か言おうとしたが、すでに結び付けられている下半身の優美な感覚で声にならない。
ふたりは再び唇を重ねた。
則子は北川にしっかり抱きついた。
則子の体が大きく揺すられた。
体の中で北川が動いているという実感があった。
北川が、則子の乳房を口に含んで、激しく吸った。
たまらずに則子は北川の肩に顔を押し付けてた。
則子は大いに喘いだ。往復する度に「はっ!はっ!」と声にならない息をあげていた。
耳元で北川が自分を愛する言葉を囁いている。
則子は返したかったが、あえぎ声になるだけで言葉にならない。
かわりにいっそう強く北川にしがみついた。
密着したお互いの裸体が熱く擦れあい、唇を激しく重ね合う。
そのうち則子の上半身は、もたれかかっていた北川の体を離れ、あふれくる感覚に耐え切れぬかのように大きく後ろに背をそらした。
北川の首に両手を回していなかったら、そのまま後ろへ倒れてしまいそうなほど、大きく体をそらして悶えた。
はばかりなく則子は喘ぎ声を上げた。
「好き!好きよ!好き!」
則子は最後にそう声を上げると、大きく息を吐いて、そして脱力して北川にもたれかかった。
直後に、北川は激しく腰を震わせて、則子に射精をはじめた。
275 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/28(水) 23:43:19 ID:ouqbPr1p
素晴らしいです!それしか言葉がありません。
人によって、色々感想はあるでしょうが、あの名作ドラマが、ここまで官能的な
描写で甦るとは・・・思っても見ませんでした。
276 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/29(木) 21:02:01 ID:tcbGsFKb
最大級のお褒めの言葉をいただき、感激です。構想・展開はかなり先まで考えていますので、
気長に読んでいただければ嬉しいです。
「もう少し暑くなってきたら、きみとプールのあるホテルへ行ってみたいな」
相手の腕枕で余韻に浸る則子に、北川はそう言った。
「泳ぐのはあまり得意ではないわ」
「きみの水着姿を見れるだけでいい」
「まぁ、とっても不純な動機ね」
北川の太腿の上で営みを終えた後、もう一度愛を確かめ合い、そしてそれも先程終わりを迎えた。
自分を抱く北川の手の様子と、その口から漏れるたわいない言葉から、今日はもうこれ以上無いことがわかる。
「食事をしていきませんか」
「そうしたいけど、時間が無いの」
「息子さん?」
返事をする代わりに、則子はベッドから起き上がった。
「息子さんに、ちょっと嫉妬するな」
「やだわ・・」
則子はそう言って、バスルームへシャワーを浴びに入っていった。
小田急線で、自宅に向かいながら、則子は今日の夕飯の献立を考えていた。
いや、努めて考えるようにしたという方が正解かもしれない。
『長く逢いたい。これからもずっと』
北川の言葉を思い出した。
浮気をして、よかった、と則子は思っている。自分はいま、精神的に満たされてる。
今日のようなことは・・知られなければいい。隠しおおせれば、心配をかけることはない。
北川という男は、自分の立場を考えた場合、理想的な男である。
一歩踏み込んで則子の領分に入ってくる様子がない事が、家庭を持つ則子にとって望ましいことであった。
愛し合っている最中は、体で感じるまま熱く言葉を交し合うが、行為の合間や待ち合わせの喫茶店では、北川はほとんど
それらの事に触れようとしない。
277 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/30(金) 10:43:42 ID:07iQ9X6V
それが、則子が家庭を・・もっと突き詰めると繁を・・裏切っている思いを極力思い起こさずにいられた。
ただ、言葉はない代わり、指使いはやさしさにあふれていた。
それに・・北川はやせ型だが・・・線の太さがあった。
このままの関係を続けられれば良い。あまり深入りすると、約束のように一方が止めたいと思った時つらくなる。
だから、努めて、家庭を振り返った。
食材を買いに、則子はスーパーへ入った。
(フライものにしようかしら・・)
結局献立はいつも、繁の好物か、出掛けにリクエストしたものに落ち着いてしまう。
スーパーの黄色いかごを持って、良いものがないか見て回る。則子のワンピースが揺れる。
「帰っていたの!?」
予想外であった。いつもは寄り道をして遅いはずなのに、繁はリビングでテレビを見ていた。
「そうだよ、腹へったよ!夕飯はなに?」
そう言って繁は母を出迎えた。
「すぐ、作るわね・・」
「どこいってたの?デパートかい?」
「・・そうよ・・」
則子はそれだけ言って、あとは押し黙ったまま台所へ入った。
そんな母の手に持っていたものがスーパーの買い物袋であることに繁は気付いていたが、それ以上何も聞かなかった。
ただ、なにか母と話がしたかった。
「おかず、何?」
台所に入ってきた繁に則子が諭した。
「いいからあなたは勉強しなさい!」
「なんだよ、そればっかり・・」
繁は2階へ上がって行った。
それを見届けて、則子は買い物袋から食材を出すこともそこそこに、和室に入ってあわてて普段着に着替えをはじめた。
278 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/31(土) 08:51:46 ID:expQe1bb
その日から繁の高校は試験準備期間であった。午前中で授業が終りだということを繁はすっかり忘れていた。
(こんな早く帰ったら、きっと母さん、驚くだろうな!)
繁はそう思いながら家の前までやってきた。
ふと、思いついた。
そうだ、小学生の頃やったように、そっと家に入ってお母さんをビックリさせてやろう!
静かにフェンスを開ける。
玄関ドアの鍵穴に鍵をさし、ゆっくりと回して鍵を外し、音を立てずに玄関ドアを開けた。
居間で母の声がしている。
笑っている。
誰か来ているのか?
居間のドアが半開きになっていた。繁は居間に入ろうとした。
次の瞬間、ドキリとした。
「そう?そんなことないわよぅ」と母が言う、その声の甘さにドキリとした。
電話だった。母が向こうを向いて、誰かと話している。
「やだ・・、そんなことおっしゃるの?やだわ、もう・・」
母はまた笑った。とにかくそんな笑い方は聞いたことも無いものだった。
「えっ?わたし?・・そんなことないわ。・・・やぁん・・・そんなこと言わせるおつもりなのね」
簡単に言えば、「母の声」ではなくて、こんな言い方は嫌だが、正直連想してしまったのは「女の声」だった。
母には似合わなかった。ちょっとショックだった。
相手は誰だろう・・。
「とっても素敵でしたわ。ほんとよ。ほ、ん、と」
また母は笑った。はじけるように笑った。
その時、ようやく繁の存在に気付いた則子が、明らかにぎょっとして繁を見た。
279 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/31(土) 08:53:20 ID:expQe1bb
「な、なによいきなり」
則子は受話器の通話口を片手で抑えながら、先ほどとはまるで違う声で繁にそういった。
「いきなりって・・・」
繁はそう言うのが精一杯であった。
則子は再び受話器に向かった。
「もしもし、ちょっと用事が。そうね、そうしてくださる?さよなら。ごめん下さい。」
どう見てもあわてて電話を切った感じだった。
「いいじゃないか、しゃべってれば・・」
そんな繁の声など聞こえてないかのように則子は口を開いた。
「何故そっとはいったの?」
「何故って・・」繁は困惑してそう言った。
「いつもチャイムを鳴らすじゃない」
「そりゃそうだけど・・」
「人の生活さぐるような事しないで頂戴!」
則子はそういうと繁と視線を合わせず、和室に入っていった。
「お母さん・・」
取り残されたように繁はそうつぶやいた。
280 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/31(土) 21:40:48 ID:72qtK/ZN
意味シンな展開になってきましたね。
一体どうなるのか?
先が本当に楽しみです。
原作があっても、違う味付けがされれば、こんな風に違って見えると言う見本の
ようだと思います。
281 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/01(日) 19:51:21 ID:degTYxlo
>>280 ご感想本当にありがとうございます。うれしいです。
いろいろ展開を考えています。頑張ってアップします!
6月になった。
雨の多い憂鬱な時節だ。
繁の高校ではもう6月になると、通学のスケジュールを生徒が決められるようになる。トップクラスのものは難関国立大をめざそうと
いうのだから仕方がない。しかし繁は、受験勉強にはさっぱり身が入らなかった。誰もがそうであるように、いざ試験などが近付くと、
なぜか部屋などを片付けはじめたり、普段読まないような本などを読みふけってしまう。
この日もそうだ。繁は、はやっているという理由だけで友人から借りてきて、全く開きもしなかった遠藤周作のエッセイを夕方まで読みふけってしまった。
『先生、どうぞ楽に・・。あぐらでもかいていてください。』
『私はあぐらをかきません。』
『どうしてですか?』
『私はあぐらをかくと、そのままゴロリンと後ろへひっくり返ってしまうのです。』
(狐狸庵先生か、結構おもしれぇなあ!)
その時、ドアをたたく音がした。
律子であることはすぐわかる。
(うるさいなぁ、何の用だよ・・)
「入るわよ」
「ああ」
ぶっきらぼうにそう答える。
「何の用?」
少し黙って、そして言った。
「お母さんのこと」
「お母さんがどうかしたのかよ」
「・・・彼が出来たかもしれないのよ」
「?」
意味が良く分からなかった。当然律子が言葉を選んだからなのであるが。
282 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/01(日) 19:51:59 ID:degTYxlo
しかし、すぐに繁は姉の言葉の真意を理解した。
「彼って、それは・・」
彼とは・・、ボーイフレンド・男友達・恋人・・
当たり前の話だが、母には父がいる。
二人は結婚している。
そこで、彼がいるという
おだやかではない。
「お母さんが、浮気してるって言うの?」
「そんな露骨に言わないでよ」
「そういうことじゃないか・・」
繁は気持ちを落ち着かせるようにゆっくり言った。
「証拠はあるのかよ。どうして分かるんだよ・・。」
「この間、お母さんが出かけている時、急に雨が降ってきたから、洗濯物を取り込んだのよ。」
「大学サボってたんだろ」
「いいから!」律子は続けた。
「取り込んだその中に、よそ行きの下着があったわ。新しくて、可愛らしくて・・」
「お母さんだってたまに友達と旅行ぐらいするじゃないか」
「もう!そういうんじゃなのよ。フリルの付いたその・・、パンティーなのよ。分かるでしょ。」
「姉さんのじゃないのかい?」
「自分のものくらいわかるわよ!」
「お母さんがどうかは知らないけど、女って下着もたまに凝ったりするんだろ・・」
「お母さんは、今までそんなことはなかったわ」
「それだけだろ。」
そうは言うものの、繁は少し不安にはなっていた。正直、その話は信頼性があるのかもしれない。姉の勘は鋭いものがあるし。
しかもまだ話には続きがあった。
283 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/01(日) 19:53:03 ID:degTYxlo
「まだあるのよ」
「えっ・・・」
「電話が多いのよ。お母さんに」
「電話!?」
繁ははっとした。あの日聞いた、母の電話でのなまめかしい声を思い出した。
忘れかけていた、あの母のうれしそうな声がはっきりと浮かんで来る。
(あの時の電話は、相手は、お母さんの浮気相手?)
そう思いたくはないが、律子の話を聞くと、まるでそれらの話が、点と線のように結び付けられる。
「電話?誰から?」
繁はなるべく知らぬふりをしてそう聞いた。
「知らないわよ!私が気付くと、いかにもという感じで切ってしまうの。これはしばらく前からよ」
(やはりそうか・・。同じようなパターンだ。)
繁はまったく勘ぐらなかったが、律子のように家にずっといるかと思えば、突然帰宅が遅くなる大学生特有の不規則な生活であれば、繁異常にその母の電話の場に遭遇することは多いだろう。
律子の言う二つの事実がが、母の浮気を確証しているような気がして、繁は不快になった。
「その電話は、いつが多いの?」
「火曜日よ。そしてお母さん、水曜日によく外出するの」
「浮気相手と会っているのか?」
「知らないわよぅ!」
律子は繁のほうを向いて、そして何もいえなかった。
言うだけ言って、これだから女は頼りない。
それに、子供達ではどうすることも出来ないくらい問題が根深そうで、解決の方法は今はふたりにとても見出せない。
「それなら・・、お母さんが本当に浮気をしているのか、しっかり調べなくちゃ・・」
284 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/01(日) 19:55:52 ID:degTYxlo
「どうやって?どうする気なの?」
「水曜日だろ。注意してみておくよ・もう学校にだってきっちり行かなくてもいいし」
「お母さんに言っちゃダメよ!お父さんにももちろん!」
「言うわけないだろ!」
そう言って、繁はまた本を読み始めた。
姉は自分の部屋へ戻っていった。
さっきから、活字なんで、全く追えていなかった。
火曜日。北川からの電話がなかった。
忙しい時は次はできないと、逢った時に自分の帰り際にいう男だ。
もう、回数はかなり重ねてしまっているが、自分からかけたことは一度もない。
だから、次の日の水曜日の午前中に電話があったとき、則子は思わず安堵して話した。
『会社のクレーム処理で名古屋に急に飛んだんです。昨日の昼に。今日の午後2時ごろに新幹線で東京に戻ります』
北川の、電話の外が騒々しい。駅のホームからかもしれない。
いずれにしても、電話のなかった原因はよくわかった。
北川が続けた。
『家に誰もいないのですか』
則子は一瞬黙り、そして少し後ろを向いて確かめて、そして再び受話器に向かった。
「息子がいるの。試験中心の時間割になって、ずっと家にいることもあるのよ」
しかしすぐにこう言った。
「でも、大丈夫・・!」
思わず声がうわづっている自分に気付く。
『東京駅のそばでホテルを取っておきます。私のほうが遅れると思います。先に入っていただけるよう手配しておきます』
「待ってるわ・・」
場所を聞いて、則子は電話を切った。
にわかに則子の心をふくらませた。
285 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/01(日) 20:52:28 ID:USO1+TU5
素晴らしいです。文章力、構成力・・・どれをとっても「プロも顔負け」といってもいいと
思います。
山田氏が原作に書ききれなかった。あるいは書こうとしなかった事をきっちりと書いておられる・・
私もモノを趣味で書く人間ですが、とても足元にも及びません。
今後も楽しみにしております。
どんな展開になるか・・・ワクワクしながら読ませていただきます。
286 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/02(月) 14:56:43 ID:QijZkxmm
ありがとうござます。もったいない位のお言葉です。
がんばって書きます!
やさしいあの右手を思い出す。
常に用心深くしていた則子であった。これまであれば何の問題もなかったであろう。しかし結果的に、今日は無防備になってしまっていた。
繁が全身これ耳にして、会話の様子を伺っていたのだ。
近付くと電話を切ってしまうだろうから、2階の床に寝そべって耳を押し当てて、息を殺して母のやりとりを聞いていたのである。
そうしている体勢が自分でもなんだか情けないような感じがしたが、それが一番気付かれない方法だった。
よくは聞こえなかったし、相手の様子もわからなかった。
しかし母のこの言葉だけははっきり聞こえた。
『大丈夫・・!』
そして、母ならいつも言うはずの、電話を切るときの丁寧な挨拶の様子もなかった。明らかにひそかに電話を切った。
(母を誘惑する男!)
むらむらと怒りが湧いてきた。
母の不貞よりも相手の男をイメージして怒りが湧くのは、繁が男であるからであった。
(母のあとをつけてやるんだ!)
繁はそのつもりだった。
下で、母が何かやっている。
着替えているのか・・。
もうすぐ出かけるということか・・。
20分程たって、階段を上がってくる母の足音を聞いた。
「繁ちゃん!」
呼びかける母の声がした。一瞬緊張して、悟られないよう机に向かった。
「入っていいよ」
本当はドア越しに出かようと則子思ったのだが、そう言われて、ドアをあけた。
「お母さん、ちょっと買い物に行ってくるから・・」
買い物?本当かい・・・?
そういう面持ちでクールに則子のほうに向き直って・・。
はっとして、息を呑んだ。
287 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/02(月) 14:58:46 ID:QijZkxmm
母の髪は整えられ、化粧をしていた。そんな顔は見慣れているはずなのに、なぜか別人のように見えた。活き活きとしていたのだ。
逢引に行くような後ろめたさは微塵にも感じられない。
(綺麗だ・・)
それが繁の正直な感想であった。
しかし、本当に息を呑んだ理由は、母の服装にあった。
母は、ピンクのワンピースを身にまとっていた。それは普通だ。しかし明らかにいつもと違っているのは・・膝小僧が、そして太ももの
下のほうが、スカートから覗いていたのだった。そう、母はミニスカートをはいていたのだ。ワンピースだから、ミニ丈のワンピースと
いうのが正しいのだろうが、いずれにしろミニスカートであることには変わりは無い。
その裾が、階段を上がってきたせいか優雅に母の太ももの上で揺れている。
「昔のお友達と会うの・・日本橋へ行くのよ・・、あっ、おみやげ、買ってくるから・・」
本当なら、もう少し気の効いた理由を言うべきところなのであろうが、則子自身も、心ここにあらずの状態であった。
こちらを向いて何も答えない繁を見ながら、不審に思われないうちに出かけてしまおうと、則子はゆっくりドアを閉めた。微笑していたが、則子は気付いていなかった。
則子は出かけていった。
計画通りなら、繁は母の後をすぐつけていく筈であった。
しかし、あっけに取られていた繁は、つい、タイミングを逃してしまった。
すぐにおえば追いつけたのかもしれないが、なぜか気後れしてした。
あの、ミニスカート姿が、まだ瞼に焼きついている・・。
繁が、母の・・、則子のミニスカートを身に着けた姿を見るのは久しぶりであった。あれは3,4年前になるか。ミニスカートが大流行した時、
若い女性はもちろん、一般の主婦までがミニスカートをまとうようになっていた。中学生だった繁が、ミニをはいて買い物に出かけようと
する則子の姿にこっ恥ずかしくなり、よく声をかけた。
「そんな格好で出かけるの?お母さん・・、似合わないよう・・」
「まぁ・・」とつぶやいたあと則子は、繁のいうところの格好が、ミニスカートにあることをすぐに悟ると、こう言った。
「みんな今はミニスカートなのよ。お店でもミニスカートしか売ってないし。」
「パンタロンでもいいじゃないか」
「お買い物に行くのにパンタロンなんか逆に目立ってはいていけないわ。」
288 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/02(月) 16:03:44 ID:QijZkxmm
そして、思春期に入っていた繁をからかうかのように、いたずらっぽくこう言った。
「お母さんのミニスカート姿も、けっこう色っぽいでしょ」
「全然そんなこと無いよ!」
そう吐き捨てたが、本音は・・なかなかだとは、思っていた。
確かに巷の女性は誰もがミニスカートだった。繁が友人の家に遊びに行った際、その友達のお母さんもやっぱりミニスカートをはいていた。
大根足で、どう見ても似合わない友人の母親もいたが、たとえば信彦のあの綺麗なお母さんのミニスカート姿は正直、見ていて得をしたような、
なんだかうれしいものであった。
一方で信彦は、自分の母親のそんな格好にやはり困惑をしているようだった。
『友達にそんな恥ずかしいカッコ見せるなよな・・』何も言わなかったが、そぶりから明かにそうアイツは訴えていた。
逆に言えば信彦も自分の母を見た時は得をしたように思っているのかな、などと考えたりもした。
そういう時代だった。
でも今は違う。
ミニスカートなんてとっくの昔にはやらなくなって、ロッテ歌のアルバムで歌う南沙織か、アップダウンクイズで優勝者にレイをかける
JALのスチュワーデスなど、テレビで見る以外はまったく目にしなくなっていた。
それが、この時代に、母がミニスカートで出かけたのだ。
繁は、どうして良いかいたたまれない無性に苦しい気持ちになっていた。
気後れして尾行出来なかった自分のふがいなさと、浮気をしているかもしれない母への不安と、そして、今目にして改めて感じた、母の美しさに・・。
北川が取ったホテルは、東京駅のそばで、皇居の堀のすぐ横にあった。
先に部屋に入った則子は、ベッドの上にハンドバッグを置いて、一息ついた。大きな窓の、そのカーテンが閉まっていた。
こういう逢いかたはもちろん初めてであった。
がらんとしたホテルの一室で一人待つということが、なんだか男の城の中におびき寄せられたような気にさせる。
しばらくベッドに腰掛けていたが、ふと、ドレッサーにある大きな鏡を目にすると、その前に立った。
このミニのワンピースは北川の目にどう映るだろうか・・。
則子は体を捩じらせるようなポーズを取ってみる。
その時、ガチャッとドアが開いた。北川だった。
予定ではもう少し遅れるはずだった。
289 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/02(月) 18:20:01 ID:dvUdrQoi
・・・小説と言うのは「如何に読者をひきこむか」によって、出来不出来が決まってくると
思います。
この作品は、本当にそれがありますね。
本当に、わくわくさせてくれます。
290 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/02(月) 21:35:42 ID:QijZkxmm
いい出来とは思えませんが、ありがとうございます。がんばります!
ドアを開けた北川が最初に目にした光景は、くるっと振り向いて、その回転でスカートの裾が大きく外に上に広がって、
もう少しで下着が見えてしまいそうな則子の姿であった。
そのミニ丈の裾がはらりと則子の両足に落ちるのを見届けた後、言った。
「おどろいたな・・」
「おどろいたのは私よ・・ずいぶん早かったんですね。」
「新幹線が、予想外なことに、早めについたんです」
北川が部屋に入りながら言った。
「私が言ったのは、今日の奥さんの装いです。」
「あら・・、気に入っていただいた?昔一度だけ来て、ずっとしまってあった物なんですよ・・。」
則子はそう言うと恥ずかしそうに下を向いた。
「奥さん・・」
北川は則子を見つめたまま、少し間を置いて声をかけた。
「此処へおいで・・・」
則子は北川の胸に飛び込んだ。
その則子を、まるで捕らえるかのように北川は則子を抱きすくめた。
ふたり立ったまま、抱擁が続く。
則子の短いスカートはすぐにたくし上げられた。
「お花畑にはお花がいっぱいだ・・」
首筋にキスをしながら耳元で北川がそう言った。
「・・えっ?」
則子は目を閉じたままそう答えて、そして今度ははっきりと目を開けて、こう言った。
「やだわ!もう!そんなことおっしゃるのね!」
北川の言うお花とは、スカートをめくり上げられて、すっかり覗いている白地に花柄がちりばめられたパンティーの模様であることに気付いたからだった。
「いや!見ないで!めくらないで!」そういって則子は抱きしめられた体を身じろがせる。
もちろん、北川がそれをやめるわけが無い。
そして、そんなことは、則子もわかっている。
やがて、ワンピースのジッパーが下げられていくことを則子は背で感じた。
そして、スカートをめくられることなどどうでもよい事になった。則子は全裸にさせられたのだから。
抱きしめられ、キスをされた。
まだそれだけなのに、則子は既に小声を上げていた。
則子をベッドに仰向けにさせた北川は、自らもすべて脱ぎ捨てて彼女の横に体を寄せると、乳房を口に含み、則子の色白の裸体の
すみずみへ右手を動かしながら、やがて、もう知っている一番敏感な下腹部の一点に触れた。
ビクン、と則子の体が反応した。
北川の片手は、さらに下部へ動く。
則子は微かに息を吐いた。
もういい、と則子は思っている。触れている指先で、北川だってそれはわかるはずである。しかし北川は愛撫を止めない。
来て欲しいと、則子がいえるはずが無い。
則子は切なく首を振った。自分の足を北川の足に絡ませる。
北川はそんな則子の様子を見て、ようやく彼女を抱きなおした。
そして、結び合う。
則子は喘いだ。
お互いの唇と唇が熱く重なり合い、頬と頬をいとおしげに擦り合わせた。北川の僅かに残るひげの剃り跡が、則子の色白の頬や肌
を沿う時、その繊細な感覚に則子は身を震わせて反応する。
北川は、自分の腰の動きと同調させるかのように、則子の額に自分の額をあてて、ぐりぐりと押し付け合せた。
そして片手で則子の額の髪をかき上げ、緩やかにカーブをえがく彼女の広めの額に熱く接吻した。
めくるめく時が過ぎる。
人妻は、愛されて、ベッドの上で少女のように体を弾ませた。
抱き合う。キスする。
則子が登りつめた時、北川の下半身も新たな躍動を始めた。
母が出かけていって、随分たっている。
繁は相変わらず机に向かって、当然何も手につかず、則子のことを考えていた。
(母は今ごろ、どこで、何をしているんだろう)
292 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 09:17:56 ID:UoSiPS8U
本当に浮気をしているのであろうか。
もし、もしそうだとしたら・・。もしかすると今ごろはホテルか男の部屋か。そこで母が、あの美しいワンピースを見知らぬ男の手で脱がされて・・・。
(そんなこと、想像したくない!いや、ありえない!)繁は首を振った。
自分だけを愛してくれていると思っていた母が、別の、見ず知らずの男の思うがままにされている姿を。
繁の胸に、言い知れぬ不安と、やり場のない怒りが同時に湧いてきて、思わず身を震わせていた。
「ここのホテルは、窓が開くんだ・・」
そう言って、窓辺に立っている北川が、金具を外してサッシ窓を開けた。
部屋に入ってきた心地よい風が、余韻に浸っていた則子の汗ばんだ顔にあたる。
「涼しい風だわ・・」
「見ませんか。お堀の土手が緑に色づいていてきれいですよ」
「人は見えないの?」
「大丈夫ですよ」
そう言われて、則子は少し躊躇したあと、シーツを体に巻きつけるようにして、ベッドから降りた。
「本当。こんな風に日比谷を眺めるのは初めてだわ」
そう言う則子の姿は、ベッドから抜け出してくる間にシーツがほどけ、手で押さえている胸と腰まわり以外がすっかり露になっている。
不意に北川がその則子の唇を奪う。
すこし、声を出した後、則子も激しく応じた。
北川の手が、則子を包むシーツの中に入っていく。
そのシーツの中の手がうごめき、シーツを持つ則子の手がおぼつかなくなる。
「もどりましょ、もどりましょ・・」
則子が喘ぎながらそう言う。
もつれ合いならはふたりはベッドに倒れ込んだ。
ふたりがはじめて関係してから、3ヶ月が経とうとしている。
ひそかにホテルで逢引した日数も、とっくに両手では数え切れなくなっていた。体から体へ愛のしるしを交わした数は当然それ以上の数になる。
必然的にふたりは、より深い愛の確かめ方を増やすようになっていた。
ホテルの部屋で落ち合った直後はふたりは情熱を抑えきれず、衣服を脱ぐこともそこそこに抱き合ったまま行為に入っていく。
だから違った姿勢での結ばれ方を試みるのは、ひとまず情熱を放出し終えて、それから2度目に愛し合う時に行うことが暗黙の了解のようになっていた。
その日は、ベッドの上で横になった則子を向こうにむかせて、その背後から北川が抱きつくというものだった。
293 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 09:54:50 ID:JOg/5DbK
いいです。本当に素晴らしいです。
私が読みたかったのは、正にこういうものです。
同時に、勉強になります。
私は、このシーンを頭の中でドラマ化して、思い浮かべておりました。
今後も期待しております。
294 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 12:54:51 ID:Cjg0E4So
293に同じ
いつも則子と北川がホテルの密室でどんな行為を繰り広げていたのか妄想
しまくりでした。貞淑な母であり主婦が女になる。
どこにでもいるような平凡な主婦が、自分の身体を欲しがる男の呼び出し
に歓喜し、セックスをするためだけに出掛けてゆく。
家族を裏切って肉の快楽に汗まみれになってよがり悶える八千草則子の姿
が見たくて仕方がなかった。その思いが叶った!
過激にならず、それでいて十分にエロい。自分を生み、愛情のすべてを注
いでいてくれた大切な母親が北川という見ず知らずの男に女にされ奪われ
てゆく寝取られ感・・・素晴らしすぎます。
長く続くことを期待します!
295 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 13:14:35 ID:UoSiPS8U
皆さん、ご感想ありがとうございます!!涙が出るほどうれしいです。
書いていてパワーが沸いてきます!少しでも皆さんのご期待に答えら得るよう
がんばります!
自分なりに展開は考えているのですが、もしこんな展開・記述があったらと
いったご要望がございましたら、ぜひお知らせください。なるべくご期待に
応えられるよう書いてみます。どんなものでもかまいません。ぜひどうぞ!
では続きを・・
則子の両脇から北川が手を入れ、彼女の乳房を捉えると、それを揉みしだきながら、うなじのところへ激しく接吻する。
彼女が熱くなった頃、そのまま後ろから結びつけて、また二人の世界へ入っていく。
これまで後ろからの営みをいくつか試したが、行為の最中、則子はこれが今までで一番しっくりくる、という意味の言葉を言った。
上半身と下半身の両方の敏感な部分の感覚を同時に受けられるので、則子はひたすら声を上げる。
「だめっ!だめっ!」
一度、すぐに則子は脱力したあと、北川のそのままの動きでさらに時間をかけて登りつめ、最後は同時に至福の時を迎えた。
北川が射精を終わると、ふたりは弾け飛ぶようにベッドに仰向けになった。
296 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 13:15:25 ID:UoSiPS8U
則子の肌のぬくもりを確かめるかのように、北川は彼女の肩口から二の腕あたりにそっと触れていく。
それから横向きになって、則子を抱き寄せた。
則子は北川の胸に顔を押し付けた。
少しの沈黙の後、則子が呟く。
「怖いわ・・」
いつものように、北川の手が則子の黒髪を撫でながら、話す。
「なにが、怖いんですか?」
「あなたのことを、もっと知りたくて・・、もっと親しくなりたくて、こういうことをしているつもりなのに・・
でも、なんだか最近、こうすること自体が、楽しくなって来ている気がするの・・」
そう言って則子は改めて北川の体にしがみつく。
「だから、自分が、そんな女になってしまうのではないかと思って、ものすごく怖いのよ・・」
「いいんですよ」と北川が言う。
「そうなってもらわないと、男側から見た場合、立場がなくなってしまいます。」
「でも、でもね・・、それは困るわ、だって私は・・」
「奥さん・・」
北川はそういって、急に則子を仰向けにし、自分は彼女に覆いかぶさり、左の乳房を口に含んだ
「乱れて欲しい」
激しく乳房を吸い上げる北川の口の隙間から、そう声が漏れた。
北川の右手が、もう一方の則子の乳房を包み、乳首をつまむようにしながら揉みしだかれていく。
「あなたのせいよ・・、もう・・、あなたのせいよ・・・」
首を左右に大きく振って、か細い声で、則子はそういった。
297 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 14:08:23 ID:JOg/5DbK
雰囲気ぴったりですよ。
とてもいいです。
某芥川賞作家が書いてる三文「純愛偽装エロ小説」より、断然
萌えます。
それから、生意気なようですが・・・原作のように、則子の浮気が
旦那にバレる・・・・という形ではない方がいいのですが・・・
298 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 16:34:43 ID:UoSiPS8U
299 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 16:36:03 ID:UoSiPS8U
前日→現実 でした
300 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 19:47:37 ID:ysecDLSL
二番目の奥様?
田島則子のイメージですね。ぐっときます。
もちろん八千草薫さんの則子には叶いませんが。
当時の日本人の、スカートから伸びた太くて逞しい脚
は見方によっては相当セクシャルですね。
こんなミニスカワンピの奥様がホテルの一室で男とた
だヤリまくる・・・興奮しますねえ。
301 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 20:16:52 ID:UoSiPS8U
早速ご感想ありがとうございます!
この手の写真は山ほどありまして・・もしよろしければたまに少しずつアップいたします。
おっしゃるとおり結構ぐっと来るものが意外とあります。まあ好きな女性のタイプには
いろいろあって、若い娘が一番、という方が多いのでしょうが、八千草さんのファン層の
かたなら多少は気にいていただけるのかなと思っております。
小説の方もがんばります。
ご要望お待ちしております!
302 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 21:14:15 ID:UoSiPS8U
悦びからの目覚めは、当然北川のほうが早い。
余韻に浸る則子を置いたまま北川はベッドから降りると、冷蔵庫から缶コーヒーを引き出した。
息を整えながら則子は、ベッドから体を起こして北川に話しかけた。
「いくらするのかしら、そのコーヒー」
北川がちょっと伝票に目をやって、「150円もしますよ」
「それに、ぼくには甘すぎるな」
そう言って北川が、一口飲んだだけの缶コーヒーをベッドまで持ってきた。
上半身を起こした則子は、体を覆うシーツをいじらしく両手で胸元で握っている。かわりに北川に缶コーヒーを飲ませてもらう。
されるがままに、そして残った中身をすべて飲んでしまう。
「スーパーではまとめ買いすると、60円なのよ」
「甘くない?」
「わたしにはちょうどいいわ」
北川がまたベッドに入ってきた。
呼び込むよう片手を則子に回した。
無言で則子は北川の胸に顔を埋めた。
また、北川が、則子の髪を大きく撫でた。
「次はいつ逢える?」
「やっかいなのが家にいるから・・」
則子はゆっくりと起き上がった
服を着はじめている。
さきほど、お花畑といわれた、愛らしい花柄のパンティーが、ミニのワンピースに隠れた。
「やっぱり最後は、息子さんに気が向いてしまうね」
則子は微笑すると、ドレッサーで髪をとかしはじめた。
母は、夕方6時ごろ帰ってきた。
2階にいた繁は出迎える気にはならなかった。また、あのワンピース姿を目にして、動揺したくなかったからだ。
いつもならどこかから帰ってくれば「繁ちゃん、いるの?」とすぐに呼びかけてくる母であったが、今日はそれが無かった。
それも、なんとなく予測は出来てはいたが・・。
20分程して、ようやく1階から「繁ちゃん」という母の声がした。
303 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 21:16:23 ID:UoSiPS8U
繁は答えなかった。どうしてなのか、自分でもよくわからなかったが、おそらく、母に自分のこの複雑なもやもやした気持ちを
無言で訴えたかったからなのかもしれない。
母が2階に上がってきた。
「あら、やっぱりいたのね。返事が無いからどうしたのかと思ったわ。」
「本読むのに、夢中だったんだよ。」
適当にそう返事をして、母を見た。
もうミニのワンピースは着ていなかった。地味なグレーのスカートに着替えている。
母の表情は、なんだかとても幸せそうな、満ち足りたものに見えるのは気のせいか・・。
「お友達に逢うの、楽しかった?」
「えっ!?」
その瞬間、母は明らかに動揺した。そして、ブラウスの襟元から見えている、首筋に貼られていた白いトクホンに手をやった。
「お友達って・・」
「昔のお友達と、日本橋へ行くって聞いたけど・・」
繁にそういわれて、則子はトクホンから手を離し、胸をなでおろすようなしぐさをして、一呼吸置いてしゃべった。
「そう、お友達、ね。ええ、とても楽しかったわ、久しぶりで・・。」
続けて則子が言う。
「お惣菜買ってきたから、もしよければ早めにご飯にしましょ。」
それだけ言うと則子はくるっと背を向けて、階段を下りていってしまった。
それ以上繁も会話を続けたくなかった。
「お母さん・・」
繁はまたつぶやいた。
304 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 21:17:09 ID:UoSiPS8U
母は、うそをつくのが得意ではない。
このまま母と会話を続けて、また何かぼろが出るのを見つけてしまうのが正直怖かった。
母の浮気の疑いが、疑いでなくなる証拠が次々出てきそうで怖かったのだ。
(どうしてなんだろう。どうしてこんなに母のことが気になってしまうんだろう)
繁は椅子から立ち上がりベッドの上に仰向けになると、天井を見上げて考えた。
先日の、母の電話での声を思い出した。それは母ではなく、ひとりの「女」の声だった。
ひとりの「女」が、自分の意思と責任で何かをしようとしているのだ。別にかまわないじゃないか。
だいたい、結婚したからといって、一人の人間に何十年も誠実でいられるほうがおかしい。
「でもいなやんだ」
そう、いやなんだ。子供として、母親が、つまり他の男に「抱かれる」ということが本能的にいやなのだ。
(次は絶対、母が何をしているのか突き止めよう。そうしないと自分の気持ちがいつまでも収まらない)
繁はそう結論を出して、ようやく母のいる1階へ下りていった。
<初めて君を見たときからこうなることを夢見ていたんだ>
<信じられないわ、わたし、まだ逢って半年もたたない人とこんなことになるなんて>
<君はいま、僕の中にある。君を感じる。君を奪いたい>
<言われるままに女になって、素直にあなたに愛されたい、愛されたいの>
<君を教えてくれ、君のすべてを知りたい>
<わたしも、今日まで身につけたものをなにもかも見せたい、あなたに>
<愛してるよ、いま僕には君しか見えない。愛している>
<わかってきたの。私わかってきたの。愛がどんなものか、今ごろわかったの>
<君がこんなにかわいい存在だなんて、この世の中の誰もわかりはしない。僕以外わかりはしない>
<ひとつだけ教えて・・私たちの愛は永遠?>
<永遠さ、ずっと永遠さ。わかるだろう、君にもわかるだろう!>
<うれしい!うれしいわ!ああ!わたし、うれしい!>
則子は、洗濯物にアイロンをかけながら、先日のベッドの中での、夢中で交わした北川とのやり取りを思い起こしていた。
だいたいそんな感じのことを交わしたはずだと思う。
305 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 21:28:20 ID:JOg/5DbK
リアル感たっぷりですね!
素晴らしいです。陳腐な表現ではありますが、他に言葉が見つかりません。
ここまで、リアルに「岸辺・・・」の世界観を膨らませることが出来るなんて
そして、それを私達が放送終了後、20年以上経って、体験できるなんて、まったく
光栄です。
これは単なる「エロ」の範疇をとっくに凌駕しているとさえ思います。
今後の展開に期待しております。
それと・・・これは極めて卑俗なお願いなのですが、則子のオナニーシーンなど
も入れて頂けないでしょうか?
北川と逢えず、感極まって・・・という感じが最もいいのですが・・・無理な
お願いだとは思いますが、何卒ご一考くださいますよう、お願い致します。
306 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 22:00:37 ID:ysecDLSL
息子のことを第一に思いながらも”女”として北川に抱かれる則子には
興奮します。行為を終えたあと母親に戻るシーン、それまでの行為が
激しければ激しいほど、その背徳感は凄まじいものがあります。
ベッドの中での則子と北川の睦言や性交以外の濃密な行為も寝取れ感を
増幅して堪りません。
TVでの放送でも、母の後を尾行していた繁が、ラブホテルに入ってゆ
く母親の姿を見咎め、はじめて母の浮気を現実として知るシーンには、
昂ぶりました。母親が北川に抱かれている間中、ホテルの外で母親が
出てくるのを待っている息子。頭の中では今 ホテルの一室で行われ
ているであろう行為のさまざまな光景が浮かんでいたことでしょう。
汗にまみれ悶えながら腰を使う母親の痴態、、一個の女となった母親
の熟れた身体に刺激され性欲を燃やす男の姿、猛った男の欲望で蹂躙
される母の性器、射精の瞬間に震える母親の太腿・・・
こんなシーンあったら最高です(笑)
307 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 23:14:13 ID:UoSiPS8U
ただ、体がひとつになったあと何十分もの共通の時間をすごしたというのに、細かいところは妙にあいまいに記憶が薄れて、自分が何をしゃべった
のかよみがえってこない。
それだけ・・ベッドの中では・・。
ふっと我に返った則子は、改めて熱心にアイロンをかける。
手のひらが、汗ばんでいた。
北川からの電話があったのは、それから20分ほどしてからのことであった。
「この間、驚いてしまったわ」
『なにかありましたか?』
「家に戻った時、息子が、『お友達と会ってたんだろう?』なんて言ってきたの。私が出かける時旧友と会うって適当に言ったこと
を覚えてたからなのだけれど、一瞬、驚いてしまったわ」
『それは・・驚きますよね』
電話口の向こうで北川が微笑しているのがわかる。
「こんなことしているのだから、天罰なのかもしれないわね・・」
そして、少しの沈黙のあと、則子はこう言った。
「逢いたいの。とても逢いたいのよ・・」
思わず感情が溢れた。
そう言って則子は、無意識のうちに自分の左右の膝をぐっとたがいに押し付けていた。受話器を握った左手が汗ばんだ。
則子はわからなかったが、北川は確かに則子の吐息を聞いた。
『でも、奥さん・・ちょっと残念なお話をしなくてはならないんです』
「残念って・・?」
『実は、急な出張が決まりまして、1週間ほど福岡に滞在しなくてはならなくなったのです。』
「1週間って、こらから1週間ということ?」
『そうなんです・・。ですから少しの間、お会い出来ないんです』
「まぁ・・」
明らかに則子は落胆した口調でそう言った。
それでも気を取り直して、受話器に向かった。
「そ、そうなの・・。でも仕方ありませんよね。お仕事ですものね」
308 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 23:15:03 ID:UoSiPS8U
『東京に戻ったときには、真っ先にご連絡します。』
「待ってます。待ってますわ・・」
すがるような口調で則子はそういうと、そっと電話を切った。
1週間も、北川と逢えない。則子はすっかり落胆した。
先ほど電話で、とても逢いたいのよ・・と言った。そう、もし出来るならば今日逢いたかったのだ。本音を言えば、逢うだけではなく
抱いてもらいたかった。
いつものように3回とは言わない。1回、たったひと時でよかったから、北川の腕の中で過ごしたかった。
(どうかしてるわ、わたし・・・)
吹っ切ろうと、アイロンに向かった。
(1週間か・・)
ふと、外を見た。
多摩川の土手は人通りも無く、静かだった。
2階の繁はどうしているんだろう・・。
歩き回っている様子が先ほどからしない。素直に勉強しているか、好きなQUEENをヘッドホンで聞いているかのどちらかであろう・・。
アイロンのスイッチを静かに切った。
立ち上がって窓辺に向かい、外の様子を伺った後、静かにレースのカーテンをしっかり閉めた。
そして、正座した。
心臓が高鳴っているのが分かった。
ブラウスの上から、そっと右手を左の乳房に当てた。
優美か感覚が全身を走った。
ごくん、と思わず唾を飲み込んだ。
それだけでやめようと思っていた。やめるはずだった。
しかし、もう両手が勝手に動き出していた。ブラウスのボタンをはずすと、ブラジャーを押し上げ、そして右手は乳房をつかんだ。
北川がいつもするように、乳首をつまむようにして、乳房にある右手を動かした。
(あっ・・・)
則子は目を閉じた。
もう正座をしていられなくなっていた。
309 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/03(火) 23:15:47 ID:UoSiPS8U
あわてて壁にもたれかかり、両足を投げ出すと、乳房にある右手を左手にすばやく置き換えた。右手をスカートの中に
しのばせようと、腹部とスカートの隙間に手を入れようとした。しかし手首のところまで入るだけで中まで入らない。
則子はすぐにそこから右手を引き抜くと、スカートの裾をめくり上げ、丸出しになった白いショーツの中へその右手を入れた。
(ううんっ!)
則子は必死になって声をし殺した。
右手が、股間の中心を捉えた。
潤いがすっかり、そこにあることを指先で知った。
もう我慢できなかった。
乳房にある左手と、股間にある右手を、同時に動かし始めた。
(ううんっ!ううんっ!)
則子の目の前には北川がいた。
いつものように北川が愛の言葉を囁いているように思えた。
(もっともっと!わたしを奪って!)
右手の指が、自分の意思とは関係なく、奥へ、体内へ入っていく。
畳の上で、投げ出した両足を大きく開いて、則子は完全に自分の世界に浸っていった。
今の自分の醜態を思い起こさないわけではない。しかしそれ以上に感覚に酔いしれていた。
(もっと!もっと!もっと!ああっ!)
押し殺していた声が、とうとう最後の瞬間だけ抑えることが出来なかった。
「あーっ!あっ!あっ!あーっ!」
そして則子は脱力した。
しばらく、則子はショーツの中へ右手を入れたままの姿勢で余韻に浸っていた。
(いい歳をして、恥ずかしいことをしてしまった・・)
しかし、北川と逢えないことの不満はどうにか解消することが出来た。
満足感がゆっくりと体から退いていく。
その時、2階の繁の部屋の床が音を立てた。
繁が椅子から立ち上がったような音だった。
はっとして、めくれ上がっていつカートを慌てて元に戻すと、ブラジャーを押し下げて乳房をカップに押し込もうとした。
焦った。やはり繁が1階へ向かっている。ゆっくりと音を立てて階段を下りてくる!
310 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 00:00:57 ID:UoSiPS8U
せわしくブラウスのボタンを留める。
「お母さん、なんだか声がしたみたいだけど、何かあったの?」
繁はそういうと、和室のふすまを開けた。
「ごめんなさい、驚かせちゃった?アイロンの熱い部分を少し触ってしまったのよ。」とっさにそう言った。
「やけどしなかったかい?」
「うん、ちょっとお水で冷やしてくるわね・・」
そう言って則子はギリギリでボタンを全て止め終えたブラウスの胸元を押さえながら、洗面所に入った。
熱くも無い指先を水で洗い流した。なくそうとしたのは熱ではなく、潤った自分の股間のものであった。
繁は、どうして母はいつもきちんとスカートの中に入れているブラウスの下を、今日はだらしなく外に出ているんだろうと思った。
洗面所から出てきた則子の額に、汗が吹き出ていた。
311 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 03:03:55 ID:eyRsBzGJ
おお!これは!早速私のリクエストに答えてくださって感謝いたします。
臨場感がありますね。
正に、「切ない人妻」の心情そのままです。
本当に、ここまで掘り下げることが出来るなんて・・・・
真面目な話「萌え」ます!
