夜闌 香焚き、天を夢む

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607白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 14:50:21
また山賊だと・・・!
臨賀の緑甲軍3000で鎮圧させよ。
率いる将は金昌雄でよい。
まったく・・・。頭が痛い。
山賊どもめ、いつかは根だやしにしてやろうとは思うのだけどいい策がない。
とりあえずはそのときそのとき対策を講じるしかないか・・・。

おい、山賊の本拠地を調べてまいれ!

【山賊の本拠地を探る密偵が派遣されました】
608蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 14:57:30
【南詔・蒙舎州】

蒙鐸粲「平和だ。」
大臣  「ですな。」
蒙鐸粲「しかし、周辺諸国の状況はどうだ。」
大臣  「そうですな・・・」
蕭衡  「陛下、薛勒様申し上げます。」
蒙鐸粲「うぬ、申してみよ。」
蕭衡  「ハハ、大秦婆羅門より隊商が麗水へ参ったとの事です。」
蒙鐸粲「そうか、それは誠によい知らせ。」
      「麗水節度使にしっかり保護してやるように伝えよ。」
蕭衡  「ハハ」
薛勒  「大秦婆羅門といいますと、麗水のさらに西の果てですな。」
蒙鐸粲「うぬ、あの果ての果てに印度がある。」
薛勒  「遥々我が国まで交易とは・・・恐れ入りますな。」
蒙鐸粲「うぬ。商人は強い。我らも見習わねばならぬ。」
      「しかし呉国はどうだ?少しは平穏となったのか?」
薛勒  「その件で御座いますが、商人らの話では布告が弱まったとの事。」
蒙鐸粲「ほぉ。」
薛勒  「江南の大商人らの反対により国家による統制ではなく中小商人に任せる事になったとか。」
蒙鐸粲「ふむ。」
薛勒  「ただ実際の効果は分かりかねますな。中小の商人は大商人に隷属しておりますから。」
蒙鐸粲「まだまだ見通し不明か。」
薛勒  「それより広州、いや嶺南道や江南道でも賊が暴れているとか。」
蒙鐸粲「ほぅ。その方が重要だな。」
薛勒  「左様で御座います。何より嶺南道は直近で御座いますからな。」
     「周囲には皇族の零陵公が封ぜられておりますが・・・あまりに若く実力は分かりかねますからな。」
蒙鐸粲「ふぬ。確か零陵公は桂管、襄陽公は山南東道だったはずだ。」
      「一度使者でも立ててみるか。」
薛勒  「そうですな。特に零陵公とは交易・軍事両面で連携したい所。」
蒙鐸粲「うぬ。」
609南詔家臣:2010/05/05(水) 15:04:53
>>608
失礼致します
どうも我が国の領土云々の情報が分かりにくいので
一度解説して頂けませんか
また、地図も中華全土の地図の中で範囲を示して頂きとうございます
610李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/05(水) 15:21:08
>>607
>>608
チィッ… 本格的に来やがったかッ。
それにどうも臭ぇんだよな。近頃、俺達の周りで何やらコソコソ嗅ぎ回ってる奴等がいる。

あーあ、そろそろ此処も潮時かねぇ。
良いエサ場だったのによ……

おぉうテメエ等、聞いたかッ!
今夜にでも出発だ! 此処を出て、南行くぞ南ッ!


(南詔)

ッヒャァァァーッハッハッハァ!

そこの隊商、命が惜しけりゃ、運んでるモン全部渡しやがれェ!
611蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 15:45:36
【南詔・蒙舎州】

蕭衡  「陛下、臣曰く>>609との事。」
蒙鐸粲「ふぬ。」
薛勒  「そう言えば六詔統一後の地図等は公開しておりませんでしたな。」
蒙鐸粲「我が臣すら国土の状況が分からないのは大きな問題。」
      「至急新たな地図を作れ。」
一同  「ハハ、仰せのままに。」

・・・数日後・・・

蕭衡  「陛下、地図が完成したとの事。」
蒙鐸粲「そうか、ご苦労。」
蕭衡  「当国のみならず商人を駆使し呉国の地図も一部使いました。」
薛勒  「これで越境してくる賊徒対策も楽になりますの。」
蒙鐸粲「うぬ、」

南詔全図 http://www.zrcx.com/Article/UploadPic/200610/20061016081431691.jpg
中華全図 http://www.zrcx.com/Article/UploadPic/200610/20061016081004378.jpg
大陸全図 http://www.zrcx.com/Article/UploadPic/200610/20061016080952763.jpg

蒙鐸粲「しかし混乱の最中とはいえ呉国は広い。」
      「北に控える吐蕃も脅威だ。」
薛勒  「我らもうかうかしてはおれませんぞ。」


**地図借用してきました。
  時代背景が唐との事だったので唐の地図です。
  三国時代等に照らし合わせると益州南部三郡(永昌・雲南・建寧)あたりが国土になります。
612白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 15:51:45
>>608
側近「南詔という国から使者が来ております。」

なに?南詔から・・・。
なんのようだろうか・・・。
まあ良い、通せ!


はるか南の国からご苦労様です。
どうぞゆっくりしていってくれ。
おい、水を飲ませてやりなさい。

ところで何のようでしょうか?
(使者が水を飲み終わったのを見て、その後聞く)
613蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 17:02:29
【南詔・蒙舎州】
>>610

急使  「陛下、申し上げます!賊徒が越境し通海府へ入り暴れているとの事です!」
薛勒  「なんと!」
蒙鐸粲「そうか、すぐに鎮圧させろ。」
薛勒  「通海都督は蒙章様でしたな。」
蒙鐸粲「奴に任せれば問題は無いだろう。」


【通海都督府】

蒙章  「賊徒が呉国より侵入したらしいな。」
長史  「その様で。」
蒙章  「どんな奴らだ?」
長史  「どうやら食い潰れた山賊のようで。」
蒙章  「山賊か、まぁいい。3万も出せばいいだろう。
     「さっさと片付けるぞ。」
長史  「ヘイ。」


