夜闌 香焚き、天を夢む

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1白牡丹 ◆Enju.swKJU
ここではない世界、今ではない時代
広大なる中つ国の物語

中つ国は、高度な文明と強大な軍事力をもって、
世界の中心にあり続けました
周辺の小さな国々は、使節を送って貢物を納め、
中つ国にその統治を認められるような有様でした

しかし万物は流転し、大河の流れも変わるもの
悠久の時を経ても変わらないのは、風と光と影だけなのです
中つ国の皇帝は威信を失い、その権力もまた、長い泰平と引き換えに形骸化しておりました
皇帝が持つべき力は、権臣と側近とによって弄ばれ、
両者は激しく相争い、京師から離れた地方の群雄もこれに加わって、
血で血を洗う争いの時代が始まろうとしておりました

天下は合すること久しければ必ず乱れ、乱れること久しければ必ず合すると古人の言にもありますが、
再び中つ国を平らかにし、文治を齎すは、はてさて、誰になるのやら……

----

このスレは、仮想中国史なりきりスレです
皇帝、士大夫、武官、隠者など、どんな身分でも参加することができます
中央、ならびに地方官制は魏(三国時代)に準拠します
2白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/26(土) 01:33:23
(ふわり、ふわり、沈香の煙)
(深更、男はひとり庭へ出て、四阿に腰を下ろしていた)
(庭は月の景に映えて、白と黒に分かれたさまは幽玄の境地)
(四阿は、ちょうど銀色の光が溜まった場所にあった)
(男はそこで香を焚く)
(その煙は冬の寒く、高く、どこまでも遠い空に立ち上る)
…貴女は、もう、おられぬ。
朕の目の前から消えてしまわれた、大切な御方よ。
朕は、また貴女に逢いたい。
貴女の話が聞きたい。貴女の笑顔が見たい。
もう、長いこと待った。
貴女に再び逢える日を、夢みてやまぬ。
朕が朕であることができるのは、今だけだ。
こうして一人、思いに耽る、今だけ、なのだ。

(皇帝の腰に佩いた翠玉、白玉がちらりと光る)
(月光の杯に酒を注ぎ、傾けると)
…アア、寒い。
杯中を満たす酒の、朕にだけは、冷たく凍みることよ。
────ッ!!
(名を叫んだその声は、満天の星空にすっと吸い込まれていった)
(空には、星座の舟がどんぶらり)
(天界では宴が催されているだろうか)
3白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/26(土) 01:39:46
【姓】白
【名】牡丹
【字】霜葉
【身分】皇帝
【品階】----
【官職】----
【国号】呉
【京師】徐州、広陵
4白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/26(土) 10:16:06
(月のCらかな景のもと、星の祭りの賑わいのもと)
(庭はしん、と、どこまでも静かである)
(思い人との思い出を、ひとつひとつ空に放して数えれば、もの狂おしい)
(寝ようと思って、閨中に引き返す)
(寝返りをうって、落ち着くことができない)
ああ、眠れない。
身のうちに百怪が巣食い、心が乱されてしまうようだ。
琴でも弾じよう。
あの曲を……

すう……

(そこまで言ったところで、眠りに落ちる)
(夢幻のうちに、皇帝はやはり深更、閨中にいて、鳴琴を抱いている)
(清風がさっと、衿を吹く)
(皇帝は琴を弾ずる)

崑山玉砕鳳凰叫 芙蓉露泣香蘭笑

(琴を置いて、庭へ出る)
(庭は花吹雪、白く輝く小さな花びらが舞っていて)
(四阿には、信じられぬ、星座の舟が、ことり)
これは、夢なのか?
それとも、現なのか?

──同じことよ
──夢と現は繋がっているから
(あの人が昔言った言葉が耳をよぎる)

アア、凄い。
宙から眺め下ろす景色は、斯くも美しいのだな!
宮殿があんなに小さいぞ!
これが間近で見る天の川か!
んん、あそこに屋敷が見える。
天人が住まうているのか?

(天の屋敷まで、あと少し、あと少し)
(そこではっと目が覚め、現に引き戻されてしまう)
(まだまだ、夜はたけなわ)
(遠くで、からすが鳴く声がした)
5劉雷@幽州牧:2009/12/26(土) 18:34:22
【幽州 北平城】
ふう、今日も晴れ渡っておるのう
(空を見上げほのぼのとしている)

ところで公孫サン、鳥桓の様子はどうじゃ?

公孫サン「ははっ、活発な動きを見せておりますが、今のところは我々に友好的のようです。」

そうかそうか
平和は良いのう
さてこの世をうまく生きるための策でも講じるかの
6劉雷@幽州牧:2009/12/26(土) 18:43:43
【姓】劉
【名】雷
【字】雹蔡
【身分】幽州牧
【品階】わからない
【官職】幽州牧
【国号】-----
【京師】-----
7劉雷@幽州牧:2009/12/26(土) 18:55:55
南方に呉という帝国ができたか
予らも遅れてはおれぬな
(厳しい表情になり、唇をかみ締める)

だが予はまだ兵を動かせん
農夫たちがせっせと働いてくれておるしな
仕方あるまい
おい、酒をもってこい

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
うむご苦労
こうして夜景を眺めながら酒をのむのも粋なものだ
(フフッと怪しげに笑う)

さて、そろそろ寝るとするか
(なにか満足げに寝床に入る)
8白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/26(土) 21:49:06
>>5-7
【ごめんなさい、呉はまがりなりにも長く続いた統一帝国ということでお願いいたします】
【支配力も権威も喪失しているし、擾乱一歩手前なので、幽州牧のまま自立しても大丈夫です】
【そうそう、州牧は四品官です】

ん、ん……
(宮殿の裏手には、古い木が聳えている)
(皇帝はその太い枝の股に腰を下ろしていた)
(木肌はなめらかで、静かな生の鼓動が感じられ)
(風がそよぐと、さらさらと鳴る葉摺れの音が心地よい)
人の中に居ると、己が身が脆く、儚く、
すぐにも消えてしまいそうな心地さえするというのに、
自然の中に居ると、寂しくないものだ。
ああ、あたたかだな。
春の息吹がよせて、峨眉山のふもとの氷が解けるように、
惆悵がすっと消えてゆくのだ。

(遠くのほうでかすかに、陛下、陛下、と叫ぶ声が聞こえる)
ふふ、大慌てで探しておるな?
まったく、あとで叱責されるな。
(目を再び空に向ける)
(ゆったりと流れる雲を眺め、心を悠か千里の彼方に遊戯させる)
(白明珠の杯にとくとくっと酒を注ぎ、つつ、と唇を濡らす)
(こくり、こくり、喉に流し込む透明の液体は、体の芯をじわりと暖めて)
(どれぐらい、じっとしていただろうか)

さて、そろそろ…
(皇帝の顔が青ざめる)
(彼は、もっとも単純、かつ最大の問題に気づいてしまった)


 降 り ら れ な い
9楊林 ◆zVjkatJr0. :2009/12/26(土) 22:39:51
>>8
なんだ?降りられんのか?何なら手を貸してやるぜ
10楊林 ◆zVjkatJr0. :2009/12/26(土) 22:52:34
【姓】楊
【名】林
【字】
【身分】盗賊
【品階】
【官職】
【国号】
【京師】
11白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/26(土) 22:59:05
>>9
た、頼むっ…
(その男の堂々たる佇まいは、まさしく絵に描いたような好漢である)
(つまりは、宮中、まして禁裏に出入りする人間には見えないが、
助けてくれるのなら誰でもよかった)
(また、日頃そのような人物像に憧れ、交わりを持ちたいと願っていた節もあった)
情けないことだよ、木を眺めていたら無性に登りたくなって、
後先考えず、この有様だ……。

(男に身を委ね、身を縮み込ませている姿は、なんとも形無しだ)
それにしても、よくここに入って来られたなぁ。
そのお蔭で助りました。ありがとう、ありがとう。

そう、ところで、名前、何と言うんだ。
外から来たんだろう?
しばらく、ゆっくりしていってくれないか。
12楊林 ◆zVjkatJr0. :2009/12/26(土) 23:07:29
>>11
飛び降りろ、なぁにちゃんと受け止めてやるよ
早くしないと消えちゃうよ?
何かあんたの配下がこの辺りをうろちょろしてるしね
13白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/26(土) 23:14:48
>>12
このいじわるめ、ええい、信じるぞっ!!
(男の立つ位置を測り、ひと思いに飛び降りる)
(非常に臆病な性質だが、思い切りは良いのである)

(目の前の眺めが、流れるように形を失う)
(耳に風を感じ、体にきゅうと寒気を感じながら、目は閉じずに見開いていて)
14楊林 ◆zVjkatJr0. :2009/12/26(土) 23:17:46
名を名乗る事はできん
ゆっくりもして居られないのさぁコッチはね
15楊林 ◆zVjkatJr0. :2009/12/26(土) 23:22:02
>>13
ほいっと!あんた意外に重いな!
後、あんたの配下が近くまで来てるから俺は消える
16白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/26(土) 23:29:44
>>14-15
いよっとっ!!
うう、すまんすまん。

もう去られるとは残念だ!
ただ、君と会うたことは忘れまい。
忘れたとしても、体は覚えているからね。
すでにして、縁が生まれてしまったのだから!

君がいかなる用事でここへ来たにしろ、
今日の出会いを嬉しく思うよ。
いい刺激だったし、それに、
人との出会いを含め、この世に偶然などない、
すべては必然だと、ある人が言った言葉を信じているからね。

(さっきまで男がいた場所には、かすかな風が通るばかり)
(そこを一瞥すると、駆け寄ってくる臣下に顔を向ける。小言を聞かされるために)
(延々続く叱責を右の耳から左の耳に受け流しながら、白牡丹は流れの盗賊のことを考えていた)
17楊林 ◆zVjkatJr0. :2009/12/26(土) 23:29:57
やれやれ…皇帝の屋敷に盗みに行って、皇帝を助ける羽目になるとは俺もまだまだ青いね…
しかしあの皇帝、随分長い時間呆けていたが何か考え事でもあったんかね
18白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/27(日) 11:15:05
 ぱちり ぱちり
(一人の宦官を相手に碁を打つ)
(何度打っても、この宦官からは一勝もとれぬ)
(一度だけ、勝ちの目が見えたことがあった)
(宦官の心中の狼狽を内心で喜び、一気呵成に攻め立てた)
(と、わずかに生じた隙を衝かれ、鮮やかに逆転された)
(それ以来、一度も勝てぬ)
(もはや、問われるべきは、どのように負けるか、ということになっている)
(宦官は微笑んで、陛下は集中力が続かない、それが敗因だと言う)
(確かにそうであろう)
また負けてしまった。
まったく、頭が回らなくなるものだよ。
さて、もうさがってよい、ありがとう。

(手持ち無沙汰の時間は、長く感じるものだ)
(一人庭へ出て、四阿に腰掛ける)
(今日はとある女官と待ち合わせをしている)
(いつもより念入りにお洒落をした。もう来る、もう来る…)
(ところが、来たのは女官ではなく、宦官だった)
(例の女官は、生理痛が激しく動けないと言っているが、いかがするかと問われた)
それでは、逢うても楽しくはなるまい。
見舞いの手紙を書こう。渡しておきなさい。

ああ、まったく、約束がふいになると、気持ちが塞いでしまう。
しっかりしろ、遊びの積もりだったではないか。
(しばらくは腰を上げる気にもなれず、俯いていたが、心を励まして気晴らしをすることにした)
(広陵の名山、城の北に聳える蜀岡に遊ぶのだ)
(青蓋が宮門を出て、しばらくした後、その主は山上にいた)
19白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/27(日) 11:24:39
(皇帝は、能く長嘯した)
(太古の事情と精神を養い、気を導いて、悠か遠くまで届かせる)
(蜀岡からの眺めを見下ろしたとき、嘯かずにはいられなくなった)
(鸞鳳の鳴き声のような声が山あいに響き渡る)
(長嘯のあとには、いっそう静寂が際立つ)
(どこか遠くで、鳥が羽ばたいた)
(もう一度、深く息を吸い、嘯く)
(心のうちに、ずしん、と音が響いた)

朕は天子だ。天子は、天にはなれぬ。
風景山河と一体にもなれぬ。
孤独だ、なによりも孤独だ。
ああ、肉体いう重い枷から逃れ、山間からこの美わしい広陵の里を吹きぬける
風になることができたら、どんなに素晴らしいか!

だが、この孤独こそ天命なのかもしれぬ。
孤独なれば、人を慈しむ情も生まれ、苦しんでいる者の心を察することができるのだ。
朕は、まだ若い。
大成するのは、まだ、先になるかもしれぬ。
今は、そのための備えをする時期なのだろう。
わかってはいる、わかってはいるが───

(三度たて続けに、思いのたけを長嘯に乗せ、やがて車駕に向かう)
20左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2009/12/27(日) 13:13:14
――宮中――

廷臣「お聞きになられましたかな、中書侍郎殿」
    「陛下がまたも戯れで姿をくらまされたとか」
    「こうも毎日のように問題を起こされては宦官どもも気の休まる暇がないでしょうなあ」

ほう、陛下が・・・
今日はどこにいらっしゃったのかな?

廷臣「中書侍郎殿は禁裏の裏手、そのずっと端のほうに桑の巨木がひっそりと佇んでいるのはご存知かな?」
    「・・・いや、知らずともそこにその桑の巨木があるという事実に変わりはないのだが」
    「その巨木の股に陛下はお座りになられたまま数刻を過ごされたそうな」

陛下もなかなか風流なご趣味をお持ちのようだな
今日のような日は陛下でなくとも執務を忘れ夢心地を味わいたいものよ
しかしその数刻のあいだ、宦官たちがどのような心持ちであったかに思いを馳せれば・・・
ふふふ、悪意なき純心のもたらす災禍のなんと恐ろしいことか

廷臣「それだけではないぞ、中書侍郎殿」
    「宦官から後で聞いたのだが、陛下は宮中の者とは思えぬ下賤な男に声をかけられていたとか」
    「もしその者が刺客であったならば・・・ああ、恐ろしいことじゃ」

それは由々しき事態だな、近衛兵はいったい何をしておったのか
早急に警備の増強を検討しなくては・・・
21左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2009/12/27(日) 13:18:25
【姓】左
【名】光
【字】匡輝
【身分】官吏
【品階】四品官
【官職】中書侍郎
【出身】隴西郡
22白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/27(日) 13:55:21
>>20-21
(洗練された所作で、回廊を進むのは左光、字は匡輝)
(宮中の作法で足早にすり足をしていても、備えた威儀は失われない)
(宮中に入って頭角を現し、着実に地歩を固めた彼は、すでに副宰相たる中書侍郎)
(皇帝も、政務を彼に諮ることが多かった)

(蜀岡の遊びから戻り、遠目に左匡輝を認める)
(左手をメガホンのように口の横に当て、よく通る声で呼びかける)
よう、中書侍郎!
良いところで会うたわ!

(宦官を尻目に、彼のほうへ走って向かう)
(闊達さを咎められても、それはもう染み付いている癖のようである)
うららかな日というのに、渋い顔をしているな?
まあよい、そろそろ歳末だ。
新年になれば、祝賀と大赦の詔を発さねばならぬ。
それに、恒例の大宴のため、百官を京師に集める詔もだ。
今回は起草を卿に頼みたいのだ。

はは、まったく、歳末は忙しいものだな。
朕は何もしないが、周りはみな慌しい雰囲気だ。
息がつまりそうで、今もあの蜀岡に逃げていたところなのだ。
23劉雷@幽州牧 ◆F81WzC8CEQ :2009/12/27(日) 15:45:41
いよいよ年末が近づいてきたか
(険しい顔でつぶやく)
呉の皇帝陛下は息災かのう
もっとも我々が地方自治に励んでいることもしらんだろうがな
(ククッとあきれたように笑う)

劉虞ッ!!!

劉虞「ははっ!」

おぬしにちとやってもらわなければならん事がある

劉虞「なんでしょうか?」

それはのう
皇帝陛下に祝賀の書をしたためねばならんので
その文面を頼みたい
(送る必要などないかのう、と冗談を言い場を和ませる)
劉虞「ははっ」
24白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/27(日) 21:29:04
>>23
(諸兄は、地図を眺めたことがおありだろうか)
(記された絵図と文字から、まだ見ぬ遠い地を想像する)
(すると、なにやら好奇心と冒険心が刺激される)
(ある日皇帝は、まさにそのような暇つぶしをしていた)

この十三州を中華といっても、
なかなか実感のできぬことだ。
朕は、京師から外に出ることすら、稀なのだから。

こと西方、北方のことなど、物語のようにして聞いたもの。
砂塵の立つ荒涼とした大地。
秋、黒雲が城を圧し、城はまさに砕けようとする。
将士たちの甲の光は日にきらめき、金色の鱗が開いたようだ……。
角笛の音が天に、秋空の中に、響き渡り、
城壁の上の真紅の血潮は、夜になれば紫に凝固し、
半ば巻かれた赤い旗は、寂しく垂れる……。
霜が厚く、太鼓の音は、寒々として冴えない。
将軍は、玉竜の剣を引ッ提げて、護るべきもののために死ぬ……。

(目を閉じて、辺境の過酷な戦場を思い描く)
(今、彼処の有り様は?)
(彼は、遠くのことを何も知らない)
(わずかに北から吹く風が、建物に当たる音がした)
25陰伯曜 ◆BwnwPOA4gg :2009/12/28(月) 21:51:36
男は空を見上げていた
季節は冬、身に染みるような寒さ
キラリキラリと星が光っている
星とは誠に不思議なものだ
同じ位置できらめく物もあれば箒のように流れる物もある
古書にあるのみで私は見たことがないが
極稀に昼でも見えるほど輝くものもあるという
その不思議さ故に古くから信仰を集めたのだろう

「今日もまた寒いのう」
「そうですな」
「しかし冬の星というのもいいものだ
夏の星は華やかでそれはそれでいいが
冬の星は落ち着きがある」

男はふっと月を見る
しかしその月はいつもとは違っていた

「つ、月が欠けておりまする…」
「おかしい、今日は満月のはずだ」
「なんと…凶兆でありましょうか」
「古くより月は女性の象徴とされている、何かあったのやもしれん」
「いますぐ陛下に上奏いたしましょう」
「ああ」
26陰伯曜 ◆BwnwPOA4gg :2009/12/28(月) 21:53:14
【姓】陰
【名】照
【字】伯曜
【身分】官吏
【品階】五品官
【官職】太史令
【出身】南郡
27白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/28(月) 22:23:12
>>25-26
(ある日のこと)
(太史局からの上奏。社稷の重大事)
(今日が、太史令陰照の謁見の日である)
(皇帝は玉座に座し、時を待つ)
(と、目の前がゆらりと歪み、意識が遠のく)

ここは、何処だ。
ああ、とても清浄な波動だ。
綺麗な場所なのだ。
それにしても、何も見えない。
花が咲いていても良いのにな。

(そう思う先から、水仙の花がぽっ、ぽっと地面から生える)
(次に清水の流れが、涼やかな風が、木々の連なる景色が、宙には満天の星空と満月が)
(瞬く間に、神界かと思うばかりの幽玄の世界が広がる)
(胸が満たされて、夢心地で歩く)
(水仙がひそひそと、聞き取れないほど小さな声で、おしゃべりをしている)
(清水の流れはさやさやと、銀色の音色を奏でる)

アア、朕は生きているのか、
それとも死んでしまったのか、そんなことは、もうどうでもよい。
ただここにいることが、仕合せだ。
んん、気持ちよい。
仕合せだ……。

(ふと、彼は気付いてしまった)
(空間が割れ、彼は落ちた)
(まっさかさまに)

うわぁぁぁああっ!

(気付くと、陰伯曜が心配そうな顔で覗き込んでいた)

ああ、伯曜。
朕はまた夢を見ていたのか。
どれぐらい、いや、良い。
そう、上奏であったな?
聞かせてくれ。
早う、早う……。
28白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/28(月) 23:19:36
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/28(月) 23:55:49
こいつら歴難が遊び場とでも思ってんのか
30陰伯曜 ◆BwnwPOA4gg :2009/12/29(火) 00:15:26
上奏、何度やっても慣れないものだ
百官公卿の見守る中ものを述べる
形式的なものに過ぎないのに

周りを見回す
目に入ったのは中書侍郎の左匡輝であった
おそらくこの上奏も彼が陛下に伝えるのだろう
そう考えるとこんな儀式的なことが馬鹿々々しく思える
そんな自分の身分さえ否定するようなことを考えつつも上奏文を読み上げた

今夜は満月にも関わらず月が欠けていること
そして月は女性の象徴であること

そこまで読み上げてふと自分の姓について考えた
陰、つまり月のことである
自分に何か不幸があるのではないか
いや、家族に何かあるのかめしれない

上奏を終えたとき男は不安にかられていた
31左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2009/12/29(火) 00:46:10
>>22
(冬である)
(だが温暖な広陵ではその季節をあまり実感はできない)
(ましてはるか西の果て、厳寒の隴西に生まれた彼にとって広陵の冬は冬とは言わない)

(あたたかだな・・・)
(そう思った刹那、あまり喜ばしからぬ声が耳に届いた)

「よう、中書侍郎!良いところで会うたわ!」

(心の中で二度ほど舌打ちする)
(しかしそれは外には出さない)
(もしその内心を表情に出せば、それは今の地位、名誉を捨てることに繋がる)
(つとめて威儀を正し、咳払いをひとつしてから声の主を真っ直ぐに見据える)

・・・陛下、ご機嫌麗しゅうございます
渋い顔と仰られますが、これは生来のものでありますゆえ如何ともし難いものでありますな
さて、詔の起草の件ですな?
新年までそう時間もありませぬゆえ、早速仕事にかかりたいと思います
それではこれで失礼いたしますぞ・・・

(内心冷や汗をかいていた)
(隠していたはずのわずかな嫌悪が顔に染み出していたようだ)
(皇帝との会話を急いで切り上げたのも焦りからであった)

(彼は決して皇帝を根っから嫌悪しているわけではない)
(ただ、彼が幼き頃から宮中に入りこの地位を手に入れるまで、行動や思考の規準は儒であった)
(儒において皇帝は君子そのものであり、そしてすべての君子の手本となるべき徳高き存在である)
(そのような存在であるべき皇帝がまるで子供のようにはしゃぎ回るのは彼にとって許せなかったのだ)
32白牡丹(代理):2009/12/29(火) 02:33:11
ふふっ
(細い眉を上げてみせる様子は、いかにも才気を感じさせる)
(言い方を変えれば、憎らしくさえあろう)

よし、期待しているぞ。
この手の文章は、卿に任せれば間違いない。

まったく……
本来は、おめでとうと言えば済むものをな。
実のない修辞を並び立て、墨を無為にすり減らし、
仰々しい宴を催さねばならぬとは困ったこと。
笑えることに、本当は誰も宴なぞ望んでおるまいというに、
それでもやらなければならぬのだ!

さて、もう行けい。
暮れも差し迫っていよう。
33白牡丹(代理):2009/12/29(火) 02:34:29
(からからと笑って手を振り、退去を促す)
(皇帝は、鈍感ではない)
(むしろ、人の心の機敏を誰よりも敏感に読み取った)
(その上で、自由闊達に振舞っているのだ)
(それは、硬直した儒や宮廷に対する反発からくるものであった)

人の中は、煩わしいな。
宴の席では、群臣が心にもないことを
恥知らずにも滔滔とまくしたてるのだ。

ならば、朕は、天子として、
おまえ達が忘却の彼方に追いやってしまった
真心からの祝いを、示してやろう。
34蔡興 ◆////dGQyaA :2009/12/29(火) 10:15:59
【姓】蔡
【名】興
【字】昂成
【身分】太守
【品階】わからない
【官職】零陵太守
【出身】零陵郡
35蔡興 ◆////dGQyaA :2009/12/29(火) 10:23:34
(零陵は冬ではあるのだが北方よりはまだましで比較的温暖であった)

酒はいつ飲んでもうまいのう
しかしいたって平和じゃのう
ここ数十年戦乱が訪れてないのも都の方々のおかげじゃな
(唇を濡らすように勿体つけてのむ)

いつかは皇帝陛下と杯を交わしてみたいものじゃ
(都のある方角を向きしみじみとつぶやく)

さて、そろそろ祝賀状を書かねばならぬな
こういうものはわしは苦手なんじゃがのう・・・

まあよいそのようなもの酒を飲んでいれば思いつくわ!
(フハハハハハと豪快に笑いながら酒をのみ続けた)
36袁楊豊 ◆0.....GkSI :2009/12/29(火) 20:25:28
【姓】袁
【名】直
【字】楊豊
【身分】太守
【品階】
【官職】弘農太守
【出身】弘農郡
37袁楊豊 ◆0.....GkSI :2009/12/29(火) 20:29:56
ククッ
昔は都にも近く栄えた弘農がここまで廃れるとはな・・・
(少年時代を懐かしむ)

都の皇帝陛下は大赦の詔やらで忙しいとか・・・
わしも祝賀に都に向かわねばならなくなるか

フ、フハハハハハ
そろそろ鼎の軽重を問うものが出てくるであろうな・・・
(裏に何かあるように上機嫌でさけをのみ始めた)
38袁楊豊 ◆0.....GkSI :2009/12/29(火) 21:28:31
財政を整えるのが先だろうな
予が太守になったからにはな
(いかにも秘策があるかのように余裕な表情をうかべる)

とりあえずは有能な人材を多く召抱え、無能なものは解雇しろ
そのための試験を実施するのだ
もちろん現役の文官にもな

そして武官にも戦いあってもらい人数を減らす
ただ兵士は絶対に減らすなよ
武官、文官を有能なもの等を残し無能な奴は解雇
これで人件費は削減できるはずじゃ
(予は弘農をうまく収め勢力を拡大して見せるわ!)

39白牡丹 ◆YI1yrpC6Lo :2009/12/29(火) 21:39:23
【祭祀】

(年末に皇帝が担う大役)
(それは、先祖や衆神への祭祀を行い、合わせて豊作を祈念することであった)
(常日頃、臣下を困惑させてばかりの皇帝)
(さぞや不安を与えることと思うが、意外にも白牡丹はこれらの役を精密にこなした)
(というのも、彼が軽視するのは形式主義や実のない道徳であり、
 本来の天子の役目を果たすことには、非常に熱心だったのである)
(それは、彼が天子という身の上を悩み、考え、独自の信念を養ったからであろう)

さっ
(百官の見守る中、祭壇に歩み、礼を取って目を閉じる)

過年了。
万事如意。四季平安。出入平安。人人平安。
これ、天下の万民を代表し、謝すところなり。
占い定めたこのめでたき日に、謹んで天帝を、四海にいまします神々を、
わが祖をお祭りし奉るなり。

(帯剣し、佩玉を腰につけた巫女が登場し、さっと歩を進めれば、佩玉は涼しく鳴り響く)
(巫女は神座につく。片手に芳り草の枝を持ち、その前に飲食物が供えられる)

今、芳りの供えは整えられた。
ああ、天の神々よ、お聞き届けくださいますことを。

……。

(皇帝は、心から、祈念した)
(見せ掛けではない)
(ふと、そのとき、祭壇に清浄な風が一すじ吹いた)
(その風にあたった者は、それぞれに楽しい思い、嬉しい思い、清らかな思いを胸に湧き立たせ、
 邪な心を持った者でさえも、ほんの一時、むかしは抱いていた青雲の志を思い出した)
40白牡丹 ◆YI1yrpC6Lo :2009/12/29(火) 21:41:01
【祭祀】

(年末に皇帝が担う大役)
(それは、先祖や衆神への祭祀を行い、合わせて豊作を祈念することであった)
(常日頃、臣下を困惑させてばかりの皇帝)
(さぞや不安を与えることと思うが、意外にも白牡丹はこれらの役を精密にこなした)
(というのも、彼が軽視するのは形式主義や実のない道徳であり、
 本来の天子の役目を果たすことには、非常に熱心だったのである)
(それは、彼が天子という身の上を悩み、考え、独自の信念を養ったからであろう)

さっ
(百官の見守る中、祭壇に歩み、礼を取って目を閉じる)

過年了。
万事如意。四季平安。出入平安。人人平安。
これ、天下の万民を代表し、謝すところなり。
占い定めたこのめでたき日に、謹んで天帝を、四海にいまします神々を、
わが祖をお祭りし奉るなり。
(帯剣し、佩玉を腰につけた巫女が登場し、さっと歩を進めれば、佩玉は涼しく鳴り響く)
(巫女は神座につく。片手に芳り草の枝を持ち、その前に飲食物が供えられる)

今、芳りの供えは整えられた。
ああ、天の神々よ、お聞き届けくださいますことを。

……。

(皇帝は、心から、祈念した)
(見せ掛けではない)
(ふと、そのとき、祭壇に清浄な風が一すじ吹いた)
(その風にあたった者は、それぞれに楽しい思い、嬉しい思い、清らかな思いを胸に湧き立たせ、
 邪な心を持った者でさえも、ほんの一時、むかしは抱いていた青雲の志を思い出した)

41白牡丹 ◆Enju.swKJU :2009/12/31(木) 13:43:03
(祭祀を終え、祭壇から降りる)
(階下では、百官が礼を取って拝跪している)
(ふと、振り向けば、玉鉤にも似た欠けた月が玲玲として──)

今は、夜だったろうか。
(確かに早朝だったはずだが、と訝り首を傾げる)
(再び下に目を向ければ、階段は深淵まで長く遠く続いている)
(その極みは暗澹とした闇に消えて、見ることができない)
(躯の芯まで凍えるような風が吹き上げる)
(階段が崩れ、そして──)

ここは、閨房か?
それでは、夢だったのか?
(宦官が進み出て、祭祀の後、いきなり倒れたのだという)
一杯、水を。
(そう言って溜息をつく)
(了、と応えて扉に向かった宦官の姿は、振り向けば霞のようにもうない)

(窓枠を隔てて、ぼんやりと庭の景色が浮かんでいた)
(蝶は栩栩然として、白い花から池の睡蓮へ、橋の欄干へ、
 志に適うように舞い飛ぶ)
(白く輝く花吹雪は翩々として絶えず、甘い芳香が漂ってくる)
(冬だというのに、である)

それでは、これも夢、なのか。
(手を伸ばそうとするが、体が動かない)
(頭の先から足の先まで、疲れと痛みが支配している)
(白く輝く蝶が、目の前で羽ばたく)
(光の粉のような鱗粉が、室を白明に照らす)
(意識が遠のき、瞼が閉じられる)

んん?
(再び瞼を開くと、紫衣の老人が微笑み、手招く)
(皇帝は彼について千里の野を越え、幾重にも連なる山脈を越え、大河の源にまでたどり着く)
(そこには、草庵が結ばれており、老人は何も言わず、入れ、と手で示す)
(その日から、老人は皇帝に琴を教えた)
(皇帝は一年で以前の自らの演奏を忘れ、三年で以前の師の演奏を忘れた)

(どれだけ時が経ったかわからない)
(ある日、皇帝は庭へ出て、孤独の寂しさを詩に表して吟じた)
(師は何も言わず、琴をとって短い旋律を吟じた)
(すると、夕陽の色は哀れに木々や大地を染め上げ、風は蕭々として胸を打つように歌い、
 一羽のゴイサギが飛び立ち、たった一声鳴いた)
(その情景は、皇帝が詠んだ詩を遥かに越えて素晴らしく、皇帝は自らの未熟を恥じた)

(また、多くの時間が流れた)
(皇帝が琴に熟達すると、老人は琵琶を教えた)
(来る日も来る日も修練である)
(帰郷の念に胸は張り裂け、逃走を試みるも、遠くで師が奏でる楽の音が聞こえると、
 たちまちにその思いは失せ、草庵に戻った)
(束縛に倦み、心昂ぶって寝入った師を打ち殺そうとするも、
 師が薄目を開いて微笑むと、涙を流して武器を捨て、許しを請うのであった)

(そうして、また多くの時間が流れた)
(ある日、草庵は暗く、どこを捜しても、師の姿は影も形もなかった)
(師匠! 皇帝が一声叫ぶと、目が覚め、彼は祭壇の下でよろめき、臣下に支えられていた)
(夢幻の中の夢幻、終わらない夢の回廊、これらはすべて祭祀を終えた後の
 一瞬間のうちに巡っていたのである)
(しかし、夢幻のうちに彼が得たものは、しっかりと残った)
(皇帝は、師に教わった、音曲のうちにあらゆるものを取り込む術を、体得していたのである)
42白牡丹 ◇Enju.swKJU:2010/01/03(日) 00:42:38
新年好、太史。
先日は、上奏の席に立てぬで、すまなかったな。
宦官どもはおおっぴらにするなと苦い顔をするが、朕は夢の病でな。

そうだ、もうじき、新年の大宴があるぞ。
そなたも来るのであろう?
43麋正然 ◆5C7eeO1OZA :2010/01/05(火) 18:10:25
我こそ北海の麋正然なり!
44劉空来 ◆S0Y6frChLY :2010/01/07(木) 20:53:02
【姓】劉
【名】翠
【字】空来
【身分】中央武官
【品階】二品官
【官職】衛将軍
【出身】山陽郡
45白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/01/07(木) 22:54:25
>>43
君は綺麗な顔をしているな。
柳のような眉に、すっと通った鼻すじ。
湘水、湘江の二婦人と並べても、見劣りすまい。
ふふっ、羨ましいことよ。

朕も、文学の世界の中に生きておれば、
少しは美しかったのだろうか?

>>44
♪夜の鬱屈を撫で払い、紫紺の景色を進めや進め
囁き色めき燈 ちらり 輝き水面に映えて美し──♪

(朗らかに歌いながら、春節に彩られた川辺を歩く)
(年始の祭祀を終えた日の宵である)

そこにいるのは、衛将軍だな?
…佳い夜だな。空も風も、大気も澄んでいる。

朕は、君を知っている。
君の風評ではなく、君を知っている。
太子であった頃、宴席で、君が剣の舞を披露したのを見た。
素晴らしかった。

もう一度見たい。
今、ここで舞ってみよ。
朕が音曲を奏でよう。
46劉空来 ◆S0Y6frChLY :2010/01/08(金) 20:24:48
>>45
これはこれは陛下
ええ、よい夜ですなあ

陛下が私のことをご存知と?
ふふっ、それはうれしいですなぁ

陛下が大使であった頃といえば私はまだ西中郎将でありましたなァ
陛下が覚えてくださっていたとは光栄です

ははっ今より舞うことにいたします

いやァー! ハッ!ハッ!
(皇帝の奏でる音曲にあわせ剣を軽やかに振る)

─────────────────────

(剣を振り、舞い、最後は決め皇帝に向き直る)

陛下どうでしたでしょうか?
47白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/01/08(金) 20:54:15
>>46
覚えているとも。
あの時の君の剣は、まるで月の光が、今日のように冷たい夜空を斜めに伸び、
露を削って地面に差し込むようだった。

今、また見られるとは、うれしいね。

(目を細め、口角を上げて笑む)
(しなやかな指は琴を弾じ、朗らかに歌い、空来が舞うのに呼応する)

「星はまたたき、水の精が歌う。
呉の国の淵に入って、竜を切り殺すは誰ぞ──」


謝謝。
まことに、まことに、見事だ。

君のその剣が──
願わくば、野心に曇ってしまわぬことを。
48劉空来 ◆S0Y6frChLY :2010/01/08(金) 21:06:07
>>47
いえいえ、陛下によろこんでいただき光栄です
陛下の琴、お見事でした

私の剣が野心に曇る・・・
そのようなこと肝に銘じて今まで、そしてこれからもありませぬ
(フフッと微笑する)

陛下、宦官からまた叱責を受けるのではありませぬか?
ささっ、私がお送りしますゆえ
49白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/01/08(金) 21:21:25
>>48
ハハハッ、無用の心配だ。
つまらない小言など、聞き流してしまうからな。

だが、折角の好意を無碍にはすまい。
朕は眠くなった。
おぶってゆ……け……

(そう言うが、崩れ落ちるように眠りに落ち、すやすやと寝息を立てる)
50劉空来 ◆S0Y6frChLY :2010/01/08(金) 21:30:33
>>49
陛下はお強いですなぁ
宦官たちの叱責も陛下にとっては小言ですからな
(ハハハハハと爆笑する)

さっ、乗ってくだされ
(武官とはいいつつも細身の体に皇帝をおぶる)

陛下、やはり時代というものは流れていくものですなぁ
陛下、陛下?
フフッお休みになったか
また、寝顔も幼さが残っているなぁ
(風の強い夜に皇帝の寝顔を見て笑う)

ささっ、早く送らないと陛下が風邪をひいてしまう
(足早に歩き出し皇帝の部屋の方面にタタタッという足音をたて向かう)
51白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/01/09(土) 00:55:07
>>50
(劉空来の背で、夢を見る)
(大空を、飛んでいた)
(蜀岡の木々を遥か下に見下ろし、風を切って天を駆けた)
(全てが、志に適った)
(自由だった)
(しかし──)
(いずれは、目覚めなければならない)

見慣れた天蓋。
肌にまつわりつく絹。
空来に、閨房まで運んでもらったのだったな。

剣と、歌と、琴が響き合った。
神々の舞い降りた夜に、邪心などなかった。

将軍に伝えよ。
何か、望むことはあるか、と。
52劉空来 ◆S0Y6frChLY :2010/01/09(土) 08:27:57
(劉空来は自室で酒を一人で飲みながら夜を楽しむ)

フフッ、夜に酒というのも極上の組み合わせだな
そろそろ飲みすぎたか
床に入るとするか

臣「将軍様、皇帝陛下からのご使者です。」

なに?通してくれ
(何の用だろうかと首を傾げる)

おおこれは陛下の使者様でございますか
まあどうぞどうぞ
(そういい杯に酒を酌み使者の渡す)
(使者が飲み終わるのを見て口を開く)

・・・何の御用でしょうか?
何か、望むこと?
私にですか?
私に衛府の開幕を許していただきたい
とお伝えください

(にこやかな顔で使者を送る)

さて床に入るか
53白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/01/09(土) 09:21:40
>>52
そう、開府を。
もちろん、構わないよ。
それは将軍の特権なのだからね。

では、将軍に仮節(軍令違反者を処刑できる)、
開府儀同三司(幕府を開き、三公と同列の待遇)を加えよう。

ただし、政事を動かす際には、
必ず中書省とよく相談しなければならないよ。
そうでなければ、天世の理に、星世の運に、現世の魂に、
傷が付く。

さて──
夜は明けた。
もはや、朝になれば、朝議に臨まねばならぬ。
祭事の牛にならねば、ならぬ。
54劉空来 ◆S0Y6frChLY :2010/01/09(土) 09:46:02
>>53
陛下、ありがたき幸せ
仮節、海部儀同三司もありがたく受け賜りまする

政事を動かす際には中書省に相談をする
その事常に胸の中にとどめて置きます

・・・陛下、将来もし何かがあったら
 この私を頼ってきていただければなんでもいたしまするゆえ
(皇帝に向かって一礼し退室する)
55張悦 ◆qj2NvF6G5U78 :2010/01/12(火) 11:23:22
はははっ、昼夜酒ばかり飲んでおるうちに気がついたら新年になってしまったわいw
ついこの間梅の花を見ながら一杯やっておったような気がするんだがなぁw
新年といえば都では空虚な祝賀の式典が執り行われるそうじゃの〜。
ワシのようにあるがままに新年を楽しめばよいのに、窮屈な朝服を着て百万言を並べながら新年を祝うとはご苦労なことじゃw
たまには庵の外に出て酒を片手に旅をするというのも粋なもんじゃろう。
どれ、広陵まで行って面倒な決まりごとに縛られておる哀れな天子様や文武百官のくたびれた顔でも拝んでくるとするかw
56白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/01/12(火) 21:17:44
>>54
好好、将軍の言をありがたく受けよう。
しかし、その腰に佩いた冷光が紅に塗れるような、悲しい世にはなってほしくないものだ。
争うは、人が元より備えた性ではない。
だから、人は己を狂わせて戦場に赴くのだ。
そうであろう?
そうでなくて、なんで古の白起将軍が四十万の捕虜を生きながらに地に埋め、
覇王項羽が秦の降兵二十万を同じようにして殺すものか。

戦場の惨たらしい有様を目の前にして、日々身を侵食する狂気を抑え、
己を保てる者など、矮小なる人の間には生れるまい。

─いや、すまない。
詮無いことを言ってしまったな。
さあ、それでは、後ほど朝議で会おう。

>>55
まったく…
近頃は、宦官の目を盗んで城下へ忍び出ることも難しくなった…
だが、今日は朕にも備えがあるのだ。

─そろそろだな。
参・弐・壱…

『くせ者が出たぞ─────ッ』

よし、今だ!
手の者に声を上げさせ、衆目をそちらに集めているうちに、
衣裳を変えて忍び出るのだ。

ふ…ハッハッハッハッハ!
久々の外だ、気が晴れ晴れするな!
(麻地の平民の衣を纏い、酒瓶を持ってあてもなくのどかな城下を歩く)

長らく辛気臭い吏僚やお高くとまった女官の貌しか見ていなかったからな…
庶民の話し相手がほしいな。
ちょうどあそこを歩いている酔っ払いなど丁度よさそうだ。

おおい、そこの御仁。
暇ならちn…俺と酒を飲まないか?
眺めの良いところを知っているんだが…
57張悦 ◆qj2NvF6G5U78 :2010/01/14(木) 12:21:31
>>56
はははっ、ワシのような酔っ払いと好き好んで酒を飲みたがるとはw
君もなかなかの変わり者じゃの〜、酌の相手ならそこら中を行き交う若いオナゴでも良かろうにw
だがワシもちょうど話し相手が欲しかったところじゃ、ご厚意に預かるとするかいw
ワシの名は張悦、会稽から都見物に参った狂人じゃw