今後とも、私たちを、わくわくさせてください。
よろしくお願い致します。
312 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 13:14:36 ID:BPm5fIB5
>>311さん ありがとうございます。いかがでしたでしょうか。ちょうどうまく本編に折り込める
タイミングだったので、即興ですが書いてみました。
>>306さん ご感想ありがとうございます。そうですよね。わたしも尾行のあたりはひとつのヤマ場
と位置づけていますので、しっかり書こうと思っております。
今後もご要望どうぞお寄せください
313 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 13:18:06 ID:BPm5fIB5
「いろいろあったのよ、この1週間。ヒヤヒヤするようなことが・・」
『ヒヤヒヤ?』
「ううん、こちらのこと。うふふ」
そういって則子は、電話口で笑った。
自慰行為が息子に目撃されそうになったなどと北川にいえるわけが無い。
『もう東京に戻っているんです。社に報告だけしたら、今日は有給扱いで1日休むつもりです』
その言葉が、何を意味しているのかは、もうふたりには分かっている。
「お疲れでないかしら?」
『きみに会えないことのほうが、ずっと体に悪い』
則子はふっと笑みを漏らした。
「あいかわらず、お上手なのね・・」
その日の13時に、逢うことになった。
小学生の頃、たまに母の後を気付かれないようにしてつけたことがあった。学校の帰り道でたまたま買い物帰りの母の
後姿を見つけた時だった。ドキドキしながら気付かれないようにそっと近付いて「ワッ!」とおどかすのだ。
「キャー!」
子供の頃なら誰でもやるたわいもないことであったが、母も派手に驚いてくれた。
知っていておどろいたこともあったかもしれないが、それでも母が陽気に派手の驚くと、嬉しくて一緒に大笑いをしたものだった。
それがまさか、高校3年生の受験間近の時期になって、再び母の後をつけて歩くことになろうとは。
しかも、その目的が母の浮気を探るためでは、後をつけるという簡単なものではない。まさに尾行である。
「繁ちゃん」
2階にいる繁を呼ぶ母の声がしたのは、3,40分前のことである。
「お母さん、ちょっと出たいんだけど」
来た!と思った。
1Fに降りてきて、母を見た。
はたせるかな、母はまた美しく化粧していた。デニムの濃紺のスカートに白いポロシャツを着ていた。
314 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 13:27:06 ID:BPm5fIB5
スカート丈は膝すれすれの平凡なものであったが、色の調和というのか、それが軽快な感じがして母は前回より若々しく見えた。
「ああ、いってくれば」
さりげなくそう言ってソファーに寝転んでいたが、玄関のドアが閉まるとすぐに、そっと母の後を追ったのだ。
母は狛江から小田急の各駅停車に乗り、成城学園で急行に乗り換えた。
「各駅停車でいいじゃない。ゆっくり行きましょう」
よく母と新宿のデパートに行った頃は、そう言っては母はわざわざ面倒な乗換えをしなかった。
急いでいくほどのものなのかな・・。繁は同じように急行に飛び乗って勘ぐる。
そして母は下北沢で降りて、ホームを歩いた。
母は逃げていく。ぼくから、家族から逃げていく。尾行しているとそんな気になった。逃げていく母を追いかけながらどうしても追いつけない
夢を見ているようだった。
そんな目で見ているせいか、母の後姿はいつもより美しかった。歩く歩幅も広い。デニムの硬い服地のスカートは、どんな時も裾が
広がっているので、井の頭線への乗り換え階段を上っていく時に交互に動く、そこから見え隠れする素足も何だか艶かしい。
母はそうやって渋谷まで行き、表通りを少しのぼって、すぐ左へ曲がる。
そして母はある建物の小さな医師団をあがり、ドアを押してその中に消えた。
繁もその建物の前へ来た。
呆然とした。
いや、正直ショックだった。
建物はアルハンブラとあった。ホテルだった。
西洋風の、落ち着いた感じはしたホテルではあったが、しかし観光や商用のホテルではないことはすぐに分かった。どう見ても<連れ込み>なのである。
ぼんやりして、つっ立っていたが、はっとして周囲を見渡した。
ホテルと道をはさんだ斜め向かいに喫茶店があった。
すぐにそこに入ると、ちょうどホテルの入り口が見える席が空いていた。
「コーヒー1つ」
注文もそこそこにホテルの入り口を凝視した。
315 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 13:30:15 ID:BPm5fIB5
医師団→石段ですた・・
母の後を追って、誰かが・・、母を誘惑した男が入っていくのではないかと思ったからだ。
しかし、その後は人の出入りはなかった。
こんな真っ昼間から連れ込みに入る者はさすがいない。
5分、10分と過ぎていった。
その間、一組の若いカップルが入っていった以外は人の動きはなかった。
(既に相手の男はホテルに入っていたのかもしれない。母が遅れて入ったのだ。)
そう考えるのが妥当だった。
すると・・、繁は連想した。
もう母が入って15分はたっている。すると、このホテルの部屋のどこかでは母が・・。
それ以上想像したくなかった。
(出てくるところを待つのだ。相手を確かめればそれでいいんだ)
なるべく何も考えないようにして、繁はホテルの入り口を凝視した。
繁の時間の感覚は結果的には正確であった。
まさにその時、ホテルの1室では、北川と則子ははじめの愛のふれあいを終え、体を結び付けたところであった。
ベッドが激しく揺り動きはじめた。
待ち遠しかったかのように肌の感触を確かめ合った。1週間以上逢っていないことが、ふたりの心をさらに燃え上がらせた。
ふたりはもつれ合い、唇を重ねあいながら、お互いの熱い息吹を感じた。
シーツにわずかに包まれた北川の腰が、持ち上がるように幾度も往復する度、則子は仰向けのまま大きく開いている両足のひざを
屈伸させて、悦びを表現した。
そのうち、それまで同調していた二人の息づかいから、則子の息が徐々に明らかに荒くなってきた。
眉間にしわを寄せ、激しいあえぎ声を上げながら体をそらせた。
北川の背中を抱いていた両手に力が入り、そして、喚起の声を上げた。
その様子を確かめたかのように、北川は腰を小刻みに震わせて射精をはじめた。
すべてが則子の下半身に打ち放たれると、ふたりは抱き合ったまま、いつものように余韻に浸った。
かすかに、則子が息をした。
いつものように、北川がいとおしげに則子の髪を撫ではじめた。
317 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 16:56:53 ID:BPm5fIB5
こういう建物に入って、することは決まっている。
しかし、切り上げて出てくるのにどれ位かかるものか、繁は見当がつかなかった。
母が姿を消してから、3,40分は経っただろうか。
10分や20分で出て来はしないということはわかっている。
勿論、3時間、4時間ということもない。それもわかる。
実際は3,40分というところだろうが、しかし茂るに取っては気分としてはもう1時間半ぐらい待っている感じだ。
ただ、母だって若いとはいえない。綺麗だけれど、体は華奢だ。母が、店に入った目的をそんなに続けられるような女性と
はとても思えなかった。
そんなことを空想するしかない自分が、ひどく惨めだった。
出て来る気配は一向にない。
「コーヒーもういっぱい・・」
いたたまれず繁はウエイトレスにそう注文すると、チラッとホテルの、窓が並ぶ壁面を見た。
そして慌てて玄関に目を戻した。
もしもだ。偶然のタイミングで、窓の向こうをおおっているカーテンが開いて、母の見てはいけない姿・・つまり・・裸とか・・、
を目にしてしまったら、冷静でいられなくなってしまうと勘ぐったからだ。
(しかし、部屋のどこかには絶対にいるのだ・・)
ふたりの部屋は302号室だった。
ベッドに仰向けになっている北川の下半身に、則子がひざをつくようにしてまたがる。
お互いの下半身はそれですぐに結び付けられた。
則子はかすかに震えながら、差し伸べられた北川の手を、握り締めた。
両手を握り合ったまま、北川が促すように腰を動かすと、体を真っ直ぐにしたままの則子が大きく息をしながら、今度は自らの腰を動かし始めた。
動き始めてすぐなのに則子は、はばからず大きな声で喘ぎ始めた。
北川が、いとおしげに則子を見上げていた。
その視線を感じて、則子は吐息を交えながらいった。
<見ないで>
しかし北川はその美しい人妻から視線をそらさない。
則子の腰を動かす速さと大きさが、徐々に早く、大きくなっていく。
はばからずに則子は大きくあえぎ始めた。
318 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 17:22:20 ID:eyRsBzGJ
こ、こんな大胆な描写、今まで読んだ事はありません。
お世辞ではありません。
本当です。
プロの作家の書くこの手の作品でも、ここまでの臨場感はないでしょう。
これはもう、真面目な話、原作を越えています。
今後も期待しておりますので・・・
それと、お願いですが、繁と北川を逢わせるとか、二人が「浮気を止める」というような
うな具合にはしないで頂きたいのですが・・・わがままなお願いで申し訳ございません。
319 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 17:31:13 ID:BPm5fIB5
318さん、ありがとうござます!本当にもったいないお言葉。うれしいです!
あと、今後の展開ですが・・予定では、二人が「浮気を止める」ことはありません。
一方、繁と北川はあう、という構想でいました。展開上いずれは会うことになるのですが
ご要望にお答えして、それはもう少し先にして、則子と北川の描写を続けることにします。
その他、どんなことでも結構ですので、ご要望をご遠慮なくおっしゃってください。
320 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 20:23:00 ID:BPm5fIB5
<やよ!やよ!いやぁ!>
あっという間に則子は脱力した。
しかし北川は彼女を解放することを、まだ許さなかった。
則子自身が動き知らぬ間に自分の感性を高めた形なので、則子が登りつめるのが早く、北川はまだ十分余力を残しているのだ。
「まだまだですよ奥さん、頑張って、頑張って奥さん!」
喘ぎながらではあったが、北川は則子よりははるかに優位な立場でそう言った。
北川の言葉に則子は答えたつもりだったのだろうか、則子は、口もとを真一文字に結んで何回か大きく頭を振った。
そして次には大きく息を吐いて、そしてはばかりなく喘ぎ始めた。
「ああん!ああん!好き!好き!好き!ああん!ああん!あああーっ!」
握り合っている手をさらに力強く、ぐっと握りなおした則子は、夢中で腰を上下させた。
「ああー!あああーっ!」
悲鳴のような甲高い声を出して則子は再び頂点に達した。
北川も、同時に射精した。
力尽きて倒れこんだ則子は、北川の胸の上で息を荒くしていた。
それがやがておさまると、則子はいつもと違って北川の愛撫に身を任せることをせず、北川のもとを離れてベッドの上に仰向けになり、
シーツの中に顔を埋めた。
「どうしたんですか?」
北川は則子のほうに体を向けて、左手で則子の背中を介抱するようにさすってやりながらそう言った。
「いやだわ、いやだわ・・」
「どうして?」
「どうしてって・・、わたし、あんな恥ずかしい格好で、あんなことをしてしまったのよ・・」
北川があくまでやさしく言う。
「男と女であれば、だれでもしている普通のことだと思いますよ」
「でも・・・」と、則子。
「もし、息子が・・、自分の母親があんな格好で男の人との行いに夢中になっているなんて知ったら、とふと、考えてしまったの。そう
したら急に恥ずかしくなってきてしまったのよ」
321 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 20:25:49 ID:8iX7lfyd
ありがとうございます。ついに尾行のシーンになりましたね。
息子が外で待っていることも知らずに、その息子を育み、産み落した
子宮に一度のみならず何度も北川の射精を受け止める母親。
平凡な主婦であり母親である則子が肉の欲望のままに、恥知らずなく
らい何度も体位を変えて北川と交わる描写が堪りません。
しかも貞淑な主婦では到底考えられない淫らな体位で。
過激ではない故にかえってソソられます。
自分が生まれた場所を父以外の男の精液で汚される息子の嫉妬と欲望
に胸が苦しくなるくらいの興奮を覚えます。
これまで以上の日常生活での則子の描写も期待します。
平凡で貞淑な母親である則子の日常があってこそ、ホテルの密室で繰り
広げられる北川との肉の行為がさらに際立ってエロチックになるのでは
?また、ミニスカートの画像もお願いいたします。
322 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 21:05:38 ID:BPm5fIB5
323 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 22:26:43 ID:eyRsBzGJ
「心をこめた文字には、魂がこもる」といいますが、これは正にそれでしょう。
書き手さんの、いってみれば「岸辺」に対する愛着のようなものがほとばしって
いるように感じます。
確かに、愛欲シーンは萌えますが、これはそれだけではありません。
そう、敢えてキザな表現をさせていただくならば、これこそ「究極のオマージュ」
だと思います。
セックスというのは、男女がいれば行われる、もっともプリミティブで、そして最も当たり前な
行為ではないでしょうか?
妻から母、そして女という3つの顔の則子・・・それが良く出ていると私は思います。
それから、ミニスカートの画像ですが、アドレスを入れても認識してくれません。
原因はわかりませんが・・・
324 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 22:37:17 ID:BPm5fIB5
>>323 早速、有難うございます!
画像ですが、コピペした場合、jpgのあとにスペースが入っていると
エラーになってしまうようです。コピペしたあと1度スペース(見えませんが)
をデリートするといいかもしれません。(自分は今見れました)
取り急ぎご報告致します。
325 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 23:04:58 ID:8iX7lfyd
ミニスカ画像ありがとうございます。見れますよ。
この頃の女性は本当に”女”だったんだなぁと感じます。
今のようにある意味洗練された感じとはほど遠く、ヤボったく
さえ見えますが、その中に垣間見える”女”の匂いは見ように
よっては現代の女性とは比べようもないほど、土臭い色香に溢
れていますね。ミニスカ姿から匂い立つ、華奢でいながら逞し
さを感じさせる日本女のエロス・・・最高ですよ!
326 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 23:27:40 ID:eyRsBzGJ
323さん、ありがとうございます。早速ためしてみますので・・・
ミニのワンピース、いいですね。時代が分かって・・・それもいいのですが
きちんとしたスーツなんていうのもいいのではないでしょうか?
あるいはもっとラフに、セーターとか・・・
是非、ご一考下さい。
そういう格好の則子が乱れると言うのも、またいいですね。
327 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 23:52:58 ID:BPm5fIB5
皆さん、うれしいお言葉、本当に有難うございます。電車男ではありませんが
このスレに出会えてよかった という感じです!!
まずは続きをアップしていきます!
「息子さんは、ぼくたちのことを知りはしないではないですか」
「知らないわ。まったく知らないはずよ。そうだけど・・」
「息子さんは、自分のお母さんのそんな姿なんて絶対思い起こしたりしないものです」
・・そうなのかしら・・・」
「そうですよ。子供、特に息子から見て母親というのは自分を一番愛していると思っているからです。その母親が例えそれが自分の父親でも、
抱かれている姿なんて思い起こさないし思い起こしたくもないと思うのが当たり前なんです」
さらに北川は続けた。「それに・・」
「楽しくなかったんですか?」
そう言って、もう知り尽くしている、則子のわき腹の敏感な部分に手を当てた。
「あっ!」
則子は思わず身をよじらせた。
北川は無言のまま、則子を仰向けにすると、抱き締めて首筋に荒々しく唇を這わせた。
「・・そんなこと聞かないで・・・」
則子は北川の背に両腕を回して、彼を受け止めた。
抱き合ったふたりはからみ合い、やがて結ばれて、則子は再び激しく喘ぎ始めた。
さっきは、1時間半くらいたった気がしたが、今度は本当に1時間半ががとっくに過ぎた。
しかし、母が出て来る気配はない。
2杯目のコーヒーもそこをついた。
しかし、ここであきらめて引き上げるわけには当然行かない。
「あの・・、レモンティー・・、1つ・・」
ばつが悪そうに繁はウエイトレスにそう言った。
注文してすぐに、小柄なやせた中年の男がレモンティーを持ってやってきた。ここのマスターらしい。
「気にしないでゆっくりしていってよね。ここは場所がら、きみみたいに張り込む人が結構多いんだ。」
「そう・・、そうなんですか?」
繁はマスターの男の言葉に多少安堵していった。
328 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 23:54:41 ID:BPm5fIB5
マスターは笑ってうなずいた。そして言った。
「君の彼女が、どこかの野郎とでも入っているのかい?」
「ええ、そんなところです・・」
繁は再びホテルの入り口を見た。
「こんなに長い時間、母は一体なにをしているんだろう・・」
さらに呟いた。
「なにが出来るというんだろう・・」
営みが終わった後、ふたりはひとつのベッドの上でお互いに仰向けになって余韻にふけっていた。
北側は則子の肩へ手を回して彼女の体の様子を探ってみた。
まだ少し喘いでいるか。
初めての結び方での激しい営みもあった。それを含め、今日も3回愛し合った。
これで則子の息がおさまって、彼女がベッドから降りるようであれば、この日は終わりになる。
しかし、則子はまだ目を閉じたまま、無言で仰向けになっている。
「どうしますか・・」
北川は、終わりましょうか、の意味でそういったつもりでそういった。
しかし、なぜか今日は、則子の体の中の火は熱く燃え上がったままであった。
2度目の行為の姿勢が彼女の体に火をつけたのかもしれない。
ふいに、目を開けた則子は、おもむろに仰向けになると、無言で北川にしがみつき、その胸板にいとおしげに顔をすりよせた。
「どうしたんですか・・」
しかし則子は無言で、北川と目を合わせることなく、そのまま下のほうに動いて、シーツの中に顔を隠してしまった。
北川が次に則子の存在を知ったのは、自分の股間の中心に、彼女の唇があてがわれたときであった。
北川は無言で則子のその唇の動きに身を任せていた。慣れた感じではなかったが、それでもやがてその北川自身はすっかりたくましさを回復し始めた。
今度はその先端を、則子がすっぽりと口に含んだことを感じた。
「まいったなぁ・・」
北川は苦笑してそういった。
そして、下半身でうごめくのりこをつつんでいるシーツをつかむと一気に放り出した。
329 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 04:44:42 ID:Hwu5wCQn
濃厚な描写ですね。
それに細かい筆致で、正確に、手抜きせずに書かれている。
則子が次第に燃え上がって、大胆になっていくところ、
繁の息子としての不安、そういうところが良く出ている・・・
そんな風に感じました。
こうしたシーンの多い作品を読んで、感動すると言うのは珍しい事です。
なんか、もっと大勢の人に読んで頂きたいですね。
今後もご活躍、期待しています。
是非、続けてください。
330 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 09:38:39 ID:Wk9cbVeA
>>329 有難うございます。そうですね。このスレの方だけでも十分すぎるくらいのありがたいご感想を頂いていますが
岸辺のアルバムを好きな方や八千草さんのファンの方は潜在的に結構いらっしゃると思うので、賛否あわせていろいろな
ご意見聞いてみたいと言うのが本音ですね。もし他板やHPなどに行かれた時さりげなくスレの存在を伝達していただけると
嬉しいです!
では続きを
「きゃ!」
口から北川を放した則子が、恥ずかしそうに身を縮めた。
その則子を仰向けにベッドに押し付けた北川は、そのまま彼女に乗りかかった。
「オイタをする子は、おしおきだ」
「やっ、いや!いや!」
しかし、再び結び合ったそれは則子が望んだものに他ならなかった。
裸の男と女がからみ合い、もつれ合う。争っているかのようでふざけ合い、同時に馴染みあっているようにも思えた。
いつしかふたりは、また止めどもない深い愛の世界に入っていった。
「そのスカートは似合うけど、こういう日には考え物だね」
デニムのスカートをはこうと片足をスカートに通している則子に北川はそういった。
「あらどうして、とっても似合うとおっしゃってくれたじゃない?」
「とっても似合う。ただそういう硬い生地だと、始めにめくるべきかそのまま下ろすべきか迷うからね」
「まぁ、いやだわ。そんな基準でスカートを選ぶ女性はいないわ」
331 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 12:20:34 ID:Hwu5wCQn
会話の部分が素敵ですね。
大人の会話、という気がします。
小説なんかの「大人の会話」っていうのは、時として妙に「おしゃれ」ということに
拘り過ぎて、わざとらしくなる場合が多いんですが、この作品はそういう事がなくて
とても素敵です。
こういう関係になった男女って、普通はこんな会話をしてるんじゃないでしょうか?
それと、則子の言葉遣いがいいですね。
上品で・・・こういう会話をしていると、本当に八千草さんが2重映しになりますよ。
今後も期待しています。
私も、この掲示板に出会えて、本当によかったと思っています。
332 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 13:45:08 ID:Wk9cbVeA
スカートを腰まで上げて、ファスナーを上げながら、則子は北川をいたずらっぽく少しにらむようにして、そう言った。
結局あの後・・、則子が北川を回復させて再び二人の心を燃え上がらせてから、2度も愛し合ってしまった。
ドレッサーの前で髪を整え、化粧をしなおす則子の少し横で、北川は時計を見た。
「ずいぶん時間をオーバーしてしまったなぁ。追加料金ですよ奥さん」
「責任はご自分で取ってくださいね」
「今日の責任はきみにあるぞ」
そういって北川は身支度を終えて立ち上がった則子を抱きしめた。
キスをして、頬をすり寄せて囁く。
「お母さんを、戻してあげなくちゃ」
「今度はいつ逢えるのかしら・・」
「また明日、電話するよ・・」
ふたりは部屋を出た。
3時間が過ぎていた。
繁の、ホテルの入り口を見る集中力はとっくに途切れていた
(異常だよ・・)ぼんやりとそう考えていた。
ただ、見過ごしてはいないと思う。ここからは母は出てきていない。もしかすると裏口があって、そこからこっそりと出たか?
そう考えるのが妥当かもしれない。母が3時間もこんな建物の中で過ごすはずはない。そんなに長い時間何をしようというのだ。
(裏口があるか、見てこよう・・)
その時繁ははっとして体が硬くなった。
その人が・・、母が出てきたのだ。
一瞬、見過ごすところであった。どうしってって?髪型が入った時とぜんぜん違うではないか・・。
一人だった。いきなりドアが開いてあのデニムのスカート姿が現れ、階段をかけおりて道へ出ても歩調はかわら時速い足で大通りのほうへ歩いていく。
一瞬、立ち上がった。そして追いかけようとしたが、わずかな冷静な判断が思い留まらせた。
男を待たなければ!突き止めなければ!
333 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 17:11:46 ID:Wk9cbVeA
正解だった。
一人の男がすぐに現れた。
長身だった。
顔は良く見えない。やはり急ぎ足で宮脇坂へ向かう
「マスターありがとう!」
レジへ何枚かの千円札を無造作に放り出すと、つり銭などまったく気にせずに、男の後を追った。
大通りへ出る寸前でストップして、二人の消えた渋谷方向を覗く。
横断歩道の信号が赤だった。ふたりは並んでいる。
これ以上近付くのは危険な気がしたが、男の顔を見たかった。ゆっくり二人の背後に近付いた。
二人はただ並んでいるだけであった。話もしないし出てきた場所を知らなければ、信号で偶然並んだといってもおかしくなかった。
男の顔が、横顔ではあるが徐々に判別できるようになった。母はそいつのことをどう思っているか知らないが、自分は、キザで
インテリを気取った野郎に思えた。いかにもあまり外に出たことの無い無垢の母を誘惑するような憎たらしいヤツにしか見えなかった。
信号は相変わらず赤のままだ
変化が起きたのはその時だった。
男が歩道の向こうを向いたまま、何か言葉をしゃべった
その時の、次の瞬間はストップモーションで、繁の記憶に焼き付いている。
母が急に男のほうを見たのだ。
その目が輝いていた。
そんな風に輝いた母を見るのは初めてであった。
自分にもそんな目をしたことはないかもしれない。
男が母を見た。
わずかな微笑
二人は何か話している。
334 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 17:12:44 ID:Wk9cbVeA
いたたまれず繁はふたりの2メートルくらいまで近付いた。
「しかし、驚いたなぁ・・」
「何がです?」
「きみがあんなおねだりのしかたをするなんて」
「やだ。そんないいかた。オネダリなんて・・」
そして少し間をおいてまた則子が言った。
「・・家ではあんなこと絶対しないのよ・・」
信号が変わった。
一瞬ふたりは見合わせて、そして横断歩道を渡っていった。
まだふたりは何かをしゃべり続けていたかもしれないが、繁にはもう十分だった。
呆然として立ちすくんでいた。
後ろから歩いてくる人が何だこいつと睨んで通り過ぎていったが、まったく視界に入っていなかった。遠ざかるふたりだけをぼんやりと見つめていた。
いま、自分が聞いてしまったわずかな会話で、3時間もホテルの中で母がなにをしていたのか、なぜそんなにいることが出来たの
か、これまであえて思い浮かべなかったイメージが一気に形になった。
あの男と、裸で抱き合って、奪われ汚され尽くされている母の姿が繁の頭の中を駆け巡った。
悔しさと寂しさが一気にこみ上げてきた。
とても、家へ帰る気にはなれなかった
意味もなく、渋谷の町を歩いた。
6時ごろ、家の前についた。まだ雨戸は閉まっておらず、今の灯りがついていて、台所で母の姿が見え隠れしていた。
玄関の前まで来た。
335 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 18:55:43 ID:Hwu5wCQn
うーん、素晴らしい!ドキドキします!感動ものです!
非常に陳腐な表現ではありますが、他に言葉が見当たりません。
私もプロではありませんが、結構読書家で、本を読んでいる方ですが、
これだけ重みのある内容の文章は、滅多に見られないと思います。
生意気な言い方ですが、こういう「岸辺」もあったのか!いや、あるべきだ!
と思います。
母の情事を知ってしまった繁は、果たしてどうするのでしょう?
気になりますが、ひとつ願望を・・・家庭争議のようなことは起こさないで
頂きたいのですが(前に『父親にはばれない』といってくださいましたが)
念押しみたいで申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
336 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 21:00:52 ID:Wk9cbVeA
チャイムを押すのをためらった。
押せば母が開けに来る。
どんな顔をしたらよいのだ。無論普通の顔をしていればいいのだが、出来るかどうか不安だった。
自分の表情から、母が何か察してしまうのではないかと勘ぐった。
「どなた?」
急に中で母の声が聞こえた
「ぼくだよ・・」声が震える。
「なにをしているの?」
「開けてくれよ!」怒ったような口調になる。
「誰か門を開けて入って来たようだったけどそれきりだったから・・」
そして則子は言った。
「どうしたの。どこへ行ってたの?」
「どうもしないよ」
顔をそむけて靴を脱ぎなにか言おうとしたが、息がつまったようになって音を立てて階段を上がり自分の部屋へ飛び込んでバタンとドアを閉めた。
もう事実はわかった。
この先どうすればいい?繁が自問自答する。
繁は自分なりに収拾を、母を取り戻す方法を模索しはじめた。
(先ず、いつもどおり普通にしていよう・・)
何も見なかった。何も気付いていない。そう思わせて、そしてあの男の素性を探り、あの男と逢い、脅すなり何なりで手を引かせるのだ。
そこまでやるにはかなりの労力がいるだろう。しかし引き伸ばせば引き伸ばすほど母はあの男と何回も関係してしまう。
そして自分からどんどん離れていってしまうだろう。
母を救うという気持ちが、自分を救うことになっている気がした。
それまでは、そう、それまでは普通の生活をしていればいい。母といつものように会話をして、男のことなんか忘れればいい。
それに、もしかするとそうする内に母だって自分に・・再び振り向いてくれるかもしれない。
繁はそう結論付けると、母のいる1階へ下りて行った。
母は流しに向かって、夕飯の支度をしている。
337 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 21:12:17 ID:Wk9cbVeA
「お母さん・・」
繁のその問いかけに、則子は手を休めて振り返った。
「さっきはごめん・・。どうも受験のことが気になると、イライラしてきてさぁ、つい・・」
則子は、繁が問いかけてきてくれたのが嬉しかったのか、手を休めると居間のほうにやって来た。
「気にしないでいいのよ。受験で一番大変なのは繁ちゃん本人ですものね・・」
「最近お母さんと、あんまり話ししてない気がしてさ。」
「そう、そうよねぇ・・そうかも、しれないわよね・・」
則子はそういって、ふっと、電話のほうに目をやった。
「繁ちゃん」
「なんだい?」
「たまにはお母さんとお出かけしましょうか。新宿のデパートにも随分一緒に言っていないでしょ」
「いいね。ちょうど欲しかったレコードがあるし」
「あら、調子のいいこと・・」
則子は笑ってそう言った。
小田急線の中では、ふたり並んで座ったが、あまり口を聞かなかった。
母は目を閉じて、下を向いている。
その横顔を、繁は気づかれないようにそっと覗き込んだ。
きれいにお化粧をしていた。
スカートからわずかに出ている膝小僧の上にハンドバッグを乗せている。
いつもの、繁が知っている母の姿がそこにあった。
美しいその容姿を見て、少しだけ、母を取り戻せたような気がした。
338 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 21:19:08 ID:Wk9cbVeA
>>335さん 有難うございます。展開の構成上はいずれは則子の浮気は
みなの知るところになるのですが、原作のような家庭争議には絶対しません。
また、浮気が判明する理由も私なりの解釈を加えています。
浮気の判明も展開の一部になる予定です。いずれにしても則子(八千草さん)
の美しさや官能美を損なうことなく半永遠に(? オーバーですが)話が続け
られるように考えています。お付き合いいただければ幸いです。
339 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 21:21:27 ID:Wk9cbVeA
「なあに?」
「いや、別に・・」
そういって繁は則子から視線をそらした。
「なんか、お母さん、今日はちょっと綺麗に見えたからさ・・」
「あら・・、そんなこと言うのなんて、めずらしいわね。」
則子はそういって微笑した。
繁は恥ずかしくなったのか、おもむろに辺りを見回した。
『指名打者制があれば、長嶋はあと3年はやれる!』
中吊りの週刊誌の広告にそう大きく書いてある。
「長嶋も引退かなぁ・・」
「どうかしら・・」
「お母さん、あいかわらず野球には関心ないんだね」
「だって、それでいつもドラマが見れなくなってしまうんだもの。女の人で好きな人はあんまりいないわ」
「なにか面白いドラマやってるの?」
「寺内貫太郎一家って言うのがすごく面白いのよ。最後は一家中で大喧嘩になったりして」
そんなことをしているうちに、電車は新宿駅手前の大カーブへとさしかかった。
340 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 21:29:41 ID:Wk9cbVeA
デパートでは、とりたてて見よう買おうというものがあったわけではないが、歩き回るまま、服や雑貨を見たりして、
楽しんだ。
母は楽しそうだった。それが嬉しかった。
「レコード、買うんでしょ」
「買ってくれるのかい?」
「そのつもりでしょ。いいわよ」
母は笑って財布を取り出した。
「QUEENの新しいLPが出たんだ」
「南沙織じゃないのね」
「もう、南沙織は聞かないよ」
本当は、シンシアの「20才まえ」がほしかったが、母の手前なんだか女性の歌手のLPを買うのは恥ずかしかった。
上の階まで上がると、催し物の堀江謙一展をやっていた。普段はそんな展示会には見向きもしなかったが、
今日は母が、入ってみましょうと言った。
世界一周に使ったヨットの本体だとか、写真パネルだとか、それはそれなりに興味深いものがあったが、それよりも
繁は、写真に見入る母の真剣なまなざしのほうに気が行っていた。
喫茶店に入って、母はフルーツパフェを注文した。
「信彦君はどこに行くつもりなのかしら?」
「あいつ、いずれは家の材木屋を継ぐ予定なのに、芸術系の学校へ行きたいらしいよ。アホだね」
そういって繁は、自分の注文したコーヒーゼリーをぱくついた。
「繁ちゃんも、どこか決まるといいわね」
「うん・・」
「そうしたら、みんなで、旅行にでも行きましょうね」
「うん・・。でも姉さんはそういうの嫌がりそうだね。お父さんはずっと忙しそうだし」
「そうよねぇ・・」
そう言うと、しばらく則子は黙ってパフェを食べ続けた。
その様子を繁は気にしながら、母は孤独だったのだ、とその時感じた。
もう少し早く、自分が母の孤独感に気づいていれば、あんなことを・・ホテルで何時間も過ごすようなことをさせはしなかっただろうに。
繁はそんな母のうつむいた顔を眺めながら、絶対あの男に話をつけてやるんだと、改めて決心していた。
341 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 21:55:28 ID:Hwu5wCQn
日常の何でもない光景の中にも、ここまで深みがあって、それがエロチックな部分と
のバランスがしっかりとれている・・・何だかそんな感じがします。
特に最後の「美しいその容姿を見て、少しだけ、母を取り戻せたような気がした」
というところが素敵です。
これは単なる「パロディ」ではありません。立派な「オマージュ」だと思います。
これからも続けてください。期待して読ませていただきます。
342 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 23:03:05 ID:uqXMNlx1
則子と繁のふれ合いの描写に何だかホッとし、清楚で美し
く優しい母親の則子の描写に別の意味で萌えてしまいます。
母親はいつまでも息子の大切な人であって欲しいし、母親
が一番愛しているのは自分の血と肉を分けた息子の繁であ
ってほしい。
北川と則子の肉欲シーンに嫉妬し、母を捨てて女として狂
う則子の痴態を期待しながらも 日常の生活を送る美しく
慎ましやかな則子が愛しくて仕方ありません。
とはいえ日常の描写が平和で落ち着いた時間であればある
ほど、そして則子が一部の隙間もないほど完璧な母親であ
ればあるほど母を捨て女になった時の則子の変貌が、生々
しい”女”の本性を感じさせて興奮させられます。本当に
見事な対比です。
343 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 23:26:28 ID:Wk9cbVeA
>>341 >>342 もったいないお言葉、本当に有難うございます。皆様に少しでも長く
呼んでいただけるよういろいろ展開を考えてがんばります!
奥さんが浮気や不倫してしまうドラマや小説はたくさんありますが、多くの場合、実の子供は話の進行上
どうしても邪魔になってしまい、描写されないか都合よく処理されているケースが多いです。(渡辺淳一
さんのものなど典型的)それが「岸辺」では事実を知る母親思いの高校生の息子が前面に出てくると言う
本当に驚くべき展開を見せます。本当に山田太一さんてすごい、岸辺ってほんとうにすごいと思います。
則子と北川の絡む描写が皆無であったことも想像をかきたて、逆に引き込まれます。安易な昼メロとは全く
違う点ですね。皆さんと岸辺を題材にもっと楽しくお話が出来るようにがんばります。
また、どんな小さな描写やありえそうもないイレギュラーな展開でも結構ですので、ご要望ください(逆に
自分が想像もしていなかったシーンを書いてみたいです)
お願いいたします!
344 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 23:34:05 ID:Wk9cbVeA
「そう!」
急に則子が顔を上げた。
「来週の火曜日から、塾のお勉強会だったわね」
「うん。まだ学校があるのに、塾もいい根性してるよ」
「行くんでしょ」
「信彦も行くし、学校も暗黙の了解になってるし、行くよ」
「準備するものは無いの?2泊くらいするんでしょ?」
「別に無いよ。着替えだけ」
「そう、ならばいいのだけれど・・」
そう言って、則子はパフェの残りを口に運んだ。
挿絵
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/2255.jpg 買い物を終えて、デパートの窓から外を見ると、7月だと言うのにもうだいぶ陽が暮れていた。
石油ショックのせいで街のネオンがすっかり消えている。
「東京タワーに電気がつくのは、いつになるのかしらねぇ」
そんなことを話しながら、ふたりは下りの小田急に乗り込んだ。
345 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 23:55:27 ID:uqXMNlx1
TVでの放送でですが、何気ない日常の則子の描写にゾクゾクするほど
エロチックなシーンがありました。
ブラウスにエンジ色のスカートといった普段着姿の則子が家の 風呂場
を洗うシーン。
カメラは主婦として、腰を屈めて家事に勤しむ則子の後ろ姿を捉えてい
るのだが、それが何よりもエロい。
エンジ色のスカートを大きく張り出させている則子の丸くて重々しい尻、
二人の子供を産み、育て上げた母親の、母性の一杯詰まった逞しい尻 。
一心に風呂場のタイルを磨く則子の、平凡な主婦としての横顔、スカート
から覗く折り曲げられた太めで短めの脚…何処にでもいる平凡な主婦の膝
小僧と 熟れて肉付きのいい脹脛。
生活観丸出しの場面でありながら中年の人妻の日常に おけるエロスと孤
独を見事に描いたシーン。
何気ないシーンでありながらヘタなベッドシーンなど軽く凌駕するほどの
興奮を覚えました。こんなシーンもさり気なく入れて頂けたら幸いです。
346 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 08:59:47 ID:zzOVYtE7
この、何気ない描写が、何ともいえず良いムードを出していると思います。
それと時代感覚・・・当時は携帯もメールも、インターネットもなかった
んですね。
そうした描写が、単なる「ノスタルジィ」ではなく、描ききられているの
が素晴らしいです。
私がもし、絵心があったりしたら、この作品をコミック化したいぐらいな
のですが・・・残念です。
それと、本当に、日常の何気ない描写の中に、微妙なエロスを感じるという
のも、本当ですよね。
私はまだ当時高校生でしたから、原作が新聞連載されているのを読んだだけ
で、ドラマの方は殆ど見ていませんが、新聞などに載った、則子(八千草さん)
の姿だけは鮮烈に覚えております。
それと・・・これは本当に詰まらないお願いなのですが、例の台風による
堤防決壊の部分はどうなるのでしょうか?
確かにあそこを抜きにしたら「岸辺」は語れないとは思いますが、あの辺りは
どうも私には重過ぎるように感じるのですが・・・もし取り上げられるのだと
したら、いま少しご考察いただけないかと思います。
勝手なことばかりで申し訳ございません。
今後も期待しておりますので、よろしくお願い致します。
347 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 09:50:33 ID:s+8rKZuw
>>346 さん お褒めの言葉、有難うございます!岸辺って決壊の話ですから
たぶん昭和49年ごろの話しかなぁ、と思って、勝手に時代背景(もっとも私も
モロにリアルタイムで過ごしましたが・・)を折り込んでいます。
東京新聞の連載を読まれていたなんてうらやましいですね!私はまずドラマを見て、
もともと八千草さんが好きで、それがあの展開でw・・その後原作単行本があるのを
知って(原作があると知った瞬間にもう興奮していましたw)さらにはまってしまいました。
それで、お聞きしたいことがあるのですが、連載時期はおおよそいつぐらいだったのでしょうか?
あと、連載に付き物の挿絵イラストはありましたか?もし覚えておいででしたらお教えいただければ
幸いです。
それから・・堤防決壊の部分・・はい、描写の予定は全くありませんw
ご提案有難うございます。またどうぞお寄せください!
348 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 11:10:48 ID:zzOVYtE7
347様
私は愛知県の名古屋市に在住しておりますので、同じ東京新聞系列の、
中日新聞で、原作を読みました。
しっかりと覚えていませんが、確か昭和51年の9月頃から、翌年の春頃にかけて
連載されていました。
挿絵は、ついていました。よく週刊誌などの連載小説の挿絵で見かける「深井国」氏という
画家の手になるものでした。
人物の顔が、リアルに描かれていて素敵でした。
特に、小説の冒頭近く・・・則子が夫と愛を交わすくだりには、バックスタイルでしたが
ヌードが描かれており、「性春まっさかり」だった私には、毎朝新聞を読むのが楽しみでした
(笑)他にも、北川と則子が、はじめてホテルに入った時、抱き合っている場面が描かれていたのを
記憶しています。
新聞を切り抜いて、持っていたのですが、いつの間にか紛失してしまい、残念な思いがしたものです。
その後、図書館に行って、新聞のバックナンバーを調べ、挿絵を確認しました。
時代としては、50〜51年前後というのが、正しいと私は思っています。
単行本や、文庫本には、挿絵がないのが残念です。
今後とも、是非続けて行ってください。
堤防決壊がない、というのも興味深いですね。
それなしで、「もうひとつの岸辺」を、どう進めていくのか、興味はつきません。
今後とも期待していますので、よろしくお願い致します。
349 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 11:12:04 ID:s+8rKZuw
>>345 さん、いつもご感想本当に有難うございます。書くパワーがどんどん沸いてきます!
ドラマの岸辺は当時としては斬新で大胆なカメラワークを試みた番組だったと聞いています。あの風呂場の場面もその1つでしょうね。
つまり、八千草さんのいろいろな魅力を引き出す狙いが確実にありましたね。そんなカメラワークをうっかりすると題名
だけでは普通のホームドラマと思われてしまうような岸辺で実践したということがすごいなぁと思います。
また是非ご感想お願いいたします。
350 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 11:21:26 ID:s+8rKZuw
>>348さん 早速有難うございます!やはり挿絵はありましたか。ぜひいつか見て
みたいなぁ・・ずっと思っていたんですが、八千草さんの則子もいいのですが、
挿絵に描かれた則子が、実在の則子本人、のような感覚がありまして。ちょうど
ドラマの電車男と、実在の電車男本人がいるように・・。
また皆さんでいろいろ情報交換いたしましょう!!
351 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 11:57:40 ID:zzOVYtE7
350様
新聞のバックナンバー(縮刷版)ならば、大きな図書館であれば、閲覧できる可能性は十分にあります。
必要ならば、コピーもしてもらえるかと思います。
50〜52年前後のものを探せばよろしいと思います。
縮刷版は画面が小さくなっていますので、見難いかもしれませんが、挿絵ですから
判別がつくと思います。
あと、「浮気」が分かって、夫に責められ、犯されてしまう場面の挿絵も、結構
「萌え」ましたよ。
352 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 12:38:05 ID:s+8rKZuw
『昨日、いらっしゃいませんでしたが』
「ごめんなさい、電話をいただいていたのかしら」
『どこかへお出かけでした?』
「ええ、デート・・!」
『デート?』
「うふふ。息子とデート」
『そうでしたか』
そういって北川が電話口の向こうで、すこし笑ったような気がした。
『息子さんは、ぼくの一番のライバルですから』
「まぁ、おかしいわ」
そういって則子も笑った。
そして言った。
「以前、お誘いいただいたこと、覚えていらっしゃいます?」
『え?』
「やっぱり、お忘れね」
『すみません。何か、ありましたか・・』
「プ・ゥ・ル」
『ああ!』
「うふふ」 image
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/2269.jpg 『そうでしたね。あの時奥さんが恥ずかしそうにされたんで、あまりお気に召さないのかと思ってまして』
「今度の火曜日と水曜日にかけて、たまたままとまってお時間が取れそうなの。ですから火曜日なら、少し遠出をしても大丈夫だと思うわ」
『おうちの方がいらっしゃらないのですか?』
「主人が出張で、娘はサークルの合宿なんです」
『息子さんがいるんでしょう?』
「それが、塾の泊まり込みの勉強会なんですよ。」
『では、奥さんは丸々1日は大丈夫なんですね』
「そう。そうなの・・。それで、前のあなたのお約束を思い出したのよ。」
『ぼくも、楽しみです。もしよろしければ、今日フィリッポで逢いませんか。どこに行くかお話したいなぁ』
「まぁ、楽しそうね。行きますわ。2時頃でいいかしら」
353 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 12:46:35 ID:s+8rKZuw
ごめんなさい、イメージ写真間違えました。こちらが正解
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/2270.jpg テレビの画面をそのままデジカメで撮ってらぁ、とバカにされそうですね。
いや、どうしてもキャプチャーの方法が分からなくて。コピーガードのせいか
録画したDVDがパソコンでは再生できない(CMは見れるのですが本編に
入ると再生できない・・)ので、プリントスクリーンも出来ません。
お詳しい方、いらっしゃいませんか・・
354 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 12:49:29 ID:zzOVYtE7
UPありがとうございます。
素敵な会話ですね。
こういう、何気ない会話にも、神経を行き届かせるというのは、出来るようで、なかなか
難しいと、私は思います(自分もモノを書きますから)
二人の現在の状況が、映像になって、はっきり見えるようです。
これはこれで「萌え」ますね。(笑)
355 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 14:51:09 ID:s+8rKZuw
「あのあと、いくつかホテルをあたってみたんですが・・、ここなんかどうでしょう。富士五湖の湖畔にある最近オープンしたばかりの
リゾートホテルなんです。」
そういって北川は旅行会社のパンフレットを則子に手渡した。
「まあ、素敵なところね・・プール以外にも遊園地もあるし、テニスコートやゴルフ練習場、スケートリンクまであるのね」
パンフレットを見ながら、則子はつぶやいた。
「全部見て回るには、泊りがけで行かないと大変なところね・・」
そう言うと則子は、はっとして北川を見た。
北川が微笑してうなずく。
「泊りがけで行こうと思っています。奥さんと、ぼくで・・」
「あら、でも・・」
「おうちには誰もいないんでしょう、問題はありますか・・」
「そうだけど、でも、お泊りだなんて・・」
そうは言ったものの、断る理由が見つからない。
「あなたは、お時間が取れるの?会社は?」
「いくらでも理由はつけられますよ。家では出張といって、会社には有給を使えばいい」
則子は下を向いて、しばらく思案していたが、やがて顔を上げて言った。
「連れていってくださる・・」
則子は訴えかけるようなまなざしで北川にそう言うと、恥ずかしそうに下を向いた。
「ぼくも、楽しみです」
はにかむ則子が、綺麗だと思った。
「今日の奥さん、一段と綺麗だ」
「え!急に、やだわ、なにをおっしゃるの・・・」
「そういえば初めて見ました。あなたのスーツ姿」
「あら、そうかもしれないわね」
その日の則子の装いは、濃いグレーをベースにしたシックなツーピースのスーツだった。
「シャネル?」
「似せてあるけど、違うんですよ。もっと安物」
そういって則子は感嘆して北川を見た。 (ここでこれでした) image
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/2269.jpg
356 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 14:53:26 ID:s+8rKZuw
「音楽だけでなく、ファッションにもお詳しいんですね・・」
「いえ、人並みですよ」
北川は微笑した。
すこしの沈黙のあと、北川が口を開いた。
「出でませんか・・」
「えっ?」
「出ましょう・・」
それが、ホテルへ行きましょうということだと分かると、則子は見る見るうちに真っ赤になって、そして頷いた。
さすがにおととい愛されたばかりだったし、しかもあれだけの時間を過ごした・・則子は正直、今日はそこまでは無いと思っていた。
スーツを着てきたのも街で逢うだけだから、それなら少しでもおしゃれを、と思ったからだった。しかし、これから愛し合えるという
ことがわかると、にわかに体が熱くなってくることを感じた。
部屋に入ると、北川はそっと後ろから則子を抱きしめた。
うなじのあたりに接吻をしながら、彼女のシャネル風のスーツの上着を脱がす。
「う、ん・・」
首筋を這う北川に唇がもどかしく、思わず則子は声を上げる。
則子は、自分を抱きすくめていた北川の両手が、徐々に下のほうに下がってくることを感じた。
彼は、これからどうするのだろう・・。おとといの北川の、女性のスカートへの考え方を思い起こしていた。
スーツのスカートというものは、タイトでもない、フレアーでもない、ノーマル丈でもない、ミニ丈でもない、繊細な微妙なデザインである。
答えは出た。
北川は多少もどかしい手の動きをさせながら、スーツのスカートをすっかりまくり上げたのだ。
めくられずに、スカートを外されて落とされる時は、彼の手の中に徐々に奪われていくような陶酔感がある。
逆に思い切りめくられる時は、下着を丸出しにされ、さらされているような感覚が、女の羞恥心を情熱に変えられているような気がして
、一気に熱くなる気がする。
今日は、その後者だった。
薄いストッキングを通して見える純白のパンティーが、妖しく北川の心を刺激した。
スカートをめくり上げられている姿が恥ずかしいかのように、則子は太ももをくねらせるように動かした。
北川は、めくりあげたままスカートを則子の腰から取り外すと、則子をこちら向きにし、唇を重ねながら、彼女の体をベッドへ埋もれさせた。
357 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 18:16:11 ID:s+8rKZuw
旅行に行けるという共通の期待感からか、ふたりはベッドの中ではどちらも積極的で、わき目もふらずに快楽にのめりこんだ。
来るべき日にはさらに熱いひと時を過ごせるはずだと分かっているのに、それまで情熱を封印するようなことをせず、
続けざまに2度、愛の行為を行った。
余韻を楽しんだ後、「やだわ・・」と言って、則子は北川の腕の中にもぐりこんだ。
「水着を買わなくてはいけないわ」
裸の体を北川の腕で包み込まれたまま、則子は話した。
「プレゼントさせてもらえませんか。日頃奥さんには何もしていないから、それ位させてもらいたいな」
「いいんですか?お言葉に甘えてしまおうかしら・・」
「あとで、サイズを教えてください」
そんなやり取りをした後、ふたりは見合わせて笑った。
そして、キスを交わした。
唇を一度離して、見詰め合い、そして激しく抱き合った。
まさか、ホテルに入るようなことになるとは思っていなかったので、繁には何の書置きもせずに出かけてきてしまった。
夕飯のお惣菜は買ってきたが、スーツ姿を見られて、もし出かけた理由をたずねられたらどうしよう。
しかしその心配は無用だった。家には誰もいなかった。
ほっとしたような、寂しいような・・。とにかく、着替えよう。
スーツを脱ぎ捨て、下着姿でいつものように鏡に向かい、接吻の後を調べる。
首筋にあるときは要注意で、衣類で隠せそうも無いときはバンドエイドかトクホンを貼る。
それでも先日、繁がトクホンに気づいて、「肩がこっているの?」と声をかけてきた。
無難にやり過ごしたが、そういつも貼っているのは不自然だ。
だからといって、北川に痕が残らぬようにと・・言える訳が無い。
今日は問題がなさそうなので、そのまま普段着のワンピースを着ると、ちょうどその時、玄関のチャイムが鳴った。
お隣の西村さんの奥さんだった。回覧板を届けにきてくれたのだ。
358 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 18:19:16 ID:s+8rKZuw
「3時ごろ伺ったんだけど、お留守だったから」
「ポストに入れて置いていただくだけでいいのに、わざわざすみません」
そういって則子は回覧板を受け取った。
居間に戻って、中を見た。
町内会館で催し物があるらしい。
『あなたもご用心!空き巣対策』とある。
(こういう物は、ちゃんと出たほうがいいわよね・・)
開催は明日だった。則子はカレンダーを見て予定が無いことを確認すると、参加の欄に印鑑を押した。
町内会館での公演は、防犯関係の評論家が、空き巣に狙われやすい家や、施錠の必要性を事例を交えて話すものであった。
則子は真剣に聞き入った。ためになったと思った。 image
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/2279.jpg 公演が終わり、帰ろうとした時「田島さん!」という声を聞いた。
呼びかけたのは横山和子であった。
「あら、横山さんもいらしていたの」
「お久しぶりじゃない。少し、お話していかない?」
「そうね。公演を聴いて疲れちゃったから、甘いものでも食べましょうかしら・・」
そう言って、ふたりは近くの喫茶店に入った。
横山和子は、則子が繁の小学校で給食委員をしていた時に、同じ委員のメンバーと言うことで知り合った。
確か則子より1才年上だから、今は41才になるはずだ。ご主人と高校1年生になる一人娘さんと共に、1丁目の一戸建てに住んでいる。
謙作と同じようにご主人は忙しいらしく、同じ専業主婦でもあったことから、仲良しになった。
子供のことや家のことなど、則子にとっていろいろ気兼ねなく話せる唯一の友人とも言えた。
則子と背丈はあまり変わらないが、則子より少しふくよかで、カールした髪が肩までかかっている。
眼が大きくくりっとしていて、則子は、同じ頃の年代を考えた場合自分より美人だと思っている。
359 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 18:59:51 ID:s+8rKZuw
岸辺のアルバム
配役 田島則子・・八千草薫
北川 徹・・竹脇無我
田島 繁・・国広富之
横山和子・・山内住江<特別出演>(文化出版ミセス誌専属モデル)
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/2281.jpg 「横山さんとお母さんと、どっちが美人?」
随分前だがふざけて、和子と面識のある繁にそう聞いたことがある。
その時、繁はめずらしく「うーん」と考えていたが、やがて「横山さんかな」
そう言って行ってしまった。
少しがっかりしたが、まぁ本当のところであろうし、それより繁が自分の美貌について真剣に思案したことがうれしく、また少しおかしかった。
そんな時、繁をかわいいと思った。
あの頃はまだ和子も自分も30台前半だった。
それが、いまはもうお互い「大台」に乗ってしまっている。
その和子が口を開いた。
「今日みたいな話を聞くと、いやだなぁ・・って思うわ、私」
「あら、どうして・・。とってもためになるお話だったと思うけど」
「私、小田原の田舎で育ったでしょう。家の扉はいつも開けっ放しで、誰が来たか、誰が通ったか、すぐに分かるような生活をしてい
たから、玄関に鍵をかけるなんて、それも二つも・・どうしても馴染めないの」
「私も生まれたのが長野だから分かるけど、でも、こういう新興の住宅地ではどこにどんな人住んでいるのか分からないから・・」
「そうだけどね」
「いつも玄関いは鍵はかけていないの?」
「かけてないわ。習慣が抜けなくって・・」
「まあ・・」
「そんなことより・・」
和子が急に身を乗り出して聞いてきた。
「この前、話を聞いた方とは、その後どうしているの?」
「え?」
360 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 20:57:42 ID:MMOoYaEP
お疲れ様です。いつもこのスレを見るのが楽しみです。
息子とのふれ合いの裏で則子はやっぱり”北川の女”であることを
優先させていたんですね。ふれ合いは、母親としての免罪符なだけ・・・
切なくも嫉妬必至の展開ですね。
ついに北川と泊りがけで旅行に出る則子。
時間を気にすることもなく飢えた獣のような北川に一晩中、熟れた
肉体を自由にされる人妻。好きなだけ他人の妻であり年頃の息子を
持つ母親の肉を堪能できる期待に暗い欲望を燃やす北川。
食事をしていても、何気ない会話をしていても頭の中にあるのは、
今夜一晩中犯し汚すことの出来る人妻の乳房の弾力や膣の滑り具合、
ぽってりとした唇の感触とねっとりと粘着性のある唾液の甘さばか
り。
母親を旅行に連れ出され身体だけではなく心まで奪われる繁の心情
を思うと・・・繁ではないのに何故か悔しくて堪りません(笑)
毎回 逢引をする際の則子のファッション描写に萌えます。
セックスの前、じっくりと北川に視姦される則子なんかも見てみた
いです。それと・・・
山内住江<特別出演>(文化出版ミセス誌専属モデル) さん・・・
最高に魅力的な熟女で、堪りません。
もちろん、八千草則子さんが一番ですが。
時々差し挟まれる画像も楽しみにしています。頑張ってください。
361 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 21:09:33 ID:s+8rKZuw
360さん、ありがとうございます!ちょっと悪乗りして、オリジナルで
登場人物をだしてしまいました。本筋に影響させない程度に、というより
全くのサブストーリー的に横山和子の話は進めて行こうと思います。
山内住江さんは70年代では主婦の方であればどなたもご存知だった
主婦雑誌界のトップモデルでした。もし山内さんの画像でよろしければ
ミニスカ同様たくさんあるのでアップします。(山内さんがミニスカを
はいている画像も多いです)
あと視姦・・いいですね。早速構想を練ってみます!