蒙章ら3万の兵が鎮圧にあたりました。


【零陵国・零陵】
>>612

使者  「面会頂き誠に感謝致します。我が名は江輅、この度は我が君蒙鐸粲の命にて参りました。
     我が南詔と貴国はもっとも近くにあり。我が君は貴君(零陵公)と誼を通じたく思っております。
     そして両国の発展の為、互いに協力し合う事を望んでおります。
     特に我が君は貴国と我が国の間の通商全般と、呉国からの賊徒の侵入と呉国内の乱れに、
     強い関心を思っており、二つの面で貴国との連携を望み、また貴君の考えを知りたく思っております。」
614白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 17:43:12
>>613
ほう、私と誼を通じたいと?
別にかまいません。共に発展していきましょう。
そして、通商全般、軍事での協力も認めましょう。

私の考え・・・。
それは、呉国の陛下を支えこの世を平和にしていくことです。
鐸粲殿にも協力していただきたい。

とりあえず、賊徒を共に殲滅しましょうと鐸粲殿にお伝えください。
必要に応じて、援軍も出しましょう。

615蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 18:14:01
【南詔・通海都督府】

蒙章  「賊徒共はどうだ?」
長史  「ヘイ、さすがに3万の兵とならば引きつつあり呉国との境へ追いやりましたぞ。」
蒙章  「そうか、奴らが再度来るならば叩く。」
     「それまで陣を張り様子を見る。」
長史  「ヘイ。」


【零陵国・零陵】
>>614

江輅  「そうですかそうですか。それは良かった良かった。」
     「我が君もきっとお喜びになります。」
     「私もいい知らせを持ち帰ることができて一安心で御座います。」
     「しかし、貴君のような者がいるのであれば呉国もまだまだ大丈夫のようですね。」
     「地方は荒れ、民は困窮し、役人は腐敗し、乱が頻発する。」
     「そんな地にも国と君に対し忠義を誓い、賊徒におびえる事無く立ち向かう者がいるのであれば、
     まだまだ死に体とは言いませんからな。」


616白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 18:23:26
>>615
こちらもうれしいよ。
貴君らのような優秀な方々と協力できて。
それほどでもないよ。
私の取り柄といえば陛下への忠誠心だけだしね。
正直、呉も末期かもしれない。
だがね、私は呉をしっかり守るつもりだよ。
それができなかったときは国とともに滅びる。
それが私の使命だからね。

それと貴公の君主殿に賊を挟み撃ちにする策を提案してみてくれ。
零陵の白風悠からってね。
617李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/05(水) 19:20:53
>>613
(南詔)

こいつぁすげえ。香木に、書物…
漢土じゃ手に入らねぇモノばっかりだ。
コイツを売ればその筋じゃあ偉い金になるな。

…へぇ。王サマが慌てて兵を出して来やがったかい。

で、数は幾らだ?
3万…? 3万ねぇ…

クックックックック……

ッヒャアァァァーッハッハッハッハッハァ!!!

こいつは傑作だ!
200を片付けるのに、3万とはァ!

見えるぜ。怯えてガタガタ震える王サマの姿がよぉ…

そうだ、もっとだ。もっと震えやがれ…
この“李徐泰”の名になぁッ!!


おぉい、呉錫!
南詔の街に偽報は送ったかぁ!?

「ぬかりねぇ、小兄ぃ。奴らのトコには、俺達が
 『3万の兵に押されて引きつつあり、呉国との境へ追いやられた』(>>615)って伝わってるハズだぜ」

クククッ… 滑稽な事だなぁ?
日々生きる為の略奪と殺戮をしてる俺達が、軍隊サマとぶつかる道を選ぶモンかよ。

軍隊サマが来た頃にゃ、俺達は闇に紛れて逃げちまってる。
追いかけっこを楽しもうぜぇ、王サマよぉ…
618劉敦@白風悠家臣 ◆JIsvOprbII :2010/05/05(水) 19:33:13
>>616
主公、他国の者に「呉は末期」だなどと・・・
不用意な言は謹まれよ
それで付け入られたらどうなさる

(やはりまだ未熟・・・)
619白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 19:39:46
>>618
ごめん、ごめん・・・。
こんな縁起もないことを皇族が言っていてはだめだ。
前言撤回ッ!!!
毎日帝國のためにがんばるぞ!
620蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 19:40:27
【零陵国・零陵】
>>616

江輅  「そうですか。貴君の国に殉ずる覚悟がおありのようだ。」
     「そのような志をもった者がいると知ることができたのも
     大きな成果と言えます。」
     「しかし、我ら華の果てから華を見続けた民として一つ。」
     「華が三国に別れ覇権を争った頃が御座いましたが、
     かの時代の後、全ての王朝は皇帝の猜疑心と宗族の
     欲によって国が傾き滅びております。」
     「貴君はまだ若い。政も人心も臣もわからないことは多
     いでしょう。」
     「だからこその強い信念も汚れなき志もある。」
     「ただ時として国を思い民を思うのであれば立ち上がら
     ねばなら無いこともある。」
     「凡庸で暗愚な皇帝は国の為にならないが、暴虐な皇帝
     は害にしかならない。そのような時にも見の保身のため
     の忠義を払うのは果たして天が望むのか、とね。」
     「そしてまたそれは時を間違えると単なる暗愚な戦いにも
     なる。」
     「尽くす忠義だけではなく時として覇を唱える事も民の為
     になることは覚えておくとよいでしょう。そして常に時勢を
     読み臣民の思いを読むことを。」
     「幸いな事に我が国はまだまだ未熟。それほどの混乱は
     ありませんが、我らとしても貴君ら華の民と国より学んだ
     一つの知識です。」
     「それでは私はそろそろ失礼致します。」
     「多忙な時期にお時間を頂き心より感謝致します。」
     「そして今後とも両国の平和と繁栄の為宜しくお願い致し
     ます。」

江輅は退室しました。

副使  「江大使、次は如何致しますか?」
江輅  「折角だ、若き王のもう一つの領地をみてみよう。」
副使  「賀州(臨賀)ですな。」
江輅  「あぁ、賊徒が暴れた地でもあるからね。」
     「しかしいくら広大な領土では強大になるとはいえ、皇族
     の封地を別の道にばらばらに置くとはね・・・」
     「この国の最大の敵は皇族内の相互不信だろうね。」
副使  「難しい問題ではありますからな。」