いや〜、都もしばらく見ないうちに随分変わったもんじゃの〜。
ワシが子供の頃はもっとピリピリした雰囲気じゃったが…。
今の都はまるで爛熟した果実のようじゃわい。
君もそう思わないかな?
58白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/01/15(金) 23:59:56
>>57
ハハハッ──ここ広陵には確かに美人が多いが、華やかなのは外側だけさ。
語らおうにも、互いを退屈に感じるだけで、楽しくはなるまい。
その点、君は良いな!
君はまるで酒と友のようだ。杯を交わしても、きっと楽しいだろう。

張悦か、会稽とは良い所から来たものだ。
江の辺で呑んでもよし、舟を浮かべて呑んでもよし、春の花を相手にしてもよし。
さて、俺のことは白郎と呼んでくれ。
少し歩くぞ。

(白牡丹は、張悦を痩西湖近くの小高い丘に案内する)
良い眺めだろう?
いつも、この悠かな空と、時折吹く風を相手に酒を飲んでいる。
ぽつんと一人だが、天地に抱かれているのを感じるから、寂しさは微塵もないのだ。

ほら、杯を受けてくれ。
(張悦の杯は、清酒で満たされる)
(透明の液体に波紋が立ち、やがて静まる)

─そうだな。
爛熟した果実はかじれば極上の美味だが、いずれ腐り落ちる。
俺たちは、出口のない世界に住まっている。
だから、あれこれと求めるのは滑稽というものなのだ。
59劉空来 ◆S0Y6frChLY :2010/01/16(土) 20:50:26
>>56
そうですなぁ
私もこの剣で人を切ることになるような世にはなってほしくはありませぬ
戦で己を狂わせる・・・・
陛下はやはりおもしろいことをおっしゃる
(ハハハと笑う、そしてその後真顔で口を開く)

そのとおりでございます
二者は戦により己を狂わせたのです

ですが私自身が血に染まった鎧、剣で己を狂わせることはありませぬ
なぜなら私自身がそうさせない
私には守るべき国、人、心、信、友がありますゆえ

それではまた朝議でお会いいたしましょう
60張悦 ◆qj2NvF6G5U78 :2010/01/22(金) 12:04:50
>>58
ほうほう、まるで女遊びを極め悟った者のようじゃw
確かにお兄さんのように美丈夫であればオナゴのほうから寄ってくるだろうな。
ほれ、今も実に美しいオナゴがお兄さんに目配せしておったぞ、羨ましいの〜w
うむ、お兄さんへの妬みは我が友と一緒に飲み干してしまおうか。

…プハーッ!
へぇ、お兄さんは白郎というのか。
瑕ひとつない白玉のような美丈夫のお兄さんには実にふさわしい名じゃの〜。
白郎、初冬の細雪を思わせる君には案外と江南の情景が似合うかもしれんぞ?
南国に舞う粉雪とは風流なものじゃないか。
どうだい、ワシと一緒に江南を旅してみんか?
…はははっ、冗談じゃw

(白郎と談笑しながらやってきた小高い丘で張悦は目を細める。)
なんと美しい…。
ワシが眺めていた江南の鮮やかさとは違う、しかしそれでいてどこか懐かしさを感じる。
この風景を見れただけでも広陵に来た甲斐があったというものじゃ…。
(張悦はしばし無言になって風景を眺め、その後目を閉じて風の音を感じながら頭の中で風景を思い返す。)

(頃合を見計らって白郎は声をかける。張悦は目を開き、杯を差し出す。)
おお、失礼したの〜白郎。
ワシの悪い癖でな、美しい景色を見るとついつい眠ってしまうのじゃw
おっと、こりゃ失礼、ではお返しに…。
(今度は張悦が白郎の杯に酒を注ぐ。)
(酒が注がれる音と微かな風の音だけが静寂なこの場所に響く。)

はははっ、さながら青い果実が収穫時を迎えたようなものかw
美味いうちに誰かが枝からもぎ取って食ってしまうのか、それとも誰も手をつけずそのまま腐れ落ちるのか…。
果実を求める者、求めぬ者、あるいはただただ眺めているだけの者…。
(張悦は杯の酒を一気に飲み干す。)

…プハーッ!
はははっ、ワシなら美味い果実は酒の肴にしてしまうがのw
61風影怜 ◆a79leC2.Vc :2010/01/29(金) 00:00:22
この世はもどかしい。
時代の常識が、俺の心になくて。
この世は悲しい。
あの子も俺もちっぽけな存在で切なくて切なくて。

嗚呼、されどももまだ、この事実はこの時代の「常識」に捕らわれていないのだな。
みんなちっぽけで切なくて大切な存在なんだ。

そうだ。
人の常識では計り知れない、何かもっと漠然とした広がりを見付けにいこうか―――――

この世が愛しい。





まだ寒い景色の中を、長い黒髪なびかせて男が駆けた。
今の季節にしては薄着だ。
頚の後ろにあたる髪に、今にも取れる様で布が付いている。大方それで髻を結っていたのだろう。
まだ若いその男は、布が落ちるのを気せずに駆けた。
愉しそうでギラギラとした瞳だ。
駆けながらたまに頭を揺らす。
どうやらわざと髻を崩したのだろう。
見ると胸元まではだけだした。

「あーっ、風になりてー!」
彼はゆったりとした袖を振ると、心行く方へと進んで行った…。
62風影怜 ◆a79leC2.Vc :2010/01/29(金) 00:09:49
【姓】風
【名】影怜
【字】澄闇
【身分】道士
【品階】----
【官職】----
【道号】景心
63風光靄 ◆xWoRWRHLgX8i :2010/02/01(月) 04:24:22
拝啓、澄闇兄様。

年が明けほんのりと春の薫りが目に見えてきました。
いかがお過ごしでしょうか。

お師匠様に反抗して、洞府を飛び出したとききました。
また寒い姿をしているの?
そして何処かをほっつき歩いているのね?
妙な噂にならないでね。
変な道士様の妹が、宮廷に使える女官だなんて笑い者になるわ。
女官といっても、下級宮女だけれど…。
いつか陛下にお目にかかれるかしら。

そうです、兄様。
私は下級宮女になりました!
これも伯父様の取り計らい。
伯父様には何から何までお世話になっていますね。
ねぇ、兄様。
たまにはこちらに帰って、伯父様に孝行しましょうよ。
それが無理なら、小まめにお返事を下さい。

私、ずっと待っているからね。哥哥!

渾明より
64風光靄 ◆xWoRWRHLgX8i :2010/02/01(月) 04:25:08
【姓】風
【名】光靄
【字】渾明
【身分】女官
【品階】----
【官職】下級宮女
65白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/01(月) 11:48:26
>>60
(張悦が目を閉じると、同じように眺望を楽しみ、心を千里の彼方に放つ。
 曲がりくねった沼の、蓮には波。
 風は蕭蕭として、胸中に鳴動する。
 おお、またたく間に心が冷えてゆく。
 世の全ての営みは無意味なものとなってわが身との繋がりを失い、
 自分はただ一人、張悦もただ一人、ここに座している──)

いや、誰かと共にいて、かくも心が落ち着いたことは久しくなかった。
空虚な千言を尽くす交わりの、なんと下らないことか。
見よ、君も俺もこの短い時間に、心を裸にすることができたのだ。
君をここへ呼んでよかった。
おっと、ありがとう。それでは、好意に甘えることにしよう……

(懐中から白明珠の杯を取り出し、張悦の杯を受ける)

こくっ──
ああ、美味い。
喉を通る熱は、酒精によるもののみではあるまい。

熟れた果実を、もぎ取るのは誰ぞ……
張悦、それは天意によって定められるもの。
矮小なる人の子に、世の律を動かすことはならぬ。

君と旅をする夢は、たしかにここに。
(自らの胸をそっと指して)
だが、俺はここで、天の定めを見守らなければならぬ。

それが俺の、いや──
朕の定めであるから。
66婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/02/15(月) 23:41:37
【京師・宮城】
(薄い紗に身を包んだ半裸の女。肌は白玉を磨いたように曇りがなく滑らかで、豊かな黒髪は
一枚の絹のように女の鎖骨から鋭くくびれた腰へと影を落す)

ぬばたまの黒き闇夜は生ける者を眠りへと誘い、闇でしか生きられぬ者どもを朝の眠りから蘇らせます。
太陽の光の中でしか生を存続できぬ者たちと、月の光の中でしか生きてはいけぬ者たち――。
そう、同じ光なのに太陽は己の存在を証明する一種の境界線のようなものなのですわ。

人の形を成しながら闇の住人を朋友とする我が身は、月明かりだけが照らす庭を、幽鬼のように徘徊しても
少しの疲れも感じることがございません。私の正体を知ったなら、あの御方は私を化け物とでもお思いになるでしょうか。
寝ることで躰を休めることを必要としない私の肉体。羨ましい、なんて人間たちは感嘆するかもしれませんね。
でも、こんな夜には眠りを必要としないことがとても苦痛に感じるのです。とても、とても……。

なにも考えず愚鈍なまでにただ眠りに全てを委ねることができたならどんなに良いことでしょう。
空の主人公が月から太陽に換わる前に、体温が僅かに夜露に奪われる瞬間に感じる倦怠感。
疲れを感じないはずの躰が倦怠感を感じる……おかしなことですわね。
67婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/02/15(月) 23:42:34
初めてお会いしたときは私よりも少し大きいだけの小さな子だったのに……いつの間にか私の背丈を越してしまわれた。
あの御方は陽の光の中でしか生きてくことができない御方。所詮世界は違うのに……なぜこうもあの御方が気になるのかしら。
琴瑟相和すような夫婦になれるとでも?
いいえ。私はただ、弟のように肉親のようにあの御方を見守っていたかっただけなのです。きっと。

(女が自嘲するように微かな笑いを浮かべると、女の垂らした黒髪はきりりと高く結わえられ、たちまち一人の女官の姿へと変わった。
先ほどまで固く閉じられていた淡い色の唇は半開きになり、紅でてらてらと光っている。半裸でも清らかさしか感じさせぬ容姿は、
後宮によくいる淫猥な笑みしか作らない女の姿へと変わっていた)

今の私にできることは一介の女官に身を変え、あの御方のお姿を確認して見守ることだけ。変ね。生理痛だなんて感じた事さえないのに、
嘘をついたなら痛みさえ本当に感じてくるように思えるわ。
(小首を傾げながら薄明かりの向こうへ消えていく)
【姓】朱
【名】
【字】婉花
【身分】女官?
【品階】----
【官職】
68白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/16(火) 01:57:03
>>60
俺が斯く申しても、君の内心を推し量ることはできないな、張悦?
驚嘆して平伏するでもなし……(いや、そんなことはしないでおくれよ。誰が見ているわけでもなし、
折角の自由な友を見つけたと思ったのに、興ざめしてしまうからね。)
そう、かといって何か別の思いを貌から察することもできぬ。
これでは、俺も次の言葉が思い浮かばないじゃないか……。

張悦、次もこんな風の日の陽が高い頃、ふたたび此処を訪れようと思う。
もしも我々が連理の枝のごとくなれば、天が逢わせてくれるだろう。
ではな、張悦。

(皇帝は糸のように目を細め、新雪のように白い貌を和らげて笑む。
 寂しさは雪のまに隠し、さっと身を翻して、風に乗って──)

>>63
【京師 宮城】

(ようやく戻った彼を出迎えたのは、百官の歓呼ではなく百言の叱責。
 それも切々と、哀願するように諌められては、反発する心も起きぬ。
 胸を刺すように罪悪感が押し寄せ、しょんぼりとしてひとり奥へ引き下がる)

すでに時は琥珀の夕時から青玉の夜へ。今時が、一番冷える時分かもしれぬ。
衣裳の隙間から入り込む冷気が冷たい。が、見上げれば空の気色はめまぐるしく移ろい、
どんな名人の手にも織りえない綾衣のようだ。
ん、人? 誰だろう、あそこに佇んでいるのは?

頬は紅く、あどけなさを残した少女。
上臈の中に覚えが無いから、後ろ見のない女官なのかもしれぬ。
星の宿りを見上げているのだろうか。
あの明るい眸を覗けば、天の三垣が映っているのやもしれぬ。

─やあ、今晩は。
(すこし歩み寄り、彼女の貌がこちらに向くのを待って声をかける)

通りがかったものだから…─貴女が佇んでいらしたお姿が、とても印象深く思えたものだから…─
(白牡丹です、と名乗り、なんだか自分を滑稽に思う。
 気恥ずかしくて一寸逸らした目を再び彼女に向け、今度は落ち着いて、穏やかに)

少し、気の晴れぬことがあったものだから、
不躾ながら、貴女が明るくお笑いになっていたのを垣間見て、嬉しく思ったのです。

御名をお伺いしても、よろしゅうございますか?
一寸お話しましょう。
69白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/16(火) 02:48:00
>>66-67
(それからまた幾度か日が昇っては沈み、夜空は月の珠で装った─
 これはいつのことであったか、それは分からない。けれど、確かにあった出来事。

 人の織り成す関係性は摩訶不思議。天と地と風の営みに比べれば、あまりにも矮小。
 けれど、あらゆる折に、森羅万象に触れて千変万化するのは人の心。
 時に荊棘に締め付けられ、ときに桃花の芳香で満たされ──
 殊に男女の仲であれば、それもしきり)

【庭の四阿】

べん、と琴を一はじき。
その一音は空を突き抜け、墨を流したような夜空へ吸い込まれていった──

しんと静まり返った夜。眠りに落ちていないのは、だれ?
朕だけかもしれない。いや、それともまたこれが夢幻の中で、皆はすっかり起きているのかもしれない。
どちらでもいい。どちらにせよ、一人なのだから。
日中を生き、夢幻に於いても生を繋ぐ。人ならぬものと交信し、広大なる社稷のために祈り、
ために魂を削る。すでにして夢幻のうちに千年を生きたかと思えば、その夢は浮雲のごとくなり
目を醒ませば一人の青年がそこにいるだけ。
さあ朝まつりごとに出ようとすれば、その朝のことも夢幻。奇奇怪怪。
誰に分かってもらえることでもない。
だから、朕は一人。

夢に一人の女を見た。
その姿を、求めてやまぬ。
しかし、それも願望。ありもしない虚像を追い求め、うつつの女に投影して困らせはすまい。
願望と失望と期待と誤認と亀裂と寂寞と逃避と夢幻と…──このぐらいにしておくか。
世の中にあって、自分だけが所有しているものなど何もない。
みな、他者と共有しているもの。天子であっても、それは同じ。支配とは意味が異なる。
だから思い通りにならなくて、苦しくて、切なくて、いとおしいのだ。

では、心など求めまい、信じまい、諦めよう…と思ったところで、
はたと気づく。そんなことを考えているあいだは、人を求めることをやめられはしないのだ。
一度、女を抱いてみるがいい。冷たい白い肌を抱きしめ、蕩ける唇を合わせ、
躯の奥の熱い部分を感じてみるがいい。
白い破裂の後には、寂しさが押し寄せはしまいか──

知らず、目をぎゅうと閉じ、眉間に皺を寄せている。
やめよう。こんな何にもならない悩みに心を苦しませて、何になるというのか。

そういえば、ここで一人の女官と逢う約束をしたことがあった。
約束は果たされなかった。愛していた?わからない。
でも、自分は彼女を知っていた。
即位まもなくのことだった。身のうちの、何かがはじけた。
恋慕と期待と苦悩と失望と、あらかたの心情を彼女のために催した。
そうしてまた思う。
朕は彼女という人について何も知らぬ。
知ろうとすれば、厭がるだろうか?

わからぬ。わからぬが、逢いたい。
べん、べべん、べべべん、べん──

(琴の奏曲は、その人が消えていった闇の奥までも届いた──)
70婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/02/18(木) 01:55:12
>>69
(一日中雨が降っている。婉花は鏡の前に座り、髪をほどき本来の姿に戻っていた。
髪は湿気を含み、灰色の空の下黒猫のような艶を見せている。鏡へぼうっと見入り、紅を落していた婉花。
なにかに気づいたように、鏡を卓の上にそっと置く)

「べん、べべん、べべべん、べん──」

琴、の音?
ええ、琴の音に違いありません。どこかもの悲しい、それでいて重苦しさのないような、不思議な音です。
まるで恋に悩む青年が奏でているようじゃありませんか。
琴の音色ってなんて興味深く面白いものなんでしょう。同じ曲を弾いても軽く感じたり、重々しく感じたり、
瑞々しく感じたり、ほこり臭く感じたりもします。聴いていても、それは同じです。
たぶん…聴いたり弾くときの気分に左右されるのでしょう。

私たちは琴を弾いていて、自分の気持ちを弦の上に表現しているつもりでも、琴の音色に心情を操られているのかもしれません。
私たちが書を読み、物事を思索したように思い込んでいても、その実、書物に物事を考え教えて貰っていることに気がつかないのと
同じことですわ。
71婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/02/18(木) 01:56:04
いつもは耳元まで喧しい雨音が今日に限って静かなのはなぜでしょう。
この降りなら、眉を顰めてしまうほどの音がするはずなのに。雨音を遮って耳に届く、琴の音。
琴の弦……琴の音……あなたたちは、誰のどんな気持ちを私に運んできてくれたの?
あなたたちは、誰の気持ちをどんな風に操るつもりなの?
楽器というものは良い友達です。寡黙で誰よりも私の気持ちをわかってくれます。

なんだか私も何か弾いてみたくなりました。こんな陰鬱な雨の日には、胡弓の音がいいのかもしれません。

(胡弓を取り出し、左鎖骨に軽く当て、弓に右手を添える)

甥をも魅了し、曹孟徳の子を殺した鄒氏という美女も胡弓を好んだとか。
右手で弓を滑らす度に音色が雨に溶け込んでいくみたい。

さぁ、胡弓の音よ。私の気持ちをあの御方の元へ運んでちょうだい。あの御方の元に届く音色はどんなものかしら?
……想像できないわ。だって、私にだって自分の気持ちがわからないのだもの……。
72白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/18(木) 04:13:13
>>70-71
(一日中雨が降っている。蜀岡に日は没し、東山はうす昏い。
 雲は空に満ちて泣き、その涙は零落して山河を濡らす。
 その声の間に潜む異なったうねりに耳を傾ければ、それは胡弓がしとやかに歌う歌声で──)

かの声は、しのびやかにも美わしい。
叢叢とした野の中に、蘭が佇んでいるのだ。蘭はしとどに露に濡れて美わしいのだが、
藪に紛れて姿は見えぬ。
しかし澄んで清らなる気配が漂い、決して埋もれることがない……。

「──さわさわさわ、ざざんさ、ささささ……」

…澄んで清らなる?
何を言っているのだ、朕は。あれは幽蘭とよんで差し支えなかろう。
陰鬱とした藪よりもいっそう愁い深く、流麗なる響きの内に秘したる音のうねりは、
地の底から漂う芳香だ。
それが、こんなにも美しいなんて。
もっとも清らなるものは、ああ、墨染の闇と繋がっている……

奏でる人よ、ようやく貴女が見えました。
朱氏よ、貴女なのでしょうね。雲を凝らして押しとどめるほどの楽の音、
わが師匠(>>41参照。実は李憑の顕現)が顕現なされたのでなければ、
貴女を置いては奏でられますまい。

朕は今まで、貴女が見えなかったのです。
お会いしたときも、霞に包まれたようでいらした……もちろん、
視覚的に「見えない」ということではないけれど。
それが……ふふふ、今、こうして楽の音の内に垣間見えるものは間違いなく貴女の魂の一端。
本当に大切なものは、目に見えない。ということでございますね。


べん、べん、べべべん、べん、べん──


では、もう少し、貴女の闇を覗かせてくださいませ。

(琴の演奏は変調、変調、やがて旋律を変える。
 それは星を呼び、人ならぬものを招くための楽──)
73焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/18(木) 17:17:33
(宮城の回廊を一人の男が悠然と歩いている。年は四十を少し出た頃だろうか。)
(この時代の宮中をゆったりと歩く事ができるのは、作法上ごく一部の人間なのだが、男の長身を包む衣は文武の高官の物ではない。男の衣冠は綺麗に整い、
眼差しは強く温かい。外交等交渉事を任せたなら、どんなにか有利に事が進むだろう。)
(だが、男の頬には男として、士大夫としてあるべきの『髭』がない。)

おお、寒い。こうも寒いと、この雨も霙か雪に変わりそうだ。
宮中の若い宦官に「今日は寒いな」と話掛ければ、海老のように曲げられた腰から「はっ」と恐縮がった声が返ってくる。
「是」しか返ってこない会話というのもあるものだ。寒い、綺麗、誰もが感じる事を肯定して聞けばいい。
政治も何もかもこのように簡単ならどんなにいいことか。

(左手のみ外へ出し、手に雨を絡め取る。雨水に濡れた指は長く、爪はしっかりしているものの女の様な艶かしさがある。)

本当に、今夜は雪になるかもしれないな。
74焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/18(木) 17:18:14
【姓】焦
【名】観
【字】景栄
【身分】宮城に先帝の代から仕える宦官
【品階】
【官職】
75左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/02/18(木) 19:56:26
(年末の宮中というものは慌ただしいものである)
(しかし、今の彼の耳にはそのような喧騒は届かない)
(先日自らの心の内―時には己でさえ見通せぬ深淵のような―を容易に覗いた男との対峙・・・)
(この一事は本来天山の樹氷のように不動で冷厳な左匡輝の心胆を大いに動揺させるに足るものであった)
(だが流石は権謀術数渦巻く宮中に身を置く男である)
(左匡輝は少なくとも傍目にはまったく動揺を見せていなかった)
(そしていつものように咳払いをひとつしてから―これは彼の悪癖であった―主君である皇帝に相対した)

・・・陛下、先日申し付けられました新年祝賀並びに大赦、それから百官召集の詔の草案、ただ今お持ちいたしましたぞ
遅筆ゆえすでに新年まで日もございませんが、何分ご容赦のほどを・・・

(遅筆であることは事実であったが、彼はその言上の割には悪びれた風は無かった)
(それは決して自らの文に修正が加えられることはないという自信から来るものであった)
(中書侍郎に任じられてよりこのかた、彼の起草した書は一度もやり直しを命ぜられたことは無かったのだ)

(詔の草案を受け取った文官が皇帝のためにそれを読み上げる間、左匡輝は皇帝の様子をうかがう)
(その表情からは皇帝の考えはうかがい知れぬが、詔の内容に対し気に入らない部分は無さそうである)
(ここでようやく居並ぶ高官たちの感嘆の声が左匡輝の耳にも入ってきた)
(俄然誇らしくなる)

・・・いかがでしたかな、陛下?
訂正いたすべきところがあればすぐにお申し付けくだされ

(両手を合わせ深々と頭を下げる)
(誰も見ることのできぬ彼の顔は自身に満ち溢れた笑みで彩られていた)
76白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/19(金) 00:27:11
>>73
【大明宮 含元殿】

(影が滑るようにひそやかに宮中を這い、他の官吏からは敬遠される宦官。
 しかし皇族にとっては、臣下の内で最も身近に感じられるのが彼らである。
 殊に、先代の睿宗の治世から仕える焦景栄は大宦官として禁城に鎮座していた)

来たのか、焦観。
側の宦官たちがそわそわし出すから、君が来るとすぐにわかるのだ。
朕も、君を見ると、先帝のことを思い出す。いつも影のように近侍していたな。
朕が先帝にお会い申し上げるときには、君の姿がないことはなかった。

(だから……)
(比べられているような気がして、緊張するんだ)

先帝が崩じたのも、こんな寒い初春であったように思う。
学者肌の、穏やかな御方であった。

それにしても、不思議だな。
そんなにも周囲に懼れ憚られているのに、そして自身に才もあろうに、
なぜ他の官吏のように高位高官を目指さないのだ?
それどころか、若い宦官と地位の上では同等ではないか。

朕は、宦官であろうがなかろうが、貪婪な者もいれば清廉な者もいると思う。
古来の例より偏見を持つものもいるが、君は趙高・張譲の亜ではなかろう?
遠慮など、誰にする必要もないのに。
77白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/19(金) 00:58:48
>>75
【大明宮 宣政殿】

(今日は、特別な日である。やわらかな光とともに訪れた日。
 朗々と響く心地よい声が、新たな年の到来を寿ぐ。
 彼の手にある草案は、中書侍郎左匡輝が起草したものだ。
 左匡輝は、皇帝たる自分を前に、伏し目がちにも悠然と構えている。
 晴れ舞台。その言葉が相応しい。
 三槐九棗のすまし顔も、賞賛の色に変わった)

どこか抜けたところがあったら、おちょくってやろうと思うたのに。

(つまらん──ぼそりとこぼした後、にかっと破顔する)

匡輝、名文だ。まごうことなき名文だ。
吉字を流麗な韻文に仕立て上げ、内容も過不足ないな。
さすがに、俊才と呼ばれるだけのことはある。

(思えば、この男は自分が庭を走り回っていた歳の頃から勉学に勤しみ、
 自分が恋文をしたためる筆で経書十万言を写し、
 自分が夢幻を漂っている間に政務机にかじりついているのだ。
 そう思うとぞっとするし、頭が上がらない)

それでは、草案は門下省に。
この出来ならば、差し戻されることはなかろう。

──果たして、門下省の審査を経ても一字一句たりとも修正が入ることなく、
  詔書は晴れて全国十三州に発布されたのである──
78白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/19(金) 01:10:46
…瑠璃の杯、琥珀の色が濃い。
小さな桶から酒がしたたり、零れ落ちる真珠は真紅の光を放つ。

さあ、そろそろ宴の頃合だ。
龍を煮、鳳凰を炙って、玉のあぶらを涙と浮かべよう!
絹の屏風と刺繍を凝らした幕とが、香しい風を囲む。

龍笛を吹き、鰐の皮の太鼓を撃ち、白く輝く歯は歌い、ほっそりした腰が舞う。
いや、そればかりか、春の日はまさに暮れようとし、はらはらと落ちる光は真紅の雨のようだ。

君達にお勧めしよう、一日中、徹底的に酔って酔って酔いまくれ!
大酒のみのかの劉伶でも、墓の上の土までは、酒はひとりでにやってこないのだ。
79焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/19(金) 01:52:29
>>76
【大明宮 含元殿】
(煌びやかな衣から覗く青年の白皙は、亡き睿宗の影を偲ばせるものがあった。)
(睿宗――学者肌でどこか支配者らしからぬ所のある皇帝だった。焦景栄ら宦官と官吏を分け隔てせず、貧賤の出の焦景栄にも学問に触れる機会を与えてくれた。)
(臨終の際には、たかが宦官の自分に「白牡丹を頼む」と御子を託された。臣僚としても、一宦官としても最高の栄誉だろう。)
(皇帝の姿を見る度に、睿宗が健在であった頃を思い出す。「あの頃」に引き戻されようとしてしまう。)
(だが――何かが違う)
(自分が求めても、どんなに望んでももう、睿宗は居ない。同じ宮城だというのに。)
(自分に向けられる皇帝の疑う事を知らぬ澄んだ瞳。汚辱に始まった自分の生。そんな自分の姿がこの皇帝の澄んだ双眸に映っても良いものだろうか?)
(睿宗は最後に云った。)
(「呉を頼む。もしも、白牡丹が天子の器に非ずば――白牡丹の弟・白如月を皇帝の座へ」答えられず立ち尽くす焦景栄に皇帝は続けた。
「白如月が駄目なら、我が弟・白果を。あれは権謀術策を好み、人を信ずる事をしない為に先帝から「呉を任せる器ではない」と皇太子の座を与えられなかったものの、
最後の最後まで朕と皇太子の座を競り合った文武に優れた皇子だった」と。)
(睿宗は、親としての立場よりも国を選んだ。それほどまでにこの呉は疲弊していた。内憂外患、中華はいつも同じ過ちを繰り返す。
劉雷に袁楊豊だけではない。……本来は皇帝と国を支えるべき地方官も野心を隠そうとはしない。)

ハハハハ……!

(皇帝の言葉を受け、張りのある高い声でからからと笑い出す。)
80焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/19(金) 01:53:49
お側の宦官がそわそわと? 親が子に残す事ができるものと云えば、『教育』のみ。
私ども宦官は『子』を持たぬ故、同輩を家族と見なしております。。
年上の宦官を兄と敬い、年下の宦官を弟のように可愛がり、さらに親のような宦官を父母と敬い、子のような宦官は子のように教育するのでございます。
陛下にお仕えする身で何か失礼があってはなりませぬ。躾が厳しくなるのも当然の事。
躾により、家族を守っているとも云えますね。

(皇帝の周囲に侍る宦官達に柔らかな笑みを向けて。)

下々の者にまで気を遣っていただけるとは。陛下はお優しゅうございますね。陛下にお仕えできる私どもは幸せ者でございます。

(笑みを崩さず顔を上げ、皇帝を見上げる。)

高位高官、興味が無いと申せば嘘にはありますが、それよりも陛下の変わらぬお言葉と信頼こそが何よりの褒賞なのでございます。
趙高・張譲? そうですね。「世に焦景栄という清廉な宦官が居た」とでも史書に先例を残す事が私の願いでしょうか。

(陽気な様子で力いっぱい己の胸を叩いて見せる。皇帝も宦官達も湧いたように笑った。)
81焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/19(金) 01:55:14
【焦景栄の自室】

(燭台を見つめながら、冠も脱がずに卓に向かう。)

睿宗は、亡き先帝は私に呉の行く末を託した。私は最後まで社稷の臣でありたい。冥土で先帝に顔向けできるように。
だが、気に掛かるのは先帝が私にした頼みを他の臣僚にもしていないかという事だ。
国の大事に関わる事。だが、今の私にはそれを確かめる術は無い。
中書侍郎の左匡輝――長く呉に仕えてきた左家の出だが、選良思想の強さと『儒』に染まり過ぎているのが気に掛かる。皇帝とも性質からして相容れないものがあるだろう。
もしも、左匡輝のような悪意なき善良の者が突っ走ったなら、先帝から私と同じ頼みをされていたなら……。

(両手を固く組み、燭台の前で額を両手に擦りつける。)

陛下、亡き陛下! どうか私をお守りください。陛下の忠実な僕として、恥ず事なく陛下にお会いできるその日までッ!
82白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/19(金) 03:20:47
>>79-81
ふふ、あっははははは!
嬉しいことを言ってくれるね、焦観。
今の言葉は、忘れないようにする。
本当に、頼りにしているんだ。
それじゃあね。顔を見せてくれて、嬉しかった。

(そう言って焦景栄を送り出し、ふっとため息を一つ。
 座したその片手に握られていたのは、『荘子』であった)

かれは、まだ腹を割ってくれていないのだな。
子供を諭すような語り口。…ふふ、仕方がない。父と比べれば、幼く見えるのだろう。

……教育。親、子、兄弟。肉親の情愛。
若き者はより経験豊富な者を敬い、教えを請うて、千古の叡智を受け継ぐ。
そこにいるのはもとの孺子ではなく、穏やかに老成した賢者。
賢者は知恵を社稷のために惜しまず、自らもまた若き者を導く。……「儒」か。
焦観、すばらしいことだよ。理念のみを問えば、儒はまことに「聖」「賢」の字に相応しい。
しかしどうかな、人というのはすばらしい理念を蚕食し、元の形とは似ても似つかぬ
愚昧に貶めてしまうものなのだ。

儒の理念はもはや理想ではなく、規範になってしまった。
人が儒を用うべきなのに、儒が人を用うようになってしまった。
その規範も、卿と宦官たちのようであればいいものを、蛇足を増やしすぎたのではないか。
もはや肥大し、首が回らなくなってしまった。息がつまるものだ。
清廉。なんと恣意的で一面的な言葉であろう!
よかれ、よかれと思うて為した行いもまた、その人の「渇望」に基づくもの。
なれば「欲」に突き動かされたのと同義であり、決してほめられたことではないのだ。
だから、儒は嫌いだ。

朕はそれよりも、宇宙と神とともに生きたい。
天は朕に、人の営みに馴染まぬ性を与えたもうたが、また太古の事情と精神を養い、
気を導く能力をも与えたもうた。
…そのことも、却って周囲の表情を曇らせる。
朕が絵空事を申していると、そう思っている。
思い返せば身近な肉親でさえそうだった。弟は、どんな顔をしていただろうか。
父は、心配げな顔をしていたのを覚えている。母の顔は覚えてもいない。叔父は……。

朕は、孤独だ。
だが、大道がともにある。幼稚なり暗愚なりとも思え、後々に……は……──ぱたり

(皇帝はその場で眠りに落ち、夢の中には何もなかった。ただ広漠たる野が広がっていて、
 一本の木が天に向かって伸びているのみ。彼はその木を背にしていつまでも、いつまでも座っていた)
83白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/19(金) 03:58:10
>>82の続き)

(それから暫くして、皇帝は閨房で目覚めた。宦官が知らぬうちに運んでくれたらしい。
 不意に眠りに落ちて運んでもらうことも度重なるようになった。これも、臣下の悩みの
 種となっていることは、彼自身も知っている。)

ああ、ちょっといいかい。

(宦官が了、と応える)

朕はな、焦景栄の身をもっと高くしてやりたいんだ。
理由はあとあと彼自身、わかると思う。きっとね。
長く今の任に就いていて、能力も人望も申し分ない。新年ということで、登用の時期も自然だ。

彼の私邸に、【正四品】【門下侍郎】の内定を報せに行ってくれ。
門下省の次官。部署としては順当だろう。
中書省と門下省を、それぞれ能力のある忠臣が運営してくれればいい……というのが、
この暗愚の切なる願いだよ。ふふっ。

対をなす両者が切磋琢磨してくれればよし。優れているほうを、
【正三品】【同中書門下平章事】として呉の正宰相にしようと思う。
彼らは、わかってくれるだろうか。
切磋琢磨と、権力闘争は違うということを。
優れているとは、相手を追い落とすことによって証明するものではないということを。

(【焦景栄】を【正四品 中書侍郎】に任命!)
84白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/19(金) 04:18:53
お知らせを訂正

(【焦景栄】を【正四品 門下侍郎】に任命!)

です
85焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/20(土) 00:39:33
【焦景栄、私邸】

(躰から寝汗が垂れ、寒さの為寝間着のはだけた胸から湯気が出ていた。)
(髪が首筋にべったりと貼り付いていた。)

(夢を、見た。)
(まだ髪を下ろしていた子供の時分の夢だ。)
(沢山の使用人が屋敷に溢れ、両親は『奥様』『旦那様』と呼ばれていた。)
(幼なじみと遊んだ。日が暮れる。夕陽を額に感じて「さぁ、家に帰ろう」とすると幼い焦景栄は立ち止まる。)
(帰るべき家がわからないのだ。)

(乱れた寝間着を正そうともせず、焦景栄は長嘆した。)

決別した生家を夢に見るとは……昨晩、左匡輝の姿を目にした為だろうか。
人間とは案外強くないものだな。決意をしようが、忘れたつもりだろうがこうして躰は馬鹿正直に反応する。
もう関わろうとはすまいと決めた『儒』。なんと呪わしい響きだろう。

(焦景栄は、潁川の生まれである。)
(生家は幅広く手掛ける豪商だった。父は将来を嘱望された儒学者で、商いを営んでいたのは母の生家だった。)
(生活を案ずる事なく、好きな学問に打ち込める――学者としては最良の選択肢だったのかもしれない。父の生家は
生活の保証を得、母の生家は金で得る事のできない『名誉』を得た。いくら金銭に恵まれていても、名家で溢れた潁川では
所詮成金に過ぎなかった。両者共に足りない部分を補う理想的な婚姻。だが、これが焦景栄の不幸の始まりであり、焦景栄が
宦官となるに至った経緯でもあった。)
86焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/20(土) 00:41:03
(婚姻から二年で姉が生まれ、翌年に焦景栄が生まれた。家庭に入っても実家暮らしの為か、母の『小姐』ぶりは変わる事がなかった。
母は、婚姻後から次第に学問しかない清貧の出の父を蔑ろにし始め、淫蕩に淫蕩を重ねた。焦景栄の父も誰なのかわからないほどであった。)

やはり人間の長年培った価値観というものは変わらぬのだろうか……。

(絹糸一本で繋がったように脆い家庭。それでも、一家は『家庭』を保っていた。)
(しかしそれも、姉の婚姻により崩壊した。)

母にとって、母の実家にとっては、姉さえも『商品の一つ』に過ぎなかった。

(大家の公子様との縁談。相手は容姿に恵まれているとはお世辞にも云えず、教養もない、ただの穀潰しであった。)
(若く美しく、慎み深い姉と引き替えに母の生家は更なる富を得ようとした。)
(聞き分けの良い姉が初めて取り乱し、泣いて訴えても無駄だった。商品には『売り時』があり、それを読み違えないのが優れた商人であり、
富を持つに相応しい『豪商』と呼ばれる。力のない父はただ学問に打ち込み、焦景栄は姉を黙って見守る事しかできなかった。)

あの日もこんな寒い日だった。先帝に姉上――冬は私の好きな人を奪い去ってゆく――。
きらきらと、ふわふわと、純粋なまでに無残な形で。まるで雪のように。
87 ◆Enju.swKJU :2010/02/20(土) 00:41:20
【※お詫びとお知らせ】

当スレの舞台設定が、わかりにくいものになっており、
混乱を招いたことにお詫び申し上げます。
また、>>1の設定を一部変更致します。

1.時代
当初は曖昧な背景設定として曹魏的な世界観を予定していたのですが、
スレを進めるうちに、中唐の世界観がふさわしいように思いました。

唐は安史の乱後に節度使が半独立勢力を築き、皇帝の支配力が後退しました。
かつ宮廷では宦官の力が増し、官吏の中では貴族よりも科挙官僚が強くなりました。
八世紀半ばの唐帝国が、今の呉帝国に似ていると思います。

ただ、呉帝国は仮想帝国で、完全に唐とイコールではありません。

2.官制
当初、地方官制も中央官制も曹魏に準拠するつもりでした。
>>1にもそう書いてしまっていました。
書いたことを忘れ、断りなしに門下省を登場させるなどのアレンジをしてしまい、
すみませんでした。

スレを進める中で、中央官制は唐に準拠しようと思うようになりました。
三省を参加者さんに運営してもらって、
宰相は三品の同中書門下章平事。
その宰相に功労あれば、古来からの名誉ある三公とか二大とか、
封爵とか……
宰相にも、目指せる「上」を作ったほうがおもしろいかなって思いました。

地方官制は魏のままです。
ですが、魏の地方官よりも自立色が強い。

唐官制:勲官
http://members.jcom.home.ne.jp/teuton/tyuton/tou1.html
唐官制:中央官
http://members.jcom.home.ne.jp/teuton/tyuton/tou.html
88焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/20(土) 00:42:12
(婚姻の前夜、綺麗に化粧をした姉が寝室に入ってきた。当時の姉は十四歳、焦景栄は十三歳であった。年齢には少し早い化粧が焦景栄には
怖くて、別人がそこにいるような気がした。)
(「姐姐?」言葉を発しようとした唇が塞がれた。髪を優しく撫でられ、姉が覆い被さってきた。)
(「全て思い通りに商談を進めてなるものですか」姉は泣いていた。「傷をつけても磨いて価値が増すのは玉だけよ」。焦景栄と姉は姦通を犯した。
焦景栄の上でしゃくりあげる姉を見上げながら「ああ、襄公と文姜もこんな事をしたのかな」と考えた。事が済んだ後、姉は袖で顔を拭いつつ云った。
「観、あなただけはあなたの道を進みなさい」姉が生娘ではない事、相手が実の弟である焦景栄である事、誰にも何も知らせず姉は嫁ぎ、焦景栄は姉を見送った。)

父が生涯をかけて学んだ『儒』とはなんだったのだろう。

(頼るべき先も思いつかなかった。なにもかも捨てたかった。富なんか糞喰らえ。儒学がどうした。)
(ふと、脳裏に一人の人物が思い浮かんだ。潁川出身の大宦官・劉瑶。生家が彼の恩恵を受けていた。孝経から外れた存在。)
(ちょうど良い。適職ではなかろうか。)
(父には「劉瑶様の元に参ります」とだけ伝えた。はっとしたような顔を見せ、焦景栄を固く抱きしめ父は云った。)
(「なにも見えない振りをしていた。見たくないものが多すぎた。観、私はお前のためになにもしてやれない……」血の繋がらぬ子の為、父は静かに泣いた。)
(宮中では劉瑶を父と仰ぎ、焦景栄は徐々に実力を認められていった。父が唯一残してくれた学問と琴の腕が睿宗の目に止まった。)
(睿宗は焦景栄の才を更に磨くようにと過ぎた環境を用意してくれた。『儒』と対にある『法』に焦景栄が傾倒していったのも自然の流れだったのかもしれない。)
89焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/20(土) 00:44:01
『儒』を否定はしない。
だが、素直に『儒』を信奉できる人間は『儒』の奴隷だ。
信奉するが故に全ての動きを封じられ、それにさえ気がつかない。鍋の中の魚が生きたまま火にくべられ、気がつかぬのと同じ。
それを人は『幸福』と呼ぶ――。

(早朝の冬の強い陽光が窓から差し込み、焦景栄の高い鼻梁と清らかな額を照らす。目は少し充血しているが、少しの疲弊の色も見いだせない。)
(庭先で小鳥が鳴いていた。)

そういえば、陛下は『老荘』の思想を好んでおられたな。
なにか老荘に転んだきっかけはあるはず。私が若い頃法家に傾倒したように。……いや、なにかに縋りたくもなろう。
陛下は孤独だ。肉親にも心を許す事ができず、臣僚は常に隙を窺っている。
隙と見せたなら、そこに待っているのは『死』だ。権力者とはそういうものだ。

……『儒』も『老荘』も『法』も解釈が大切だ。
解釈を誤ったなら、とんでもない事になる。誰か陛下に良い師がつけたなら。陛下が興味を持たれている老荘に明るい師を。
凝り固まる事なく、中庸を保つ事のできる良い師を。

(小鳥と目が合った。焦景栄は目の光を少し柔らかくして呟いた。)

私も老荘に手をつけてみようか。良い師が見つかるまでのつかの間。陛下の気持ちを少しはお慰めできるかもしれないな。
90焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/20(土) 00:45:04
>>83

【焦景栄、私邸客間】

(焦景栄、使者の前で白磁の茶器に茶を注ぐ。室内に香気が立ち上り、湯気は優しく空気を温めた。)

やぁやぁ、外は寒かったでしょう?
ご用があれば、私から出向くものを……。

(使者に茶器を差し出し。)

さあ、どうぞ。

(使者は生唾を一度飲み、焦景栄の顔を窺った。焦景栄は再度、女の様に優しい声音で「どうぞ」と云った。)
(使者は懐から黄金に輝く絹を取り出し、焦景栄の前でぱっと広げた。絹には『聖旨』の文字が刺繍で浮き出ていた。)
(焦景栄の顔色が変わり、床に吸い込まれるように低頭した。)
(使者の口は焦景栄を正四品 門下侍郎に任命する事を伝えると、茶で潤し帰って行った。焦景栄は低頭を保ったまま、使者に礼を述べた。)

(使者の姿が見えなくなったのを確認し、花梨の椅子に座り込む。)

門下侍郎?
私が……?
正従九品あるうちの正四品の……喧騒を嫌い、宦官になったもののまだまだ天は私に安息を与えてくれぬらしいな。

(空になった白磁の茶器は冬の空気で乾いていた。)
91白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/20(土) 06:08:30
>>90
──そう。焦観は請けてくれたんだね。
よかった。今まで、少し気を揉んでいたんだよ。

(無意識に、衣裳の袖を弄びながら笑みを作る。
 使者が拝礼して退室するのに目礼で返し、つと玉座から立ち上がって窓辺に寄ると、
 雲ひとつなく薄い青を引き伸ばしたような空を一羽の鳥の影が横切っていった。

 首を反転させて今まで座していた玉座を振り返れば、陽が当らずいかにも暗澹としている。
 あんな場所に今まで平気で居たのか。それは、気が塞ぐのも道理というものだ。
 そのまま戻るのも気が進まず、庭へと降りてゆく)

焦景栄。これから、どんな吏僚になるのだろうねえ。
彼のことだから、匹夫の如く官に飼われなどすまい。人として生まれた以上は、
さまざまな事柄に出会うものだ。その中にあって、たかが一官職への任免でしかないと
よく分かっているだろうさ。こうして節目節目に訪れるもの──人は「天命」と呼ぶが──を
受け入れ、時に抗し、苦しみながらも生きていくのが人だ。
92婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/02/20(土) 23:01:42
>>72
糸を紡いで織物ができるように胡弓は楽曲を奏でます。
冬の空は清らかで、どこか物足りなさを感じさせ音を吸い込んでゆきます。
真綿が水を吸収するかのように。空の器に酒を注ぐように。

白牡丹――なんて素敵なお名前でしょう。
私と同じ花の名前だから、よけいにそう感じるのかもしれません。
慎ましくしなやかな花。そんな意味が私の名前にはあります。
人間の女性なら美徳と賞されるべきものでしょう。しかし、視点を変えると日影に咲く花のようじゃありませんか。
牡丹のような艶やかな華やかさもなく、ひっそりと誰に気がつかれることなく咲いて枯れていく花。

(弓を五往復くらいさせた後胡弓を壁に立て掛け庭へ出、膝を折り曲げ庭土をそっと撫でる)

かわいそうに。まだ寒いのね。

(励ますように)

春は、もうすぐよ。明けない夜がないように、来ない春もないわ。

(土ば付いた爪をそのままに、さらに進み梅の木に触れる)

冬は、寒くて嫌ね。

(婉花に呼応するように、婉花が触れた部分の枝にだけ梅花が忽然と咲いた。婉花、囁くように目を見開き)
93婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/02/20(土) 23:02:53
まぁ、起きてしまったのね。まだ……冬よ?