362 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/06(金) 21:40:47 ID:sWelOlwS
早々にありがとうございます!
山内住江さんのミニスカ画像、お手すきの時で結構ですので
お願いいたします!何となく昔の女優さん・原良子さんのよ
うで凄く惹かれます。
それと視姦・・・それこそ正規の構想を損ねない程度でお願い
します。今までの素晴らしい構成力のバランスが崩れてしまう
と本末転倒ですので(笑)
登場人物ひとりひとりの会話が自然でつい引き込まれます。
会話だけで十分エロスを感じさせる手腕の新鮮さに驚かされます。
363 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/07(土) 00:22:04 ID:/AgwrBfs
362さん ありがとうございます。山内さんの画像スキャニングしだいアップします。
そして励ましのメッセージいただいた皆様
明日からわたしも仕事はじめで、アップペースが遅くなるかもしれませんが、どうか
引き続き読んでいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
364 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/07(土) 00:23:41 ID:/AgwrBfs
「ほら、この間、電話で話をする男性がいるって言ってたじゃない」
そう、思い出した。北川と電話のやり取りを重ね、いよいよ逢いましょうか、という頃に一度だけ和子に北川の存在を話したことがあった。
自分と北川以外では、和子は二人の存在を知る唯一の人物だった。
「あら、、やだ・・、覚えていたの?」
「当然よ!逢うべきか、逢わないべきか、迷っていたじゃない」
則子は恥ずかしそうにうつむいた。
「その様子だと、逢ったみたいね」
「・・うん・・・」
「素敵な男性だった?」
「・・うん・・・」
則子の頬か高潮しているのが和子にはよく分かった。
「いいわねぇ・・」
「え?」
則子が顔を上げた。
「私もそんな出会いをしてみたいわ。」
「でも・・、逢えばあったで、意外と気を使うから、それなりに大変よ・・」
「でも、喫茶店で話をするくらいなんでしょ」
「あっ!そう、そうね・・」
あわてて則子は視線を和子からそらした。
「・・もしかして、深い仲になっているの?」
則子は黙って下を向いている。
当然和子はそれで悟った。それ以上聞いてこない。
逆に、則子が口を開いた。
「お互いに、家庭には入り込まないで、やめたい時はいつでもやめると言う条件で、お付き合いしているの。その方も家庭をお持ちで、だから・・」
そう言って則子はまた下を向いた。
「いけない女でしょ・・。軽蔑されてしまうわね。」
しかし、和子は静かに言った。
365 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/07(土) 10:03:30 ID:k3a/8aK1
昨日は夜勤で夜読めませんでしたが、本当に素晴らしいですね。
則子さんはとうとう北川氏と旅行に行ってしまうわけですか?!
どんな愛欲シーンが、展開されるのか、本当に楽しみですね。
それから、オリジナルキャラの登場、しかも婦人雑誌のモデルさん
ですか!萌える存在ですね。
オリジナルキャラというのは、登場のさせ方が難しいですけど、原作には
ありませんから、それだけ自由に動かせるのかもしれませんね。
あと、則子さんのファッション!正直
キターッ!
という感じです。
私、ああいうスーツ系の服を着る女性が乱れるのって、ほんと大好きなんです。
今後の展開が楽しみです。
それから、昨日考えていたのですが、この作品のタイトル「もう一つの岸辺」
というのは如何でしょう?
少々イージーかもしれませんが、これが一番ぴったりくると思いましたので。
楽しみに読ませていただきます。
366 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/07(土) 22:23:17 ID:/AgwrBfs
「うらやましい・・」
「えっ!」
「そんなに悪いことではないと思うわ。きちんと相手の方とけじめをつけて逢っているんでしょう?」
「そうだけど・・」
「うらやましいわ。本音を言うと、わたしも、絶対ばれないのであれば、そんなことをしてみたいわ。」
「まぁ・・」
「そうよ・・何十年も主人一人に尽くすことの方が絶対無理があると思うわ」
「それは・・そうかもしれないけれど・・」
「もっとも、40を超えたこんなオバサンを好きになるような男の人はいないんでしょうけどね」
「それを言うなら、私だってオバサンよ」
そう言って、ふたりは笑った。
おしゃべりはいつ終わるとも無く続いた。
「楽しかったわ。またお話聞かせて。ご旅行から戻られたら・・」
「やだわ。変な想像しないでね」
喫茶店を出て、別れ際ふたりはそう会話を交わした。
和子は停めてあった最近流行のソフトバイクに腰をかけた。
「ヘルメットはかぶらないの?」
「かっこわるいんだもの」
そう言って和子はスターターをかけた。
「いいわねえ・・ラッ・タッ・タッっていうやつでしょ」
「これはメーカー違うけど、同じようなものね。それじゃあ、またね」
「さよなら、またね」
走り始めた和子の背に、則子は思い出したようにこう言った。
「家の鍵。ちゃんとかけなきゃだめよ!」
聞こえなかったかもしれない。和子は去っていった。
367 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/07(土) 22:55:31 ID:k3a/8aK1
366さん
おっと「ソフトバイク」が登場しましたね!
思わず笑ってしまいましたよ。
そういえば八千草さんも、当時確か「ヤ○ハ」のバイクのコマーシャルに出て
おられましたね。
あのコマーシャル、マジで「萌え」ました。
そういえば、八千草さんで思い出しましたが、ウチの母親が昔神戸に住んでおりまして
阪急電車に乗り合わせますと、若かりし頃の薫さん(宝塚音楽学校の生徒でした)を
お見かけしたそうです。
八千草さんは、ボーイッシュな感じで、いつも先輩の生徒と一緒だったとか・・・
とっても可憐で可愛らしかったそうです。
369 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/07(土) 23:03:21 ID:/AgwrBfs
367さん、八千草さんはやっぱりバイクの印象強いですね!その辺のバイクがらみの記述もいずれと考えています。
宝塚音楽学校の生徒・・すごいですね。そんな頃から注目されていたんですね
370 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 01:46:27 ID:YSgNft9p
山内さんの画像、ありがとうございます!
一番目はスーツ、二番目はミニワンピ・・・美しい。
熟モデルの秋山しのぶさんってご存知ですか?
スラリとして清楚なマダムという感じの方でファンでした。
何となく三番目の画像は、その秋山さんに似ています。
やはり似たようなタイプが好きになるってことですかね(笑)
・・・と、ここは八千草さんのスレでしたっけ。
でも山内さんのような方には心がチョット動きます。
お忙しいのに早々のUP ありがとうございます!
371 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 07:13:54 ID:oW6YJDca
370さん
秋山しのぶさんをご存知なのですか?感激です。私も10年来、しのぶさんのファン
であります。
彼女の載っているものを、結構集めたりしています(画像を送れないのが残念ですが)
確かに、山内さんは何となく似ていますね。
それはともかく、
則子と北川の旅行における、誰はばかる事のない陶酔の時間・・・考えただけで
ドキドキしてきます。
お時間の許す限りで結構ですので、アップお願い致します。
あと、挿絵、いいですね。八千草さんの表情が、小説の雰囲気にぴったり合っているような
気がします。
372 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 12:26:39 ID:hgg7bP5r
373 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 15:09:06 ID:oW6YJDca
372さん、確かにその女性は「秋山しのぶ」さんです。
ありがとうございました。
こういう女性も、本作に登場すると良いですね。
374 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 22:25:55 ID:hgg7bP5r
>>373 よかった!そうでしたか!とても素敵な方ですね。わたしのつたない文章が
ご縁で素敵なミセスさんたちの情報が交換できるなんてとってもうれしいです!
八千草さん自体が素敵なミセスさんなのですから、スレ違いではないと思います。
素敵なミセスさん・女優さんの情報お待ちしています。
375 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 23:43:57 ID:hgg7bP5r
白地にすこしシルバーが織り込まれたようなツーピースのスーツ姿で、則子は新宿駅の待ち合わせホールの前に立った。
膝が少し出る短めのスカートが軽快で、肩にかけた大き目のポーチとあいまって、いかにもこれから旅立つという装いを見せている。
朝、繁が塾の合宿に出かけていくのを見送った直後、急に、これから家族の見知らぬ男と泊りがけで出かけるこなど
行ってよいものであろうかと、少しだけ心に迷いが生じたのが本音だった。
しかし、この日のために奮発してあしらったスーツを着て、そしてその自分の姿を鏡で見たとき、そんな迷いは消えうせていた。
この姿を見てもらいたいと思った。
この姿で旅をしてみたいと思った。
あれはいつの日だったか。断ろうと思っていて、それでも相手の胸に抱かれてしまった初めての日の自分を思い出した。
自分はきっと、断れない運命にあるのだと、そう則子は悟り始めていた。
そして、紺色の半袖のシャツを着て、黒いボストンバッグを持って歩み寄ってくる北川の姿を見つけた時、もう彼女の心は北川のものになっていた。
則子はにこやかに笑うと北川に手を振った。北川も笑っていた。
「三島由紀夫を読まれたことはありますか」
新宿から河口湖へむかう特急列車の中で、横に座って静かに車窓を眺めている則子に、北川は問いかけた。
則子は車窓から目を離し、北川へ顔を向けると、言った。
「金閣寺や潮騒、なら知っているけど。でも読んだことは無いわ」
「美徳のよろめき、という著書があります。」
「はい・・・」
「人妻が、ご主人に内緒で、浮気相手と旅行に出かける記述があります。奥さんの横顔を見ていて、ふとそのシーンを思い出しました」
「まぁ・・」
則子はあきれたように言った。
「人妻を誘惑しておきながら、あなたがそんなことおっしゃるなんて変ではありません?」
北川は少しはにかんで、言った。
「奥さんが外ばかり見ているんで、ちょっとこちらに気を引きたくて、意地悪な質問をしました」
「ほんと、意地悪だわ・・」
そう言って則子は笑って下を向いた。
376 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/09(月) 00:45:03 ID:qj0ZtRrt
いいですね。ゾクゾクきます。
これから先、どんなセクシャルなシーンが展開されるかを期待される書き出しで
ありますね。
ホント、期待大です。
三島の「美徳のよろめき」の話になってるところなんか、最高です。
今や、こちらの掲示板を読むのが、私の日課になっております。
今後とも、生活に支障のない程度に、力作をお願い致します。
377 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/09(月) 00:56:15 ID:x2jTTBjx
有難うございます。ペースは落ちてますが、少しずつやっていきます。
美徳のよろめきをご存知ですか?。「もう一つの岸辺」をアップするに当たって
参考になる部分も多いです。でもさすがも三島もヒロインの子供に対しての
描写は(子供はまだ児童であるにせよ)さらりとかわしています。
やっぱり山田太一さんは偉大です!
さすがも→さすがの ですた
379 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/09(月) 04:20:56 ID:qj0ZtRrt
「美徳のよろめき」は、30代くらいの頃、読んだ記憶があります。
美文調の三島氏らしい、美しい筆致で書かれていましたし、かなり
大胆な描写もあったりして、いささか興奮したのを覚えています。
しかし、映像になった作品(映画は月丘夢路、テレビドラマは藤谷美和子)
は、どちらもあまりヒロインが(私の考えでは)ぱっとしませんでしたの
で、ちょっとイメージを増幅させるには、難がありましたね。
山田氏も偉大でしょうが、「岸辺」が、ここまで今でも支持されるのは、
やはり八千草さんの功績が大だと私は思います。
則子役は、八千草さん以外有り得ません。
お忙しい中、UP誠にご苦労様です。
今後も本当、期待していますので・・・
私達の目を楽しませてください。
380 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/09(月) 05:12:28 ID:qj0ZtRrt
上↑の者です。
一つ希望を・・・則子の和服姿というのも見て見たいのですが・・・設定に無理が
無い程度で取り入れていただければ幸いです。
和服姿の則子が乱れる・・・いいと思いませんか?
ご一考願います。
>>380 さん有難うございます。美徳の映画・テレビは知りませんでした。
映画版は月丘夢路さんですか、見てみたいですね。テレビ版は・・「あしからず・・」
和服姿・・はい、やっぱり八千草さんで和服姿は外せないですよね!もちろん考えております。
ただアップ中の文の季節が夏に向かってますので、和服はもう少し先の秋〜冬頃の描写時になるかもしれません。
その代わり浴衣姿は近々と考えてはいます。(ペースがどうかな・・)
いずれにしても少しづつでもご声援いただいている皆様に必ずお応えしたいと思っております。
今後も皆様と岸辺・八千草さん・その他モデルさん等 のお話が出来ればうれしいです!!
いろいろ情報が交換できればと思います。
382 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/09(月) 21:42:21 ID:x2jTTBjx
車窓を見ていたのには訳があった。目的地までほんの60分足らずの時間であるが、泊まりに行くという目的で北川と席を並べているこの列車の
雰囲気に、則子は陶酔してしまうような錯覚を覚え、ずっと気持ちを静めるために、外を眺めていたのだった。
「わたし、悪い女かしら・・」
「どうしてです」
則子は再び外の景色を目にやって話した。
「息子の姿が、だんだん遠くなっていくような気がするの。」
「いつも奥さんは、息子さんを忘れたことは無いではありませんか」
北川はそう言って、則子の手に自分の手を重ねた。
「でも・・今日は見えなくなっていくの。息子の姿が見えなくなっていく・・」
則子は、自分に触れられていた北川の手をぎゅっと握り締めた。
しばらくふたりは視線をあわせず、その握り合った手のひらで、お互いの思いを通じ合わせた。
通路の方でガタゴトと音がして、車内販売がやってきた。
ようやくふたりは、そっと、握り合っていた手を離した。
「軽く何か食べましょうか?サンドウィッチでも」
「わたしはいいわ。でものどが渇いているみたい。」
北川は車内販売を呼び止めると、コーラとバヤリースを1本ずつ頼んだ。
窓の下の壁についている栓抜きで瓶の王冠を開けると、ふたりは瓶に口を当てて上を向きながらお互い見合わせて笑った。
やっと旅らしい雰囲気が出てきた。
北川が王冠の裏を爪でめくっている。
「当たった?」
「ラッキーですね、50円が当たりましたよ」
「まあ、いいことあるかしら・・・」
「きっとありますよ」
またふたりは笑った。
383 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 09:20:57 ID:c1TsjDPZ
塾の合宿所で、黒板に書かれた英文の文字を追いながら、繁はふと、この前の小田急線の中での母の美しい横顔をなぜか思い出した。
なぜか、胸騒ぎがした。
はっ!とした。今、自分が泊り込み出来ているということは、ここ2日ほど、ずっと家には母しかいないことになる。いや、それは分かっていた。
母を一人で留守番させることに負い目を感じ、出掛けに「悪いね。一人にさせて」と言った。母は笑いながら「いいのよ」と返事をした。
そうではない。自分が不安を感じたのは、母がこの2日間にあの男とさらに深い関係になってしまいそうな環境にあるということであった。
(授業が終わったら、電話してみよう・・きっといるさ。お母さんはきっと家にいるさ・・)
繁は母の面影を振り切るかのように黒板を見直した。
プールサイドには人はまばらだった。
向こう側にカップルが1組。ずっと右側にもう1組いるだけであった。
チャコールのメンズスイムウエア姿でデッキチェアに横になって、北川は着替えている則子を待った。
やがて則子が、体に真っ白なバスタオルを巻いてやってきた。
うつむいている。
「随分ガードが固そうですね」
北川が笑って言った。
「まさかと思ったわ。せっかくあなたがプレゼントしてくれるというから、自分の水着は持ってこなかったし・・」
「タオルを外してもらえませんか」
「どうしても、外さなくてはだめ・・?」
「だめです」
「本当に悪い人・・」
そう言って則子は、ようやく巻いていたバスタオルを取った。
そこには、ビキニスタイルの則子がいた。
あざやかなローズ色をベースにドット柄の入ったデザインのビキニだった。
バスト部分の三角形が小さく、則子の乳房をキュートに包み込んでいる印象があった。ショーツ部分は比較的おとなしい
デザインであったが、そこからしなやかに伸びているなっている2本の脚が艶やかだった。
384 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 10:35:38 ID:YfayfhAo
いい!いい!
それしか言葉が見つかりません!
こういう展開って、ホント生唾モノです。
私の頭の中では、本当に素晴らしいシーンが、ドラマのキャスト通りに
進行しております。
繁の母に対する思い、それを忘れて男と歓喜の時をすごそうとしている
則子・・・いいです。
もうこれは、完全に原作を越えて、別世界に突き進んで、なおかつあの
世界を広げていると思います。
今後どうなって行くのか・・・期待大です。
385 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 11:00:42 ID:c1TsjDPZ
いるなっている→いる ですた・・
386 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 19:54:48 ID:XrKsjoy0
>374(作者様)
>素敵なミセスさんたちの情報が交換できるなんてとってもうれしいです!
秋山しのぶさん、ご紹介して良かったです!
スラリとした容姿に淑やかでいながら華やかな美貌、すこし目じりのタレた
優しく母性的な瞳。
いまだに大ファンです。ミセス用のファッション雑誌はもとより、大手スーパー
の折込チラシなどに載った秋山さんを集めまくったものです。
最近あまりお見かけしないのが寂しいです。
さて…
息子を裏切るように男との泊りがけの旅行に出た母親…
心配する息子のことなど心の隅にも止めず、男のなすがままに
息子持ちの熟れた肌を惜しげもなく男の目に晒し、すすんで
”女”として、肉欲の道具として扱われることを悦ぶ則子。
人妻であり母親である則子を平凡で平和だった家庭から奪い、
一個の牝として自分の好きなように扱いはじめた北川・・・
誰に気兼ねすることもなく獣となって夜が明けるまで貪りあ
う愛欲の閨シーンを期待しています。
387 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 20:13:03 ID:c1TsjDPZ
386さん、ありがとうございます!秋山しのぶさん、素敵ですね!一番活躍された雑誌等は
何になるんでしょうか・・?もし出来ましたら画像等アップしていただけるとうれしい・・
大手スーパー の折込チラシって素敵な女性モデルさん多いですよね。わたしも結構集めました。
388 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 20:25:04 ID:YfayfhAo
387さん
秋山しのぶさんが一番活躍された雑誌は、今はもう「廃刊」になってしまいましたが
「ウーマンブティック」という雑誌です。
私も2〜3冊ほど持っていますが、どれにも登場しております。
また、その別冊として「L&LLサイズのミセスの服」という本にも、よく登場して
いました。
今ですと、「美しいキモノ」という和服の雑誌でお見かけしますし、また
「レディブティック」にも、時折登場されています。
私も画像をアップしたいところですが、やり方が分かりません。
それにしても、則子と北川、どうなるんでしょうね?
家族の存在を互いに忘れて、悦楽の中に身を投じる二人・・・今後の展開に
息も抜けません。
毎日、ゾクゾクしながら読ませていただきます。
389 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 20:38:30 ID:c1TsjDPZ
388 さん 早速有難うございます!画像についてはスキャナーもしくはスキャナー付プリンターなどで「JPEG」などの
ファイル形式にさえしていただければあとは私がアップローダーの方法等をご説明いたします。では続きを・・
その姿に北川は思わず引き込まれた。
則子の肌はもう何度も眼にしているはずなのに、鮮やかな色のビキニが彼女の繊細な肌をよりまぶしくさせている。
大人の女性の肌といえた。
若さと豊満さだけがやたらに目に付く週刊誌のグラビアの娘にはまねが出来ない美しさだと思った。
「よかった、奥さん。とっても似合います」
「やだ」小さく則子はそう言って、続けた。
「頂いた袋を開けてビックリしたわ。まさかビキニとは思っていなかったもの・・」
ほんの15分ほど前、北川からプレゼント用の可愛らしいリボンのついた紙袋を受け取り、そして男女別の入り口で分かれた。
女性用のロッカールームには誰もいなかった。
ロッカールームで、ひとまずその袋を傍らにおいて、則子は着替えを始めた。
ネッカチーフを首周りから外すと、白のスーツの上着を脱いだ。
スカートのベルトを外し、腰に両手をまわしてファスナーを下ろすと、スカートをゆっくりと足から抜いた。
ブラウスのボタンを外してそれも脱ぐと、ホワイトのブラジャーと水色のパンティーだけの姿のままふっと一息ついた。
ひとまずその段階で脱いだ上着を丁寧にハンガーにかけると、背に手を回してブラジャーのホックを外した。
ブラジャーを脱ぎ、誰もいないのが分かっているのに、少しあたりを見回しながら、そっとパンティーを脱いだ。
真裸のまま下着をバッグへしまうと、北川から受け取った紙袋の口を開けた。
(あら・・?)ボリュームが随分少ないと思った。
袋から取り出して、ようやく、プレゼントされた水着がビキニスタイル、セパレーツであることが分かった。
(やだあ!)
100%ワンピースかと思っていた。いま真裸になったのも、ワンピースの水着に着替えるつもりであったからだ。
則子は、北川がずっとどの様な水着のデザインなのかはぐらかしてきたかが分かった。
(もう!信じられないわ・・)
そう言って則子は、しかたなくローズ色のビキニショーツをはいて、バストパーツを胸に巻いたのであった。
390 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 21:03:22 ID:XrKsjoy0
391 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 21:06:49 ID:XrKsjoy0
392 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 21:16:08 ID:YfayfhAo
390さん
ありがとうございます。見れました。
秋山さん、いいですね。ホント素敵です。
389(作者)さん
新作ですね。いやあ、ドキドキします。
これって、まさしく北川の「視姦」ですねぇ・・・
則子を虜にして、自分の好みの女性に仕立てて行く・・・彼はそんなに悪い人間では
ないと思うんですが、知らず知らずのうちに、そうしてしまっているというような。
則子は則子で、それを喜んでいるというような・・・これって、まさしく大人の
関係ですね。
今後も期待大です。
それから、画像アップの件ですが、私のプリンターには、スキャナーはついておりません。
残念ですが・・・
393 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/10(火) 21:18:26 ID:c1TsjDPZ
390さんありがとうございます!見れます見れます!!素晴らしいです!
特に2番目のブルーのスカート姿の秋山さんが最高です!
私の稚作を読んでいただいた上、このような素晴らしいモデルさんのご紹介や
画像を見ることが出来て、本当に書いてよかったと思っています。
今後もがんばって書こうという意欲がわいてきます。
そして、秋山さんをイメージに、サブキャラを書く構想も沸いてきました!
394 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/11(水) 11:03:34 ID:dI0r726+
今日の「はなまるマーケット」の「はなまるカフェ」
のコーナーに、八千草さんが出ておられました。
美しかったです!
395 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/11(水) 17:04:02 ID:TizcifVa
「もう、すっかりだまされてしまったわ」
そう言って、バスタオルで胸元を隠しながら北川の横に座った。
「ワンピースです、とは言っていなかったと思いますが」
北川は微笑しながら言った。
水着の色のせいか、足を組む則子の肢体が健康的で美しい。
「あまり、見ないでくださいね」
「いや、今日はそうは行きませんよ」
北川はそう言うと、スポーツバッグからポケットカメラを取り出した。
「まあ!」則子は口を両手でふさいだ。
「見せるだけで恥ずかしいのに、写真なんて、絶対いやだわ」
しかし北川はそんな則子の言葉などまったく聞こえていないかのようにケースを開いている。
「聞こえていらっしゃるんでしょ。ずるいわ・・」
そう言って則子は周囲を見渡した。
「思ったより人が少ないのね。もっと混んでいると思ったわ」
「平日はこんなもんですよ。きっと土日になると芋を洗ったような状態になる」
北川はそういいながらカメラを則子に向けて、シャッターを切った。
不思議だった。ほとんど人気が無いことと、カメラを向けられていることが、あれだけ恥ずかしがっていた則子の心を徐々に大胆に
させていった。
そのうち、北川に言われるままポーズをとるようになった。
両手を頭の後ろに組んで、顔を斜めにする。
時には足を大きく広げた。
シャッター音を聞く度、なぜか満足感が則子の心に広がる。
「なんだか・・。」
則子は言った
「ファッションモデルになった気持ち・・」
則子はシャッター音を浴び続けた。
その後、ふたりはプールの水につかった。
もともと則子は泳げなかったが、取り立ててプールで泳ごうとはふたりとも思っていなかった。
水をかけあったり、抱っこされて水の中を移動したり、童心に帰ったようにふたりははしゃいだ。
再びデッキチェアに横になった時は、則子は北川の体にぴったりと体を寄せていた。
396 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/11(水) 17:04:57 ID:TizcifVa
周囲には人影はまったく無い。
北川がふいに、則子に口づけをした。
「見られるわ・・」
「誰に・・?」
「・・・・・」
ふたりはさらに深く唇を重ねた。
「部屋へ戻りましょうか」
北川の提案に則子はかすかに震えた声で「ええ」と言った。
「着替えてくるわ」
「そのままでいいんですよ」
「よくはないわ。ここはホテルの一部でしょ。水着とか浴衣とかで歩いてはいけないところだわ。」
「いいんですよ。ここは欧米のようなリゾートホテルを目指しているらしく、水着はご法度ではないんです。」
「でも・・」
「バスローブを羽織っていけばいいのでは?」
則子があきれたように北川を見た。
「どうしてもお部屋までビキニで行かせたいのね」
すこし笑って、則子は立ち上がった。
部屋までの通路で誰かとすれ違うたびに、則子は恥ずかしいと思ったが、中には水着丸出しで歩いていく女性もいて、則子をほっとさせた。
エレベーターの中で、ふたりは話した。
「水着のままの人がたくさん歩いていた。心配する必要なかったでしょう?」
「でも、若い方ばかりだった。こんなオバサンはいなかったわ・・」
「歳は関係ないと思うな」
「そうかしら・・」
エレベーターが部屋のある10階についた。
部屋の中は先ほど荷物を置いただけであるので、きれいに整頓されていた。
北川が遮光カーテンだけ閉めると、則子を抱き寄せた。
「プールに入った後よ、シャワーを浴びなくちゃ・・」
しかし北川は、もう則子のビキニの肩紐を下ろしている。
397 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/11(水) 17:41:21 ID:dI0r726+
す、素晴らしい。正にこれは平成版「美徳のよろめき」ですな!
則子と北川の情事・・・小説を読んでいて、かくもドキドキしたの
は初めての経験であります。
このままどうなるのでしょう。続きに期待します!
398 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/12(木) 13:50:32 ID:EFzlSGmH
昨日、寺山修司脚本、監督の「田園に死す」のDVDを借りてきました。
幻想的な映画なのですが、八千草さんが登場しています。
彼女が夫と並んで寝ているところで、布団をはぐられて、寝巻きの裾をまくられ
、腿が露になるシーンや、また過去を物語るところで、からみの場面(もちろん
顔は見えませんので吹き替えでしょうが、しかしまるでご本人がそうしているように
錯覚してしまいました)などがあったりして、結構興奮しましたよ。
399 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/13(金) 00:25:42 ID:OUP4heiZ
400 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/13(金) 10:42:30 ID:lXtFYKyR
「作者さん」(これからはこう呼ばせていただきます)
画像ありがとうございます。時代を感じますね。
「田園」は、確かに直接はエロチックな描写はそんなにあるわけではありませんが
彼女の演じた化鳥(地主の嫁)の存在自体がゾクゾクするのです。
八千草さんって、存在自体が可憐なんですが、そこがまた丸出しの「エロチシズム」より
想像力をかきたてられますね。
「岸辺」がかくも魅力的なのも、そこにあると私は思います。
401 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/13(金) 23:07:57 ID:silUN7+8
>>400 想像力・・そうですよね、これこそ八千草さんの最大の魅力ですよね。
遅くなりました。続きです・・・
「だめよ・・」
体をくねらせる則子の、ビキニのショーツ部分の生地にしわがより、そのローズ色の美しさとあいまって、北川の心を刺激した。
部屋の中で則子の純白の下着姿・・ブラジャーとパンティーだけの姿・・これは日頃目にしている。今彼女が見につけている
ビキニの水着も肌を覆う面積は下着とほとんど変わらないというのに、なぜか一層刺激的だと北川は則子に言った。
そうしているうち、ビキニのバストの部分は床に落ち、あらわになった両乳房を、北川が後ろからおおきく揉みしだいた。
「ううんっ!」
則子は声を上げて悶え、体をそらして北川と唇を重ねた。
北川の片手がすばやくビキニのショーツを捉え、そのままそれを肢体から取り去った。
鮮やかな色のビキニショーツが宙を舞って床に落ちた。
「奥さん!」
首都圏の喧騒から遠く離れた場所へ、この美しい人妻を連れ出したという状況に我慢出来なくなったかのように、
北川は則子をどっと、ベッドへ押し倒した。
激しい接吻を重ねた後、北川の唇が則子に触れられたまま、ゆっくりと下部へ移動してゆく。
首筋・・乳房・・腹部・・、そして、その北川の唇が一層、則子の繊細な部分に達した時、彼女は大きく息を吐いて仰向けのまま
大きく体を反らした。
その時見た、遮光カーテンの隙間からこぼれるひとすじの空色の光に、これからの何かとても素晴らしい時間の存在を則子は予感した。
北川の唇とやさしい指使いが、徐々に則子を熱くしていく。
眼にしている空色の光が揺れる。
402 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/13(金) 23:10:04 ID:silUN7+8
そして則子は眼を閉じた。
二人が結ばれたのだ。
北川は頬をすり寄せるようにして則子を抱き、その黒髪と首筋の間に顔をうずめた。
動き出す北川。
則子はその背を、夢中で抱きしめた。
「きれいな景色だわ・・」 image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up19857.jpg 夕食に出かけるため、紺色のワンピースを身に着けた則子が、夕日に染まる富士山を部屋の窓を開けて眺めていた。
後からシャワーを浴びて、ポロシャツのボタンを留めていた北川が、同じ窓辺に立ち、則子の肩を抱いた。
「思い出になりそうですか・・」
則子が、北川を見上げて笑った。
狛江の田島家の電話が鳴った。
ひっそりとして真っ暗な部屋の中に、電話のベルが幾度も鳴り響いて、そして20回ほどの呼びかけを行った後、それは静まった。
繁は受話器を置いて、いたたまれなくなった。
(来るべきではなかった)
今の母の状況を考えるべきであった。家に誰もいなくなったとしたら、母は男のところに出かけてしまうことくらい察するべきだった。
(いや、きっとお母さんは買い物に行っているんだよ。少し遅くなっているだけだ。9時ごろ電話すれば、『どうしたのこんな遅くに・・』
とお母さんは電話に出るよ!出るさ!)
繁は宿舎の公衆電話に背を向けると、部屋に戻っていった。
「いっしょに入りませんか」
スリップ姿で、ワンピースをクローゼットにかけていた則子に、バスタブに湯を入れていた北川が声をかけた。
「え!でも・・」
403 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/14(土) 02:43:45 ID:wjZ8PXu5
作者さん
いつもながら「萌える」展開ですね。
描写がしっかりしていて、想像力が掻き立てられます。
繁の苦悩、そして、それを忘れたかのように、愛欲の時間に
溺れる則子・・・
これこそまさに「エロス」でしょう。
渡辺氏のように、「家族」が無視されているような作品では
やっぱりちょっと「物足りない」感じがしますね。
404 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/14(土) 22:25:52 ID:eRI4pGyB
>>403 渡辺さんの作品は私も好きなんですが、私の記憶では不倫している人妻の子供は
たいがい年頃の娘さんでしかもすごく物分りがいいんですよね。渡辺さんの作品で繁のような
息子のいる奥さんが不倫するような作品を読んでみたいものですが、氏のテーマとそれてしまい
そうですね。岸辺と同じような家族構成での不倫小説が他にありましたらぜひどなたかお教えください。
「こんな時で無ければ、奥さんと一緒にお風呂なんて入れないと思いまして・・」
いつものふたりの愛の巣であるアルハンブラは、バスタブ自体はビジネスホテル並みに小さかった。先日の日比谷のホテルは
バスタブは大きかったが、そういうことは行わなかった。
北川はすでに上半身は裸になっている。
「お湯が、溢れてしまわないかしら」
戸惑い気味に則子が言った。
「そう思って、半分しかお湯は入れていません」
「・・入れということなのね・・」
「そういうことになりますね」
則子は北川のその言葉を受けて、含み笑いで、スリップの肩紐を外した。
バスタブの中で、後ろ向きに北川に抱かれて、則子は湯に浸かった。
「こんなことをするのは初めてね。少し恥ずかしいけど・・」
「あらためて、奥さんの肌のきめの細かさに感動します」
北川はそう言って、則子の肩口から二の腕にかけてをゆっくりとなでた
「もう曲がり角はとっくに過ぎているわ」
「そんなことない・・」
北川は則子のうなじに口づけする。
則子はなにかを予感したのか、少し身をすくめたが、その時は北川はあえてなにもしなかった。
「今宵は、長くなりそうです」
そう言って北川は則子を抱きしめた。
則子は無言で、自分を抱きしめる北川の腕に触れた。
「先に、体を洗います・・」
則子は北川の腕の中からゆっくりと立ち上がると、シャワーブースに入っていった。
405 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/14(土) 23:58:14 ID:eRI4pGyB
北川がバスルームから出ると、則子はバスローブを着たまま、ドライヤーで髪を乾かしていた。
鏡に映っている則子の、バスローブから垣間見れる胸元には、当然何も着けていないように見えた。
プールで戯れた後、そのまま部屋で愛の交換を3度行い、先ほど食事をして、今入浴が終わったばかりだった。
「疲れていませんか」
短い距離とはいえ列車に乗って移動もした。北川は則子を気遣た。
「いいえ」
髪をとかしながら、則子はそう言った。
「お風呂に入って、すっかり疲れが取れたわ。お食事もとってもおいしくて、わたし、元気よ・・」
最後の言葉は意味深で、則子は北川になにかを訴えかけていた。
ふいに、則子はそっとブラシをドレッサーに置いた。
そして、無言でドレッサーの椅子から立ち上がった。
バスローブを脱ぎ捨てた。
生まれたままの姿の則子がそこに立っていた。
「今日は、忘れます・・」
「奥さん・・」
もう一度則子は言った。
「今日は、息子を・・忘れます・・」
そう言うと、北川の前に膝まづき、彼のバスローブをはだくようにして、その股間に顔をうずめた。
「奥さん!」
北川はバスローブを脱ぎ捨てると、股間にある則子の頭部を両手で触れた。そして、彼女の舌の動きで沸き起こる男の本性が、
則子の黒髪を激しくかきむしった。
、受話器から聞こえる、単調なむなしい呼び出し音を、繁は先ほどから放心したように聞いていた。
午後9時を回っていた。しかし、母は電話に出なかった。
寂しい、寂しいよ・・
そう心でつぶやきながら、ずっと音を聞いている。
(あの、新宿での楽しいひと時は何だったのだろう)
そう思い返しながら、このまま受話器を持っていれば永遠に続いていそうなその呼び出し音を聞いた。
すると、その呼び出し音の響く繁の脳裏に、母の姿が浮かんできた。
真っ暗な部屋の中、スポットライトを浴びたように母がそこに立っている。
母が、陶酔しきったような表情でワンピースを脱いでいく。
406 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/15(日) 01:40:46 ID:EHRzExUh
作者さん
「息を飲むような描写」とは、正にこれだと私は思いました。
文章を読んだだけで、情景が目の前に浮かぶようです。
「性的な描写」というのは、えてして陳腐になりがちですが
これは違いますね。
さて、繁君の苦悩は、今や頂点に達しつつあるようで・・・・
それにしても「今日だけは、息子を忘れます」・・・・
これほど萌えるセリフが他にあるでしょうか?!
不謹慎ながら・・・
407 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/15(日) 23:32:59 ID:vXRH9g0+
406さん、有難うございます・・すっかりアップペースは落ちてしまいましたが頑張ります!!
ブラジャー姿になった母・・。
その前に、あのキザな野郎が現れる。
そいつが、母を抱き寄せる。
母が、うれしそうにあえぎ始める!
(いやだ!いやだいやだ!そんなのウソだ!)
繁は受話器を思い切り電話にたたきつけて戻すと、その場で頭を抱えてうずくまった。
少し前屈姿勢にはなっているがほとんど立ったまま、則子は壁際に手をついて、後ろから突き上げてくる北川の動きを受け止めていた。
北川の両手はしっかりと則子の両乳房を捕らえ、腰の動きと同時に激しく揉みしだいていた。
「あんっ!あんっ!あんっ!」
40才の人妻が、大学生と高校生の2児をもつ母親が、感性の赴くまま上げる喘ぎ声は少女のように可憐で、それは美しく部屋の中で反響した。
「好き!好き!好きー!」
その人妻はそう叫んで脱力した。
しかし、後ろから彼女を突き上げていた男は、それだけで彼女の開放を許さず、彼女の色白の体を、つないだまま落ちら向きにし
抱きかかえると、ベッドの縁に腰を下ろし、そして再び激しく腰を動かし始めた。
はじめは大きく息だけをしていたその人妻は、やがて相手の髪をかきむしるようにして両手をまわし、再び声を上げて悶えはじめた。
そしてひときわ大きな声を出して全身を震わせた。
「あーっ!あーあーあーっ!」
その瞬間、同調していた男の下半身も、猛烈に震え、人妻の体内に溢れんばかりの精液を放出した。
408 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/15(日) 23:33:37 ID:vXRH9g0+
いつもならば余韻に浸り、甘い言葉を交し合うところであったが、その夜は違った。
北川の長い射精の時間が終わると、則子は振り向きざまに北川の顔に両手を触れて、その唇を求めた。
しばらく夢中で唇を押し付けあった後、則子を北川が抱え上げると、放り出すように則子をベッドに仰向けにした。
則子の裸体が昏倒したようにベッドの上で弾んだ。
そこに、間髪を入れず北川が覆いかぶさった。
何のふれあいも行うことなく、2度3度北川が腰を動かしただけで、ふたりは再びつながれ、そして激しく抱き合った。
荒々しい北川の腰の動きと、呼応してうねらせる則子の腰の動きが、ひとつになった二つの裸体をベッドの上で大きくうごめかす。
則子はその間1度登りつめて、はばかりなく歓喜の声を上げた後、解放することを許さない北川の腰の動きにまたしっかりとその相手にしがみついた。
北川が外側から則子を包み込み、則子は内側で北川を包み込んだ。
そのふたつの包み込んだ動きが、お互いの感性を限界まで高め、そしてその限界が超越したとき、ふたりの意識は確かにひとつになった。
「だめだめだめ!だめーっ!」
しかし、その則子の発した嬌声もむなしく、彼女の感覚は2度目の頂点を越えた。
そして小刻みに震えながら、北川は則子に情熱の誓いの使者を激しく打ち放った。
10秒・・北川は射精をしている。
15秒・・まだまだ射精は終わらない。
20秒経った。北川は大きく息を吐いて、最後の一しずくを放ち終えた。
それは狭められたわずかな空間にいっぱいに広まった後、一気になだれ込むように則子の子宮の中へと消えていった。
どっと、ふたりは折り重なってベッドのシーツの中に埋もれた。
409 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/16(月) 08:56:03 ID:KQGE7Y1Z
作者さん
「息を飲むような」といいますか「迫力満点」といいますか・・・
原作と言う素材を、かくも丁寧に料理して、絢爛たるエロスの世界
を繰り広げられるとは・・・
正直、素晴らしいですね。
それと、もう一つは息子である繁君の苦悩を、ちゃんと描いているところ
でしょう。
今後の展開が本当に楽しみです。
次回も、力作を期待しておりますので・・・
410 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/16(月) 19:31:33 ID:AwCK0Y8n
執拗に何度も繰り返される則子の膣への長く無残な射精・・・
人の妻であり母親である女の子宮を自らの子種汁で埋め尽く
し、自分の種を他人の母親に植え付けようとする行為は、
男にとって最高の快楽であり征服感でしょうね。
熟れた肉体ばかりか、心まで征服された母親・則子
貞淑さも母性もすべてをかなぐり捨てて、汗と体液で湿った
ベッドの中で快楽に悶え狂う母親の白い肉体を妄想し、嫉妬
と焦燥感に苦悩する息子。
読んでいて息苦しくなるほど興奮します。
息子にとって自分を産み、愛情のすべてを注ぎ育ててくれた
母親を他人に奪われ、その肉体をあたかも性欲処理の玩具の
ように好き勝手に扱われることほど苦しいものはありません。
しかもそれを母親が強要されているのではなく、母自らが
男の精液人形になることを望んでいるとなると・・・
繁の絶望は相当でしょうね。
母親の小柄な肉体が男に弄ばれる妄想に我を忘れて耽溺して
ゆく繁くんなんてどうでしょうか?
411 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/16(月) 22:12:05 ID:KQGE7Y1Z
作者さん
八千草さんって、「岸辺・・・」だけでなく、映画でもテレビドラマでも、結構
エロチックな役や、悪女役なんていうのも、演じていらっしゃるんですね。
私が印象的だったのは、「ガス人間第一号」というSFサスペンスです。
ある実験の犠牲になって、自らの肉体を気体(ガス化)した男が、恋焦がれる
日舞の師匠(八千草さん)の為に殺人を犯す・・・最後はその日舞の師匠と共に
爆死する・・・というものですが、八千草さんは、男を利用して、自らの野望を
遂げようとするという、妖艶な悪女を演じてました。
ですから、本作でのエロチック描写も、本当に八千草さんとオーバーラップして
も、けして不自然に感じられないのです。
ご本人が聞いたら、どう思われるか知りませんけれど・・・・
それから、あまり繁君を悲しませて欲しくない・・・というのは、ちょっと贅沢に
過ぎるでしょうか(苦笑)
412 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/17(火) 22:37:29 ID:FdDiKBSo
>>410 さん、有難うございます。いつもながら素晴らしい文章ですね。これがそのまま小説になりそうな
感じがするくらいです!
>>411 さん、有難うございます。ガス人間はみていませんが、八千草さんがそうとう妖しげな美しさだとは
聞いています。今度レンタル借りようかな・・それから、絶望の淵にいる繁君ですが、一応フォロー?はその後に
する予定です(でも則子と北川を別れさすつもりはないのでおんなじなのですが)
また皆さん、いろいろ楽しいお話をお願いします!
あと、記述ですが、多忙にかまけ、なかなか以前のようにしっかり書けてないかなと
思っています。ろくに推敲もしていないのでアップした後しまった!といつも思っています。
修正版はいずれ行おうとは思っていますので、どうかお見苦しいですが続きでも読んで
やって下さい・・
413 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/17(火) 22:39:04 ID:FdDiKBSo
ほんのひととき、ふたりはそのままの姿勢でおおきく息をしていたが、やがてそれがおさまると、則子は北川の胸板に切なそうに顔
を押し付けて、そして彼の胸から腹部にかけて自分の唇で触れていった。
我慢出来なくなったように北川は則子をうつぶせにし、その乳房に吸い付くと、思い切り吸い上げた。
うめくような則子の悶える声を聞きながら、北川は空いているもう一方の乳房に右手を触れ、乳首を繊細に扱いながら、乳房を荒々しく揉みしだいた。
則子が悶えきれないかのような切ない声で両足を北川の両足に絡めた。
北川はようやく則子に体をつないでやると、甘い小声を上げて次の始まりを期待する則子を抱きしめた。
そして、硬く唇を結び合うと、再び果てしない夢の世界へ旅立っていった。
北川の腰が往復し、則子が下半身をくねらせる度に、部屋中にバーミリオンとピンクののハートマークがあざやかに舞い散った。
<きみを連れてどこまでも行きたい、地平線のずっとむこうまで>
<行きたい、行きたいわわたし、あなたとずっと、ばら色のかなたまでも>
<いま、きみはぼくの両手の中にある、もうほかの誰のものでもない、きみはぼくの物になる>
<ああ、わたしにはあなたしか見えない、あなたしかいない、もうあなただけがわたしの全てなの>
<さあ踊ろう!ぼくと踊ろう!ロマンスに生きよう!ぼくたちの思いをこの時に賭けよう!>
<いいわ!いつまでもわたしはあなたと踊り続けるわ!ああ、あなたと向かうあしたが待ち遠しい!>
そしてふたりは、恋することを知った。
414 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/17(火) 23:33:10 ID:3ZjRSXPp
作者さん、見事な描写です。
愛欲表現が、ここまで劇的に描けるというのは、素晴らしいと私は思います。
これだけ激しい交情なんて、そうめったにみられるものじゃありません(笑)
まして、これが40を過ぎた成熟した男女だと思うと・・・
(それがあの八千草さんとダブらせると、余計に・・・ですなぁ)
今後、二人はどうなって行くのでしょうか?
また、繁君は一体どうなるのか?
「おんな」である事に溺れる則子と、そこから「母親」に戻るときの対比・・・
その辺も、とても気になります。
あと、繁君は勉強手につかないと思うんですが、彼はやっぱり「大学」を滑ってしまうんでしょうかね。
これは・・・私からのリクエストなのですが、彼に恋人を登場させるというのはいかがでしょう?
それもテレビに出てきた「哀愁」のような存在ではなく、ちょっと年上の女性なんか・・・いいと思うんですが
是非ともご検討ください。
415 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/18(水) 18:00:15 ID:diIMI25H
>>414さん 有難うございます。繁の恋人ですか!実はかなり先になってから登場させようかとは
思っていたのですが、具体的な年齢はストーリーのなりゆきで変わってくるかな、と自分では漠然と
考えてはいました。ただ少なくとも繁と同世代の彼女的な女性には絶対しないつもりではいましたが、
いろいろ考えて見ます。ただもう少し、繁は一人?でいるようですw
416 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/18(水) 18:00:49 ID:diIMI25H
その後も、欲望を抑える倫理感が消えうせてしまったかのように、則子も北川も続けざまにお互いを求め合った。
ふたりの愛の世界に終わりはなかった。
何度も何度もふたりは体を重ねあい、幸せの絶頂を幾度も味わった。
至福の時間を共有する時、ふたりは出会えた運命を喜び合い、誰よりも相手を好いている事を確認し合い、永遠の愛を誓い合った。
一度則子が脱力しても、かまわず北川は果てるまで彼女を求め続けた。
北川が力を失った時は、則子は自らの口でそれを何度も回復させた。
肌と肌が熱くこすれあい、それがふたりだけの空間を咽ぶほどに熱し、汗まみれになって、それでもふたりは抱き合うことをやめなかった。
時間の観念を忘れ、疲れを覚えず、ふたりはひたすらベッドを揺さぶり続けた。
ベッドサイドの時計の長針がその夜何度も回転したが、12と6に達したときが、ふたりが同時にはばからず悦びの声をあげる時間だった。
その時、それまでふたりで培ってきた愛のひと時が夢の出来事ではないことを告げるかのように、愛の証は枯れることなく幾度も打ち放たれた。
遠くの地平線から、朝日が闇を照らそうと言う頃、ようやくふたりの体は離れ、お互いが裸のまま、しわだらけになっているシーツの
上に大の字に横になった。
「シャワーだけ・・浴びましょうか」
「・・そうね・・・」
ふたりはそれだけ囁き合った。何時間かぶりに、現実的な会話をしたように思われた。
裸のままふたりは手に手を取り合って、ともにバスルームに入った。双方の体中にきらびやかに反射する一夜の愛の証を
お互いに洗い流しながら、ふたりは笑った。
まだ熱気を帯びていたかのような部屋に戻ると、ふたりの体や髪はすぐにさらさらに乾いていった。
そして裸のまま再びベッドに戻ると、今度はそっとやさしく抱き合った。
「幸せよ・・私、幸せよ・・」
則子がそう囁くだけで、ふたりは多くを語らなかった。
語り合う以上に、触れ合った肌がすべての思いをお互いに伝えていた。
やがてふたりは、深い眠りに落ちていった。
入り口のドアの外の「Do Not Disturb 」の札が、静かにふたりの眠りを見守った。
417 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/18(水) 18:01:59 ID:diIMI25H
「朝食はまだ出来る?」
1階のカフェテリアで、ブラウンのスラックスのポケットに片手を入れたまま、北川は入り口にいたマネージャーに尋ねた。
その後ろで、紺色の地に白い水玉模様がちりばめられたワンピースを装った則子が、ポーチを抱えて可愛らしく立っている。
まどろみからふたりが目覚めたのが午前10時少し前だったから、もう今頃は10時を過ぎてると思う。
「ご用意できますよ、どうぞ」
マネージャーはにこやかにふたりを窓辺の席へ案内した。
北川はソーセージにサニーサイドを、則子はスクランブルエッグを注文した。
「朝日がまぶしいですね。もっとも、もう朝とはいえませんが・・」
北川はそう言って、レースのかかった前面ガラス張りの窓辺から差し込む太陽をまぶしそうに見た。
「そうね・・」
則子はそれだけ言うと、先に運ばれてきたレモンティーのカップを手に取った。
「どうしたんです」
「え?」
「先ほどから、あまりしゃべらない」
「そうかしら・・」
則子はそう言って、北川とは視線を合わせずに、レモンティーを飲んだ。
北川はどうして則子があまり口を聞かないのか、よく分かっていた。
「昨夜の奥さんは、とっても素敵でしたよ」
ガチャン!とティーカップが音を立てて皿の上で揺れた。
則子が恥ずかしそうに下を向いて言った
「やだわ・・!そんな露骨におっしゃらなくてもいいじゃない・・」
そしてあわててまたカップを口にして、その瞳を意味もなくキョロキョロさせた。
北川がそんな則子の様子を見て、微笑して自分のコーヒーをすすった。
「いじわるな人ね・・」
則子は言った。
家に戻らなくてもいいという開放感と、繁を忘れようという決心があって、信じられないくらい昨夜の自分は大胆だった。
418 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/18(水) 21:36:30 ID:7QFXVAQR
す、素晴らしい!これほどの迫力ある官能描写は、今まで読んだ事はありません。次が楽しみです。
419 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/19(木) 09:25:01 ID:xsAqOS8u
作者さん
本当に「官能描写」で感動したのは、久しぶりです。
「チャタレイ夫人の恋人」を読んだ時(もっとも流し読みですが・・・汗)
にも、同様の感動を覚えました。
これは、それと同じくらいの迫力があります。
繁君には恋人が出来るんですね。
それは楽しみです。
実は・・・白状しますが、私も某掲示板で「岸辺・・・」の小説を書いていたのですが
最近煮詰まってしまって、先に進んでおりません。作者さんの作品の方が、数段上です。
とても勉強になります。
それから・・・厚かましいですが、リクエストを一つ・・・前に則子の「オナニー
場面」というのがありましたけど、今度は一つ、北川との「テレホンセックス」という
のも見て見たいですね。
作品の流れを壊さない範囲で結構ですので、ご検討頂ければ幸いです。
「その瞬間、同調していた男の下半身も、猛烈に震え、人妻の体内に溢れんばかりの精液を放出した。」
「そして小刻みに震えながら、北川は則子に情熱の誓いの使者を激しく打ち放った。」
この二つの行に、すごく興奮しました!