江一行は賀州(臨賀)へ向かいました。
(永州(零陵)は江南西道(湖南観察使)に賀州(臨賀)は嶺南道(桂管観察使)に属します
(もし隣接して領有してるなら次書くときからそうしますんでOKです。
621白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 19:47:52
>>620
ふむ・・・。
陛下は暗愚でもないし、暴虐でもない良い方だよ。
私に良くしてくれるし、民のことを常に考えている。
そういうお方なんだ。
覇を唱えること・・・。少なくとも陛下の治世の間にはしないな。
陛下は、とてもよい帝だと私は思っている。

私にとっても君との会話は為になった。
また機会があったら話をしよう。
じゃあ、また。

(すいません無知で。三国時代の郡を参照にしたので隣接しているということでお願いします)
622蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 21:14:54
【南詔・通海都督府】
>>617

蒙章  「賊徒共はどうだ?」
長史  「ヘイ、奴らでございますが、ここ数週間で色々と分かってきましたぞ。」
蒙章  「そうか。」
副官  「蒙都督、爨長史、報告致します!」
     「奴らの大将は李徐泰。兵力は200程度。」
     「奴らは国境の部落や商人を襲い物資を強奪しているとの事。」
     我らが討伐に向かうと呉国側へ逃亡する、というイタチゴッコで御座います。」
爨懋  「それで丁殿、民や商人に被害は?」
丁宝  「今のところ大きな被害の報告はありません。」
     民にしろ商人にしろ賊徒に物資を渡しては逃げおおせているようです。」
蒙章  「ならば良い。」
     「しかしこれでどれくらいになる?」
爨懋  「ヘイ、もう一月はゆうに経ったかと。」
丁宝  「被害は数十に上ります。」
爨懋  「奪った物資はどうしているのだ?」
丁宝  「どうやら奴らは安南や容州などで転売しているようです。」
     「なかでも安南は地理的に近く、交易も盛んな所ですから第一の捌き先との事。」
     「そこから他国の品として偽装し舟で広州へと送られているとの事。」
爨懋  「まさに商売というわけだ。」
丁宝  「ええ、爨長史の言うとおりです。」
     「呉国では珍重される物も多くかなり旨みがあるとの事。」
蒙章  「なるほどな。」
丁宝  「どうやら蒙都督のお考えになられたとおりの結果でしたな。」
爨懋  「となると、やはりそうか。」
蒙章  「そろそろ方針転換が必要だな。」
     「よし、叔父、いや王に使者を立てよ。」
爨懋  「ヘイ!」


【南詔・蒙舎州】

蕭衡  「陛下、蒙章様より使者が。」
蒙鐸粲「何。通せ。」

使者  「陛下、どうやら賊徒どもは安南や容州を基盤に活動しているようです。」
     「奴らは略奪品を引き込んだ商人どもに売り、商人はそれを転売して
     暴利を稼ぎ、さらには役所の官たちも賄賂で潤っているとの事。」
     「そこで奴らを徹底的に叩く為に陛下にも助力をして欲しく参りました。」
蒙鐸粲「そうか、ならば蒙章のみに任せてはおけん。」
      「ケ遂、阮薦の二将軍と7万の兵を送る。」
     「蒙章によろしく伝えよ!」
使者  「ハハ、有難き幸せ!」


ケ遂、阮薦率いる7万の兵が通海都督府へ合流
>>621 いえ地方は三国ベースとの事ですから問題ないです。
(ただ南詔自体が唐の時代の国なので地図参照すると差異が生じてしまい
(むしろ確認せずすいませんでした。
623蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 21:24:13
【南詔・通海都督府】
>>617

急使  「蒙都督!都からケ大将と阮大将と7万の兵が参りましたぞ。」
蒙章  「そうか、両大将が参られたか、直ぐに通せ。」

ケ遂  「これはこれは蒙都督。お久しぶりです。」
阮薦  「お元気な様子でなによりでじゃ。」
蒙章  「いやいや両大将こそ相変わらずで。」
ケ遂  「ワシは白髪になってしまったがな。」
阮薦  「そう嘆くもんじゃないぞ。禿げるよりはましじゃろ。」
蒙章  「時には勝てませんからな。」
一同  「はっはっは」
爨懋  「で、ですね。」
一同  「うむ。」
爨懋  「本題で御座いますが、敵は李徐泰、兵力は200程度。」
     「拠点は国境で御座いますが、我が国で略奪し安南などで捌いているようです。」
阮薦  「なるほど、呉国側に協力者がいるわけじゃな。」
蒙章  「そのように思われます。」
丁宝  「この期間、実際に奴らに兵をつけましたが、呉国側で討伐はさておりません。」
ケ遂  「黙認か、討伐する力も無いか。」
丁宝  「商売として商人も介在しております。」
     「そこそこの数の武装者が自由に闊歩できるわけですから何らかの接点はあるかと。」
蒙章  「あろうがなかろうが敵には変わらず、また助長しているのも同罪だ。」
一同  「うぬ。」
阮薦  「してどの様に攻め込むのじゃ?」
丁宝  「ハハ、安南は目と鼻の先、まず交州(龍編)を落とし続いて峰州(新興郡臨西)、愛州(九真郡)と落とせば宜しいかと。」
     「民は越人ですから収奪に対し反乱が度々起きておりますし大きな障害はありません。」
蒙章  「ならば、その方向で進める。」
一同  「おう!」

南詔軍10万が安南へ攻め込み道中で目立った抵抗もなく交州に進軍。
さらに越人の豪族らが蜂起し愛州を制圧しさらに南下。
624碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/05(水) 22:52:57
(参考レス>>538
「あらっ、慶雲、一体何処へ行っていたの?」
仕事中――忙しく布地を広げる螺春の肩へ、散歩から戻って来た幼竜が
くぅ〜〜、と啼きつつそっと止まる。
人の子には聞こえない、螺春の人語ならぬ言の葉で問われても、慶雲、と
名付けられた幼い風竜はさして気にした様子もなく、口から円い雲をぽかり、
ぽかりと吐いて寛いでいるばかりだ。
螺春は思わずくすり、と笑うと、
「幼いとはいえ一日に五十里をも走れると謂われる貴方の事だから心配無いと
思うけれど、迷子にはならないでね」
と優しく語り掛ける。

(風精様が預けて下さったこの子だから、大事にしなくちゃ…)
625 ◆Enju.swKJU :2010/05/05(水) 23:03:24
>>623
>呉国側で討伐はさておりません。