(鼻腔をくすぐるような懐かしい香。色のない冬の庭に咲いた紅梅が東雲のように紅く咲き開いた。
婉花は悲しげな笑みを目元に浮かべると、紅梅を一瞥し室内に戻る。再び室内から庭先の紅梅を見やると、
紅梅は艶を失い枯れていた)

ごめんなさい。私が起こしてしまったばかりにごめんなさい。
花姑様、どうかあの子たちを助けてあげてください……花姑様。

(望んでいる人の返事はない。婉花はうなだれた)
94婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/02/20(土) 23:03:58
牡丹は花の神だと人は言います。そして――花の神は私のお仕えする方でもあります。
夫と慕った躍竜潭の梨の木を亡くして以来、花姑様は人間に慈悲をお見せにならなくなりました。
今、この国がこうして曲がりなりにも存続しているのも白牡丹様の祭祀に向ける真摯なお気持ちと自然への敬愛あればこそなのです。
花姑様は今、人間たちを試そうとなされています。私たち花の精を宮中に送り込み、白牡丹様が人間界を統治するに相応しい御方か、
人間がこの地上に跋扈してもよい生き物か調べさせているのです。

私は白牡丹様をご幼少の頃から見守ってきました。
姿形は人間の乙女ですが、私は春蘭の精なのです。今は、女官に身を変えてお側に仕えています。
花姑様が宮中にお送りになられた花や樹木の精は私だけではありません。中央の高官に姿を変えておられる方もいらっしゃいます……。
花姑様は仰いましたわ。
「人間に情けを見せることまでは許す。だが、もしも人間と交わったならお前を冬の雪と共に消してしまうよ」と。

女官に身を変えてもなお、白牡丹様のお勤めを果たせないのはそんなわけなのです。
もしも花姑様のお言葉がなかったらお勤めを果たしていたか、ですって?
さぁ、どうでしょう。私にもまだわかりません。

毎日生理になるわけにもいかないし、なにか考えてみましょう。いろいろと……。

(婉花の独り言は皇帝に届くはずもなく……)
95白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/21(日) 03:09:57
>>92-94
(あれから、少しの時が経った)

【大明宮 含元殿】

まだ、庭に春が来ない。
だから今は、心の内に養おう。

(そう思って、茶器と茶葉を取る。
 掌に収まるほどの缶を開くと、絹の嚢。茶葉はその内にある。
 銘を君山銀針という。
 東のかた荊州の、人を寄せ付けぬ神湖。その中央に聳える島座。
 そこが、かの銘茶の産地であった。

 よき新芽を、日のよき二日間に撰び抜く。
 加工の術は、誰も知らない。名の通り、産毛に覆われた新芽は銀の針。
 そっと撫ぜると、絹糸のように滑らか。
 一つまみとって、茶壷に落とす。こぽこぽと、釜の湯が心地よい音をたてる。
 冷めるのを待つ間がもどかしい。やっと注ぐと、茶葉は湯の海の中で舞う。

 世に耐熱硝子の茶器というものがあれば、その舞をずっと見ていられるのに──
 白磁の器に注ぐ。薄黄の水の、香気は微か。室ではなく、体内に漂うのだから。
 口に含めば、甘く滑らかな乳を思わせる。飲み込んでしまうと、
 今度は喉の奥から清澄な後味と香気が齎される。
 ふわり、ふわり、欣然として一杯、長息して二杯、幸福のうちに三杯。

 自然、心の内に浮かぶものがある。
 書を寄せて、眺める──)
96白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/21(日) 03:11:45

「湘夫人」

 ──帝子 北渚に降る
   目 眇眇として予を愁えしむ
   嫋嫋たる秋風
   洞庭波だちて木葉下る─


(『楚辞』「九歌」のうちの一篇、「湘夫人」の冒頭部。
 紙絹に綴られた字を穴のあくほど見つめながら、彼は双眸に遥か洞庭湖を映す。
 秋の晴れた日、時間は午後であろうか。天帝の御子なる湘夫人はきらきら輝きながら、
 湖水をへだてて君山の北の渚に降下する。
 それを眺める巫の願いは、彼女を祭殿に招くこと。

 ああ、彼女の何と及びがたい遥かさよ!
 無限の秋風が洞庭湖を渡って、湖面は波立ち、山の木々はその葉を降らす。
 巫の双眸は遥かに馳せ、期待をもって湘夫人を眺む。
 しかしはぐらかすように彼の目に入るのは、波、落ち葉、そして潺湲たる流水のみ。
 巫の力は、常人に見えぬものを見る目を持ち、聴けぬものを聴く耳を持つこと。
 しかし遥かを見やる巫の凝視には自然の風景しか入ってこない。

 それでも巫は湘夫人に呼びかけるが、彼女はそれに応じようともしない。
 夫神たる舜帝が空より差し招くと、疾く昇ってしまった──)

これを読むと、いろいろと思うな。
祭祀を執り行って、終に神が降臨しないということは、普通はありえない。
この歌に詠まれた欠如した祭祀は、書き手の、世界に対する欠如感を反映しているのだろう。
誰もが、欠如感の中で生きている。当たり前だ。「自ずから然る」世界に、
まったきものなど存在しないのだから。
97白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/21(日) 03:15:46
……こうした歌や、魏晋からこのかたの志怪小説は、さまざまな解釈の中で伝えられてきた。
仙境への憧憬や、恋愛の比喩といった形で。論理的に、また詩美的に。
朕はもっと単純に内容を受容できる。
神を識っているから。虚構ではないと、身をもってわかっているから。

世界には、確かに気むずかしい神がいるのだ。
人を快く思わぬ神も、中にはいる。
人と神は、折り合いをつけながら生きてきた。
億兆の民が命を繋ぐため、自然物の命をもらわねばならぬ。
それを神に断り、感謝を捧げる。

しかし、人が昔ほど神を畏れぬようになってから、
不必要に自然物を傷つける人が現れた。
たとえば神木を傷つけ樹の精を屈服させたことが、英雄談のように記されるようになったことなど、
神はどう思うだろうか。
人に慈悲を向けぬ神がいるのも、尤もなことなのだ。

だから、もう一度、少しずつでも歩み寄らなければ──
難しいけどね。神を敬い、領分を守りながら、神にも領分を守ってもらう。
相互の差異を受け入れ、折り合いをつけるのだから。
でも、きっとできるはずだ!

いつか、文学の中でさえ実現しなかったことが、実現するかもしれない!
つまり、人と人ならざるものの恋が。
文学では、両者の恋が実ることはない。
住む世界が違うから。

でも、歩み寄る術を知っていれば。
彼女たちに、こう言おう。

「───────、─────────────────」

(その言葉は、今は誰に聞かれることもなかったが、白牡丹はふっと顔をほころばせて)

おっと、朕には好きな人がいたのだった。
彼女は、逢ってくれるかなあ。
98白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/22(月) 23:46:21
【宮殿 回廊】

遅くなってしまった。
早く帰ろう、外は寒いから。
……室に着かない。いつもの道筋を通ってるはずなのに、
ここ、どこだろう。どんどん室から遠ざかってるような気がする。
同じところを何度も周っている感覚。どこまでも続く回廊の風景。
本能が『危ない』ことを知らせてる。
でも、なんだかこっちに行ってみたい。
何があるんだろう。甘くて、温かくて──
99焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/23(火) 18:36:59
【京師郊外、劉瑶邸】

(大きな門は焦景栄の久方の来訪を温かく迎える様だった。)
(長身の焦景栄も見上げるしかない門戸は黒くくすんではいるものの、邸宅の広大さを伝えるには十分であった。)
(屋敷の所有者の名は、劉瑶。)
(睿宗時代国の裏舞台『後宮』の一切を任された大宦官であり、焦景栄の養父であった。尤も、養父となったとは出会ってから数年
経ってから後の事であったが――。)
(面倒見も良く目下の者にも慕われ、四書五経にも通じ学もあったので官吏にも親交のある者が多かった。)
(劉瑶最大の幸運は、傅を勤めていた睿宗が帝位に就いた事であろう。)
(睿宗は子が親を頼る様に劉瑶を頼り、劉瑶もまた期待に応え睿宗の地位と呉の国を盤石のものと変えていった。)
(その気になれば睿宗を傀儡とし、奢侈に耽る事もできたのに敢えてしなかったのである。)
(一方で睿宗に対する劉瑶の偏執的なまでの庇護は、劉瑶の政敵となった一部の宦官や官吏、皇族の怨みを買った。)
(睿宗の敵は、劉瑶の敵であった。敵は強引に蹴落とし、完膚無きまでに陥れた。)

(青い外套に髪も質素に纏めた焦景栄、下男に来訪を伝える。)
(門が大きく開き、客間に通される。)
(客間は咽せ返るような香の香が充満し、一人の老人がつと立ち上がり焦景栄を迎えた。衣が空気をかき乱し、香の香りも変えた。)

劉瑶「おかえり。観。」

(差し伸べられた手は、鶏の足のように骨張って皺だらけであった。)
100焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/23(火) 18:38:02
焦景栄「父上、ご無沙汰しております。」
劉瑶「外は寒かっただろう? こちらへおいで。こっちの方が暖かい。お前は、この菓子が好きだったろう? さあ、茶もある。」

(緑豆色の巾に収められた劉瑶の髪は銀細工のように細く、黒い部分が見あたらなかった。)
(菓子を喜んでいたのなんて、子供の時分だというのに……二人きりになると劉瑶はいつまでも焦景栄を子供扱いした。)
(勧められた茶を口に含むと、香の香りが歯について気持ちが悪かった。)
(劉瑶は若い頃から香を好んだ。帰宅すると必ず香を焚いた。後宮でつく化粧の香りが嫌だと云い、香を焚いた。)
(強く香を焚かぬと香りがわからない程に劉瑶の鼻は衰えているのだろう。焦景栄は少し悲しみを感じた。)
(劉瑶が七十で睿宗に惜しまれつつ私邸に退き早十余年――。鶴の様に細く、曲がる気配も見せない背筋と穏やかな声は健在だ。)

焦景栄「父上、観は門下侍郎の任命をいただきました。」

(酒のつまみの話でもするように、すらりと出た事後報告。いつも焦景栄と劉瑶の間柄はこうだった。根底に揺るがない信頼あればこそだとも云える。)

劉瑶「正四品。突然の抜擢だね。正従九品の中のちょうど真ん中、人生の折返し地点に差し掛かったお前に。ふふ……陛下もなかなか粋な事をなさる。」
焦景栄「私の引退後は一緒に花の世話をして、琴を奏ようというお約束も先延ばしになりそうです。」
劉瑶「なぁに。まだまだ私も死なぬよ。」

(香の香を割って、ふわりと鯉の匂いがした。鯉を煮た料理は、子供の頃から焦景栄の変わらぬ好物であった。)
(劉瑶が先ほどとは違った笑みを見せた。)
101焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/23(火) 18:39:22
【京師郊外、街頭】

(「これを――」と劉瑶は毛皮の手袋を与えてくれた。きっと正月の帰省で渡すつもりだったのだろう。)
(毛皮がふわりと手を包んだ。)
(薄墨の闇に朧月が浮かんでいた。焦景栄、月を見上げ歩きながら。)

思えば因果な道を選んだものだ。月を見る度、郭貴妃を思い出す。
童女の様にあどけない、性質も無垢なお人だった。亡き陛下の渡りがないだけで涙を浮かべ、悲しげに泣いた。
郭貴妃にとって、先帝が世界であり、善悪の基準だった。
姉の様に望まぬ婚姻をする者もいるのに、顔も知らぬまま嫁ぎ、それでも先帝を慕った郭貴妃。
姉の事を忘れられぬ私にとって、郭貴妃は理解しがたい不思議な存在で、もっとこの女性を、この女性の行く末を見てみたいと思った。

陛下のご生母の皇后陛下とは対照的な方だった。
能吏の令嬢で才女でもある完成された美の持ち主である皇后陛下。同じく能吏の令嬢だが、「女子は学なきを徳とする」でお育ちになられた郭貴妃。
学者肌の睿宗の寵愛を最も受けたのは、学のない郭貴妃だった。

皇后陛下が皇后としてのお立場を第一に考え禁欲的であったのに対し、郭貴妃は素直に感情を表現された。
一緒に筆を持ち、文字を教える睿宗に懸命についていこうと努力をした。郭貴妃が先帝の寵愛を恣にできたのも、先帝が郭貴妃を離さなかったのも
私にはわかる気がする。

私も郭貴妃と同じ遣り方で先帝に目をかけていただいたからだ。
学のある人間は、人に学問を教えることに喜びを見いだし、また懸命に努力をする者を好む。
私と郭貴妃は、まさにそれだったというだけの事だ。私もわかる事をわざとわからぬ振りをし、わからぬ事は懸命に吸収しようとした。
不言実行、影の努力を美徳とする士大夫や皇后陛下と違い、努力している醜い姿を披露するのも厭わなかった私と郭貴妃。
それだけの事だった。

皇后陛下が先帝に対し愛情を持っておられたかは定かではないが――もっと皇后陛下も素直に甘える事を覚えればよかったものを。

(嘆息して、緩く首を振る。)
102焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/02/23(火) 18:41:16
たった一度、一度だけ皇后陛下が感情を顕わされた事があった。
世継ぎを懐妊されない事への重責からの涙だった。私は心底皇后陛下に憐れみを感じ、いつものように郭貴妃の所へお渡りになろうとする陛下へ
嘘を吐いた。
「郭貴妃は、本日より月のものが……」と。その時のたった一度の交わりでできたのが、現在の皇帝陛下……。
仲の良い夫婦が子宝に恵まれぬという様に郭貴妃も懐妊の兆しがなかった。皇后陛下のご懐妊を耳にし、郭貴妃は酷く落胆されたが笑顔で皇后陛下を祝福された。
その四年後に郭貴妃からお生まれになったのが、如月様だ。

陛下は生まれついての皇帝なのに、度々臣僚共は如月様を担ぎだろうと試みる。
皇帝が変わる事は、外戚、内閣、全てが変わる事を意味する。
如月様は賢い御方だから、陛下を兄と慕い、臣僚共の勧めを笑って流される。だが、それもこれも呉の安寧を願っての事だろう。
だが、なにかの拍子に如月様の箍が外れてしまったなら……如月様が影に生きるのを良しとせず仮面を外そうとなされたなら?
……それでも私は最後まで陛下の忠実な僕でありたいものだ。

(月はどこまでも白かった。)
103白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/24(水) 01:17:32
 『あそこへ行ってはだめよ。取って喰われてしまうから。』

どこかで、母親がわが子に教え諭す。
幼い息子は戦慄して、山に抱かれた「その場所」へは近寄らない。

現世と異世の境が、開かれることがある。
この世に住まうのは、人のみに非ず。人が認めしもののみに非ず。
心せよ。とりことなってしまわぬように。


天地の別もわからず、ただ回廊が茫然たる闇の奥へと続いている。

 「さぁ…いらっしゃい…ここは寒いわ……」

呼びかける声がする。

 「…さぁ…来て……」

窮極なき白い靄、現れた楼は半ば扉が開き、壁は斜めに白く輝いている。
足を踏み入れようとする。

 だめ、行っては
 行ってはだめ──

声が聞こえたように思う。目ざめたのは閨房。
そんな夢を、幾晩も見る。
楼閣に捕らえられたら、戻れない。
そんな気がする。
心せよ。とりことなってしまわぬように。
104左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/02/24(水) 16:16:27
(年が明けて数日が過ぎた早朝)
(新年の喧騒も徐々に消え、左家の邸宅には日常が戻り静けさを保っていた)
(その静寂の中、いつもより早く起床した左匡輝は書斎にて経書のひとつ、左伝を読んでいた)
(事実かどうかは最早確かめようはないが、左家の祖とされる左丘明による春秋経の注釈書である)
(儒を自らの生きる指針とする匡輝にとって、たとえ伝承に過ぎぬものであってもいにしえの大学者が先祖というのは誇らしいものであった)
(しかし、最近では左伝に対する儒者たちの意見は厳しいものとなりつつあった)
(曰く、左伝は史書であって経典ではない―)
(この風潮は彼の心に複雑な感情をもたらすものであった)

(経典でないのならば、そのつもりで読まずに済む・・・)

(儒者である匡輝にとって、いかに先祖の著であろうと左伝はやはり史書という認識であったのだ)
(一方で、先祖の偉業を誇りたい気持ちもある)

(だが、それは小人の感情だ)

(左匡輝はそう断じて気持ちを整理する)
(そう思えば余計な感情を抱かずに読書に専念できるのだ)
(曽祖父の代から左家当主が代々愛用している白磁の博山炉では伽羅が焚かれ、立ち上る香がゆらりゆらりと漂う)
(ふと窓の外に視線を向ける)
(まだ日の出には少々時間がある、京師の一日で最も寒い時間帯)
(だが極寒の隴西に生まれ育った彼にとってはどこか懐かしさをも内包した暖かな時間帯でもあった)
(左伝を閉じ、書棚に戻す)
(書斎から出た彼は邸宅の中庭に歩みを進める)
(薄く積もった雪を踏み固める音が心地よい)
(自然と詩を口ずさんでいた)
(それは十年ほど前の正月に今は亡き先帝・睿宗の前で左匡輝が詠った、新年を寿ぎながら徳高き皇帝の治世を讃える詩だった)
(何度も繰り返し口ずさむ)
(五言律詩の軽やかな律動が初春の冷気を震わせる)

(・・・この詩を陛下の前で詠うことはできないな)

(ふと思い至った)
(この詩には左匡輝―さらに言えばこの国の儒者たち―の理想とする皇帝像が込められていた)
(中興の祖・睿宗の治世のもと、緩やかに衰退していた呉帝国は二度目の全盛期とも呼べる繁栄を手に入れた)
(しかし、賢帝の突然の崩御がこの国に再び暗雲をもたらしたのだった)
(その跡を継いだのは弱冠17歳の皇太子、つまり今上帝である白牡丹である)
(皇太子は儒の者―すなわち左匡輝たち官僚である―から見て皇帝に相応しいとはお世辞にも言えぬ人物であった)
(自由を愛し花鳥風月にいちいち感情を爆発させる皇太子の姿は、百官万民の上に君臨し徳治する皇帝像とは大きくかけ離れていた)
(一部の官僚たちの間では、皇太子の弟である白如月を皇帝に推す動きもあった)
(だがそれは礼教の大原則である長子継承に反する運動であり、左匡輝らの強硬な反対もあって立ち消えた)
(皮肉なことに、この国の儒者たちは儒の教えを遵守するあまり、もっとも儒から遠い皇帝を推戴してしまったのである)

(それから五年、白牡丹の治世は睿宗以来の平穏を保ってはいたが、それでも呉帝国十八代二百六十年の歪みが徐々に表面化し始めていた)
(宮中では皇帝の放蕩ぶりに眉を顰める高官たちが再び皇弟・白如月への接近を始め、また皇叔・白果に関する不穏な噂も流れ出した)
(京師から遠く離れた地方では、朝廷の目が届かぬを良いことに地方官たちが己の勢力を伸ばしているという)

(このままでは帝国は危うい・・・)

(左家は建国の功臣と呼ばれるほどではなかったが、太祖以来の譜代の家であった)
(左匡輝個人としては皇帝にあまり好意的な感情は抱いていなかったが、それでも呉の臣としての血が彼の心を揺さぶっていた)
(薄氷の張った池面を静かに眺め、ふぅ、と嘆息する)
(二、三度頭を横に振ってから書斎へと踵を返したその時、この時間帯には相応しくない馬蹄の音が耳に入った)
(途端に左匡輝の顔が険しくなる)
(それは激しい憎悪を感じさせる表情であった)
105左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/02/24(水) 16:17:49
(早足で邸宅の門まで駆けつけた左匡輝の前で、一人の青年が先ほどまで駆っていただろう馬の巨躯を愛撫していた)
(年の頃は十五、六といったところだろうか)
(その年齢にしては頑健な身体つきと、彫りが深く浅黒い容貌、そして何より漢人らしからぬ紅毛碧眼が印象的である)

・・・忙しい年末にふらりといなくなったと思えば元旦の宴にも顔を出さず、今頃になって戻ってくるとは随分なご身分だな?

(匡輝の静かな、だが激しい怒りで震える声が日の出まであとわずかの空に響く)
(だが青年はそれを意に介した様子は見せず、相変わらず愛馬のたてがみを優しく梳いている)

何とか言わんかッ!景義ッ!

(景義と呼ばれた青年はムッとした顔で左匡輝を睨む)
(それは匡輝の怒りを―そしてそれ以上に憎しみを―かきたてる貌であった)

(高い破裂音が静寂の中に響き渡る)
(左頬をおさえながらなおも挑戦的な眼をしている景義に氷の視線を浴びせながら匡輝は右手を拭う)
(それはまるで汚物に触れてしまった手を清めるかのような所作であった)

十二にして路頭に迷い、いずれは野垂れ死ぬところであったお前を拾ってやった恩も忘れ、
何ひとつ家長に孝を尽くすこともなく、することといえば私の顔に泥を塗ることばかり・・・
・・・いいか、景義
これは何度も言っていることだが、私は皇帝陛下に仕える帝国の臣だ
お前が悪行を重ねるたびに我が左家の名誉に瑕疵が生じ、私の立場も危うくなる
私の立場が危うくなれば、今のように穀潰しのお前を飼ってやることはできん・・・
いくら愚かなお前でもそれくらいのことは理解できるだろう?
経書を読め、家の仕事をしろ、などとは言わん・・・
左家の人間に相応しい、ただただ慎ましい生き方をせよ
これ以上放蕩を重ねることだけは絶対に許さん
よいな?

(一方的に叱咤すると景義の返事も待たず、邸内に戻る)
(匡輝は背中に景義の視線を感じてはいたが振り向こうとはしなかった)
(振り向けば嫌でもあの憎たらしい顔を見なければならない)
(匡輝は何ごとも無かったかのように自室へ向かった)

(景義、いや左景義は、左匡輝とは親子ほど歳の離れた兄弟であった)
(匡輝の父・左真―彼は儒を修養した政府高官であると同時に夜陰に紛れて庶民街に繰り出す遊び人であった―が西市で出会った胡人の芸妓に産ませた子)
(それが紅毛碧眼の青年、左景義の身上である)
(父の臨終に際して匡輝は初めて景義の存在を知らされた)
(衝撃だった)
(父が夜な夜な邸宅を抜け出していたのは知っていたが、まさか自分の知らないところで子までもうけていたとは思いもよらなかった)
(すでに胡人の母は亡くなり、父の援助で何とか日々を暮らしているという)
(涙ながらにその私生児を左家に迎え入れてやってほしいと哀願する死にゆく老父に、匡輝は首を縦に振るしかなかった)
(京師の西市に迎えをやり、弟を邸宅に招いた匡輝であったが、数日も経たぬうちに頭を抱えることになった)
(士大夫層であり礼教を尊ぶ左家の家風と、野生児のように奔放に育った景義が相容れるわけがなかったのだ)
(はじめにこの不良少年を憎んだのは匡輝の生母、左真の第一夫人であった)
(それは士大夫の妻として、何より女性として当然の感情だったのだろう)
(しかし宮中に仕える匡輝に代わって家の一切を切り盛りするこの未亡人を敵に回したことは、すなわち左家そのものを敵に回すことである)
(自然と景義は邪険にされる左家の邸内を嫌い、自分が生まれ育ち友人たちが暮らす西市を懐かしむようになっていった)
(父と同じように夜陰に乗じて屋敷を抜け出し、悪友たちと遊び歩く景義に匡輝もはじめは同情的であった)
(だがあるとき騒擾の罪で景義が警吏に捕まったことが、匡輝の心証を著しく害してしまった)
(兄が四品官であったこともあり、景義の咎は無かったことにされた)
(しかしそれ以来、この兄弟の断裂は決定的なものとなってしまったのだった)
106白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/02/24(水) 20:38:30
【京師、とある妓楼にて】

(尖った耳に、大きく丸い目の痩躯で白皙の少年が跳ねるようにひょこひょこと歩く。空いた席に座り
杯を傾けながら肴を相手に呟く。女たちの嬌声にかき消され、少年の呟きは人に聞かれるはずもなく――)

宮中で、道端で、誰彼見つけるとすぐにおれはこう思う。
――『こいつのこと、どうやって史書に残してやろうかな』――と。
中華では先代の王朝の記録を後の代の王朝が記すのが慣わしとなっている。が、そんなの勝者の言い訳だ。
勝者の、勝者による、勝者のための史書だなんて興味がない。
おれが記したいのは実際にその時代を生きた人間による、実際の記録だ。

顰めっ面を決め込んだ士大夫共が一番に気にすること――己が史書に如何に記されるか――。
どんなに権力を手にしたヤツも紙の中に入っちまえば、史館修撰、史館修国史の前ではただの観察対象物でしかない。
屠殺屋の前で豚がただぶった切られるのと同じこと。
面白いだろう?

おれが初めて史館を目指そうと思ったのは、七つのときだった。

おれが飯も食わずに史記ばかり読むもんだから、父母も兄貴も「どうしたの?」と心配してきた。
さすがに頭がイカレちまうとでも思ったのかな。おれが「承芳も司馬遷になりとうございます」と言ったら
母ちゃんが噴き出し、兄貴と父ちゃんも伝染したみたいに肩を震わせて大笑した。
107白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/02/24(水) 20:40:36
失礼だよな。おれは純粋に司馬遷に憧れただけなのに。
正史に閉じ込められた偉人たちが、活き活きと踊り出す……司馬遷って紙の世界の妖術使いみたいだよな!

普段から陽気な母ちゃんが笑う分にはなんとも思わない。あの人はいつも笑っていて、五月蠅いくらいだ。
おれに下の弟妹はいないが、あの人はおれの大きな妹みたいなもんだ。静かになるのは病気のときくらいだろう。
そのときは心配してやらないといけない。
問題は兄貴が笑ったことだ。繊細な俺の心は傷ついた。尤も、「承芳は傷つきました」ってふくれっ面をして見せて
四人で笑った瞬間に癒えていたけどな。兄貴の名前は呈春。おれの七つ上で皇帝陛下のご学友というやつだ。
兄貴の年は陛下と同じ二十二。『ご学友』に相応しい秀麗な容姿、傑出した頭脳、加えて臣下として必要な慎み深さ。
なんでも持ってるというわけだ。まぁ、優しいヤツだけどな。非の打ち所のない兄貴を持つと楽だけど、複雑だよな。

(大きな双眸をくるくると動かしながら、両手を叩き)

そうそう、で、そのとき兄貴と父ちゃんが教えてくれたんだ。「史館修撰、史館修国史になればお前も司馬遷になれるよ」って。
両方兼任で四人もいるらしいけどな。父ちゃんは続けて言った。
「人を統べる側に生まれたというに……歴史を作る側に生まれたというに。歴史を記したいとは、承芳は儂を退屈させないな」
おれの父ちゃんは『燕王』って呼ばれている。

(階下から酔客がふらふらと少年の元に座り込み、酒臭い息を少年に吹きかけながら)

酔客「へぇ、どこぞの公子様だかわからねぇが燕王様のご子息かよ。本当かぁ? 燕王様の二番目のご子息は
科挙に及第した御方だぞ? 皇族なのにな。じゃあ、陛下はどんな御方なんだ?」
108白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/02/24(水) 20:41:47
陛下?
陛下は話せる方だ。おれはうちの兄貴より大好きだな。おれの夢も応援してくれるし、一番の理解者だと思う。
陛下の弟君の如月様は、うちの兄貴と似た感じ。悪い人じゃないんだけど、よくわからねぇな。
身内だろうがなんだろうが、おれは容赦しねぇ。誰の目から見ても公平で読みやすい史書を残すのがおれの夢だ。
そういや、新年の参賀で吏僚共を見回したんだけど何奴が未来のおれの上司になるんだろうな。
史館修撰、史館修国史の上司っていう上司は宰相だからな。

酔客「皇族様だってのに夢があるのか? 燕王様のご子息なら白なんとかっていうのかい?」

そうそう、陛下の従弟なんていうと恐れ多いけど……。

(体の割りに覇気のある声で悪戯っぽい笑みを浮かべた後、きっと顔を引き締めて拱手して見せる)

私、姓は白、名は承芳、字は汝杏。以後お見知りおきを。
明算に及第したときの祝い金で入って以来ですが、本当にここは面白いところですね。

(先ほどまでの不良少年の様子はどこへやら。一人の公子様が姿を顕わした。妓楼の中の者全員がはっと息を飲む。
べろんべろんに酔っていたはずの酔客の顔にも驚愕の色が浮かんだ)
(白承芳、杯を撫して笑みを見せながら大きく手を振り)

さあさあ、遠慮なさらず。
酒に対して当に歌うべし人生幾何ぞというではありませんか!

(白承芳は酔客と共に肩を叩き合いながら、白い首を仰け反らせ杯を空けた)
109白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/02/24(水) 20:43:41
【姓】白
【名】承芳
【字】汝杏
【身分】燕王・白果の次子。一五歳。兄には皇帝の学友の白呈春がいる
【品階】----
【官職】----
皇族でありながら科挙を受験し、童試、明算に及第した
未熟児で生まれた為体は細く小さいが、丸暗記が得意で科挙に及第できたのもそのおかげ
及第はしたものの、内容を熟知する段階までは到達していない
明算及第時に父母からもらった祝い金でこともあろうに妓楼初進出を果たす
俗に言う放蕩息子だが公子という猫をかぶることが得意
将来は生の国史編纂に関わりたいという変わり者
110白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/25(木) 04:15:34
>>106-109
─乳母に抱かれた彼の後をついて、どこへでも行った。
七つのとき。二人目の従兄弟が生まれて間もない頃のことを、今でもよく覚えている。
ねえ、抱かせてよ。いいでしょう? よく、そうしてせがんだ。
子供心に、赤ん坊が不思議で仕方なくて。あんなに小さいのに、もぞもぞと動いていて
力の抜けたように泣き、この世の幸せをかみ締めるように眠っている。
ほんわかと体温が温かくて、ずっしりと重みを感じて、指を握らせると口に運んでいく。
大人たちはすぐに朕から赤ん坊を取り上げてしまった。だから、ほんの少しの時間
抱いていられるときが、とても嬉しかった。

十四のとき。小さな彼は、『史記』のとりこになった。
朕は少し得意げに頭の中の知識を話して聞かせたのを、今でもよく覚えている。
彼と朕は会話の中で呉越の戦場を駆け、孟嘗君の旅路を追い、李斯の末路を見た。
伍子胥や田単、廉頗に始皇帝でさえ、他にも数え切れない英傑たちと友達になった。
「太史公曰く、云々……」ちょっと偉そうだね、と朕は言った。その時の彼の返事は、確か……。

あるとき、彼は胸の内に抱いた夢を打ち明けてくれた。
科挙を受験して史館に入りたい。羨ましい、と思った。
そして、その夢が実現しますようにと願った。
本当のことを言うと、この頃には、朕はもう歴史に対する興味を喪っていたような気がする。
闘争、党争、逃走、時代の中で翻弄されていく「本当に大切なもの、こと」。うんざりだった。
だからこそ、彼が羨ましかった。「誰の目から見ても公平で読みやすい史書を残す」。
とてつもない向上心、前向きな発想、そして野心だ。
もう本当に本当に、実現してほしい。そしていつか彼の編纂した史書の話に
花を咲かせたいと思った。


そして、今──
111白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/25(木) 05:00:11
【大明宮 紫宸殿】

明算に及第したらしいな!
おめでとう、これで道が開けたわけだ。
燕王から祝い金をもらっただろう? お前のことだ、酒代に使ったのでなければ、
全部捨ててしまったに違いない。

で、行ったのか。
前々から、妓楼がどうだのと言ってただろ。
娥皇と女英のような青衣(仙女)に出逢えるものなら、教えてもらいたいな。
世の人はそういう幻想を後宮と妓楼に抱くようだが、
後宮はそんなモノではない……ということは、妓楼もそうじゃないのかもしれないが……。

とにかく、及第した以上は官職が宛がわれるぞ。
正式な任官の儀は後ほどに、今は内定を伝えておこう。
まずは【従六品上】の【司勲員外郎 ※】あたりにしようと思っているんだ。
お前は皇族だから、蔭位という特権もあるのだが、
それでは史官を通り越して出世してしまうからな。
まずは低い官を歴任して経験を積み、史館に入るのがいいだろう。


※司勲員外郎
尚書省の六部の下には、それぞれ四司が置かれる。
吏部の下には吏部司・司封司・司勲司・考功司が置かれ、文官の任免・評定・異動などの人事を担当した。
司勲員外郎は司勲司の定員外の郎官。
112 ◆Enju.swKJU :2010/02/25(木) 05:46:26
『新唐書』の百官。漢文ですが、参考までに

http://www.angelibrary.com/oldies/xts/051.htm
http://www.angelibrary.com/oldies/xts/052.htm
113白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/02/25(木) 23:41:23

【大明宮 紫宸殿】

おれの姿を目にした陛下が、側の者を外すと玉座から飛び降りて迎えてくれた。
昔のように抱きつきたかった。抱きつこうにも玉座は遠い。陛下が歩み寄ってくれるまで待たなきゃならない。
――皇上――ご即位時、呂律が回らなくて何度も、言い直された言葉。哥哥と口を滑らせては、本当の哥哥に叱られた。
妓楼に行く予定を打ち明けていたのも陛下だけだ。
なぜか陛下にだけは話せることが多かった。隠し事をあまりしたくない、というのが正しいかもしれない。

科挙に受かったら祝い金を最も莫迦らしいことに使おうと決めていた。なんとなく。

『周髀』と『九章』だけ通れば及第する明算を好んで選んだのも、余計なことを考えずに済むからだった。
暦は史書に携わる上で必要な知識だし、ちょうど良かった。吏僚を目指すヤツらは必ず明経を選択する。
経学だの儒だの、考えても明確な答えの出ないものは後回しするに限る。
科挙で頭がイカレちまうヤツらって、考え過ぎちまった結果だとおれは思う。数と違って決まった答えがないものを
漠然と求めるのが間違ってるんじゃないのか?

何が正しくて、誰が正しいなんて本当のところ誰にもわからないことなんじゃないか?
そんなの支配者の論理であって、家畜を飼うのと同じだろう。
始皇帝が度量衡を統一したのと変わらないんじゃないか? おれが正しい。おれを欺くな。おれに従え――。
支配者が変われば変わる論理だなんて興味はない。
数は、暦は、支配者が変わっても変わることはない。
114白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/02/25(木) 23:42:31
>>111
(皇帝の問いに笑って答えず、したり顔で逆に聞き返す)

「娥皇と女英を娶るにはまず聖人になりませぬ。陛下は私にこの世の楽しみを捨てよと?」

(皇帝と共に鼻をくっつけるようにして笑い転げる。一頻り笑い終えた後に皇帝は玉顔を改め承芳に内定を告げた)

「はっ」

おれは陛下に臣下としての返答をした後、にっと笑って見せた。
陛下も、おれの笑いを真似てくれたような気がした。
司勲員外郎、史書に埋まる前の生の吏僚に触れることができる環境を用意してくれたことに感動した。
まだ、陛下がおれの夢を莫迦にせずに覚えてくれていたってことだからな。
115楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/02/26(金) 02:44:05
【姓】楊
【名】昂譚
【字】子寧
【品階】従三品官 
【官位】隴右節度使

【略歴】
 隴西の生まれ。雑胡であり突厥や鮮卑などの血を引くようだ。
 ただし混血が進み過ぎて詳細は不明。
 遊牧の民と交わりながら過ごすが、出世を目論み兵に志願。
 武将としての才覚はあったようだが、虐殺や略奪を好む為か当初出世は遅れた。
 そのためか部下には勇猛果敢な将として声望はあるも、同僚からの評価は芳しくない。
 しかし、とある件で名を上げ、また同僚達を陥れる事で今の地位を手に入れた。

※なお、義子として【姓】楊【名】国柱を出す予定。
 残りは必要に応じて…という方向で行きますよん。
116楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/02/26(金) 03:18:39
――ここは隴西。山賊や夜盗の跋扈する、中華の最果ての地。
  痩せた土地、疲弊した民、崩れた城砦。まさに今のこの国の縮図である。
  そしてこの地を治める男もまた、この荒んだ地に現れるべくして現れた男…。

【軍営の中】
伝令「伝令、伝令ッ!!」
----「賊の勢い、留まる事を知らずッ!!」
----「州刺史殿が援軍を乞うておりますッ!!」

…ほほう?
やれやれ、無駄飯喰らいが生意気に援軍要請とはのう
中央から意気揚々と参ったは良いが、滓の様な者を送りつけられても我らには迷惑

さて、貴様ら如何にする?

鎮将「大将、これは好機かもしれませんなぁ」
----「あの阿呆が賊に追い回されていると言う事はひょっとして…」

全く、貴様は流賊となると途端にやる気を見せるのう(苦笑)
まあよい、今回は牙兵ではなく貴様らに呉れてやろう
良いな、息子よ?