421 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/19(木) 22:41:52 ID:9+2l4kR2
>>419さん チャタレイ夫人ですか、古典名作ですね、読んだこと無いので読んでみようかな・・
テレホンセックス承りました。繁の恋人も含め、少し先になりそうですが、かならず折込み
ます。
>>420さん 有難うございます。色々出来る範囲でリクエストをうけておりますので是非どうぞ!
では続きを・・
422 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/19(木) 22:43:20 ID:9+2l4kR2
当たり前のように北川を口に含み、隣室に聞こえてしまうのではないかというくらい大きな声で喘いだ。
北川もそれに応えて、則子の体を翻弄した。則子の絶頂と北川の射精の数は数え切れなくなっていた。
部屋に用意されていたティッシュペーパーはその度ごとのあとしまつですぐに底をつき、代わりのバスタオルも最後には
愛液で浸りきり、使い物にならなくなっていた。
「前にもお話したかもしれないけれど・・」
則子が口を開いた。
「こわいわね。なんだか・・人と人との本質を垣間見るような気がして。自分でも知らない自分が、ひとりでに動き出してしまうような
感覚が、とってもこわいわ・・」
北川は黙って、やさしく則子を見ている。
「40才になって、ようやくそんなことを知って・・、良かったのか悪かったのか、まだ自分でも分からないけど。ただ・・」
則子は少し間をおいて、続けた。
「あなたに出会えていなかったら、そんなことは一生知ることは無かったと思う。ずっと家の中にいるだけでは、
絶対無かったことだし・・。だからわたし、後悔はしていないわ」
ちょうど、食事が運ばれてきた。
「食べましょう」
北川にそういわれて、則子はうなずいた。
(田島さんはいまごろご旅行中かしら・・)
横山和子は、先日の喫茶店での田島則子との会話を思いおこしていた。
(自分は合いも変わらず、いつもどおり掃除に洗濯だわ・・)
和子はふと、洗濯物を干す手を休めてベランダの手すりにもたれかかると、いつもと変わらない町の様子を眺めてみた。
多摩川から吹き寄せる風でなびく黒髪を片手でそっとかき上げた。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up20514.jpg 以前、田島則子と日常の生活について語ったことがある。
朝、夫を送り出し、子供に朝食を食べさせ、学校へ送り出し、洗濯をして掃除をして・・・
何から何までそっくりだったとき、二人は声を出して笑ったものだった。
423 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/19(木) 22:45:44 ID:9+2l4kR2
その生活は、自分が41才になった今でもかわらない。
今日も、夫と子供を送り出し、洗濯をして・・そして、それを干し終わった後は掃除である。
平和と言うのか、平凡と言うのか・・そんな生活を結婚後十何年も送ってきた。
則子は、ふとしたきっかけから、妻子ある男性と深い仲になったという。
先日彼女にも言ったとおり、悪いことではないと思う。正直、うらやましいとすら思う。
ただ、自分にふりかえった場合、そこまでする勇気はなかった。
それに、もうそういう状況が訪れる年令でもない。
2階の広いベランダは、15年前にこの家を新築する時に、ここでバーべQが出来るように、と夢をふくらませて
取り付けたものであった。
しかし、わびしいことに、年を追うごとにそこで家族が過ごすことはなくなり、特に娘が中学生になってからはすっかり
便利な広い洗濯物干し場になってしまっている。
(さあて・・)
洗濯物を干し終え、カラになった洗濯カゴを持って、1階へ下りようとベランダのドアを開けた。
その時、1階で物音がしたような気がした。
確かに部屋の中からその物音はした。
(晴香かしら・・)
424 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/19(木) 22:46:18 ID:9+2l4kR2
一人娘の晴香が、たまに忘れ物を取りに家に戻ることがある。しかし、それは娘が中学生の頃の話だ。
娘は今、電車で3駅先の高校に通っていて、早々戻ってはこれない筈だ。
そしてまた、ゴトッという明らかな音を聞いた。
「だぁれ?晴香ちゃん?」
そう言いながら、グリーンのサージのスカートを膝で弾ませて、1階の様子を確かめに階段を下りていった。
「晴香ちゃんなの?」
1階の居間のタンスの、一番上の引き出しが開いていた。
不思議そうにその引き出しをゆっくり元に戻した。
その時、背後に人の気配を感じた。
はっとして振り返った。
そこには、見たこともない若い男が立っていた。
驚いて、和子は持っていた洗濯カゴを離すと、震えながらタンスを背に後さずりした。
食事の後、則子と北川はホテル周辺を特に目的も無く散策して歩いた。
「奥さんがその髪型できちんとセットしたところを見るのは初めてですね」
いつもはアップにして、一見ショートカットに見える則子の髪が、今日は肩まで優雅にかかっている。
「そうだったかしら?」
「長い髪をもたれていることは知っていましたが、最後はだいたいいつもきちんとセットしなおしてお帰りになる」
それが、日ごろのホテルの中での話であったので、少し則子は恥ずかしくなって言った。
「家に戻ったとき、出かける前と髪形が変わっていたら、変に思われるでしょ」
「女性の髪も不思議だな。その状況にあわせて長くも短くもなる。男はそれに惑わされてしまうんだなぁ」
「いくつになっても、髪は女の命なの、ふふ」
則子が嬉しそうにうつむいた。
425 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/20(金) 08:09:48 ID:NDMmzf6F
作者さん
激しい愛欲の後の、けだるいような、何気ない会話・・・
私は本当に八千草さんが、こんな乱れた場面を演じていらっしゃるような錯覚を
おぼえてしまいましたよ。
それだけ、描写が緻密で、構成力もすぐれていらっしゃるという事なんでしょう
ね。
それから、横山和子さん・・・部屋に侵入してきた若い男・・・
果たして何者なんでしょう。
新たな展開の予感・・・気になりますね。
これは、ぜひ一冊の本にまとめられるべき作品だと、私は思います。
次回も期待しておりますので・・・
426 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/22(日) 13:44:59 ID:DbDLxskh
作者さん
繁君ではありませんが、私も「八千草さん」に関して、ある種の「嫉妬」を感じたことが
あります。
それは「季節が変わる日」という2時間ドラマが放映された時の事(脚本はやはり
山田太一氏でした。)このドラマにも、結構色っぽい場面が登場するのですが、
(何と八千草さんがセミヌードになって濡れ場を演じるのです!)相手役が、かの
岡田真澄氏でしたが、番組の制作発表の際、八千草さんを抱き寄せてキス(おでこで
したが)をしているポーズが、雑誌に載っていたのを見まして、
(岡田真澄!許せん!職権乱用じゃあ!)と思ったのを覚えています(笑)ですから
繁君の苦悩(?)を我が事のように感じるのですね。
私の今の興味は、「おんな」に浸りきっている則子が、苦悩している繁君と、どう
折り合いをつけ、母の姿に戻るのか?というところです。
今後も期待しておりますので・・・
427 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/22(日) 21:27:37 ID:9bjgy25B
>>425 さん 有難うございます。一冊の本ですか・・本は無理としても、書き切れなかったり修正した部分を直して
プリントアウトして、いつの日かオフ会の様な時にお渡し、お話できるといいですね。
>>426見たいですそのドラマ!!その雑誌はどんな雑誌でしたか?探してみたいです。
他に情報ございましたら是非!!
宿泊棟の横にあるイベントホールのところまでやってきた。
ホールと言っても、ホテルのイメージを損なわないような西洋風のおしゃれな外観である。
なにか催し物をやっている。
「ほぉ・・、ソフトバイクの新作発表会ですか・・」
「ほんと!素敵だわ!」
カラフルな色彩のソフトバイクが、購入意欲をそそるように、宣伝のポップとともにホールの内外に展示されている。
則子は、屋外に展示してあった一台に早足で近づいて、それに手を伸ばした。
「お友達も乗ってるんですよ。欲しいわぁ・・」
「プレゼントしますよ。10万円もしないでしょう?」
「それより免許をもっていないから」
「確か、筆記試験だけで、簡単に取れるはずですよ」
則子は興味津々でバイクに見入っている。
「腰掛けてみてください。フイルムがあまってますから、撮らせてください」
北川はそう言って、ポーチからポケットカメラを出した。
則子は今度は恥ずかしがらず、うれしそうにバイクの椅子に腰掛けた。
「撮りますよ」
北川がシャッターを切った image
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/2939.jpg その後もゆっくりと散策を楽しんだ。いろいろな施設があるレジャー型のリゾートホテルなので、散策が飽きることは無かった。
「これね、パンフレットにあったスケートリンクって・・」
大きくは無いが、一応屋内型のスケートリンクがそこにはあった。
しかしさすがに、夏に向かうこの時期には稼動はしていなかった。入り口の掲示板には10月からの営業と書いてある。
428 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/22(日) 22:24:38 ID:DbDLxskh
作者さん
オフ会など、開けたら本当に楽しいですね。
是非実現したいものです。
「季節が・・・」に関しては、私もどの雑誌だったか覚えておりません。
(もうかなり昔のことですので)
しかし、そのドラマの一場面が映っている写真ならば、以前ちょっとエッチな雑誌に
取り上げられていたものを、切りぬきで持っています。
胸だけ布で隠した八千草さんが、物憂げな表情でいるところを、後ろから岡田氏が
へばりついている(笑)というものです。
(制作会見の写真は、新聞のバックナンバーで調べれば、あるいは載っているかと
思いますが・・・)
スキャナーがないのでアップできないのが残念ですが・・・
おおっと!ソフトバイク、出ましたね!いやあ、あのコマーシャルは良かったなァ
この先どうなるか?興味しんしんです。
429 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/23(月) 23:43:11 ID:ojvwmRs1
>>428 さん有難うございます。八千草さんのソフトバイクのCM登場は岸辺放送後少したってからでしたが、
おしとやかな感じでバイクの宣伝をする八千草さんを見ながら、「裏では浮気してるんだろうな」
なんて勝手に妄想して萌えていましたw
アップペースが本当に鈍ってしまいましたが、今後もよろしくお願いいたします。
ご感想をいただくと本当に書くパワーがわいてきますね!
430 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/23(月) 23:46:15 ID:ojvwmRs1
「ちょっぴり、残念だわ」
「スケートを、されるんですか?」
北川が、ちょっと意外だなと言う顔で、則子を見てそう言った。
「運動音痴だと思われてたんでしょ」
北川が頭をかいた。
「いや・・、泳げないと聞いていましたので、まさかスケートとは・・。よくなさるんですか?」
「スケートは小さい頃からよくやってましたわ。生まれが長野でしたから、冬のスポーツは盛んだったんです。今もあちらの地方はそうではないかしら・・」
「では、スキーなんかもお得意なんですね」
「それが、スキーは全然だめなんです。面白いことに、スキーをしたい子とスケートをしたい子にはっきり分かれるんですよ。」
「奥さんはスケート派だったわけですね」
「そうなの。それもフィギュアスケート・・当時はフィギュアなんていうモダンな言葉は無くて、スケートバレエって呼ばれてましたわ。
長野地方だけの呼び名だったかもしれませんけど・・。いずれにしても女の子達はバレエっていう表現に魅力を感じて、人気がありましたわ。」
その話を聞いて、北川は再びスケートリンクを見上げた。
「今度、冬も奥さんとここに来てみたいなぁ。奥さんが演技する姿を見てみたい・・」
「やだわ・・、滑るのはいいですけど、演技って踊れということでしょ・・はずかしいわ・・」
そう言って則子ははっとして口をつぐんだ。
「やだ!、いってはいけない言葉を言ってしまったわ・・。」
「なにか・・?」
「ううん、ごめんなさい・・これでも縁起をかつぐほうなの・・」」
ようやく北川にも則子が発した、滑る、という言葉を思い出した。
「やはり、息子さんのことは忘れられませんね」
北川はそう言って笑った。
「ごめんなさい。この2日間は忘れるつもりだったのに・・。」
「いや、そのほうが奥さんらしくていい。子供のことを本当に忘れてしまうような女性は、魅力ないと思うな」
「あら、男の方って、女性を独占したいものだと思ってましたけど・・」
「男心というヤツも複雑でしてね。女性が母性本能を匂わせるようなところに、惹かれる場合があるんです」
北川は則子を見た。
則子はフフッと笑って下を向いた。
「戻りましょうか・・」
北川がそう言って、則子の肩を抱いた。
431 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/23(月) 23:56:52 ID:ojvwmRs1
「チェックアウトが12時ですから、あと1時間ほどあります」
部屋に戻って、北川が言った。
則子は北川の意図がすぐに分かり、戸惑い気味にいった。
「中途半端な時間ね・・私は電車の時間まで、ロビーにいてもいいのだけれど」
しかし、そんな則子の言葉は聞こえていなかったかのように、北川は則子の後ろから、ワンピースのスカートを
あっという間にめくり上げた。
薄いストッキングと純白のパンティーに包まれた則子の下半身がすっかりあらわになった。
パンティーの腰周りには、綺麗な刺繍がほどこされている。
そのまま、北川は則子を抱き寄せると、前のほうへ右手を回し、パンティーの中へ手を滑り込ませた。
「いまからだと、お出かけの準備が大変だから・・」
則子は喘ぎながらそういった。
「迷惑をおかけしないようにしますよ」
北川も喘ぐようにそう言って、則子を促した。
則子はいったんひざ立ちになり、そしてそのまま上半身だけをベッドにうつ伏せにした。
スカートはめくり上げられたままだった。
薄いストッキングをさっと下ろす。
そして今度は、あらわになった純白のパンティーを押し下げた。
則子の下半身をむき出しにさせた北川の両手は、そっと彼女のヒップに触れながら、ゆっくりとそのわき腹をさするように移動した。
一瞬、則子の体が反応し、小さな吐息がうつ伏せのまま顔を横にしている彼女の口から漏れた。
北川の両手が則子のヒップに戻ってきて、その中心にそっとあてがわれた時、北川の指はすでに彼女の股間がすっかり潤いを
帯びていることを知った。
北川がベルトを外してスラックスを下げると、トランクスの全部からそれを露出させ、ゆっくりと則子に挿入した。
ワンピースを汚したり、セットしてある髪を崩さないよう、緩やかに腰を動かし始めた。
結ばれたそこが擦れ合うかすかな音が、レースのカーテンを隔てて明るい陽でいっぱいになっているホテルの部屋に響いた。
432 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/23(月) 23:57:48 ID:JzfWwkKm
作者さん
いいですね。本当にいいです。
ドキドキします。
でも「ごめんなさい。この2日間は忘れるつもりだったのに・・。」
このセリフで、少しホッとしました。
やはり則子さんは、お母さんだったんですね。
でも、この後の展開が、実に期待大です。
あと1日・・・どんな愛欲が展開されるんでしょう?
わくわくします。
433 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/24(火) 00:01:51 ID:ojvwmRs1
有難うございます。行き違いになってしまいましたが続きをアップしました。
434 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/24(火) 00:04:01 ID:JzfWwkKm
失礼しました。
もう帰るんですね・・・いやあ、生唾モノです。
私の脳髄で、光景が「役者さん」の顔で再現されてましたよ。
今後とも続けてください。
応援しています。
435 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/24(火) 20:14:44 ID:/I59866z
息子のことを思い、貞淑であるはずの母親がホテルの一室で
昼間から下半身だけ剥き出しにして後ろから男を迎い入れる
シーンに興奮します。しかも外出着で。
他人の妻の熟れた肉体にいつまでも執着し、時間の許す限り
己の男の痕跡を人妻の肉の中に刻み込み、則子を亭主や家族
から奪い取り自分だけの”もの”自分だけの”女”にするこ
とに執念を燃やすかのような北川の妄執ぶりにも昂ぶります。
人間の、征服欲や肉欲に対する素晴らしい描写力に興奮しま
す。頑張ってください!
436 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/24(火) 23:39:48 ID:KWWVupEM
435さん、有難うございます。いつもながらすごい文章ですね。こちらが興奮してしまいます。アップペースはすっかり落ちてしまいましたが
またどうかご感想ください。
437 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/24(火) 23:40:23 ID:KWWVupEM
繊細なガラス細工を扱うかのように、スローモーションのように・・・押し引きされるたびに動く則子のわずかな背中の動きを確かめるようにしながら、北川は腰を動かした。
そんな緩やかな営みは、情熱のまま愛し合った今までと違い新鮮な悦びをふたりに与えた。
北川をいとしいと感じる感覚が徐々に全身に広がるに従い、則子はベッドにうつ伏せのまま両手をぐっと伸ばし、
そしてその先にあるシーツの端を硬く握り締めた。
やがて、まるで新しい感性の選択肢を見つけたかのようにふたりは喘ぎあい、そして則子が歓喜の声を上げるのを見届けると、
北川は一気に腰を振るい、万感の思いで射精した。
再び部屋に静寂が訪れた。
則子が息を整えながら、うつ伏せの状態から起き上がった。
スラックスを上げながら、北川が言った。
「最後の思い出になりました」
「やだわ・・」
そう言って則子は、膝あたりまで下ろされていたパンティーとストッキングをせわしく上のほうまで引き上げると、
汚れないよう自分でスカートをたくし上げたまま、バスルームに入っていった。
北川はチラッと時計を見た。ちょうど12時になるところだった。
則子がバスルームから出てきた。
何ごとも無かったかのように、美しい装いになっている。
そうなれるように気をつけて営みを行ったから当然ではあるが、なんだか先ほどよりも則子はおしとやかに見えた。
「行きましょうか」
自分と則子の両方のバッグを持って、北川が則子に声をかけた。
「待って・・」
則子はそう言って、出ようとしていた北川の背に手を触れた。
そして、小声でこう言った
「最後は、少し、ロマンティックな想いにさせて・・」
北川はすぐに則子の意図を汲んだ。
バッグを持つ手を離し、則子を抱き寄せた。
そして、そっと、唇を重ねた。
結局、全然勉強なんかはかどらなかった。何のために合宿に行ったのかこれでは分からなかった。
着替えをつめたバッグが重く感じられた。
(バッカヤロー!お母さんのバッカヤロー・・・)
438 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/25(水) 09:13:40 ID:RwijPHfY
作者さん
いやあ、凄いですね!
これは本当に素晴らしいです。
陳腐で申し訳ないのですが、これしか言葉が見つかりません。
原作を素材にして、かくも豊かにイマジネーションの翼を広げられる
とは・・・
確かにあえて「性描写」を描かないのも一つの手でしょうが、ここまで
緻密に描かれると、それはそれで美しいと感じてしまいます。
小説の醍醐味というのは、読み手の頭の中で、いかにそのシーンが思い浮かべられ
るか?だと思います。
本作には、それがちゃんとありますね。
私の頭の中では、再び「八千草さん」が演じるシーンが繰り返されていました
よ!
それにしても繁君・・・久しぶりの登場ですね。
さてさて、お母さんと、どう対面するのか?
また、則子さんは、どうするのか?
先が楽しみです。
439 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/25(水) 11:10:18 ID:45r3VOOr
438さん、有難うございます。書いていていつも心がけていて、そして心配していることは
実際に八千草さんが演技している、あの岸辺の田島則子がそのままスライドしている、
そういったイメージが読んでいただいている方に伝わるかなぁ・・という点です。前にも書きましたが、原作
・シナリオ・テレビのイメージの3つをごちゃごちゃにしてそこに自分のイメージを重ねて
書いていますので、どんな風に伝わっているかなぁ、と思っておりますが、ありがたいことに
なんとか八千草さんのイメージをお伝えできているようで大変うれしいです。
どうか今後ともよろしくお願い致します。
440 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/25(水) 15:39:13 ID:RwijPHfY
作者さん
今日、図書館に行って、中日新聞(関東では東京新聞)のバックナンバーを調べて
きましたところ、「岸辺のアルバム」の小説は、昭和51年の11月から連載が始まって
おります。
小説の方の挿絵も、結構いい具合でした。
また、ドラマの方も、テレビ欄に、毎週のように「岸辺」の写真が載っていまして、
北川と則子がはじめてラブホに行く時には、ホテル内で二人が抱き合っている場面の
写真が、しっかり載っていました。
ラブホテルと八千草さん・・・それだけで何だか「萌え」てしまいました。
それから「季節が変わる日」ですが、こちらは昭和57年11月4日放送で、
八千草さんと岡田真澄氏が抱き合っている場面が、広告として載っていました。
(披露できないのが残念です)
御作で、しっかりイメージは伝わっていますよ!後、これに「田園に・・・」やら
「ガス人間」の妖艶なイメージをプラスすると、益々倍加します(w
何しろ、想像力はたくましいもので・・・
毎日、こちらを読むのを楽しみにしております。
今後とも続けてくださいませ。
441 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/25(水) 15:51:38 ID:45r3VOOr
442 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/25(水) 16:00:28 ID:45r3VOOr
それから、434さんのおっしゃるとおり、繁は2泊の予定でしたね。自分でレスを読み返して
気づきました。ということは則子と北川は後もう1泊できたはずなのですが、すっかり忘れていて
すべて1泊にしてしまいました。いけませんね・・・
443 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/25(水) 20:20:39 ID:45r3VOOr
家に帰って、もし母がいなかったら、もしどこかに泊りがけで出かけていてそこから戻っていなかったら、そのまま家を
飛び出してやろうか・・。
繁はそう思いながら、多摩川の土手を歩いた。駅から家まで土手伝いにだいたい10分くらい歩くが、その日はとても長く感じた。
それでも歩き続ければ当然家に近くまでやってくる。
そして、角を曲がって家の前の道に来た。
その時、繁は意外な光景を目にした。
母の姿がそこにあったのだ。門の外に立っていて、隣の西村さんと立ち話をしていた。
白いブラウスと紺色のスカートを着ていた。
いつも通り、髪をアップにしている。見慣れた格好だった。まるで何事もなかったかのような・・。
ほっとした。
とにかくほっとしたと言うのが繁の正直な感想であった。
そして、則子に声もかけられず立ち尽くしていた。
西村さんが繁に気がついて、あら、と声をかけた後、則子が振り向いて、ようやく繁を認めた。
「あら、お帰りなさい」則子が笑顔で言う。
「・・ただいま・・。あっ・・西村さんこんにちは・・」
「こんにちは、おかえりなさい」
そして則子は西村さんと「それじゃあ・・ごめんください」と会釈すると、繁に向き直った。
「お帰りなさい。疲れたでしょ」
「うん・・、少しね」
ふたりは並んで家の中へ入った。
「お勉強、どうだった?」
「うん、まぁまぁかな」
スポーツバッグを則子に渡し、スニーカーを脱ぎながら繁は言った。
「夜も遅くまで授業があったんでしょ」
「夜は自修の時間だったよ」
そんなことを話しながら、ふたりは居間に入った。
そして繁は、少しためらった後、思い切ってこういった。
「昨日、どこか出かけてた?」
「ええ・・、お友達の家に行ったわ」
すぐに則子はそう答えてきた。
意外だった。母が狼狽したらどうしようかと思っていたが、そんなそぶりは見えなかった。
444 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/25(水) 20:35:38 ID:RwijPHfY
作者さん
いやあ!見事という他ありません。
繁君に対するフォロー、ちゃんと出来てるじゃないですか!
これが渡辺淳一氏の作風との違いですね。
渡辺氏は徹底的に「愛欲」だけですけど、御作は、「愛欲」と「平凡な生活」
のバランスがちゃんととれているところがいいと思います。
実は私、則子ファンであると同時に繁ファンでもあるんです。
それにしても「女」から「母親」への見事な変身・・・則子さんもやりますなぁ。
私の今の楽しみは、ここの掲示板を毎日読むことです。
作者さんの作品に比べれば・・・私の作品はまだまだですね。
応援させて頂きますので、今後ともがんばってください。
445 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/27(金) 00:02:31 ID:yKxH8C4K
444さん、ありがとうございます。本当に励みになります。ちなみに444さんの
作品はどの掲示板にありますか?他の皆様も読んでみたいと思われているでしょうから
ぜひご紹介を!
446 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/27(金) 00:04:04 ID:NjxKrRmI
後ろめたい様子は感じられなかった。少なくとも繁はそう取った。
「なんだ、そうだったのか。びっくりしたよ。昨日、夜電話をしたら、だれも・・その、お母さんが出なかったからさ」
「やだ、そうだったの。ごめんなさい。家にみんないないのが分かっていたから、つい遅くまで長居してしまったのよ」
そして則子は「そうそう」と言って台所に向かった。
そして、なにか包みを持って戻ってきた。
「何・・?」
繁はそれを受け取って、すぐに包装紙を取り除いた。
ハムの箱だった。箱を開けると、大きなボンレスハムが3つ入っていた。
「すごいじゃん。うまそうだなぁ・・」
「お友達にいただいたのよ。重たかったけど繁ちゃんが好きだと思って、持って来たのよ」
「いま食べていい?」
「もう・・、ちゃんとお夕飯の時焼いてあげるから・・」
則子は笑いながら、ハムをテーブルの上に置いた。
繁はすっかり安堵して、こう言った。
「俺ってバカだよなぁ・・」
「なあに?」
「昨日電話にお母さんが出なかったから、なんか、お母さんがいなくたったような気がしちゃってさ」
本当は、男とどこかへ泊りがけで出かけていったと思って・・、と言いたかったが、そこは当然オブラートに包んだ。
「あら、へんな心配かけちゃったかしら。お出かけすることを宿舎にまで電話しようかと思ったけど、したほうがよかった?」
「よくなかったよ、そんなの・・。恥ずかしいよ」
そう言って、繁はおもむろにテレビをつけた。
母が部屋を出るとき、やさしそうな自然な笑みを浮かべているような気配を繁は背中で感じた。
(オレ、どうかしてたかなぁ・・)
テレビでは、横綱琴桜の引退記者会見が行われていたが、繁はその映像はたいして頭に入らなかった。母のことだけが頭にあった。
(少し心配しすぎたかな。男と会って、その帰りにあんな野暮ったくて重たいハムを持ってくるようなこと、あり得ないもんな・・)
繁はしばらくテレビを眺めていたが、記者会見が終わると、十両のつまらない取り組み画面に切り替わった。若三杉という新鋭が
いるらしいが相撲には興味はなかった。チャンネルを回してみたが、どこも再放送ばかりでつまらない。最後に藤城ナントカの影絵の
天気予報を途中まで見て、テレビを消した。
447 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/27(金) 03:10:49 ID:uWal92gJ
作者さん、いい展開ですね。ちゃんと繁君にフォローが出来ていて、性描写はなく
ても、これはこれでほのぼのとしていて、作品を引き立てる一つの要素になっている
ように思います。
ところで、私の作品ですが、前にもかきましたが、現在ちょっと煮詰まってしまって
いて、先に進んでおりません。
試しに掲示板のアドレスを記しておきますが、ひょっとしてこちらからアクセスできない
かもしれませんので、その節はご容赦下さいませ。
http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/zurineta/1124710471/150 です。
こちらで「八千草マニア」というHNで書かせていただいております。
(あまり出来がよくありませんので、その点はご容赦のほどを)
作者さんの作品は、きちんと時代感覚が織り込まれているところがいいですね。
今後も期待しておりますので。
448 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/27(金) 23:55:00 ID:NjxKrRmI
449 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/28(土) 10:11:31 ID:JqAU7NGk
作者さん
拙作に関してご評価頂ければ、これほど嬉しい事はございません。
煮詰まってしまって、ちょっと先をどうしていいのか分からない状態が
続いておりますが、何とか続けて行こうと思っています。
私の作品は、原作とはかなり違った内容になっています。
登場人物の性格、その他につきましても・・・
私は時代感覚を取り入れるのが下手で、上手く行きません。
その点は作者さんの力量に遠く及びませんが、私なりの「岸辺」の世界を展開
してゆこうと思っています。
昨日、古書のネット通販で「季節が変わる日」のシナリオ本を手に入れました。
少しですが、エロチックな描写もあります。
ラブホテルのシーンなんかもあるみたいで(山田さんは、よほど八千草さんを
ラブホに入れるのが好きなんですね・・・苦笑)
腰巻きには、テレビ放送時の宣伝がついていまして、岡田氏に立ったまま抱かれて
うっとりした表情をしている八千草さんが映っていました。
(また一つ、嫉妬の種が・・・)
今後とも期待しておりますので、よろしくお願い致します。
あの、横山和子さんのその後も気になるのですが・・・
よろしくお願いします。
451 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/29(日) 00:46:12 ID:gOP1ZE4e
449 さん、有難うございます。実は白状いたしますと、私個人はすでに以前から八千草マニアさんの
作品を読ませていただいておりました!あらためて評価させていただきますと・・
とにかく記述がダイナミックで素晴らしい!セリフや描写の要所要所が心に突き刺さるように刺激的で
す。展開がスピーディーで様々な場面が楽しめます!この作品を読んでいると自分のアップペースの
遅さや描写の平凡さが顕著になってしまいますね!なかでも一番好きなのは・・やはり則子が最初に北川に
抱かれるときの「灯りを消して・・」のセリフですね。もうぐっと来ました
!今後も期待しております。他の皆様のご感想も聞いてみたいですね。
それから、「季節が変わる日」のシナリオと腰巻とはすごいですね!是非読んでみたいです。腰巻の八千草さんは
服は着ているのでしょうか??もし機会がありましたら詳細教えてください!
450さん、大変申し訳ございません。実は横山和子(山内住江さん)の次の登場シーンは構想にしっかりと入っているのですが
そのシーンまでストーリーが進んでおりませんで・・本当に申し訳ございません。しかし必ず登場しますので、もうしばらく
お付き合いいただければと思います。ああ時間が欲しい・・・
452 :
八千草マニア:2006/01/29(日) 00:56:36 ID:V6MXW49M
作者さん
拙作に対して、多大な評価を頂き、感激の至りでございます。何しろ私はいい加減な
男なので、構想をきちんと立てずに書いていますので、内容に矛盾があったりして、
後で気付いて、汗をかいている次第であります。
「腰巻」というのは、ご存知でしょうが、出版用語で、初版本などについている
宣伝用の「帯」のことです(笑)
印刷されている写真は、きちっとしたスーツ姿です。
私はこのドラマを一度見たきりなのですが、問題の場面では、八千草さんは白い
シーツを胸まで持ち上げて隠していますが、肩はむきだしですし、胸も谷間の上の
部分が、ぎりぎり見える状態で、明かに「セミヌード」といってもよかったと思います。
私の知る限り、八千草さんは「源氏物語」でも、セミヌードになっておられます。
「藤壺の女御」の役で、沢田研二扮する光源氏と契ってしまう場面で、やはり胸まで
布で隠し・・・というシーンがありました。
今後も、何とか作品を続けて行きたいと思いますので、お互いに頑張りましょう。
453 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/29(日) 01:01:38 ID:gOP1ZE4e
(そうだよな。いくら家に誰もいなくなるからといって、これ幸いと男と出かけるなんて、いくらなんでもありえないよな・・)
先ほど、玄関の前で話をしていた母は、いつもの、みなれた母の姿であった。なにか秘密を持っているような様子は伺えなかった。
(そうだよ!きっとそうだよ!)
心配していた自分がなんだか急におかしくなり、母と会話がしたくなった。
風呂場のほうで音がしている。母は風呂掃除を始めたらしい。
なんとはなしに、風呂場を覗いてみた。
母は、繁が入ってきたことには全く気づかず、しゃがんでむこう向きで、一心不乱に床のタイルにたわしをかけている。
その横で、ホースから水がちょろちょろと流れていた。
そして繁は、母が洗う位置を変えた時、たくし上げれていたスカートから出た水に濡れた素足を偶然目にした。
ドキッとした。
この前、ミニスカート姿を見た時にもドキリとしたが、それとは違う感覚だった。平凡な何気ない日常の、そういう母のなまめかしさを
見たことにドキッとしたのだ。
繁はその場を動こうとせず、母の姿をずっと眼で追っていた。
床の洗剤を洗い流すため、母は中腰でたって、蛇口をひねろうとした。
その時、繁のほうに突き出されたヒップに、またドキッとした。 Image
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/3197.jpg ヒップの形とか大きさとか、母のそんなもに全く関心はなかったし、正直言うと子供の頃は一緒に風呂に入っていたから
母の裸だって記憶にある。でも今は、そんなことは関係なく、母のその一瞬のなまめかしいポーズに
心を奪われたのだ。
床を洗い流している間、繁は母のスカートから出ているふくらはぎの動きを無意識のうちに追っていた。
やがて母は蛇口の水を止めた。
「あら、どうしたの?」
母は、則子はようやく繁の存在に気づいた。
繁はあわてて則子から視線をそらした。
「いや・・、手伝おうかと思ってさ・・」
「まあ、めずらしいこと」 Image
ttp://up.kabubu.net/cgi/img2/3198.jpg 「だってさ。テレビがつまらなくてさ・・」
「大丈夫よ、もう終わったから。」
454 :
八千草マニア:2006/01/29(日) 04:28:22 ID:V6MXW49M
作者さん
続きありがとうございます。
いいですね。
普段の生活の何気ない母の仕草に、これまで感じた事のない「女の色気」を
感じてしまう・・・確かに直接的な性描写もいいのですが、息子が母親を
こういう目で見てしまうというのも、何だかドキドキしてきます。
私にはなかなか出来ないように思います。
勉強になりますし、素晴らしいです。
続きを期待しておりますので・・・
時に、原作の繁君は、大学受験に失敗してしまうのですが、本作での
彼はどうなるのでしょう?
455 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/29(日) 23:36:16 ID:gOP1ZE4e
八千草マニアさん、有難うございます。ちょっとネタばれですが、繁は幸いにも
受験には失敗しない模様です^^;どうか今後もよろしくお願いいたします。
456 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/29(日) 23:49:45 ID:gOP1ZE4e
そう言って則子は場バスマットで足を拭いて浴室から出てきた。
「疲れているでしょ。お部屋で休んでいなさい」
「ああ・・」
繁はタオルで手を拭く則子の横でそうつぶやいた。
2階の自分の部屋に入り、繁はベッドに仰向けになった。
最近、自分はおかしな考えばかりしていると繁は思った。
確かに、母の浮気は自分にとって衝撃であった。まだ続いているならば、何とかしなければならないと思っている。
今回はそういうことはなかったとしても、いずれはまたあの男と会うのかもしれない。
それはそうだが、どうして自分が、母があの男と抱き合っている姿を連想したり、母の容姿に気を惹かれたりするんだろうか・・。
(わからない・・、わからないな・・・!)
繁は寝転んだままコンポに手を伸ばし、おもむろにFMのスイッチを入れた。
今、一番はやっている、CARPENTERSのYesterday Once Moreがゆるやかに流れてきた。
合宿の授業の疲れか、もしくは母の様子に安堵したのか・・ぼんやりとそれを聞きながら、知らないうちに繁は眠りに落ちていった。
もうひとつの岸辺
配役 田島則子・・八千草薫 北川 徹・・竹脇無我 田島 繁・・国広富之 田島謙作・・杉浦直樹
河野先生・・村野武範 沖田信彦・・新井康弘 沖田恵美・・秋山しのぶ(ウーマンブティック誌専属モデル)
横山和子・・山内住江(ミセス誌専属モデル)
母を尾行することは2度目なのに前回と違って手馴れた感じのする自分が不思議だと繁は思った。
もっとも、まだ母の事実がはっきりしなかった前回と違って、もう母がどこへ何をしにいくのかがはっきりしているから、そういう気持ちになるのであろう。
母がまた渋谷駅横の歩道橋を歩いていく。この前よりずっと短い、クリーム色の薄いデニムの服地のミニスカートをはいている。
テキサスのおてんば娘がはくようなそのミニスカートでヒップを揺らしながら、母は歩いていく。
その母の後姿に追いつきそうになると、また母は離れていった。ずっとその繰り返しであった。
やがて母は、あのホテル・・アルハンブラに入っていった。
ホテルの屋上の四隅にある四角い大きな煙突から煙がもくもくと出ていて、それが空を一面に真っ黒にしていた。
457 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/29(日) 23:51:55 ID:gOP1ZE4e
また、前回と同じように喫茶店に入って、張り込んだ。
今日は、何時間待つことになるのだろう・・。
覚悟は出来ているが、やはり長時間待つのはつらい。
一杯目のコーヒーをゆっくりとすする。
ぼーっと、ホテルの外壁を眺めて、時間を過ごす。
このホテルの部屋の中で、母はあの男に、何もかもを許しているんだろうか・・。
男の言うなりに考えられないポーズをしたり、言葉を交わしたりしているのだろうか・・。
こういうホテルの部屋には、中にいる者を刺激する仕掛け・・ミラーとか電動カーテンとか・・そういうものがあることは繁は知ってい
る。まさか母がそういうものを使ったりするんだろうか・・。まったく、ホテルの中とは想像すら出来ない男と女の秘密の場所といえる。
まだまだだ・・。
意外な事が起こったのはそのときだった。
母が、出てきたのだ。ホテルのドアから。
あの男・・この前と同じあのキザったらしい男と肩を組んでいる。ふたり同時に出てきたのだ。
繁は空になったコーヒーカップをくしゃくしゃに丸めてポケットへしまいこむと、横の窓ガラスを開けて、路地へ飛び出した。
そして、ふたりの後を追った。
ふたりはぴたりと肩を組んだまま歩いている。何を言っているのか判別できなかったが、お互いになにか楽しそうに話していることは分かった。
やがて、あの信号のある交差点に出ると、二人は肩を組み合ったままはばからずキスをし始めた。
そばに繁がいるのに、なりふり構わずにキスを続けていた。
はっと気がつくと、母の姿が無かった。男一人で歩いていく。
繁はその男の、グレーのスーツの背を追った。
公園の横を歩く男。そして「そいつ」は何台か公園の入り口に横付けされているタクシーの列に向かおうとした。
(まずい!)と繁は思った。
タクシーに乗られては男の素性をつかめない。
繁は思わず小走りで男に向かった。
「ちょっと待ってくれ!」
「えっ!?」
男は呼び止められて、いぶかしげに少しだけ後ろを振り向いた。
「呼んだのは、きみか?」
背を向けたままともに繁に振り向こうともせずに男は繁にそういった。
458 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/30(月) 01:07:46 ID:wY85FwLK
向けたままともに→向けたまま、まともに ですた・・・
459 :
八千草マニア:2006/01/30(月) 02:45:54 ID:r6VwPR/j
作者さん
とうとう、繁君と、北川氏の対決ですね。
いやあ、この先、どうなるのか?
本当に、気になるところです。
暴力沙汰にならないように、期待はしてますが・・・(苦笑)
それから、オリジナルキャラクター・・・・信彦のお母さん(?)が
「秋山しのぶ」さんですか?
これまた、楽しみですね。
秋山さんも、私が好きな女性です。
則子と北川・・・二人の関係が、とうとうばれてしまうんでしょうか?
460 :
八千草マニア:2006/01/30(月) 02:52:45 ID:r6VwPR/j
↑のつづきです。
それと、今一つ気になるのは・・・
謙作氏の登場・・・と言う事は、まさか「離婚」?あるいは「別居」?
なんて展開があるんでしょうか?
ドキドキしてきましたね。
続きに、期待しています。
461 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/30(月) 23:01:25 ID:wY85FwLK
「そうです!」
男はいぶかしげに横目で繁を見ている。
「ぼく、田島です」
「え?」
「田島です」
ようやく状況が飲み込めたのか、その男は少し目を見開いた。
「息子さんか?」
「そうです!」
男は周囲を見渡して、言った。
「歩きながら、話をしよう・・」
「ええ!」
繁がそう言うと男はまた前の方を向き、歩き始めた。
話をする気があるのか。物分りがいいじゃないか。繁は男の背を凝視したままそう思った。
「どういうことかな・・」
「あなたにそれは聞きたい」
「ぼくと。君のお母さんのことだね」
「そうです!」
男は繁の方を見ないで、少し間をおいて言った。
「ぼくと君のお母さんとは、お互いの家庭を傷つけないで、深入りしないで付き合おうと約束したんだ」
「付き合う?」
繁は、そんなきれい事では済まないんだぞという口調で言った。
「母を汚しておいて、傷つけていないと、言えないじゃないですか!」
「汚した?それは、違うんじゃないかな」
「母と、何回もホテルに入っている。まだうちの家族は知らないけれど、ぼくは全部知っているんだ!」
「それは・・、きみのお母さんも合意しての上だ」
「ぼくにとっては汚したも同じだ!」
男は黙っている。
繁は立て続けに言った。
「母に、もう逢わないで下さい!」
男は答えない。
462 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/30(月) 23:02:03 ID:wY85FwLK
「逢わないでほしいなあ!さもないと!」
しかし男は、冷静にさえぎるように言った。
「逢うよ」
「えっ!」
「息子さんの君には悪いが、これからもお母さんと逢わないわけにはいかない。」
「どうしてですか!」
一呼吸置いて、男は言った。
「きみのお母さんは、妊娠しているんだ・・」
「!・・・」
繁は、一瞬、訳がわからなくなった。
頭の中が混乱している。
<妊娠!? 妊娠!? 妊娠!?>
母は女だ。
母は姉と自分を生んだ。
だから妊娠なんて決しておかしい話じゃない。
でも、それがいま、こいつの・・母の浮気相手からそのことを告げられている・・。
そんな繁の混乱に楔を打つかのように、男は言った。
「君くらいの年令なら分かる筈だ・・、そう、ぼくと、きみのお母さんの子供だ・・。」
体裁とか立場とか、とにかくそんな理屈を抜きにして、繁がその時こう感じた。
(負けた)
そう感じた。
誰と勝負をしたのかとか、何に対して敗北したのか、そんなことはわからないが、とにかく『負けた』と思った。
「今日、お母さんとは、そのことで話をしてきたんだ。お母さんもきちんと君に話をすると言っていた。」
男淡々と、繁に話した。
「君のお母さんは責任感の強いしっかりした人だ。いろいろな困難が待ち受けているにもかかわらず、もう自分の考えを
しっかりと持っている。君も、彼女のために協力してやってほしい。」
この男と母は出合ってどれくらいになるのであろうか。姉の話から考えて、まだ半年と経っていないような気がする。
それが、十数年も母と一緒にいる息子である自分に、まるで一番母のことを知っているかのようなことを言っているのはどういうことなのだ・・。
腹立たしい。
ナンセンスだ。
463 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/30(月) 23:03:25 ID:wY85FwLK
でも、相手の方が今の母のことを数段知っているのがまぎれもない事実なのだ。
「・・わかってくれたかな・・」
はっとして、繁は口を開いた。
「わかるって、わかるってどういうことですか!ぼくは、わからないな、全然、わからないな!」
繁は半ばやけになってそういった。
「いま、君にぼくから言えることはそれくらいしかない。」
「わからない!いや、わかるもんか!」
そう言って、繁は男に背を向けて、小走りに来た道を戻った。
家に戻った。
「ただいま」
いつものように繁は家に入った。
母は家にいた。しかし、繁が戻ってきたことはわかるはずなのに、いつものように「おかえりなさい」と言うわけでもなく。出迎えるわけでもなかった。
母は和室で、正座をして洗濯物をたたんでいた。
背を向けたままだった。
しばらく、ふたりとも口をきかなかった。
やがて、則子が口を開いた。
「・・安島さんに、会ったんですってね・・」
「あの人、安島って言うのかい・・」
「さっき、電話があったわ・・あなたと会ったって・・」
あいかわらず則子は繁に背を向けたまま、顔をすこし上げて先ほどよりはっきりした口調で言った。
「こっそりお母さんの後をつけるなんて、卑怯じゃない?」
「お母さんが、浮気なんかするからだよ!」
でも、今はそんなことが重要なことではない。繁は高ぶる気持ちを何とか静めて続けた。
「子供がいるって聞いた・・」
則子の、洗濯物をたたむ手が一瞬止まった。
「本当なの?」
その問いかけに、どこか一点を見つめながら則子が言った。
「・・本当よ・・・」
「その、安島ってヤツの、子供なのかい・・」
464 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/30(月) 23:21:03 ID:wY85FwLK
少し間をおいて、則子は答えた。
「そう・・」
「そう、って・・」
狼狽する繁をよそに、則子は強い口調で言った。
「わたしはこの子を、生むつもりよ。何があっても生むつもり・・」
その言葉に、あわてるように繁は則子の背に近づいて、そして言った。
「だって!だってさ!アイツの子供なんだろ!お父さんにばれたらどうするんだよ!」
諭すような、哀願するような繁の口調だった。
「お母さん、家にいられなくなるかもしれないんだぜ!」
「勘違いしないで頂戴!」
「お母さん・・」
「もう、この家にいるつもりは無いわ」
則子の口調は、明らかにしっかりとした意思を感じ取れるものであった。繁は、母が、なんだか別な女性に見えた。
「お父さんにはすべてを話すつもりよ。サークルの合宿から律子が帰ったら、律子にも話すつもり。あなたが安島さんと
会っていなかったら、あなたにも話すつもりだった」
「ぼくは、どうすればいいんだよ・・」
「あなたとは・・、もう、いままでのお母さんのようには接してあげられなくなるわ・・・」
「ぼくより、その安島って言う男と、おなかの子を取るって言うことなんだね。」
「・・そうよ・・・」
繁は絶句して、則子との会話を続けられなくなった。
ふたりの間に、沈黙が流れる。
「・・わたしとあなたは、もう親子ではいられなくなるの・・。」
則子が話す。冷静な、すべてを悟りきったような口調であった。
「繁さん、わたし、あなたのことがずっと好きだったわ。誰よりも好きだった。安島さんと逢っている時も、いつもあなたのことが頭
に浮かんで、彼と生活することなんか絶対考えなかった。でも、今は事情が変わったの。」
そして、訴えかけるような強い口調で言った。
「誰よりもこのおなかの子が好き!そして、わたしと新しい暮らしを始めようと言ってくれた安島さんが好き!」
圧倒されたように、繁は母を見つめたまま何も言い出せなかった。
「好きなものはしょうがないの!理由なんて無いわ!あなたはわたしの子供かもしれないけれど、でも今はあなたよりずっと好きな人がいるの!」
「お母さん!」
465 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/30(月) 23:22:01 ID:wY85FwLK
「もう、お母さんじゃないの。昨日までのお母さんじゃないの・・もう、そう思ってちょうだい・・」
「・・嫌だよそんなの・・・」
「・・さようなら、繁さん・・・」
母が、手の届かないところに行ってしまうという予感がした。
「いやだよ!そんなのいやだよ!」
しかし、背を向けたままの母の出が、どんどん向こうへ遠ざかっていく。
「待ってくれよ!行かないでよお母さん!」
あたりが真っ暗になって、その闇の中に母の姿がどんどん小さくなって消えていく。
「いやだよ!絶対にいやだよ!」
繁ははばからず大声を出してそう言った。
「行かないでよ!」
「繁ちゃん?」
「いやだよ!いやだよ!」
「繁ちゃん、どうしたの?」
「え・・・」
目の前に母がいた。
繁を不思議そうに覗き込んでいる。
自分はベッドで仰向けになっていた。
横でコンポがFMを流し続けている。
「お夕飯が出来たから起こしに来て見たら、うなされてて・・」
心配そうな母の顔がそこにあった。
それは、いつものやさしい母の顔であった。当然、背を向けたり、『繁さん』などとは言いはしない。
「夢・・?」
繁はようやく事態を理解した。
(そうだったのか・・、さっきラジオを聞きながら、眠り込んでしまっていたのか・・)
「お勉強で疲れているんでしょ・・。お夕飯はもう少し後にする?」
しかし繁は、上半身をベッドから起こすと、覚醒してきたのか急に空腹を覚え始めた。
「食べるよ、すぐ食べる」
その繁の様子に則子は安堵したように言った。
「それじゃ・・、すぐに支度をするわね」
則子は1階へ下りていった。
466 :
八千草マニア:2006/01/31(火) 10:16:39 ID:nQ5rGaIn
作者さん
ほっとしました。
読み始めた時には、「どうなることやら?!」と思ったものですが、夢でよかった
です。
こういう場合「夢オチ」というのは、ともすると陳腐になりがちですが、御作は
それがうまいこと繁君の「苦悩」を象徴する場面になっていて、引き立って感じ
ました。
さて、これから先、どうなるんでしょう?