【いえ、黙認でも、力が無いということでもなく】
【零陵公に討伐に当たってもらう、というのが方針のつもりでした】
【目の前の賊討伐は現地に封じた皇族に指揮を執らせ】
【帝国政府は根幹を断つべく改革の五法を……ということです】
626白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/05(水) 23:33:48
>>624
螺春の語りかけを聞いてか聞かずか、幼竜はんん、と目を細めて安らかな様子だ。
彼は彼女のことが気に入ったらしい。
彼女の人語ならぬ言の葉は、心に穏やかな調和を呼ぶ調子を持っていた。
大切にされている。彼はそれを感じていた。


「…心配になって覗いてみれば、随分と懐いてるじゃあないか」

遥か上の方で、莞爾と微笑むのは風精だ。

「慶雲か。佳い名前をもらったものさねえ。」
「あれも可哀相な身の上なのさ。拾ってやったものの、あたしじゃあ持て余すばかり。」
「いやあ、嬢ちゃんに預けられてよかったよかった。」

「碧螺春、かい。……なかなか大変な子だけど、『選ばれた』だけはあるのかねぇ。」
「まぁ しっかりおやり。少しずつだが、変わってきてる筈だよ。色々ね。」

「慶雲を預かってもらったお返しは、見えないところでちゃんとさせてもらおうね。」

「さぁて。それじゃあ、こっちは今んとこ心配なさそうだ。」
「あたしはそろそろ、行くかねえ。」
627蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 23:39:25
>>625
それは失礼致しました。
それでは

>呉国側で討伐はさておりません

この項を

呉国側では目立った掃討といえるような動きは見られず、実際の効果も上がっていないと言えます。

と置き換えさせて頂きます。

趣旨としては
対策は行われているのかもしれないが、目だってそのようには見えず、また奴らにも変化はなく
その成果は上がっていない
というような意味合いで
628 ◆Enju.swKJU :2010/05/05(水) 23:41:55
>>627
【こちらこそ失礼いたしました。】
【了解です、ありがとうございます。】
629朱日昊 ◆vFI55n.9TIA0 :2010/05/05(水) 23:54:52
【建康・朱家軍本陣】
朱日昊「薛才人、焦景栄、左匡輝の暗殺はどうなっている?」
闖忠弘「はい、京師の懿材殿からは何の報告もありません。」
朱日昊「そうか。ではもうしばらく待つとしよう。」
闖忠弘「…日昊様、懿材殿にこのような大事を一任していて大丈夫なのでしょうか?」
      「日昊様の理想と懿材殿の野望は目的と手段が全く違います。」
      「ここは我らが単独で動いたほうが宜しいのではないでしょうか。」
朱日昊「忠弘の心配はよくわかる。」
      「だが懿材の宮中工作の成果は素晴らしいものだ。」
      「おそらく朱家軍であれほどの成果を挙げられる者はおるまい。」
      「しかし忠弘の考えを無視するわけにはいくまい。」
      「京師へ四天王の金巨山と清恵礼を潜らせることとしよう。」
闖忠弘「金巨山はかつて京師で棒術師範をやっていたとか。」
      「今でも知己の者が多く京師にはいることでしょう。」
      「また清恵礼は寡黙で無用なことは日昊様や父母にさえ一切喋らぬ性格。」
      「潜伏工作にはもってこいの人選、さすがは日昊様。」

(朱家軍四天王の金巨山・清恵礼、京師に潜伏中!)
630碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/06(木) 00:35:33
>>589
螺春がふっとまだ見ぬ皇帝陛下の人柄及び資質へと思いを馳せた丁度その時、

「ごめんねー、紫絲一巻きー」

颯爽として清冽な容姿、そしてその容貌に削ぐわぬ程にお茶目な物腰の
闖入者が突然現れた。
(まあ…)
着てらっしゃる服と、対処している尚服局の人々の態度で朧気に分かる、
この方こそ皇帝・白牡丹様だ。
(麗貌も宛ら、人の子にしては神仙の気の様なものが強く感じられる…)

皇帝の口から紫絲が必要だ、と聞いた女官達が俄に色めき立つ。
「んまっ、それでは私(ワタクシ)が」
「お待ち下さいまし、わたくしが…!」
積極的な女官達は、我こそが皇帝陛下に近付こうと争い始める。
螺春は最後列からその様を眺めているばかりだ。
「静かにおし!」
上役の女官が両の手を強く叩いて女官達を正気に帰らせる。
彼女は皇帝陛下に恭しく一礼すると、
「陛下、今持たせて参りますので暫し御待ちを」
年配の古株の女官に糸を持って来る様に指示する。
その間、螺春は無礼な事と知りつつも皇帝陛下を凝視してしまった。
すると、不意に皇帝陛下もこちらを見た気がして、螺春は慌てて下を向いた…。

くわぁああぁん〜〜

肩の白竜が暢気に欠伸をして皇帝陛下にふわりふわりと寄っていったのにも
気付かなかった。
631白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 00:36:48
>>630
ありがとう、「おばあちゃん」。

(真心からの慈しみと優しい尊敬を込め、年配の女官に笑みを向ける白牡丹。)

今年、故里に下がるんだってね。
寂しくなるよ。小さい時から知ってるもの。今まで、本当にありがとうね。

(紫絲を受け取る時、彼は彼女の皺々の手を両手で包んだ。彼女の手は、彼が生涯の中で触れた
 多くの衣類を紡いできた。誰よりも精緻に、誰よりも真心を込めて服を作った。
 垂楊と同じく、人は老いるもの。彼女を見ると、慈しみと同時に寂寞を感じるのだ。)

ん、

(ふと、若い女官達の色めく視線に混じって、気色の異なる視線を感じる)

──人の子にしては、清澄な気が強いな。そして、肩にいる、あの……

(彼女は、すぐに目を逸らして下を向いてしまったが。
 奇しくも彼女が持ったのと同じ印象を、彼も彼女に対して抱いた。)


くわぁああぁん〜〜


くすっ。
(お前、雲みたいだな。おいでおいでっ!)