国柱「まあ、親父殿がそう申すなら俺は言う事はねぇさ」
----「俺たち牙兵ばかりが肥えてると、今度は外鎮の連中が働かねぇかもしれねぇしな?」
----「人を使うってのは、難しいよなぁ親父殿(苦笑)」

伝令「…援軍は?」
----「帝より任じられた刺史とその配下を見殺しにすると仰しゃ…(ドスッ)」
----「あああああああああああああああああああああ」
----「う、腕がああああああああああああああああッ!!」

鎮将「おい、てめぇ虫ケラの分際で俺様に意見しようってのか?」
----「その腕一本で勘弁してやるから、さっさと帰ってお前の主人に伝えやがれッ!!」
----「俺たちが略奪してる間に、少しでも戦って時間を稼いで全滅しろってな!!」
----「さあ、こんな所で油を売ってないでさっさと戦って来いッ!!」

はははははッ、賊を斬るより斬撃が鋭いとは!!
さあ、早く行かねばわし自ら参ると致すぞ?

…ところで、賊の拠点は探ってあるのだろうな?

鎮将「そりゃあもう、当然ですぜ大将」
----「女も財物もそりゃあたんまりと溜め込んであるって話でさぁ」
----「バカな奴らですよ、他所で持ってきた財物を俺たちに呉れるってんですからねぇ…」

(鎮将は外へ出る)

鎮将「っしゃあ!!」
----「てめぇら、賊どもが財物を隠してる城に突っ込むぞッ!!」
----「町の住人も構わねぇ、どうせ賊になるか死ぬしかねぇんだ」
----「皆殺しにして、財物と女は山分けと行こうぜッ!!」

鎮兵「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

――流賊は縄張りを持たず町を次々に襲い続けていく厄介な盗賊である。
  しかし、兵はその比ではないのだ。
117楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/02/26(金) 03:19:33
【流賊に占拠された城】
鎮将「おい、おめぇら」
----「ここにいる奴は女子供含めてみんな賊だッ!!」
----「ぶっ殺すも良し、売り飛ばすも良し、略奪するも良し!!」
----「俺たちの大ッ嫌いな州刺史さまの兵隊が、おめぇらに下さった最大のご褒美だ!!」
----「思いっきりやっちまえッ!!」

女 「ひいい、お助け下さいませ!!」
----「私はこの町の住人、皆様は私たちを守りに…」

鎮兵「うるせぇ、家のモノは頂いてくぜッ!!」
----「それからおめぇも味見したら、キッチリあの世に送ってやるから安心するんだな!!」

女 「ぎゃああああッ!!」

――略奪は三日三晩続いた。その間、昂譚は何もしない。
  刺史の兵が皆殺しになるのを待っていたのである。

【軍営の外】

…なぁ、国柱?

国柱「何だ、親父殿。」
----「まだ鎮兵どもは略奪に忙しいみたいだぜ?」

刺史の兵も珍しく奮戦しておるなぁ…
この調子で行けば、勝つかもしれんぞ?

国柱「だなぁ」
----「それもめんどくせぇが親父殿、どうするよ?」

…ふむう、帝に余計な事を吹き込まれても困るしな
貴様ら狼煙の準備だッ!!

国柱「へぇ、珍しいな親父殿」
----「あんな滓を助けるために出陣すんのか?」
----「親父殿らしくもねぇ、珍しく綺麗なやり口だ」

馬鹿者(苦笑)

撤退じゃ、撤退
『賊の勢い御し難く、刺史戦死の為撤退』と京師に申し送って置けば問題はない
賊の城を落として「敵の首級」を万余上げておるのだから充分じゃ

国柱「はぁ?」
----「んな事言ったって、賊はあの通り健在…」
----「なるほどなぁ」
----「町の奴らの首も含めて敵だもんな」
----「相手は兵糧も財物も取られて、他所に行くしかねぇ」
----「俺たちは兵が肥えて、邪魔な馬鹿は死んじまう」
----「考えたなぁ、親父殿」

ハハハハハッ!!
この阿呆が、その程度の事で感心するでないわ
では、我らは撤退して刺史殿のご武運を祈ると致そうか!!

さらばじゃッ!!

――その後数刻も経たず、刺史の軍は全滅した。
   本拠を落とされて怒り狂った賊は降伏も許さず、絶望した刺史は抜刀して乱軍に消えたという。
118白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/26(金) 04:30:31
>>115-117

【大明宮 太液池】

─しずかな夜に、眠りかけるのを
そっと揺り起こす 月の指先よ。

ことり、胸のうちで音がして。
どうしてだろう、こんなに不安が掻き立てられるのは。
夜着のまま逍遥する、太液池の辺。恐ろしいほどの静けさ。夜鳥の声も、葉擦れの音さえしない。
澄んで張り詰めた其処を照らすのは、ただ白銀の月明り。

─呼んでいる。
キラキラした音の粒が踊っているような、淡く柔らかく、繊細な白銀の響き。
どうして、そんなに不安を掻き立てるの?

足早に「其処」へ近づくにつれて、ざわざわとした緊張に鼓動が高まる。
そうして、見てしまった。

傷付き、血を流しながらうずくまっている白毛の虎。
誇り高き毛並みを真紅に染め、双眸に苦痛を宿している。
白虎。西方を司る、四神の一柱。
それが、手負いとなって朕の前に現れた……
嫌な予感がする。

かれに近づき、手を翳そうとする──その途端、かれは掻き消えてしまった。
あとには、ただ太液池が横たわっている。
夜鳥の声、風の声、葉擦れの音、全てがいつも通り。
それなのに、どうしてだろう。

─こんなに不安が掻き立てられるのは。
119白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/02/26(金) 05:23:46
>>102>>105
(これより日を置いて、京師に一つの報せが齎されることになる。
 隴西郡で、大規模な擾乱が発生。
 州刺史の姚南、賊の勢いに抗しきれず戦死。
 隴右節度使の楊昂譚、賊の拠点を制圧し衆数万を征討するも、戦局芳しくなく撤退。

 この凶報は、呉帝国二六○年の泰平を揺るがすものとなろう。
 一反乱で、州刺史が戦死するようなことは、統一以来なかったのだ。
 まだ、その報せは届いていない。
 京師は普段と変わらず、安穏とした面持ちを見せている。
 しかし、彼はすでに、ただならぬ不穏の影を感じ取っていた。)


左中書、焦門下、朝参の後に卿ら両人を呼び寄せたのには、わけがあるんだ。
昨晩、太液池の辺に、傷を負った白虎が顕れた。
確かに見たのだ。三更の頃、突然目が覚めた。
太液池へ出よう──なぜそう思ったのかはわからない、だけれど行ってみると、
ただならぬ雰囲気がして、それで──白虎が──
胸騒ぎがして、ならないんだ。

太史令や太卜令ではなく、真っ先に卿ら宰相を呼んだのは、
もしも何かが起こったとしたら、誰よりも力を貸してもらわなければならないから……。
この胸騒ぎが、杞憂ならいいのだが!
もしも本当に悪いことが起きてしまったら、すぐに伝えてほしい。


──天帝よ、四海にいまします神々よ。
どうかお見捨て給うな。矮小なる人の子を、お見捨て給うな。
120 ◆YI1yrpC6Lo :2010/02/27(土) 23:12:11
(明朝から3/25まで、海外に渡航します。
 おそらくこれまで通り参加できると思いますが、ネット環境によっては
 参加できなくなってしまうかもしれません。
 その場合、皇帝は病で臥せっているということにしてください。
 書き込めるようなら、3月頭あたりに生存報告がてらネタを落とします。
 ご迷惑をおかけいたします)
121 ◆Enju.swKJU :2010/02/27(土) 23:13:18
トリップを間違えました。重ね重ねすみません。
122楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/02/28(日) 04:55:52
――ここは隴西、楊昂譚の根拠地である。
  帰還した昂譚は次の手を打つべく、義子の楊国柱を邸に呼び出した。

国柱「親父殿、只今参った」
----「ちょっとばかし牙兵どもの錬兵が長引いちまってな」
----「おかげでこのザマだ、もう少し小奇麗な格好で来るべきだったかなぁ(苦笑)」

義父の呼び出しに遅れて参るとは肝の据わった男とは申すまいよ、国柱
全く、貴様の態度の悪さには呆れるわい…
まあ、それも愛嬌と申す物やもしれんがな(苦笑)

して、首尾はどうなっておる?

国柱「ああ、例の奴らの事か」
----「キッチリと渡りは付けてあるから、安心して会ってくれ」
----「そういや、親父殿は突厥の出だっけか?」

ああ、その話か
貴様には教えておらなんだな…
聞きたいか?

国柱「いやぁ、長そうだし止めとくぜ」
----「別に、親父殿がどんな男であろうと俺にとって親父殿であることには変わらねぇさ」

――昂譚は雑胡、すなわち漢人と胡人の混血である。
  漢人として牙兵に志願し、その勇武を愛でられて義子に迎えられた国柱には
  そのような事はどうでも良かった。義父は強ければそれで問題ない。
  そうじゃなけりゃ、俺が殺してこの土地ごと頂いてしまえばいいだけさ…。

ふふん、寝首を掻こうなどとは思わぬことだな
わしの寝首を掻いたところで、貴様に兵が従うかはまた別の問題じゃ(苦笑)
まあ、よい
とりあえず彼の者を連れて参れ

国柱「あ、ああ」
123楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/02/28(日) 04:56:37
――国柱は一人の男を連れてきた。
  碧眼紫髯で魁偉なその容貌はまさに剽悍さで鳴らした突厥のそれである。

おお木汗(ムカン)、久しいのう!!
ついに沙陀の族長に納まったか、流石だな

木汗「子寧、久シブリ、会ウ」
----「元気デ何ヨリ」
----「沙陀、今オ前ノチカラ必要」

全く、少しぐらいは愛想よくせんか木汗…
いきなり頼み事から始めるとはわしも驚く厚かましさよ(苦笑)

木汗「ソンナ事、ドウデモイイ」
----「沙陀、吐蕃ト戦ウ思ッテルケド、兵士足リナイ」
----「吐蕃、驕ッテル」
----「チュルギシュ(突騎施)モ、チュルク(鉄勒)モ吐蕃恐レテル」
----「ダカラ、一緒戦ウ言ッテモ、誰モ戦ウ言ワナイ」

やれやれ、それでわしに突騎施と鉄勒を焚き付けて吐蕃と戦わせろと申すか
まあ、お前とわしの仲ならやぶさかではないが、一仕事して貰うのが条件じゃ

木汗「何ダ?」
----「ソレシタラ、必ズ戦ウカ?」

約束しよう、必ず突騎施も鉄勒もお前の指揮下で戦わせてやる

――そう言うと、昂譚は流賊の討伐を木汗に頼んだ。
  傍に控えていた国柱は理解した。ははん、こいつらがいるから撤退したのか。
  そりゃ、こいつらの方が俺たちがやるより簡単に賊なんぞ始末してくれるだろう。
  親父殿、案外危ない所に人脈があるんだな。
124焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/03/01(月) 17:43:16
>>119
(太液池に手負いの白虎が現れたという。)
(しかも、皇帝が手を触れようとした瞬間に掻き消えたと。)
(そのような事が本当に起こるのだろうか。)
(「志怪小説じゃあるまいし……」と心に浮かんだ感想を焦景栄は笑い飛ばす事ができなかった。皇帝の顔が真剣そのものだったからである。)
(白虎は西方を護る神である。その神が怪我を負って一国の皇帝の前に現れた。)
(これは、呉の西方での異変を意味するものと考える方が自然なのではなかろうか。)
(焦景栄は皇帝の様に何かを信仰するという事がなかった。)
(祭祀だの天だの神だのそういう目に見えない物を否定しない代わりに、信仰もしていなかった。)

(だが、一方で睿宗や臣僚に頼まれれば占筮もした。焦景栄の占筮は、よく当たると評判だった。)
(占筮と琴を奏でるのは似ている。余計な雑念は邪魔になる。)
(思えば亡き皇后に似たのか、皇帝は勘の鋭い所があった。生前の皇后は挙人を一目見ただけで、その挙人の人物と晩年まで予見した事が幾たびかあった。)
(偶然で片付けるにはあまりにも多すぎた。)
(「他言は、無用です。いいですね。気味が悪いと思われるだけだから。」そう焦景栄に釘を刺す皇后の表情は寂しげだった。)
(では、私に伝える事で私から気味悪く思われるという事は……「お考えには」と焦景栄が聞く前に皇后は小さな歯を覗かせて云った。)
(あなたは特別だから。焦景栄。)
(たった一度吐いた睿宗への嘘。その一度の嘘で睿宗の渡りと世継ぎを得た皇后。)
(郭貴妃への一度きりの裏切りで皇后からの揺るぎない信頼を得た焦景栄。そして今、皇后の御子である皇帝が国を治めている。)
(たった一度の哀れみをずっと感謝してくれる皇后がいたように、毎度の祭祀を酌み取り皇帝の為に何かをしようとする神もいるのではなかろうか。)
(太液池の白虎とは、そうした神の化身なのではなかろうか。)


(皇帝の言葉の後、暫し黙然としてから。焦景栄、静かに。)

手負いの白虎が?
勿論でございます。異変あれば直ぐさま陛下にお伝え致しましょう。

(余計な言葉は無用だった。)
(簡潔な言葉のみがこの場に於いては最良の安穏を皇帝に与えるものだと焦景栄は確信していたのである。)
125楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/04(木) 02:27:38
――一通りの話が済んだと見え、木汗は立ち去って行った。
  すると、昂譚は賊の虜囚を連れて来る様に命じた。

鎮将「大将、連れて来やしたぜ?」

賊A「ひぃッ!!」
賊B「お、お助けくだせぇッ!!」

国柱「さて、ここは俺様の刀の切れ味を…」

待て待て、殺すのであればその場で殺して居ったわ
短慮は慎め!!

国柱「あ、ああ」
----「こんな滓ども、どうするって言うんだ親父殿」
----「無駄に飯を食わしても仕方ないだろ」

まあ、待て…
さあ、縄を解いてやれ

賊A「!?」
賊B「逃がしてくれるんですかい?」

馬鹿者、その様に世の中は甘くないぞ?

賊A「ちくしょう、こうなったらてめぇも…!!」

こら、取り乱すでない
落ち着け、落ち着かんか…

して、貴様らには賊の頭目に伝えてほしいことがあるのじゃ
貴様らの刺史との戦を見て、わしは貴様らの頭目の戦上手ぶりに非常に感じ入った
そこでだな
「召し上げた財と共に城と女も与える故、わしの元で働く気はないか?」と貴様らの頭目に伝えてくれんか

賊A「へ、へぇ…」
賊B「確かにお頭はカネさえ手に入れば問題ねぇと思いますぜ」

――賊は、不思議な顔をして出て行った。不思議なのは国柱も鎮将も同じである

国柱「なぁ、さっきは木汗に賊をぶっ殺して来いと言い」
----「今度は一緒に働かないかと言ったわけだ」
----「親父殿、何考えてるんだ?」

鎮将「確かにその通りですなぁ、大将」
----「幾ら何でも二枚舌はよくない」
----「このままだと両方から襲われますぜ?」

そなたらは駆け引きと言う物が判っておらんのう…
わしがみすみす木汗に箔を付けさせてやる為だけに戦を仕掛けると思ったか?
賊の頭目を最初から抱き込んで、半分ぐらいを木汗に殺させれば十分木汗も箔が付く
兵隊も増え、戦上手な男を抱え込めるなら万々歳と申すものよ

国柱「でもよぉ、そんな奴信用でき…」

――「できない」と言いかけて国柱は、はたと気づいた。
  義父が普段見せないような目つきで自分を見つめている事を。
  そうか、親父殿は俺が何かするんじゃないかと思っているのか。
  そりゃそうだ、実際そう思っているんだからな…。
  でも、まだその時じゃねぇから安心するんだな。
126楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/04(木) 02:51:29
――2人の賊は、頭目の元に帰った。
  自分に待ち受ける運命も知らずに…。

賊A「へへぇ、何とか帰ってこれやした」
賊B「なんか節度使の野郎が軍門に下れば厚遇してやるとか何とか…」

郭勝「そうか」
----「ご苦労だったなぁ?(ドスッ)」

賊A「…え、ええ?」
----「な…んで…お…れ、ささ、ささ…れて(バタッ)」
賊B「ま、まさかお頭…」

郭勝「クククッ、冥土の土産に説明してやろう…」
----「俺はなぁ、節度使の間諜なんだよ」
----「こんな格好だからわからねぇかもしれねぇが、俺はこの数年」
----「この賊を乗っ取って帰順するために着々と準備をしてたってわけだ」
----「まあいい、お前の役目もこれで終わりだ」
----「アハハハハハハハッ!!」

賊B「い、命だけは…」

郭勝「うるせぇ、死ねッ!!(ザクッ)」

賊B「ギャッ!!」

――一仕事終えると、郭勝は賊の前に出た。
  無論、精鋭の数万は除いた、食うや食わずやの飢民同然の賊である。
  それでも数万程度、すなわち賊の半分程度はその場に居合わせていたのだが。

郭勝「よしいいか、おめぇたち!!」
----「節度使がついに俺たちの武威に恐れをなして」
----「俺たちを兵として養ってくれるんだそうだ!!」
----「これで宿無し生活ともおさらばだ!!」
----「節度使の牙兵になりゃあ、略奪もし放題、好き放題暴れて暮らせるぞッ!!」

一同「オオオオオオオオオオッ!!」

郭勝「俺は、これから節度使に会ってくる」
----「次に俺に会うときは、お前らは官兵になり、俺はその大将だッ!!」

――バカな奴らだな。これからお前らは突厥の餌になるんだぞ?
  そんなに間抜けな顔をしてるからこういう目に遭うんだ。
  まあ、生まれた時期が悪かったな。もう会うこともないだろう。
127楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/04(木) 03:28:10
――同じ頃、木汗率いる沙陀族は夜陰に乗じて賊の野営地の近くに忍び込んでいた。

郭躍「ムカンさんよぉ」
----「さっきから俺を疑いの目で見るの、やめてくんねぇかなぁ?」
----「俺は節度使の使いだって何回も言ってるでしょ?」

木汗「オマエ、何トナク信用デキナイ」
----「第一、親父ガ賊ノ頭目ナノニ、ココマデ案内スル、オカシイ!!」

郭躍「だーかーらー!!」
----「俺は立派な漢人で、節度使の指揮下の役人なのッ!!」
----「父上もあんな喋りだし、腹黒い空気出しまくりだからアレかもしれないけど」
----「一応俺たち、昂譚様の指示でアンタの案内してるの、わかる?」

木汗「漢人、ヤッパリ嘘ツキ」
----「キタイノ奴ラも嘘ツキダケド、漢人ホド酷クナイ」
----「マア、イイ」
----「トリアエズ、コイツラ、殺ス、先!!」

――木汗は手短に号令を掛けた。
  闇夜に乗じて襲い掛かる剽悍な騎兵の一団は、戦慣れしていない飢民の群れを狼狽させる。
  数万を数えた賊の一団は、数刻も経たずに全滅した。木汗は得意気に郭躍を見る。

郭躍「相変わらずすっげぇ威力だな、騎兵ってのはよぉ」

木汗「コイツラ、多分、戦タコトナイ」
----「ダカラ、コンナニ弱カッタ」

郭躍「へぇー」
----「まあ、とりあえずですね」
----「ご主人様の元に戻って戦勝報告でもしましょうかね」
----「ってかこれでウチの大将は満足だろうから、吐蕃でも何でも攻めちゃってくださいな」

木汗「馬鹿!!」
----「オマエモ、約束守ル!!」
----「一緒二、吐蕃、攻メロ!!」

郭躍「勘弁してくれよぉ…」
128楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/04(木) 03:31:16
――2人が帰陣した頃には、郭勝も陣に戻っていた。
  久しぶりの帰還である。

郭勝「これはわが君、お久しゅうございますな」

うむ、うむ
貴様も健勝で何よりだ
邪魔な刺史の始末、賊の帰順の手並みの鮮やかさ
貴様の奇策にはわしも驚くばかりじゃ

郭勝「ククッ…」
----「大した事では御座いませんよ」
----「むしろ、賊として振舞う事の方が、策そのものより骨が折れましたな」

郭躍「おお、父上かぁ!!」
----「しっかしあの演技は迫真の演技って奴だったなぁマジで!!」

郭勝「殿の御前ですよ?」
----「控えなさいッ!!」

郭躍「へいへい、父上の仰る通りに致しますよっと」

郭勝「して、これからは帝に対して戦勝の報告を行わねばなりませんな」
----「しかし、賊の首が必要故…」

――一同は息を呑んだ。まさか、この男…?

郭勝「…ククッ」
----「偽首も用意して御座いますよ」

なんだ、驚かせるでないわ(苦笑)
貴様が自刎するかとでも思ったではないか…

では、とりあえず戦勝の報告だけは朝廷に送っておこう

(※朝廷関係者の方、戦勝報告を見たら呼び出すなり何なりしてくださいw)
129白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/04(木) 17:18:23
(*kochira no kankyou de nihongo ga utenai node,
tokoro dokoro kopipe shite narubeku yomiyasui youni suruyo)

>>124
ありがとう、景栄。
その言葉で安心したよ。
──身のうちに百怪が巣食い、心が乱されてしまったとしても。
月のCらかな景のもと、星の祭りの賑わいのもと、
庭はしん、と、どこまでも静かだ。
korede, youyaku nemuru kotoga dekiru...

──kyuutei ha haruka tooku.
tohou monai tabi wo shita youni omou...
hada wo kasumeru, nodo wo tooru kaze ha kawaki,
batei no hibiki ga tooku ni kikoeru.

"GEISHOU UI" no kyoku.
katsute utage no seki de kiita ano kyoku no,
nanto kanjou no tobishii koto de arou.
chijou no meidou wo, tamashii no shinkan wo, nanihitosu hyougen
dekite inai deha naika.

koushite miru, hito no itonami.
Chuuka ga Gaihan toshite ishitsushi suru noga, bakarashiku omoeru.
sekai ha hiroku, shikashi hito no ikizama ha,
kanjin de arouto kojin de arouto kawaranai noda.

soshite 天 ha sono subete wo ooitsukusu hodo tohoumonaku hiroi──
天 no ishi ga donoyou ni hataraku noka wakaranu.
shikashi, hito ga sore wo doukou suru noha muri na koto.
subete omakase shiyou.
warui koto niha naranai darou.
130宦官:2010/03/04(木) 22:48:50
陛下おいたわしや…
熱でうなされ何やらうわごとを…
しかし我らには聞き取れぬ
景栄様どうか陛下をお守りくださいませ!
131焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/03/05(金) 00:39:31
>>130
陛下の熱がまだ下がらぬと?
尚薬局はなにをしているのか……。

(大呉全土の優れた医事頭脳を結集させた尚薬局。その尚薬局の手にかかっても、皇帝の熱は下がる気配は無かった。)
(流行病、熱病による皇帝のあらゆる能力の損失、死、やがて来る後継者を巡る動乱――。)
(長い事宮中に仕えてきた焦景栄の頭にも不吉な言葉が過ぎった。)
(焦景栄でさえ不安なのだ。下の者は為す術も無いだろう。)
(「そんな事はさせはせぬ。」心の中で焦景栄は強く頭を振った。)
(「こんな時こそ、自分がしっかりせねば。」焦景栄は宮中の宦官や女官を鼓舞するように目の前の宦官に伝えた。)

いや、尚薬局だけに任せてはおけぬ。
広陵は水路も陸路も発達した大呉経済の要塞、大商人の中にはなにか尚薬局も把握していない処方があるやもしれぬ。
まず、熱病は病の原因をさぐる事により処方も違ってくる。
手分けして大商人、古老、様々な人々に国内外、民間療法問わず陛下の解熱に適う処方を探し出しなさい。

(さらに声を張り上げ、右手を振りかざし。)
他の者は宗廟に集まり、大呉の英霊達に祈りを捧げましょう。

(神仏に頼るというのは好ましくない。)
(だが、相手が亡き睿宗という事であれば別だった。それは中書侍郎の左匡輝とて、いや、大呉の臣僚全ての者にとって同じだろう。)
132 ◆OBNJddam46oq :2010/03/05(金) 08:43:26
>>128
(これから戦勝報告のネタが投下されてからという事ですよね?。)
(承知しました。)
133白牡丹:2010/03/05(金) 18:28:32
──突如、目の前を白い光が走り、暗転する。
闇の中を深く深く、どこまでも沈んでいく。その中で見つけたものは何?

滾々と水が流れている音。
ここはかの岸か、だとすれば何と静かなのだろう。


──白牡丹

聞こえる。

──わしがわかるかね、白牡丹


……わかりますとも。
忘れようにも忘れられない。

そのお声が私を焦がすのです──睿宗陛下。
134葉若會@侍御医 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/03/05(金) 22:46:29
(鶴が官衣を着ているような老人が、白髪交じりの眉の下から焦景栄を見上げ)


>>131
はっ、仰せのままに。

(数日後、尚薬局への帰途にて)

脈の乱れもなく、発汗も見受けられない……はて、陛下の病はどうしたものじゃろう。
広陵の商人には手を回したものの、これという処方も見つからぬ。
下手をすれば儂の首が飛ぶ。首が飛んで陛下の熱が下がるなら安いものだが……
正直首も惜しい。こんな細首、鶏の首をひねるみたいなものだろうがなぁ……。

(皺だらけの首をさすりながら)

おや、焦景栄殿どうなされた?
酷くお疲れのようだが……。

(焦景栄より一つの木箱を受け取り)

これを煎じて陛下に?

(中の布袋へ人差し指を差し入れ、ぺろりと舐める)
135葉若會@侍御医 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/03/05(金) 22:47:39
見たところ桂皮が主成分のようだが、高熱を出されている陛下に熱を加えてどうなさる。
桂皮以外が重要だと? 陛下は二人といらっしゃらない尊い御方。貴公や儂の細首を千も万も重ねても過失は償えないものだとおわかりか。

(佇立し、焦景栄を左上に捉えながら)

……貴公のお覚悟はたしかのようじゃな。煎じて儂が毒味した後、献上する故、暫しお待ち下され。

〜臣僚たちの祈りが届いたのだろうか。睿宗が護ってくれたのだろうか。
はたまた皇帝が日頃祈りを捧げている神々の救いだろうか。眠り続けること十四日、皇帝は目覚め快癒したのであった〜

それにしても、焦景栄殿の靴は親指が抜け衣は埃だらけになりまるで長旅をしてきたかのよう……
そういえば劉瑶殿に昔伺ったことがある。焦景栄殿のご実家は潁川の豪商だったと。
豪商の子息が宦官になるものかと当時は思ったものだが……あの新薬、焦景栄殿がご実家に手を回されたのか、
『人脈』で入手されたものか。近頃宦官にも胡人が増えたからのぉ。
136葉若會@侍御医 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/03/05(金) 22:56:53
【姓】葉
【名】泰
【字】若會
【身分】侍御医
【品階】従六品上

官吏としての定年間近のため、あらゆる国事に関心を持たず
日がな一日宦官相手に囲碁をしたり茶を飲むのが趣味の医者。
職務は淡々とこなす。
137 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/03/05(金) 23:01:05
>>120
で皇帝が参加できない場合は病ということにとありましたが、
>>129でネタを落して参加されているので、病は快癒したというネタを落してみました。

参加者のみなさん、お気を悪くされたら申し訳ありません。
138宦官:2010/03/05(金) 23:41:04
皇帝陛下万歳!
139白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/05(金) 23:55:16
藜の杖をつき、羽毛で織られた長衣を纏って、睿宗は顕れた。
ゆったりとした足取り、威厳を湛えた面持ち、天を支えて聳える巨木そのものだ。

──ここはこの岸とかの岸の境界じゃ。
時を超越して、多くを眺望することができる。……来なさい。

後について、闇の中を進む。
そこにぼんやりと浮かぶ水鏡。

──わしがこのように致せば、近い未来を望めるのじゃ。

そこに映ったのは、燃え盛る広陵。
炎に包まれた、宮庭の四阿に桑の木。

涙が頬を伝う。

──今や。

と睿宗は云った。

──この虚像は真のものになろうとしている。

深く刻まれたしわの奥で、両眼が厳しく光った。

──大呉の社稷を斯く導くのは、お前じゃ!


>>137
hontou ni arigatou gozaimasu.
dou heiyu shite, hukki shiyouka mayotteita kara...
korekara heiyu made no neta wo kakitaito omoimasu.
140白牡丹:2010/03/07(日) 05:22:38
睿宗が指し示す水鏡の内で、
炎は一層激しく爆ぜ、その熱気迄伝わって来る様だ。
彼の視線は白牡丹の目を射貫き、
怒りを伝えている。

睿宗の怒りが昂ぶれば昂ぶる程、水鏡に炎も
その激しさを増している……。

気付いてしまった。
自然と心の奥底で、 "コトリ" と音が鳴った気がする。
不思議に心は落ち着いている。

──父上。

睿宗の視線を正面から受け、静かに返す。

この鏡に映った物は、父上の懸念が具現化したものの
様に思えます。

──何を馬鹿な。

睿宗は言う。


父上、よくよくご覧になって下さい。
私の見る、この鏡に映った物は……


──鏡に映った虚像が一変する。
星空の下、ぽつぽつと浮かぶ灯。
浮かび上がる全ての物の輝き。
それを見下ろす星の瞬き。

……父上。
もしかしたら、社稷に父上の仰る危機が待ち受けているのかもしれませぬ。
しかし、だとしても、私はそれに怯え、絶望はいたしとうございませぬ。
天の意思は人の意志で変えられる物では無い。
しかし、それ迄は如何様にも変えられるのです。
強く願った事は本当になるのだから……
それでは、そろそろ戻らなければ。


──浮かび引き戻される感覚。
三月の初め、麗らかな朝。目覚めた。
141白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/09(火) 01:34:10
宗廟には香の香に混じって饐えた匂いが流れていた。
香が人間の体臭を消しているのか、人間の体臭を香が消そうとしているのか、一瞬区別がつかない。そんな気持ちの悪さ。
寝不足と疲れが宗廟に立つ者の体力を奪い、顔には強い疲労の色が刻み込まれている。

冷たく固い床に膝が悲鳴を上げそうになる。
公子育ち。指摘されることを恐れ、聞くことを忌み嫌った言葉がおれの膝に重くのし掛かる。
月足らずで生まれ育ったおれの貧相な躰でも、蝶や鳥のように軽くはなく、やはり人間なのだと思い知らされる。

陛下の平癒を願い、おれたち吏僚、皇族、後宮全ての宮中に携わる京師の人間は宗廟の英霊に祈りを捧げた。
その間表立って風呂に入ることもなく、食事も肉類を絶ち、香を焚きひたすら祈りを捧げる。
数珠を何度回したかわからない。兄貴は陛下のお側についていて、父ちゃんと母ちゃんもおれと一緒に宗廟で気持ちの悪い空気を吸っていた。
おれは場違いなことに昔の思い出を呆けた頭で思い出していた。現実逃避というヤツなのかもしれない。
志半ばで倒れる英雄がかっこいいのは物語のなかだけで十分だ。
142白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/09(火) 01:37:01
太史公曰く、云々……「ちょっと偉そうだね、」と陛下は言った。
おれに読み聞かせ、感想を口にした後ではにかんだ笑顔を見せた。
その後おれが言った言葉は……。午後の陽の光が室内を照らし、埃がキラキラと星空のように瞬きを見せた。
おれは捕まえればキラキラが永遠に自分の物になる気がして、追いかけた。
兄貴は「不衛生な」と顔を顰め、陛下は兄貴を宥め、如月様はただ微笑んでいた。

香に淀んだ空気の中では埃が輝いて見えることもない。
扉が開かれ、清浄な空気が宗廟に流れ込んだ。
扉から覗き込むのは緋色の衣。焦景栄なのだろう。焦景栄の声が宗廟に高らかに響いたかと思うと、左匡輝ら吏僚の安堵の声が口々に聞こえてきた。
ああ、祈りは届いたんだなと思い、立ち上がろうとしたら急に鳩尾のあたりが重くなり、吐き気が込み上げ、頭が床に吸い込まれるように視界が真っ暗になった。
男の癖に貧血だなんて、女遊びがすぎるとか兄貴に叱られるなあと考えながらおれの意識は遠のいた。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 15:49:18
クマッタとアンジェがメールで打ち合わせをして立てたスレってここですか?
144名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 16:31:41
白承芳 ◆HI17hraKmDw5=クマッタ
145名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 16:54:56
他の奴には怨みはないが馴れ合い厨クマッタは百害あって一利なし
死んでもらう。
146関鉄 ◆MSMCvFd7UPNh :2010/03/12(金) 03:46:14
>>141-142
おーい公子さんよォ!
せっかく陛下がお元気になられたのに、アンタが倒れてちゃしょうがねぇだろ。
顔をぐしゃぐしゃにしながら陛下のとこに駆け寄るのがアンタの仕事だろ?
おーい、起きろ起きろ。
(ペシペシ)

駄目だこりゃ…。
おい誰かァ、早く典医を呼んでこい!
しかし相変わらず顔色が悪いなァ…。
白いのは姓だけにしとけっての。

…昔から弱い子だったからなァ、承ちゃんは。
(周りにいる官僚たちに無礼だと窘められるが気にしない。)
147関鉄 ◆MSMCvFd7UPNh :2010/03/12(金) 03:47:42
【姓】関
【名】鉄
【字】慶雲
【年齢】23歳
【出身】勃海
【身分】科挙を合格して2、3年の青年将校
(※品階や官職等はわからないので白牡丹さんが決めてください。)
【略歴】
関姓であることを根拠に三国志の英雄・関羽の子孫であると吹聴しているが実際にはただ同姓なだけ。
関羽に憧れ重さ70斤の青龍偃月刀を振るう。(本当は関羽同様82斤の物を使いたかったが彼には重すぎた)
自惚れやすく、お調子者の猪武者ではあるがその武勇は冀州一と評判。
科挙合格後1年ほど燕王付の武官として勤務していたので白承芳とは顔なじみである。
当時は年下の白承芳にいいように遊ばれていた。
148あぼーん:あぼーん
あぼーん
149白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/15(月) 18:39:32
取り付けたばかりの門扉のように両瞼が開いた。
頭は気持ちが良いほどに冴えている。今答案を書いたなら、進士にだってなれるかもしれない。
やっぱり布団はいいよな。全てを受け入れてくれる気がする。
目覚めたばかりの鼻が嗅ぎ取る独特の匂い……この匂いは、ヤツの匂いだ。
関慶雲、調子がいいところがあるが憎めないヤツだ。歳は兄貴より少し上で、二十三だと思う。
父ちゃんや母ちゃんはふざけて慶雲を関公と呼ぶ。

関公同様八十二斤とはいかないが、青龍偃月刀を手にした慶雲を見たら誰もが関公が冥府から蘇ったと思うはずだ。
青龍偃月刀は強い日光を照り返し、慶雲が振う度に風を斬って唸りをあげる。
おれが妙齢の小姐だったら、慶雲と「一度でいいから枕を共にしてみたい」なんて思うかもしれない。
そのくらい青龍偃月刀を操る慶雲はかっこいい。

それにしても、どうして若い武人って汗臭いんだろうな。これさえなきゃ、もっと慶雲の事好きになれるんだけどな。
どうも人間の体臭は苦手だ。廉破や関羽も若い頃は慶雲みたいに汗臭かったんだろうかなんて、おれは慶雲の顔を眺めながら考えた。

150白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/15(月) 18:40:46
>>147
目覚めてすぐに目にするのが汗臭い慶雲だとはなぁ。
どうせなら薛才人みたいな才色兼備の美女が良かった。
そのまま放っておいてくれれば、薛才人が優しく抱き上げてくれたかもしれないのに。
薛才人、いいよなぁ。楚々として可憐で詩才もあるのに控えめで……ああいう大人の女性っていいよなぁ。
おれの母ちゃんとは正反対の魅力があるんだよな。
なんで薛才人がおれを見つけるまで放ってくれなかったんだよ?

(関慶雲にふくれ面を見せてから、大笑して関慶雲の腹に軽く拳を入れる)

お返しだ。
おれが倒れたとき両頬をペシペシやったな?

(寝てる間の事を言い当てた白承芳に関慶雲が驚愕の表情を見せたのを見届け)

なんだ。図星か。昔からおれが倒れる度に担ぎこんでくれただろう?
151 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/15(月) 18:44:11
廉頗の間違いでした
申し訳ない
訂正します
152あぼーん:あぼーん
あぼーん
153婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/03/16(火) 23:06:50
>>118
(手負いの白虎が太液池の方角からのそりのそりと歩いて来たかと思うと、それは急に人の姿を呈した。
妖艶な、しかし毒気を含んだかのような美貌の女。線は華奢だが薄絹の下凝脂は豊かな曲線を描いていた。
女の紅唇がかすかに開き、婉花は低頭した)

花姑様……。

花姑「女官姿もなかなか似合うじゃない……婉花」

(花姑と呼ばれた女は紅の端に笑みを漏らし、ゆっくりと腰を落し形の良い爪が婉花の無防備な耳に伸びた。
冷たく、白く、長い花姑の指に婉花は咄嗟に後ずさりをした。花姑は笑みを保ったまま、回廊の欄干にもたれ掛かった)

花姑「『どうして?』そう聞きたいのね?」

(答えるべき言葉を発するはずの声が出ない。婉花の耳には花姑の氷のような手の感触が残っていた)

花姑「浮世離れしてるけれど、優しくて詩にも造詣が深いんですってね? 白牡丹……すごく素敵ね。
名前も私たちの仲間のようね。春蘭の精としてではなく、お前の中の女人として『お勤め』を告げる宦官の声が
待ち遠しくなったりするんじゃない?」


154婉花 ◆zGpQhPvsLM :2010/03/16(火) 23:07:54
(皇帝の話題になり、婉花の躰が硬直する)

花姑「くすっ……お前は昔から素直で可愛いわね。だけど、これだけは覚えておいて…」

(花姑の白蝋のような指が婉花の首筋を這う)

花姑「私はお前を手に掛けたくないの。だから人間とは交わらないでね。お前にはいずれ同胞の、いい夫を見つけてあげるから」

(やっと首を縦に振る事ができた婉花を見下ろす花姑の美貌。銀細工のように繊細だが、薄皮一枚距てた中には熱した膠が
煮えたぎってそうな双眸。花姑は急に慈悲を貌に浮かべ、微笑んだ)

花姑「良い子ね」

(どのくらいの時が経っただろう。婉花が再び顔を上げると、そこには花姑の姿は無かった)

西方の異変をわざわざ手負いの白虎に姿を変えて陛下にお知らせされたなんて……。花姑様が?
なぜ? 
155名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/17(水) 10:18:50
クマッタいい加減にしろ
なりきりを荒らすな
156名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/17(水) 10:19:43
09年11月26日朝日新聞
「ドイツ検察庁の家宅捜索で「中共」工作員4人の内2人が独国籍保有、 ミュンヘン「中共」領事館の指令で亡命ウイグル人を監視していた」


むしろ、帰化条件は厳しくしないと国家の土台は「シロアリ」の様に蚕食されます。外人参政権付与なんて尚更危険です。
「張景子」が良い例です。本人には間諜工作員の自覚が無くても本国からいつの間にか間諜工作員に仕立てられている例は幾らでも在ります。
157あぼーん:あぼーん
あぼーん
158あぼーん:あぼーん
あぼーん
159あぼーん:あぼーん
あぼーん
160あぼーん:あぼーん
あぼーん
161名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/17(水) 14:32:21
クマッタは表向きアンジェに協力する振りをして名無しで荒らすクズ
162名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/17(水) 16:25:51
クマッタさん、なぜこのスレを荒らすんですか?
このスレはみんなでなりきりを楽しむスレなのに…
いくらなりきりアンチだからって荒らしは良くないですよ!
163名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/17(水) 20:15:50
クマッタ蛆虫
164名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/18(木) 12:22:33
ひょーりみ
アンジェ
クマッタ
アダルト
ゼロセンチ
陳Q
雪碧
神ツコツ

はい、八大馴れ合いコテ
165あぼーん:あぼーん
あぼーん
166あぼーん:あぼーん
あぼーん
167あぼーん:あぼーん
あぼーん
168名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/21(日) 10:11:02
>>167
15点
169あぼーん:あぼーん
あぼーん
170あぼーん:あぼーん
あぼーん
171名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/22(月) 07:33:14
クマッタ死ね
172名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/22(月) 13:04:32
ねずっちです!
173あぼーん:あぼーん
あぼーん
174ねずっち ◆cp57wJOBQc :2010/03/23(火) 17:52:12
ねずっちです!!
175あぼーん:あぼーん
あぼーん
176あぼーん:あぼーん
あぼーん
177白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/24(水) 21:13:16
焦景栄、悪かったね……見れば、百官が誰も彼もげっそりと項垂れて、今にも倒れそうな有様だった。
(少し俯き、吐息と共にぽつり、こぼす)何度でも頭を下げて、謝りたいのが本心なのだ――ただ。
皆が、今朕に、と言うより皇帝に求めているのは、そのような姿ではあるまいね?
何となく皆の面持ちの端々から見て取れるよ。
どこかに不安を抱えて、それに囚われて動けなくなってしまわぬように、
無理に己に鞭を打って、走り続けているようだ。

あの手負いの白虎を見た時に、朕も非常な不安に駆られたものだ。
今まで当たり前のように目の前に広がっていた世界が崩れ去ってしまうような。
心地よい居場所をある日突然奪い去られてしまうような。
……もしかしたら、知らずにいれば、気付かずにいればずっと楽だったのかもしれないね。
だけれども、気付いてしまった。
もう気付く前と同じではいられない。
あの白虎は、試練なのだと思うことにしよう。
《己の不安と正面から向き合い、戦うことができるか?》そう問われているのだ。
皆が同じように不安と戦っている。朕も戦わねばならぬ。

―先に政堂へ向かっていよ、景栄。もう朝議の刻限だ。


【朝廷】

―朝廷は、既に官吏で埋め尽くされていた。
皇帝がさっと袖を払って入室すると、皆が一様に礼を取る。
些末のことはすぐに過ぎ去り、朝議は本題に移る。

先刻、西方から報告が届いた。二百年余りの帝国の眠りを覚ます報告だ。
皇帝はその柳のような眉を苦悶に顰める。
焦景栄と目が合った。表情を元に戻す。
ふっと息を吐き、強張った顔をほころばせた。
美しく静かな雪の野に、春の息吹が訪れた……そんな笑顔を浮かべた。

そして、悠然と玉座から立ち上がる。―

あたふたと、遠方の報せに一喜一憂する前に、
先ずは我々が気を取り直して泰然と構えようではないか。
我々の敵は、遙か遠くにいるのではない――此処にこそ、いるのだ!