楽しみにしております。
467 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/01(水) 18:06:18 ID:IkFsYEzG
八千草マニアさん、有難うございます。実はこの夢の中のくだりは、当初のラフ原稿(?)の段階では
繁がはじめて尾行して、そのすぐ後に現実として続けようとしていたモノでした。そして、ストーリー
的には妊娠した則子が家を出て終了、という構想のものでした。
それが、アップするたびに皆様から大変うれしい、大変温かいご感想やメッセージをいただき、
ずっとアップが可能なように、極力皆様のご要望にお応えできるように構想を大幅に変更することに致しました。当然、現段階では
終わらせる構想がないので、このラフ原稿が宙に浮いていた状態にあり、それなら夢オチでどこかで挿入してみようと
思って、煙突やコーヒーカップや安島(北川という名など当然知らない繁の妄想)を織り交ぜて夢らしくし、
今回のアップとなりました。いかがでしたでしょうか・・。則子に北川の子をはらませることは
やってみたかったのですが、しかしそうなると、絶対に中絶などはさせたくなかったので、どうしても話を終焉にもって
行かざるを得なくなり、なんとか夢オチでやってみた次第です。ただ、またいつか本当に妊娠させてみたいとは
思っていますが、まだその構想はなく、当面則子は北川にしっかり中出しされても大丈夫な模様です^^;
またどうかご感想いただければ幸いです。
468 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/01(水) 18:20:26 ID:IkFsYEzG
部屋を出て行ったその母の背を追う必要は、もう繁には無かった。
(お母さんの・・肩を組んでのキスも、妊娠も、全部夢だったのか・・)
繁は、ふっと息をつくと、コンポのスイッチを切り、ベッドを下りた。
(それにしても、変な夢だったな・・)
繁は母の待つ1階へ下りていった。
もうひとつの岸辺
配役追加 生徒の母親らしき女性・・須田敏恵
夕飯は当然則子と繁のふたりだけであった。
繁は厚切りにしてもらったハムステーキをぱくついている。
「落ち着いて食べるのよ」
「うん・・」
則子は自分の箸をやすめると、繁を見て、そして笑った。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up22357.jpg 「なんかおかしい?」
繁が箸を運びながら則子に言った。
「なんだか、繁ちゃんとこうしてゆっくりお夕飯を食べるのが久しぶりだったから、繁ちゃんの食べ方を見ておかしくなってしまったの」
「だってさ、合宿の宿舎の飯ってすごくまずいんだぜ」
「そうだったの・・」
そう言って則子はまた箸を動かした。
「繁ちゃん・・」
「なんだい・」
「また、お時間があったら、一緒にお買い物行きましょうね・・」
やさしい口調で、則子がそういった。
「そうだね・・行こうよ。気分転換にもなるし」
あんな夢を見た後であった。
正直、この年で母と出かけるのは少し恥ずかしい気持ちもあるが、それで母がもう一度家庭を見直して、あの男と手が切れるようなことになれば
いいと思った。
それに・・、今のところ、あのあと母が再びあの男と会ったという証をつかんではいない。
469 :
八千草マニア:2006/02/01(水) 18:43:34 ID:Oa/H/58H
作者さん
お忙しいところ、アップありがとうございます。
苦心しておられたのですね。
私としては、則子が家を出る・・・というのは、ちょっとなあ・・・と
思ってしまいます(勝手なことを申し上げてすみません)
浮気は続けて欲しいとは思いますが、それでは「家庭は壊さない」という
当初の則子と北川のルールに反する(?)ような気がしましたので・・・
確かに、原作のテーマの一つは「家庭崩壊」にあるとは承知してますけど、
そうなると北川の家庭も壊れるわけで・・・
それから、則子さんの妊娠・・・ちょっとみてみたい気もしますが、ドキドキ
しますね。
あ、そうそう、昨日レンタル店で、ちょっと前にNHKで放送していた
「名探偵ポワロとマープル」というアニメのDVDと、「へそくり社長」
という東宝の「社長シリーズ」の一つを借りてきました。
アニメの方は、八千草さんがミス・マープルの声を担当しておられ、上品で
なかなかよかったです。
「へそくり・・・」は1956年の映画で、八千草さんは、まだ26歳位の頃で
若々しく、良家の令嬢を演じておられます。可憐で、美しかったですよ。
470 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/02(木) 23:04:59 ID:zQSfyQ6I
八千草マニアさん有難うございます。当初は完全に崩壊のシナリオでしたね。
でも皆様のおかげで、今は全く違う方向に進めているつもりです。アップペースが
進みませんが、今度は則子や繁やオリジナルキャラにああさせようこうさせようと
考えながら本当に楽しく書かせてもらっています。
今後もどうかよろしくお願いします。
471 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/02(木) 23:06:11 ID:zQSfyQ6I
深みにはまらないで欲しいと思っていた。
重要なのはこれからお母さんがあんな・・連れ込みに入るようなことがないような環境が必要だと思った。
(これから無ければいいんだ。これから・・)
「そうそう・・」
則子が急に口を開いた。
「あさっては学校の3者面談ではなかったかしら?」
「そっか、すっかり忘れていたよ・・。でも別に用意することもないし」
「ううん・・、お母さんはそうは行かないわよ・・、美容院行ったりしなくてはいけないし」
繁は笑った。
「何で学校の面談のために美容院なんか行くんだよ」
「だって・・、先生とお会いする機会なんてめったにないし、だらしない母親だと思われたくないでしょう」
「でも河野先生はそんなこと無頓着だと思うけどな・・」
繁はそう言って味噌汁の椀を吸い上げた。
「お母さん、まだかなぁ・・」
玄関でスニーカーをすでにはいている繁は、鏡台の前に座っている則子に声をかけた。
「ごめんなさい。もうすこしでお化粧終わるから」
そして、鏡台から立ち上がると、則子は鏡でもう一度着物の共衿を見た。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up22490.jpg 「だいたいこの暑いなか、着物を着るなんてどうかしてるよ」
「お母さんは慣れているから平気よ」
「でもこっちが暑苦しくなるよ・・」
そのうち、ようやく則子が玄関に出てきた。
藍色と言うのか、そんな色の夏向きの薄手の着物を着ていた。
「忍火がすりという着物なのよ。そんなに暑苦しく感じないでしょ」
「別に、どうでもいいけど・・」
そんなやり取りをしながら、ふたりは高校へと赴いていった。
472 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/02(木) 23:06:53 ID:zQSfyQ6I
学生時代、ラガーマンだったという河野先生は、見るからに熱血漢で、生徒の指導も熱心だったため、生徒や保護者双方から
信頼が厚かった。
河野先生と、繁、そして則子は以前の模擬試験や学校の成績表などを参照しながら、志望校の相談をした。
お世辞にも成績が良いとはいえない繁に、あまり受験校の選択肢は無い。
それでも繁はどこか法学部の大学がいいと言う。
「どうして、法科がいいんだい」
「ぼく、数学が大の苦手だし、将来就職のことも考えると、法科がいいかなって、根拠はないんですけど」
「でも、先生・・法科って難しいんでしょ・・」と則子。
「ええ、首都圏の伝統校はもともと法学を主に始まった学校が多いですからねぇ」
さらに河野先生が言った。
「経済や経営はどうだ?」
「なんか、がめついイメージがして、いやだなぁ」
「まぁ、イメージだなんて。ねえ先生・・」
則子のその言葉に河野先生は、
「まあ、確かにそうですが・・やはり決めるのは本人ですからねぇ。田島がそういうのなら、挑戦してみてもいいんじゃないかな」
河野先生はそういうと、受験便覧を開き始めた。
「ちょっと思考を変えて、ここなんかはどうだ?おととし開校したばかりの群馬県の大学なんだが、法学部がある。
ここの創立者は東大の法学部長をしていた人だから、今は無名だが、内容の評判は悪くないぞ」
「群馬かあ・・、思いっきり田舎だなぁ!」
「そう捨てたもんじゃないぞ。都心のマンモス大学より、こういう所の方が楽しい学生生活を送れる場合がある。
僕は田島はそういう方が似合っていると思うけどな」
則子が口を開いた。
「どのようなところにあるのですか?」
「場所は高崎駅から30分くらいのところです。もしよければ一度大学を下見に行かれてみてはいかがでしょうか。その雰囲気で
自分に合う・合わないが分かりますから」
河野先生はそう言って繁と則子を見た。
「繁ちゃん、先生のお勧めだから、今度行って見てみる?」
「ぼくは、いいけれど・・」
そういう繁に、河野先生が笑いながら言った。
473 :
八千草マニア:2006/02/03(金) 10:32:12 ID:SuS85Na7
作者さん
続きご苦労様です。
おお!やっと八千草則子さんの「和服姿」が登場しましたね!
今後どうなるか・・・そして、則子さんに夢中の北川氏がどう動くか?
やはり「和服姿」に「萌え」てしまうのでしょうか?
わくわくします。
期待しておりますので・・・
それから、何だか私の要望が強過ぎて、作者さんの思い通りの流れになっていない
ようで、いささか恐縮しております・・・(汗
自由に、楽しく書いて下さって結構ですので・・・
474 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/03(金) 23:52:50 ID:l0o+gaUw
「すぐそばが有名な伊香保の温泉郷だから、たまにはお母さんと親子水入らずで出かけてみたらどうだ?こんな和服の似合う
素敵なお母さんに、たまには親孝行してあげろ」
その河野先生の、和服の似合う・・という言葉にすぐに則子が反応した。
「まあ、いやだわ先生ったら・・」
「だめだよ先生!お袋はすぐ本気にして有頂天になるから」
「先生は絶対うそはつかないぞ」そう河野先生が言って、そしてまた口を開いた。
「まあ、ひとつの事にとらわれず色々と道を調べてみることが重要だな。レッツ・ビギン!」
「先生、またそれかよ・・」
河野と繁は笑った。則子も微笑した。
その時、繁と則子の背後で扉が開く音がした。
突然、河野先生の顔が曇った、というか深刻な表情になった。繁と則子は後ろを振り向かなかったので誰が入ってきたのか分からなかったが、
おそらく入ってきた人を見て、河野先生はそんな顔になったのだろう。ふたりは少し気になった。
「ご、ごめんなさい・・・」
そう言ってその人は再び扉を閉めて、中へは入ってこなかった。
中年の女性の声だった。
そう言えば、もう割り当ての時間もだいぶ過ぎている。
「では、また何かご相談がございましたら、どうぞご連絡ください。」
そう言って、河野先生は広げられていた書類をかき集めた。
則子が会釈した。
「じゃあ、頑張れよ田島!」
「先生、ありがとう!」
「どうもありがとうございました」
則子は深々とお辞儀をすると、繁とともに教室の外へ出た。
廊下には、いま入ってこようとした女性が窓のほうを向いて立っていた。綺麗なツーピースを着ている。誰か生徒の母親であることはすぐに分かるが
じろじろ見るわけには行かないので、そのまま二人は校舎の外に出た。
「群馬の大学、一緒に下見に行ってみる?」
「・・うん、先生が勧めるんだから、まぁ行ってみてもいいけど」
ふたりは校舎の脇の正門までの道を歩いた。
すると、正門方から、ふたり連れの姿が見えた。
「あ!あいつだ」
475 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/03(金) 23:58:38 ID:l0o+gaUw
「あら、本当・・」
繁も則子も、それが誰であるかすぐに分かる。
信彦と、その母親の恵実であった。
「こんにちは、ご無沙汰しています・・」
「こんにちは、いつも繁がお世話になっております・・」
繁と信彦は小学生からの付き合いであるから、ふたりの母親同士も、よく相手を知っている。
会釈している母親ふたりの横で、繁と信彦は「よう・・」と簡単に挨拶を済ませて、少し押し黙った。母親同伴なんていうのが
お互いどうも気恥ずかしかったし、それに・・
「田島さん、素敵なお着物だわ・・」
「沖田さんも、とっても素敵なスーツで・・」
そう、信彦の母親・・沖田恵実・・は、夏らしい白のカジュアルスーツに、まるでおそろいのような、やはり白のハンドバッグを手に取っていた。
上着の合わせ目に濃紺のリボンがあしらえてあって、気品の中に可愛らしさがある・・ Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up22585.jpg 繁は・・恵実のその装いをずっと見ていたかったが、まさか信彦の目の前でそんなことが出来るわけも無く、すぐに慌てて視線を信彦に
もどした。
どうしたわけか、信彦もなにか視線を慌てたように繁に向けた。
そんなふたりをよそに、母親たちは相手の装いを褒めあっている。
ふたりのやり取りを聞きながら、繁と信彦はようやくいつものような表情に戻り、<よく言うよな・・>と視線で会話した。
いくら褒めあっても、どうせ自分のほうが綺麗に装えていると思っているに違いないことが良く分かるからだ。
母親同士も仲が良かったが、おしゃれの事になれば女同士は誰でもライバル同士だ。
繁と信彦はこれまでどれくらい同じ場面に出くわしたか分からなかったが、決まって分かりきっているのは、後で「どっちの方が
綺麗だったか」という質問が来ることであった。
まあ、そんな母親たちを置いておいて、繁と信彦はお互いの話を始めた。
「受けるとこ、きまったのかい?」と信彦。
「大体決まったけど、河野先生は地方にもいい大学があるから考えてみろってさ」
「いいよなお前は。普通の文系の学部志望だから、選択肢がたくさんあって」
「沖田はどうするんだい?やっぱり芸術系をうけるのかい?」繁が言う。
「先生と相談してみて決めるけど、自分では芸術系に決めているよ。」
「国立も受けるのか?」
476 :
八千草マニア:2006/02/04(土) 07:47:50 ID:h5o4DqMq
作者さん
アップありがとうございます。
河野先生・・・・笑ってしまいました(笑)
青春ものの代表ですね。
こういう、何気ない人物の登場にも、「時代の空気」を感じます。
それから、恵美さんこと、「秋山しのぶ」さんの登場・・・
いやあ、いいです。
私は秋山さんファンでもありますので・・・
今後も、期待していますので、よろしくお願いします。
もうそろそろ秋田かな…あんまり複雑にしちゃうとねぇ
478 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/05(日) 00:34:20 ID:/N3Om9Dz
八千草マニアさん、有難うございます。秋山しのぶさんをうまく溶け込めさせるように
努力してみます。それから、配役のところではしのぶさんは「恵美」として
いますが、落ち着いた年齢感を出すために本文では「恵実」としました。
477さん、どうもすみません。なかなか難しいものですね。いろいろ書きたいことが
あるのでこうなってしまいました。どうか気が向いたときにでも読んでください。
479 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/05(日) 00:38:21 ID:/N3Om9Dz
「無理だと思うけど、一応な・・、私立ならばそれこそ地方も含めてあちこち受けてみないとな」
信彦は老舗の材木問屋の親父さん似のいかつい顔立ちのくせをして、絵画が好きな変わった一面を持っていた。いずれは実家を引き継ぐはずなのに
絵画を学べる学校を志望していたのだ。この辺は、気品溢れる母親の影響があるのだろうなと、繁は考えていた。
ほんの一瞬、繁はその信彦の母親のほうにさりげなく視線を向けて、彼女のストッキングに包まれたふくらはぎとスカートの裾の部分を見た・・。
すぐに視線を戻す。
あれ?また信彦も視線を定めていなかった。
「・・ところでさ、田島」
「え?」
「願書はどうする?」
「もう売っているのかい?」
「ああ、今日面談が終わった後、神田の三省堂へ買いに行く予定なんだ」
「そうか・・買っておいたほうがいいのかなぁ・・」
「町田の熊沢書店でも売り始めるらしいけど、数が少ないらしいぞ・・。買いに行かないか?」
「そうだな・・」
そんなやり取りをしているうちに、母親方もおしゃれ談義や受験でお互い大変ね談義が終わったらしい。
「それじゃあ、また・・」
「ごめんください。失礼致します・・」
信彦と母の恵実は、面談を受けに校舎の中へ入っていった。
それを見届けると、則子がすかさず言った。
「信彦君のお母さんと私と、どっちが綺麗だったかしら?」
「そうくると思ったよ」
「まあ・・、ウソでもお母さんだと言って欲しかったわ」
「男はそんなことに関心は無いの」
本当は違っていた。正直に言うと、今日は信彦のお母さんの勝ちだと思っていた。
自分の母親も、冷静にもれば・・その、第三者的な目で見れば、結構いけているとは思う。特に最近はあのホテルでの一件を目にして以来、
妙に母の姿を気にかけていた。ただ、着物姿は正直あまり好きではなかった。なにか改まりすぎた感じがして、いつもの母のようにどうも接することが
出来なかった。
480 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/05(日) 00:39:47 ID:/N3Om9Dz
洋服のほうが似合うよ・・本当はそういいたかったが、そんなことは照れくさくて言えはしない。
「それじゃ、帰りましょうか・・どこかで甘いものでも食べる?」
「あ・・、それがさ・・、沖田と願書を買いに行くことになったんだよ」
「あら、そうなの?どこへ?」
「神田の三省堂だって。売り切れる前に買っておこうかなって・・」
「信彦君たちはこれから面談でしょ・・」
「うん・・。だから、しばらくここで待っているよ」
「そう、それじゃ、お母さんはおうちへ帰るわ・・」
繁は悪いことしたなと思った。母はどうも帰りも自分と過ごしたかったらしい。しかしもう信彦と約束をしてしまった。
「あまり寄り道しないで、早めに帰るのよ」
則子はそう言うと西陣織のポーチから1万円札を出して繁に渡した。
「お金なんかも持っていないんでしょ」
「ごめん、悪いね。お母さん」
「それじゃあね」
そう言うと、則子は着物のためにゆっくりとした足取りで、校門を出て行った。
(帰りにお母さんにおみやげでも買っていくか)
そう思いながら、校庭の脇で一人で信彦を待った。
校舎から、一人の女の人が出てきた。そう、すっかり忘れていたが、さっき間違えて入ってきたあの女の人であった。服装を覚えている。
うつむき加減に繁の前を通り過ぎて、そのまま校門に向かって行った。
その時初めて横顔を見た。たぶんうちのクラスの誰かの母親なのであろう。それくらいの年齢だと思うが。信彦の母同様、気品の
ある綺麗な女の人であった。
(3者面談なのに、どうして一人で来たんだろう・・)
繁は不思議そうに、校門を出るその女性の後姿を見ていた。
河野は、腕組みをして、じっと、動かずに思いをめぐらせていた。
たった今、青木美保の母親の青木弘江と交わした言葉の一つ一つを思い返していたのだ。
<告訴することに決めました・・>
青木弘江は、苦悶の表情を見せながら、河野にそう言った。
<・・そうですか・・・>
河野は、そう答えるのが精一杯であった。
481 :
八千草マニア:2006/02/05(日) 02:38:10 ID:1FkFSyHo
作者さん
点というものは、ポツポツと沢山あって、それが最終的には線で結ばれ、一つの
方向にまとまって終る・・・小説と言うのは、そういう点(エピソード)の積み重ね
だと思います。
私はどんな線になって結ばれるのか、それが楽しみで読ませていただいております。
色々な意見はおありでしょうが、私は作者さんの思うように書いていただいて欲しいと
思っています。
482 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/05(日) 22:16:12 ID:/N3Om9Dz
八千草マニアさん有難うございます。とにかく書きたいことがたくさんあるので、
少しずつですが進めていきます。今後ともよろしくお願いいたします!
483 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/05(日) 22:17:26 ID:/N3Om9Dz
これから彼女が、そしてその家族が背負う苦しみ、悩みを思うと、安易な励ましの言葉は、かけられなかった。
ドアをノックする音がした。
「あ、はい、どうぞ!」
二人が入ってきた。
「おっ!沖田と、お母さんか!」
「まあ、先生、いつもお世話になっております。」
恵実が、美しいスーツ姿で河野に会釈した。
則子は繁と分かれると、すぐに駅には向かわず、すこし裏路地へ入ったところにある雑貨店の前で立ち止まった。
少し後ろを振り返って、そしてすぐに店先へ向き直ると、そこにあった赤電話の受話器を取り、10円玉を入れて、ダイアルを回した。
やがて電話がつながったらしい。
「もしもし、こちら三協商事の田中と申しますが・・はい、いつもお世話になっております・・・」
電話に出た相手と型どおりの挨拶を終えた後こう言った。
「製作2課の北川係長様はいらっしゃるでしょうか・・」
しばらくして、聞き覚えのある声が受話器から聞こえてきた。
『はい、北川です!』
「ふふふ、驚いた?」
『いつもお世話になっております。納入の件でよろしいでしょうか?』
相手は会社内にいるので、悟られないように話すその口調が則子にはおかしかった。
「急に時間が出来たの。もし出来れば・・お会いできないかしら・・」
『はい、私はかまいません。では1時間後にそちらの事務所にお伺いいたします。』
「私のほうが先につくと思うので、待ってます」
『はい、有難うございます。ではよろしくお願いいたします』
北川はそう言って、うやうやしく電話を切った。
則子はもういちどおかしそうに笑みを漏らすと、そっと受話器を置いた。
フィリポに則子が着いて20分ほど過ぎた頃に、北川がグレーのスーツ姿で現れた。
則子の姿を探してキョロキョロしている。
無理もない。北川には今日自分が和服で来ていることを伝えていないからだ。
則子はその北川に向かって、そっと手を振った。
484 :
八千草マニア:2006/02/06(月) 09:38:45 ID:MXPQPK7F
作者さん
おおお!私の期待しておりました「和服での密会」!
いよいよですね。
ここしばらく、濃厚なシーンがありませんでしたので、
ちょっと「飢えて」おりました!(笑)
期待しております!
485 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/07(火) 21:32:39 ID:M6P9Lgdh
ようやく北川は、はっと目を見開いて、則子に気づいた。
そして、あきらかに戸惑いの表情を見せながら則子の前に座った。
「驚きました・・着物でいらっしゃるとは・・」
「やはりいつもと様子が違うかしら・・」
「洋服だとばかり思っていたもので・・分かりませんでした。すぐに手を振っていただければよかった」
「ふふ、プールではいじわるされたので、わたしも・・」
そう言われて、北川は一瞬間をおいて、そして答えた。
「そうか、そうでしたね・・」
ふたりは見合わせて笑った。
「実は、先ほどのお電話にも驚きました。」
「わたしからお電話したのは、初めてでしたものね・・」
「そうですね・・。自分から二人だけの暗号を提案しておきながら、いざとなると戸惑ってしまうのですから、情けないものですね」
節目がちに話していたふたりは、また、チラッとおたがいを見て、笑みを浮かべた。
もし、連絡の必要がって、則子から北川のいる会社に電話をする際は、則子が三共商事という架空の会社を名乗ることに
以前決めていたのだった。
それを、今日はじめて行ってみたのであった。
北川が則子を見ながら、改まった口調で言った。
「本当によくお似合いになる」
「まぁ、相変わらずお上手ね・・」
「今日はどうされたのですか?」
「息子の3者面談があったんです。先生とお会いする機会なんてあまりないので、思いきって着てみましたの・・」
「そうですか・・、それじゃあ、今日は息子さんに感謝しないといけないな」
「あら、感謝って?」
「素敵な和服美人に出会えさせてくれたことを」
則子はうつむいて笑った。
少し沈黙があった後、北川が静かに言った。
「なんだか・・」
「えっ・・・」
「はじめてここで奥さんに会ったときのことを思い出します。それくらいとても新鮮に感じます。」
「まぁ、そうかしら・・」
486 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/07(火) 23:59:13 ID:M6P9Lgdh
ほんの数日前、ふたりは泊りがけで出かけ、そしてそこで感情の赴くまま熱いひとときを過ごしたと言うのに、それでも北川はそう言う。
「着物のせいなのかしら・・不思議ね・・」
確かに則子自身も、なんだかいつもと違う自分がここにいるような、そんな気持ちになっていた。
着物の持つ清楚さと繊細さが、人目を忍んで逢引をするきわどさを上品に包み隠しているのかもしれない。
やはり北川がこう言った。
「まるで別人のようですよ。とても私が自由に出来ない手の届かない女性のように思えます。」
「そぅ・・?」
「まだまだ奥さんのことを知らないんだなと思います。もっと奥さんのことを・・知りたくなってきた・・」
「隠すつもりはありませんわ・・」
「でも・・今日は・・お着物ですから、難しいでしょうね」
北川がそう言った
それが、今日は着物を脱ぎ着することが出来ないから、ホテルにはいけないでしょうねという意味であることを則子は悟ると、
「まぁ・・」と言ってうつむいた。
そして、やっと聞こえるかどうかの小さな声でこう言った。
「着物は・・よく着ますのよ・・。着付けも・・一人で出来るんです・・」
恥ずかしそうにうつむく則子を、北川は熱っぽい視線で見つめた。
北川はスラックスのポケットに片手をつ込んだまま、ゆっくりと道玄坂を登っていった。
和服姿で後ろをとぼとぼとついてくる則子の歩調に合わせながら。
則子は、北川の歩く方向がいつもの・・アルハンブラ、には向かっていないことに気づいていたが、何も言わなかった。
北川が立ち止まったのは、道玄坂を上がりきったところにある、電鉄系の小さいが落ち着いた雰囲気のシティホテルであった。
「ここなんか、どうかなあ・・」
「えっ、・・ええ・・」
則子はうつむいたままそう言った。
北川のその言葉を、以前聴いたことがある、と則子は思い起こした。
そう、あれは初めてふたりがアルハンブラに入った・・つまりふたりが初めて結ばれたその日の言葉であった。
フロントでキーを受け取った北川が、ロビーの太い柱の横で待っていた則子に歩み寄ってきた。
「行きましょうか・・」
「はい・・」
487 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/08(水) 00:00:55 ID:M6P9Lgdh
ベルボーイの案内を丁重に断り、6階のダブルの部屋にふたりだけで入った。
いつもならすぐに抱き合ってキスを交わし、そしてせわしくお互いの衣類を脱いでいくところなのだが、今日は則子が着物であること
と、そしてはじめて入った落ち着いた部屋の中であることが、どこかふたりをよそよそしくさせていた。
新鮮であった。はじめてアルハンブラのあの部屋に入ったときのことをふたり思い出していた。
「本当に素敵です。今日の奥さん・・」
北川はそう言うと、ようやく則子と唇を重ねた。
しかし、深いところまでは行かずに、そっと唇を離すと、あとは則子自身の意思に全てを任せたように彼女から離れた。
則子は、北川とは視線を合わせずに、そっと自分の腰に手を回して、帯を解き始めた。
手馴れた手つきで、帯がほどけていく。
シュッ、シュッという、布が擦れ合う音が静まり返ったホテルの部屋に響き、そしてその度に、着物の帯が長くカーペットの上に
伸びていく。
それにあわせて、北川もゆっくりと自分の支度を始めた。背広を脱いで、ネクタイを外す。しかし着物を脱ぐ煩雑な手順に比べればわけもないことであった。
やがて帯が全て解け、そして留めるものがなくなってはだけた藍色の忍火の着物を、則子は北川に背を向けながらゆっくりと脱いだ。
真っ白な長襦袢の姿の則子の姿があった。
襦袢の紐を解こうとせず、そして赤面している則子の様子から、おそらくその襦袢の下には、何も身に着けていないに違いない。
則子は襦袢姿のまま、帯と着物を丁寧にハンガーにかけると、再び北川に体を向けた。
しかし、まだ顔は伏せたまま、北川を直視していない。
ゆっくりと則子が長襦袢の腰紐を解いた。
紐が床に落ちた。
はだけそうになる襦袢の前を両手でしっかり掴んで押さえ、則子はようやく北川を見た。
そのまなざしが真剣で、切実そうであった。まるで、初夜を迎える花嫁のように・・。
そして、北川を見つめたまま、覚悟を決めたかのように、襦袢の前を握っていた両手を大きく左右に広げた。
バッ!という音がして襦袢が広がり、その中の則子の全てを北川の前に差し出した。
既に何も着ていなかった北川が、飛びかかるように則子に抱きつき、激しく抱きしめた。
北川は立ったまま、則子の唇や乳房を激しく求めた。
488 :
八千草マニア:2006/02/08(水) 01:54:47 ID:OgpHlfzW
作者さん
凄い!私の希望通りの内容になってます!
白昼、我慢できずに自ら電話をしてしまう則子、
そしてやはりいつもと違う「和服」の則子に欲望を
掻き立てられた北川・・・
本当に、私の頭の中では、八千草さんと竹脇氏のキャストで
目くるめく世界が鮮明に甦りました。
ありがとうございます。
489 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/08(水) 18:22:22 ID:GVBMpeCZ
有難うございます。どうも和服の知識が無いので、うまく表現できているか心配ですが、
なんとか進めてみますので、お付き合いください。八千草さんのイメージが伝わると言うことは
とってもうれしいですね!
490 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/08(水) 18:23:02 ID:GVBMpeCZ
則子の乳首が北川の舌で愛撫され、やがて則子は立ちつくす力を失い、北川にもたれかかるようにしがみついた。
真っ白な長襦袢がはらりと床に落ち、そして抱き合ったままのふたりの体は、半回転しながらダブルベッドのシーツの中に埋もれた。
いつもより北川は荒々しかった。
夢中で則子の肌に唇を這わせ、大きく乳房を揉みしだいた。顔を両手に取り、唇を強く押し付けてきて、則子は圧倒されたように
思わず激しく舌をからませた。
則子の体はすっかり熱くなっていて、無言の要求をしぐさでしたが、しかし北川は荒々しい割にはなかなか体を結び付けようとしなかった。
めずらしく則子の背中にまで唇を這わせ、半身になった則子を後ろから抱いて、乳房を揉んで、股間をまさぐった。
着物という隙を見せつけない衣装が、則子があらためて他人のものであるという意識を北川に植え付けさせたのかもしれない。
むさぼるように、北川は則子を愛撫した。
則子はもう我慢できなくなって、北川に思い切りしがみついた。
そうされて、ようやく北川は則子にそれをしてやった。
望んでいた往復の動きが始まると、則子ははばかることなく声を上げて悶えた。
お互いに激しく抱き合って、夢中で肌をすり合わせた。
羞恥心を忘れて、則子は下半身の体の中を北川の動きに合わせた。
北川はその人妻をほぼ手中にしているにもかかわらず、君を奪いたい、君を僕のものにしたいという趣旨の言葉を彼女の
耳元で熱く囁いた。
その人妻も、全てを奪って欲しいと、男に哀願した。
首筋を這う北川の唇が、そのまま則子のあごや額に移動して、そして彼女の唇にたどり着く。
からめた舌の震える感触が、則子の体の燃えあがる状態を伝えた。
そして、結ばれたままの則子の唇の奥から、湧き上がるような嬌声が起こり、同時に則子は抱いてくれている相手に固く
しがみつくと、そのまま一気に脱力した。
北川はそんな則子の美しい表情へ、いとおしげに頬をこすりつけて、そして自分も下半身を激しく律動させた。
数十秒間の長い射精の間に、北川は奥さん!奥さん!と幾度も連呼した。
則子は、北川の胸板に顔をうずめて、そしてやさしく髪をなでられることが好きだった。
「幸せ・・」
小声で則子はそう言って、髪をなでる北川の指の動きを感じていた。
491 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/08(水) 18:24:23 ID:GVBMpeCZ
男に人妻を征服したいと言う欲があるならば、女にも征服されたいという気持ちがどこかにあるのかも知れないと、則子は感じていた。
しばらく無言でいたふたりであったが、則子が口を開いた。
「・・久しぶりのような気がするわ。あなたにこうやって髪をなでてもらうのも・・」
「・・そういえば、そうかも知れません・・」
北川もそう言った。
数日前に泊りがけで出かけたときは、その独特の環境に刺激され、むさぼるような愛の交換を数え切れないほど行った。、
あれはあれで、この上なく悦ばしいものではあったが、それだけに快楽を求めすぎて、いま振り返ると余韻を楽しむことがなかったように
思われた。
「この前は、僕の気配りが足りなかったかな・・」
「そんなことはないわ・・」
則子はあらためて北川にしがみつくと、そう言った。
「とても楽しくして頂いたわ・・」
492 :
八千草マニア:2006/02/09(木) 09:40:07 ID:ZXerJNvK
作者さん、
久々の「官能描写」ですね・・・
いいです。ほんとに!
ムードたっぷりで・・・
ただ、私の希望では「ひとひらの雪」に出てきたような、
裾だけまくってバックで・・・というのもおつだと思ったんですが・・・
ちょっと無理な注文でしたかね?
失礼しました。
493 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/09(木) 09:56:56 ID:JbA+IO7o
八千草マニアさん いつも本当にコメント有難うございます。書くパワーがわいてきて
頑張るぞと言う気になります。
それから裾・・の件ですが・・ご安心ください・・・とだけ書いておきましょうw
494 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/09(木) 21:11:21 ID:JbA+IO7o
ところで、八千草さんのレコード(LP)が出ていたのをご存知ですか?
とはいっても、八千草さんが歌っている訳ではなく朗読(最近発売された
CDキリンのなみだの原型みたいなものでしょうかね。)をしているもの
なのです。80年前後に何種類か発売されていて、自分は白鳥の湖と日本
昔話のようなもの2つを持っています。(ヤフオクで落としました)
聞いてみますと、あの八千草さんのやさしいソフトな語り口調が、とっても
心にしみてきます。いってみれば、自分が年少の頃の繁君になって、則子お母
さんに本を読んでもらっているような・・妄想しすぎですね^^
ジャケットにも小さいですが八千草さんの顔写真が載っていてなかなかいいです。
ジャケットのほうは今度スキャニングしてアップしますね。
では続きを・・
た
495 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/09(木) 21:12:28 ID:JbA+IO7o
続けて則子が言った。
「でも、不思議ね・・。こうしてやさしくしてもらうと、何だか今日が初めてあなたと知り合えたような気持ちになるわ・・」
「僕もですよ。あらためて今、まだ奥さんのことをほとんど知りえていないんだなと、思いました。」
則子が、北川の胸板の上で微笑んだように思えた。
「もっと、知ってください・・」
「奥さん・・」
そしてふたりは抱き合って、そして唇を重ねた。
小田急線は混んでいて、はじめは3人は座れなかった。
そう、3人・・。繁と信彦と、そして信彦の母・・恵実であった。
まさか恵実が2人についてくるとは繁は思っても見なかった。しかし、よくよく考えると、信彦のスポンサーは恵実なのだから、信彦はきっと
照れくさかっただろうが、母がついて来ることを拒めなかったのであろう。
繁にとっては予想外なことでありそして・・これも予想外なことであった・・登戸で急に前の席が空き、おもむろに3人が空いた席に腰をかけると
たまたま、中心に恵実が座り、その両端に繁と信彦が座る形になった。
やっと3人が座れるほどのスペースであった。繁の肩と恵実の肩が触れ合って、繁はそのぬくもりと、ほのかに漂ってくるヘアスプレーの香りに
ただの友人の母親ではない、ひとりの優しい女性の存在を感じていた。
ひとときの抱擁の後、則子は北川に促されるまま上半身を起こし、やはり上半身を起こした北川に背を向ける形で向こうを向き、その膝の上にまたがった。
北川は則子の腋の下から両手を入れ、彼女の乳房を手中に収めた。
そして、則子の乳房は揉みしだかれた。
激しく揉みしだく北川の両手は荒々しいが、乳首に触れるその指先の動きは繊細であった。
幾度も幾度もそうされることで則子は既に燃え上がり、首をそらして横に向け、北川と唇を合わせた。
熱い吐息を漏らしながら則子は夢中でキスを交わし、舌を絡めあって、相手の存在を感じた。
揉まれる乳房の感覚と触れられる乳首の感覚がもう体いっぱいに広まって、則子は振るえながら、自分の両手を揉みしだく北川の手の甲に重ねた。
496 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/09(木) 21:13:44 ID:JbA+IO7o
すると北川は、乳房にあった両手を則子の腰周りへ移動させ、彼女の腰を浮かさせると、次にゆっくりとその腰を下ろさせた。
則子が腰を下ろしたとき、顔所の股間の中心には北川の全てが埋め込まれて、そして再び北川の両手が乳房に戻ったとき、
則子は体内で、うごきはじめた北川の下半身を感じた。
「あっ!あっ!あっ!」
則子はその全身の溶けてしまいそうな感覚にはばからず甘い声を上げて、悦びをあらわにした。
北川の唇が首筋に押し付けられる。
それが肩や耳の後ろに移動して、則子はそこに愛する男の確かな存在を感じた。
やがてその唇が自分の頬のほうに動き、その意図を知った則子は再び顔を横に向けてそれに応えたが、北川に激しく唇を
吸われると、喘いでいる自分の胸が息苦しくなり、すぐに唇を離して声を上げた。
「ああっ!ああん!」
そして則子は、我慢できなくなって自らの腰を激しく振りはじめ、前後不覚になって、そして上り詰めた。
歓喜の声はホテルの部屋にこだまして、そして、脱力する裸体を相手はしっかりと抱きなおし、そしてその相手も、大きく息を吐きながら、
小刻みに腰を震わせて、自分の分身を人妻に送り込んだ。
全てを放ち終えた北川は、まだ脱力して放心したままの則子を抱きかかえると、ようやく自分も力を失って、彼女ごとベッドの中へ
倒れこんだ。
ふたりはベッドの上でおのおの息を整えていたが、やがてそれがおさまると、則子はまた愛する男の胸板にしがみつき、顔を押し付けた。
「撫でて・・・」
則子は小さな声でそう言った。
497 :
八千草マニア:2006/02/09(木) 21:42:07 ID:ZXerJNvK
作者さん
アップありがとうございます。
毎日、「次はどういう展開になるんだろう?」とドキドキしながら、こちらの掲示板
を見ています。
官能描写、素晴らしいの一言です。
これほど、細かいところまで行き届いた描写は、とてもアマチュアとは思えません。
それにしても繁君と恵実さんの関係・・・何だか、新たな状況が生まれそうな予感が・・
それと、八千草さんのLPがあったとは知りませんでした。
「きりんのなみだ」については、その評判は結構聞いていますが、そんなのがあった
なんて知りませんでした。
私は中学ぐらいの頃、ラジオで八千草さんが「日本昔話」を朗読する番組がありまして、
毎週欠かさず聞いていました。
優しい語り口で昔話を語る声に、何となくほんわかして聞き惚れていたのを覚えています。
そのレコード、本当にお宝物ですね。
是非、ジャケット写真をお願い致します。
498 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/09(木) 22:01:30 ID:JbA+IO7o
そうそう、そうです!ほんわか・・ですね!LPもまさにほんわか、な感じで
八千草さんが朗読していますよ!
499 :
八千草マニア:2006/02/09(木) 23:14:56 ID:ZXerJNvK
作者さん
私も掘り出し物を発見しました!
昭和45年の9月〜46年の6月にかけて放送された
「徳川おんな絵巻」という時代劇です。これは、江戸時代の各大名家に起こる事件を
オムニバスで描いたものですが、その中の一編に、八千草さんが主演しておられた
「年上の佳人」「白昼の逃亡」という前後編ものです。
ストーリーは、ある年よりの大名の側室だった八千草さんが、老齢の殿様に代わって
家老の息子(田村正和扮)と契って、世継ぎを身ごもるが・・・・という、ストーリー
です。
私が見たのは再放送だったようですが、それをどういう訳か、テープで録音して持っていました。
恐らく、私が所持している中で、一番若い八千草さんの声が聴ける逸品です。w
500 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/09(木) 23:18:26 ID:JbA+IO7o
契って、世継ぎを身ごもる・・ なんかワクワクのシーンですね!実際に
「契って」いるシーンはあるのでしょうか?録音だけに、逆に色々と想像
してしまいそうですね。
501 :
八千草マニア:2006/02/10(金) 07:13:14 ID:hqtygGgO
作者さん
残念ながら、具体的に「契って」いるシーンはありませんで、シルエットで暗示する場面が
あるだけでした。
しかし、八千草さんが「側室」だとか「武家の奥様」という役を演じると、不思議にぴったり
しますね。
あと、これは記憶の中に眠って(笑)いたのですが、「夕陽が丘3号館」というドラマでも
印象的なシーンがありました。
有吉佐和子原作の作品で、社宅団地に住む主婦で、夫と、中学生ぐらいの子供と暮らして
いるのですが、別にエッチな場面など一切無い、ホームドラマなんですけど、ある日八千草
さんが息子の部屋に入って「エロ本」を見つけ、その後息子が「ナニ」をした痕跡を見つけ
「まぁ不潔!」とばかりに、押入れの中のエロ本を全部処分し、部屋じゅうを掃除して
回る・・・という場面が、とても印象的でした。スラックスか何かをはいて、頭にネッカチーフ
をかぶり、掃除している姿が、何とも素敵でした。
八千草さんって、子供がいらっしゃらないのに、子供(特に男の子)のいるお母さんの役を
やると、不思議とぴったりしますね。
502 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/11(土) 00:39:53 ID:dIQrVN5i
八千草マニアさん、確かに八千草さんは男子の母親役がピッタリ来ますよね。
遥かな坂もそうでしたし・・でもまさか遥かな坂で八千草さんの浮気シーンがあったなんて、
本当に惜しいことをしました。見ていればよかった・・初回の息子が大学に落ちた部分と
最終回の小林父が大学に行かなくたっていいんだぞ、というところしか見ていなかった。
完全に普通の家庭ドラマだと思っていました・・ああ残念・・
今からでも少しづつ情報を仕入れてみます。
503 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/11(土) 00:41:05 ID:dIQrVN5i
予想外なことばかり続いていた今日であったが、まさに今のこの状況こそ、予想外な状況だと、繁は去って行く信彦の後姿を見ながらそう思った。
信彦が第一志望に考えていた京都美大の願書が、三省堂にも無かったのだ。聞いてみると、首都圏では横浜の有隣堂にしか置かれていないという。
「また今度でもいいじゃない」
そういう母親の声には耳を貸さず、慌てた信彦は今、横浜まで行って来ると言い出して、そしてふたりを置いて御茶ノ水駅のほうへ向かったのであった。
「ごめんなさいね。もう、しょうがない子ね・・。」
呆然とする繁に、恵実はそう声をかけた。
「いや・・、いいんです・・。ぼくは自分の願書は買えましたから・・。あとはあいつが美大の願書をしっかり確保できればいいんですから・・」
「悪いわね・・。」
恵実は自分のあごに小さな手のひらを当てて、何か考えるような顔つきでそう言った。
「繁君はお腹は空いていないかしら・・。もしよかったら、おばさんと軽くなにか食べてから帰りましょうか?」
「え!それは・・」
繁はどうしていいのか分からなかった。信彦のお母さんと(自分の中では間違ってもおばさん、とは呼ばなかった)二人きりになって
そして食事をするなどということは、礼儀であるとか、常識であるとか、そんなもので判断できることを超えていると思った。
要は・・、繁は恵実のその提案を、断らなかったのであった。
北川に髪を撫でられながら、則子はレースのカーテン越しに窓の外の景色をぼんやりと見ていた。緑屋のビルのその奥に遠く
かすかにどこかの高い山々が連なっている。
「向こうに見えるのどこの山なのかしら・・」
北川は則子の髪を撫でる手を休めずに、少し顔を窓のほうへ向けて答えた。
「赤城山か筑波山か・・、方向からして、赤城山でしょう・・。」
「赤城山って群馬県ね・・」
「奥さんがそんなことを気になさるのはめずらしいですね。なぜですか?」
則子は体を揺らして、北川の胸にあらためてしっかりとしがみ付きながら言った。
「今度、息子と群馬の大学を下見に行く予定なんですよ・・。」
504 :
八千草マニア:2006/02/11(土) 02:48:46 ID:64NUwNcN
作者さん、
繁君、何やら信彦君のお母さんと、意味シンな展開になりそうですね。
ワクワクしています。
それから「北川に髪を撫でられながら」・・・云々というところ、いいですねぇ。
こういうムードのある描写、好きですよ。
「遥かな・・・」は、普通の家庭ドラマというより、どちらかというと、「社会派
サスペンス」に近いお話でしたね。
八千草さんは、夫が学歴がなかったために苦労したので、息子にはいい大学に合格して
ほしいと熱を上げる母親で、浮気相手は片岡孝夫氏(現・仁左衛門氏)でした。
車の中で抱き合ってのキスシーンですとか、旅館の中で布団の上に・・・という場面があった
ようです。
(見ていないので、詳しくは思い出せませんが・・・)
実生活ではお子さんがいらっしゃらないのに、あれだけ母親役のイメージがぴったりくる
方もめずらしいと思いますね。八千草さんは。
505 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/14(火) 15:56:31 ID:YOsffgSp
どうも・・担当業務が忙しく、アップ出来ませんですみませんでした。
ようやく落ち着きましたので、なんとかアップしてみます。
「群馬ですか・・群馬大学?」
則子は恥ずかしそうに笑いながら答えた。
「そんな国立の良いところなんてとても無理なんですよ・・。私立の新設校なんです。」
「でもいいことですね。泊りがけで?」
「やはり泊まらないと無理かしら?高校の先生からは、近くに伊香保の温泉街があるとは聞いてはいるんですけど」
「泊まらないと無理でしょうね・・。ぼくの会社に出入りしている旅行業者に、いい温泉宿を探させましょうか?」
則子は少し押し黙った後、言った。
「大丈夫・・、自分で探してみます」
そして、則子はシーツで胸を隠しながら、ベッドから起き上がった。
(まだ今日は2回なのでは・・)そう言いたげに北川が片手を則子の肌に伸ばしたが、ベッドから下りようとする彼女を捉えることは出来なかった。
「息子さんの話が出たときは、いつも帰り支度をすることになりますね」
「ごめんなさい・・。息子が神田から帰ってくるまでに家に戻っていないといけないの・・」
そう言いながら、則子はバスルームへ入っていった。
「先日のあなたの提案ね・・、うまく行きましたわ」
「提案、ですか・・?」
慣れた手つきで着物を着付けていく則子を見ながら、北川は聞き返した。
「・・ほら、河口湖からの帰りに、あなたがお勧めしてくれたハムのお土産を持って買えること・・」
北川はようやく思い出して、「あぁ」と言った。
「息子には悪かったと思うのだけれど・・」則子は帯を締めながら続けて話した。
「私が旧友のところへ行ってお土産にハムを持って帰ったと、すっかり信じているみたい・・」
北川はすっかり自分の身支度を整えて、ベッドの上に座って、則子に語りかけた。
「ぼくもちょっと気が引けましたが、でも策としてはいいと思っていました。なにしろ男女が密かに逢った後、重いハムを持って家に帰る
女性はまずいないでしょうからね」
「ほんと・・・、どちらでそんな上手な策をお知りになったのか知ってみたいわ」
そう言っていたずらっぽく笑顔を見せる則子は、帯を、自らの手でしっかりと、形よく締めつけていく。
506 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/14(火) 15:57:10 ID:YOsffgSp
「綺麗にお召しになりました」
「そうかしら・・」
「どうも・・、着物のせいなんでしょうね。なんだか奥さんが急に僕の手の中から離れて行ってしまうような気分です」
「先ほども、そんなことをおっしゃっていらしたわね」
そう言って着付けを完全に終えた則子に、北川が近付いた。
お別れのキス・・・則子はそう思った。いつもなら、その筈であった。
だが、北川の動きは違っていた。
「奥さん!」
一言そう言うと、いきなり則子の後ろへ回り、抱きしめて首筋にキスをしてきた。
「えっ!どうなされたの?」
北川は答えなかった。しかし、その息づかいが既に荒々しかった。
そして北川は無言のまま、綺麗に着付けたばかりの則子の忍火の着物の裾をつかんで、そのまま裾をその下の白い襦袢とともに思い切り捲り上げてきた。
「まあ!」
則子はあわてて、捲り上げられる着物の裾を両手で押さえた。そしてまた言った。
「なにを、なさるの!もう・・!」
しかし着物の裾は徐々に捲り上げられ、膝が、そして太ももが露になっていった。そしてとうとう、着物はすっかり捲り上げられて、
彼女のヒップが丸出しになり、そしてそのままベッドへ押し倒された。
「もう!やだわ!だめ・・」」
しかし、そういう則子を北川は仰向けにさせた。
その勢いで彼女の剥き出しの両足が大きく広がり、その先端についていた真っ白な足袋が、まるで真夏の夜の、せんこう花火の
光珠のような残像を残して揺れた。
着物が、それを着ている女性を俗欲から覆って守り、清楚な佇まいを見せる衣類であるがゆえに、逆にはだけさせ乱れさせた時は
そこに見せる裸体の妖しさを余計に倍増させる。
それは則子も分かっていた。乱れている自分の今の姿を知り、そしてはずかしそうに脚を閉じようとしたが。それよりも前に、
北川は則子に割って入り、そして強い力で着物の襟元を大きく開いて、乳房も露呈させた。
「やだ・・」
それだけ則子は発したが、そこから先は唇でふさがれて、則子は声を出せなくなった。
少しして、則子はあきらめたかのように、舌をからませた。
そうする間にも、則子の乳房と股間が、巧みに北川にまさぐられて、彼女の瑞々しさを呼び戻させていた。
「やさしくね、やさしくね・・」
507 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/14(火) 21:38:56 ID:YOsffgSp
ようやく離れた唇から、喘ぎながらかろうして則子はそう言うと、直後に、再びひとつになった自分の体を感じた。
言われたとおり北川はやさしく乳房を口に含み、そしてやさしく、腰を動かした・・。
自分の体内を緩やかに往復していく北川に合わせて、則子は自らも北川を包み込んだものを動かした。
また北川が唇を求めてきて、則子は激しく舌をからませながらワイシャツのままの北川の背に両手でかきむしるようにしがみ付いた。
やさしくして欲しいと言う言葉とは裏腹に、則子の腰の動きと吐息が北川の動きとは無関係に荒くなり、首を大きく振りながら悶えた。
上げた。
そして、燃え上がりきった則子は、はがかることなく叫んだ。
「あーっ!あーっあーっああーっ!」
北川に強くしがみついて悦びをあらわすと、そのまま、北川の激しい射精を受けた。
「1日に2回もお着物を着付けたことは無かったわ・・」
則子はそういいながら、再び帯を締め付ける。
しかし、それ以上は則子も「愚痴」をこぼさなかった。
結局、一度着付けた着物の裾をめくられた後・・3回愛し合ってしまった。
いつの間にか着物はすっかり肌から離れて則子は真裸で身を悶えさせていた。
また着付けなくてはならないことと、時間がすっかり押してしまったことに則子は北川を責めたいところであったが、なにしろ最後の1回は
自分から望んでの営みであった。
無言で着付ける則子を眺める北川の視線が、奥さんも同罪ですよと、そう言っている。
「終わりましたわ・・」
則子は西陣織のポートを手にとって、北川の惜別のキスを待った。
「繁君は、よくお母さんとはお出かけはするのかしら?」
入った神田の洋食屋で、恵実は繁と向かい合わせて食事をしながら、そう聞いてきた。
白いスーツと、後ろにまとめた黒髪が美しい・・繁はともするとついうっかり恵実に見とれてしまうので、あえて視線をそらして答えた。
「たまに、です。高校に入ってからはほとんど一緒に出かけることなんて無かったけど、最近はなるべく出かけるようにしています。
よくよく考えると、うちの母も、家ではずっと一人ですからね。」
「まあ・・、やさしくてえらいのね。うちの子も見習って欲しいわ」
508 :
八千草マニア:2006/02/15(水) 09:06:17 ID:BZZ9Jp/D
作者さん
久しぶりのアップでしたね。お仕事の合間に、お疲れ様です。
私も昨日、夜勤から帰ってきまして、パソコンの電源を入れて、
こちらを眺めた時、思わず「キターッ!」
と叫んでしまいましたよ!