(幼き白竜は、そのまま白牡丹の肩に止まって欠伸をしている。)

(彼女に、この竜が見えているのかな。もし見えているなら、それって、大切なことだよ。)

(再び、彼女と目が合った。驚いている。見えているんだね。皇帝は、ふっと笑って彼女に目配せした。
 この場で話しかけて竜を返すのは、あまりよくない。女官というのは、家族のようなものだ。
 しかしその「家族」は、嫉妬によって容易く崩壊する。そして自分の振る舞いは嫉妬の原因となることを、
 白牡丹はよく知っていた。)

それじゃあ、絲、本当にありがとうねっ! 作業頑張ってねっ!

(全員に笑いかけ、最後に螺春に目配せをすると、白牡丹は竜を肩に乗せたまま出て行った。)


─その夜─

くぅぅん…

(風の良い夜だ。風を取り入れるため開かれた螺春たちの室の窓から、慶雲は帰ってきた。
 彼は背中に銀色の手鏡を乗せていた。
 鏡は物質だから、下手をすれば同室の女官にばれてしまう。
 賢い慶雲は、彼女達が寝静まるのを見計らって入ってきたのだ。)

くぅぅ〜…

(慶雲は鏡を差し出し、次いで貌で螺春の懐を示す。鏡を懐に入れるよう促しているのだ。
 鏡を懐に入れて心を安らかにし、お告げを聞く。『鏡聴』である。)

(彼女がそれに従うとき、このような言葉が聴こえるだろう)


『これから、太液池まで忍んできて下さい』
632蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/06(木) 00:44:29
【呉国・零陵公国・臨賀】

副使  「ここが賀州で御座いますか。」
江輅  「のようですね。」
副使  「確かに、賊徒が暴れまわった傷跡は大きいようだ。」
     「道中の話ではあの零陵公も襲われたとの話。」
     「こいつは本当に呉国は力を失いつつあるのかもしれませんな。」
江輅  「しかし賀州の民はそれほど死んだ顔のものはいないですね。」
副使  「ええ。」
     「話してみれば皆民は零陵公や呉帝の事を信じているようですからな。」
江輅  「まだ若いが治世はうまくいっているようですね。」
     「しかし、零陵公の封土は永州(零陵)と賀州との話でしたが、
     実際には陸続きでしたね。」
副使  「きっと中心地が居を構える永州と南の賀州という事だったんでしょう。
     だが、確かにこうしてみると意外と封土は大きいですな。」
江輅  「さすがは大呉帝国の皇族様ということでしょうね。」
     「しかし、彼の話はしっかり陛下に伝えなければなりませんね。」
副使  「そうですな。」

*南詔の使節は帰国中


【安南・交州】

蒙章  「して役人どもはどこだ?」
丁宝  「主だった者達は我らが安南に入る前に逃亡したとの事。」
ケ遂  「まさか一戦も交える事無く交州に入城できるとは思わんじゃった。」
蒙章  「確かに。」
阮薦  「これも皆交州の民の協力があってこそだ。」
丁宝  「ええ、既に我らが安南に入った頃には愛州(九真郡)が反乱によって陥落、
     今ではさらに最南端の唐林州まで越人の反乱の手に落ちましたとの事。」
爨懋  「北部・東部の諸州も主だった役人は逃亡し残った兵士や下級役人も順々
     と降伏しております。」
蒙章  「そうか。」
ケ遂  「それで奴らの賊徒の対策はどうであったのじゃ?」
丁宝  「それなのですが、主だった者が逃亡した今、詳細を知るものがほとんど
     おりませんのでハッキリとは申し上げれませんが。」
     「どうやら、残った者や民の話では賊の討伐よりも越人の討伐が優先され
     中には賊と手を結んでいたものもいたとの事。」
阮薦  「なるほど、予想通りではないか。」
丁宝  「しかし、下級役人の中には心苦しく思い討伐に当たっていた尉もおり、
     住民は自警団を作って自衛していたようです。」
     「それと、北部、東部の投降した役人の話では、一向に変わらない現状に
     対し呉帝自らが永州に封ぜられた皇族に鎮圧に命じたとの事で、どうやら
     その皇族が封土の賊徒の討伐と復興を行っている間に我らが打ち倒した
     格好になったとの事。」
ケ遂  「それでは、皇帝の耳に入るほどこの地の役人どもは動かなかったという
     わけじゃな。」
爨懋  「しかし討伐を任された零陵公は嶺南を一手に振られた訳ですから手一杯
     だった事でしょうし、今回の件は怠慢とはいえないでしょうな。」
阮薦  「しかし広大な土地を占領した格好になったがどうするのだ?」
丁宝  「それですが、越人達の反漢人意識は凄く、漢人からの解放を皆一様に喜
     んで蒙章様へ帰属を願い出る豪族も出てきておるとの事。」
蒙章  「ふぬ。とりあえずだ。当面は我らが駐屯し治安の維持を行い軍はこれ以上進軍しない。」
     「当地の民は南詔の民と同じく扱い、略奪や暴行は一切認めん。」
一同  「ハハ」

安南経略使の領域を南詔軍が征服しました
633 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 00:56:02
そろそろ、容量500KBが近づいてきましたね。
次スレを立てる時期が近づいています。
まだあと15〜20KBありますが、もう少しレスが付いたら立てましょう。
もし私が不在、あるいは立てられなかったら、以下のテンプレでお願いします。(ちょっと改変しました。)

----

ここではない場所、いまではない時に
ひとつの王朝が興りました。

その王朝の名は呉帝国。
建てたのは、鮮卑族の出の将軍でした。
彼の開明的な視野と政策は、長期に亘る泰平を創出しました。
しかし万物は流転するもの。
統一から二六〇年の後、太祖以来の名君・叡宗の後を継いだのは、
まだ年若い皇帝でした。
彼の治世に、権臣は賄賂を扱い、政治は弛緩、
その綻びはとうとう戦乱という形で噴出しました。

稀有の人材を登用し、帝国の中興を図る皇帝。
野心と次代への思いを胸に、剣を抱く英雄。
そして、人間がこの地上に生を繋いで良い生き物かどうか、
その資質を試す神々と精霊。

それぞれの思いは交錯し、広大な中つ国の歴史は紡がれてゆくのです……。

----

このスレは、仮想中国史なりきりスレです。
皇帝から吏僚、軍閥、思想家、庶民、はたまた神々に精霊。
あらゆる立場で参加することができます。
大まかな時代背景や官制は唐朝後期を想定しています。