(力強く、自身の胸を叩いた)

不安は心の隙間に付け込み、我々の道を誤らせる。
負けて、なるものか !!

大呉の子の誇りを胸に蘇らせよ。
天も地も数多の百星も、我々を見ているのだから。

先ずは、節度使の楊をここに。
楊節度使の話を詳しく聞くのが先決だ。


―つと、そのまま腰を下ろした。
遠くで一片花びらが落ちたのだが、彼の佇まいはまるでそのようだった。
178あぼーん:あぼーん
あぼーん
179あぼーん:あぼーん
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180あぼーん:あぼーん
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181名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/26(金) 16:31:07
報いを待てや 蛆虫クマッタ^^
182あぼーん:あぼーん
あぼーん
183白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/26(金) 17:08:16
>>150
さっきはらしくもない事をしたものだ、と自分ながらに思う。
アレも、承芳にかかれば将来の史書のためのえさになってしまうのだろうな?

本当に、宮中にいる人間は、情報とみると躍起になって蒐集するんだ。
少しでも油断すれば寝首をかかれるから。
だから、余計に危機を煽られると脆い。間抜けな話だ。

君の父上はどうかな。
滅多に宮中に姿を見せないのに、その名を皆が憚る朕の叔父上は、
朕の病気と西方の不穏をどう捉えているのだろう?
184白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/26(金) 17:54:13
>>105
かつて左家の庭には、一本の槐の若木が植わっていた。
大地に根を下ろして、天高く枝を伸ばそうとしていた。

槐は、高らかに生を謳うことを望んだ。
そして願った。《私は輝きたい!》


……
………そして、今。


〜内文に曰く〜

望月の舟が天の川面に遊ぶころ、朕は左邸の槐を訪なう。
出迎えは不要、歓待も不要。
槐の木と朕を二人にすること。

──(署名はなく、細筆で牡丹が描かれている)
185白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/26(金) 18:49:10
>>128
朝議で、楊節度使の召喚が決まった。
「戦勝」の言葉に湧くのは、誰だろうか。
少なくとも皇帝は、綴られた一字一字にちくちくと胸を刺す痛みを感じていた。

人が、死んだ。
苦悶をたたえたおぞましい首が、京師に届けられた。
二百数十年の爛熟した文化の結晶である、この広陵に。

それでも、彼は筆を走らせる。
墨汁が紙絹に染みるように、事は広がり進んでいく。その終末に向けて。


〜宣旨に曰く〜
(※白牡丹は私的文書に仮託した公文書を好んだ。
 散文の体で下命を連ね、そこに御爾を捺すという風だ)

隴西の砂塵、来たり、方伯は呑まれて紅潺々、荒土に染みて悲し。
節度使楊君、雲を麾かせてこれを平らかにす。
報せは涼風と倶に届けど、不足、楊君自ら参りて物語せんことを願う。
功、必ず賞せらるるべし、労、必ず癒やさるるべし。
多幸あれ、多幸あれ。

──(御爾)


節度使が参るまでの間は、英気を養うときだ。
そうは分かっていても、耳当たりのよい報告をどこかで望んでいる。
これ以上、社稷の傷が広がらぬことを願っている。

それでは、どうする?
また臣下に頼るのか?

こうした悩みを知られれば、臣下は再び動揺する。
そうすれば国が揺れ動く。

…天子になど。
(生まれたくなかった、という言葉を飲み込んで首を強く横に振った。
 去来した弱気を振り払うように、清風に心を洗うように)
186あぼーん:あぼーん
あぼーん
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198 ◆Enju.swKJU :2010/03/27(土) 09:49:40
2ch削除ガイドラインに基づき、

・掲示板・スレッドの趣旨とは違う投稿
・連続投稿・重複(連続投稿・コピー&ペースト、アスキーアート)

に該当するレスを削除依頼いたしました。
199劉空来 ◆yaXiUhPH.s :2010/03/27(土) 11:07:27
陛下、しばらく病に臥せておりました
ようやく完治しましたゆえ挨拶に参りました
もう少し早く陛下のお顔を拝見したかったのですが
見苦しい姿を見せるわけにもいかず・・・

これからは衛将軍の職務を
こなしていきます故、私を使ってくだされ
200白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/27(土) 11:57:20
>>199
それでは、朕と同じだな!
朕もしばらく床に伏せていて、皆に顔を合わせることができなかった。
だから、同じだ。

(礼を取る将軍の広い背をポンポンと叩き、闊達に笑みを向けると)
そうだな、衛将軍の名の意味は、社稷を衛るがゆえ。
しっかりと朕を守ってくれよ。

─西方の事変を知っているだろう?
何事もなければいいが、有事には「北衙禁軍」が動く。
その指揮を執るのは将軍だ。
しっかり、鍛え上げてくれ。


【※北衙禁軍】
呉の太祖が挙兵し、諸郡を攻略したときの義兵の子孫からなる常備禁軍。
皇帝個人と緊密な立場にあった。そのため、もともと軍の主力を担っていた軍府が衰退し、
役割を終える中、皇帝権護持のため尊重・増強された。
睿宗の代には左右の羽林軍あわせて三万人を数えていたが、現在は衰微し一万人程度。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 13:13:35
24 名前:徳川家康 ◆TDhxP4lm3s [sage] 投稿日:2008/04/06(日) 00:30:53 ID:dh5MmOBw
>>21
酒井「かしこまりました。その旨早急に主君家康に申し付けます」

―瀬田、徳川軍陣中

酒井「…以上が信長様よりの命令です」

ふぅむ、吉法師め、将軍殺しを儂にやらせるつもりか…
そして何より気に食わぬは松永久秀の如き奸物と一時とは言え手を組まねばならぬことぢゃ…

平岩「では信長様とは手を切り二条幕府なり小弓幕府なりに寝返りますか?」

馬鹿を申せ、そのようなことをすれば徳川の家は滅びるわ!
吉法師はいずれ天下人となる器ぢゃ、儂の及ぶ相手ではない…
儂は駿河遠江三河の三国が泰平であればそれで良いのぢゃ…
何、吉法師のあの性格ぢゃ、遠からず松永久秀とは雌雄を決することになるぢゃろう
儂らはその時までじっと待っておれば良いのぢゃ…

25 名前:朝倉義景 ◆KvjJ8yKnV2 [sage] 投稿日:2008/04/06(日) 08:42:31 ID:XpvnfhCK
>>16
実休殿!晩くなり申したのう!我ははぁ、田舎者ゆえ雅な名前なぞ付けられませぬが・・。
本来であれば”松永包囲網”と名付けたい処。じゃが奴と清洲との今後の関係も気になりまする。
動き次第では逆に包囲されかねませぬ。
ここは謙虚に・・・『畿内警戒網』と名乗り、更なる勢力拡大を目指しては如何でしょうか。

26 名前:足利義明 ◆kubou.lVMw [sage] 投稿日:2008/04/06(日) 09:16:19 ID:dCA4P9mt
(死にたがり発動)
どうやら、のんびり休養してる場合じゃねえな。
北条めが!目障りだからさぁ!つぶかせて貰うよぅ!
兵数【19,000】

北条軍へ宣戦布告!






引き籠もりで逃げんなや!
202名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 14:17:51
あぼーんはどうせクマッタが荒らしたものでしょう
なりきりアンチだからと言って自分の価値観を押し付けるクマッタには不快以外のものがありません
203名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 14:19:17
185 名前:ロコ五郎 ◆6heAgF.FgWp2 :2010/03/27(土) 14:17:20
>>182
売名w

お前俺様以上の有名人なんて三戦で数えるほどしか居ないだろ^^
頭悪いのか新参なのかどっちか知らんがw

なりきり厨か何かですか?^^

>>183
あー

でもどんな属官だったか覚えてねー


クマッタ潜伏乙
ここを荒らしてるのはバレバレですよ^^
204名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 14:22:21
186 名前:ロコ五郎 ◆6heAgF.FgWp2 :2010/03/27(土) 14:19:29
>>184
外務省って律令官制だとどうなってたっけ
忘れた^^

まあ要は大使館的なものを作って交流してけばいいんじゃねーかと
住民を呼び込むにはまず三戦板の住人を知ってもらうところから始めるべきだ
ってかロコ畠山家ってんならなんか和風の方がいいのかね
その辺は陛下と相談しなければならんだろうが^^


189 名前:ロコ五郎 ◆6heAgF.FgWp2 :2010/03/27(土) 14:20:56
>>187
おー
さんくす

ってか要はさ、家門名作ろうぜ!!!!!!!ってなったとき中華風だとハードル高くねぇ?って思うわけ
最初は何の気なしに九品官人法準拠が楽じゃね?って思ったけどそれだと意外にめんどくさかった的な^^
205名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 14:24:46
190 :ロコ五郎 ◆6heAgF.FgWp2 :2010/03/27(土) 14:22:06
>>188
日本語が不自由な方ですか?^^

印象工作にしては支離滅裂だな
もうちょっと整合性のある説明をしないと誰も構ってくれないよ?


ん?^^
206名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 14:26:18
なりきりアンチのクマッタが荒らしていても不思議はない
207名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 18:06:07
蛆虫アンジェ
浮浪者ととのえ
統失患者クマッタ
ひ魔神はいだらー
高卒無職ひょーりみ
サイコパスゼロセンチ
208名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 18:08:18
ゼロセンチ先生は低学歴だろ
209名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/27(土) 18:24:59
【基地害ゼロセンチ先生=サイコパスの根拠】

・中野区の飼っていた犬が死んだという趣旨の書き込みに対しバター犬などの暴言を浴びせる
・中野区を慰めたくちゅのきに対し自慰行為などと暴言を浴びせる
・泡沫固定の分際でぷらっとのような大物になりたいなどと大言壮語
・姥捨てや間引きなどを伴うムラ社会を素晴らしい社会体制などと賛美
・小沢一郎と民主党を手放しで賛美し、平成21年の総選挙において民主党工作員として活動
・結果民主党政権が誕生、未曾有の不況に突入する原因を作った
・幕府スレを見切り発車で立てたうえ、1スレ目にしてスレ主としての立場を放棄、参加者の大量離脱を招く
・自治スレで度重なる馴れ合い雑談を敢行、三戦板の自治に停滞を招く
・何かあればすぐにアンジェを頼るが、毎回必ず裏切る
・大物固定の金魚の糞としてしか活動できない
・ゼロセンチ先生=サイコパスの根拠を示されると馴れ合い仲間のひょーりみに擁護レスを書かせる
・トラビアンでも裏切りを重ねる
・指摘を受け窮地に陥ると名無し潜伏して自分を擁護
・その際には面白くないなどと指摘を固定叩きに矮小化
・執行猶予を受けているという理由だけでアダルトを犯罪者と罵倒
・そのくせ自分が駐車違反で罰金を支払っている件についてはスルー
・家紋スレにて住人に自分の家紋の解析を要求しておきながら資料となる家紋をいつまでもうpしない
・モンハンについて偉そうに語るくせにフルフルすら倒せないでいる
・未だにゼロセンチ先生≠うんぴを叫び続けるが、ネタだとしてもつまらない
・無双スレを立てて三戦住人に戦国無双3の購入を呼びかけておきながら自分は未購入
・元気いっぱいボーイッシュな娘が大好きと発言し、馴れ合い仲間たちからさえも引かれる
・出会い厨を叩きながら自分は出会いを求めてOFF会を計画
・雪かきをするために早起きすると言いながら、早起きして潜伏自演マンセーを敢行
・八戸に粘着的ストーカー
・幕府スレでスレの流れを無視し、すぐに素を出し空気をぶち壊す
・曹操の墓スレをスレ趣旨とは無関係の英雄ランキングの話題で荒らす
・そばに無知な分際でわんこそば以外のそばを全否定
・愛子内親王様を「病気の子」呼ばわりする異常な人間性
210陳勃鬼 ◆Z/QoHJCXAsq/ :2010/03/27(土) 18:34:40
>>200
ふと真面目に考えたのだが、そもそも陛下の精液は卑語にあたるのだろうか?
少なくともわたしには、汚いとか、いやらしいとか、そんなよこしまな気持ちは一切起こらない。
まるで人知れず高嶺で清楚に咲き誇る、野生の白牡丹を見つけたかのようである。
そう、造花には見ることのできない本物の美をわたしはそこに感じるのだ。

では、陛下の聖糞と言うのはどうだろう?
人間の老廃物、異臭を放つ汚物、そう嫌悪するものも多く見られるのは確かである。
しかし、ここでわたしは問いたい。
我々臣民の汚便と、陛下の聖糞とは、そもそも普遍的な同一性を持って語られるのであろうか?
答えは否である。
神格化されたもの(ここでいう陛下の聖糞)は、生れ落ちた瞬間、その神格性を同時に引き継ぐ。
つまり、他人の排便を好む食糞主義を、性的倒錯趣味が具現化した「自分への愛」というならば、
陛下の聖糞を好むことは、すなわち「神への愛」、という前者とは全く相対する思想なのだ。

わたしは、現代社会における信仰の喪失、また慈愛精神の忘失といった問題に、
我ら呉帝国の臣民たち原理主義者が立ち返り、国家臣民に最後の警鐘をおこなっているかのように感じたのである。
211劉空来 ◆yaXiUhPH.s :2010/03/27(土) 20:43:21
>>200
ははっ!!
(皇帝の暖かさに触れ涙を流しながら平伏する)

【訓練所】
北衙禁軍よ!!!
皇帝陛下の下知により新訓練を開始する
西方の事変があったようにこれからもあるかもしれん
皆訓練を怠らないように!
(一人一人のまなざしを見つめながら大きな声で声を響かせる)
212北衙禁軍:2010/03/27(土) 21:53:04
新訓練って何やるんですけぇ
213楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/27(土) 23:29:25
――戦勝報告が京師に送られて数週間が経った。
  そんな、ある日郭勝が昂譚の元を尋ねてくる。

国柱「親父殿、帝は浮かぬ顔らしいな」
----「しかしこの中華を支えるのは俺たち藩鎮…」

こらこら、その様な事を申すでない(苦笑)
軽率な物言いは身を滅ぼすぞ?

郭躍「いやまぁ御大将、実際問題ですね…」

郭勝「躍、控えなさい」
----「帝の実権とやらがどの位かと、帝とは何か?と申す事は」
----「同じに見えて、全く違う問題なのですよ」
----「帝の権威はまだまだ使える、この事実は厳然として存在しているのです」

…こら、わしの言いたい事を全て申すでない(汗)
わしの出る幕がないではないか

とりあえず、帝の下へ謁見に参ろうか?

――ガタンッ!!

木汗「昂譚、イツ吐蕃攻メル?」
----「モウミンナ待チキレナイ!!」

しまった、すっかり忘れて…

木汗「ハヤク攻メル!!」
----「約束破ルノハ漢人ノ悪イトコロ!!」

いやあのな、実は帝に呼び出されておってだな…
お前も来るか?

木汗「…ソシタラ、何カイイ事アルカ?」

ええと、確か下賜品がいくらか…

木汗「イク」

一同「……」

ははは…(苦笑)
さて、木汗も参るか
214楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/28(日) 00:07:35
――昂譚は城を出る。しかし、不穏な男が物陰に一人…。

姚威「(クソッ、昂譚ッ…!!)」
----「(亡父の、亡父の、亡父の仇ッ!!)」
----「(このまま無事で済むと思うなよ…)」

――昂譚は何も気づかない。
  ひょっとすると、そのふりをしているようにすら見えた。

姚威「ち、亡父の仇ッ!!」
----「帝室に仇為す貴様を討って、我が亡父の無念を晴らさんッ!!」

(ブンッ!!)

おっと、撃剣の稽古が足りぬようじゃな…
貴様の腕ではわしは殺せぬッ!!

フンッ!!

姚威「ちぃッ!!」
----「しかしまだ…」

木汗「ソコマデ」
----「オマエノ武芸デハカテナイ」
----「死ニタクナケレバ、オマエ、ハヤク逃ゲルホウガイイ」

姚威「ならば私も亡父の元にッ…」
----「おのれ昂譚、許さんぞ、決して天は貴様を…」


…やめいッ!!


姚威「……!?」


貴様、わしの養子になれ
その命、わしが貰ってやる

姚威「貴様如きの元で命を永らえるなど…」


…これこれ、まあ聴け
殺したければわしの兵を乗っ取って、手足のように操れるようになってからでも遅くあるまい?
わしを殺して天下に号令するも、帝室の忠臣となるも貴様の自由よ
貴様が今死ねば、ただ貴様という一人の男が死んだだけであろう?

貴様の命はそこまで安いのか?
215楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/28(日) 00:09:56
姚威「…そんな事認めぬ、認めぬぞッ!!」


…つまらんのう
貴様に万余の軍兵を与え、社稷の功臣となる機会を与えると申すに


姚威「…本当に、この私を後継にしてくれるのか?」
----「本当に、本当に約束を守るのか?」


やれやれ、それは貴様次第と申すもの
つまり、貴様が己が力で軍兵を得ることが出来る機会を与えてやると申しておるだけじゃ


…どうする?


姚威「…面白い」
----「一度は死んだこの身だ」
----「貴様を殺すその日まで、貴様の元に我が命、預けてやる」

――数日して、一行は帝都に到着した。
  帝への謁見の日取りは、後に沙汰すると決まる。

(あとはよろしくですー)
(話しかけたら始めますので)
216白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/28(日) 12:58:00
>>213-215
春めく広陵に節度使一行が到着したのは、宵の口のこと。

官吏「それでは、ゆるりと旅の労を癒されよ。追って沙汰を致しますれば」

瀟洒な宿舎に入った取り合わせを、宮廷の官人は口々に噂の種にした。
「フン、成り上がりめが戻ってきおったのか」「オオ厭じゃ、血の臭いが京師に染み付きよるわ…」
「ねえ、ちょっとイイ男じゃない?」「流石に関西の流行は違いますな、官服の着方が物珍しいこと」

堂上の位に居るとはいえ、出自が低く、品行に問題のある楊昂譚は官吏からの評判が頗る悪かった。
あちらこちらで下世話な噂話が花開くこと数日、終に謁見の日が訪れる。

大明宮、宣政殿。早朝。ぽつぽつと官吏が集まり始める。
気位の高いのなどは、楊昂譚らの姿をみるや、あからさまに咳払いをする有様。
とはいえ、楊昂譚がその視線を向けるや、目を逸らして黙ってしまうのである。

つと、軽い足音が聞こえる。黄の袖が翻る。
玉座の上から皇帝が声をかける。


──戦いに次ぐ長旅で、疲れただろう?
宿館では寛いでもらえたかな。

姚州刺史が死に、甚大な被害が出たんだってね。
昂譚が鎮めてくれなければ、大変なことになっていたかもしれない。
よくやってくれたね。…もちろん、こちらには功に報いる用意がある。

だけど、その前に教えてくれ。戦いの経緯を。
どんなふうに賊と戦ったのか、知っていることをすべて。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/28(日) 13:39:09
85 名前:薄雲太夫 ◆eC.1fRZtw. [sage] 投稿日:2008/02/27(水) 15:34:05
ととのえさん、お邪魔しんす。
ととのえさんは南海キャンディーズのしずさんが苦手なんでありんすか?
確かにあの方は肌が綺麗ではないでありんすね。そこは気になりんす。
柳原加奈子のほうがプリプリした感じで好きでありんすえ。
…あらあら、芸風の話ではなくなってしまいんした。

116 名前:薄雲太夫 ◆eC.1fRZtw. [sage] 投稿日:2008/03/06(木) 17:02:06
>>115
多くの「兵糧」を蔵に置いておくのは
「美女の群れ」を牢屋に押し込めておくようなものだ

久しぶりなんで、当てに行きんすえ。

147 名前:薄雲太夫 ◆eC.1fRZtw. [sage] 投稿日:2008/03/10(月) 21:37:05
こんばんは。それはたいへんでありんすね …
2chが鬱を誘発するのなら、少ぅしばかりは控えたほうがいいと思いんす。
けれど、気晴らしになるなら、気が向いたときに書き込むのがよろしいんじゃ
ないでありんしょうか。
218名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/28(日) 14:42:24
391 名前:皇帝ロコモティブ ◆o.DXPOl66E :2010/03/28(日) 14:35:08
>>368
京極四郎を式部少録(授官授位を担当する部署の最下位の官)に任じる
自己推薦なのだからキッチリつとめてほしい
期待している


392 名前:無名武将@お腹せっぷく :2010/03/28(日) 14:38:51
馴れ合い大好きクマッタ先生は入院しました


393 名前:無名武将@お腹せっぷく :2010/03/28(日) 14:40:12
>>391
なんだ、まだいたのかアンジェ
馴れ合い厨は死ね
そんなに歴難のスレ潰されたいのか


アンジェさん、こんなことを書き込む荒らしがいて困ります
どうしたらいいのでしょうか
219陳勃鬼 ◆Z/QoHJCXAsq/ :2010/03/28(日) 16:19:35
>>216
陛下、なぜわたしの言葉を無視するのですか?

ふと真面目に考えたのだが、そもそも陛下の精液は卑語にあたるのだろうか?
少なくともわたしには、汚いとか、いやらしいとか、そんなよこしまな気持ちは一切起こらない。
まるで人知れず高嶺で清楚に咲き誇る、野生の白牡丹を見つけたかのようである。
そう、造花には見ることのできない本物の美をわたしはそこに感じるのだ。

では、陛下の聖糞と言うのはどうだろう?
人間の老廃物、異臭を放つ汚物、そう嫌悪するものも多く見られるのは確かである。
しかし、ここでわたしは問いたい。
我々臣民の汚便と、陛下の聖糞とは、そもそも普遍的な同一性を持って語られるのであろうか?
答えは否である。
神格化されたもの(ここでいう陛下の聖糞)は、生れ落ちた瞬間、その神格性を同時に引き継ぐ。
つまり、他人の排便を好む食糞主義を、性的倒錯趣味が具現化した「自分への愛」というならば、
陛下の聖糞を好むことは、すなわち「神への愛」、という前者とは全く相対する思想なのだ。

わたしは、現代社会における信仰の喪失、また慈愛精神の忘失といった問題に、
我ら呉帝国の臣民たち原理主義者が立ち返り、国家臣民に最後の警鐘をおこなっているかのように感じたのである。
220白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/28(日) 20:01:29
玉座を遠く感じることが増えたように、おれはたまに陛下と自分とのことについて考える。
王とその従弟、皇帝とその従弟。そして今、さらに皇帝と臣僚という立場に変わろうとしている。
埃が砂金のように見えたあの時から時が過ぎ立場も変わった。だが、進むべき道は同じであると信じたい。
きっと陛下は笑いながらおれの見舞いに来てくれる。都合が悪くても、誰か人を寄越すはずだ……。
心の底で陛下を待ちながら、慶雲相手に暇を潰した。
例え床の中でも誰かを待つというのは楽しいものだ。
慶雲に迎えられ目覚めたのは昼間のこと。陽は既に沈もうとしている。


抱いていた淡い期待が裏切られた。
春風が冷たく衣を撫でていく。陛下は、来ない……。


「いい加減起きたらどうだ。たかが貧血で」
若木をそのまま擬人化したような青年が布団にくるまるおれを見下ろしながら言った。氷のような冷たい声。
白呈春。字は時醒。陛下のご学友で、歳は陛下と同じ歳だ。名前は呈春なのに、ちっとも春らしくないんだよな。
いっそ、呈氷か呈冬に改名しちまえばいいのに。

たった一人の可愛い弟が倒れたんだぞ。もっと優しい労りの言葉はないのかよ。

白呈春「なにか言ったか」

いや、なんでもない。
221白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/28(日) 20:03:43
白呈春「陛下に仕えようとする身分で貧血とは、はしたない。そもそも貧血などというものは」

貧血というものはなんですか? 兄上。

おれが真面目な声で尋ねると、健康を画に描いたような兄貴の顔にさっと朱がさした。

白呈春「子供は知らずともよい」

取り直したように出された冷たい声。霙のような冷たさを残し、兄貴は去った。惜しい。
これを兄貴のことを慕う小姐たちに見せることができたなら、小金を稼ぐことができたかもしれない。
もっとも、小金を稼ぐ必要もないけどな。
あれでなかなか兄貴ももてる。凍りそうな冷たさと誠実そうなところがいいんだそうだ。
女の趣味ってわからないものだよな。

おれの横で慶雲が笑った気配がした。あと一押しすれば笑い転げるに違いない。

男子の貧血は主に、閨でのご活動が盛んなため生じることが多い症例でして……汝杏様、少々控えられたほうが……。

葉若會の声音を真似ておれが解説すると、とうとう慶雲が腹をよじらせるように声を震わせた。
うむ、うむ、豪傑は笑い方も豪快だな。少しは遠慮しているんだろうが、ちっとも遠慮してないように見えるのが面白い。

ふと、目を布団に向けるといつもの枚数の上に男物の上着がかけられていた。
見覚えのある竹色の上着だ。慶雲が肩をすくめ、向こうの方を見た。おれが風邪でもひくと案じたのか。
口ではあんなことを言っても、やっぱり兄弟だよな。


222白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/28(日) 20:04:48
>>183
(目を輝かせ、手をぽんと叩き)
使えるものは全て使いたいですからね!
こういうとき、なんでも記憶できるこの頭を授けてくれた天に感謝したくなります。

(皇帝の周りの臣僚をぐるりと見渡し、春の猫のような微妙な笑顔で)
さぁさぁ、この白汝杏の筆の贄になりたい御仁は不正でもなんでもなされよ。
容赦なく史書に残しまする故。

(にっと意地の悪い笑みをわざと見せた後、群衆の中に見いだした白呈春の顔に晴れがましくないものを見つけ)
父のことでございますか?
では、少し父の様子を見て参りましょう。まだ、京師の別邸にいるはずですから。
223白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/28(日) 21:37:19
>>222
…ふふふ。(皇帝は両の口の端をにぃと引き上げ、くつくつと笑ってみせる。
目はみるみる細く、糸のようになり、鼻腔から短く笑いの息がこぼれる)

─そう、この従弟は、共に経験したどんなことであれ、覚えていなかったことはないのだ。
浮かんでは消え、忘却の闇の中へ沈んでしまった記憶を、いつも朗らかな声とともに思い起こさせてくれた。
そうした時、心から彼のことが愛おしく、そして自身優しい気持ちになれたものだった。
愛おしい、優しい…? 即座に浮かんだその有り触れた言葉は、時に妙な違和感を齎す。
彼は、真に人を慈しむことがあったろうか?

「殿下はとてもお優しい御方でございます」 …楚王と呼ばれていた頃から、臣僚の口によく上った言葉だ。
呼び方が陛下に変わった後も、同じように穏やかで優しいと言われていた。
その筈だ。彼は、本当は心が弱く、すぐに心を痛めてしまう。だから、その基準で己の欲せざるところを、
人に施さずにいたのだ。

しかし、人を慈しむというのは、もっと、違うことではないか?
普段は自他ともに露わからぬのに、ふとしたことで顕れて人と人の間にわだかまりを生む人性がある─


ありがとう、承芳。
少し気になっただけなんだ。
あはは、これから、なかなか忙しくなるな。
楊節度使と会えば、より多くのことがわかる。戦後の処理や、軍のこと、これからしなければならないこと。
だけど朕は心配していないよ。

(それは、彼にとっては真実。だけれど、もし客観的事実を観測できる存在に判断を委ねるなら、
 真っ赤な嘘なのだ。皇帝は、天の意思を信じた。自らが前向きになろうと誓った。
 そうして、貌に貼り付けた仮面を、それが仮面だということを忘れてしまっていた。

 「できることをしよう」「今は悩んでも仕方がない」「それでも悩んでしまうときは、それは
 弱い自分が現れているだけなのだ」「それでも、自分は自然体を保っている」………
 …それは、単なる幻想である。不幸なことに、彼はその自覚がまったくないのだが)
224白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/28(日) 21:56:27
>>222の直後

【宮中回廊】

(耳たぶを抓りながら独り言を呟く)
父ちゃんの見解か……。陛下も妙なことを気にするなぁ。大国の皇帝なんだから、もっとどっしり構えてりゃいいものを。
先帝と皇位継承を争ったことがあるとはいえ、父ちゃんは大国に属する王にすぎないのに。
なんだって他のヤツらも、寄ってたかって『燕王』の名に囚われ気にするのだろう。

まぁ、それも生物が生まれ持つ危機回避としての勘なのかもな。
西方の事変を京師で真っ先に知ったのは燕王だった。早馬を幾頭も潰し、使者が報せに来たのは皇帝の平癒を祈りに
臨時で京師に来た燕王のもとだとは……。この事実を知ったなら陛下はますます父ちゃんへの警戒を強めるに違いない。
父ちゃんも兄貴もそれを知っているから、知らぬ存ぜぬを突き通している。
それよりもおれが気になるのは、宦官の李がこの事実を知っていたということだ。
陛下の前に使者が来たとき――文武百官は驚きの声をあげたが、普段動じやすい李が無反応だったことが気に掛かる。
動じやすいヤツが動じなかった。これが示す事実は一つだけだろう。

――李がなんらかの方法で、燕王より遅く、皇帝より早く西方の異変を嗅ぎつけた――ってことだ。

そういや、近く楊昂譚が宣政殿に来るらしい。
楊昂譚、見てみたいな。生の楊昂譚をさ。……参ったな。ただの皇帝の従弟の身分でそんな場に行っていいもんだろうか。
兄貴はいい顔しないだろうなぁ。

(思案するように前歯を爪でこつこつと叩く)
225 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/28(日) 21:57:36
>>223の間違いでした
226白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/29(月) 01:43:58
>>224
暫らくの後、白承芳は戻ってきて、変わらぬ様子──承芳が努めてそう意図したのだろう──で
頼みの通りに話してくれた。
感情を左右するような情報は、ない。ただ、うん、うんと頷きながら話を聞いた。
でも、彼がその場を去るときに見せた面持ちは……。
おそらく、表情を見せるつもりはなかったんだろう。
ほんの僅かに、心に揺れる波がこぼれ出てしまったんだろう。

嗚呼、もう何なのだ…。また、訳も解らず胸が苦しい。


丸まって頭を抱え、溜息ばかり。幾らか経っても、気持ちは塞ぐばかり。
このままでは、埒が明かない。愁いを払うように勢いをつけて起き上がり、人のいる方へ向かう。
男と顔を合わせたくない。女と二人でいたい。──誰に会う?
婉花とは、今は会いたくない。いや、会えない。こんな気持ちのときに、あのひとに会わせる顔がない。

──薛才人か。
三千人の紅顔の中で、はじめに思い浮かんだのが薛才人だった。
意外なこと、かもしれない。滅茶苦茶な気分のときに、ただ躯を合わせることを望むなら、
もっと無教養で、その代わり淫らな女のほうがいいのだ。
言葉もそこそこに、潤んだ視線を交え、ゆらりと身を寄せて、耳元で甘い吐息に乗せて囁く。
そんな風なのが、適当だろう?

薛才人は、才色兼備の女性だ。常に周りの人に気を配り、自分の感情を表に出さない。
いつも落ち着いているが、けして小心ではない芯の強い女性だ。
彼女の貌を浮かべたのは、刹那的な快楽に溺れるよりも、自分を取り戻したい、
そう願う心がどこかで働いたからかもしれない。
227白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/29(月) 02:41:49

…卿、労あらん。

(壷の前で挨拶の口上を述べれば、深みのある、太湖の水のような声で返り言がある。)

「陛下こそ労あらん。妾何の労か之有らん」と。

『列仙伝』「江妃二女」からの引用である。
中に通されれば、薛才人は目尻をやや下げ、柔らかな笑みを作る。
微かに漂う桂香は、その趣味の良さを感じさせる。
調度は年数を経て円熟の色を見せ、帷幕は最良の絹織り。

やがて、才人は土の素焼きの茶器を取り出すと、茶をもって皇帝をもてなした。
白い細指で一つまみ取った茶葉の銘は、「白牡丹」。尤も、当代では別の呼び名がされているが……。

湯気とともに、柔和な芳香が室に広がる。
程よい温度の茶を口に含めば、さながら春の花が野に満ちるよう。


しばらくは、二人は心安らぎ、文学の話に花を咲かせた。
詩句を交互に連ね、一つの詩を合作した。そうして、数刻を過ごした。

皇帝は知らず張り詰めた心を緩め、ぽつりぽつりと愚痴を零した。
ふだん、皇帝は人の良し悪しを語ることはない。でも、先ほどのわだかまりは奔流となって
とめどなく押し寄せた。


──朕は知っているんだ。官人たちが、乱の大もとの原因は放蕩な皇帝にあるって噂してること。
皆、そうやって言ってることが朕に聞こえてないと思ってるんだ。何もわかってない。
朕は全部わかってるんだ。それに充分にやってるじゃないか。
祭祀ばかりやるなというから、朝議でお望みどおりの皇帝をやってあげてるんじゃないか?
そうしたら承芳は……。きっと離れていくんだ。
はっ、所詮人なんてそんなものだよ。百人の友がいたとして、真の友が一人いるかも怪しいのが人の性だ。
わかっているさ、もともと人の中ではうまくやっていけない性なんだ。


薛才人は、自分に滔々と語りかける皇帝を見つめ、
敢えて、彼を突き放すことを選んだ。
聡明で経験の深い彼女は、それが最良の選択であろうことを、わかっていた。
突き放さなければ、彼は私に溺れ、それはこの先ずっと尾をひくであろう……惰弱になってしまうだろうと。


……精神って、肉体とは離れられないでしょ。
だって今貴方はこうして私の室の中で叫ぶに留まっている…それが証拠。
貴方の道のりは遠いわね。
228楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/29(月) 02:51:28
>>216
――「いやはや、嫌われたものだ。」群臣に聞こえない位の小さな声で昂譚は呟く。
  そもそも貴様らが、滅び行くこの国で享楽に身を委ねるからわしがいる。
  わしの様な者が此処に居るのは何故か? こやつらは、考えたことがないのであろうな…。
  昂譚は、わざとらしく快活な声で話しかける。

おお、陛下!!
ご尊顔を拝し、臣昂譚恐悦至極に御座りまする!!
陛下の御徳が四海万民を照らし、その威令は我らが屯する隴西まで届いて御座いますぞ?

姚威「(フン、わざとらしい…)」
----「(亡父の時もそうだ、彼奴の阿諛追従には反吐が出るッ!!)」
----「(何故、このような禽獣にも劣る輩を帝は御信任されるのか)」

臣は辺境の出故、居並ぶ群臣の皆々様のとは違い
無礼な言があるやもしれませぬがそれも辺境の習いとお許しくださりませ
して、陛下の御下問にまずはお答え致したく存じまする

姚刺史の、よ、姚刺史の件は…う、ううっ…

――昂譚は、刺史の一件になると突如号泣し始めた。驚いたのは後ろに控える国柱である。

国柱「(おっ、親父殿!?)」
----「(いやちょっとどうしちゃったんだよ…)」

……失礼致しました
姚刺史は吾等隴西の士人にとっては大恩ある御仁
御最期を見届ける羽目になった身の不幸を呪うと共に、力不足が悔しゅうて悔しゅうて…

――昂譚は続けた。戦況の事、そして…。

賊は数万、勢いは我ら官兵を凌ぐものが御座いました
姚刺史と我らは軍兵を二手に分けて吾等は敵の本拠を突き、
刺史の軍が賊を引き付ける策を採ったのです
吾等の奇襲は成功したのですが、賊の勢いに姚刺史の軍は…

姚威「(嘘だ、そんな話は聞いていないぞ)」
----「(勝手に略奪を働く為に戦線を離脱して、吾等を見捨てた筈なのに…)」

陛下、そこでお願いが御座います

姚刺史は臣昂譚にも大恩ある御方
そしてその遺児たる姚威が此処に控えて居りまする
この姚威の勇武は亡父に比肩し得るものと臣は見込んで居ります
故に我が養子として、手元に置いて帝室の忠臣となるよう養育したいと存じます
お許しいただけますかな?
229楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/29(月) 03:05:34
>>224
――同じころ。一人の男が白承芳邸を訪れる。

郭勝「はてさて…」
----「躍、ここに住まう御仁は皇帝の従弟?」

郭躍「らしいですよ、父上」
----「ったく、折角京師に来たんだから恩爵の沙汰でもあるかと思えば」
----「いつもの『お仕事』なんですか私たちは(苦笑)」

郭勝「ふふふ」
----「お前には、まだこの役目の意味が分かっていないようですね」
----「いずれ、お前にも分かる日が来ますよ」
----「開門されよ、吾等節度使楊昂譚の使いで参ったッ!!」
230白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/29(月) 03:13:00
>>226-227のつづき)

─その言葉は、脳天に下る強烈な一撃だった。
体がぶるぶると震える。

(そうだ、その通りだ。)

皇帝は、聡明だった。彼女の短い言葉を飲み込み、自力で昏闇の底から這い上がる道筋を見つけた。
ただ、残るのは、浅ましかった今までの自分と、薛才人に対する自分の言葉に対する自己嫌悪の念。

それも、才人は見通していた。


…お茶をおあがりなさいな。

そういって、貌を柔和にほころばせた。さっきよりも、温かく。
感情が、堰を切って溢れ出した。子供のように泣きじゃくる皇帝を、才人は母親のように励ました。

─承芳さまは、いい方よ…

─うん、わかってる。
伝えておくよ、承芳に。今度の楊昂譚との謁見に、一緒に行こうって。
あと、ちゃんと謝るよ。
しっかり、全部話すよ。わかってくれるよな、きっと。

薛才人は、ただ笑顔をもって返した。


【翌日、宮中 〜人払い後〜】

…承芳、あのさ。
「俺」、昨日のあれ、実は、その…
あの時、お前の父さんを疑ってたんだ。
情勢がわかんなくて、五里霧中だった。俺がしっかりしなきゃと思った。
急に、周りのことが気になりだした。
…悪かった。(俯き、小さく搾り出すように。)
……悪かったよ。(今度はそれではいけないと、目を見てしっかりと言った。)

それで、今、宿舎に楊昂譚が来てるだろ。
明日には謁見を行うんだけど、お前も席に並ぶか?
231白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/29(月) 03:44:53
>>228
昂譚……──

(この男を、よくよく見定めなければ。はじめ、皇帝はそのつもりであった。
 楊昂譚といえば、彼が日頃顔を合わせる廷臣の間では評判の悪い男。
 穏やかならぬ噂も厭でも耳に届くのだ。だから、彼の挨拶の第一声から、言葉の端々に注意を払っていた。
 ところが…)

昂譚、もう良い、もう良いんだ。
(彼は玉座から駆け下り、身を崩して潺々と涙をこぼす楊昂譚の背中を叩いた。力強く励ますように)
ああ、すまなかった。どうかわかってくれ。二百六十年の泰平を覚ます乱の報せなんだ。
先行きの定かならない不安が京師にも漂っていた。
姚刺史とともに、勇を奮って賊を平らげた節度使を、疑うような真似をしたことをどうか許してくれ。

改めて、昂譚、卿と麾下の諸将の功を讃えよう。
宴の席で、ともに姚刺史を悼もう。
姚威、といったね。初めて会うね。
朕が太子だった頃、ここでそなたの父、姚南に会ったものだよ。
確かに、そなたには父の風がある。
よろしい、楊昂譚の申し出を許そう。


─褒章をここに。
…昂譚、これは心ばかりだが、玉や珠、織物など、宝物を用意させた。
しかし卿が特別に何か望むことがあれば、それも考えるよ。

ときに、これから戦後処理をしなければならない。
戦後処理の決定は、政事堂の会議で行われる。
焦景栄、左匡輝といった宰相を招聘する。
卿も出席し、現場を知る者として意見を出してほしいんだ。
232楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/03/29(月) 04:23:56
>>231
──姚威は我が目を疑った。亡父の忠節は何だったのか。
  そして、命を賭して社稷の為にに働いたのは無駄だったのか。
  彼には分からなかった。この国は、これからどうなっていくのだろう。

誠に有難い御言葉、臣には勿体無きものに御座いまする…。
姚刺史が此処に居ればと思うと…ううっ

国柱「(ケッ、自分でぶっ殺しといてよく言うぜ)」
----「(親父殿の腹黒さには驚くやら呆れるやら…)」
----「(っておい、姚威何やってんだ!?)」

――姚威の口元からは鮮血が滴っていた。
  亡父の無念が乗り移ったか、それとも国に絶望したのか…。

姚威「………(ガタガタガタッ!!)」


姚威よ、貴様の無念も分かる
陛下の御前故堪えてくれい…頼む、堪えてくれい…

一度、姚威を宥めて参りまする
その後改めて朝議の際には参内致します故、本日は失礼致します
臣如きの言葉など、お役に立つか分かりませぬが…

――昂譚は財物を受け取ると退出し、木汗を呼び出した。

おい、木汗ッ!!
おめぇの働きへの褒美だぞッ!!