大人の男女の、大人の営み・・・これこそ私の望んでいたものです。
いやあ、素晴らしいです!
ありがとうございます。
それと、繁君と親友のお母さんとの関係・・・これも何やら暗示させる
ものがありますね。
今後も、楽しみにしておりますので、よろしくお願い致します。
509 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/15(水) 10:58:53 ID:JYDSo00g
510 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/15(水) 17:32:31 ID:JYDSo00g
「信彦君は、一緒にお母さんとは出かけたりしないんですか?」
「うちの子はだめねぇ・・。今日だってお金を出してあげるからと言って無理やりついてきたのよ」
「そうなんですか・・。あいつも、わかってないなぁ・・」
「あら、どんなことが?」
「・・こんな、美人で・・、素敵なお母さんを放っておくなんて・・」
繁は思わずそう言ってしまって、赤面した。どうしてそんなことを言ってしまった、いや、言えてしまったんだろうと自分自身に驚いた。
しかし、恵実は本当にうれしそうな顔をして、こう言った。
「まあ、うれしいわ!繁君たら、お世辞もうまくなったのね・・。」
「い、いえ!」
繁は思わず身を乗り出して言った。
「お世辞なんかじゃ!・・・ありません・・」
また恵実は、無言でうれしそうに繁を見た。
食事の後、御茶ノ水駅までのほんの短い距離のウインドショッピング・・とはいっても、神田界隈では古本屋か楽器屋しかないのであるが・・
をしているような気分で、ふたりは駿河台の坂を歩いた。
夏とはいえ、もうだいぶ夕暮れが近付いていて、
途中に明大や日大の古くて威厳のある石造りの校舎があって、それについてもとても立派だと、ふたりは会話をした。
中央線の電車は混んでいて座れなかったが、新宿からは小田急線は始発なので、少し待てば必ず座れる。
「切符は買わせて」
繁は言葉に甘えて、恵実に任せた。
「ちょうど20分後に出発する、向ヶ丘遊園に止まる江ノ島号が空いていたわ」
「ロマンスカーですか?」
「ふふ、庶民のささやかな贅沢かしら・・。遊園から各駅停車で狛江まで戻りましょうね・・。」
そのロマンスカーは展望席の無い古い形の車両であったが、シートはふかふかで、ぎゅうぎゅう詰めの急行を考えると天国のような快適さであった。
経堂を過ぎるあたりまで、ふたりは会話を交わしていたが、やがてふたりとも、疲れが出たのか、目を閉じてシートに身を任せるようになっていた。
車内は静かで、目を閉じていると先頭車両のほうで、かすかにピポコーンと言うメロディを聞き取ることが出来た。
ふと薄目で恵実を見ると、美しい寝顔で、体を電車の揺れに任せている。
511 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/15(水) 17:33:15 ID:JYDSo00g
座っていることで、白いスーツのスカートの裾から膝がすっかり出ていて、そこから下の足が優雅に伸びている。
そして、ほんの僅かであるが、スリップの末端の刺繍がスカートの裾から顔を覗かせていた。
純白のスリップであった。
このまま、終点まで行ってしまいたいと繁は思った。わざと寝過ごしてしまおうか・・
しかし、残念なことに、多摩川の鉄橋を渡るタタン・タタンという独特の電車の振動が、彼女の意識を呼び戻させてしまった。
もう、向ヶ丘遊園はすぐ先である。
狛江で恵実と別れて、繁は多摩川の土手を歩いた。
すっかり遅くなってしまった。
家の前まで来ると、まだ居間の雨戸がしまっておらず、カーテン越しに夕飯の支度をする母の姿を目にすることが出来た。
当然、着物は着ていなかった。いつもの地味なグレーのスカートをはいている。
繁は玄関のドアを開けた。
「ただいま」
「あら、お帰りなさい」
奥から則子がそう言って繁を出迎えた。
「遅かったのね。願書は買えた?」
「えっ?」
そう言って繁はようやく、どうして今日自分が神田まで出かけたのかを思い出して、手にしていた手提げ袋をあわてて持ち上げた。
「あったみたいね・・。よかったわね・・」
則子はそう言って微笑むと、また台所へ戻っていった。
その後姿に、繁は何か自分の後ろめたさを感じた。
別に、友達の母親となりゆきで食事をして、ロマンスカーで帰ってきただけのことである。何のやましいことは無い。でも、なんだか
後ろめたかった。母を一人で家に帰したことも気になっていた。
繁もその則子の背を追うように台所へ向かった。
512 :
八千草マニア:2006/02/15(水) 22:52:37 ID:BZZ9Jp/D
作者さん
繁君、まさしく意味シンな展開になってきましたね。
察するところ、彼はまだ「童貞」でしょう?
となるとこの先・・・・嗚呼、ワクワクします。
それと則子お母さんの情事・・・これはドキドキしますね。
今後も期待しておりますので。
513 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/15(水) 23:35:48 ID:JYDSo00g
八千草マニアさん・・繁君に関してはご期待ください・・それから彼は原作でも童貞
でしたよね。
さて、翌日あたりの描写からようやく横山和子さんの後日談をかきますので
よろしく!
514 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/16(木) 22:53:49 ID:67cw1wpL
「お母さん、ごめん・・」
「なにが?」
「今日、一緒に帰れなかっただろ」
則子は一瞬、不思議そうな顔をして、そしてはっとして、ようやく答えた。
「そう。そうね。あら・・、気にしていたのね・・。いいのよ、そんなこと」
「なら、よかった」
繁は安堵して、そして2階へ上がっていった。
則子はほっとしたような表情を見せて、2階へ上がっていく繁を見送った。
繁は、どうして母が一瞬戸惑ったのかを悟ることは無かった。いや、戸惑ったことすら、気づいていなかったかもしれない。
いま繁の頭の中には、信彦の母の・・沖田恵実のあの僅かに見えたスリップの白さだけが、妙にこびりついていたからだ。
翌日・・家族を送り出し、則子はいつものように平凡な1日を過ごし始めた。
朝食のあと片付けを済ませ、洗濯をして、掃除機をかける。
それが終わると、もう昼近くになっていた。
ふっと、安堵の息を漏らしながら、窓辺のソファーに腰を下ろした。窓の外の多摩川の景色はいつものように穏やかであった。
静かだ・・と則子は思った。 image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up24185.jpg 以前はこの景色を見ながら、何の刺激も無く平凡な一日が過ぎていくことを恨めしいと思っていたが、いまは北川と言う存在が自分の心を十分に
満たしている・・。あの男とは最近はほぼ週に2回の割合で会っていて、こうした家事の合間の一息も今ではベッドの中で情熱に
身を任せることの休息とも思えるようになってきた。
昨日の、自分の乳首にやさしくかすかに触れた、北川の繊細な指の動きを思わず思い出す・・。
(まぁ、淫乱だわ・・さて、もうお昼ね・・)
昼には、朝見れなかったNHKのテレビ小説を見のがさないようにチャンネルを合わせた。
今日は確か、天兵と成人した鳩子が波止場で久しぶりに面会するはずで、ヤマ場のひとつであった。
世の中にはテレビを録画できる機械というものが発売されているらしいが、庶民には縁の無いもので、
こうして、時間になったらテレビの前に座らないと見逃してしまうのだ。
昨日の放送では行き違いでなかなかふたりは出会えなかった。則子は、きっと船で去っていく天兵を見つけた鳩子が
515 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/16(木) 22:54:54 ID:67cw1wpL
「天兵さーん!」と叫び、
「鳩子!」
「さようならー!」
というシーンを勝手に予測していたのだが・・、実際に放送が始まってみると、結構長い時間ふたりは出会えて話をしていた。
(拍子抜けね・・)
あっと言う間に15分が過ぎて、則子はチャンネルを回してNETに変えたが、もう司会が桂小金治でなくなってしまっていたのでつまらなく、
すぐにテレビを消してしまった。
立ち上がって、大きく背のびをした。
(お買い物でも行こうかしら・・)
その時、電話が鳴った。
誰だろう・・昨日の今日なので、北川ではないと思う。
繁も塾のスクーリングの最中のはずだ。
「はい、田島でございます・・」
一瞬、間があったあと、声が聞こえてきた。
『・・横山です・・』
「えっ?あら、横山さん!?まあこんにちは・・」
電話の相手は横山和子であった。
「めずらしいわね。電話でお話しするなんて」
『そうね・・』
電話の向こうで和子がそういった。
「どうしたのかしら急に」
少し間があったあと、和子が言った。
『今日、田島さん・・お時間があったら、お会いできないかしら・・』
「あら、私は平気よ。いつも暇人ですから、ふふ・・」
電話口の向こうでも、和子が笑っていただろうか・・
「駅前の甘見屋でどうかしら」
『いいわね・・。先に行っているわ』
「楽しみね」
そう言って、則子は電話を切った。
516 :
八千草マニア:2006/02/16(木) 23:18:18 ID:DL3pleTJ
作者さん
いつもながら、時代描写が細かいですね。
昭和40年代後半から、50年代前半の、時代の息吹を
感じます。
こういうさりげないところにも手抜きをしないというのは
作者さんの人柄が表れていると思います。
それと、楽しみなのは「挿絵」の写真ですね。
テレビの画面をそのまま撮影されたとお見受け致しましたが
よくぞここまで、場に合った写真を残されたと、感服しております。
今後も、期待しておりますので・・・
517 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/16(木) 23:53:06 ID:67cw1wpL
そうなんですよ・・以前にも書きましたが、録画したDVD(しかもコピーガードされている)を
キャプチャーというのでしょうか、静止画にするノウハウを全く持ち合わせませんで、とりあえず
雰囲気だけでもとTV画面を直接デジカメで取ると言うきわめて原始的な方法を取っています。
なるべく雑誌などの八千草さんの写真をアップしたいのですが場面や数に制限もあり、
お見苦しいでしょうが、どうかご勘弁ください・・
518 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/17(金) 01:45:37 ID:ydraM3kt
横山和子が、急にどうしたんだろうと思ったが、彼女も自分と同じく暇をもてあましたのかもしれない。
そうだ・・きっと、北川との旅行が終わった頃だから、その話を聞きたいのかもしれない。
(着替えなくっちゃ・・)
則子は水色のワンピースを洋ダンスから取り、そして下の引き出しを開けて、真新しい、フリルの付いたパンティーを・・・。
そして、ようやく、北川に逢うわけではないので、下着を変える必要の無いことに気付いて、思わず則子は一人で苦笑した。
甘見屋は障子やこげ茶の造作であしらえた、純和風の落ち着いた店であった。
則子が店に入ると、既に横山和子は椅子に座っていて、則子を見て、簡単に会釈した。
和子の前に則子が座りながら言った。
「外にオートバイが無かったけど、今日は歩いてきたの?」
「うん・・」
和子がうなずいた。
「どうしたのよ、元気ないじゃない」
和子は相変わらずうつむいている。
「やっぱり、あなたの言うことを聞いておくべきだったわ」
「言うこと?」
「ほら・・この間、家の玄関には鍵をかけておくべきだと言っていたじゃない・・」
そう、そうだった。確かに和子には無用心だから鍵をかけたほうがよいとは忠告したが・・。
「いったい、どうしたの?」
「泥棒にはいられたの・・」
「まぁ!」
則子は驚いて、そして続けて言った。
「いくら盗られたの?通帳とかはどうしたの?」
和子がうつむいたまま首をかすかに左右に振った。 image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up24199.jpg 「盗られたのは、お金じゃないの・・」
「お金じゃないって・・・」
「わたし・・乱暴されたの・・・」
「らん・・?」
そして則子ははっとして目を見開いて和子を見た。乱暴には色々な意味がある。単に暴力と言う意味合いもある。
しかし、和子の様子と、取られたものが金銭ではないと言う言葉から、何が彼女の身に起こったのか則子はすぐに理解した。
519 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/17(金) 01:49:01 ID:ydraM3kt
「横山さん、まさか!」 image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up24200.jpg そんな則子の視線に、ようやく和子は顔を上げて、そして涙目で訴えかけるようなまなざしでこう言った。
「そうなの!わたし・・犯されたの!」
そして和子は、先日の自宅でのあの出来事を一つ一つ話し始めた。
「ベランダで・・お洗濯を干し終えた時、1階で物音がしたの・・。綾香かと思って下りていったら、目の前に見たことも無い若い男が立っていて・・」
その男が、驚きに眼を見開いている和子に向けて、銀色に光るナイフをかざした。
「お、お、おとなしくしろ!おとなしくしていれば何にもしやしねぇよ!」
ナイフを持つ男の手が震えていたが、和子にそんな細かい状況を判断する余裕はなかった。
その若い男は、和子を座らせて両手を後ろに回させ、荷造り用の紐でその両手を縛った。
縛り終えると、男はほっとしたように息を吐いた。
「奥さん・・悪いけど、金を探すまでそのままでいてくれよ。まさか人がいるとは思わなかったから・・」
男はそう言うと、食器棚の引き出しを探し始めた。
腕を縛られるだけで、しゃべることは封じなかった。
その男はガタガタと、不器用そうに引き出しを探っている。
徐々に最初の動揺から落ち着いてきた和子は、その男の様子から、凶悪な常習犯ではなさそうなことが分かってきた。
猿轡はしないし、靴を脱いで家に上がっているし、第一金品の探し方が不慣れすぎた。最初に見せたナイフももうどこかに見えなくなっている。
見方によっては、その男とは親子くらいの年齢差があるかもしてない。
「お金は・・いくら欲しいんですか・・」
恐る恐る和子は口を開いた。
「えっ!」
逆に、その男のほうが驚いたように見えた。
まさか話しかけられるとは思っていなかったらしい。
「いくらって、別に決めていないよ・・。その日が暮らせる金が、あればいいさ・・」
「お財布なら居間の手さげ袋の中にあります。5万円くらいならあります・・」
和子にそういわれて、男はおもむろにその手さげを探り、財布から万札を抜き取った。
520 :
八千草マニア:2006/02/17(金) 08:06:57 ID:fnyCzRNO
作者さん
横山和子さん、レイプですか!
何となく予感はしてましたが・・・やっぱりそうだったんですね。
こんな言い方は不謹慎かもしれませんが、ちょっとドキドキです。
続きを期待しておりますので。
横山和子さん登場!
自分的には期待し、待ち遠しく思ってました。
今後の展開に期待します!!
522 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/17(金) 21:52:13 ID:ydraM3kt
皆様ご感想有難うございます!横山和子のその後のシーンはあまり皆様のお好みに
添えないようでしたら早めに他のシーンに切り替えようかなと思っていたのですが、
思ったよりご支持いただけそうなので予定通り少しじっくり書くことにします。
どうかよろしく!
523 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/17(金) 21:56:35 ID:ydraM3kt
「奥さん、ごめん・・。」
男はそう言うと、その万札をポケットに乱暴にしまいこんだ。
(別にいい・・)
和子はそう思った。通帳や印鑑を取られてしまうとさすがに苦しいが、財布の中身程度でいいのなら、財布を落としたと思うくらいで済む。
ところがその男は、ポケットから一度盗ったはずの万札を引き出して、床に放り出した。
そして急に床に座り込んだ。
言葉にこそ出さなかったが、どうして、と和子は思った。
「むなしいよ。盗みすら出来ない・・、俺は・・どうしようもない男だ・・」
独り言のように男はそういった。
和子が口を開いた。
「あなた、そんなに悪い泥棒に見えないわね」
「こんなことするつもりなかったんだ。でも金に困って・・何軒か家を探っていたら奥さんの家のドアだけ鍵がかかっていなかったから」
「泥棒は初めてなの?」
「はじめてさ・・でももう終わりだ。奥さん、俺が逃げたら警察へ通報するんだろう・・」
少し間をおいて、和子は言った。
「通報はしないわ・・」
男が驚いて和子を見た。
「それはうそだ・・」
男は続けた。
「勝手に家の中に入って、家を荒らして、奥さんを縛って・・、もう立派な犯罪者なんだ・・」
うなだれた男に和子は言った。
「通報とか、そういうことはしないわ・・。私にはあなたとそんなに歳も変わらない子供がいるの。だからなんとなく分かるわ。まだ若いんでしょう・・
あなたがまだやり直しがきくような人に思えるの。」
その和子の言葉に、男は頭を持ち上げた。そして、つぶやくように言った。
「・・やさしいんだね、奥さん・・」
そして男は、少し戸惑ったように言った。
「オレ・・、女の人にやさしくくされたことなんて無かったから・・」
そして男は、両手を縛られたまま、カーペットの上に座っている和子を改めて見た。
いつの間にか、スカートの裾がはだけていて、ふくらはぎが素足のまま投げ出されている。
しばらく無言で、男はそんな和子を見つめていた。
524 :
八千草マニア:2006/02/18(土) 10:52:01 ID:/WHRS+F1
その昔、今村昌平監督の「赤い殺意」という映画がありました。
退屈な日常を送る一人の主婦が、ある日押し入ってきた強盗に強姦され、
その強盗を愛してしまう・・・というものですが、横山和子さんのエピソード
は、何となくそれを彷彿とさせます。
今後の展開、期待しています。
525 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/18(土) 21:55:04 ID:kB2lEM6g
和子はずっと節目がちにして男と視線をそらしていたが、ようやく男の、自分を見つめる視線に気付いた。
熱っぽい視線だった。きっと自分の言葉を理解して、思い直してくれたのだろうか・・。
しかし、どこか違うと和子は思った。
男の視線は確かに自分に向いているが、それは自分の顔ではなく、もう少し下のほうを向いている。
そう、ちょうど、いつの間にかスカートから出てしまっていた自分の素足のほうを向いている。
はっとして、不自由な動きながら、あわてて本能的に両足をそろえて座りなおした。
そして男から視線をそらそうとして横を向いた。
その時、今度は確かに男の自分の顔に向けての熱い視線を感じた。
まさかとは思った。
見かたによっては親子ほども歳の差がある。
ありえない、と思った。
だが、その座っていた男は、直後にすぐにが動いた。和子は思わず体を引いた。
しかし男の動きは早く、あっという間に和子に近付いていた。
一瞬、何が起こったのか和子はわからなかった。
自分の唇に、何かが押し付けられている。
何かが・・。
それは、男の唇だった。
男が自分の唇に、唇を押し付けている。
はっとして、そしてようやく状況が飲み込めた。
悪寒と嫌悪感が全身に走り、脳裏には警報が鳴り響く。
身をよじって男を突っぱねた。
唇どうしが離れて、やっと声を出せるようになった。
「何をするの!」
しかしまた再び和子の唇は男の唇でふさがれた。
前より強い力で押し付けてきた。
そして、自分の体が強く抱きしめられた。
もう男のしようとする意図がはっきり分かった。
抱きしめられた体を必死に自由にしようともがいた。そして叫んだ。
「正気なの?そんなことをするとあなたは本当に犯罪者になるわ!」
答える代わりに、男は和子をカーペットの上に仰向けにし、彼女に乗りかかると、白いブラウスを引きちぎった。
526 :
八千草マニア:2006/02/19(日) 02:37:09 ID:OSs+/BHj
作者さん、
なかなか、緊迫した描写ですね。
思わず場面を頭の中で想像してしまいました。
どうなるのか?
先が楽しみです。
527 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/19(日) 23:52:29 ID:kMPbvur0
八千草マニアさん、有難うございます。赤い殺意をご存知なのですね。実は私も
かなり赤い殺意には影響を受けています。実は別スレの赤い殺意スレで片山由香DVD
ダビングの幹事?なんかもなっていたりします。赤い殺意にはレスの通り今村監督版
と、市原版と片山版、そして原作があります。自分としては原作版がやっぱり
いいかな・・。
528 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/19(日) 23:55:08 ID:kMPbvur0
尚、本日は多忙のため大変申し訳ないのですが本編のアップはございません。
明日頑張ってまた書きます。すみません・・
529 :
八千草マニア:2006/02/20(月) 00:06:09 ID:fLaesZQH
作者さん
「赤い・・・」は、テレビで放送されたものは、市原悦子版を、ほんの少しだけ
見た記憶がありますし、今村監督の映画版も、深夜劇場か何かで見ただけですが
結構ショッキングでしたね。
原作は確か藤原審爾氏でしたでしょうか?
人妻がレイプされるという、いかにもショッキングな物語が、当時の私としては
本当に衝撃的でした。
赤い殺意というドラマは知りませんでした。
一度みてみたいですね。
これまでの描写のタッチ(則子さんの)をみていると今後の和子さんのがとても楽しみです!
よろしくお願いします。
531 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/22(水) 00:03:16 ID:gv08Ka0u
多忙で失礼致しました。まずはアップします。
純白のブラジャーがあらわになり、男の両手がそれを押し上げる・・
「いや!やめて!」
和子は必死にもがいた。もがくことで一時的には男から逃れられるが、すぐに男は和子に抱きついてきた。
縛られていて、両手が自由に使えないことがこんなに不自由なことであるとは思わなかった。乗られて
両足を押さえられるだけで全くと言っていいほどまともな抵抗が出来なかった。
そして男はとうとう、和子のグリーンのスカートを一気にめくり上げた。
スカートは完全にめくれ上がった。
真っ白なショーツが現れた。危機感と恥ずかしさで、和子は猛烈に身をよじらせた。
「いや!いや!いや!」
ただ、和子はその状況に僅かな希望を持たせていた。
自分のはいている何の飾り気も無いスタンダードショーツと、それに大きく包まれた若いとはいえない下半身に、今自分が
襲いかかっている相手が生娘とは程遠いということを認識し、幻滅を感じて気持ちを萎えさせることがあるかもしれないと・・。
しかし、それは全く逆であった。
苦もなく女性のスカートを全てめくり上げてしまえたことと、そこにあった、純白で開口部に僅かに刺繍がほどこされただけ
のショーツは、飾り気のない分だけ余計に大人の女性の妖しさと貞淑さを男に示して刺激させたのだ。
その事は、男が思わずショーツ越しにヒップに手を触れてきたことからも和子は分かった。
「やめて!放して!」
それでも必死に身じろぎさせる和子に男は再び乗りかかった。そして乳房を手に取り、それを揉みしだき、口に含みながら、
ようやく男が言葉を発した。
「奥さんの、奥さんの体が欲しいわけじゃなんだよ!でも、でもさ、強盗に乱暴されたなんてことになったら、オレがこの家に盗みに
見に入ったことなんて誰にも言えやしなくなるだろう!」
激しく息をしながらそういった。
しかしそれが建前で、男の目的が和子を得ることひとつであることは、和子はその男の熱い息と強い力から理解できた。
そしてとうとう、和子を追い詰める決定的な動作を男は行った。
和子のその純白のショーツが下ろされたのだ。
同時に男がベルトの金具を外す音が聞こえた。
「いやよ!いやよ!やめて!」
532 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/22(水) 00:30:03 ID:JMp8r/i0
女として妻として、絶対に許してはならない危機に、和子は渾身の力をこめて身じろいだ。
必死に、ありったけの力を込めてもがいた。
しかし・・・・!
しかし!だめだったのだ!
その瞬間、和子は自分の意思とは関係なくビクンと下半身が跳ね上がったのを感じた。理由を考える間もなくグン!グン!と体に
力が入った。
信じがたい感覚は股間の中心から一気に体中に電光のように突き走った。
思わず目を見開いて天井を見た。
呆然として動かなくなった和子へ全てを埋め込むと、男は体を預けてきた。
そしてその婦人を抱きしめると、喘ぎながら強く唇を合わせてきた。
そしてとうとう、体を動かし始めたのだ。
往復をはじめた貪欲な男の欲望が押しては引き、引いては押していく。その感覚が繰り返し股間から波打って和子の五感に広まった。
その動きは、和子の危機感や羞恥心を吹き飛ばさせた。
「きゃっ!きゃっ!いやっ!いやあ!」
荒い息で求めてくる男の唇を嫌がってよけることもままならず、何度も往復していく体内の感覚を呆然としらがら受けた。
男の唇は首筋や乳房を這い、やがてまた和子の唇に戻ってくる。
その間も和子を突き上げる男の動きは止むことなく続いていた。
「ああっ!いやあっ!いやよう!」
見知らぬ男が自分の体の中を動いていく・・。
早く終わって欲しい・・和子は思った。
しかしすぐに、終わりを迎えるということが、この男と自分の間にどんな現実をもたらすことになるのか気付いた。
気を失いたいと和子は思った。
よくテレビのドラマにあるように、気を失っている間に全てが終わって欲しい・・。
しかし、現実は残酷で冷酷なものであった。
どんなに時間が経っても、往復する男のその鮮明な感覚が和子の脳裏から消えることは無かった。
その時間が短かったのか長かったのか和子には分からなかったが・・、その来て欲しくない終わりが無情にもとうとうやってきた。
533 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/22(水) 00:32:12 ID:JMp8r/i0
乳房を夢中でむさぼっていた男がいきなりまた唇を求めてきて、そして強く和子を抱きしめたかと思うと、下半身の動きを急に
早めて、そして叫んだのだ。
「ああ!奥さんはなんて!なんてかわいいんだ!」
そして腰を小刻みに激しく震わせ始めた。
和子は、自分の股間で震える男を感じた。
自分の体内で行われているその行為を、和子は呆然として受け止めた。
やがて、男は動きを止めた。
そして和子の上に力なく覆いかぶさってきた。
和子を包む、終わったという安堵感。
しかしその後にすぐに気付く、強烈な絶望感・・。
頭に血が上り、冷静に色々な判断が今の和子にはとても出来なかった。
気持ちの整理がつかないときは泣くことさえも出来ないのだと、和子は初めて知った。
犯された・・。
精液を放たれた・・。
あまりにも無慈悲な現実に、和子は動揺の鎮め方やこれからの身の振り方を考えることすら出来ず、カーペットの上で呆然と横を向いて
窓の外を眺めていた。
534 :
八千草マニア:2006/02/22(水) 07:41:04 ID:1owwgb90
作者さん
迫力満点のレイプシーンですね。
こんな場面は、とても映像にするのはむつかしいでしょうけど、
それをここまでリアルに描写される作者さんの文章力に感服致しており
ます。
今後も期待しておりますので。
すごく興奮しました!
これからも期待します!
536 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/22(水) 12:01:08 ID:JMp8r/i0
八千草マニア様、535様 有難うございます!またなかなかアップできず失礼致しました。
個人的な話で恐縮なのですが、平凡な主婦が強盗に犯されてしまう、というシュチュエーションが
大好きなもので、(というわけで赤い殺意や熱い秋もツボに完璧にはまってしまった分けでして・・
熱い秋はしかも八千草さんでしたから^^)実際の岸辺とは全く無関係でしたが、進めているうちにどうしても
入れたくなって、書いてしまいました。今後もメインである則子と北川の浮気を中心にしつつ横山和子の話
をうまく絡められたら思っています。あともう一つ、これも全く個人的な好みなのですが、書きたいシーンがあります。ペースが全く上
がらないのですがどうか読んでやってください。繁君にも頑張ってもらう予定です。
537 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/23(木) 02:07:00 ID:8RqKKyuZ
538 :
八千草マニア:2006/02/23(木) 08:16:40 ID:RTprsAL7
作者さん
「週刊明星」の表紙、なかなかいいですね。
八千草さんが、若々しくて・・・この方ほど、年齢を重ねられても、あまり変らない
女優さんも珍しいような気がします。
・・・それから・・・ひとつリクエストなのですが、といっても、本編の話ではなく、
「挿絵」に関してですが、もし「パッソル」のカタログか何かの写真をお持ちでしたら
載せていただきたいのですが・・・無理でしょうか?
>>536 実は、私もそのシュチュエーションが好きなんですヨ
巨大掲示板の中から「お気に入り」がありますが、その中から真っ先にこれを読むんですよ。
(興奮を抑えて・・・ ) (^^;) 楽しみにしています。 でも決して無理しないでください。
540 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/27(月) 01:21:25 ID:BrkzsFLn
どうもです・・。貧乏暇なしでアップできず本当にすみません・・。どうにか少し
書きましたので、次にアップいたします・・。
八千草マニアさん、有難うございます。パッソルシリーズ結構ありますよ。
以前アップしたものもダブるかもしれませんが時間を見つけてアップします。
539さんありがとうございます。レイプされる主婦・・いいですよね!
80年代あたりは2時間ドラマの定番のパターンでもありました。
また、お気に入りにしていただいているとはうれしい限りです。
どうか今後もよろしくお願いいたします。
541 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/27(月) 01:28:42 ID:BrkzsFLn
告白を終えた和子は、また押し黙って下を向いた。
衝撃的だった。
あまりにも生々しい和子の告白に、則子は慰めの声すらかけることが出来ず、和子と同じように押し黙ってしまった。
気付かないうちに、則子の心拍数が増加していた。
顔が高潮し、手のひらが汗ばんでいた。
「・・横山さん・・・」
ようやく則子がそう声をかけた。
「でもね・・」
和子がまた口を開いた。
「・・でもね、田島さん・・」
「えっ・・?」
「今考えるとね・・本当に気をつけなくてはいけなかったのは、そのあとだったの・・。」
「そのあと・・?」
「乱暴されちゃったことは仕方が無かったの。自分が無用心だったんだから・・」
「だって、横山さん・・」
「でも、そのあと、そのあと私・・」
和子はまた、衝撃的な出来事を告白し始めた。
美しい人妻の体を得たその若い男は、ゆっくりと起き上がって、そしてつぶやくように言った。
「ごめん・・。ごめんよ奥さん・・、やさしい奥さんを見ていたら、急に奥さんを、その・・」
和子は無言で、まだ横を向いている。
今さら、男の侘びの言葉など何の意味もなさない。
男はそんな和子の上半身を抱き起こすと、彼女の両手を縛っていた紐を解いた。
「縛ったりして、ごめん・・。」
そうなっても、もはや和子には男を突き放したり逃げ出したりする気力は無かった。
犯された現実はあまりにもショッキングで、和子自身どうしてよいのか分からなかったのだ。
静まり返ったリビングの中、無言でふたりは時をやり過ごした。
だが、変化は男の方に起きた。
そうしているうちに、男の心の中の呵責の念と欲望のバランスが徐々に崩れ始めてきたのだ。
542 :
八千草マニア:2006/02/27(月) 11:44:26 ID:ndUXAisf
作者さん、
久しぶりのアップ、楽しみにしていました。
濃い内容ですね。
毎回、楽しませて頂いております。
ところで、先日「悪名無敵」という映画のDVDを借りてきました。
勝新太郎&田宮二郎の名コンビによるシリーズの1作ですが、これに
八千草さんが出演しておられます。
八千草さんには珍しく、非合法売春バーで働く夜の女という、コケティッシュな
役を演じておられます。
カウンターにひじをついて、タバコをふかしたり、はすっぱな大阪弁をしゃべったりと
異色な役柄で面白かったですよ。
こういう役もこなされるとは、さすが、芸の幅が広いですね。
543 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/27(月) 23:45:36 ID:BrkzsFLn
八千草さんの夜の女とは以外ですね。是非見てみたいです!
それから・・画像等アップできずすみません。時間を見つけて必ずアップしますので・・
「なあ・・、なあ奥さん・・」
男はそういいながらそっと、乱れたブラウスのままの和子の肩を抱き寄せた。
そして、その上半身を抱きしめ、男は和子に口付けした。
その唇に嫌悪感こそ表情に出したものの、しかし和子は体を張ってまで抵抗しようという気力が起きなかった。
妻であり、母である立場を考えた場合、本来はここで絶対に抵抗しなければならないところであったのだが・・
そんな冷静な判断を今の和子に求めるのは酷なことであった。
一度唇を離した男は、和子が全く抵抗しないと悟ると、彼女をいきなり抱え上げた。そして、廊下を隔てたところにある寝室に彼女を運んだ。
ここが寝室で、ベッドがあることを、男は侵入して物色している間に知ったのであろう。
和子の体はベッドの上に仰向けに寝かされた。
そして男のは、もはや衣類の役に全く立っていない押し上げられたブラジャーやめくられたままのスカートなどを和子の体から
取り去った。
和子は全裸にされた。
そして、男も全裸になると、間裸で仰向けになったまま天井を見上げている和子の横へ体を添わせた。
男は和子にゆっくりと上半身を重ねると、唇をその色白の裸体に這わせた。
左手で和子の乳房をゆっくりと揉みしだきながら、時折乳首を軽く摘んだ。
男は何度も彼女の腹部を唇で吸い上げる。
和子は男が自分を愛撫して燃え上がらせようとしていることに気付いた。
(なんて無駄なことを・・)
和子は瞳を閉じて、その男の動きに身を任せながらそう思った。
確かに乳首の先端や、唇をあてがわれている部分では、触れられているという感触はある。だがそれが快楽の感覚に結びつくことは
ありえないと和子は思っていた。
しかし、男が右手を和子の左腹部に持ってきて、そこで軽く爪を立ててそこをなぞった瞬間、ビクンと、彼女の体が反応した。
「!!・・」
和子は驚いて、息を殺した。
544 :
八千草マニア:2006/02/28(火) 16:00:18 ID:IcFO7PIj
作者さん
アップありがとうございます。
犯されながらも感じてしまう人妻の微妙な心理のアヤが、良く描かれていると思います。
画像の方、決して急がれる事はありませんので、お暇な時になさってください。
545 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/01(水) 18:09:10 ID:WE1EzLMn
本当にアップペース上がらずすみません・・取り急ぎ続きです
そんな馬鹿な!たまたまだ。何かの間違った反応だ。自分は何も感じていない・・
しかし男は当然その和子の反応を見逃してはいなかった。すぐに彼女が反応したその下腹部を何度も爪でなぞって、そして唇を這わせた。
「ああっ!」
和子は今度は明らかに声を出して、そして再び体を震わせた。
男はそこを何度も唇で吸い上げた。
「あああっ!ああん!」
和子はその敏感な部分を何度も刺激されて、思わず声を上げた。
(そんな!そんな馬鹿な!)
まさか、自分を犯した相手の愛撫に自分が反応することなどありえない!いや、あってはならない!
「いやっ!あっああーんっ!」
そんな思いとは裏腹に、和子の体は反応し、そして今度は思わず下半身を跳ね上げるように動かした。
和子の頭の中が真っ白になって、呼吸が荒くなった。
いけない!このままでは絶対にいけない!
和子は我に返り、抵抗しなければ恐ろしいことになることにはっきりと気付いた。
しかし、既に遅かった。
男は片手を和子の股間へあて、すでに潤いを帯びているその部分を大きくローリングさせた。
明らかな感覚が和子を包み体の力が入らなくなった。
(抵抗しなきゃ!抵抗するのよ!)
しかし、男はさらに乳房や腹部への愛撫をさらに加速させ、和子の体はどんどん熱くなっていく。
「だめ!だめ!だめぇ!」
男が和子に体を被けてきた。
渾身の力を込めて和子はその男の体を払いのけようとしたが、その両腕にはわずかな力しか入らず、汗ばんだ男の裸体の
側面をいたずらに掌でこするだけのものになってしまっていた。
男はそんな和子を余裕をもってやさしく抱きしめると、いとおしげにキスをしてきた。
首を左右に振ることだけが、今の和子に出来る精一杯の抵抗であった。
546 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/01(水) 21:07:00 ID:WE1EzLMn
男が入ってくる。
頭の中では男を拒んでいるのに、体のほうが全く意思に反して男を受け入れていく。男と女の避けられない運命を和子は恨んだ。
男が腰を動かし始めた。
抱きしめられて唇を重ねられる。
交わりあう感覚が、激しくうごめく股間から徐々に和子の全身に広まり、やがてそれは頭の頂点から足の指先にまで行き渡ると、
和子の意識が前後不覚になった。
首筋から乳房へと動いていく男の唇がいとおしいと思った。
激しく額を押し付けてくる男の汗のかすかな匂いが、その男の若々しいたくましさを和子に知らしめた。
男が、奥さん!奥さん!と喘ぎながら耳元で囁いている。
和子は思わず、男の背を抱きしめたくなった。
わずかに残った自制心がそれを押しとどめ、そうならないようにマットレスの白いシーツを両手でぎゅっと掴んだ。
自分が既にはばからず声を上げていることは認識できたが、何と叫んでいるのかは自分でも分からなかった。
やがて、営むことの時は確実に過ぎていき、勢いの増した男の腰の動きが、シーツを握る和子の意識を徐々に混濁させていき、
そしてとうとう、その手はシーツを離れた。
「ああんっ!ああんっ!あん!あん!あん!ああーんっ!」
溶けきるような甘美な声が寝室にこだました時、男も激しく射精を開始した。
振り絞るように男は和子の体内に打ち放ち、やがて、静かになった。
静寂の中、徐々に自我を取り戻し始めた和子は、うつ伏せになって自分に倒れ掛かっている男の背に、硬く両手を回していることに
ようやく気付いた。
はっとして両手を男の背から離し、そしてようやく力が入るようになったその両手で、思い切り男の体を払いのけた。
男の体は力なく和子の横へ転がった。
「誤解しないで!」
和子はそう言うとベッドの淵に間裸のまま正座して、そして叫ぶようにまた言った。
「誤解、しないで・・ちょうだい・・・。」
和子は顔を手で覆って、そして泣き崩れた。
平凡な人妻が強盗に犯され、感じてしまう・・・ 読んでて興奮しました!!
特に、快感に溺れそうになる自分と自制心の葛藤というのでしょうか
自分的には、この葛藤(この言葉が適当かわかりませんが・・・)に興奮しました。
548 :
八千草マニア:2006/03/02(木) 11:08:49 ID:tVeYE0Re
作者さん
素晴らしい描写です。
以前から作者さんの文章力の確かさには感服致しておりましたが、レイプ場面と言う
難しい描写をかくも的確に、しかも露骨でなく、おまけに登場人物の心理の変化のアヤを
巧みに織り込んでおられるとは・・・これなどは、もはやアマチュアというには勿体無いような
感じが致します。
まさしく「入魂の作」ですね!
主軸のカップルより、脇の2組のカップルの方が気になってしまう。
作者さんの意図とは違うかもしれないけど。
550 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/07(火) 21:38:54 ID:MG+Y1DxK
すみません・・ 出張等で忙しくアップやレスが出来ませんでした。
547さん、有難うございます!葛藤の雰囲気は出ていたでしょうか。犯された女性は
感じたりするものなのかは、男性側の勝手な無責任な空想論がよく展開されますが、
自分なりに答えを出してみたくて書いてみました。(オーバーですね・・)
八千草マニアさん、有難うございます!これ以上のお褒めの言葉はございません。
もっとしっかり記述したいのですが時間が無くて雑なのですが・・、そのうち
また加筆したいと思います。
549さん 有難うございます!脇の2組のカップル とは繁と恵実・和子と若い男
のことでしょうか。自分もこの二組についてはしっかり記述して以降と思っています。
そしてうまく本編?の則子と北川のストーリーにスパイスのように利かせて
いければと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
551 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/07(火) 21:43:59 ID:MG+Y1DxK
大粒の涙が和子の瞳から零れ落ちた。
最初に犯されたときは涙さえ出すことが出来なかったのに、いまは真珠のような涙の粒が滴り落ちていく。
なぜ悲しいのか、いや、悲しいから泣いているのか、和子自身にも分からなかった。
それでも和子は、落ち着きを取り戻し始めると、その涙を抑えるようになった。
そんな和子に、男は再び近付いた。
されるがまま、和子の裸の体は、ベッドに仰向けになった。
「その日は、何度も、されたわ・・。もう私、完全におかしくなってしまっていたのね・・。バカでしょう・・。どうしても拒めなかった・・。」
「横山さん・・・」
「娘が・・綾香が帰ってくることを男に告げると、ようやく男は家を出て行ったわ。お金などは何も持ち去らなかったし、ベッドの周り
を片付けるだけで、男がいた跡は、なにも残らなかった。」
「お嬢さんも、ご主人も、その日の出来事は知らないのね・・」
則子の問いかけに、和子は頷いた。
「でも、でもひどいわ!女の人の体が繊細なことに付け込んで何度もあなたを乱暴するなんて・・」
則子がめずらしく声を荒げてそう言った。
もちろん、暴漢への憎しみもあってのことだったが、それに加えて、生々しい和子の告白に、必要以上に則子の心が動揺していたこともあった。
なぜそんなに自分が動揺しているのか、まだ則子は自覚をしてはいなかったが・・。
和子はまだ黙ってうつむいている。
ようやく則子も落ち着いて、そして諭すように言った。
「つらかったでしょう・・横山さん・・。でも、はやく忘れるのよ・・。今度はしっかり鍵をかけて、もうそんな事が2度と無いように・・。」
その則子の言葉に、うつむいていた和子が反応した。
「その男とは・・、それで終わったわけではないの・・。」
「え・・・?」
則子は驚いて和子を凝視した。
「その男とは・・、次の日も会ったの・・」
「横山さん!?」
和子は、目を見開いて自分を見る則子に、また告白を続けた。
552 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/07(火) 23:09:02 ID:MG+Y1DxK
翌日になった。
きのう、あれだけの衝撃的な出来事があったばかりだというのに、窓の外の日差しも、午前中に一度通る郵便配達のオートバイの音も、
まるで自分には何も起きていないかのような錯覚を覚えるほど、変化の無いものであった。
しかし・・、と和子はソファーに腰掛けながら昨日の出来事を思い返していた。
夕方に娘が高校から帰ってきて、そして7時には夫が帰宅した。
何事も無かったかのように会話を交わして、笑みを浮かべて、そして夕食をともにした。
夜も更けて、日中に自分が陵辱の限りを尽くされた同じベッドで、夫は早くも寝息を立てていた。
夫は先日、会社では次長になったばかりであった。一番忙しく神経を使う時期であったので、家に帰るとぐったりして、
すぐに寝付いてしまうことが殆どであった。
しかし、和子はその日はなかなか寝付けなかった。
脳裏には、昼間の、自分の体の隅々をうごめいたあの男の唇と両手の動きが焼きついて離れなかった。
そう・・、ソファーに座ったまま、窓ガラス越しに外の景色を見た。
洗濯も掃除も、今日はする気がまったく起きなかった。
和子はふと我に返った。
ぼーっとしているうちに11時近くになっていた。きのう、自分が洗濯物をベランダで干し終わった頃の時間であった・・。
あわててソファーから立ち上がって、家中の窓ガラスを閉めた。
窓の鍵をかけて、カーテンを引いた。
そして・・、最後に、玄関の鍵に手をかけて、それを右に回した。
回した後、その鍵のレバーから、右手が離れなかった。
しばらく、右手はそのままの状態で、和子は玄関に立ち尽くした。
和子は鍵のレバーを、左に回した。
553 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/07(火) 23:09:51 ID:MG+Y1DxK
それでは鍵がかからないことは、当然和子にも分かっていた。しかし、なぜ自分がそうしたのか、和子は自分でもその理由を見つけることが
出来なかった。
そしてまたリビングに戻り、ソファーに腰掛けて、スカートから出ている両膝をあわせて、そこにそっと両手を置いた。
それから程なくしてのことであった。
玄関のドアが、ガチャっと言う音を立てた。
はっとして、和子は立ち上がった。
玄関のドアがゆっくり開く音がしている。
やがて床鳴りをかすかに立てながら、あの・・「若い男」はリビングに入ってきた。
和子は立ち尽くしたまま両手をぎゅっと握りしめ、近付いてくる男を凝視した。
すみません・・今日はこれで終わりです・・また頑張ります
興奮して読まさせてもらいました。
何か「夜も更けて、日中に自分が陵辱の限りを尽くされた同じベッドで、夫は早くも寝息を立てていた。」というところが妙に興奮しました!
今後の展開が非常に楽しみです! よろしくお願いします。
555 :
八千草マニア:2006/03/08(水) 10:25:31 ID:Ew8sEIY9
作者さん
素晴らしい出来ですね。
人妻が凌辱されて、その翌日の描写は、554氏が指摘された通り、妙にそそられる
ものがあります。
今後も期待しておりますので・・・・あ、それから「八千草則子」さんの官能場面も
そろそろ・・・(笑)
556 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/08(水) 11:34:55 ID:MMjTcw4A
544さん 有難うございます。ベッドの記述は、自宅で何かがあったらば必然的に
起こることとして書いてみたのですが、うまくお伝えできたようでよかったです。
八千草マニアさん 有難うございます。次の則子さんの展開もしっかり構想はしているのですが
ペースが進まずすみません。どうかもう少しお待ちください^^
557 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/08(水) 23:06:34 ID:9Wcnfw2n
男が口を開いた。
「まさかと思ったよ・・。まさか、玄関の鍵が開いているなんて・・」
男が近付いてくる。
和子は瞬き一つせず、男を凝視したまま、両手を握り締めたまま、ゆっくり後さずりした。
しかし、和子の背はすぐに壁にさえぎられた。
男の顔が、もう和子のすぐそばにある。
さらに・・男が、近付く・・。
ふたりの唇が重なった。
和子は抱きしめられた。
そして、和子は、瞳を閉じた。
和子を抱きしめた男の手は、そのまま和子のクリーム色のスカートの腰の部分に移動してきた。
そして男は、そのスカートをたくし上げていった。
ベッドでの男の指使いは、荒々しいようでいて、要所要所は丁寧に的確に和子を捉えていた。
わずかな間のうちに和子の隅々を知ったような男の唇の動きがあった。
されるがままに和子は体を反応させ、男と絡み合う。
和子の喘ぐ息と声が男の腰の動きをさらに増幅させ、増幅した動きにさらに和子は体を悶えさせた。
お互いが強く硬く抱きしめ合い、そして歓喜の声がふたりから上がった。
男がその日6度目の射精を和子に行ったとき、ベッドサイドの置時計の針が午後3時を示していた。
ようやく、ふたりは疲労と空腹を覚えた。
「娘さん、帰ってくるんだろう・・」
和子の上にうつ伏せになったまま、精気なく男がつぶやいた。
「・・ええ・・」
和子は天井の模様をぼんやりと眺めながら、小声で答えた。
男はゆっくりと和子から離れると、ネピアで自分の後始末をした後、身支度を始めた。
「奥さんは・・?」
和子は、シーツを腰の辺りから胸周りにまで引き上げながら言った。
「・・放っておいて・・・」
男は、まだ裸のままシーツで体を覆っている和子に近付いた。
「また・・、また逢えるだろう?」
558 :
八千草マニア:2006/03/08(水) 23:28:14 ID:Ew8sEIY9
作者さん
何だか、男を軽蔑しながらも、受け入れてしまっている人妻の哀しさが、よく
現れていますね。
それと、この若い男の図々しさもいいです(笑)
6度目の射精・・・生々しいです。
続き、期待してますので。
八千草マニアさんが書かれてましたが、人妻の心情がよく書かれていますね。
それと対照的な男の生々しい表現 この対象さが興奮するんでしょうか。
勝手ながら、和子さんのファンになりそうです((^^;)
560 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/10(金) 01:01:27 ID:YHgDtB42
男は、和子の乱れた髪を右手で梳かすようになでながら言った。
「・・放っておいて・・・」
和子は顔をシーツの中にうずめた。泣いているのであろうか。
男はそれ以上和子に干渉することなく、静かに部屋を出て行った。
しばらくして、目を真っ赤にさせた和子がシーツを払いのけて、カーペットの上に降り立った。
そして、何時間か前に男の手で緩やかに脱がされ、放り出されて部屋の隅に丸まっていた純白のパンティーを、そっと手に取った。
全てを話し終えた和子は、目を見開いたまま無言でうつむいた。
彼女の顔が紅潮していた。
しかし、それ以上に、則子の顔は赤らんでいた。
額に汗がじっとりと浮かんでくる・・。
衝撃的だった。和子の告白はあまりにも衝撃的であった。
乱暴した男に再び侵入され、そして体をまるで手玉に取られるようにもてあそばれてしまうとは。
それにしても・・、と則子は思った。
なぜ和子は鍵をかけることをためらったのであろうか・・。
「どうして・・鍵をかけなかったの?」
和子はうつむいて、それには答えなかった。
則子もそれ以上は和子に問いかけなかった。いや、続けて問いかけを行えるほどの余裕が則子には無かった。
自分の動悸が激しさを増していることに則子は気付いていた。
「とにかく、横山さん・・」
則子が再び話しかけた。
「気を強く持たなければだめよ!そうしないとその男のされるがままにされて、このままずっと乱暴され続けられてしまうわ!