【前スレ】
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/nanminhis/1261757311/

【規制時の代行依頼スレ】
PC用
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9102/1272365399/l50
携帯用
http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/study/9102/1272365399/


※初参加時テンプレ(推奨)
【姓】
【名】
【字】
【身分】
【品階】
【官職】
【備考】
634名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/06(木) 01:18:27
クソッ、アンジェめ。命数が伸びたことを神に感謝するんだな!
635名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/06(木) 01:27:28
「白牡丹は馬鹿だ!白牡丹は馬鹿だ!」
週末の広陵の大通りを一人の農民が大声で叫びながら走り抜けた。
農民は逮捕され、裁判の結果懲役25年を言い渡された。
1年分の罪状は侮辱罪、もう24年分の罪状は国家機密漏洩罪だった。
636白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/06(木) 06:59:00
>>625
陛下から、山賊征伐の命が下った。
緑甲軍はどれくらいいる?

楊師候「40000ほどかと・・・・。」

ずいぶん増えたな。これで賊も討伐できよう。
孫応尋、7000の兵をもち鎮圧してきてくれ。
臨賀城に入って対策を練ってもいいし、ここからそのまま討伐でもいいよ。
とにかく頼むよ。
637白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/05/06(木) 12:17:08
>>514
【長江南岸】

鄭文秀「おお、あいつなかなかやるじゃねぇか!」
      「昼夜ぶっ通しで走った次の日に長江を泳いで渡るなんて俺でもきついってのに」
      「殿下、あいつにお言葉と褒美を賜ってやったらどうです?」
張峰庵「若、信賞必罰は君子の務め」
      「さあ、このような苦行を見事乗り越えた勇者にお言葉を」

そうだね、では少し彼と話をしてみよう
峰庵と文秀はここに残って二番手以降の者たちを整列させていてくれ

(単敬徳に歩み寄り)
君の名を教えてくれないか?・・・そう、単敬福というのか
敬福、君はなぜ白獅義従の兵に志願したんだ?
・・・いや、少しだけ気になってね
638白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 16:12:29
>>637
自信満々に歩み出る単敬徳。

「しからば、『嘘を吐かぬ』のが白獅義従の軍規ですから、正直に申し上げます。」

「如何なる職種であれ、自らの能力を遺憾なく発揮できる職こそ、士の求むる所。」
「上司が属僚を選ぶように、今は属僚とて上司を選ぶのです。」

「目下、白獅義従は帝国の精鋭ならんと志高き様子!」
「そういう場所に居らねば、人間は緊張感を失うてしまいます。」

「敢えて申しましょう。この単敬徳、上将の仰せ通り『長江を泳いで渡り』ましたが、
 その全工程を泳いではおりませぬ。」

「与えられた一日を、商船の日取りと出着場所の把握に費やし、肉体の疲労を抑える一助と致しました。」

「さあ、上将はどうなさる?」
「皆が注目しておりますぞ。」

「敬徳を斬れば、全員一致して忠君愛国に燃える鉄の軍隊だが、画一的で研鑽に欠けるというのが
 白獅義従の目指す方針となりましょう。」

「敬徳を許せば、清濁併せ呑んでしまいこそすれ、各人が柔軟に己の持つ能力を活かし
 またそれぞれの『個性』を発揮できる軍隊が方針となりましょう。」

(個性。無論、この時代にも、いや遥か昔の時代にも個性の存在に気付いた者はいた。
 しかし、それは圧倒的少数であり、社会全体にとって個など存在しないというのが前近代の通念だった。
 敬徳はその「個」というものを持ち出したのだ。)
639白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/05/06(木) 19:28:35
>>638
ふふふ、ははは、あーはっはっはっは!

(突然大笑いしだした白暁獅に居並ぶ将兵たちは怪訝な顔をする)
・・・いや、すまない
敬徳、君は実に面白い男だ
まさか途中まで船に乗ってくるとは、いやはや、私だけでなくそこの峰庵や文秀も想像していなかった
実に素晴らしい発想だが、しかし君をここで報奨しては他の兵たちに示しがつかないのだ
・・・私は君を斬るような不粋な真似はしない
だが君には白獅義従の兵卒という名誉ある職はふさわしくないので残念だが解雇させてもらうよ

鄭文秀「お、おいおい殿下!そりゃちょっと違うんじゃないですかい?」
      「そりゃまあ、俺がこいつの同僚だったら一発殴らにゃ気は済まねぇけど・・・」
張峰庵「若、確かにこの者は長江を全て泳いで渡ったわけではありません」
      「それは武人にとっては卑怯かもしれませんが、素晴らしい智慧者ではありませんか」

・・・ああ、まったくその通りだよ
敬徳、君のような者が兵卒の中にいたとは私にとっても驚きだ
繰り返すが、君は白獅義従の兵にはふさわしくない
・・・だが、私と白獅義従の参謀にはうってつけの人材だ
いずれ我々は大呉帝国の剣として盾として、この中華を駆け回ることになるだろう
その過程で多くの兵が戦地に斃れることになる・・・
しかし、将の努力次第でその犠牲を最小限に留めることは可能なんだ
自らの体力を消耗しないように君は努力し、実際それを成功させた
今度はこの優秀かつ忠実な兵たちからなる白獅義従を消耗させないために努力してくれないか?

単敬徳、我々には君の智慧が必要なんだ
陛下のため、帝国のため、そして何より天下万民のため、白獅義従の参謀になってくれ!
(白暁獅は単敬徳に深々と頭を下げる)
640白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/05/06(木) 23:15:29
>>605

白呈春「昌谷公主――」

(昌谷公主の名を口にすると白呈春は、皇帝をしばし見つめ己の薄い唇に長い指を置いた。
真っ先に浮かんだのは白呈春自身であった。だが、白呈春と皇帝ではあまりに外見が違いすぎる。
では、皇帝の実弟・如月か? 如月の影武者を白呈春が務めることはできても、皇帝の影武者を
白呈春が勤めることができぬように白如月と皇帝も外見と醸し出す雰囲気に類似点がなかった。
それに皇帝が指摘した点が気に掛かっていた)

白呈春「昌谷公主でよろしいのですね」

(昌谷公主は皇帝の生母である皇后から生まれた姫君で皇帝と趣味嗜好、声音何から何まで似ていた。
探し出す必要など端からなかったのだ)
641碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/06(木) 23:29:48
>>626
螺春は不意に、微かに渦巻く様な風の流れの気配を感じて頭上を見上げる。
だが其処には、尚服局内に在る仕事場の天井が在るばかりだ。
でも、これは――。
全然嫌な気配では無い、寧ろ懐かしい様な。
この目で確かめて見たい――螺春の意識が其方に動く。すると、ふっと気配は
消えてしまった。

もしかして――風精さん?