木汗「昂譚、オマエ、コンナニクレルノカ?」
----「沙陀ノ一族、コンナ財物見タ事ナイ!!」
----「オマエ、ナンデコンナニクレル?」

ったく馬鹿野郎、おめぇの働きに対する褒美だって言ってるだろう?
これからはこんなもん、幾らでも分捕れる
あの宮殿も、あそこの女たちも、全部わしのもんじゃ…

わしのもんじゃ!!
アーッハハハハハハハハハッ!!

姚威よ、これで分かったであろう?
貴様がこの乱れた世を正したいのなら、わしに仕えて新たなる世を築くよりあるまい
貴様の父は、その捨石になったに過ぎん!!
己が手で父を斬らずに済んだ事、この昂譚に感謝せい!!

姚威「………」
----「昂譚ッ!!」

国柱「…(ガチャッ)」

姚威「…いや、義父上」
----「この私が世間知らずだったのだ…」
----「亡父もその世間知らずの為に死んだのだ」
----「この私にこの中華を統べるための力を与えてくれ」
----「そして、貴様を殺すための力をッ!!」
233名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/29(月) 07:29:08
:白承芳 ◆HI17hraKmDw5=クマッタ
234劉空来 ◆yaXiUhPH.s :2010/03/29(月) 08:04:34
【自邸】
ふう、皇帝陛下もお元気な様子でよかった

だが今この帝國には奸臣が多すぎる・・・
だからこそわしが陛下を守らなければな
(決意に満ちた顔で言う)

使用人「将軍様、お食事でございます」

ああ、そこにおいておいてくれ

使用人「かしこまりました、それでは・・・」
(ドアが閉まり使用人の足音がとうざかって行く)

うまいな・・・
政事は宰相たちに任せておけばよいのだが
どうも、最近嫌な予感がする・・・

兵たちを訓練させておかなければ・・・
235名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/29(月) 16:38:16
クマッタ蛆虫
236名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/29(月) 16:39:51
室町殿スレは惨敗だったなw
すっげーつまんねーし

いつかの党首選挙で得票1票だったときくらいカッコ悪いwww
237白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/29(月) 21:58:12
【京師・燕王別邸】

(庶民用の衣を汚く着崩した白承芳。門戸の前で筵を敷き、鎮座している。髪は長く垂らし、結うこともせずどこから見ても
燕王邸の下男が罰せられている様子にしか見えない)

衣食足りてとは言うけど、衣って大切だよな。
同じ人間でも衣が見窄らしいだけで、ずいぶんと見下され莫迦にされることがあるって。
母ちゃんが子供の頃寝付く前に話してくれた昔話で聞いたことがある。

衣が立派なだけで迎合する輩に嫌気が差すかって?
そんなことはない。第一立派な衣を作るにも金子がいるだろう。金の力じゃないとすれば、他に何らかの力がそいつにはあるってことになる。
他人から強奪する『力』。人に施しをさせる『力』。力にもいろいろあるよな。
なんでおれがこんな場所で地べたに座ってるかというと、兄貴なりの愛情表現だ。おれが毎朝遊び過ぎて貧血になるようなことがないようにってな。
反省するまで座らせるおつもりらしい。
『燕王の次子が家の前で正座するなんて白家の恥ではございませんか?』って言ったんだけどな。
「安心しろ。お前のこの姿を見て誰も燕王家の者だとは思うまい。せいぜい下男程度だ」だとさ。くそっ。冬の王様め。
母ちゃんか父ちゃんがいれば……いや、いてもなぁ。おれの養育は全て兄貴任せだし、京師別邸の主は兄貴だ。

通行人にはおれがどううつるんだろう。想像すると誰か別の人間になったようで楽しい。
下女と姦通を犯した下男。
手癖の悪い下男。
怠け癖のある下男なんてのもあるな。何れにしても格好のいいもんじゃないな。

(門の前で大声をあげる郭勝と郭躍を目に止め)

なんだこいつら。見れば雑胡のようだ。あれか、楊昂譚の仲間か?
口やかましい兄貴たちに見つかりゃ、この珍客を持てなすこともできなくなるな。
とりあえず、罰を受けてる下男で押し通すか。そのほうが面白い。


>>229
(郭勝に向かい)

こ、これ旦那様方。ここは燕王の別邸ですよ。
あなた方は燕王のことをご存じではないと拝見しました。私でございますか?
私めは別邸に仕える下男でございます。ご子息の時醒様のお怒りに触れ、このような姿をしていますが……。
差し支えなければどのようなご用件があるのかお伝え願えませんか?
238 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/29(月) 22:01:13
お教え願いませんか?
の間違いです
239白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/29(月) 22:09:29
>>234
【広陵外城 練兵地】

おう、やってるな! ──見事なものじゃないか、将軍?
前に外へ出たのはいつだったか、忘れた。ここからの眺望も、懐かしい。

(練兵地は、遥か遠くまで広がるようだった。そこに鋼鉄を身に纏った兵がひしめき、
 列をなしている。ドォン、ドォン……やや湿気を含んだ曇天に、鼓の音はくぐもって響いた。
 劉空来が采配を振るえば、方陣をなす前、後、左、右、中部は滔々、水の流れるように、
 円陣へとその姿を変える。
 空来が兵に休憩を告げたのをみて、皇帝は彼に声をかけた。)

訓練は順調かな。あれから、将軍が張り切ってくれているので、助かる。
あの兵達を見ていると……、少し思うんだ。
彼らが纏う鋼鉄の甲に、槍…それを産する鉄を得るのに、多くの山が削られた。
木々も、禽獣も、山そのものも、そこに宿る多くの生が失われた。
人が彼らを利用することの正当性を解いたのは韓非子だ。
それは、あるいは正しいんだろうな。人一人が生きるのにも、他の何かの生を奪わねばならぬ。
社稷に血を通わせるのにも、より多くを必要とする……。
だから、我々は大小の祭祀を行うのだ。いつも、感謝を忘れてはならぬ。

しかし、戦乱となれば、多くの兵が死ぬ。次から次へと兵が動員される。
それに充てるために、さらに山が削られ、それを感謝する余裕すらない。
神々は、それを赦さぬ。
だから……

(皇帝の眼は遥か遠く、遠く……)

ふふ、悪かったね。将軍にそんなことを言っても困らせるだけだろうに。
将軍は、彼らを見て何を思う?
240白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/29(月) 22:17:56
>>230
父を、陛下が?
大国の皇帝がなんで北国の王を恐れるのです。この世に太陽が二つとないように、皇帝も一人しか存在されないもの。
どっしり構えておられればいいのです!

ただ、陛下。
この件は兄にも父にもご内密に。

(小声で皇帝に囁く)

兄も父も燕王が陛下に疑われたとあれば、悲しむでしょうから。
さぁさぁ、笑顔、笑顔!
私が見て嬉しいのは麗しい小姐の恋煩いの涙か、薛才人の嬉し涙だけですから。

(わざと意地の悪い声で)
陛下とはいえ、男のしょぼくれた顔など……。

謁見に臨席したくても、なかなか言い出せなくて……ときに、薛才人はご息災でしょうか。

(薛才人の名を口にした後、ほんの少し眉を不安げに曇らせ皇帝の様子を窺う)
241白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/29(月) 22:34:01
薛才人。言葉にしただけで胸が詰まる。おれの憧れの女性。
薛才人の聡明さと静かな強さを関わる男たちは誰もが愛した。
如月様も愛し、兄貴も愛し、おれも愛した。

だけど、彼女が選んだのはこの世を統べる皇帝だった。
三千人の妻が待つたった一人の皇帝。
三千分の一の『妻』という立場。彼女は幸せなんだろうか。
彼女の幸せな日々を祈ることしか許されないおれには、宦官に彼女の生活を聞くか夫である陛下の口からそれを聞くしか術がない。
おれはたまに考えることがある。

――如月様が未だ正妻を娶らないのは、薛才人の存在がまだ如月様の心の中で大きいから――なんじゃないかって。
242白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/29(月) 23:26:35
>>240-241
あはは。まったく、自分が恥ずかしいよ。
わかってる、もう大丈夫だから。(気恥ずかしいやら何やらで、おそらく今、耳まで真っ赤になっていよう)
うう…そんなにしょぼくれた顔をしていたか…いけない、いけない!!

…そういえば、呈春とは燕王家の皆のことについて、あまり話したことがなかったな。
承芳は元気か? と聞いても、「変わらずでございます」とか無難な返事しかしてこなかった。
どこぞを遊び歩いただの、そういう話を楽しく聞きたかったんだけど、
燕王家の恥になるとでも思っていたんだろうな。
 

ああ、心配ない。才人はいつもの通りだよ。
昨日、訪ねた。それで、励ましてもらったんだ。
そう…あの人は、承芳、お前のことも気遣っていた。
お前はいい方だと。だから、今日、こうやって話す気になれた。

(承芳に薛才人の話をするとき、白牡丹は少しいたたまれない気持ちになった。
 彼の才人への想いは、皇帝とてもわかっていたから。事細かに様子を説明すれば、
 承芳はそれを思い浮かべ、身を内側から引き千切られるような思いに苛まれるに違いない。
 かといって漠然とした話に留めれば、彼は薛才人という人の像を少しも捉えることができないのだ。
 いずれにしても、彼を傷つけてしまうことに変わりはないのだ。
 せめて、彼女が彼を思いやった、その事実は必ず伝えようと思った。

 承芳は、自分を見て、自分に抱かれる薛才人を思い浮かべたりするのだろうか。
 そうだとすれば、彼にとって何よりも辛い、どうすることもできぬ、苦難であろう。
 恋とはそういうものだ。恋する男は心を休ませることができない。理不尽に心を苛まれ、
 身をやつれさせる、甘美な苦痛、自由な拘束、不条理な道理、どんな言い方をしても説明のしようがないのが
 恋というものなのだ。)

彼女に会いたいか、承芳?
243焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/03/30(火) 01:15:04
(皇帝が快癒した。)
(親子は似るものとは云うが、先帝と皇帝は類似点を見出す事が困難だった。)
(ただ――醸し出す雰囲気と物腰は驚くほどよく似ていた。)
(目を閉じれば、今も睿宗がそこに存在しているかのようだった。)
(楊節度使の召還を決めた皇帝の佇まいは正に睿宗そのものだった。)

『この御方』だけは、何があっても護らねばならない。義父が亡き陛下を護ったように。

(皇帝が生きて動いている姿を目にするだけで、張詰めていた緊張が解け、疲れが溶解するのを感じた。)
(子を持つ親は、子に対し同じような感情を抱くという。焦景栄に子はいない。)

もしも、私に子というものがあったなら――斯様な気持ちになったのだろうか。
いや、子などいなくて良かったのだ。もしいたなら、私も他の臣僚と同じく保身のみ考えたであろう。

>>177
(静かな笑みを湛えたまま)
いえいえ、なんのこれしき。朝議で快癒された陛下のお姿を見たなら、多くの臣僚も安堵致しましょう。

(焦景栄は敢えて皇帝の言葉を暖かな沈黙で流した。)
(皇帝が己の不安と戦うと決めたのだ。)
(掘り下げたとて、婦女子の如く反芻したとて何になろう。)
(一時の慰めが後の大怪我を招く――それが皇城なのだ。)
244焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/03/30(火) 01:16:09
>>224

【京師郊外、劉瑶邸】

(香の香ではなく、一人の小男が焦景栄を迎えた。)
(李畢嵐。焦景栄と同じ、劉瑶の養子である。)
(互いを『哥哥』『弟弟』と呼び合った。)
(頭を下げていた李畢嵐が、ゆっくりと頭を上げてから口を開いた。)

李畢嵐「哥哥。お帰りなさいませ。」

(容姿で得をしてきた焦景栄と対照的に、李畢嵐は何かと容姿で誤解を受ける哀れな男だった。)
(痩けた頬、枯れ木を連想させる躰は関節ばかりが目立っていた。)
(枯れ木に衣をただ掛けたようにも見える李畢嵐。)
(幼い頃の栄養状態が悪かったのだろう。)
(貧農の出の李畢嵐は生まれて直ぐに母親に口減らしされる筈だった。)
(ところが、死んだ筈の赤ん坊が息を吹き返したので「働き手にくらいはなるだろう」と生かされたのだった。)

(陰気に見える外見とは違い、心根の優しい小心者だった李畢嵐。)
(宮中の花が枯れただけで涙を浮かべた李畢嵐。)
(『血の繋がった弟』のように、焦景栄は庇ってやってきた。)
245焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/03/30(火) 01:18:33
焦景栄「畢嵐、朝議のあれは一体何なのです。我らはあくまで影。影が陛下より見聞きする事が多くて何とする。
それが、軍事のことであれば尚更の事。影が知るのは陛下の支えとなる為。故にたとえ既知の事実でも『たった今』知ったように
振る舞うのが道理。父上に教わった筈であろう。」
李畢嵐「父上の子は、哥哥だけではないという事ですよ。」
(哥哥に込められた李畢嵐の悪意に焦景栄は吐き気を覚えた。)

焦景栄「貴方に聞いた私が愚かでした。失礼。」
(李畢嵐の顔も見ずに踵を返す。)

李畢嵐「毒を扱うなら、解毒剤も扱う。流石、潁川の豪商は違いますねぇ。貴方の母上が云っていましたよ。『宮中は大変だ。殺し生かし、また殺そうとする。
私は商売になればそれでいいんだけどねぇ』と。」

(焦景栄の背に向かい発せられた『母』の言葉。)
(母親の事に触れれば、焦景栄を少しでも傷つける事ができるとでも愚かな『弟』は思ったのだろうか。)
(今は、臣僚一丸となって皇帝を護る時だというのに……小物過ぎる。)

焦景栄「李畢嵐。」
(焦景栄は振り向きもせず、かつての『弟』に伝えた。)
李畢嵐「はい。」
(李畢嵐はかつての『兄』を見据えたまま、声音を変えずに返事をした。)

焦景栄「忘れないで欲しい。我らの主は陛下であり、決して『主』になる事はできないのだと。」
(祈りに近い頼み。だが、『弟』からの返答は無かった。)
246劉空来 ◆yaXiUhPH.s :2010/03/30(火) 07:05:00
>>239
おお、陛下!
ご視察に来ていただけましたか
光栄です
(地面にひれ伏す)
(そして兵に休息の合図を送る)

訓練は比較的順調に進んでおります
そうですなあ、人一人生きるのには幾つもの犠牲がいります・・
だから私は人同士で争っている場合ではないと思うんです
その人の犠牲達のためにならないのですから
だからこそ争いのない世界にしようとこの国に仕えました

兵たちを見ると、どうもその犠牲になった者たちが
見えてきてしまうのです

陛下ならば泰平の世を作り上げることができると信じております
(皇帝の微笑みながら口を動かした)
247白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/30(火) 16:11:53
>>242
(皇帝の言葉を受け、顔中から不安の色は取り除かれ雨上がりの青空のような晴れ晴れしい顔になりいつものように快活に目を輝かせ即答する)

いえ、やめておきましょう!

(右手を振りながら)

私にとっての彼女は、文人にとっての洛神のような存在であり、また姉のような存在でもあり……
彼女にとっての私は『夫の友人の弟』であり、『幼なじみの弟』であり……
つまるところ弟のようなものなんです。

(言った後でなにか失敗を発見したようなばつの悪い顔を見せ)

『出来の悪い』をつけるのを忘れてしまいましたが……
私の青い顔と貧弱な体をご覧になっては、いらない心配をかけてしまいます。
敬愛する薛才人のため、せめて『出来の良い』弟となりとうはございますが……

(呈春が控えているであろう扉の向こうを見やり、歯を見せにっと笑い)

それは無理なことでございましょう。
248白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/03/30(火) 16:14:58
【宮中・回廊】

陛下は優しいな。大好きだ。

おれはふと六つの頃耳にした妙なことを思い出していた。嘘か本当か知らないが。
人の色恋沙汰にいらぬ世話を焼くお節介は市井にも宮中にもいるものだ。

郭貴妃を父ちゃんが昔から好いていたこと。先々代の皇帝は当初、郭貴妃を父ちゃんの正妻にと決めていたということ。
子供心におれは「じゃあ、おれと如月様は兄弟になってたのかな」と思った。
仕方ないよな。相手があることなんだから。
郭貴妃と母ちゃんはたしかに性質的に似たものがある。
真実を知るのは当事者のみ。第一、親の恋愛話なんか興味はない。
そんなの母ちゃんと父ちゃんが交わっておれができた、なんてのを想像するのと同じくらい品がないことだ。
事実なんだけどな。

世間じゃ、燕王っていうとあまりいい印象がないようだけど、こういう人間くさいところもあるんだ。
さすがおれの父ちゃん。

(両目をくるくるとさせながら)

うーん。歴史は繰り返すものなのか!
それにしても『いい人』ってのはやっかいだな。『どうでもいい人』みたいで泣けてくるよな。
そこに陛下と薛才人の優しさが滲み出ているから、ますます悲しくなる。やっぱりおれって子供なんかな。おれって、同じ土俵にすら立ててないってことだよな。
あー、大人の女性と大人の恋がしたい!
……おれにできることは、薛才人が心穏やかに暮らせるような泰平の世を築くことの手伝いだけだ。

(欄干に両腕を乗っけながら、頬杖をつき青空を見上げながら)

いつまでも、ずっと、この青空が続きますように!
249左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/03/30(火) 17:26:58
(内憂外患という言葉がある)
(読んで字の如く、内にも外にも悩ましい事象が存在していることである)
(国家においては内憂は国内の乱れを指し、外患は他国との諸問題を指す)
(もっと小さい視点でこの言葉を考えた場合、個々人の人生にもうまく当て嵌めることができる)
(おそらく地位や年齢を問わず、天下に生ける人間のほとんどはこの言葉を知っていようが知るまいが、その言葉の意味するところを共有していることだろう)
(貧農であれば内には家族をどのように養っていくか、外には莫大な両税をどのようにして納めるか)
(すなわち生きていくこと自体が彼らの苦悩であろう)
(何も農民だけに限った話ではない)
(商人や工人、芸人その他さまざまな職に就き日々を暮らす人民がこの国には億を数えるほどいる)
(程度の大小こそあれ、彼らにとって人生そのものに多くの内憂外患が包含されているのだ)
(では宮中に仕える官吏の場合はどうであろうか)
(もちろん官吏たちにも内憂外患はある)
(一般的な官吏にとって内憂は家の繁栄をを阻害する事象―何人も娶った妻や妾が男児を産まないとか息子が童試に落第したとか―であり、
 外患とは宮中における権力闘争―それは華やかな宮廷文化とは真逆の恐ろしい陰謀や悪意に満ち満ちた讒言―であろう)
(それは人民の抱える悩みとは大きく異なり、それでいて本質的には同じものであった)

(中書侍郎・左匡輝にとって内憂は弟・左景義の存在であり、一方の外患は―不敬なことではあるが―皇帝・白牡丹の振る舞いであった)
(いにしえの孔子の思想、すなわち儒を学び自らの生きる指針としている匡輝の目指す生は清廉の士である)
(彼はその二十年ちかい宮中での生活において、その自らの望みに違う言動は極力避けていたし、自分は清廉な官吏であると自負していた)
(だが望まざる父の遺産―あの忌々しい景義―が、高級官吏の子弟であることを理由に無罪放免されたことで匡輝の自尊心と経歴は大きく傷ついた)

(君子たる者、公正無私でなくてはならない)
(身内すらまともに統率できぬ者に、どうして国政に参画する権利があろうか)

(これは常々左匡輝が志していた君子の姿であった)
(左匡輝にとって、いつまた問題を起こし自らの障害となるかわからぬ左景義の存在はまさしく内憂であった)
(景義よりは知性も品格もあるが、皇帝の自由奔放な言動も左匡輝にとって悩ましいものであった)
(以前皇帝が宮中でその場にいてはならないはずの下賤な男に声をかけていたということがあったという)
(また、夜な夜な皇帝が禁裏を宮中を抜け出し庶民と戯れているという噂もまことしやかに囁かれている)
(もしも、皇帝に悪意を持つ者が皇帝の奔放さを利用して罠を仕掛けたとしたら・・・)
(せっかく睿宗が建て直した帝国が危ういものとなっていくことを考え、背中に寒気を感じた)
(匡輝にとって、官吏として忠誠を誓う対象は皇帝ではなく帝国だった)
(帝国さえ磐石であるのならば皇帝は多少頼りなくともかまわない)
(その分、官吏たちが帝国への厚い忠誠心のもと皇帝を輔弼すればよい)
(それが五年前、妥協の末に左匡輝が導き出した答えであった)
(しかし、その皇帝が自ら帝国の行く末を火中に放り込むようなことをするのならば・・・)
(今一度皇帝の適性を見直さなくてはならないだろう
250左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/03/30(火) 17:27:51
(そのような鬱々とした思いを抱いていた匡輝のもとにその報せが届いたのは二月の終わり、もうすぐ三月を迎えようという時期のことであった)
(左匡輝の故郷・隴西において大規模な反乱が起こり、州刺史・姚南が賊によって討たれたという)
(乱そのものは隴右節度使の楊昂譚によって鎮圧されたものの戦地となった隴西の状況はおそらく匡輝が考える以上に惨たらしいものであろう)
(姚南はかつて官吏の道を歩むにあたって左匡輝が目をかけてやった男であった)
(また、その他にも隴西の地には匡輝の縁故の者たちが少なからずいた)
(乱の詳報はまだ京師には伝わってきてはいない)

(だが、おそらくは・・・)

(匡輝は眉間に皺を寄せた悲痛な面持ちで目を閉じた)
(数々の政争を乗り越えるごとに険しくなっていった匡輝の顔がさらに険しいものとなる)
(匡輝はこのような乱が起きた場合、そして賊の城内への進入を許してしまった場合、真っ先に狙われるのが誰なのかを知っていた)
(隴西出身の高級官僚との繋がり―もちろん匡輝が望んでいない繋がりであったとしてもだ―を活かして私財を蓄えた者もいただろう)
(或いは父祖から四代に渡ってより高い地位に上った左家は、たとえ傍流であろうと地方の名士と呼ばれるに相応しい財を築いていた)
(それらの者たちは人々の羨望の眼差しと同時に、どす黒い憎悪の感情も抱かれるのが当然の理であろう)
(左匡輝は儒の理想を求道していたが、同時にきわめて現実的な考え方のできる人間でもあった)
(肉親や縁故の者たちの安否に希望的観測などは決してしない)
(冷酷なようではあるが、そのような人間でなければ権謀術数渦巻く宮中で出世などとてもできないのだ)

(その報せが届く数日ほど前に、左匡輝は皇帝に呼び寄せられた)
(皇帝の傍らにはすでに門下侍郎・焦景栄がいた)
(宦官に出し抜かれたような気がして匡輝は内心穏やかではなかったが、つとめて威儀を正す)
(皇帝が昨夜太液池で満身創痍の白虎を見たという)
(白虎といえば帝国の西方を司る守護の一柱、それが傷つき血に塗れていたという皇帝の話に匡輝も何故だか胸騒ぎを覚えた)
(このような不思議な話を皇帝がするのは初めてのことではない)
(普段であれば匡輝は話半分に聞き流す皇帝のおとぎ話だが、この白虎の話だけはいつまでも匡輝に不安を与え続けていたのだ)
(帝国の西方、それはすなわち益州或いは涼州、そして・・・)
(焦景栄は皇帝に気の利いたことを言って落ち着かせていたが、結局匡輝は押し黙ったままであった)
251左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/03/30(火) 17:28:49
(隴西での乱の報せが届いた数日後、再び匡輝のもとに驚くべき報告が舞い込んだ)
(この帝国の一大事のときに、今度は皇帝が病に倒れたという)
(俄然、皇弟・白如月に近い官僚たちは鼻息が荒くなりはじめた)
(俗人どもが、と匡輝は彼らを軽蔑する)
(官吏を志した以上、やがては権力を目指すのはもちろん正しいことである)

(だが権力の基である帝国の、その屋台骨が崩れ落ちそうになっているのを喜ぶとは何ごとか。そのような者に権力は相応しくない!)

(匡輝は先日来の西方への不安に苦悩すると同時に、皇帝の不幸を望むような空気が宮中の一部に存在することへの怒りに震えていた)
(確かに左匡輝は皇帝・白牡丹のその地位にある者には相応しくない振る舞いには反感を抱いている)
(しかし一方で自分が皇帝を補佐することでその闊達さを政治に向けることができたならば、という淡い期待も抱いてはいた)
(何より白牡丹はあの名君・睿宗の子である、決して素質が無いわけではないだろう)
(それゆえ左匡輝は皇帝の病の平癒のために古来の礼教の作法を正しく守り、そして必死に祈りを奉げた)
(それは亡父・左真が死にゆくとき以上のものであった)
(文武百官の祈りが天に通じたのか、無事皇帝は病に勝つことができた)
(皇帝と白虎との遭遇から今日までの半月ほどの間、常に皇帝をそば近くで支え続けていたのは焦景栄であった)
(だから病の床から脱した皇帝が、真っ先に焦景栄に声をかけたのも当然のことであろう)
(宦官なのであるから皇帝に近侍することが彼の務めなのであるが、匡輝は今まで蔑視していた彼に対して尊敬の念と敗北感の混じった感情を抱くようになった)

(皇帝が復帰して初めての朝議は当然隴西での反乱に関するものであった)
(隴西の乱に関しては匡輝もまたさまざまな感情を抱きながら注視していた問題である)
(皇帝は節度使・楊昂譚を京師に召喚するつもりであった)
(彼もまた匡輝と同じく隴西の子であったが、出自の卑しさゆえに未だお目にかかったことはない)

(楊昂譚・・・いったいいかなる武士であろうか・・・)
(姚南ほどの男を殺めた賊を見事討ち果たした武勲、それは素晴らしいものだ)
(だが、何故であろう?)
(その名に思いを馳せるたび、妙な胸騒ぎがする)
(楊昂譚という男、しかと見極めねばならんな・・・)

(梅の花が咲き誇る宮中庭園を一瞥し、匡輝は中書省―それは彼の公務の場であり、宮中における拠点であった―へ足早に向かう)
(春の暖かな風がそっと草花を揺らしていた)
252左景義 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/03/30(火) 17:30:32
>>184
(皇帝からの突然の書は左家の家中を大いに動揺させるものであった)
(確かに皇帝は歓待や警護を拒絶している)
(しかし帝国に仕える中書侍郎の邸宅で何か変事が起これば、それは左家の破滅を意味する)
(皇帝の自由意思を尊重すべきか、それともいにしえの礼法に従い君子を迎え入れるか)
(この家の主の選択はきわめて明快かつ面白みの無いものであった)
(満月の夜まであと二日、左家は皇帝を歓待するための準備に大慌てであった)

(皇帝が語り合うことを望んだ、かつての槐の若木は見上げるほどの高さと大人の男二人が腕を伸ばしてようやく抱きかかえられる太さの大木となった)
(その槐の木の股に腰掛けて李を齧っている左景義は、忙しそうに廊下を走り回る使用人たちをつまらなそうに眺めていた)
(もちろん左景義にも仕事は与えられていた)
(その仕事とは、皇帝が左家の邸宅に訪れる晩、決して屋敷にいてはならない、西市にでも遊びに行っていろ、というものだった)
(兄にそう命じられたとき、自分ではわからないがいつものように反抗的な眼をしていたことだろう)
(別に景義は左家の中での自分の立場を良くしたいとか、いと尊き皇帝とお近づきになっておきたいとか、そんな願望は持ち合わせていない)
(だがこうも露骨に左家の大事から排除されると、無性に腹立たしいし、悔しくもなる)
(景義は嫌なことがあったり考えごとをしたくなったりしたとき、愛馬を駆って左家の邸宅を飛び出すことにしている)
(行き先にあてはないが、生まれ育った西市か、或いは京師のはずれ痩西湖のどちらかにいつも自然と向かっている)
(嫌なことを忘れたいときには西市の喧騒に溶け込み、何か物思いに耽るときには痩西湖の静寂に包まれる)
(そうすれば数刻後には景義はいつもの奔放な少年に戻っているのだ)

(春風が景義の前髪を撫でる)
(景義は兄や左家への反発から、漢人風の長髪にすることを拒絶し、かつて母に連れられて見物した胡楽の楽団員のような短髪にしていた)
(それも兄たちから顰蹙を買う一因となっていたが、今さら長髪にしたところで左家に受け入れられるわけがない)
(景義もそれを理解していたので、決して髪を伸ばそうとはしなかった)
(齧るべき李がすべて腹の中におさまっていることに気付いた景義はひょいっと槐の枝から飛び降りる)

・・・こんな所にいてもつまらないな

(自然と足が厩舎へ向かう)
(景義がファルザードと呼んでいるその栗毛の愛馬は、景義の姿に気付いたのか嘶いた)
(左家で唯一景義に心を開いてくれる存在がこのファルザードだった)
(景義は冷たく扱われる左家にいても、この馬といる時だけは孤独を感じなかった)
(あまりにも厩舎にいる時間が長いため、匡輝は一度景義に厩舎の仕事を任せたことがあった)
(だが景義はこのファルザードと名づけた馬ばかり可愛がり、他の馬の面倒をほとんど見なかったために仕事を下ろされた)
(それも当然だろう、景義にとってファルザードは馬ではなく、まさしく友であったのだ)
(左家の人間は誰も知らないが、亡き景義の母が彼のことをファルザードと呼んでいた)
(景義にとってファルザードという名は特別なものであり、だからその名を親友に贈ったのだ)

さて、今日はどこに行こうか?
西市がいいかな?それとも湖に行こうか?
ハハッ、君の行きたいところは俺の行きたいところでもあるんだ
任せたよ、ファルザード

(今度は何日くらい外をふらつこうかな、などと考えながら景義は友の背にまたがった)
253白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/30(火) 18:23:31
>>243-245
今年もまた、広陵に花の季節が訪れた。
蜀岡から見下ろす、珠玉のような京師の眺めは如何程美しいだろう。
花霞が街を蓋い、その間を縫うように痩西湖が横たわっている。
恋人たちは連れ立って歩き、鳥獣も恋に心動かす。
うららかな春の陽気は、ここ暫くの宮中の陰鬱な気をも吹き飛ばしていた。

─痩西湖や蜀岡に遊びたい。というのが、白牡丹の素直な望みだった。
政事堂の開催までは、これといって皇帝のすることはない。逆に、今を逃しては、いったい今度はいつ
広陵の風景山水を愛でることができるだろう。
しかし、危急というのはいつ降りかかるかわからない。
人の手の加わらない、在りのままのそれに比べれば……という気はしたが、
宮中の庭園であっても、草木は草木、皇帝の愛した自然物なのだ。今日、閉廷したら、太液池に遊ぶことにした。
外へ出る用なら、満月の夜、槐の君と語らうという極上の予定がある……。

起床して、すっかり衣裳を整えてしまうと、開廷までの時間を絵を描いて過ごす。
絹の手巾に、細筆を走らせる。墨の線は川が流れるように走り、胡蝶の姿を形作ってゆく。

そこへ、焦景栄が参内した。


やあ、お早う。
(一寸顔を上げて、短い挨拶。それで充分だった。再び顔を手巾に戻し、蝶の描画に戻りながら)

朕が病気で倒れてからというもの、景栄はいつも、官僚の中で一番に顔を見せてくれるな。

(そうやって身を削って……。今度はお前が倒れたらなんとするのだ。
 …と余程言いたかったが、焦景栄は皇帝に気を遣われようものなら、余計な心配をかけまいと
 さらに「完璧」に振舞おうとするだろう。彼はいつもそうだ。人のことをとてもよく見てくれるくせに、
 自分のこととなると、自分ひとりで背負い込もうとする。)

…おまえ。(不意に、皇帝の手がぴたりと止まる)
誰と、話したんだい?

(ずっと絵を描いていたから、皇帝は彼の姿を見ていなかった。
 でも、彼の体から、何か穏やかならぬ波長を感じた。母から受け継いだ、第六感だった。
 水面のような静寂の中に、わずかに孕んだ陰の気を、白牡丹は見逃さなかった。)
254白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/30(火) 18:29:06
>>246
ありがとう、将軍。
(はきはきと、自身を気遣う言葉をかけてくれる劉空来に、笑みとともに感謝の言葉をかける。
 そのまま眼を練兵場に向ければ、禁軍の兵は思い思いに円座を作り、仲間同士で快活に談笑している。
 走り回り、相撲を取り……そこには砂塵が舞い上がっていた)

そう、本当に、ずっとこのまま、治世が続けばよいな……。
このどこまでも広がる青い天のように、愁いのなく、全てのものが和すことのできる世の中。


─だが将軍は、それでは、いかぬ。
そなたは北衙禁軍一万のみならず、帝国の全軍を統帥する現・最高司令官であろう。劉空来。
戦場に於いて、あの者たちの命は、将軍の双肩にかかっているのだ。

(皇帝の言葉は、あくまでも静か。寂しそうですらあり、眼を兵達に向けたまま、
 隣に居る将軍に向けてぽつりぽつりと語る)

少しの判断の誤りが、遅れが、そなたを信じて従う兵を皆殺しにしようぞ。
将軍と兵士は上官と部下でもあり、「家族」でもある。「家族」を守るのが、そなたの役目だ。
そのためには、いかにせば戦乱を未然に防げるか、防げぬとしても万全の状態を作り上げられるか、
そして開戦という最悪の事態に至ったとしても、一人でも犠牲を少なく勝ちを得ることができるか……。
常日頃、考えておかなければならぬ。

幸い、将軍は一人ではない。
二人の宰相が居り、そして楊昂譚が情報を齎してくれる。
…決めた。今度開催される政事堂に、将軍も出席するんだ。頼んだよ。これからのこと。

(それだけ言うと、振り向きざまに劉空来の肩を叩き、そのまま引き返した)


【※政事堂】
後代の王朝に於いて、正式な内閣の名称となった政事堂。当代ではまだ、臨時の宰相会議を指した。
必要に応じて開催されると、門下省内に宰相格の吏僚が集合し、その決定は国政に大きな影響を及ぼした。
255李畢嵐 ◆OBNJddam46oq :2010/03/30(火) 21:03:42
既に心肺が停止した赤ん坊に、美しい女はそっと微笑んだ。
女の微笑みに呼応したかのように、赤ん坊の頬には血の気が戻り脈は弱く打ち始めた。
血塗れの、豚の臓物のような赤ん坊。産み落とされたばかりだというのは一目瞭然だった。
母親であろう小柄の痩せた女には赤ん坊に微笑む美女の姿が見えないらしい。手に掛けたばかりの赤ん坊が息を吹き返した事に、母親は驚愕していた。

次に『彼』が美女に会ったのは、九つの時だった。
日々の生活に疲れ、窶れ藁や草の匂いがする母親とは違い、彼女は若く、美しく、花のような良い香りがした。
『彼』には直ぐに彼女がわかった。

「坊や、お名前は?」
九年前と変わらぬ姿で美女は訊ねた。

「畢嵐。」
「嵐が終わる……いい名前ね。」
『お姉さんの名前は?』

そう聞く前に美女は紅く光る唇を僅かに上げながら、畢嵐の産毛の残る耳にそっと囁いた。

「私の名前は……人は私を花姑と呼ぶわ。そうね。貴方なら……私の事は『花姑様』とでもお呼びなさい。」

畢嵐の口から是の音が漏れた。それしか端から用意されていないような、命令と呼ぶには柔らかな物腰。
花姑は満足げな笑みを唇に浮かべ、畢嵐の細い髪を撫でた。春風に髪を撫でられたような、心地よさに少年・李畢嵐は子犬のように身を捩らせた。
256焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/03/30(火) 21:50:42
>>253
(皇帝の詰問するような声に、女官が身を強張らせた。)
(その場に立ち会わせた皆の目が等しく、焦景栄の長身に注がれた。)
(皇帝の傍らに白呈春・承芳兄弟の瞳を見つけ、焦景栄は笑みを崩さぬまま皇帝に返した。)


焦景栄「弟の李畢嵐相手にございます。義父・劉瑶の家を継いだのはあれでございますが、義父の仕事を継いだのは私。同じ宦官とは云え、
二人でやっと義父一人分という。早く義父のようになりたいものでございます。」

(自分には、感情という物が存在するんだろうかと屡々焦景栄は考えた。在るには在るのだろう。)
(だが、人が感情を抑える事に苦労するのと逆に、焦景栄は感情を顕わす事に苦労する事があった。)
(演技をするのは得意だった。だがそれも演技とは別の、天成の物には敵うまい。)
(白承芳は年若いせいもあるのだろうが、天成の表現者だった。役者である焦景栄とは別物だった。)
(白承芳の素直な物言いや表情を目の当たりにする度に、微笑ましさを感じると同時に焦景栄は己の中の禍々しい醜い物がさらけ出されるようで、暗い気分になる事があった。)
(焦景栄の微笑みに対し、白呈春は目礼し目に笑みを浮かべ、白承芳は右手を子供のようにぶんぶんと振って見せた。)

(生母と同じく勘の鋭い皇帝には、何か見えたのだろうか。)
(焦景栄は今すぐにでも鏡で己の姿を確認したい気分になった。だが、そのような事は『影』である焦景栄には許されぬ事だ。)
(絹の上を滑っていた筆は、胡蝶の姿を形成しつつあった。皇帝の心をくだらぬ事で煩わせるわけにはいかない。皇帝と宮中の平穏を保つのも影である己の役目である。)
(画のように無から有を生み出すというわけでもないのに、『保つ』という事のなんと困難な事だろうか。)

焦景栄「宮中にも本格的に春が参りました。絵筆を暫くお持ちにならなかったのに、益々精進されましたね。絹に描かれた羽が朝陽に輝き、今にも動き出しそうです。」

(世辞ではない本心だった。)
(焦景栄の言葉に満足したかのように春風が絹の手巾を掠い、ひらひらと飛んで行った。)

257白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/30(火) 22:39:25
>>256
そう…。
(焦景栄の目を見たまま、短く返事をする。
 「そう…。」それを言うだけの、ほんの一瞬。だけれど、それは感じるものにとっては
 とても長い時間に思えただろう。

 目や声色に浮かんだのは、疑念でもなければ驚嘆でもない。如何とも読み取り難い感情。
 皇帝自身でさえ、一体自分がなぜこんなに過敏になっているのか、わかっていないのだ。
 
 ただ、たしかに焦景栄から感じられた極々微弱な陰の気は、無意識に皇帝の神経に働きかけるものがあった。
 なんとすれば──その気を発する者は、宮廷の一部の女官や高官、春の草木、そしてあの白虎など、
 皇帝の周囲に複数居て、やはり無意識の範疇で皇帝に刺激を与えていたからだ。
 焦景栄を視界に入れず、気配のみを感じていたため、
 《いつもの気色と違う》ことを敏感に感じ取ったのだろう)

李畢嵐。
そうか、いや、ごめん…。変なことを訊いたな…。

(自分の感情を疑うように言うと、再び手巾に目を落とす。精密な筆運びは先ほどと全く変わらず、
 遂に一羽の見事な胡蝶が形を成した。
 景栄の言葉、そして春風に乗ってひらひらと飛んでいく手巾に満足したのか、
 皇帝はすっかり表情を戻して)

今の風にも、きっと意味があるんだろうな。
258白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/30(火) 22:48:07
【大明宮 太液池】

んんっ──(そうだ、外って、こんなに明るい場所だったなっ)
久しぶりだ、こんなに晴れ晴れした気分。

(風そよぐ音と、葉擦れの音を除いたら、何の音もしない。本当に、時間が止まってしまったようだ。
 人の寸刻みの時間ではない、悠久の時の流れの中に再び身を置けた開放感!
 春の空って、なんて懐が広いんだろう。雲も、光も、みんな柔らかくて──目を閉じても、しっかりと伝わってくる。
 むしろ、目を閉じていたほうが、自他の区別が取り払われて、混ざり合っていける気がして……。)


………………………………。
………………。
……………………。
…………………………………………。
…………。
………………………………。


(──長いこと、長いことそこに座っていた。自分が白牡丹だということすら、忘れかけていた。
 ただ、静寂と風と景だけがそこにあった。


   ひらひらひら…


 何だろう。見れば、これまでに見たこともない──その筈だ──、優美な胡蝶が舞っていた。
 蝶は皇帝の周りを戯れるように飛び回っている。)


おまえは、朕の絵から出てきたのかい?
それとも、この春の陽気が待ち遠しくて、蛹から孵ったばかりなのかい?
訊いても詮無いことだね。…それにしても、おまえは綺麗だねえ。見た目だけじゃなく、いろいろと。
あはは、本当は、魂の形に綺麗も汚いもない筈なんだけどね。
とかく我々は、自分の生き筋や行動についてああだこうだ考えて、自分は綺麗だとか汚いだとか
勝手に決めてしまうものなんだ。

なあ、朕のところはいいから、おまえ、誰か別の人のところへ行ってやれよ。
それで、少しでもその人が心を楽にしてくれるようになってくれればいい。


   ひらひらひら…


──その日の夜、焦景栄が何気なく室の外を見やると、仙女の具現かと思わんばかりの胡蝶が、
栩栩然として舞っていた。
259白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/30(火) 23:10:23
>>252
──それから二日後、満月の夜。皇帝の車駕はしずしずと左邸へ向かっていた。
夜の闇に灯が浮かぶ光景は、さぞかし幻想的だろう。
左邸の門前で、皇帝は車を降りる。ここで待っていて。御者に伝えると、彼は門をくぐった。

…なんだこれは。すでに歓待の準備は万端整い、警護の者たちがひしめいている。
家長の匡輝を先頭に、左家の者たちが礼を取って待機している。
…そうだ、こいつはこういう男だった。腹立たしかったのは事実だ。
こういう物々しいのは、皇帝の趣味に合わない。それに、今日は人間に会いに来たわけでも、
飲み食いをしに来たわけでもない。ただ、暗闇の中で槐の木と語らいに来ただけだ。

一瞬、帰ってしまおうかと思った。しかし、すぐに思う。
左匡輝は、──確かに古の礼法に従うことをよしとしたのであろうが──自分の機嫌を損ねても、
この自分の身に如何なる変事も起きないよう、細心の注意を払ってこういう指示を出したのだ。
たった数日で、これだけの準備を整えるのに、どれほど骨を折ったか。
内文の通り、歓待も警護も不要という言葉に従っていたなら、どれほど楽が出来たか。

そんなことを思いながら、皇帝は目の前の主人に向けてこう言った。


「ばかじゃないのか…」
260左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/03/31(水) 05:48:34
>>259
(東の空に満月、春とはいえ日没から一刻ほど経ったこの時間には少しばかり肌寒さを感じる)
(もちろん厳寒の隴西に生まれた匡輝には気にならないものだが、使用人や警護の者たちは寒さを必死にこらえている)
(匡輝は彼らに、いくら寒くても決して身震いすることなく威儀をただすように厳命している)
(今宵は左家の威信をかけて見事歓待せねばならない貴人がやってくるのだから・・・)
(急な要請ではあったが匡輝は持ち前の調整能力を如何なく発揮し、皇帝を迎える準備は万端にととのっていた)
(煌々と焚かれたいくつもの篝火は夜闇を払い、その輝きで左家の庭園をうっすらと照らし出す)
(槐の木の前には新調された緋色の絨毯が敷かれ、その上には美しく装飾された机と椅子が置かれている)
(邸内の厨房ではその机に運ばれるための料理と酒も用意されていた)
(また卓から少し離れたところには香炉が置かれ、甘い沈香が焚かれている)
(皇帝のための席から二十歩ほど離れた場所では楽隊が礼楽を奏でる合図を待っている)
(邸宅の四方の門、そして塀壁には警護の者が配備され万が一に備えている)
(匡輝は執事・高道常を伴い、これらの支度が万事抜かりなく整っていることを自ら確認して回った)
(自然と満足げな笑みが浮かぶ)
(いつも仏頂面の匡輝が笑っているのに気付いた道常は一瞬怪訝な顔をしたが、すぐに主の心の内を察した)
(皇帝から文が届いたのが三日前の昼過ぎであったことを思えば、僅かな時間でここまで歓待の用意をととのえられる者が文武百官のうち何人いることか)
(宮中での職務に忙しい匡輝に代わって陣頭指揮を執った道常も、主と同じように誇らしげな笑みを浮かべた)
(邸宅の南側、正門の前に戻ってきた二人に使用人が小走りして寄ってくる)
(使用人に何やら耳打ちされた高道常は一度頷き、主のほうへ向き直る)

高道常「陛下の御車は先ほど永興坊の西坊門の前を通り過ぎられたとのことでございます」

そうか、ではもう間もなくだな・・・
楽隊の用意を、それからご食事の盛り付けもだ

(道常はすぐに使用人を厨房へ走らせ、自らは楽隊に演奏の開始を指示すると白い顎鬚を撫でながら匡輝のもとにかえってきた)
(祖父の代から左家に仕え大小さまざまな家事をこなしてきたこの老人だが、やはり皇帝を迎えるという一世一代の大仕事の前では緊張の色を隠せないでいるようだ)
(左匡輝もまた、左家はじまって以来の大事に心身が引き締められている)
(その一方で建国以来ついぞその機会に恵まれなかった祖先たちのことを考えれば、自分は左家一の孝行者であると誇らしく思える)

高道常「おや、随分ご機嫌でございますな?」

うん?道常にはそう見えるかね?