警察に言ったり、ご主人に相談したりは出来ないでしょう・・だからあなたが気を確かに持って、何とか相手を拒むのよ・・」
そう言われて。和子は少し顔を上げたものの、すぐにまたうなだれて、力なく話した。
「うん、田島さん・・有難う・・頑張ってみるわ・・」
「気を確かに持って、万が一またその男に出会うようなことがあっても、しっかりと拒絶しなくてはだめよ・・」
「・・うん・・」
和子は再び弱くうなずいた。
ここで描かれている和子さん、いいなぁと思います。
なんか大人の女の魅力と、しぐさのかわいらしさ・はじらいを持ち合わせているようで魅力を感じます。
勝手な希望ですが、完全合意の元の則子さんとの対照的存在で行ってもらえたらなと思います。(すみません・・)
以前、新入社員の教育のようなものを担当しましたが、その入社式では父兄出席の元あるわけですが、私の担当したコの父母もこられていました。
その母親(以下、Y子さんとします)は和子さんのように大人の女の魅力と、しぐさのかわいらしさ・はじらいを持ち合わせている人妻さんでした。
その魅力に負けて、実はY子さんとは、【和子さんと若い男】に近い関係になったのです。 それは私の転勤まで続きました。
そんなことが和子さんのイメージにダブるような気がして、すごく思い入れを感じます。
勝手なことを長々と書いてすみません。
562 :
八千草マニア:2006/03/10(金) 08:52:09 ID:AxfngR00
作者さん
ぐっとくる展開ですね。
昔見た「お昼のドラマ」の香りがします。
それにしても和子さん・・・
嫌悪しながらも男を引き寄せてしまう・・・
彼女から、何かフェロモンのようなものが出ているんでしょうか?
それと、則子さんの反応
「しかし、それ以上に則子の顔は赤らんでいた」
性的興奮でもおぼえたとか?
女心は複雑です。
以後も、期待しておりますので。無理をなさらないで、執筆を続けてください。
563 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/12(日) 00:37:23 ID:66XM0R2y
「和子さんファンさん」有難うございます。しかもこんな素晴らしいハンドルネーム
まで付けていただきまして、感激です・・。
しかも!!いやーーー!ものすごいご経験をお話いただきまして有難うございます!
すごいですね!うらやましい!なんだかそれだけで小説が書けそうですね・・。
また詳細教えてください。
八千草マニアさん 有難うございます。私の狙っているところが伝わっているようで
うれしいです!がんばって書いていきます。貴兄の第2部、すごく楽しみです!!
ところで、2CHの 女優(仮)@2ch掲示板 にも八千草さんのスレがあるのですが、そちらで
八千草さんのブロマイドを探している方がおられました。そこで私の持っているものをアップしましょうかと
レスしています。サンプル画像もはっていまして・・
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up27172.jpg です。
564 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/12(日) 00:38:54 ID:66XM0R2y
その後、ふたりはすぐに甘見屋を出た。
「何かあったら、すぐに連絡を頂戴ね」
「・・うん、有難う・・田島さん。心配かけちゃって悪かったわね・・」
「何を言っているの・・お友達じゃない・・」
そう言って則子は和子の肩を軽2回たたいた。
「それじゃ・・」
和子は則子に背を向けると、ゆっくりと自宅のほうに向かって歩き始めた。
その姿を則子はしばらく見送っていたが、和子がタバコ屋の角を曲がって見えなくなると、大きく息を吐いて、そして駅のほうへ
向かっておもむろに歩き始めた。
彼女が向かったのは駅前の電話ボックスであった。
十円玉を入れて、ダイヤルを回した。
「もしもし、こちら三協商事の田中と申しますが・・製作2課の北川係長様はいらっしゃるでしょうか・・」
しかし、電話に出た女子社員は、明るい、はきはきした声で無常にもこう言った。
『大変申し訳ございません。北川はあいにく外出しておりまして・・、本日18時ごろ社に戻る予定になっておりますが・・』
失望して、則子は思わずため息を吐いた。
丁重に電話を切り、電話ボックスから出ると、また大きくため息を吐いた。
今日は・・北川に逢いたかった・・
こんな時、電波か何かでやり取りできる個人電話があったらばと思わず考えたが、そんなものはSFか夢の中の話でしかない。
則子は失望しながらも、まだ波打っている自分の胸の高まりを感じていた。
どうしたことだろう・・。どうしてこんなにも胸が高鳴るのだろう・・。
仕方なく、則子は多摩川の土手を早足に歩き、自宅へ戻った。
玄関のドアを開けた。
そこには白いリーガルのシューズが脱ぎ捨ててあった。繁が戻っいてたのだ。
しかし、そのことにはあまり意識が行かず、則子は玄関を上がるとすぐに和室に入った。
そして、窓の障子と入り口の戸襖をしっかり閉めると、両手を背に回し、ワンピースのフックを外して、ファスナーを下げた。
565 :
八千草マニア:2006/03/12(日) 05:21:09 ID:Ly4pT5Ri
作者さん
新作アップですね。
和子さんのレイプ告白を聞いて、切ない気持になって、北川に電話をしてしまう
則子さん・・・・何だか、女心の複雑なアヤが表現されているようでいいです
ねぇ。
「電波か何かでやり取りできる個人電話」・・・携帯電話の存在を暗喩する
表現ですね。
当時はまだ、そういうものは無かったんですね。
便利さとはまだまだ無縁の時代だったんですな。
則子さんの着替えのシーン・・・ほんと、絵になりますね。
それから、ご紹介の写真・・・若い頃のプロマイドでしょうか?
さすが八千草さん、お若い頃から美しい!
今後の展開、期待しておりますので。
566 :
和子さんファン(^_^;):2006/03/12(日) 08:09:32 ID:jB53lxNW
犯された、しかも鍵をあえてかけず再び・・・という告白を聞いて興奮している感じ、逢いたいときに彼はいない・・・というところが、感じられます。
「個人電話」そうですね、ケータイはそれこそドラえもんの「どこでも電話〜」の世界ですね (@_@)
567 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/14(火) 21:04:15 ID:g9UNo/1R
ワンピースが畳に上に落ち、表れたスリップの肩紐にそっと左手を伸ばす。
やはり・・、心臓の鼓動がそこまで伝わってくる・・。
スリップを脱ぎ捨てて、ブラジャーとパンティーだけの姿になった。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up27709.jpg そして、壁を背にしてゆっくりと畳に座り込むと、右手をパンティーの中へ忍ばせる・・・。
「お母さん、帰ってきたのかい?」
はっとして、あわてて則子は立ち上がった。戸襖1枚隔てて、繁のその声がした。いつの間にか1階に下りてきていたらしい。
思わず則子は叫んだ。
「入らないで!」
「え?」
和室に入ろうとしていた繁は、思わず戸襖から手を放した。
「着替えているのよ!だから、入らないで頂戴!」
則子が続けて戸襖の向こうで叫んだ。
当然、パンティーからは右手を引き抜いていた。
「ご、ごめん、お母さん・・」
そうか、着替えていたのか、それは・・悪いことをした・・。
繁はすまないと思いながら、しかしどこか腑に落ちない面持ちであった。
母は自分の前で着替えることに関して、そんなに気にするタイプではなかったと思ったからだ。
小学生の頃は自分の前で堂々とスカートを履き替えていたし、中学生になってからは、自分の前で着替える母が恥ずかしく、そんな状況になると
自分から目に触れないところに移動したりしていた。
まぁ、それはそれとして、母が見られたく無いと言うのだから仕方が無い。
繁はとりあえず、今のソファーにどっかりと腰を下ろした。
やがて則子が和室から出てきた。白いワンピースと青いスカート・・いつもの平凡な格好であった。
「あのさ、お母さん・・」
繁がそう則子に話しかけると、則子はいかにも機嫌が悪そうな顔を繁に見せながら言い返した。
「繁ちゃん、お勉強はどうしたの?スクーリングが終わっても、おうちで勉強することはたくさんあるんでしょう!」
あっけに取られて、繁は言葉を返すことが出来なかった。
568 :
八千草マニア:2006/03/14(火) 22:39:35 ID:2l5Bs4A/
作者さん
アップありがとうございます。
それと、「挿し絵」の写真・・・よくこんな貴重なショットを残しておられましたね。
感心する事しきりであります。
さて、則子さん・・・北川氏と逢えずに、何だかイライラしておられるようで、
この先どうなるか?
期待大です。
八千草さんの際どいショットは、私も所蔵しております。
前にもお話しましたが、「季節が変る日」におけるものです。
布一枚で胸を押さえているもので、背後から迫るは、岡田真澄氏・・・
スキャナーがないので、アップできないのが残念です。
569 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/14(火) 23:32:10 ID:g9UNo/1R
八千草マニアさん 有難うございます。
季節が変る日 見てみたいですね。あと、遥かな坂 も
掘り出し物見っけ というサイトがあるので、利用したことはありませんが
呼びかけてみようかなぁ・・。
マニアさんは 季節が変る日 を実際にご覧になったことがあるんですよね。
そのとき八千草さんは毛布の中で悶えたり喘いだりしていたのでしょうか・・
知らないだけに色々想像してしまいますね。
570 :
八千草マニア:2006/03/14(火) 23:46:51 ID:2l5Bs4A/
作者さん
「季節が・・・」では、悶えたり喘いだり・・・というところまではありませんでし
た。
ただ、ラブホテルのベッドの中で、事を終えた二人(八千草さんと岡田真澄氏)が
抱き合って会話をしている・・・というくらいです。
八千草さんは、毛布で胸が見えるギリギリのところで押さえていて・・・という
感じでした。
「遥かな・・・」は、実際に見たことはありませんが、こちらの方は不倫相手
(片岡孝夫氏=当時=)と、車の中でキスをしたり、旅館の布団の上に押し倒されて
・・・という場面があったように記憶しています。
571 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/14(火) 23:58:40 ID:g9UNo/1R
季節が・・・ はそうだったんですか でも逆に、そのほうが自由に想像出来て
いいですね。岸辺もそうでしたし・・。テレビの岸辺では繁がホテルを張るシーンで、
ホテルに入る八千草さんと、出てきた八千草さんの服装や髪型がまったく
同じでしたが、これは撮影上の都合と言うよりあえてホテルの外の則子と
中での則子を明確に分けたかったからだと自分は解釈しています。それだけに
あのシーンは想像して萌えたものでした(今も・・)それから繁が外ですいぶん長いこと
待っているシーンもホテルの中で則子が何をしているのか暗示していて、良かったなぁ・・!
572 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/15(水) 18:20:05 ID:igLYHg4v
則子はそう言うと押し黙って、台所へ入っていった。明らかにイライラしていた。
(なんだよ・・。せっかく、お母さんが則子だった群馬の大学の下見に行く話を進めようと思ったのに・・)
繁は肩を落として、そして2階に上がっていった。自分の部屋に入り、当然勉強する気など起きないので、そのままベッドへ仰向けに寝転んだ。
いったい・・、母は何であんなにイライラしているのであろうか・。
母がそういうそぶりを見せるのはめずらしくはない。しかし、たいがいは学校での父母面談で繁の成績について先生から指摘された
時に見せることがほとんどで、今日に限っては繁には思い当たる節が無い。
もしかすると・・母の浮気に原因があるのであろうか・・。先日見たあの男と、何かあったのであろうか。
しかしそういう様子ではないように思えた。まだ母があの男と関係を続けているかどうかの確証は得ていないが、今まで母の浮気においての
繁の感は、残念なくらい良く当たっていた。それからすると、どうも今日の母の態度は浮気が原因には思えなかった。
夕食は、繁と則子のふたりだけであった。ここの所ずっとそうである。
いつもは何かと繁に話しかけてくる則子であるが、やはり今日はむすっとした面持ちで、ほとんど二人は口を聞かなかった。
「ごちそうさま・・」
繁はいつまでも食卓にいても仕方ないので、早めに夕飯を切り上げて立ち上がった。
則子は黙って箸を運んでいる。
繁はそんな則子を気にしながらも、2階へ上がって、また自分のベッドへ仰向けになった。
(まったく・・お母さんには色々気をもませるよ・・)
一方・・、と、繁は思い浮かべた。
頭の中に、沖田恵実の姿があった。
黒の地にブルーの鮮やかな文様の入った美しいワンピースを装って微笑む姿を連想した。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up27820.jpg 次に、小学生高学年の時見かけて、いまだにその姿が焼きついている彼女のミニスカート姿を思い起こした。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up27822.jpg 空想することは自由であった。
善悪で判断すれば、それはあまり良いことではないのかもしれない。しかし、誰にも分からないことであった。
そして、繁の頭の中では沖田恵実は、その美しい装いを、1枚1枚と脱ぎ捨てていくのであった。
573 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/15(水) 18:24:27 ID:igLYHg4v
挿絵ですが、お借りしているアップローダーさんの調子が悪いようでつながりにくいかもしれません。
エラーが出た画面で何度か更新ボタンを押していると表示されるようです。
574 :
八千草マニア:2006/03/15(水) 20:23:54 ID:ShvokQOt
作者さん
挿し絵、上手く見る事が出来ました。
秋山さん(いやいや、沖田恵実さんでした)美しいですねぇ・・・
最初の挿し絵ですが、元になった写真は、私も持っております。
それはさておき・・・・則子さんのイライラ、解消されるんでしょうか?
何となく気が揉めます。
それと、繁君は・・・やっぱり一気に「初体験」といくんでしょうかね?
こちらも楽しみです。
575 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/16(木) 00:42:29 ID:n+OtdYbl
八千草マニアさん 有難うございます
ありゃりゃ! お母さんが則子だった すみません・・お母さんが乗り気だった でした・・
秋山しのぶさん、本当に素敵ですよね。このスレで知るまで全く存じ上げなかったのですが
知ってから自分なりに少しずつ資料を集めています。
あと、モデルさんと言えば、横山さんこと山内住江さんと双璧(?)をなすかたがいらっしゃいます。
小説には役をつけて登場させる予定はありませんが、その方は「稲葉佳枝」さんです。
野球にONがいたりビートルズにポールとジョンがいるように、昭和40年代にミセス誌で
山内住江さんとコンビを組んで主婦モデルのトップスターの一人として活躍をされた方です。山内さんが一般的な
ミセスの象徴として掲載されたのに対し稲葉さんは少し若いヤングミセスの象徴として掲載されました。
い花さんはその後ファッションデザイナーとなり、いまや有名ブランドになっています。
機会がありましたら写真をアップします(といって、いつになることやら・・)
先日、新聞に載っていたのですが、自宅近くで山田太一さんらが対談するトークイベントがあったそうです。 その中で山田さんは「岸辺のアルバム」の創作意図について、
「三世代同居の大家族をテーマにしたドラマは当時の現実から離れていた。
もっと現実に目を向けたリアルな作品を描きたかった」と振り返った。などとありました。
577 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/22(水) 15:50:59 ID:eGd3OixY
繁が翌朝目覚めると、父はもちろん、姉も既に出かけた後であった。
1階に下りると、母は朝食の片付けの水洗いを台所で行っていた。
白いブラウスに薄い水色のスカート姿で、背中を繁に見せている。
自分が下りてきたことは分かっているはずなのにとくに声をかける様子は見えなかった。まだ昨日のようにどこか機嫌が悪いのであろうか。
「塾へ言ってくるよ」
「あら、朝ごはんは?」
ようやく則子は振り向いてそう言った。
「時間が無いから、いらないや」
「授業が終わっても、遊んでいないで早く帰ってくるのよ。家でお夕飯を食べるのよ。」
則子はそう言うと、また繁に背を向けて洗い物の続きをはじめた。
繁は返事もせず、玄関を出て行った。
やはり、母はどこかいつもと違っていた。
ただ、早く帰ってこいという言葉だけには繁は安堵した。
母のイライラの原因は浮気に関係することではないと昨日も思ってはいたものの、最近は比重の大きくなってきた塾の授業で母
の外出の度合いを十分に確認できないでいた。それが、今朝は、自分になるべく早く帰って来いという。仮に母がまだ浮気を
続けているとしたら、なるべく自分は家の外にいさせて、母は自由の時間を作ろうとするはずだ。
単純な発送であったが、繁は少しでも「母が自分の母」であるよりどころを求めたかった。
繁が出かけていって、則子はすぐに台所の水道の蛇口を閉めた。
手ぬぐいで手を拭くと、おもむろに和室に入った。
今は家には誰もいない。邪魔されるものは何一つ無い・・。
畳の上に正座した。 Image tp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up28532.jpg
足を投げ出そうか・・・
しかし、昨日の、息子に恥ずかしい姿を見られそうになった自分を思い起こした。
明るい、外の多摩川の土手の風景を見た。
(バカだわ・・いい歳をして・・私、どうかしているわ・・)
頭の中を、若いたくましい男に激しく抱かれて喘ぐ横山和子の姿がよぎった。そして体がまた熱くなってきた。
聞いただけの話だ。勝手な想像なのだ。見たわけではない。しかし、それはおそらく実際の光景ともさほど差異がないことも事実であった。
(だからって・・)
578 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/22(水) 20:59:04 ID:eGd3OixY
則子は立ち上がった。
電話が鳴ったのは、その時であった。
『すみません。昨日、お電話をいただいていましたか?』
北川であった。待ちわびていた声であった。車の通行の音が入ってくる。外の公衆電話からかけているようだ。
「お忙しいのに、ごめんなさい・・。ちょっと、お友達のことでお話がしたかったの」
(逢いたいの!今日はどうしても逢いたいの!)
電話を取ったとき、相手が北川であることを知った則子は心を躍らせてそう言い出しかねない気持ちであったが、
貞淑な人妻の自制心がそれを何とか押しとどめた。
『午後3時ごろなら時間が取れます。もしその時間帯でよろしければ時間が取れますが・・』
「私は大丈夫・・。お忙しいのに悪いわね。」
『私は暇な万年係長ですから問題ありません。何処でお逢いしましょうか・・?』
北川のその提案に、則子は思わず言葉を詰まらせた。前もっての約束ではないので、逢う時間が遅くなってしまうことは仕方が無い。
しかし、自分が相談したいと言っていることから、もしかすると北川は喫茶店で話をすることだけを想定しているかもしれない。
『・・あまり、時間も取れそうにもありませんから・・』
話し出す北川に、則子はまた息を呑んだ。
『ちょっと野暮ですが・・、先にホテルで待っていていただけないでしょうか・・?』
その時、則子の体全体に優美な感覚が走っていった。
アルハンブラ・・、の1室に先に入った則子は、ベッドの淵に腰をかけながら北川の到着を待った。
則子は先ほどの北川との会話を回想していた。
もし北川がホテルで落ち合うと言う提案を持ち出していなかったら、もしかしたら自分からそれを提案していたかもしれない。
則子はそんな自分を想像して恥ずかしくなって、誰もいないのに思わず一瞬、顔を両手で覆った。
そして顔を上げると、あらためて部屋の中を見渡した。
考えてみると、初めて北川と結ばれたあの日以来、自分と北川は喫茶店で合わせをしてホテルに入るか、北川が先にホテルに入っているかの
どちらかのケースが多かった。
579 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/22(水) 21:51:00 ID:eGd3OixY
こうして先に自分ひとりが入って北川を待つということは、日比谷の皇居の淵のシティホテルの時以来であるが、シティホテルの明るい
雰囲気と比較して、アルハンブラの室内は薄暗く、いかにも「そのため」の設えが余計に自分の今の感情を映し出しているかのようで、
それも則子の淑やかな心を揺るがしていた。
部屋に唯一ある小さな明り取りの窓から、午後の日差しが差し込んでいた。
気付いた則子は、その窓のカーテンを閉めた。
家では、多摩川土手越しの明るい日差しが大好きなはずなのに・・、と則子はカーテンを締め終えた後、そう思い返した。
その時、チャイムの音がした。
則子は入り口のドアへ駆け寄り、鍵を開けて、そして少し開けたドアの隙間から、淡いブルーのサマースーツに身を包んだ北川の姿を見た。
「素敵なデザインですね・・」
部屋に入った北川がスーツの上着を脱ぎながらそういった。
「え?あら・・」
それが、今日則子が装ってきた襟なしのパープルのフラワー柄のワンピースのことであることを知ると、則子は恥ずかしそうに
下を向いた。
そうして、ほんの一瞬、言葉の無い時間が過ぎた直後、北川は則子を自分の胸に抱き寄せた。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up28547.jpg はっ!という則子の息が聞こえたあと、ふたりの体はベッドの中へ倒れこんだ。
「奥さん・・」
かすかに北川がそう言った。
せわしく唇を重ね、お互いの舌を交し合う。
唇を重ねたまま、北川の手が則子のワンピースのスカートをめくり上げていく。
スカートからパンティーへ伸びてくる北川の手の動きを感じながら則子は、横山和子が強盗に襲われたときの、スカートを
めくり上げられたという彼女の様子を思い浮かべて自分の今の姿と重ねた。
一気に熱くなった自分の体を則子は感じた。
北川の唇が、押し上げられたブラジャーのそこにある乳房に移動して、激しく、やさしく、そこを愛撫する。
我慢できなくなった則子は、まだワイシャツを着たままである北川の背に思い切りしがみ付いた。
580 :
八千草マニア:2006/03/23(木) 10:19:11 ID:9Q9VqksP
作者さん
久しぶりのアップですね。
いやあ、則子さん、積極的ですね。
こういうの、大好きです。
期待していますから!
それと、本当に「挿し絵」の方も、雰囲気に合っています。
ありがとうございます。
581 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/24(金) 01:01:25 ID:Vvj9HqC0
いつもなら、結び合った後は北川の動きにまかせて、日常から解き放たれていくその感覚に酔いしれるのであるが、
熱くなっていた今日の則子は違っていた。
結ばれて、北川が動き始めた直後から、しっかり北川にしがみついて自らの腰を動かした。
則子のその腰の動きは彼女の意思によらず、まるでひとりでに動いていくかのように徐々に激しさを増していった。
私はどうかしている・・!
相手が困惑するのでは・・!
そんな則子の思いとはうらはらに彼女の体はいつになく激しくうごめいた。
北川は動じることなく冷静に則子を貫いていく。
その動きの懸隔が、則子をはかりしれない速度で上り詰めさせた。
体中に溢れかえる感覚に則子は我慢できなくなって、まだ始まったばかりだと言うのに大きく首をそらして、そして悶えた。
夢中で顔を左右に振る。
北川の唇がその動きを追いかけるように則子の唇や首筋にあてがわれる。
我慢したかったが、まったく我慢が出来なかった。
「んあーっ!あんっ!あんっ!」
あっという間に則子は上り詰めた。しかし当然北川は開放を許さず、則子をしっかりと抱きしめたまま、同じ間隔で彼女を求め続ける。
「あっ!」
乳首を舌で愛されて、休むことなく則子の心と体は燃え上がった。
北川は則子を仰向けにさせたまま自分は上半身を起こし、動きを止めぬまま、仰向けでいる則子の両乳房を手のひらに取った。
則子は股間と乳房の双方から、同じ波の刺激を受けた。
思わず大きく声を上げた。
恥ずかしい!恥ずかしい!しかし、それは昨日、和子の衝撃的な告白を受けて以来、自分の心身が無意識のうちに
求め続けていたものにほかならなかった。
ぐっと乳房を掴まれた時、則子は首から上を大きくベッドの上にそらして、そしてそのまま顔を大きく左右に振って、悶えた。
その容姿の全てを上から北川に目にされているという状態が、喘ぐ則子の羞恥心と充足感を心の中でかき乱され、そしてそれは
確かな感覚となって再び彼女を上り詰めさせた。
「あっ!あっ!あっ!ああーっ!」
一瞬、則子は脱力したが、北川はまだ余力を残していた。いつになく激しく燃える人妻をもう一度歓喜させようと、大きく腰を動かして
そして彼女を再び強く抱きしめた。
582 :
八千草マニア:2006/03/24(金) 09:33:52 ID:3RWM/ajM
作者さん
則子さん、激しいですね!
迫真の描写です。
これほどの激しさを見たことは、今だかつてありませんでした。
ついつい、若き日の八千草さんのお姿とダブってしまいました。
作者さんの文章力には、ただただ敬服するばかりです。
583 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/24(金) 23:26:41 ID:Vvj9HqC0
八千草マニアさん 有難うございます。いつも本当に励まされます。書き続けていてよかったと思います。
多忙にかまけ、間隔があいてしまって申し訳ないのですが、今後も頑張ってアップします。
584 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/24(金) 23:28:45 ID:Vvj9HqC0
その日初めて、ふたりの心身が同調し、ふたりは夢中でキスを交わし、そしてお互いの額と頬を感性のおもむくまま激しくこすり合わせた。
北川の腰の動きが徐々に早くなってくる。
どちらともなく愛する言葉を囁きあい、それがさらにお互いを燃え上がらせ、そして最後ははじけ飛ぶようにふたりは上り詰めた。
自分でなんといっているのか分からないくらい激しく歓喜の声を則子は上げ、周囲の風景が真っ白になり、そして世界中で一番幸せだと感じた。
そうか・・と則子はその時気付いた。
自分は嫉妬していたのだ、と。
特異な状況の中でも女として至福の時を幾度も迎えた和子に無意識のうちに嫉妬していた。
そして今、北川に抱かれることで、その呪縛から開放されたことも・・。
真っ白になっていた周囲の風景が、徐々に実際のアルハンブラの薄暗い壁の模様に戻っていったとき、北川も則子への長い射精の時間を終えていた。
「女の人って、弱いのかしら・・」
余韻の感覚に酔いながら、北川の腕の中で、則子は口を開いた。
「どうして、そんなことを言うのですか」
則子は友人である横山和子のことを話した。
若い男に犯されてしまったこと。
再び求めてきたその男に、十分に抗し切れなかったこと。
そして・・・
「・・どうして彼女は、次の日も玄関の鍵をしっかりかけなかったのかしら・・」
北川もしばらくその則子の疑問に答えようと、思案していたようであったが、なかなか彼の口からも答えは出てこなかった。
ようやく北川は言った。
「わかりません。しかし・・」
「しかし・・?」
「男女の気持ちは自分たちでは分からないくらい奥深いものなのかも知れません。鍵の件に対の答えは、おそらく私たちにも、そして
お友達の方自身にも、ずっと分からないのかもしれません。単に、女性の身体的なことだけで、答えが出ないのだと、僕は思います。」
さらに北川は続けた。
「見かたによっては、とくに奥さんのご家族から見れば・・、私が奥さんとここにいることも、そのお友達に乱暴した男
と同じことだと言われてしまうでしょうからね」
「まぁ・・」北川の言葉を受けて則子は反応した。
585 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/24(金) 23:31:13 ID:Vvj9HqC0
「わたしはそんな風には思ってはいないわ・・。あなたに出会うことが出来て、本当に良かったと思っているのよ・・」
則子はそう言って、あらためて北川の胸板にしがみついた。
北川は則子を抱く。
「初めて奥さんを知った日・・、奥さんは迷われていました・・」
「・・・・・」
則子は、このアルハンブラで、初めて北川の胸に抱かれた日のことを思い出した。
しばし、則子は思案した後、口を開いた。
「あんな風に誘ってもらわなかったら、きっと私も決心がつかなかったわ・・」
そして則子は北川の胸板に頬ずりをするようにしながら、さらに言った。
「よかったの、これでよかったの・・」
北川はそんな則子の前髪を掻き上げ、そこにある広めの額に口付けをした。
額にあった唇は、則子の口元へと移動した。
再び、ふたりは抱き合った。
抱きあったままのふたりの体はシーツの上を回転し、則子の体が仰向けになった。
北川の唇は則子の乳房へ移動して、則子は乳首に触れる北川の舌の動きに、思わず甘美な声を上げた。
ふと気付くと、ずっとテレビをつけっ放しにしていた。
たまたま、テレビの画面ではニュースをやっている。ニクソン大統領が辞任するらしい。
しかし、それまでどんな番組をやっていたのかさえまったく記憶が無かった。
そんな状態で、もう何時間もやり過ごしてきたのだ・・。
午後3時近くになっていた。
そして、安堵の息を吐いた。
そう。これは「安堵」なのだ・・・
横山和子は、そう自分の意思を確認しながらソファーから立ち上がった。
(何事も起こらなかった・・)
和子はテレビを消して、両手を天井のほうに上げて大きく背伸びをした。
家の外で、どこかの子供たちが路上で遊んでいる歓声が聞こえてくる。
歓声が遠ざかっていくと、代わって庭木のざわめきが聞こえてきた。
静かだった。何も変化の無い、いつもの日常があった。
これでよかったのだ。これで、もう自分が体験したあの異常な家の中での時間は終わりを告げたのだ・・。
和子はそう認識すると、ビーズで飾られた買い物かごを台所の短から取り出した。
586 :
八千草マニア:2006/03/25(土) 04:48:19 ID:hhXKQIqD
作者さん
お忙しい中、続きありがとうございます。
人妻の懊悩と懈怠がよく描かれていると思います。
まるで昔のフランス映画のようですね。
エロチックな中にも、美しさがあって、素敵だと思います。
今後とも応援しておりますので、是非、続けて行ってください。
587 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/26(日) 00:31:58 ID:bMSdBRw7
八千草マニアさん、有難うございます。なんか、もったいないお褒めのお言葉です!!
そうそう、先日オークションで遥かな坂の原作を入手しましたよ!
内容や感想に関してはあらためて書こうとは思いますが、一言で言うと
『ますますドラマの八千草さんが見たくなった〜!!!』 ですね!
588 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/26(日) 00:33:53 ID:bMSdBRw7
(さっ、今日の夕飯は何にしようかしら・・)
和子はそう呟くと、カゴを持ったまま居間を出て、玄関でサンダルを履いた。
そして玄関のドアのノブを握った。
ドアノブを回すと、そのまま・・、ドアは開いた。
和子は外に出た。
公園横の裏路地を抜け出て、多摩川の土手を歩く。
すがすがしい風が吹いていて、今日身につけている短めのジャンバースカートの裾を緩やかに
なびかせた。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up28899.jpg なにもかも・・、心のもやもやも、全て吹き飛ばしてくれるようなさわやかな風だった。
そのまま、土手を歩いて、駅前のスーパーにやってきた。
入り口に貼ってあるチラシに目をやる。
野菜が安い。お肉はおうちにあるから、カレーにでもしようかしら?
娘の晴香はずっとキンケイのミルクカレーが好きだったが、最近は「カレーソフトにしてよ」なんて言いはじめている。
あの子も、小学校高学年になって、大人っぽいものを少しずつ好み始めているのだ。
夫の好物の、桃屋のイカの塩辛を買う。
そういえば、この瓶を見つけるたびに、晴香が「イカあった。いかった!」というCMのまねを良くしたものだった。
その他に・・、お菓子のアントルメやラーマ・ゴールデンソフトなどをスーパーのかごに入れて、レジに並んだ。
会計を済ませて外に出ると、今日は婦人倶楽部の発売日であったことを思い出した。
商店街のはずれの本屋さんまで歩いてみよう・・
「奥さん!」
その時、和子の体にいきなり電流のようなものが流れた。
突然、背後から聞こえた、その男の声のためであった。
頭の中が真っ白になった。
思わず足が止まった。
「まさか、こんなところで奥さんを見かけるなんて、思ってもいなかったよ・・」
振り向かなくても、相手が誰であるか分かっている・・
589 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/26(日) 00:37:54 ID:bMSdBRw7
どこまで書ききれるか分かりませんが、展開に備えた都合で、和子さんの娘の晴香の
年齢を高校生から小学校高学年に変えました。^^
590 :
八千草マニア:2006/03/26(日) 18:15:47 ID:VZ42ivIM
作者さん
「遥かな坂」の原作は、私も持っています。
社会派サスペンスですが、結構色っぽい描写もありますよね。
作品の方も、進んでいますね。
和子さんの描写、本当に時代が反映されていていいですね。
今後も期待していますので。
何か禁断の果実の味を知ってしまった人妻というイメージを感じました。
作者さんが書かれていた「特異な状況の中での女として至福の時」・・・
今後の展開にワクワクします。
592 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/29(水) 22:39:36 ID:HhecmdpI
八千草マニアさん、いやーさすがですね!まさか原作を既にお持ちだったとは・・
恐れ入りました。
岸辺と重なる部分が多いですよね。貞淑な妻の浮気、大学受験を向かえる息子、そして多摩川沿いに
すんでいること(これは偶然でしょうね。でももしかしたら夏樹さんが岸辺や八千草さんのイメージをはじめから
持っていたかも・・) 特にほぼ大人の息子が母の浮気を知るくだりは岸辺以外ではなかなか見られない
シーンですよね。ただ大きく違うのは、遥かな・・では浮気相手は今で言う元カレだし、セックスだって1回(休憩
2時間のうち何回出来たかは別として)だけだし、息子は逆上するし・・ちょっと岸辺とは違うんですよね。
岸辺では特に原作ではセックスは日常的でしたし、相手は見知らぬ男だったし、息子は母を取り戻そうと四苦八苦するし・・
やっぱり岸辺はすごいと思いますね。
ただ遥かな・・の原作では浮気相手が奥さんのドレスの胸元から片手を入れる記述があり、ドラマでもこのシーンがあったのかな?と
想像して萌えてしまいました・・!(アホか)
和子さんファンさん 有難うございます。和子さんについては平行してどんどん進めていきますので、
どうかまたご感想ください。それから和子さんのシーンに合った挿絵を本当はもっと入れたいのですが、
なにしろイメージの山内住江さんはモデルですから、にこやかに笑った写真しかなくてなかなかイメージ
にあった写真が用意出来ないんですよね・・すみません。そうだ、本編とは別に山内さんギャラリーを
アップしようかな。いかがでしょうか・・。
では続きを・・
593 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/29(水) 22:40:39 ID:HhecmdpI
和子の脳裏に、これまでの光景がよぎる。
スカートをめくり上げられて、下着に手を触れられる!
唇を激しく求められる!
そして、足を大きく押し広げられて、そこへ!そこへ!
「家に行こうと思ったんだ。でも、奥さんに迷惑がかかるんじゃないかと思って・・」
逃げるのだ!
和子はそう思った。
昼下がりの商店街は買い物客でにぎわっている。走ってその雑踏に紛れ込めばいい。
難しいことではない。
「でも、でも・・こうして奥さんを見てしまうと、やっぱり奥さんを忘れられなくなってしまうんだよ・・」
スーパーもまだすぐそこにある。中に駆け込めばいい。
何をしているのだ!
逃げ出すのだ!
足を、一歩前に踏み出せばいい!十分に体は動かせるはずだ!
逃げるのだ!逃げるのだ・・・
北川と再び体をつないだ則子は、仰向けのまま強く抱きしめられると、何度か熱くキスを交し合ったが、北川のそれは動かず、
そして北川は則子を抱きしめたまま自分が仰向けになるように、則子が自分の体の上に来るように体を入れ替えると、
彼女の上半身を垂直に起こし上げた。
そして、手を握り合おうと、促すように少しだけ北川が腰を動かした。
この姿勢は、女性側がはっきりとした主導を取って動かないと行いが成り立たない。
だから、その女性がその時どれくらいの情熱をもっているのか、どれくらい行為での感覚を教授したがっているのかを微妙な
身体の動きで知られることが無い。
北川は、今日の則子の精神状態を当然知った上で、思う存分彼女が感じ取る音が出来るようにこの体制に組み替えてくれたのだ。
則子も分かっていた。感謝しつつ、それでも則子は、はじめは緩やかに遠慮がちに自分の下半身を動かした。
人妻である。母親である。北川と触れ合うときであっても、心のどこかに一人の男性を知る手段であることを置いてきたつもりであった。
しかし今、北川を中心にすえ、自らの動きで広がる感覚に、すぐに則子は心を燃え上がらせた。
やがて則子は激しく自分の腰を動かし始めた。
北川から差し伸べられた手に自分の指をからませることもそこそこに、則子は大きく体を上下させた。
「あんっ!あんっ!あんっ!あんっ!あんっ!」
594 :
八千草マニア:2006/03/30(木) 08:31:45 ID:uNkNDnQX
作者さん
アップありがとうございます。
「遥かな・・・」のドラマは、私も正確には見たことがありません。
ただ、新聞の番組欄などで確認しますと、車の中で浮気相手と抱き合ってキスを
しているところやら、旅館の布団の上で抱き合っているところなどがあったように
思います。
それにしても則子さん、激しいですね。
実際の八千草さんは、淑やかで、上品で、可愛らしくて、腰が低くて、とても素敵な
女性なのだそうです。(共演した方は、一様にそう言うそうです。)人間、どこかに
悪い評判がありそうなものですが、八千草さんに限っては、皆無といってもいいでしょう。
その八千草さんと則子さんがだぶってしまって、それが余計に小説の中の描写と重なって
くるからたまりません。
余談ですが「きりんのなみだ」購入しました。
いいですね。あの声は、本当に「癒され」ます。
595 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/31(金) 00:56:22 ID:mDDat65g
八千草マニアさん 有難うございます。拙文で八千草さんを連想していただけることが
本当にうれしいです!!
ところで、別スレで ちょっとマイウエイ がDVD化されたと書いてありました。
これには八千草さんも出ていましたよね。たしか、1度だけ浮気クラブのような会員になり
いざ男性が喫茶店に現れるとビビッて逃げてしまったシーンがあったとどなたかが書いて
おられました。確か、マイウエイ・・だったと思います。
これを期に八千草さんのDVDがどんどん出るとうれしいな。
あまり意味はありませんが、DVD化希望番組を羅列して置きます。
・岸辺のアルバム
・熱い秋
・遥かな坂
・私の可愛いひと
・隣りの未亡人とおかしな二人
・季節が変る日
596 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/31(金) 01:06:16 ID:mDDat65g
それまでこらえていた喘ぎ声が部屋の中に響き渡るようになり、則子は大きく首を振って悶えた。
彼女の髪が乱れ、小ぶりだがしっかりした形の二つの乳房が上下に揺れた。
愛し合うことだけのためにある、女性のきわめて敏感な部分を、意思のとおりに男性のそれに触れさせる。
「ううんっ!ああっ!あーっ!」
瞬く間に則子は上り詰めて脱力した。
北川の手に支えられながら彼の胸の上に上半身を下ろすと、再び抱きしめられてうつ伏せにさせられた。
唇を重ねられ、どんなに今しがたの則子が美しかったかを耳元で囁かれて、則子は再開した北川の往復を受け止めた。
今度は北川が自らの熱い思いを則子に捧げる番であった。
美しい人妻の心を自分のものにするために、その頬に頬ずりし、乳房を口に含み、乳首を舌でなぶる。
則子はすでに2度目の燃え上がりを見せていた。奪われていく・・彼女はそう感じた。
そう、自分は奪われていくのだ・・。
北川の腕の中で全身に酔いしれるような悦楽を感じながら、自分を抱くこの男が常に自分を奪おうとしてきたことを
あらためて思い起こした。
突然かかってきたの日の電話のこと・・。
初めて喫茶店で出逢い、清い交際を約束した日のこと・・。
そして、初めて結ばれた瞬間のこと・・。
常に自分は奪われて、そしてそれは・・、自分が心のどこかで無意識のうちに望んでいたものであったことを悟った。
平凡な日常から、もう40才を超える自分をもっとどこか遠くへ連れ去ってくれる出来事を・・。
「ああんっ!あんっ!あんっ!あんっ!」
頂点を向かえ、この上ない悦びを感じながら、則子は横山和子にどうしてあんなにも嫉妬していたのかを悟った。
自分以上に強い力で奪われていく彼女の姿に嫉妬したのだ。
女は・・奪われることで、女であることを自覚するのかしら・・・
奪われている自分に酔いしれ、奪おうとしている相手を慕う・・。
北川の激しい射精を受けながら、則子はそう思った。
597 :
八千草マニア:2006/03/31(金) 05:08:21 ID:Jog6Wr24
作者さん
何と言いますか・・・今回の描写は、一段と激しいですね。
則子さんの思いが炸裂している・・・・そんな感じさえ受けるのです。
本当に、男として、こんな女性が身近にいたら、ほってはおかない
でしょうね。
それから、八千草さん主演作品のDVD化、私も賛成です。
この小説を読んで、八千草さんの魅力を再発見してくれて、そういう
企画を考えてくれる人がいたら嬉しいですね。
「ちょっと・・・」に、そんなシーンがあったんですか?
知りませんでした。一度見て見たいものですね。
今後も期待しておりますので。
598 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/05(水) 00:11:48 ID:kUVt4IiA
「女の人って分からないと思うでしょう・・」
しばらくの沈黙の後、則子がそう北川に語りかけた。
北川はすこし間をおいて、そして言った。
「・・分からなくもない・・・」
北川の左手が則子の髪をなでる。いつものように。
二人はそれ以上言葉を交わさなかった。触れ合っている肌と肌がお互いの思いを伝えてくれる気がした。
北川の右手が則子の背からゆっくり腹部に移動して、そこへ爪を立てる。
一瞬、びくっと則子の体が反応して、そして則子が口を開いた。
「だめ・・」
「どうしてですか・・」
「だって、時間が・・」
見ると、ベッドサイドの時計がもう4時半を示している。
そういえば、今日はいつもより遅い時間にここへ入ったのだ。夢中で過ごした時間は経つのが早い。
則子が主婦に戻らなくてはならない時間帯である。
北川は当然分かっていた。だから、自分の胸の中から起き上がった則子を引きとめようとはしなかった。
「もう京都に行くのかよ」
スクーリングの帰途、信彦がすでに下宿を探していることを繁は聞いた。
「京都美大を目指すやつは実技試験に備えて、むこうのアトリエで勉強するのがいいらしい。まあ、そうしたからって、
受かる保障にはならないけどな」
信彦がそういった。
「受かったら、どうする?」
「そのままそこへ下宿だな」
お母さんは寂しくないのかい?繁はそう聞きたかったが、言葉が出なかった。
「そうそう。お袋がさ」
お袋・・当然それは沖田恵実のことである。信彦のその言葉に繁はビックリして、目を見開いて信彦を見た。
「クッキー焼いたから、帰りに寄れといっているんだ。寄っていけよ」
信彦が続けていった。
「シンシアの『20才まえ』もわたしてやるよ」
そうか・・、と繁は安堵した。
599 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/05(水) 00:14:00 ID:kUVt4IiA
信彦から、『お袋と食事をしたんだって?』という趣旨の言葉はこれまでとうとう出てこなかった。
信彦の様子から、どうやら沖田恵実は願書を買いに出かけた日の繁との様子を息子には、話していないらしい。
話して欲しくないと言う繁の一方的な思いはあったが、現実に話していないとなると、なにか、どこか、自分と、友人の母との
間に共有の秘密があるように思えて、後ろめたいようでときめくような、不思議な感覚がした。
「寄ってくだろ」
「あっ、ああ・・」
繁はあわてて、頷いた。
<早く帰ってくるのよ・・>
繁の脳裏を、今朝の母の声がかすめた。
「繁君いらっしゃい。ゆっくりしていってね・・。」
信彦の母・・は、さわやかな印象のホームウエア姿で繁を出迎えた。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up30247.jpg 「繁君はコーヒー?お紅茶?・・そうそう、お紅茶か好きだったわよね」
1階のダイニングテーブルに信彦と座ると、信彦の母・・沖田恵実・・からそう質問された。
「あ、ぼくは・・」
繁はいいかけたが、すぐに黙って頷いた。
以前、まだ自分が小学生の頃だが、繁は甘いミルクティーが好きだった。恵実はそのことを知っていて紅茶ね・・と言ったのだ。
本当は今は甘ったるいミルクティーなんかよりもコーヒーのほうが好きだった。受験勉強のせいもあり、最近ではブラックもいけるようになっていた。
一瞬、ぼくはコーヒーのブラックで!と恵実の前で大人びてみたかったが、どこか恵実の前では言い出しかねた。
「クッキーもどうぞ。私が焼いたのよ」
「はい、いただきます」
「形は悪いけど、これはお袋にしては結構いけるほうだよ」と信彦。
「あら、まるでめずらしく上手く出来たみたいな言い方ね」
「だってこの前のケーキなんて、ただのスポンジのオバケだったじゃないか・・」
「まっ!ひどい言い方ね・・。繁君はお母さんにはそんな言い方はしないわよね」
「いえ・・、結構ぼくだって母には言いますよ・・」
「田島のお袋さんは料理が上手いんだよ」
600 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/05(水) 01:15:02 ID:tZ7ImXyu
600 あっ・ああ あげ
601 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/05(水) 01:58:34 ID:GVWjuWxb
602 :
八千草マニア:2006/04/05(水) 11:07:22 ID:n3mE7Upl
繁君と恵実さん・・・・何だかドキドキの展開になってきましたね。
ひょっとしてこのまま「初体験」?
の予感すらあります。
期待大ですね。
繁、ちょっと羨ましい。
604 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/05(水) 19:29:42 ID:kUVt4IiA
「そう、お母さんはお料理上手よね」そう言ってまた恵実が繁を見た。
「えっ?ええ、まぁ・・、和食は得意みたいですけど・・魚とか、お菓子はだめですね」
本当は、<恵美さん、あなたの作るお菓子は最高です>と言いたかったが・・もちろんそんな言葉はましてや信彦の前では言えなかった。
繁は、そのクッキーを2,3個まとめてほおばる。
「京都にはいつから行くんだい?」
繁が信彦に聞く。
「明日からだよ」
「明日?」
繁が驚いて恵実を見た。
そうなの・・と恵実がうなずいた。
「明日の2時の新幹線でこの子は行くの。はじめはホテル暮らしだけど、荷物が着いたらすぐに下宿、ね」
そう言って恵実は信彦を見た。
「随分せわしいんだな」
「どうせなら早めのほうがいいと思ってな。」
「それじゃあ、お母さんも、明日は一緒に京都へ・・?」
「ううん。行こうと思ったのに、この子ったら来るなって・・」
「あたりまえだよ」と信彦。
「でも狛江までは見送りに行くわ。よかったら繁くんも・・」
「行きますよ」
わりいな、と言う表情で、信彦が繁を見た。
しばらく、3人でのテーブルを囲んでのたわいのない会話が進んだ。
それにしても・・と繁は思った。
会話の中には信彦の母と自分が二人きりで食事をしたことなどまったく話題に上がる気配はなかった。
それはそうであろう。
あらためて、いかに自分が、なんのことはないただの平凡な出来事を拡大解釈して、誇大妄想していたかを悟った。
おそらく、忙しい毎日を送る恵実は、自分と二人きりで食事をしたことすらもう忘れているかもしれない・・。
入れてくれた紅茶の温かさが繁の心に切なくしみた。
「そう、田島。シンシアの『20才まえ』な。今持ってくるよ」
605 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/05(水) 19:30:52 ID:kUVt4IiA
そう言って信彦はテーブルを離れて2階の自分の部屋へ上がっていった。
自分と信彦が同じように南沙織が好きであるのはたまたまだが、信彦はご丁寧にファンクラブ(17才をもじって17会‐トナカイ-
と言う名前だ)にまで入っている。自分も入会を進められたが、あくまでも自分は彼女の歌そのものが好きなだけであって、それは本当に
透明で優美な歌声であったが、どうもそれ以上は余計な熱を上げたくはないと思っていた。
特に最近の歌番組で、山口百恵が歌うと盛んに応援の声をかけるファン(親衛隊と言うらしい)を見ていると余計にそう思うようになっていた。
そんなことを思いながら、紅茶を飲み干した。
「もう一杯入れましょうね・・」
恵実が、何と呼ぶのかはわからないが紅茶用のガラス瓶にやかんのお湯を注ぐために立ち上がった。
彼女が後ろを向いた。
そして、少しかがんだ。そうすると、薄いホームエアを通して、彼女の背中にうっすらと下着の線があらわれる。
繁は思わず、その恵実の背中を見つめてしまった。
「それからね、繁君・・」
後ろ向きのまま恵実が繁に話す。
「えっ、あっ、はい・・」
「この前二人でお食事したこと、まだ信彦にも誰にも話していないの。内緒にしているのよ・・」
ガチャンと音をさせて、繁は紅茶のカップを震わせた。
夫はそういうところを好む人ではなかったので、連れ込みのホテルというものがどういう造りになっているのかを、
自分の目で見るのは和子は初めてであった。
派手な装飾がある一方で、細かいつくりは粗雑であった。
若い人たちはこんな中で思い出のときを過ごせるのであろうか。
横山和子はホテルの部屋の入り口でボーっと立ち尽くしながら、そう感じていた。
男が、後ろから自分に抱きついてきた。
和子は再び現実に戻された。
「奥さん、素敵だよ・・。逢いたかった・・。」
男はそう言うと、和子を抱いたまま、うなじへ顔をうずめて、そこへ接吻してくる。
606 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/05(水) 23:49:09 ID:kUVt4IiA
八千草マニアさん 603さん、有難うございます。
繁クンと恵実さんはゆっくり、しかし確実に距離を縮めている・・と
見ていただければと思います。
またどうかよろしくお願いいたします!!
