蘇える?美しき野獣松田優作の名台詞でマターリ

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200XYZ
寝ますか...?
寝る前に、お話しひとつしてあげますよ...。
リップ・バン・ウィンクルの話しって知ってます...?
いい名前でしょう?リップ・バン・ウィンクル...。
彼がね、山へ狩りに行ったんですよ...。山へ狩りに...。
(柏木刑事に向かって銃爪を引く。弾は出ない。ビクっとなる柏木。)
そこでね、小人に会ったんです...。
何ていう名前の小人だったかは忘れましたけどね...。
随分昔の話しだから...。とにかくその小人に会って、ウィンクルは...、
お酒をご馳走になったんですよ...。そのお酒があまりにもおいしくて、
どんどん酔ってしまったんです...。そして、夢を見たんです。
眠りにおちて、夢を見たんです...。
(柏木刑事に向かって銃爪を引く。また弾は出ない。ビクっとなる柏木。
次第に息が荒くなってくる。)
寒いですか...?寒いんでしょう...?(伊達、柏木の膝をさする。)
その夢はね...。どんな狩りでも許されるという、素晴しい夢だったんです。
ところが、その夢がクライマックスに達した頃、惜しいことに目が覚めて
しまったんですよ。あたりを見回すと、小人はもういなかった。
森の様子も、少し変わってた。
ウィンクルはあわてて、妻に会うために、村へ戻ったんです...。
ところが、妻はとっくの昔に死んでたんですよ...。
村の様子も、全然変わってましてね...。わかります?つまり...、
ウィンクルがひと眠りしてる間に、何十年もの歳月が経っていたんですよ...。
面白いでしょう...?
(柏木刑事に向かって銃爪を引く。また弾は出ない。柏木の顔から汗が流れる。
柏木が話しかける。)
柏木:ハ...ハ...ハ...シ...あ....あんたには....
   始めから妻なんていなかったじゃあないか...。
伊達:僕の話しをしてるわけじゃないでしょう...?
   リップ・バン・ウィンクルの話しをしてるんですよ...。
柏木:リップ・バン・ウィンクル...。小人に...何て言う...名前の...
   酒を貰ったんだ...?...出来れば...俺も飲んでみたいなあ...。
伊達:覚えてます...。ラム....、コァントロー....、それに...レモンジュースを少々、
   シェイクするんです...。わかりますか...?
柏木:エックス...ワイ...ゼット...。
伊達:そう...。これで終わりって酒だ....。
(伊達、眼をカっと見開いて柏木刑事に向かって銃爪を引く。だが弾は出ない!)
柏木:ウッ!!
伊達:ア....ア....ア....あんたツイてる...。
   寝ますか...?面白かったでしょう...。僕も疲れちゃった...。
   寝ましょう...今日は...。
(伊達、うとうとしだす。柏木、隙を見て逃げ出す。伊達、銃を撃つ。今度は弾が
出て柏木に命中!崩れ落ちる柏木。)
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