その気になれば天井をもすり抜けられる彼女だが、
「風精さんに挨拶出来ずに申し訳無いけれど、今はお仕事に専念しなくては……」
僅かに汗ばむ額の端を手の甲で拭うと、作業を再開した。

>>630
先程まで戯けていた皇帝の真摯な敬愛の念に触れ、年配の女官は涙を
光らせるとそっと己が袖で拭った。
皆の前でこうして顕彰の御言葉を頂き、長年尚服に携わって来たものとして、
名誉もこの上無いだろう。
その様子に貰い泣きをする心優しい女官もいる中、螺春もまた、ほんわりと
暖かい気持ちを覚えた。
だから、再び皇帝陛下と目が会った時は立場を忘れ、先程よりも凝視してしまった。

―まあ、あの子!

ふと皇帝の肩を見ると、慶雲が心地良さそうに欠伸をしている。
――と、
皇帝は肩で雲を吐く幼竜にちらっと眼差しをやったが、何等動ぜず此方に
目配せして来た。

慶雲が見えている!?

まさか…しかし、人の子にも稀では有れど伝わる能力と聞いている。
驚愕を顔に表した螺春に悠然とまた目配せをすると、皇帝は慶雲を肩に
乗せたまま出て行ってしまった。

慶雲ったら……!

どうしようかと思ったが、此処で目立つ様な真似をする訳にも行かない。

―そして、その夜――

「太液池とは…此所で良いのかしら……」
642単敬徳 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 23:31:36
>>639
「それがしを、参謀に…」

兵には向かぬが、参謀には向いている。それゆえ、兵としては解雇し、
改めて参謀として迎えるという。
この粋な計らいに、単敬徳は感じ入った。

「上将、この単敬徳は真に身の置き所を見つけた思いでございます。」
「この勇猛なる白獅義従を、もっともっと強くしてみせたい。」

「どうか、頭をお上げください。」
「それがし、自らお願い申し上げても臣下の列に加えていただき、
 御馬前で力の限り働きたいのです。」

「これよりは軍師の衣:◆bba6.0YO2g を纏い、采配を振るいましょう。」

単敬徳は白獅義従の参謀として遇され、軍略をもって貢献した。
当初、至極当然ながら他の兵達にはやっかまれたが、やがてはその実力を
彼らにも評価されていくことになる。


「ざっと見た所、五千の猛者が此処に立っております。」
「過酷な苦難を物ともせぬ一騎当千の者共が五千でございます。」
「これを軍の中核とすれば、数合わせのためにかき集める多数の兵とて奮い立ち、
 訓練次第で白獅義従に追いつき追い越せとばかりに励むでしょう。」
「さらに我らには、関中、中原、長江中流域を結ぶ要衝・襄陽がある。」
「襄陽府を制する者が、楚を制するのでございます。」
「荊南の白風悠殿下と連携を取り、これをもって江南に一大勢力を築き、陛下の藩屏たり、
 進んでは敵を打ち破り引いては固く守って呉の盾となるが最良の道かと。」
643李畢嵐 ◆OBNJddam46oq :2010/05/06(木) 23:36:26
【京師郊外・薛珠邸】

薛珠「さて、李大人。あれが、娘が孕んだらしい。」
李畢嵐「そのようで。」
薛珠「これでもう――婿も用無しだな。反乱軍に、皇帝派。面倒なものよ。」
李畢嵐「抵抗も天命の前では無駄に過ぎないことが、何れ彼らにもわかる日が来る事でございましょう。」

【礼部尚書・薛珠と宦官・李畢嵐が本格的に皇帝暗殺の計画に向けて動き出す模様です。】
644白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 23:53:35
>>640
それなら─

それで決まりだね。
燕王家の庭で誓ったように。社稷の病巣に柳葉刀を突き入れ、摘発する。
これまで、政府は問題があれば微温湯のような対処を取ってきた。
叡宗陛下の治世から、朕の治世にかけて
泰平は揺らぎ、その解れは少しずつ見えてきていた。
景栄から色々な話を聞いて、それがわかった。
だけど、我々は見て見ぬ振りをしていたんだ。
激しい摩擦を生まない、お茶を濁すような対処で問題を先延ばしにしてきた。
もう、それはならない。
どんな痛みが伴おうとも、十年、百年の後に成果を残す改革をせねばならない。
燕王家の庭で決めたことだよ。

助力してくれるね。

それから、汝杏のことだ。
汝杏は、どんな様子なんだい?
この世の中で。
邸の中にいて、歴史を記すことができないのは、
彼にとって幸か、それとも不幸かな。
645白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/07(金) 00:31:10
>>641
【太液池】

──後宮の庭。幾多の文人の筆によって人々が識るその「全貌」は、実物の美質に到底及ばないものであった。

(「ここ」は、外臣の知らざる領域。
 訪なう人を、さやかな夜風が迎える。
 星の光は届かないが、その代わりに翩々と咲く麗花が光を投げかける。
 背筋を凍らせるような白、幽玄の白。)


ごきげんよう、(鶴が羽を休めるように、蕭々として佇んでいた。足音を聞き、振り返って笑みを作り)
さっきまで、慶雲と話していたんだよ。

慶雲はね、親の顔を覚えていないんだ。
それだけじゃない。自分の見てきたもの、食べてきたもの。聴いたもの。逢ったひと。
それを片端から忘れてしまうんだそうだ。
でも、貴女のことは忘れないんだ、と。
貴女のところにきて、まだ日は浅いけれど。その記憶は、水が水瓶に溜まるように失われないのだと。

それを聞くと、朕も嬉しくなって。そして、貴女に逢いたくなった。
さぞかし、驚いただろう。悪かったよ……。

(清澄に揺れる波を眺め)