607 :
603:2006/04/06(木) 00:04:42 ID:6F1AcEqb
>>606 俺はROM専なんですけど、いつも楽しませてもらってます。
なぜROM専かというと、皆さんほど知識がないw
俺は八千草ファンじゃないもので。
だから普通の小説として読ませてもらってます。
正直、最初はただの二次小説だと思ってましたけど、段々読んでるうちに面白いなと。
作者さん、これからも頑張って下さいね。
応援してますよ。
ではROM専に戻ります。
608 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/06(木) 00:06:20 ID:bsWCr1Sh
ところで和子さんについての今後の進め方なのですが、相手の男と少しずつ
親しくなるような展開か、それともまだまだ苦悩するような展開か、どちらが
いいと思われますか?私も迷っています。もしよろしければリクエストください。
609 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/06(木) 00:13:33 ID:bsWCr1Sh
610 :
八千草マニア:2006/04/07(金) 07:16:53 ID:tk/F/Q5m
作者さん
横山和子さんですが、私は「苦悩する」というより、少しずつ親しくなると
いう方がいいと思います。
勿論、それまでには苦悩も必要でしょうけど、その方がドラマとしては面白い
のではないかと思います。
和子さんの今後ですが・・・
うーん、八千草マニアさんと意見が分かれてしまいました。
私は苦悩する展開がいいです。
以前、別のスレで
【人妻は家庭に戻る度にバージンになるんだよ。 エロスの源は「貞操」ということ。
今の女の貞操は、結婚して初めて生まれるものかもしれないからな。
「人妻を犯す」とは「貞操を侵す」ということか。】
と書かれた方がいました。
妙に納得してしまいました。
人妻の貞操、男を拒絶する心と受け入れてしまう体といいましょうか・・
苦悩する和子さんの姿を是非みたいと思いますし、
もし、そのような展開をされるのならば、そのような難しいシーンを
作者さんはどう表現されるのだろうと、今からワクワクする気がします。
以前書きましたが、完全合意の則子さんと双璧的な存在でいてもらえたら・・と言う思いと
和子さんには積極的にのめり込んでほしくいないという気持ちもあります(苦笑)
どうでしようか・・・
それから、山内住江さん知らないんですよ(申し訳ありません・・)
作者さんのイメージに相反するかもしれませんが、市毛良枝さんあたりをイメージしてました。(笑)
612 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/07(金) 22:32:26 ID:E1Mmvp1p
八千草マニアさん、和子さんファンさん、貴重なご意見本当に有難うございます。
助かりました。おかげさまで自分なりに方向性が見えてきました!ぜひ今後とも
よろしくお願いいたします!!
和子さんファンさん、市毛良枝さん、いいですね!たまたま自分が山内住江さんを好きなので
(おそらく山内住江さんファンなんていまどき私だけでしょう・・)イメージし勝手にしていますが、
市毛さんも合っていると思います。私も市毛さん好きですよ!
前にも書きましたが、レイプされる人妻 のシーンが好きなので、随分前、少年時代に、もしTBSなどで
普通のドラマ(?)として「犯された人妻たち」という1話完結型のドラマがもしあったらと仮定して
勝手に配役や小説を考えていた時期がありました(アホですねぇ・・)その配役とは・・
中原ひとみさん・司葉子さん・香川京子さん・小林千登勢さん・三ツ矢歌子さん・池内淳子さん・
丘みつ子さん・浜木綿子さん・・・そして市毛良枝さんも入っていました・・!
そして、その中でも最高と言うかトリと言うか・・別格として連想していたのが八千草薫さんでした(アホ!)
あの、岸辺のアルバムの八千草さんがレイプされるシーンなんて想像しただけでも最高でした。それが
まさか「熱い秋」で実現するなんて・・再放送しないかなぁ・・
あと、市毛さんと言えば、阿刀田高原作のマッチ箱の人生をベースにした単発ドラマで不思議な家の中で夢とも
現実ともつかない中で若い男と浮気に夢中になり、最後には妊娠してしまうドラマがあり、萌えました・・
あと、八千草マニアさんから「岩本多代さん」という女優さんを教えていただきました。これがとっても素敵な女優さんで
、レイプシーンも演じたとのことです。見てみたかったなぁ・・
前述の列挙した女優さんはかなりお年を召したり亡くなられた方もいらっしゃいますが、最近の女優さんでは床嶋佳子さんや
余貴美子さん当たりがいいなぁレイプシーンないかなぁ・・などと思っています。
おっと、つい熟女女優さんの話に熱中してしまいました。こんな暇があるならさっさと続きを書けと言われそうですね。
いずれにしても皆様のレスがいつも本当にうれしく、自分がカキコした後レスが上がっているのを楽しみにしている状態です。
どうか今後ともよろしくお願いいたします。
613 :
八千草マニア:2006/04/09(日) 13:27:35 ID:O5iPhRhV
作者さん
お気持ち、よく分かります。
あと、長内美那子さんも忘れてはいけませんね。
この方は80年代に放送された「温情判事」というドラマでヌード(多分吹き替え
でしょうが)が見られます。
他にも「蛇苺」というドラマでは、濃厚なからみのシーンも見られます。
一見、ごく普通の「お母さん」に見えるのですが、そんな人が濃厚なシーンを
演じておられると、不思議に興奮してしまいます。
「熟女女優」といえば、山本陽子さんもいいですね。
「白い悪魔が忍びよる」というドラマでは、覚醒剤に溺れて、佐藤慶と、濃厚な
場面を演じると言うのもありました。
山本さんは、随分ドラマで際どいシーンがありますけど、この「白い悪魔が」は
ピカイチだと思います。
しかし、内容が内容だけに、もう再放送は叶わないでしょうけど。
614 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/11(火) 13:31:59 ID:aNRBqIcG
・・ごく普通の「お母さん」に見えるのですが、そんな人が濃厚なシーン・・
そうなんですよね。そこがいいんですよね。だから日活モノ(古!)やAVではどうも萌えないんですよね。
そう、山本陽子さんもよかったですよね。例によって、ミニスカートブームの研究(?)
をしているわたしですが、たしか若い頃の山本さんのミニスカ姿の写真を持っていたはずです。
今度探しておきます。
あと、以前少しお話しましたが、主婦がレイプされてしまう赤い殺意(片山由香さん)
というドラマのダビングの話が進みそうです。またいずれご報告いたします。
615 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/11(火) 13:32:39 ID:aNRBqIcG
首筋がうずく・・。
「奥さん・・」
男は耳元でもう一度そう言うと、抱きしめていた手を移動させ、ジャンバースカートのホックを外した。
そして、ジャンバースカートはまさぐられて、たくし上げられ、そのまますっぽりと脱がされてしまった。
ブラウスの裾から、パンティーに包まれた和子のヒップが覗いている。
そのパンティーの鮮やかな白さが、薄暗いホテルの部屋の中では妖しく際立つ。
やはり男は、ひかれるようにその和子のパンティーに手を触れてきた。
おぞましい手つきだと思った。
おぞましいと思うから、嫌悪感と恐怖感で、体が熱くなってくるのだと和子は思った。
パンティーに触れていた男の手は、やがてブラウスに移動して、それを脱がした。
ブラジャーが、外される。
パンティーも、下ろされていく。
真裸にされた和子は、男に抱えられてベッドの上へ運ばれた。
男が服を脱いでいく。そのわずかな時間を和子は仰向けのまま無言で過ごす。
やがて、男は、和子の上に体を重ねてきた。
男が唇を重ねようと和子へ顔を近づけた。
その顔を、和子は右手で思わず遮った。
男は少しひるんだが、その遮る和子の右手をどけようと片手をあてがうと、その和子の手は難なく彼女の体の横へ投げ出された・・。
男はとうとう、その人妻の唇を奪った。
「ただいまー」
玄関で、父の声がした。
「あら、パパおかえりなさい!」
まだ6時半なのに、帰宅した父の英昭に驚きながら、横山晴香はリビングのドアを開けた。
「どうしてこんない早いの?」
「半休を取って、車屋の源太郎さんの街工場に行ってきたんだよ。ほら!」
そう言って英昭は紙袋から『ケンとメリーのスカイライン』と書いてあるカタログを取り出した。
「えー!カリーナじゃないの?」
横山晴香は、思わずそう声を上げた。
616 :
八千草マニア:2006/04/11(火) 15:16:27 ID:WZDE3ilO
作者さん
アップありがとうございます。
和子さん、おぞましいと思いながらも、益々男にのめり込んでいってしまって
るようで・・・
この先、とても気になります。
あ、それから・・・則子さんのお話も、またお願いしますね!
繁くんの事も気になりますし・・・
とにかく、ここを読むのが、私の一番の楽しみになっております。
無理をなさらない程度にお願い致します。
617 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/11(火) 17:49:27 ID:aNRBqIcG
八千草マニアさん 有難うございます。
繁君についてはもう少し先ですが期待してください。
取り急ぎ続きを・・
618 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/11(火) 17:50:42 ID:aNRBqIcG
「わたし言ったよ!ちばチャンのカリーナでなきゃいやだって!」
「だって仕方ないだろ。源太郎さんのところの工場では日産しか扱っていないんだよ」
英昭は娘の晴香にそういいながら、かばんを食卓に置いて、背広の上着を脱ぐ。
「それに日産車のほうが故障が少ないんだよ。いまのうちの古いスカイラインだって4年で2回しかオーバーヒートしなかったんだよ」
「つまんないの・・」
「どうせ晴香が欲しかったのは買ったときもらえるポスターなんだろ?」
「ちがうわ」
そう言って晴香は食卓に座ってふくれっつらを魅せた。
「ママは?」英昭が言う。
「分からないわ。学校から帰ってきたらいなかったわ。きっとお買い物の途中で、きっと田島さんとまた喫茶店でお話しているのかも」
そんな時、玄関のドアが開く音がした。
「ママー!」
「晴香ちゃん、ただいま・・」
晴香は玄関の和子に走り寄った。英昭が続いた。
「パパッたら、あんなにわたしが言ったのに、スカイラインにしちゃったのよ!」
「あら・・」
その時ようやく、和子は夫の英昭も帰宅していたことに気付いた。
「パパ・・。早かったのね」
「源さんのところへ行っていたんだ。ここのところ忙しかったから、少し息抜きでもしないとな」
そう言ってサンダルを脱ぐ和子の手を支えて、買い物籠を受け取った。
「おっ!今日はカレーか!」
「パパ!すぐお話をそらすんだから」晴香が言う
さあさあと和子が晴香の背を押しながら言った。
「いいじゃない。新しい自動車が来るんでしょ」
和子は満足そうな英昭の顔を見た。
「それに、パパはどうせ源太郎さんと、車の話より釣りの話のほうが長かったんではないの?」
そう言われて、英昭は照れくさそうに笑った。
「いや、今度の日曜にまた金沢八景に約束したんだ・・」
「ええー!新しい自動車でドライブじゃないの?」と晴香。
「そんなに早く車は来ないわよ・・。それならばパパ。今の車、引き取ってもらう前に洗っておいたほうがいいかしら・・」
619 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/11(火) 17:51:57 ID:aNRBqIcG
「そうだな・・そんなに丁寧に洗っておく必要は無いけど、軽くやっておいてくれないか」
晴香が買い物籠をまさぐる。
「わぁー!カレーソフトだ!」
「えっ!?」
和子の表情が一瞬曇った。
<奥さんの家は、このカレーを使っているんだね>
<やめて!家で使うものに触らないで!>
和子は振り切るように、作り笑いを浮かべた。
「さあ、すぐ作って、食べましょうね・・」
随分前は、カレー粉を小麦粉で混ぜて炒めたり、S&Bのモナカカレーを使ったりした。
しかし、今の即席カレーは作るのが簡単である。
食卓を囲んで、そこには平和な家族の姿があった。
「わたしも金沢八景に行きたいな」
「晴香も釣りに行くか?」
「だめですよパパ!」
和子が英昭をたしなめた。
「あんな揺れる小さな釣り船に晴香ちゃんを乗せられないわ」
「わたしは釣りなんてしたくないわ」
「晴香ちゃんが八景に行きたいのは潮干狩りをしたいからでしょう?」
和子の問いに、晴香が嬉しそうにうなずいた。
しばらく、3人はカレーを食べ続けていたが、英昭が口を開いた。
「でも、いつかあそこの海岸の一部を埋め立てて、大きな遊園地を作る話もあるぞ」
「あんなところに?」
「何十年後かに、そういう計画があるらしいぞ」
「すごいおなはしね!向ヶ丘遊園より大きいのかしら」
晴香が目を輝かせた。
「そんなお話あてにならないわよ。ほら、浦安の砂浜にディズニーランドが出来るなんていううわさ話があるのと同じよ」
「晴香はあの話、信じているのよ!」
620 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/11(火) 17:56:17 ID:aNRBqIcG
「あら、そうなの・・。もうごちそうさまなら、お皿を下げるわね・・」
和子はそう言って、笑みを浮かべて、カレーの食器をまとめた。
皿を持って台所に入る。
水道の蛇口をひねる。
背中のほうでは、二人がテレビを見て、笑っている声が聞こえる。
その笑い声が、平和で幸せな家族の笑い声が、和子の背に突き刺さった。
和子に笑みはなかった。
蛇口から水が流れている。
その水の流れが、つい先ほどまでの自分たちの体の動きに重なって写った。
キスを終えた男が、自分の上をうごめく。
二つの乳房を、男が大きく持ち上げるように揉みしだきながら、乳首には指をふれてくる。
恐ろしかった。
和子は乳房の動きに敏感に反応する体の性質があった。
男の手の動きはそれを知っているかのような動きだった。
だから、恐ろしい・・不安であった。
不安は確かな感覚となって和子の全身を襲った。
我慢するのだ。
声を出すまいと口を真一文字に結ぶ。
しかし男の手は、敏感な下腹部を経て、彼女の股間へと確実に進んでくる。
ピッタリと合わせるようにして、股間への男の手の侵入を防ぐのが精一杯の抵抗であった。
しかしもちろん、そんな和子の努力は報われることなく、男の手は難なく和子の股間を捕らえた。
和子がいやだったのは、股間を刺激されることよりも、むしろそこに触れられることで既にそこが潤いを帯びていることを相手
に知られてしまうことであった。
ただ、いずれにしても和子の体が男の手中にされしまうことは時間の問題であった。
せめて、男が自分の体の変化について何も言葉をかけることのないことを願った。
そんな主婦の切ない願いは、この若い男にもわかっていたのかもしれない。
男は何も語らず、大きく和子の足を押し広げて、そしてつないだ。
う〜ん、まさに静かなる興奮といいましょうか!
ますます目が離せません!
ところで、山本陽子さんの「白い悪魔が忍びよる」ですが、
あるスレであらすじは知りましたが、ぜひ一度見てみたいドラマです。
あと、赤い殺意(片山由香さん)の方もぜひ一度見てみたいです。
622 :
八千草マニア:2006/04/12(水) 16:23:06 ID:8GmN16ca
作者さん
作者さんの描写は、本当にリアルですね。
時代感覚がよく盛り込まれていて、そして、情景が目の前に浮かんで来るのが
良く分かります。
和子さんファンさん
「白い悪魔が・・・」
は、一度東京の方で再放送されたようですが、その後は一度も目にしておりません。
まあ、内容が内容ですから、無理もないでしょうけど・・・
それにしてもあの山本陽子さんの演技、本当に凄かった・・・
もう一度見て見たいドラマですね。
623 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/12(水) 18:43:08 ID:RGh1fnKP
和子さんファンさん 有難うございます。赤い殺意のダビングについてはまたあらためて
お伝えいたしますので楽しみにお待ちください。
八千草マニアさん 有難うございます。白い悪魔・・は私はまったく知らないのですが
どんな激しいシーンだったのか是非見てみたいですね。(レイプシーンだったのでしょうか?)
いずれにしても自分は貞淑な妻の浮気やレイプのシーンがとっても好きです!(病気か!?)
また是非情報交換できればと思います。
あと本日、司葉子さんのミニスカート姿(35年位前のもの)の写真を入手しました。
いずれアップしたいと思います。
624 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/12(水) 18:50:02 ID:RGh1fnKP
激しく突かれた。
激しく揉まれた。
それが確かな感覚となって、和子を襲った。
焦る・・我慢しなければと思った。
絶対我慢しなければ・・・
「ああっ!ああっ!ああんっ!」
和子は大きくそう声を上げて、惑わされて、そして首を大きく後ろにそらして、悶えた。
そんな和子を愛おしそうに男は抱いた。
二人は抱き合った。
ギシッギシッとベッドが揺れた。
和子の全身をかき混ぜるように規則的な往復が続いた。
絡み合い、もつれ合いながら、一つになった二つの体はホテルの殺風景な部屋の中で、汗を散らした。
自分の体が熱くなっていく度に、自分はこの男に奪われていくのだと和子は悟った。
奪われていく・・自分は奪われていく・・和子はせめて、自分の家庭・家族だけは守らなくてはと思った。
家族だけは守るの!自分の体を犠牲にしても、それだけは・・
だから、自分の体を差し出すの?
いま、自分がわけの分からない声を大きく挙げているのは、それは家庭を守るため・・
そう・・!私は守る!私の大切な家族を守るの!
そして、そうすることが今の自分の大儀にかなうかのように、和子は男と激しく唇を重ねあい、額をこすりあい、
そしてあらためてその筋肉質のたくましい体に抱きついた。
押し寄せてくる。
わからない・・もうなんだかわからない!
その感情が下半身から全身に押し寄せてくる。
私!私!私!
そうよ!守りきった!だからいま、私はこんなに幸せなの!私は幸せ!あああーっ!
水道の・・水が流れる。
それが、先程、自分の体内に何度も放たれたあの男の体液に思えて・・。
なぜ・・・とあらためて和子は思った。
なぜ自分は男の言われるまま、ホテルなどに入ってしまったのだろう・・。
625 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/12(水) 19:01:36 ID:RGh1fnKP
逃げようと思えば、いくらでも逃げることが出来ただろうか。
いや!
仕方がなかったのだ・・と和子は自分に言い聞かせた。
あそこで逃げていればきっと男に捕まえられて、人々の注目を浴びていただろう。
だから自分は逃げることが出来なかったのだ。
そうなのだ・・。
「ママ?」
はっとして振り向くと、手伝いをしようと皿を運んできた晴香の姿があった。
「あら、お手伝いえらいわね・・」
和子は作り笑いを浮かべた。
あの男の影を振り払うかのように。
北川がバスルームから出てくると、既に則子は身支度を終えていた。
美しくワンピースを着飾って、あとは鏡台に向かって、乱れた髪をブラシで整えるだけと言ったところであった。
「そのまま家へ戻られるのですか?」
髪をとかしながら則子が答えた。
「この間、息子の受験の下見で群馬に行くとお話ししたでしょう・・その宿泊先をそろそろ探しておこうと思うの・・」
「楽しみですね」
則子は笑みを浮かべるだけで、また鏡に向かった。
こういう時は、女よりも男のほうが手がかからない。則子が身支度を全て終えたとき、同じように北川も身支度を終えていた。
二人は向きあった。
「今日は、悪いことをしてしまったわね」
則子は下を向いて自嘲気味に言った。 Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up31436.jpg
626 :
八千草マニア:2006/04/12(水) 19:59:48 ID:8GmN16ca
作者さん
アップありがとうございます。
久しぶりに則子さんの登場ですね!
和子さんの事も気にはなりますが、やはり本作の柱は「八千草則子」
さんだと私は思いますので・・・(笑)
今後とも則子さんのご活躍を期待しております!
627 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/12(水) 20:05:56 ID:RGh1fnKP
八千草マニアさん 早速のコメント有難うございます。構想としてはこのあとすぐ
繁君と恵美さんの話に移り、則子と北川氏の再度の絡みは少し先になりますが、どうかよろしく
お願いいたします。
628 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/13(木) 04:39:17 ID:YRP+3vug
恥ずかしかった。
北川と出逢って、半年ほどになるであろうか・・。
これまでずっと、北川の人間性に惹かれ、付き合い、そしてそれを継続するためにたまたま身体的なつながりに応じた・・
則子はそう認識してきた。
やさしく相手に導かれて至福を何度も体験し、まれに同時に激しく燃え上がった時もあったが、しかし則子自身から進んで
快楽を得ようとしたことはしなかったつもりであった。
しかし今日は、横山和子のことでショックを受け、どうすることも出来ない感情の処理を北川にゆだねてしまった。
「いいんですよ・・」
北川はやさしく則子の頬に触れた。
「ご旅行、楽しんできて下さい。」
則子は頷くと、小声で言った。
「また、・・あなたとも行きたいわ・・」
二人は抱き合った。
(繁ちゃんは・・、もう帰っているのかしら・・)
早く帰って来いと言った手前、自分が帰宅を遅らせてはまずいと思い、旅行案内のパンフレットの入った封筒を抱えたまま、足を速めた。
家の前に来た。灯りついていない・・。
もう・・あの子・・
繁は帰っていなかった。ただ今日は安堵した。
『早く帰って来いといっといて、お母さんこそどこへ行っていたんだい?』
繁が先に帰宅していて、そんなことを言われたらどうしようかと思っていた。
あの子が・・北川と逢っていることを知っている気配はない。先日の旅行の時は勘ぐられるのではと心配したが、北川のアドバイスのせいもあって
事なきを得た。もっともあの子は随分寂しがってはいたようであったが・・。
寂しい・・?そう、わたしも寂しかった・・。
ふと、則子は、この和室で黙々とミシンを踏んでいた半年前の自分の姿を思い起こした。
あいかわらず多忙な謙作と、大人びた女になった律子・・自分に残されたのは繁だけであったが、その繁も受験シーズンに入ると
いつかはこの子も独り立ちするのだという現実を突きつけられて、いつものような穏やかな日中が急にわびしい不安なものに感じられた。
629 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/13(木) 04:41:15 ID:YRP+3vug
北川からの突然の電話が合ったのはその頃のことであった。
出逢った頃・・電話で話しをするようになった頃や、喫茶店で逢う様になった頃は、あまりやましい気持ちはしなかったし、
『深い関係』になった時であっても半年でやめようと思っていた。やめられると思っていた。
それが、今では北川なしの日常が考えられないくらいに自分はのめりこんでいる。
北川は、ホテル等の外と中を明確に分ける男である。外で逢い、話す時は教養の深い頼れるもの静かな紳士であり、一方、
誰も知らないところでいったんベッドの中に入れば、愛する言葉を刺激的に囁きながら最後まで悦びを分かち与えてくれる・・
それが、そこか自分が家族を裏切っていると言う思いを希薄にさせ、加えて、家族を捨ててこの北川と言う男と暮らしたいと
いうまで自分を思いつめさせることをしなかった。
理想的、と言ってしまうのは都合が良すぎるであろうか。
ただ、満たされてくると、繁に隠し事があるということがどうしても後ろめたさとして思うようになってくる。
特に昨日からの自分は・・。
受験と言う大事な時期を迎えて、今では自分のほうが繁を粗雑に扱っているのではないかとこの2日間の異様な自分の精神の高揚を
終えて自覚した。
だから、たとえ受験の下見と言う目的があるにせよ、今度の繁との外出は大切にしたい。
そう思いながら、則子は普段着に着替えた。
よそ行きのワンピースと、汗などにまみれた下着を洗面所の脱衣カゴに置いたとき、戻ってきた繁の気配を感じた。
「この旅館なんかいいんじゃないかしら。大きくないから団体さんもいなくて静かなんですって」
則子は夕飯を食べることをそっちのけで、パンフレットの説明を繁にした。Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up31490.jpg 「なんかおかしいな」
「どうして?」
「だってお母さん、まるで温泉に行くことが目的みたいに話しているからさ」
「あら、だって、せっかく群馬まで行くんですもの。いい温泉に入りたいわ」
久しぶりに楽しい夕食だと繁は思った。
「でも最近、夕食はいつも二人だよね」
「そうよねぇ・・お父さんが帰ってくるのは夜中だし、お姉ちゃんはクラブ活動に夢中だし・・」
そう言って則子はパンフレットを閉じた。
しばらく二人は箸を進めた。
630 :
八千草マニア:2006/04/13(木) 08:34:45 ID:HQkRXlmR
作者さん
いつも思うのですが、作者さんの描写力の確かさには感服させられてばかりです。
加えて、登場人物の心理描写も的確で・・・私などは、まだまだだなぁ・・・という
思いですね。
それともう一つ、タイミングよく取り入れられている「挿し絵」ですが、これは
すべて「岸辺」のドラマの場面を写したものなのでしょうね。
ひょっとして全話ビデオで所蔵しておられるのですか?
素晴らしいですね。
その中から、小説に適した場面をアップされるなんて、なかなか出来ないと思います
これだけでも、作者さんの情熱が感じられます。
今後も期待しておりますので、よろしくお願い致します。
631 :
八千草マニア:2006/04/13(木) 14:59:56 ID:HQkRXlmR
作者さん
「白い悪魔が・・・」
は、レイプシーンなどはなかったですが、覚醒剤によって、良家の人妻である
山本陽子さんが男に翻弄されて、ついには娼婦みたいな真似までさせられるという
お話でした。
本当に凄いシーンの連続で、「こんなの放送していいの?」と思ったほどです。
632 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/13(木) 23:05:52 ID:YRP+3vug
八千草マニアさん 有難うございます。
岸辺は最終回は除いて(録画し忘れた)DVDでいちおう全部録画しています。
適当にそこからデジカメでとって、トリミングの上アップしている次第です。
前にも述べたように上手くキャプチャーできる方法が知りたいです・・・
岸辺・・のコーナーがある 駒友テレビ館
ttp://www.komatomo.com/tv/menu.html さんのキャプチャー画像なんてとってもきれいです。どうやっているんだろう??
まあ、とりあえず、今後もなるべく上手く(こじつけですが)画像はアップしていきたいと思っています。
633 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/13(木) 23:07:20 ID:YRP+3vug
「でもよかったよ」
「なにが?」
「なんか、お母さん、昨日から少し機嫌が悪かったからさ」
「あら・・」
則子は少し驚いて、口を開いた。
「そう、ごめんなさい。機嫌を悪くさせてしまってたかしら・・・・ごみの出し方のすごく悪い人がいて、町内会で少しもめてたの。
いやな感じの奥さんなのよ。みんな嫌ってるのそれでね・・」
則子はそう取り繕った。
実際に、そういうことで町内会でもめているのは確かであった。しかし則子は委員でもないし直接関わっているわけではない。
やはり・・と則子は思った。
鈍感だと思っていたこの子でも気付いていたのだ。昨日からの自分のおかしな心の状態を・・・
北川に今日逢えて、そして恥らわずに思い切り燃えたことをようやく良かったと思った。
そうでなければ、また息子を不快な思いにさせていたかもしれない。
「別に、お母さんの好きなところでいいよ」
「えっ?」
「群馬の温泉」
「あっ・・そう、そうね・・それなら、明日予約してくるわね」
則子がそういった後。二人はまたしばらく箸を進めた。
「そうそう・・」
繁が口を開いた。
「明日、信彦が京都に行くんだ。下宿するらしいよ」
「京都?受験で?」
「向こうで専門の先生について実技を勉強するんだよあいつ。それであした、あいつを駅まで見送りに行くんだ。」
「まあ・・実技がある学校は色々大変なのねぇ・・」
則子がそういった後、付け加えた。
「信彦君のお母さんもお見送りに行くのかしら」
何気ない母のその言葉に、繁は必要以上にドキリとした。
<内緒にしているのよ・・>
先ほどの、沖田恵実の言葉が繁の頭の中にこだまする。
「信彦君にもよろしく言っておいてね・・」
そんな繁の驚きを察することはもちろんなく、則子はそう言うと、笑いながらお茶をゆっくりとすすった。
634 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/13(木) 23:11:35 ID:YRP+3vug
翌日、繁が信彦の家を訪れると、ちょうど信彦と恵実が支度を終えて、玄関から出ようとしているところであった。
信彦はラフなジーンズ姿で、スポーツバッグを抱えた不恰好な姿で他の二人と多摩川の土手を歩いた。
「相変わらずサマにならないな」
そういう繁に、信彦は何食わぬ顔で答えた。
「オレにファッションなんかは永遠に無縁だよ」
繁と信彦はそんなことを話しながら歩いた。
悪友がしばらくいなくなるのだ。よく話すのはおかしいことではないが、それよりも繁は・・二人を見ながらにこやかについてくる
その信彦の母を、なるべく意識しないようにすることもあった。
今日の恵実は・・ツーピースと言うのか、スーツと言うのかは分からないが、上下同じデザインの
グレー系の涼しげな装いで・・ Image
ttp://up.mugitya.com/img/Lv.1_up31542.jpg 多摩川の風が彼女の薄いスカートをなびかせている。
「そういえば親父さんは?」
繁はなんとなく、このところ姿を見ない信彦の父の事を聞いた。
「親父はしばらく帰ってこないよ」
「帰ってこないって?」
「そうなのよ・・」
恵実が頷きながら繁に話した。
「いま、日本で伐採できる材木の量が限られてきて・・安くていい材木を調達できるように木材組合の人たちと、東南アジアへ行っているの」
「東南アジアへ・・」
会社勤めの自分の父と違い、信彦の父親は時間の調整が出来たので、小学生の頃はよく信彦と3人でキャンプへ言ったり、
材木を運ぶオート3輪の荷台に乗せてもらったりしたものだった。
親父さんというよりアニキと言った感じの、気さくな人であった。痩せ型で無骨な顔立ちをしていて、誰が見ても信彦が父親似だということがわかる。
「しばらくお袋一人だから、もし何か力仕事とかがあったら、たのむかもな」
そういう信彦の言葉を受けて繁は二つ返事で答えた。
「僕でよければ何でも用を言いつけてください」
「まぁ、頼もしいわね」
そんなことを話しながら、3人は狛江駅に着いた。
見送りといっても、上野駅に向かう集団就職の列車(確か、もう廃止されたのだっけ?)と違い、小田急線のホームから新宿行きの
各駅停車に乗るのを見届けることは、なんだかあっけないものであった。
そうして、信彦は旅立っていった。
635 :
八千草マニア:2006/04/14(金) 16:41:13 ID:5VsBhPmL
作者さん
「最終回を除いて全話」お持ちとは・・・羨ましい限りです。
それはそうと、とうとう信彦君はいなくなって、繁君と恵実さんが急接近・・・
現実的な「接触」は、まだまだ先だそうですが、これから機会は増えそう
ですね。
楽しみです。
636 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/15(土) 00:00:41 ID:T9T2gLYm
八千草マニアさん、有難うございます。
・・「接触」は、まだまだ先・・
どうか続きを・・
637 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/15(土) 00:01:23 ID:T9T2gLYm
「さあ・・」
遠ざかって行く小田急の電車を見送った後、恵実が口を開いた。
「今日はどうもありがとう・・戻りましょうか・・」
「はい・・」
久しぶりに、恵実と二人だけで歩く。
おかしいことではない。しかし、昨日の恵実の、内緒だ、という言葉がまだ繁の中でこだましていて、繁の胸の鼓動を早めていた。
「少し待っていてくれる?」
恵実は商店街のパピヨンというケーキ屋の前で立ち止まると、そう言った。
「あっ、はい・・」
恵実は笑みを浮かべてケーキ屋の中に入った。
そして、すぐに出てくる。
「よかったわ。『ゴンドラ』がまだあったわ」
そう言って恵実はケーキの小さな箱を持ち上げて見せた。
ゴンドラとは、バナナとクリームををパンケーキで包んでいる、ここのケーキ屋の人気商品である。
「知ってますよ。僕もここのゴンドラは好きなんですよ」
「あら、まあよかった!すぐ売り切れちゃうのよね・・さ、早く帰って、食べましょ・・」
(えっ!)
つまり、恵実は、自分の家で二人きりで一緒にケーキを食べましょうということを繁に言ったのだ。
今度は明らかに繁の胸が高鳴った。
言葉が出なかった。
信彦のお母さんは・・沖田恵美さんは・・とってもきれいで、やさしくて、素敵な人であった。
いい人であるといつも思っている。
しかし、そう彼女を思うこととはまったく違う次元の感情が、押さえ切れない何かが、ふつふつと沸いてきていることを、繁はまだ気がついていなかった。
638 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/15(土) 00:04:35 ID:T//YU/qw
恵実の家で、二人だけでいる。
それに、もうこの家のものは事実上、恵実一人しかいないのだ。
(何考えているんだ。オレ・・・)
繁はリビングの椅子にまんじりともせす腰掛けて、お茶の準備をする恵実を待った。
なんだか緊張して、意味もなく、横にあるテレビのスイッチを入れる。
ゆっくりと、画面が現れたころ、反対側から声がした。
「さあ、お茶が入ったわ・・」
恵実が、先ほどの優雅なグレーのツーピース姿のまま、ケーキとティーカップを運んできたのだ。
「わあ、ゴンドラ・・おいしそうですね」
自分でも恥ずかしくらいの棒読みの、さまにならない口調ではあったが、繁はどこか心躍らせている自分を感じた。
「あそこのタルトも好きなのよ。でもうちの子は甘すぎるって言うの。男の子はやっぱりこっちのほうがいい?」
「ぼくは、ゴンドラか、チーズケーキですね。やっぱりほかは甘すぎて・・」
「やっぱりそう?」
「あと、子供の頃に食べた不二家の誕生日に買うケーキ・・なんかあれも駄目なんですよね」
「そうね、あれはバタークリームなの。生クリームのものがやっぱりいいわよね・・」
不思議と・・会話が弾んだ。緊張していたのに、自然と繁の口から言葉が出てきた。以外だった。
ふと、先ほどつけたままだったテレビを見る。
『3時のあなた』をやっている。
スクープがあるらしい。
なんでも、俳優の上原謙が何十歳も年下の娘くらいの歳の女性と再婚する、というのである。
「ええ?ほんとう?びっくりねぇ」
「本当ですねえ、加山雄三も驚いているんじゃないかなぁ・・」
「でも、これって、男の人が年上だから出来るのよね。逆なんて・・奥さんが何十歳も年上で旦那さんが若い人なんて、ありえないものね」
「そんなことないですよ」
その時、繁は本当に心の底から本心でそういった。
「あら、だってぇ・・」
恵実は口に手を当てて、笑いながら言った。
「それって、例えば、私と繁君がカップルになるようなものよ。若い男の子が、こんなおばさんに関心を持つなんてことはないでしょ」
「いえ!」
はっきりと繁は言った。
639 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/15(土) 00:07:37 ID:T//YU/qw
「ほかの人ならともかく・・信彦君のお母さんなら・・とっても美人だし、素敵だし・・そんなことはないと思います・・」
おかしいぞオレ!何か、もう一人別の自分がいて、それが、そいつがこんなことを言わしめている!
しかし、恵実はうれしそうに笑みを浮かべている。
「まぁ!繁君たら、ずいぶんお世辞が上手くなったのねぇ」
「いえ、お世辞なんかじゃないんです!」
まただ!と繁は思った。僕じゃない、別の僕が・・!
「あら・・それならば繁君はこんなおばさんでも一緒にデートもしてくれるとでもいうのかしら?」
それから・・繁は自分が何を言ったのか良く覚えていない。
覚えているのは、沖田恵実が、紅茶のお変わりを入れようと立ち上がって、そして自分もその前に立ち上がって・・彼女の顔が、その美しい顔が
すぐ前にあることであった。
どうしてそうできたのかそうなったのか分からなかった。男の本性か?そんな野蛮なもので片付けたくはなかった。純粋な、彼女への思い一つであった。
恵実は、突然自分の前に立ちふさがった繁の瞳を、驚きと、しかし何かを予感したような潤んだ瞳で見つめ返した。
澄んだ瞳であった。
どれくらいか、そのまま二人は無言で見つめあった。
そして恵実は、聞こえるか聞こえないか分からないくらい、小さな声で繁にこう言った。
「キスだけよ・・キスだけ・・・」
恵実の瞳が一瞬揺れる・・。
繁は、その、恵実の小さな唇に、そっと、自分の唇を重ねた。
そこには、夢にまで見た沖田恵実がいた。
それは可愛らしく、柔らかだった。
640 :
八千草マニア:2006/04/15(土) 07:12:16 ID:A3Dqgx1O
作者さん
アップありがとうございます。
「キスだけよ・・・キスだけ・・・」
いいですね!思わず想像してしまいました。
ところで「沖田恵実」役の秋山しのぶさんですが、
「岸辺のアルバム」の前に放送されていた「光る崖」(田宮ニ郎、吉永小百合出演)
に出ておられたようです。
役柄は、どうも田宮二郎の妻役だったらしいですが・・・
641 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/16(日) 00:01:11 ID:RuJP1HQe
八千草マニアさん、有難うございます。
えっ!秋山さんて女優もされていたんですか?確かにされててもおかしくない
美貌の方ですが、驚きです!是非見てみたいです。しかも岸辺・・の前番組とは・・
あの秋山さんが動いて(!?)しゃべる様子を想像してうれしくなってしまいました。
それにしても八千草マニアさんの情報量はすごいですね。
また是非情報お願いいたします。
642 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/16(日) 00:02:03 ID:T//YU/qw
そっと肩をつかんで、さらに自分に引き寄せる。
夢のようであった。
ずっとこうしていたかった。
恵実はそうされることを拒まず、繁の唇を受け入れ続けた。
一瞬、繁は唇を離す。
静かに目をあけると、そこにはあまりにも美しい、陶酔して瞳を閉じている沖田恵実がいた。
繁が我慢できず、彼女を抱きしめると、再び強く激しく唇を重ねた。
自分だけが彼女の唇を求めるだけではなく、恵実も自らの唇を自分に押し付けてきていることを繁は悟った。
繁の体が猛烈に熱くなり、感情が高ぶり、さらに恵実を抱く腕に力が入ると、繁はその唇を、おもわず彼女の首筋に移動させた。
やさしい匂いがした。
同級生の女子高生がすれ違いざまになびかせるあの匂いとも違う。
大人の女性という一言でも説明できない匂いであった。
沖田恵実の匂い・・そうとしか説明が出来なかった。
その首筋を繁は夢中で求めた。
キスだけよ・・彼女はそう言った。そう、まだ自分は彼女との約束は守っている・・繁は精一杯の僅かな冷静な判断でそう思った。
恵実がかすかに息を吐いた。
わずかな吐息ではあったが、それが熱を帯びたものであることを繁は肌で知った。
進むのだ・・もう一人の自分がそう言う。
その声を聞いた繁は、唇はそのままに、いま彼女が着ている上着のボタンを3つ、手早く外した。
上着を広げる。
その下には、恵実はブラジャーしか身に着けていなかった。
まばゆい、真っ白なブラジャーであった。
それを、息を飲み込んで、繁は上に押し上げた。
そして、そこにある彼女の乳房に、繁は思い切り吸い付いた。
繁はまだ女性というものを知らなかった。
母を尾行したとき、どれくらいで母がホテルから出てくるのか見当がつかず惨めな思いをしたこともあった。
しかし今は、知っている限りの、ありったけの知識で、今目の前にいるこの人に悟られないようになんとかして何かを与えようとした。
繁はその恵実の乳房を吸い、その先端を舌で触れた。
触れるときは、いつまでも触れているのではなく、相手がじれったさを感じるくらいに触れては離れ、それを繰り返せと、
プレイボーイ誌には書いてあった・・
繁、頑張れ。
644 :
八千草マニア:2006/04/16(日) 12:00:32 ID:kyBNuV2W
作者さん、
繁君、大胆になってきましたね!ドキドキします。
それから、秋山さん情報ですが、私は、秋山さんの動いて、声を出している映像のビデオ
を何本か持っています。
CMにも割に出演しておられましたし、一番多かったのは、かつてNHKで放送されていた
「おしゃれ工房」ですね。
その中で「美人はしぐさから」という特集で、中年女性の若々しく見えるしぐさを
レクチュアしていた特集にモデルとして出演され、トークにも参加していました。
なかなか上品で、素敵な声でしたよ。
「女優」の件ですが、私も「光る崖」は、見たわけではないので、確認はしていませんが、
あの名前のままで「同姓同名」の女優さんがいたという話は聞きませんので、まず
間違いはないかと思います。
秋山さんはかつて松竹映画のニューフェースに合格し、一時は女優を目指された事もあった
そうです。
一見、背はそれほど高く無さそうに見えますが、なんと165センチだそうです。
645 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/17(月) 01:12:46 ID:lAmWAnMN
八千草マニアさん、すごい映像をお持ちですね。秋山さんのドラマも見たいですが、
それよりもモデルの秋山さんが好きなので(といっても皆様にここで教えていただいて
知ったわけですが)おしゃれ工房のほうを是非見てみたいです!声が素敵と言うのも
イメージにピッタリですね。
さて、続きをアップします。この後続きははまだ書いていないので、火曜日あたりまで
お待ちください。
646 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/17(月) 01:14:27 ID:lAmWAnMN
その通りにした。何度も、恵実のそこを・・。繁の胸に安堵とも喜びともつかない感情が沸いたのはその時であった。
彼女の乳首が、しっかりと、ピンと、張り詰めてきたのである。
不安と期待が交錯していた繁の、その視界が一気に広がった気がした。
おもわず繁は恵実を後ろ向きにさせると、彼女の脇から乳房を両手でわし掴みにし、そして彼女の方までかかる優雅な黒髪を
額で掻き分けるように押し付けて、そしてそこに現れた彼女のうなじへ、顔を埋めた。
そうして、ずっと立ったままであった二人は、ようやくソファーに沈み込むように腰を下ろした。
繁はそっと、彼女の乳房を揉んだ。
また、恵実が息を吐いたような気配がした。
その吐息と、とろけるようなその感触が、繁の男としての本能をさらに活性化させ、何度も何度も、恵実の乳房を揉みしだいた。
明らかにそれは、『キス』以上のことであった。約束を破ったことに対し彼女がどう答えるのか・・その判断は恵実に任せようと繁は思った。
もし彼女がそこまでは・・と拒んだら、すぐにやめて謝ろうと思っていた。まだそれだけの判断が繁は出来た。
それまでは・・それまでは・・
激しくうなじと首筋にキスしながら繁は恵実の乳房を揉んだ。
「繁君・・」
とうとう、恵実は口を開いた。
繁はドキッとして、彼女の乳房を揉む手を止めた・・
「わかったわ・・。もう、わかったから・・・・、ちゃんと、お部屋へ行きましょう・・」
恵実はそう言った。
647 :
八千草マニア:2006/04/17(月) 07:52:34 ID:hD86UEZj
作者さん
「わかったわ・・。もう、わかったから・…、ちゃんと、お部屋へ行きましょう・・」
す、すごい!
繁君、とうとう「開通式」(笑)
ですね。
思わず頭の中で、色っぽいシーンを想像してしまいましたよ。
作者さんの描写力、本当に素晴らしいです。
すぐに映像になってイメージできるところがいいですね。
648 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/18(火) 22:04:19 ID:rlFa4sBF
その『お部屋』は・・2階にある筈であった。
小学生の頃繁は、信彦と家の中で暴れまわっている時に、何度もその部屋へ勢いで入ってしまったことがある。
整然と、ベッドが二つ置いてあった。
自分の親は寝る時は1階の和室に布団を敷いていたから、その時はベッドで寝るなんてモダンな親だなとしか思わなかった。
だから繁は、その部屋を知っていた。
そこまで彼女を導くのだ・・。
その彼女は、繁の少し前を、胸元を押さえてうつむいて歩いた。
ほんの短い距離なのに、しかし繁にとってそれは大変長く感じられた。
まるでこれまでの二人のように。
初めて沖田恵実に会った時のことを、繁は鮮明に覚えている。
小学校3年生の時であった。
『俺んちここなんだ!』
沖田信彦にそう言われて見上げた家は洋風の外観だった。自分の家よりも大きいと繁は思った。
玄関を入って、居間に入って、たぶんしばらくそこで信彦と話しか何かをしていたと思う。そしてその時、自分の後ろから声が聞こえた。
『いらっしゃい。よく来てくれたわね』
涼しげにグラスに注がれた2つのカルピスをのせたおぼんを両手で持って、その人は自分に微笑んだ。
カールしたショートカットだった。
薄いピンク色のスカートをはいていた。
きれいな素敵なお母さんだと、その時確かに思った。
好きになりそうだだとか、いい女だとか、当然そんなませた感情ではなかったが、何か明らかに他の友人の母親とは
違う印象があり、そしてそれは歳を追うごとに、自分が成長していくごとに強くなっていった。
それから10年が過ぎる間、その友人の母親は、いつしか自分が思う人になった。
そして今、その人は部屋のカーテンを閉める。
そしてその人は、振り向いて、やさしく微笑む。
その部屋は・・小ぶりの窓が一つだけ。
カーテンと入り口のドアを閉めれば、もうそこは外界とは完全に隔たれた。
繁は、その人を再び抱きしめた。
唇を重ねた。
もう彼女の胸は完全にはだけている。上着とブラジャーを取り去る。
繁は、震える手で、彼女の腰の辺りにあるものを探った。
649 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/18(火) 22:05:39 ID:rlFa4sBF
すぐにそれは見つかった。スカートのファスナー・・。
薄い生地のスカートは、すっと、床に落ちる。
繁の下半身がもう張り裂けそうになるくらいに感情がこもった。
それは、恵実の純白のパンティーを目にしたからだ。
パンティー1枚だけの姿のされた恵実が、その時少し恥ずかしそうに身を縮めて、繁に微笑んだ。
繁はとうとう、恵実をベッドに押し倒した。
恵実にキスをして、乳房を揉んだ。
自然な流れで、自分も全部脱ぎ捨てていく。
そして、最後の1枚を、彼女から取り去った。
仰向けになって目を閉じている恵実を今にも抱きしめたくなる感情を抑えて、繁は恵実の体に触れた。
燃え上がらせなくてはいけない。
それは男の使命である。
どうする・・。
分からなかった。
どうすればそれがうまく行くのか、いざその場になってみると分からなかった。
しかし、自分のやっていることが正しかったことを、恵実が身をもって知らしめた。
彼女は身をよじって、喘いだのだ。
甘い優美な声で、繁の手の動きに反応した。
それが、焦りから繁を開放させた。
繁は大胆になれた。繁は右手で、彼女の股間を探ることまで推し進めた。
そして繁ははっとした。
彼女のそこは、溢れかえるくらいに瑞々しくなっていたのであった。
でも、でもまだだ・・
繁は手を震わせながら、そこにあるはずの、女性のもっとも敏感な部分を探った。
そしてそこに繁の中指が触れたとき、彼女の下半身がビクンと動いた。
繁は我慢出来なくなった。
せわしく、ベッドの上に膝立ちした。
恵実の両脚を横に大きく押し広げた。
そこに広がる恵実。
上手く出来るのか・・
650 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/18(火) 22:07:10 ID:rlFa4sBF
興奮と、緊張と、不安!
繁が恵実に触れる。
その時、どこからか彼女の右手はそっと伸びてきて、やさしく、自分のほうへ、繁を導いた。
恵実のその手をあてがうしぐさは、まるで女神のようだというのが、繁のその時の素直な気持ちであった。
そして、二人は結ばれた。
繁は思わず恵実を抱きしめた。
動かす。
感じる。その人を、沖田恵実を、感じる。
そして、また動かす。
その時繁は、女の人のそこは、自分を包み込んでくるのだということを知った。
自分が一方的に行動するのではなく、その中では女性も自分の動きに呼応する。
そう、今まさに、恵実が自分に呼びかけている。
これが、愛し合うということなのか。
わかります!
ぼくはわかります!
651 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/18(火) 22:07:44 ID:rlFa4sBF
繁は恵実に答えるかのように唇を重ねた。
しっかりと目を閉じている恵実が、頷いたように思えた。
繁は頭の中が真っ白になるような錯覚を覚えながら、夢中で腰を動かした。
肌と肌が触れ合う。
恵実の乳房が揺れる。
心身の感情が、若い繁をまくしたてた。
そして、恵実は喘いだ。
熱い息を繁に吹き返し、首を左右に振った。
恵実は悶え始めたのだ。
声を上げて首を左右に振る。
それは初めての繁にとって、完全に予想の容量を凌駕する出来事であった。
わけが分からなくなって、一気に動きを早めた。
繁はそうして、本能の塊のようになって・・
そしてついに登りつめた。
腰を震わせて、恵実のその奥へ自分の思いの全てを放ち始めた。
あこがれ、思い続けた日々のことを思い返しながら、繁は射精を続ける。
今その人は、やさしく目を閉じて、それを受け止めている。
なんて素敵な表情なんだろう。
繁は果てていくことで自分を見失わないように、恵実の手をしっかりと握り締めた。
やさしく、しかし強く、彼女は握り返してきた。
652 :
八千草マニア:2006/04/18(火) 22:15:03 ID:XU9xHeCr
作者さん
す、凄い!
とうとう繁君は「男」になりましたね!
それも、親友のお母さんと・・・
そのモデルがあの「秋山しのぶ」さんとは・・・
それにしても、作者さんの文章って、場面のイメージがすぐに映像になって
浮かべる事ができますから、素晴らしいです。
653 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/18(火) 22:32:41 ID:rlFa4sBF
八千草マニアさん、早速有難うございます。
山場の一つと思っていましたので、一気に書いてアップしてみました。
かなり粗がありますが・・いずれ補修版で修正します・・
原作や映像のある則子と北川の場面とは異なり、オリジナルの展開ですので、うまく
表現できるか、秋山さんのイメージを浮かば手もらえるか心配でしたが、なんとか
お伝えできたようで安心しています。
またどうかよろしくお願いいたします。
作者さん、ノリノリだなw
でも童貞の勢いが感じられていいね。
655 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/19(水) 08:32:08 ID:T7BaCyfG
>>654さん ありがとうございます。 結構ノリノリで書けました^^
繁初体験編はもう少し続きますので、よろしくお願いいたします。また、
ご要望なども是非お寄せください。
656 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/19(水) 09:48:55 ID:T7BaCyfG
657 :
八千草マニア:
作者さん
写真アップありがとうございます。
特に「パッソル」の広告と、文化出版の「ハイミセス」
の表紙写真には感激しました。
あと、山内佳江さんや秋山しのぶさんの写真も・・・
こういう写真があると、イメージが一層ふくらみますね。