高道常「ええ、それはもう」
   「殿は十歳を過ぎた頃にはあまり喜怒哀楽を顔には出さぬようになりましたが・・・」
   「しかしながら、今宵は久しぶりに殿の楽しそうな顔を拝見でき、爺も嬉しゅうございます」

(匡輝は道常の言葉には答えず、口許にわずかに笑みを浮かべただけだった)
(だがそれだけで匡輝の心の内はじゅうぶん道常には伝わる)
(道常もまた、満面の笑顔でそれに答えたのだった)
261左匡輝@中書侍郎 ◆9I/GgHNHEF0j :2010/03/31(水) 05:50:08
(そうしているうちに皇帝の御車が正門前に止まった)
(匡輝が左右の手を合わせ頭を下げると、家中の者たちもそれに倣う)
(厳かな礼楽の旋律が皇帝の足音を消し去る)
(匡輝は頃合を見計って頭を上げ、皇帝の顔を真っ直ぐに見据える)
(経典から抜粋した言葉をいくつか交えながら皇帝の来訪を歓迎する祝辞を言上し、皇帝の言葉を待つ)
(ところが・・・)

「馬鹿じゃないのか・・・」

(予想だにしなかった皇帝の言葉に一瞬匡輝は驚きと焦り、そして憤りの混じった表情を浮かべた)
(だが流石は宮廷内の政治闘争を生き延びてきた儒者である、すぐにまたいつもの渋い顔に戻す)
(例の悪癖である咳払いをひとつし、口を開いた)

・・・いやはや、これは手厳しいお言葉でございますな
確かに陛下は出迎えも歓待もいらぬ、と命じられましたが、隴西での賊どもの乱のこともあります
陛下のご威光に従わぬ痴れ者どもが何をするかわかりませぬゆえ、何卒ご容赦のほどを・・・
さて、当家の庭園の槐にお言葉をかけられたいとのことでございましたな?
ただ今ご案内いたしますゆえ、どうぞこちらへ・・・

(匡輝は皇帝の半歩前を歩きながら酒食のもてなしがととのえられた槐の前の席まで案内する)
(皇帝と匡輝の回りを固め、ぞろぞろとついてくる警護の者たちに、皇帝は非常に不愉快そうな顔をしている)
(しかし、今は皇帝の不興を買うことよりも、皇帝に変事が起こることのほうを匡輝は恐れていた)
(皇帝が席に座ったのを確認し、匡輝はさっと左手をあげる)
(楽隊は礼楽をやめ、代わりに宴の音曲を奏ではじめた)
(それを合図に警護の者たちは槐と皇帝から三十歩ほど離れる)
(皇帝は相変わらず不機嫌そうであるが、匡輝は気にしない)
(この邸宅から皇帝が帰るときに少しでも機嫌が良くなっていれば、それで匡輝は立派に務めを果たしたことになる)
(皇帝の盃に酒を注ぎ、槐の木の経歴を語った匡輝は一礼して皇帝の席から十歩離れ、礼をとったまま直立不動で待機した)
262名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 07:44:11
こんなふうにたくさん中学生が書いていると、
どこかで知らず自分の生徒と話していそうで怖いじゃないか
違いますか白牡丹先生
263名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 07:45:20
精液 精液、精液、精液
精液、精液、精液、精液
精液、精液、精液、精液
264名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 07:49:25
745 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/03/30(火) 19:50:18
では、沙流将軍の頭上にきらめく勝利の栄冠に添え、
このドゥーチェが接吻を行うことによって祝福としよう


746 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/03/30(火) 19:51:34
ドゥーチェの唇は薔薇の唇
あるいは瑞々しいさくらんぼの如き唇である


747 :沙流 ◆0cm5bEPo3u.2 :2010/03/30(火) 19:51:44
やめろよ俺にキスしていいのは女の子だけだ^^;


748 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/03/30(火) 19:54:22
むっ
勝利の祝福の接吻を拒絶されるとは、紳士にあるまじき非礼、騎士道にそむく行い!
それはこの【薔薇の騎士】アンジェ・ドゥ・メディシスに対する冒涜である

されば、接吻にかわり刃をその胸につきたて、ドゥーチェの騎士の志を完遂しようではないか!
はぁっ!


749 :ロコ大内五郎@三戦最凶夜露死^^ ◆6heAgF.FgWp2 :2010/03/30(火) 20:56:37
なんだか雑魚同士がガタガタうるせぇな^^

お前ら全員まとめて氏ねよm9^Д^)m9^Д^)m9^Д^)ジェトストリームプギャー


750 :ロコ大内五郎@三戦最凶夜露死苦^^ ◆6heAgF.FgWp2 :2010/03/30(火) 20:57:17
\(^o^)/
265名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 07:52:19
おいおいもっとストレートな表現を尊ぶようになれよ
ドイツでは女性器の匂いの香水が開発されたんだぜ。
その銘は“VULVA”

和訳すると「マンコ」だ
日本はもっと変態先進国としての誇りを持つべきだ
このままでは東の日本と対をなす西のHENTAI、ドイツに追い抜かれるぞ

杜若君!
いったい君はいつからマンコなどという下卑たもの言いをするようになったのだね!?
ああ、失望した!
ドゥーチェは君には優雅な紳士でいてほしかったんだ
266名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 11:49:24
スポンして死亡
267名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 11:53:17
ウじゃ虫
268名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 11:54:03
スポンして
269白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/31(水) 12:41:06
>>260-261
「ばかじゃないのか…」
この言葉を発した者と受け取った者の、感じ方の違いは、凡そ両者の人間の違いによるものだろう。
皇帝は真っ先に浮かんだ印象を素直に吐露し、ままならない不快感を素直に顔色に出した。
一方、左匡輝は今まさに一流の奏者によって奏でられている礼楽のように、
感情を何層もの仮面で押し隠していた。

─皇帝は、この礼楽というのがあまり好きではなかった。
礼楽、すなわち礼と楽。代々の王朝は、礼楽を正すことが政治の基本として、これを大変重視した。
なぜなら礼儀は社会の秩序を保ち、楽は人々の心を掴んで和ませるものだから。

音楽が、いったいいつから人の生活に溶け込んだのか、それを考えると途方もない。
だけれど、人は昔から場面に応じて多彩な音楽を作り、奏でてきた。
たとえば、殷から楚へと受け継がれた祭祀の楽。巫師は神との交感のための巫舞を舞い、
それは一連の難度の高い技巧や動作、特有の表現方法を洗練させて昇華した。
今では王室の独占するところではなく、広く民間の祭祀に於いても活発に歌い踊られている。

儒教の世になると、儒者は音楽の持つ力に目をつけ、これを統治政策の一環として利用した。
儒教趣味の雅楽が一体どんなものか、想像できるだろう。
あまりに「扇情的」で「みだら」な曲は、人々の心を乱す。西方の、魂の奥底を揺らすような楽に
感情を煽られ、皇帝と女官が体の芯を熱くし、蕩かし……では困るのだ。
だから、礼楽は厳然とした「かたち」を定めた。音律の配列からその奏で方まで。
当然ながら静と動の触れ幅も少なく、優美だ。優美だけど、生気が感じられない。…ぞっとする。

─呉帝国の太祖白羅敷は、鮮卑の出自だった。身分の低い、傭兵隊長だった。
前王朝の混乱と群雄割拠に乗じて、私兵を率いて決起した。
白羅敷は前王朝の煬帝として知られる、あの悪名高い葉広が【江都】と呼んで愛した広陵を
また愛し、ここに都した。呉帝国が地上に現れた。
白羅敷の、いいものは胡人文化であろうと受け入れる姿勢と、シルクロオド交易の発達は
帝国に自由な気風と文化の爛熟をもたらした。
歴代の王朝に比べれば儒教は後退し、思想・詩文の世界は多様性を極めた。

しかし、絢爛豪華な文化はやがては退廃を招く。
一度衰退した帝国を、その手腕によって見事に中興せしめたのが白牡丹の父、睿宗だ。
睿宗は経典を修めた学者皇帝、儒者皇帝だった。
彼は儒者を登用し、綱紀粛正に乗り出した。官僚たちの奢侈を道徳によって規制し、
厳格な法律の整備と敵対者の粛清を進めていく……。
こうして、新たな呉帝国が誕生した。
270白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/03/31(水) 12:44:17
(左匡輝は少し悪びれ、しかしこのもてなしへの自負を持って、皇帝を槐の樹下に案内した。)

…ほぉ……。
大きい。こんなに立派に……(匡輝の説明をそこそこに聞き流し、槐に歩み寄る。
驚いたのは左匡輝だろう。彼はその木肌を愛しげに撫でていたが、臆面もなく両腕を絡めて抱きついた。)


とくん、とくん…


偉いね、強いね…。ごめんね、二人で会うことができなくて。
でも、こうやって会えてよかった。

(槐の木が、何を思ったか知らない。ただ、夜風に心地よさそうにさわさわと葉を揺らしていた。)

槐の木よ、君が見えるよ。
五感を通して、君を感じる。
君の生が、地下深くから水を吸い上げる強く優しい鼓動がわかる。
指先から、触れ合ったところから伝わってくる静かで綺麗な気を感じる。
そして、見える。
葛巾に鶴の羽衣、藜の杖をついた美しい男。歳はわからない。年齢というものを、
そもそも超越しているように見える。
それが朕のために取ってくれた姿だね。

ありがとう…。(相変わらず太い幹を抱きしめ、頬をぴたりとくっつけて、穏やかな涙を流す)

次にいつ会えるのか、たぶん、直に会うことは、しばらくは難しいだろうね。
でも、夢の中を歩いてくる君の姿が、朕には見えるよ。こうして、縁が出来たからね。

……………………。
…………………………………。
……………………………。
………………。
……………………………。


左匡輝。すべてが、望む通りではなかったけれど、今夜、ここにいられてよかったと思う。
ありがとう。

(皇帝の頬は清浄な涙に濡れていた)
271名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 14:15:44
まんまんおっき
272オウミ ◆eTDu52hzuQ :2010/03/31(水) 15:28:20
仔雅オウミでーす。白いレースが付いたフリフリお洋服が大好きな
15歳の少女です。私の父親も若い頃、岡田有希子さんのファンだった
そうです。私は有希子さんに顔が似ているそうなんです。なのでよく
カラオケへ行くと父親に有希子さんの歌を歌わされるんですよ
私のブログ「仔雅オウミ」の私の写真を見て皆さん確かめてねキャーッ!
273名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 15:37:47
クマッタ蛆虫を隠すとためになりませんよ、白牡丹先生
274名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 16:27:29
ためになりませんよ
275名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/31(水) 18:21:38
白牡丹さん、舟木一夫は40年代初めにずいぶんドラマの主題歌歌ってましたね。
あいつと私とか、銭形平次とか。
そういう記憶が強いですね。
ヒット曲は、これまた聴いた記憶がないです。

橋幸男はメキシカンロック、西郷は星娘、ピンクのカーネーション
願い星ーイェイイェイイェイとか、あの星は兄さんの星ーなど
どこかで聴いたことあって、覚えてます。
グループサウンズのブームも一段落した44年ごろには
御三家も三田さんも懐メロ歌手だったですね。
橋さんはその後、子連れ狼がヒットしましたが。
276陳勃鬼 ◆Z/QoHJCXAsq/ :2010/03/31(水) 22:48:45
>>270
なぜ2度もわたしの書き込みを無視するのですか?
わたしもこのスレの参加者なのですが。

ふと真面目に考えたのだが、そもそも陛下の精液は卑語にあたるのだろうか?
少なくともわたしには、汚いとか、いやらしいとか、そんなよこしまな気持ちは一切起こらない。
まるで人知れず高嶺で清楚に咲き誇る、野生の白牡丹を見つけたかのようである。
そう、造花には見ることのできない本物の美をわたしはそこに感じるのだ。

では、陛下の聖糞と言うのはどうだろう?
人間の老廃物、異臭を放つ汚物、そう嫌悪するものも多く見られるのは確かである。
しかし、ここでわたしは問いたい。
我々臣民の汚便と、陛下の聖糞とは、そもそも普遍的な同一性を持って語られるのであろうか?
答えは否である。
神格化されたもの(ここでいう陛下の聖糞)は、生れ落ちた瞬間、その神格性を同時に引き継ぐ。
つまり、他人の排便を好む食糞主義を、性的倒錯趣味が具現化した「自分への愛」というならば、
陛下の聖糞を好むことは、すなわち「神への愛」、という前者とは全く相対する思想なのだ。

わたしは、現代社会における信仰の喪失、また慈愛精神の忘失といった問題に、
我ら呉帝国の臣民たち原理主義者が立ち返り、国家臣民に最後の警鐘をおこなっているかのように感じたのである。
277焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/04/01(木) 14:51:36
(書物から目を上げると軽い頭痛がした。)
(幼い頃から目が人並み外れて良かった為か、焦景栄は老眼も早く三十六を超えた辺りからその兆候は見え始めていた。以来、症状は進行するでもなく、また、良くもなる事はなかった。)
(今頃、皇帝は左匡輝の屋敷で槐と会話でもしているのだろうか。)
(皇帝と行動を別にするのは久々の事であった。)
(「たまにはゆるりと休むが良い。」すっかり健康を取り戻した皇帝は、焦景栄を労った。)
(焦景栄は皇帝の言葉を遮ろうとしたが、静かな笑みで皇帝の好意を受け取った。)
(左邸の書棚に実父の著書を見つける事と、姓を変えたとはいえ生家と実父の事に話が及ぶのを避けたかったのである。知られたとて、なんという事はない。だが、好んで知られたい事ではない。)

(少年・焦景栄が家を出て間もなくの事。実父は念願叶い誰もがその名を知る儒学者となった。)
(四十八で実父は他界した。今や、焦景栄が『父』と呼ぶことができる生者は劉瑶ただ一人となった。)
(気が付くと父の享年に近い歳となっていた。あと十年もない。自分は何時迄生きる事ができるのだろうか。)
(自分は死ぬまで何かを残す事ができるのだろうか。)
278焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/04/01(木) 14:56:49
>>258
(梅花が薫る庭先に目を向けると、白梅の影からひらひらと胡蝶が姿を顕わした。)
(飼い猫の青青が目敏く胡蝶を見つけ狙い奇妙な踊りを踊り始めている。)
(青青は白に黒の斑が数点ある雄猫で、『青青』という名は『青出於藍而勝於藍』から取ったものだった。斑猫に『青青』と名付けた息子に劉瑶は「子供の名前のようで可愛いねぇ。」と目を細めた。)

(卓を急に右手で叩き。)
これ、おやめなさい!

(青青は、目を丸くして踊りを止め直立不動の姿勢を取った。)
くっ、ハハハハハ。おいで、青青。

(おかしな体勢を保ったままの飼い猫に笑いが込み上げ、焦景栄は青青を柔らかな声で呼んだ。青青は訓練された精鋭の様に、駆け寄ってくる。)
お前はいつも私に獲物を持って来てくれるね。春や夏の時分になると、朝目覚めて寝床が鼠や虫の死骸で埋まっていて驚く事ばかりだ。
死にかけの蛾に蟷螂、鼠に胡蝶に小鳥……私はお前からの贈り物を食す事ができぬというのに。

(青青の頭を撫でてやりながら。)
よし、よし。
お前は孝行息子だ。驚かせてしまったな。あの胡蝶を見て、陛下が描かれておられた胡蝶を思い出してしまってな。
何となく殺したくな気分になったのだよ。
(ひらひらと焦景栄の周りを舞う胡蝶に。)
うちの息子が怖がらせてしまったね。あれも、悪気はないのだ。許してやってほしい。
しかし、君は綺麗だな。まるで天界の仙女が胡蝶に姿を変えたようだ。
君を目にしたなら陛下はお喜びになるだろう。陛下はそういうのがお好きだから……。

さぁさぁ、綺麗な衣が傷つかぬように気をつけてお家にお帰り。

(焦景栄は、青青が胡蝶に悪戯をしない様にと青青の両手をしっかと押さえ、空中を舞う胡蝶へ青青の両手を振って見せた。)
(胡蝶はそれでも暫く焦景栄の周囲を舞っていたが、やがて焦景栄の意を察したかのように来た時と同じく白梅の向こうへ消えていった。)
(胡蝶を見送り、青青を膝上に乗せ再び机に向かう。)

しかし、左中書侍郎は無事陛下をお迎えできただろうか。
(答えは考える前より明らかだった。)
恐らく陛下は左中書侍郎の歓待には応えまい。
『出迎えは不要、歓待も不要。 槐の木と朕を二人にすること。 』それが陛下にとって一番のもてなしだというのが左中書侍郎にはわかるまい。
私から左中書侍郎に一言進言しても良かったのだが……一宦官の一言など左中書侍郎は良しとはしないだろう。
「宦官に自分の礼法がわかるものか」と怒りを感じるかもしれない。尤も、左中書侍郎は賢い御方。
その怒りの炎は隠したまま、宦官如きに怒りを覚えた自分自身を恥じるかもしれない。

報われない好意など、人は好まないものだ。
報われない位なら、こうして黙して居た方がいい。
それに、左中書侍郎も経験しておわかりになるだろう。陛下に影の如く仕える宦官と同じように察しろというのが、元来無理な話なのだ。
左中書侍郎のご気性を考慮した上で陛下は書状を書かれたのだろうが……。
文字という物は面妖なもの。気持ちを伝えようとしても、必ずしも文面通りには受け手に取られるとは限らないのだから。
さて、さっきは悪かったな。青青。遊ぼうか。

(焦景栄は懐から手巾を取り出すと、蝶の様にひらひらとさせ青青は手巾に向かって踊り出した。)
279陳勃鬼 ◆Z/QoHJCXAsq/ :2010/04/02(金) 00:05:39
>>278
ちんちん…。素晴らしい名の猫だな。
わたしのちんちんも、ほら、この通り…。
おっと、ちんちんを持たない貴殿にはわからないか。
御覧なさい、この先っぽから生命の源、すなわち精液が出るのだ。
焦景栄、貴殿はこの生理現象に神秘を感じないか?

わたしは陛下の精液を頂戴したい。
早く取り次いでくれ。
それが貴殿の仕事なのだろう?
280楊昂譚 ◆wVUC/WpwdU :2010/04/02(金) 01:13:40
>>237
――妙だな…、と郭勝は呟く。
  確かに格好は下男のそれであるのだが、何かが引っかかるのである。

郭勝「ほほう、貴様は罰を受けて…ですか?」
----「なるほど、なるほど」
----「其方も大変ですね、私の主人も酷薄さでは鳴らした御仁ですが…」

郭躍「いや父上、そりゃこんな事はしませんよ(苦笑)」
----「斬ってしまうんだから罰もへったくれもあったもんじゃあない」
----「まあ、こんな姿でも生き永らえることが出来るのは」
----「アレですよ、アレ…京師の平和の現れなんじゃないですかね?」

郭勝「ですね(苦笑)」
----「ところで躍、我が藩鎮において吾等が心構えとして一番大切なものは何でしょう?」

郭躍「いやぁ、えーっと…」
----「うーん」

郭勝「こらこら、分かっているでしょう?」
----「正直に申してみなさい」

郭躍「常在戦場、ですか?」

郭勝「そのとおり」
----「ならば、私がこれからすることは分かりますね?」

郭躍「いやちょっと…うーん」
----「あんまり波風立てるのはどうですかねぇ」

――郭勝は表情ひとつ変えずに抜刀した。
  そして、下男に扮した白承芳に声をかける。

郭勝「…貴様は、楊昂譚の名代として参った私に無礼にも下男の分際で声を掛け」
----「その上、貴様が知らなくても良い事を私に尋ねました」
----「身分を弁えず、その様な振舞をすれば我が軍では必ず斬罪に処す様、我が主人は訓示しております」
----「貴様は、残念ながら死ぬしか道が無いようですね」
----「まあ、それも運命なのでしょう」

――ひとしきり語りかけた後、郭勝は刀を振りかぶって勢い良く振り下ろす…

郭躍「…!?」

――ザクッと音がしたとき、承芳の髻は地面に転がっていた。
  郭躍が一瞬安堵の表情を見せるのを見て、郭勝はにやりと笑う。

郭勝「ふふふ、戯れが過ぎましたか?」
----「帝室の藩屏たる者が、自らその品位を損ねるような真似をするのは感心しませんな」
----「狂人を装うのは勝手ですが、過ぎたる火遊びは命を縮めますぞ?(苦笑)」
281白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/02(金) 03:44:57
髷が勢いよく地面に転がった。
参ったな。こいつらを通し楊昂譚という人物を見てみようと思ったんだけどな。
まさか髷を切るとはな。

(白承芳は郭勝の行為に双眸を常より丸くして、心の中で苦笑した)

やれやれ。これでは、珍客をもてなすことができなくなるではないか。
おれは京師で蔑まれる西方の英雄を少しばかり気の毒に思ってもいたのだが、やはり蔑まされるにはそれなりの理由があるらしい。
『入郷而随郷、入俗而随俗』を知らないのか。
燕王の下男の身体を斬ったとあれば、すなわちこれは燕王と帝室に刀を向けたことになる。
下男は主の持ち物というのが中華の考え。つまりこの客人は燕王の持ち物に瑕疵をつけたことになる。
考経も知らないはずはないだろう。

元より、下男として接することを決めたときから正体を明かすつもりはないが……。この客人も燕王の持物に傷をつけるということの意味を間もなく知ることになるだろうな。
282白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/02(金) 03:46:34
>>280
(一度目を閉じ、すっと息を吸い込むと大声で)

あいやー!
だ、旦那様方ーお戯れを!!
燕王家の周囲二十里、燕家以外の者は例え皇族でも帯刀すら許されないのをご存じではないのですか!

(目の前の客人が明らかに狼狽するのを見て、白承芳は思った。「やはり京師のことはなにも知らないんだな」)
(さて、お客人にはこれから京師の社会勉強をしていただくか、それとも……)
(思案する間に燕王家の武官たちが駆けつける。その中には白呈春の姿もあった)
(「こんなに早く駆けつけるとは……なんだ。さては最初から見ていたな」)

(兄の姿を素早く見つけ)

あいや!
時醒様、お許しを!!
奴才は時醒様よりお預かりしました髷を斬られてしまいました。
これ、奴才の不覚によるもの。お許しを!
お許しを!!
283白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/02(金) 03:48:39
(ひたすら自分で両頬を平手打ちしてみせる。ぴしゃっ、ぴしゃっと鳴る頬はやがて真っ赤になり、音も濁った音になってきた)
(下男の姿のまま取り乱し許しを乞う弟の姿を白呈春は、いつもの冷淡な様子で眺めていたが『斬られた』との言葉に形の良い眉をわずかに顰めた。
斬るものを持っていた――帯刀は帝室への不敬であり、反逆の意を表したも同じことなのだ――白承芳は氷の下に潜む実兄の恐ろしさを知っていた。
『皇族であること』『燕家の長子であること』呈春のこの二つの誇りを何人たりとも傷つけてはならない。もしも、傷つけることがあったなら……
『死んだ方がマシだ』という目に遭わされる。恐ろしいことにはそれは肉体的な嗜虐よりも精神的・社会的嗜虐であるということなのだ)

白呈春「ほぉ。お前はこの者が燕王家の所有物だと知っておきながら、また、二十里帯刀禁止を知りながら燕王家の所有物を傷物にし、
挙句楊昂譚の名代だと言い張るのか?」

(白呈春が武官に目配せをしたのと武官の刀が「ひょう」と鳴くのと同じだった。地面には合計三つの髷が転がった)


白呈春「無礼? 例え下男一人でも、燕王家の者が一地方官吏の者以下だと? お前たち京師を知らぬにも程があるな。
そこの物を宣政殿まで連行しろ。ことの次第を陛下と楊昂譚に伝え、陛下のご聖断を仰ぐことにしよう」

(『者』ではなく『物』と白呈春は言った。多勢に無勢。郭勝、躍の二人は燕王家付の武官たちに髷を斬られ後ろ手に縄を掛けられ檻に入れられ馬にひかれることになった)

白呈春「ああ、それから……」

(白呈春はまるで朝食後の茶を所望するような平然とした様子で武官たちに命令した)

白呈春「首には罪状を書いた札を下げさせるように」

>>216
【さぁ、陛下ご聖断を!!】
>>228
【楊昂譚も陛下に行動を起こしてください】

※唐代の一里=559.80米
284白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/02(金) 05:55:07
>>280
>>281-283

【大明宮 宣政殿】

(左邸の槐を訪なったのとは、別の日の出来事)

風が強い。こういう風は、好きなんだよな。もしも髷を解いたら、髪の一筋一筋煽られ飛ばされそうだ。
ついでに、頭の上に圧し掛かった諸々の陰すら飛ばしてくれそうな気がするから小気味がいい。
はは、あそこで二人三人、官吏が顔を押さえて俯いて歩いてる。
息すらままならないか。こんな日には、人通りも少ないだろう………──って、あれは……。


  ざっざっざっざっ…


遠くの方で、黒々と列をなして此方を目指してるね。あれは、何?

(すでに燕王家から馬が出て、報せは大明宮に届いていた。
 皇帝が問うと、即座に宦官が進み出て書簡を読み上げる。ああ、なるほど。
 檻車を物々しい武官が引っ立てて、刑部ではなく宣政殿を目指している。
 皇帝直々の判決を要する刑事問題などそうそうあるものではないが、楊昂譚の名代を名乗る者が
 燕王家と帝国の律令、それも歴代王朝にみられる決め事を蔑ろにしたというのだから仕方ない。)

仕方ない、で済ませるのもどうなのかな。(ふと浮かんだ自分の発想に少々のつっこみを入れて)
下男か。(…承芳のことだったりしてな)…下手人も、下手を打ったね。
燕王家の所有物に瑕疵を付けるぐらいなら、他にやりようがあったろうに。
あの家は朕よりも余程怖いというのに。……着いたみたいだね。


(皇帝が姿を見せると、燕王家の武官は檻車を取り巻きすでに整然と直立していた。
 彼らは一様に膝を折り、再び立ち上がると檻車が、その中の罪人が前に押し出される。
 髷を斬られ後ろ手に縄を掛けられ、首から罪状を提げた青白い二者の顔を覗き込み)


彼らが本当に楊節度使の名代なのか、知りたい。
節度使をここに呼んでくれ。…まあ、騒ぎを聞いておっつけ来るかもしれないけど…。
285白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/02(金) 06:48:21
>>280
ごきげんよう。政事堂の前に、こんな形で宮廷に呼びたくはなかった。
だけど、聞いたかな、そうせざるを得ない問題が起きてしまった。
先頃宣政殿に檻車が連行された。──これも統一以来ついぞなかったことだけれど、それはこの際いい。
罪人は二人で、彼らは堂々と節度使の名代を名乗ったらしいんだ。
そうだとしたら、困ったことだよ。
《楊昂譚は配下にあのような振る舞いをさせることで、皇室の実力者に叛く意図を見せた》
そう取る者も出るだろうね。

節度使には、覚えのないことかもしれない。卿を謀ろうとして、誰かが仕組んだことかもしれない。
いや、普通に考えればそちらの線で考えたほうが筋が通っている……そのぐらいの問題だ。
そうだとしたら、誰も望まぬ不条理な災難だろう。卿の悪評が立つぐらいならまだいい。
燕王白果は強力な政治基盤を持つ親王だ。不埒者の謀りのために、また多くの人が闇に呑まれるかもしれぬ。
戦場では千、万の兵の血が大地を染めるんだってね。
宮廷ではね、血が流れたことなんて誰も気づかないんだよ。
ある日突然いなくなって、それきりだ。それも一人、二人の失踪じゃない。

ともあれ、罪人のもとへ案内しよう。まだ連行されてきたときのまま、宣政殿の前庭に居る。
そして真に節度使の配下かどうか、確かめてくれ。
そして悲しいことだけど、いずれにせよ、罪人の処遇は変えられないよ。
弁護できるような問題じゃないんだ。


─さて、彼らだ。
見覚えは、あるかな。
286名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 08:06:40
もろにメンヘラ臭の漂うクマッタ
287名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 12:00:24
蛆虫アンジェ
浮浪者ととのえ
統失患者クマッタ
ひ魔神はいだらー
高卒無職ひょーりみ
サイコパスゼロセンチ
288陳勃鬼 ◆Z/QoHJCXAsq/ :2010/04/02(金) 12:07:41
>>284
なぜあなたはわたしのレスを何度も無視するのですか?
あなたは特定の参加者だけしか認めない、閉鎖的なスレ運営を是としているのでしょうか?
今回のレスを最後通告とします。
このレスに対する反応が無かった場合、排他的閉鎖的スレッドとして相応の対応措置を取らせていただきます。


ふと真面目に考えたのだが、そもそも陛下の精液は卑語にあたるのだろうか?
少なくともわたしには、汚いとか、いやらしいとか、そんなよこしまな気持ちは一切起こらない。
まるで人知れず高嶺で清楚に咲き誇る、野生の白牡丹を見つけたかのようである。
そう、造花には見ることのできない本物の美をわたしはそこに感じるのだ。

では、陛下の聖糞と言うのはどうだろう?
人間の老廃物、異臭を放つ汚物、そう嫌悪するものも多く見られるのは確かである。
しかし、ここでわたしは問いたい。
我々臣民の汚便と、陛下の聖糞とは、そもそも普遍的な同一性を持って語られるのであろうか?
答えは否である。
神格化されたもの(ここでいう陛下の聖糞)は、生れ落ちた瞬間、その神格性を同時に引き継ぐ。
つまり、他人の排便を好む食糞主義を、性的倒錯趣味が具現化した「自分への愛」というならば、
陛下の聖糞を好むことは、すなわち「神への愛」、という前者とは全く相対する思想なのだ。

わたしは、現代社会における信仰の喪失、また慈愛精神の忘失といった問題に、
我ら呉帝国の臣民たち原理主義者が立ち返り、国家臣民に最後の警鐘をおこなっているかのように感じたのである。
289名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 12:27:12
ブス雲先生が高岡ふぁびょるくんと百原博史に輪姦されたって本当ですか?
290名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 12:31:17
>>288
メンヘラクマッタ死ね
おまえの自分本位の書き込みがスレを醜悪なものにしているのがわからないのか
心の中がレスに出るとはよく言ったものだな
291名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 12:33:10
224 名前:伊達政宗 ◆K0CH6dRBR6 :2010/04/02(金) 12:27:04
>>222
2ちゃんに居座ることで人生立ち止まるとてめー言ってたよな〜www

えーコラッw


伊達が潜伏してるな
292名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 12:52:26
曹洞宗のCMをやるようになったな。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 13:25:26
もう40後半のクマッタのように深夜に追いやられてコントをすべきだね
1998-2003年頃のクマッタは消える勢いだったけど腐らず深夜週一は続けてた
そしてある時期からかつては考えられなかったひな壇ゲストのような仕事でも受けるようになる
後にヒロミを蹴落とすことになる
あるある大辞典ゲストに初めて出ててたような頃は痛々しく
場違いオーラ全開で見てられなかったな
294名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 14:53:22
>>288
糞荒らしは消えろ
295名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/02(金) 15:33:29
雛壇芸人クマッタ蛆虫
296白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/04(日) 18:06:15
>>277-278
─そして、白牡丹は槐君との談話を続けた。かつて天と地の間に在る全ての事物に希望を抱き、
自らの前途に光明を願った若木は、今ではすっかり悟りきった仙人の趣だ。
呼吸も長考も、皇帝との談話も、彼の一続きの生涯の一部だった。
若い牡丹は、その傍らにいるのが心地よかった。

「今宵はお泊りくださればよいのに」

帰路に就く皇帝に、左家の家人はそう言った。時はすでに深更、安全を期しての厚意だろう。
もう帰りたい。しかし、左家にも面子があった。結局、皇帝は一晩母屋を借りることになった。


【左家 書斎】

好きに入っていいというから、入ってしまったぞ…。
いや、どこもかしこも儒教の本ばかりだな。当然か。
だが、案外あの左匡輝はこの中のどこかに好色本を隠しているかもしれない……探してみよう。
本当にあったら笑ってやるぞ。

………。
………………。
…………。

無 か っ た 。 当然か。面白みのない…。
いや、でも、なかなか面白かったな、探検。丁度これの著者名など、何度か目にしたから印象に残った。

(開けば難読な論文だ。この論が、血肉となって生きているのだ。
 惜しむらくは、自分に儒への興味関心がないことだ。著者と友となって語らえないとは。)

でも、すごいよな。人はいずれ死ぬ。土の中で蟲に屍を食われるか、野ざらしで風と共になるか…。
「自己の生の意味」「存在の意味」それを問い続けても、このざまだ。
それでも文字は残る。後の人間がそれを読めば、その読者の中に行き続けられる。
文字と志は受け継がれ、綿々と生きながらえる。
まさに「文章經國之大業、不朽之盛事」か。その言葉を残した古の皇帝も、もうこの世にはない。
けれど、彼の名、彼の言葉、彼の生き筋は燦然として残っている。
もし、自分が何かを残したいと思ったら、文を書くことだな。この著者のように。


朕は…、俺はどうだろう。
天子は──…崩御といっても結局は──死せばその役割を新たな天子に引き継ぐ。
その治世が、世に残したもの。それでも、身は庶民と変わらず蟲の餌になる。
死した瞬間、「天子」は「人」になれる。そうしたら、自由だ。
肉体なんかさっさと棄てちまって、魂だけでさらに自由になる!
人に生まれ変わるよりは、何か別のものがいいな。

…っておい、この書斎、『荘子』すらないのかよ。
丁度読みたくなったっていうのに。
297白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/04(日) 19:02:54
─翌朝、大明宮では焦景栄の出迎えを受けた。「良かったよ。」端的にそれだけを伝える。
それでも、笑みと声とに、心情が映るだろう。


…それでね、書斎には経典や論文、史書に詩文集しかなかったんだ! だいたい予測のつくのが
ざっと揃ってる感じだった。ああいう真面目な奴が、実は人には見せられない本を持ってると
面白いんだけど、無かったな。今度は寝台の下も探すべきかな…。

(一息ついて、他愛もない体験を語って聞かせる。それは主に、「人の空間」に属する出来事であり、
 槐とのことは秘密にしておくつもりらしい。)


そう、景栄はよく休めたのか? あんまり力むと続かないからな…

(宮中で、焦景栄の人となりや如何に? 実は、大方の士大夫は彼に好感情を向け始めていた。
 皇帝の信任によく応え、その傍らでよく補佐しながら、汚職に走ることがない。
 奢侈を誇らず、士人との私的な交際を控えている……これがその理由だった。

 白牡丹が焦景栄を門下侍郎の位に就けたとき、士大夫は宦官勢力の増長を危惧した。
 この任官は、能力を見越してのこととはいえ、皇帝の私的な感情によるものだった。
 父の代に生きた宦官が、自分から離れていくのは寂しいものだと。
 しかし、焦景栄という人を知ると、単なる影に対する以上の信頼が生まれた。
 道徳に背く人事であっても、能力と経験さえあればそれが説得力になる。
 もしも彼自身がそれを望んだとき、影から解き放つ用意ができているように……。
 それが、彼に外宮の官職を与える理由となっていた。)


…特に、これから少し働いてもらわなければいけない、と思うから。
先日の郭勝、郭躍の一件のことだよ。裁きは、帝国の法秩序の維持のために行われるべきだろう?
だから、燕王家が彼らを逮捕したんだ。
だけど、これから先、臣下同士の諍いのために法律が利用されるようになったら困る。
門下省は詔を審査する役所……もしも、悪法がまかり通りそうになったら、目を光らせてほしいんだ。
298名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/06(火) 07:38:40
クマッタ蛆虫、名無し潜伏して荒らすな
299名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/06(火) 08:00:11
プチ引退してアンジェに粘着
300白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/06(火) 19:31:07
深く落ちてゆく。昏い水底に沈んでいくように。
そう、これは夢。夜は眠りの時間。心と意識が限りなく無防備になる時間。
願えば全てが叶う世界。決して手を触れられぬ、肌で感じられぬ世界。
夢に想うは人。夢に棲むのは、魔。

─これは夢。夢はいつか醒める。無力で、虚しいモノ。

─これは夢。目の前に全てがある。幸福で、甘美な世界。

双眸を開ければ、何も残らない。

何の力も持たぬ。
一時の幻想。
稚拙な虚構。

そう思っていたこともあった。


〜〜〜〜

「よくお休みでいらっしゃいましたね、陛下」

うん、夢まで見ていたよ。
どんな夢だか教えてあげようか?

「ふふっ、気になりますわ」

愛していたよ。夢の中で。

「へ、へぇ……そのお相手は? もしかして…きゃっ」

…何か勘違いしてないか?


そう、夢は夢。現に戻れば程遠いモノ。
そして大きな意味を持って、人を惹き付けてやまないモノ。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/06(火) 19:41:44
蛆虫の巣窟
302名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/06(火) 19:43:46
雛壇芸人
303白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/06(火) 20:00:35
【いつか、どこかにある世界 ─虚構となるも現実となるも、定まらぬ。そもそも─】

また、あの人の夢を見た。夢の中の朕は若かった。
あの人も若いままじゃ。もう昔のように一つの夢に心は揺らがぬ。
夢は夢。現ではないのだから…。

(老皇帝、白牡丹の貌にはすっかり皺が刻まれている。
 最後に魔なるものを見たのは何時のことだろう?)