名前、教えて。(ぽつり、呟くように言う皇帝の鼻腔を、わずかに沈香がくすぐる。)

(急に香を焚き染めた、無作法な香りではない。
 それどころか、この若さで香道の奥義を極めたが如く、自然の花が生きているように香るのだ。
 しかし、そのことについて詮索すまい、と思った。
 女官には複雑な幼年時代を抱き、そしてそれは幸せならぬ思い出であることがままあるのだ。
 ただ、良い香だね、と言った。)
646李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/07(金) 01:49:07
あれから一月。
やりにくくなったモンだぜ。

俺達の正体もやり口も、だんだんと暴かれこのままじゃ丸裸だ。
今を逃せばお縄一直線だろうな。


稼ぐだけ稼いだ。未練は命取りにならぁ。

おぉう、そろそろここを去るぜ。
次は襄陽でも行ってみるかな。
647李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/07(金) 02:17:39
エサで釣った役人共に商人共が鼠みてぇに逃げ出すから、
こいつぁヤベェと一緒んなって逃げ遂せた。

嶺南道から江南西道を北上してえが、嶺南道にゃ孫のバケモンが7000連れて来てる(>>636)って話だ。
7000がウロウロしてるってこたぁ、江南西道のお家にゃもっと官兵サマが控えてんだろう。

ここを通るって賭けは、ねぇな。
ちと危ねえが、朗州(武陵)経由で襄陽に向かうとするぜ……
648蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/07(金) 03:45:51
【南詔・蒙舎州】

蕭衡  「陛下、薛丞相、安南府が陥落したとの事です。」
蒙鐸粲「そうか。」
薛勒  「やけにあっけなかったですな。」
蕭衡  「ええ。蒙都督の報告によると抵抗を受ける事なく交州も陥落したとか。」
薛勒  「矛を交える事なく?」
蕭衡  「ええ、安南府南部は越人の反乱により陥落。」
     「交州を含む中部・北部・東部の諸州は主だった官吏が逃亡。」
     「そのため残った兵士や下級官吏が続々と投降。」
     「結果として戦といえる戦をする事なく安南府全土を掌握したとの事。」
薛勒  「なんとまぁ・・・節度使をはじめ上級官吏らが我先に逃亡するとは、
     思わなかったですな。」
蕭衡  「民の反乱といい、賊徒の発生といい、官吏の腐敗といい、呉国も
     地方から屋台骨が大分痛んでいるようです。」
蒙鐸粲「それで賊徒と官吏らの関連はあったのか?。」
蕭衡  「ええ、それは間違いないとの事です。」
     「我が国で賊が略奪し、それを商人に横流しにする。」
     「商人はそれをさらに広州へ運び転売する。」
     「この利益を賊、商人、官吏で山分けしていたとの事です。」
     「また奴らが逃亡する際に、官吏や商人、さらには衛兵ら兵士どもも
     一緒に逃亡したとの事で、徒党を組んでいたのは確定でしょう。」
薛勒  「地方には方の目が届かず、ですな。」
     「しかし陛下、広大な安南府は如何しますかな?」
蕭衡  「どうやら南部を陥落させた越人豪族らは占領した土地を蒙都督に
     献上し忠誠を誓い王になるように求めたとの事です。」
     「北部、東部の諸州も民衆から官吏まで反発等は起きていないとの
     事ですから我らは受け入れられているようです。」
蒙鐸粲「そうか。」
      「ならば、安南(節度使)府を安南都督府とし蒙章を都督に任じる。」
      「また蒙章を鎮東大将軍・安南公に封ずる。」
      「なお後任の通海都督には蒙典を任じる。」
蕭衡  「ハハ、早速使者を派遣致します。」
蒙鐸粲「うぬ。」


【南詔・蒙舎州・蒙典邸】

家人  「ご主人、陛下からの急使が参られております。」
蒙典  「何、戦の召集か?」
蒙桓  「急使であって、何要かまでは仰って無いでしょう。」
蒙典  「おぉぅ。うっかりうっかり、で、通せ通せ。」

急使  「蒙典様、この度は陛下の名代としてまいりました。」
蒙典  「で、ワシは誰と戦をするのだ?」
急使  「いえ、そういった話ではないのですが・・・」
蒙桓  「お兄様。ここは、黙ってろ。」
蒙典  「おぉぅ。すまぬすまぬ、続けてくれ。」
急使  「コホン、ではですね。蒙典様、これより蒙典様には蒙章様の後任
     として通海都督に任じ、通海府へ入って頂きます。」
蒙典  「何、大将軍とな?」
一同  「・・・」
蒙桓  「・・・ハァ・・・わかりました、と陛下にはお伝え下さい。」
急使  「ハ、ハハ、受任としてご報告させて頂きます。」


*蒙章が鎮東大将軍・安南公・安南都督に封じられました。
  また蒙典が通海都督に任じられました。
649 ◆Enju.swKJU :2010/05/07(金) 07:36:12
>>648
【一人で、空白地の占領を進めることをどれだけ容認するか?】
【というのは、難しい問題だと思っています。】
【少なくとも、これまでの蒙さんのネタを見る限り】
【たった1レスの内に、ご都合主義の展開で】
【あっという間に広大な版図を占領し続け、一大強国になりましたね。】
【ある程度まではいいのですが、「やったもの勝ち」になってしまいますからね。】

>皆さん
次スレを立てられなかったので、>>633のテンプレでどなたか立てていただけると嬉しいです。
650 ◆Enju.swKJU :2010/05/07(金) 07:59:47
【問題は、時間の流れです。】
【他の方に比べて、南詔国周辺だけ時の流れが速すぎるなと。】
【ゲームでいうなら、改造プレイをされているような印象で。】
651名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/07(金) 08:11:50
652白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/07(金) 08:22:58
>>651
ありがとうございます!
本当に助かりました。

うーん、なんか感無量。
それでは、次スレでもよろしくお願いいたします。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/07(金) 12:11:24
皇帝陛下万歳!
654名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/07(金) 12:12:45
大呉帝国万歳!
655名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/07(金) 12:15:07
早く戦乱が起こらないかな〜
656名無しさん@お腹いっぱい。
100年規模の戦乱の時代があると面白い
隋→唐や元→明みたいなのはあっけなさすぎる