…あたたかい。ぽかぽかと日差しが心地よいの。
書物に触れても、先を識る愉しみより眠気が先に立つようになった。
昔は人ならざるものをよく思ったものじゃ。
本を読んで想像が膨らみすぎたのじゃな。
朕も青かった。

(神や魔が見えぬようになると、それまで見てきたものの記憶が薄れはじめた。
 今は最初からそのようなものを見なかったように思う)

しかし、あの人は誰なのじゃろう。
貌はよく覚えておるし、佇まいも仕草も声も…。
儚げでしなやかな、人に気づかれず咲き、なお何よりも美しい花のような人。
朕の夢に出て何とする。わしはもう、すっかり老いてしまったよ。

(うつら、うつらと眠気が寄ったことにも気づかなかった。
 そう、ここは夢。夢。夢──?
 大明宮の皇帝の庭、時刻は深更、寒い月の下。花吹雪がひらひらと舞っている──)
304白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/06(火) 20:24:07
神など、いるわけがない。
天子として、祭祀を執り行ってきたが。同じことの繰り返し。何の意味もない。
ただの伝統じゃ。かたちだけのな。
ずいぶんと国が荒れても、相も変わらず莫大な出費をして。ばかばかしい…。
神などいるわけがない。

(考えているのは、夢の中の皇帝。自分が眠りに落ちていることに気づかずに…)

「─でも残念。現にいるのよ、おじいちゃん。」

(庭の、木陰の、暗がりから声がした。)

現にいるだと?馬鹿を言う。
神は夢の産物。夢であることが、神そのもの。
何の力も持たぬ。
一時の幻想。
稚拙な虚構。
笑わせてくれる。夢が現にあるなどと。

「素敵」
「ねぇ、どうするの?」
「疼いちゃうわ。そんなふうに言われたら…」
「あなたを、つかまえて、とっても愛して、もっと愛されて…」
「ねぇ、もうぐちゃぐちゃになるまで。」
「感じちゃうわ。犯したくなっちゃうじゃない。」

神か。

「ねぇ、どうするの?」

─神か。ならばこれも夢か。

「そうね、でも、いつから?」
305白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/06(火) 20:34:00

「今考えていることは、すべてはずれよ。」
「教えてあげる。これから、ゆっくり。」
「いつまでも。ね、醒めない夢で……」

…誰と話しておる?
朕に話しているのではないのか? …いや、待て、そこにいるのは……

若い頃の……


「あなたよ。─白牡丹。」

……………。

「若い頃の。女の子のハダカのことばっかり考えてる年頃の。」
「ねぇ、どう? さっきまでは何でもなかったけど。」
「こんなカラダが目の前にあるのよ。興奮してこないかしら?」

……………〜〜ッ

「でも、まだ、おあずけ。」

「ねぇ、現にあるものってなあに?」

何じゃと?

「あなたさっき言ってたじゃない。」
「夢が現になんかあるわけないって。」
「それじゃ、何があるの?」
「これかしら? あなたの大切な……(ぱさっ)」

本…

「ふふ…」
306白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/06(火) 20:44:20
─「神」は皇帝の前に一冊の書物を放ってみせる。
すると、本の中からは人というにはあまりにもおぼろげな、影の糸が縒り合わされて
出来たようなモノが顕れた。「それ」は人のカタチをなして、蠢いている


…まやかしめッ

…触れられん……?


「ダメよ、そんなに乱暴に扱っちゃ。」
「それはあなたなんだから。アタシ、あなたのこともっと知りたくなったのよ。」
「アタシに見せて。あなたの現実を。本ならたくさん持ってきてあげる。」
「あなたの、場所を、人を、歴史を、
 ここに作って、
 そしてアタシにちょうだい。」

「でもそれができなかったら………」
「あなたはもう、ずっと、夢の中……」

「それじゃ、ガンバッてねv」

魔がいる。
襲ってきておる。
いつから夢か?

どこまで夢だ?
わからぬままに?
ならば構わん、今は。

望みどおり楽しんでくれよう。
この身体、
魅惑のまやかし。

そして暴いてやるぞ。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/06(火) 22:04:17
わずか八名ほどで満席
308 ◆Enju.swKJU :2010/04/07(水) 00:30:05
(※これは番外編です。)
(大量規制が解除されるまで、思いつくままに。)
(【不確定の未来】での出来事なので、本編には関係ありません。)
309名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/07(水) 11:53:49
雛壇芸人
310名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/07(水) 12:35:42
__
   /__.))ノヽ
   .|ミ.l _  ._ i.)
  (^'ミ/.´- .〈- リ 
  .しi   r、_) |  今日もオチに会いに行こう!!いっぱい可愛がってやるんや!!
    |  `ニニ' /   ・・・ムニャムニャ
   ノ `U―i´

     ____
   /__.))ノヽ
   .|ミ.l _ノ 、_i.)
  (^'ミ/.´・ .〈・ リ /
  .しi   r、_) |   ハッ!!誰やわしの寝言を聞いた奴は!!
    |  (ニニ' /  \
   ノ `ー―i´
311名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/07(水) 15:04:55
小藪じゃリンカーンメンバーとほとんど面識ないし、三村がすべった時に
宮迫がツッコミに行ったりしたのは連携とれててしっかりセットで笑いにしてた
三村と宮迫はトムとジェリーのような仲が悪いように見せて一番相性のいいコンビだな。

ただ大竹は今回のキャラメルコーンのようにリトライでもすべったのに
リンカーン内でその相方にあたる相性のいい絡み役いなくて拾ってもらえてない感じだ。
天野が結構厳しいツッコミを大竹に入れるので、大竹が受けて弄られれば面白くなるかも
とは思うが、大竹は格好つけて弄られるのを嫌がってすぐ引っ込むんだよね。
あとは蛍原は朝まで正解や俺の一品でボケ回答やり倒してるんだから
今回の注文ボケもやらせてやれば良かったのに。
滑ったのをまた三村あたりに拾ってもらえばいいし。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/07(水) 18:43:19
ずっとこのスレを見てきたんだけど乳首舐めが全然出てこないね。
初めて舐められたときはこんな快感があるのかと思ったものだが。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/08(木) 12:07:03

    |ii||iii;;;i;;;;;|/_⌒ヽ⌒ヽ
    |ii||iii;;;i;;;i:/` ゚` :.; "゚`ヽ
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    ',  \     ,  i
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    |ii||ii) ヽi;iill|
    |ii/ __.ノ;iill|
    |(__/;i;;;;ii;iill|
314名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/08(木) 12:32:27
乳首舐めまだー?
315名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/08(木) 19:49:01
汗ばんでくるぜ
316名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/08(木) 20:57:54
伊集院って同世代でメシ喰ったりするような芸人仲間いないのか?
317名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/08(木) 21:52:25
いない
318名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/08(木) 22:11:54
いないはずがない
319焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/04/08(木) 22:28:26
(燕王家が檻車と共に宮城に運び込んだ一つの報せ。)
(それは今まで帝室が『見て見ぬ振り』を決め込んで無かった事にしてきた事実でもあった。)
(野心ある梟雄達に丸裸にされるか、虎を檻に入れ服従させるか……たった二人の人間の処遇だけで帝室の運命が決まってしまう。)
(「見て見ぬ振りがこのまま許されたならばどんなに良い事か」とある臣僚は焦景栄の前で嘆息してみせた。)

(皮肉な事にこの事件は宮中に於ける帝位継承騒動を一時的にだが、鎮圧させた。)
(帝位継承――皇帝がいるというのに国の内外では、未だ皇帝を認めない者が多すぎた。)
(御家騒動など、平時にしか起こらないものなのだ。)
(「戦死とはいえ、州刺史が賊に殺された事」「帝室を軽んじた楊昂譚の行為」をある臣僚は指摘し、「これは、皇帝の権威が失墜した証だ。」とも声を低めた。)
(「仮に、これが楊昂譚に罪を着せる為だけの『何者か』による策謀だとしても――相手が悪い。」と。)
(郭勝、郭躍の二名が帝室に背き不敬を働いたという事実は何者にも変える事はできぬのだ。)

(二十里帯刀禁止令――睿宗と燕王の二人が『王』と呼ばれ、皇太子の座を競っていた時代に当時の皇帝が決めた法であった。)
(当時の人々は「燕王の威勢を誇示し、燕王を敵対勢力から護る皇帝の親としての愛情」なのだろうと理解していたが劉瑶から事の真相を聞いて育った焦景栄は改めて『燕王』の名に畏怖した。)
(宮城は知らず人が消え、命も消える恐ろしい所。当時の皇帝は賢すぎる我が子『燕王』の手から民を護り、また、燕王の手をこれ以上汚させまいと『二十里帯刀禁止令』を以て民と燕王の両方を護ったのだ。)
(決めごとには、法には必ず決められた理由があるものなのだ。)
(刀も持たぬ民を燕王も手にかける事はなくなった。同時に燕王に刃向かおうとする無謀な者も京師から消滅した。)
(燕王は自分に逆らう者には一切の手加減をしない王だ。白呈春が二つの誇りを傷つける者に容赦しないのと同じく。)
(『血』、とは恐ろしいものだ。冷静で温かく礼儀正しい白呈春にも、燕王の『血』が流れている。)

(劉瑶の筋から郭勝、郭躍が楊昂譚の腹心だという確かな証拠はあがっていた。)
(問題は、報告を突きつけられた楊昂譚がどう動くか。そこに焦景栄は興味があった。)
(部下の罪を認め郭勝、郭躍の処罰を求め帝室の忠臣としての道を取るか。)
(部下との関連を一切認めず知らぬ存ぜぬで帝室に属するのをよしとするか。)
(部下を庇い、これ幸いと帝室に刃を向けるのか。)
(逆上し、帝室へ叛逆するのか。)
(忠臣の道を取るならば、楊昂譚本人の命は免れよう。)
(何れにしても、焦景栄が取るべき道はただ一つ。帝室と皇帝に刃を向ける者はあらゆる手段を駆使しても駆逐するという事だ。)
320焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/04/08(木) 22:29:21
>>297
ハハハハ!
陛下が寝台周辺をお探しにならなかったのが、左中書侍郎の幸運でしたかな!
陛下は手強いですな。拙宅にいらっしゃる前には、寝台付近の好色本を徹底して片付けなければ……。

(焦景栄の冗談に、周囲の臣僚達が目を丸くした。)
(宦官にも性欲はある。妾を何人も置く者もいる。)
(だが、焦景栄のような生々しさを感じさせない宦官の口から『好色本』という刺激的な言葉が発せられた事が衝撃だったようだ。)
(焦景栄、臣僚達の動揺を片目にくすりと笑い。)

はい。お陰様で。
そうそう、庭に仙女の化身かと言わんばかりの美しい胡蝶が迷い込みましてね。
お休みをいただいたのに、陛下が描かれた胡蝶を思い出してしましました。

(話が郭勝、郭躍の事に及ぶと静かな笑みをそのままに。)

今回の件は単なる不埒者の処罰ではないという事だけ、御心に留めて下さいませ。
陛下のご聖断を天下のあらゆる民が見守っているのだという事も。
そして帝室の威厳と陛下御自身の御威光もかかっているのだという事も。
法は、民を守り、国を律するもの。悪用されてはなりませぬ。
門下の者だけでなく、臣僚一丸となり、陛下の御為、大呉の為目を光らせましょう。

(一つの事変からそこまで読み取るようになりましたか。)
(「大きくなられましたね。陛下。」焦景栄は心に浮かんだ皇帝への言葉を胸にそっとしまい込んだ。)
(口にこそ出さなかったものの、その瞳は柔らかな慈しみを湛え皇帝を見つめていた。)
321白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/09(金) 00:06:57
>>320
はっは…ねえ…人ってどうして、見られたくないものを自分の近くに隠すんだろう?
目の届く場所に置いておけば安心だからかな。だけど、皆がそうするから、
探す側は予測をつけられるよね。
きっと、いろんなものがそうなんだろうねえ。例えばこの呉だって。

好色本よりも──(焦景栄がそうするのと同時に、口元に微笑を生じさせて)
たった今、景栄の持つとても大切なものを探し当てることができたよ。
それは何かって? ──照れくさいからひ・み・つ・だ。

(「ひ・み・つ」を強調して、ほんわかと笑う。
 …世に全き模倣など存在しない。たとえば料理。同じ作り方をしても、
 作り手が北に生まれたか南に生まれたか。これまで何を食べてきたか。
 味の好み。性格。作った時の心情。そういったものが味に表れ、必ず違いが出る。
 焦景栄は器用な人間だ。公の場での振舞い方をよく心得ている。
 しかし、今その振る舞いの背後に、繕わぬ温かい心があることが、なんとなく伝わっていた。)


その蝶、もしかしたら朕も見たかもしれないな。わからないけど、同じ蝶だと思ったほうが素敵だ。
蝶は変化の兆しだというね。ただ、人って日々色々な刺激に触れて変わっているだろう?
蝶はきっかけを教えてくれるだけなんだと思う。あとは、自分が何を考え行動するか……。
朕は皆が幸せになればいいと思う。争いがなくなって、皆がのんびりできればいいな。
そのためにも、今回の一件のことはその言葉を重く胸に留め置こう。
ありがとう、本当に。皆が助けてくれる。それだけの国であり、天子であることを
誇りに思うよ。がんばらなきゃね。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/09(金) 10:03:28
伊集院って同世代でメシ喰ったりするような芸人仲間いないってほんとう?
323名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/09(金) 12:23:47
伊集院て芸人じゃなくてタレントだろ?
師匠は楽太郎らしいけど
324名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/09(金) 12:31:29
芸人とタレントの境界がむずかしい
山田隆夫はタレントなのか。師匠は落語家らしいが。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/09(金) 13:23:54
クマッタは脳の構造が16ビット
326名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/09(金) 16:11:15
大道同点HR、キムタクサヨナラの時の東野の記事(をコピペした個人のブログ)
をようやく見つけた。
すまんが貼らせてくれ。

【ウイニングボールの行方】
『ただ頭が真っ白になりました』
東野はあの日のことをこう振り返った。
絶対に負けられない試合だった。
負ければ交流戦優勝の可能性が消滅する重要な試合。
投手陣が踏ん張り、土壇場で大道が奇跡的な一発を放ち追いついた。
そして同点のまま延長12回を迎え出番はやってきた。しかし、自信を持って投げた渾身のストレートはあっけなくスタンド
に消えた。
ベンチに戻ってきた東野はひたすら自分を責めた。
『さあ東野を助けるぞ』
そんなチームメイトの声すら聞こえない。
しかし、その言葉通り再び奇跡は起こった。
古城、鈴木、木村拓の3連打で逆転勝利。
逆転サヨナラ安打を打った木村拓がそっとウイニングボールを東野に渡した。
『このボールはお前が持ってた方がいい。
野球は一人でやってるわけじゃない。
誰かの失敗は誰かが救えばいいんだ。
俺だって今日は散々だった。
でも大道さんが俺にもう一度チャンスをくれたんだ。
確かに今のお前は失敗して救ってもらう立場かもしれない。
でもいつか誰かの失敗を救ってやる立場になれ。 その時にこのウイニングボールを渡してやれ』
このボールは東野にとって悔しさ以上に仲間を信じる大切さを学んだ一生忘れられない宝物になった。

2008年6月21日 ソフバン2−3×巨人
勝利打点:木村拓也
327名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/09(金) 18:10:57
わたし看護婦なのよ
328白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/09(金) 22:14:22
>>281-283
>>320
──ある日の深更、仄緋い灯が浮ぶ。皇帝の車駕が燕王別邸に向かっているのだ。

いい月だねえ。司天台では月に二度目の満月に上から下まで困惑していたみたい。
朕も驚いたよ。嫦娥は月に一度だけ月宮を出て地上を眺めるもの。
そのとき人は満月を眺めることができる。だけど、今月は……
彼女も地上の行く末が気になっているのかもね。


「天も地も、遍く百星も我々を見ているのだから──」

とは、朝廷で白牡丹が発した言葉。それは強ち作り事でもないようだ。

暫くして、燕家の門構えが暗闇にぼんやりと浮んでいるのが見えた。


焦景栄、賈延福、王三児、李畢嵐。四人だけ付いてきなさい。後はここで待っていて。


近侍の内、四人の宦官を指名して左右に控えさせ、燕家別邸の敷居を跨ぐ。
それ何ぞ壮麗なる。闇中に鎮座する邸は、燕王の京師における宿りに相応しい。
長子の白呈春も良く住みなし、雰囲気も静謐で心地よいこと。


皇帝は、腰に翠玉白玉を佩いていた。
天子の一挙一投足、言の端には大きな意味が宿る。彼は剣を佩くかどうか思案した。
郭勝、郭躍のような外臣のみならず、燕王をも、そして法をも従える天子たる身を
改めて内外に示すのが、政情不安定な現在にあっては良いのではないか。
それならば、剣を佩くか。
いや、人士や国を律する法を天子が尊重することが、法の存在を際立たせ
ほつれかけた国のまとまりを糺すことに繋がるのではないか。
皇帝か、法か。
そして、彼は結論を出した。
彼は、自身寸鉄も帯びず、宦官にもそれを認めなかった。

「学友と愛すべき弟を訪ねるのに、何で剣が要るものか。」


清風のような佇まいで、自分を出迎える白呈春の姿が見えた。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 03:01:38
排他スレですね、わかります
330陳勃鬼 ◆Z/QoHJCXAsq/ :2010/04/10(土) 03:08:15
わたしはこのスレに参加したくて何度もアンカーを指定しているのに誰からも返レスを貰えません。
このスレの参加者は非常に排他的で閉鎖的な人たちばかりだということがわかりました。
2ちゃんねるのルールの中にはスレッドの占有を禁じる項目があります。
このスレッド及び参加者はそのルールに抵触する言動を繰り返していることにお気づきでしょうか?
331名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 08:01:08
>>330
伊達、別コテ潜伏必死だな
おまえが薄雲だということはばればれなんだよwww
332チョコたん ◆nOA3ItxPxI :2010/04/10(土) 08:05:15
>>330
きみはこのスレでなにをしたいのだね?
参加してこのスレをどういう方向に持っていきたいのだね?
333名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 08:57:38
久々にマリアージュ・フレールに行った。
2008年にも、ドゥーチェは同店の話をしただろう。
担当の店員がいちいち色々なお茶を紹介するのは煩わしいと。
今はそれが楽しく思えた。親身になってくれているんだ。
気になるお茶を言えば、その周辺のさまざまなお茶を紹介してくれる。
俺にも知識がついて、話に花を咲かせられるようになった。
そもそも、ヨーロッパの専門店はそういうものだったな。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 13:59:38
勃鬼は三戦行ってアンジェ派に入る所から始めるべき
そうしないとずっとハブられると思われ
335名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 14:11:32
アンジェ派の人間でないと参加できないスレなんですか?
336名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 15:04:03
反アンジェ派参加できないだろ(´・ω・`)
荒らし認定→無視→削除依頼→あぼん(´・ω・`)
337名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 16:16:12
アンジェって口では欧米人の真似して開放的・進歩的なこと言うけど、
実際は田舎の日本人みたいに極めて閉鎖的で排他的な人間なんだな
338名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 17:07:38
本人が田舎者で欧米に憧れが強すぎるんだろ
書き込みの内容でよくわかる、普通にきもい
339名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 20:18:25
クマッタ蛆虫潜伏
340名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 20:24:27
ROMとか様子見の参加希望者は空気
名無しは荒らし
そう言うあつかいなんだろ
なりきりスレで独白とか普通考えられん
341名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 20:35:35
>>340
負け惜しみは見苦しいぞクマッタ
342名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 21:18:48
どうせ三戦の伊達とかいう蛆虫が潜伏してるんだろ
あれは薄雲だから
343名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 21:43:07
蛆虫だらけの スレ
344名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 21:55:32
伊達が来るわけないだろ
あんなチキンが
345名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 22:54:03
排他厨アンジェ
346名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/10(土) 23:39:27
これはすごい
347白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/11(日) 00:08:54
それにしてもひどい。

(鏡に向かって)

酷すぎる。なんて貧相なおれの体!
ただでさえ冴えない風体をしているおれが髪まで斬られてしまった。
いっそ剃毛して出家でもしてみるか。いやいや、出家はいつでもできる。
史官になる夢を叶えた後でもできる。今は、史官になるのが先決だ。
強い好奇心は身を滅ぼすとは言うものの、やめられない。今頃、宮城はどうなってるんだろうな。
楊昂譚は、陛下はどう出るんだろう。

廷臣たちは正論を言い、陛下も『皇帝として正しい』聖断を下すことだろう。
二人の人間の処遇如何で皇帝の威厳も素質も問われてしまうのだ。
父ちゃんを疑われたこともある陛下のお立場なら尚のこと辛いだろう。
今回の裁断を誤り再び如月様や父ちゃんを持ち上げる声が大きくなったなら? そんな疑念に駆られる夜もおありだろう。
頼りになるのは身内なのに、その身内に心を置くことができないなんて。……孤独な青年皇帝。

(ふと思いついた単語に呟いてみせる)

なんか始皇帝みたいでかっこいいな。
それにしてもこの光景、なんとかならないものかな。

(黒目ばかり目立つ白承芳が周囲を見渡すと、自室には燕王付の屈強そうな武官が三名。室外には五名待機していた)

こんなに脆弱な体を持つ弟の何を兄貴は危惧してるんだ?
何からおれを守り、おれから何を守ろうっていうんだ?
おれだってそこまで莫迦じゃない!! ……はずだ。
宮中の大人しいヤツらと違って燕王付になるヤツらは一癖も二癖も違うヤツが集まる。
例えるなら、程仲徳の狡猾さと許仲康の雄々しさと一途さを同時に兼ね備えたようなヤツ。どうだ? 怖いだろう。
おれも怖い。しかし、歴史上に名を残す人物って何でこうも次男が多いんだろうな。
程仲徳だって許仲康だって次男だもんな。そうなると、兄貴よりおれの方が史書に載る確率は生まれた時から高いんじゃないか? 次男万歳!
慶雲相手ならなんとか撒くことができるんだけれど……。
348白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/11(日) 00:10:09
(傍らの武官に向かい)

なあ、国経。ちょっと外してくれないか。今から玉梅がここに来るんだ。

石国経「いいえなりませぬ。私どもは時醒様よりきつく仰せ付かっておりますので。それに下女の玉梅が主人である汝杏様の世話をするのは当然のこと。
なんで私どもが外す必要がありましょう」

決まってる。

(白承芳、口元だけに好色な笑みを浮かべて見せ)

女と男がすることと言えば一つだけだろうが。

(どうだ。堅物の石国経。赤面して大人しく退散するがいい。おれは『勝利』の二文字を確信した。咄嗟の嘘で淫売みたいな汚名を着せてしまった玉梅には悪いが、後で埋め合わせと謝罪をすればいい)

石国経「そうですか。では、お望みの通りに」

何を言う。おれが今から女をここで抱くと言ってるんだぞ。

石国経「時醒様より予め仰せ付かっております。『承芳が下劣な冗談を言っても真に受けぬよう。あれは空気を吸うように人を嘲弄する癖がある。
女を抱くと言っても動じず、自慰をすると言っても動じず、もし、お前たちを相手にすると言うならば枕を共にすることも厭うな。燕王家の一員になるとはそういうことだ』と」

(さすがは冬の王様。白呈春。おれは心の中で兄貴に拍手を送っていた。好! 好! 好! と。まるで役者に送るようにな)

(脱力して椅子にへたり込む白承芳に石国経)

石国経「某も燕王家の一員故」
349白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/11(日) 00:11:20
ああ、わかったよ。
わかりましたですだよ。お役人様。主が主なら手下も手下だ。似た者主従め。

(石国経から離れ、独りごちた)

いつもなら頼もしく感じる石国経の言葉も今日は妙に苛々しく思える。おれは外に出たいのだ。
宮廷の内外誰もが処遇とそれからもたらされる結果にばかり目を向けがちだが、もっと調べるべきことはあるんじゃないか?
もちろん、帝室の威厳も皇帝の威厳も失ってはならない。天下万民に威光を示すためにも、下手人は厳刑に処すべきだ。
つまり、『なぜあの二人は、何をしに』この燕王別邸に来たのかってことだ。
あまり平和な理由じゃなさそうだが……それを突き止めないと第二第三のお客人が来て、京師に混乱を招くことになるだろうからな。
まあ、兄貴のことだからそこは抜かりはないだろうけどな。

(窓を見上げると月明かりがふんわりと舞い込んでいた)

月、か。
そういえば如月様は今回の件についてどう思っているんだろう。
月はいいな。見たい物は全て見下ろせて。行きたいところにも行けてさ。
陛下は髪を斬られた下男がおれって…おわかりだろうなあ。おれと兄貴の性質をご存じだもんな。
兄貴はどうでもいいんだけれど、なんだか陛下を失望させてしまいそうでそれだけが心配だ。
なあ、嫦娥様。同じ月の下、月光を浴びておられているであろう陛下に伝えてくれないか。
承芳は…承芳は……。

(言いかけたところで皇帝の車駕の音を遙か遠くに聞きつけ、窓に駆け寄った)
350白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/11(日) 00:12:54
(薄青い衣を身につけた白呈春。貌には笑みを含んで一行を待ち受けている。薄青の衣は月光を反射し、白呈春の顔に幽暗な色を与えていた。
「温かさと冷たさは同時に介在することが可能なのだろうか」白呈春を見た者は必ず、この疑問を口にする。その四肢は豹のようにしなやかで、若木のように
伸びやかだ。)

>>328
今夜はとてもいい月ですね。
「有朋自遠方来 不亦楽」とは言ったものですが、友人の住まいの距離など関係ございません。
ようこそお出で下さいました。
351白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/11(日) 01:48:50
>>146-147
>>347-350
今日の月を共に眺めに来たよ。「相見時難 別亦難」というけど、
毎日顔を合わせる我々でも、別れるのは辛く、共に過ごす時間は代えがたいものだ。な?


『論語』を引用してみせる白呈春に対し、無題詩からの引用で応える白牡丹。
その口上に呈春は端正な口の端を和らげ、微笑を以って報いた。
会えて嬉しいという当然の思いを発露するのにも、口に上る先行表現。
疎ましくもあり、楽しくもある。互いに気の利いた言葉を脳漿から見つけ出し、
それを見せ合う一種の知的遊戯なのだ。

白牡丹は刺繍入りの黄の薄衣を纏っている。月の下で、織り出された花園は明るく照らされた。
破顔して、瞼を閉じ、白い歯は見せて。


いい月だ、いい月! 素直に心の中に浮んだ印象に、言葉を飾るまい!
なんだか楽しくなってきたぞ──! 月の下、とても静かで、影が躍る!
ほら時醒、お前も走って踊れよっ! 影の舞踏だ!
朕は歌うぞ、あの月に。お出でになった嫦娥と語らうぞ!


ててと、てと、てと、しゃん──
彼の歌声は、嫦娥に届いただろうか。嫦娥は胸を痛めて自分を見上げる
もう一人の白郎の心を、皇帝に伝えたのだろうか。
白牡丹は最後の一声を発すると、承芳が今すぐにでもここに居ればいいのにという気分になった。
ここまで訪ね来たのだから、どの道顔は見るつもりだったが…


たん、たたん、たたん、たん──
彼は足取り軽く、燕家の庭を駆け回る。やがて足の向く先には、一室の窓があって。
そこで二人は巡り会った。


よっ! (しゅたっ と手を挙げて軽く挨拶。)
ああもう、何やってるんだ。深窓の姫君にでもなったのか?
早く出て来いよ、みんなで揃おう。不都合があるなら武官が同伴すればいい。
何人いるんだっけ? 朕は覚えてるぞ。
卿は石国経、卿は… (と、八人の武官の名前を順に呼んでいく白牡丹)

そういえば、彼は今いないのか?
関慶雲、一度話したいと思っていたんだけどな。
ああいうのが好きなんだ。皇宮には間違っても居ないしな…。
(声をひそめ)最近じゃ抜け出して庶民と語らうのも自粛しなきゃいけない。
「好漢」に会えないから禁断症状が出てしまう…。
352白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/11(日) 01:59:41
勿論、白牡丹は従弟の頭を目に入れた。ただ予測のついていたことなので驚きはしない。
満面の笑みに含みはなく、また頭のことに一切言及しなかった。
彼にとって、髷があるとかないとか、そんなことで承芳の価値は変わりはしなかった。
なんかさっぱりして涼しそうだよな。


今日は、こないだの一件について調べにきたんだ。
(皇帝自ら? 白牡丹の冗談にも、武官達は怪訝な顔をした) ただ、今日はこんな空だ。
楽しくなってな…。 いいだろ? 深刻な事態だけど、だからって辛気臭い顔してればいいってもんじゃない。
普段通りでいいんだ。やることさえしっかりできればな。
って事で、汝杏も早く庭に出てこいって。
353関鉄 ◆gdhGri.fcIFS :2010/04/11(日) 02:26:01
>>347-349
(バンッ!と音を立てて白承芳の部屋の扉が開かれる。)
(廊下では屈強な男が5人ばかり伸びている。)
おい承ちゃん!
今宮中じゃ歴史的な会談が開かれてる。
こんなとこでいったい何してる?
歴史を刻む人間になりたいんだろ?
忍び込んででもその会談の様子を書き記すんだ。

…っておい邪魔するな国経!
承ちゃん、アンタも男児なら覚悟決めろ。
意地悪なお兄ちゃんの言うなりでいいのかい?

おい離せよ国経、それが先輩に対する態d…ムグムグ…。
(猿轡をはめられ連行される関鉄であった。)
354関鉄 ◆MSMCvFd7UPNh :2010/04/11(日) 02:28:48
すみません流れを読まない投稿でしたorz
前のトリップも発見しました。
二重で失礼しました。。。
355 ◆Enju.swKJU :2010/04/11(日) 02:33:35
>>354
良かった!
官職等のご依頼、読み飛ばしてしまっていました。
本当にごめんなさい。そして来ていただけてよかった。

関鉄の官職、これからネタでも書きますが、
従五品上の「親王府副典軍」でどうでしょう?
356関鉄 ◆MSMCvFd7UPNh :2010/04/11(日) 02:45:37
その官職で一向に構いませんが、どういう職務なのでしょうか?
357白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/11(日) 02:59:19
>>353
ああ、待て、待て!
国経、卿にも立場や任があろうが、どうか朕の顔に免じて彼を連れて行くのをやめてくれ!
な、呈春には後でじっくり話すから。多分、いやきっとわかってくれるから!

(鉄面皮にして、一筋縄ではいかぬ。そういう石国経だが、どうにか宥めてみようとする。
 室の中の出来事のどたばた具合は、皇帝の好むところであった)

さっきの汝杏への言葉、聞いたよ。
こんな事が言える奴はなかなかいない。ましてや行動に移せる奴はもっと少ない。
汝杏からよく聞いてる。関慶雲だろう?
(承芳に)ふふ、お前、いい友を持ったな。

>>356
親王府副典軍は、親王に属して軍務に携わる将校です。
科挙及第から一年は燕王に属して、今は違う部署にいる感じですよね。
汝杏をよろしく頼む。という感じで、改めて皇帝が任命しようかなって。
358白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/11(日) 03:02:31
もちろん、最初の官職なので(これは参加者みなさんにも言えますが)
物語の展開次第で異動、出世、左遷、などいろいろあると思います。
359関鉄 ◆MSMCvFd7UPNh :2010/04/11(日) 03:18:24
わかりました、では官職は親王府副典軍ということでお願いします。

>>357
へ、陛下!
これはお見苦しいところを、失礼いたしましたァ!
俺、いえ私のような官人の末席にある者のことまでご存知とは…。
これほど嬉しいことはございませぬ!
(関鉄は感激のあまり涙を流していた。)

承ちゃん、今はアンタの情けない姿も神々しく見えるよォ…。
まさか憧れの皇帝陛下にお声をかけていただけるなんて!

陛下!俺…失礼、私は武芸にはいささか自信がございます。
何かありましたらすぐにお申し付けくだされ。
70斤の青龍偃月刀を携えてすぐに駆けつけます!
360白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/11(日) 03:51:23
>>359
ばか、何が見苦しいものか! 朕の方こそ、慶雲みたいな将に出会えて嬉しいんだから。
(ばしばしと、慶雲の鍛えられた二の腕を叩き)そうか、これが関雲長の裔か……。
今夜は朕を両名の仲間に入れてくれよ。月の下、花の下で、武芸の話を聞きたいんだ。


──汝杏、慶雲を伴い庭へ出る。なんだか、ますます楽しくなってきたな。
いつもは、夜は一人で月を観ている。例の四阿にいて、茶や酒を傾けている。
それで幸せだった。格式ばった集いから抜け出られたから。
だけど、今夜はそうじゃない。
焦景栄がいる。汝杏がいる。時醒がいる。そして、ずっと会いたいと思っていた好漢に会えた。
(もちろん、他の宦官三名も抜かしてしまっては可哀想だろう)
こんなに大変な時にでも、笑っていられる。笑顔を向けていい人たちがいる。
それは、とても幸せなことで……


……それでな、朕が武具を振るうと…(長柄に見立てた棒を構え、振り下ろす)
ほら、どうにも冴えないんだ。ふにゃって感じになる。

何が悪いんだろうな? 慶雲、ちょっと手本を見せてくれよ。
361白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/11(日) 04:48:47
白牡丹は慶雲の官途を考えていた。この青年は、これからどんな生き筋を辿るのだろう。
自分は汝杏が好きだ。汝杏の身近で良い友人が支えていてくれたら、どんなに安心か。
花がひらひらと舞い散る。それと同時に思う。
先程の彼の言葉に表れた気概、燕王付き武官を五人まとめて倒す膂力、
そして若い覇気──彼を自身の直属に欲しい。

──迷う必要は、どこにもないのだ。
関雲長を思えばいい。かの武将が青龍偃月刀の刃を曇らせなかったのは、彼を支えた志ゆえ。
河東にあっては、士大夫に媚びず貧民を救済した。
劉備に身を投じてからも、己の節を曲げることがなかった。
徐州で曹操に降伏を余儀なくされても、五関を突破して旧主のもとへ参じた。
義に篤く、決して揺らがぬ柱を心の内に持っていた。
彼自身が選び取った生は、決して周囲に翻弄されたものではない。
ならば、この関慶雲にも生き筋を自ら選ばせ、曇りなき刃を振るわせなければ──

もしも彼が承芳とともにあることを望むなら、【従五品上 燕王府副典軍】を。
或いは朕に仕えることを望むなら、【従五品上 游騎将軍】を与えよう。
そしてもし、それ以外の道を見出すとしたら、勿論その道を見守ろう。
杯の中に花弁が落ちた。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/11(日) 08:59:13
東国原が出なけりゃもっと良かった
聞き飽きた東の暴露トークも思い出トークもいらん
現役のときは必死に独り立ち気取りしてたくせに、今更、軍団ズラ芸人ズラすんな
虚栄心まみれもビートたけしさんもいい加減東と癒着して政治利用すんのやめろ
363名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/11(日) 10:55:57
419:アンジェ◆YI1yrpC6Lo :2010/03/31(水) 17:03:12 [sage]
どうして2年以上俺に粘着し続けることができるんだろう


アンジェ先生の妄想
364名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/11(日) 13:21:04
>>363
それってどこの板?

粘着というのは続くから粘着というんだろ
365名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/11(日) 15:07:07
そっとしといてやれよ(´・ω・`)
アンジェはすぐあきるんだから(´・ω・`)
366名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/11(日) 15:47:26
ホモちゃんさえいてくれればこんなことには・・・
367ホモちゃん ◆ZfBhcFPvGE :2010/04/11(日) 17:21:30

      /⌒'\
      ( ,i::::::::::::i  ./⌒\
       〉ノ:::::::::::|  | ○゜ i ) )
      /;/:::::::::::」/.〉   /
  ___.i;;.i::::::::::::i/ ..: .',  /
./ ヾ  .|;;i:::::::::::/..   ..;;〉.」
.__ .\|;.i:::::::::/ /  ...;;/
  _ノ\i_) i:::::::/   ...;;/ //
 ̄    .|; i:::::/ /  ..;;/
  __.|;_i::/   ...;;/
  ___/  .....;;/
     .|;; i  ...;;イ
     ノ;; ,.‐ ;;-.;i
   /;;; /' ''   ;;;X
368名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/11(日) 21:14:39
ホモちゃんが来てくださったぞ!!
369名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/12(月) 03:14:49
これは痛い
370名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/12(月) 07:43:23
ホモちゃんマンセー
371名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/12(月) 08:28:07
そっとしといてやれよ(´・ω・`)
ホモちゃんはすぐあきるんだから(´・ω・`)
372名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/12(月) 08:37:47
アンジェは文句付けるならゼロセンチ先生呼ぶなよ
373名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/12(月) 12:56:36
どのコテがゼロセンチ先生なんですか?
374名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/12(月) 14:54:37
参加者はアンジェとゼロセンチとクマッタだけ
375名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/12(月) 16:50:12
二人の新スレ立ててきました。

【Believe Moon】 相田翔子 Part.11
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/geino/1268322959/l50

【Wink】鈴木早智子【不実な仔猫たち】Vol.7
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/kyon2/1268323728/l50

翔子スレはスレタイが思い浮かばなかったから、ソロ曲のタイトルでつけました。

翔子スレはdat落ちさせないように、さっちんスレは荒れないようにお願いします。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/12(月) 22:57:11
↓再開
377名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 07:32:11

              /_/           . . -‐‐- . .
               /         ∠:: /⌒>,, `ヽ
  く  は  ホ  7__       /ニ、{{∠∠二、 li ハ
  れ  や  モ   /     /. -‐…'''⌒ヽ   ij _」
  |   く    |  / 、__    ,'{ r‐…''⌒ヽーi  .<⌒ヽ
  |   き   |  {/ヽ)   ! iヽ.).:.:.:.:.:.:.:xこ| |i  ト、 !i
  |   て    |  >''´}    ', ',.:.:.:/⌒し':::::::| ij  )ノ リ
  |     |  >イ     ', V^)⌒V⌒/7  >こノ
  |      ! ! ! ! >ノ     丶ヽ.__ー__彡'  /
  っ        \ーァ'⌒ヽ.._ \  ̄    {x‐/.:.
 ! ! ! !        r‐一.:.:.:.:.:/.:.:`ヽ/  ノ __//.:.:.:.:
///l/ ̄`ヽ∧j:.:.〈.:/.:.:.:.:.:.∠二 { ∠´/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
378名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 08:25:33
ゼロセンチはなりきりの本質を理解しろ
379名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 09:50:46
>>378
アンジェ必死だな
380名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 10:46:52
アンジェ先生はあぶ長、ととのえ、氷雪、クマッタに続いてゼロセンチとも険悪な関係になったか
ここまで続くとアンジェ先生は人格や精神性に重大な欠陥を抱えているとしか思えない
381名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 11:32:48
察してやれよ(´・ω・`)
382名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 12:42:11
あぶ長を知ってるとは、おまえ、かなり古くからの粘着だな
383名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 13:13:49
夫の遺品となる椅子を捨てたクマッタの責任は
何も問われないのか?
なんか、この相談者の夫が頼りなさげ、と言うか、
だから、奥さんの実家に居候が出来るんだな。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 18:38:37
あぶ長古いか?
385名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 19:18:13
あぶ長、知らない奴は多いと思うぞ
386白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/13(火) 19:32:59
>>351
(突如として現れた皇帝に対し、目を丸くし窓枠にしがみつき)

陛下……

(泣き出しそうな、ほっとしたような顔を見せた後に自分の頭を慌てて隠し皇帝を見上げながら、
深窓の姫君の言葉に反応してわざと女性らしい声で応えてみせる)

私が姫君だったら、洛神を超える信奉者を持つようになりますわよ。
陛下。病弱な深窓の姫君、いかにも青臭い儒生が好みそうな設定ですもの。

(にこりと笑顔を見せた後、周囲を見渡し)

慶雲でしたら……。

>>352
(石国経に向かい毅然とした態度で女性の声のまま見上げながら)

これ、石国経。
陛下が外出をお許しになられたのよ。そこを……。

(言い終えぬうちに>>353

慶雲!?
もう、遅いじゃない。この私を待たせるとは何事?

(慶雲に駆け寄りにやりとし、いつのも声音で)

どうだ。慶雲。
今、おれが姫君じゃなくて残念だと思っただろう。いろいろな意味で。
そうだ。残念ながらおれは男だ。
陛下のお許しがあれば兄貴なんて構うものか。
神々しく見えるんじゃなく、神々しいのだ! 今頃気付いたか。

(調子に乗り、皇帝に苦笑される)

>>357
(慶雲を褒められ、皇帝にただ破顔して応えてみせる)
387白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/13(火) 19:35:35
(慶雲と共に弟を庭へ伴う皇帝を遠目に眺めながら杯を持つ。杯にはなみなみと皇帝自ら注いでくれた酒が手つかずのまま
残っている。互いに酌をし合い、空けた杯は何杯目だろう。杯の中、満月は煌々と光る。石国経は首を横に振って白呈春に謝罪した)

石国経「申し訳ございませぬ。時醒様。陛下のご命令が」

白呈春「いや。いい。陛下のご命令とあれば致し方あるまい」

石国経「……」

白呈春「なんだ。石国経。何か私に意見したいようだな」

石国経「はっ。時醒様は汝杏様に少々厳しすぎるかと」

白呈春「お前の目から見てもそう見えるか」

石国経「はい。汝杏様の明算及第のときも……おかわいそうに。汝杏様は「民の座席を一つおれの及第により奪ってしまった」と
酷く後悔されていました」

(白承芳の明算及第時、兄である白呈春が開口一番口にしたのは祝いの言葉ではなく、「私たち皇族は科挙など受験しなくとも
官吏になることができるというに」という戒めの言葉だった)

白呈春「石国経。お前はまだわかっていない。皇帝でもない、皇太子でもない王族の男児が
国や歴史や政に必要以上に関心を持つということの危険さを」
388名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 19:36:35
あぶ長ってなんなの?
389白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/13(火) 19:36:48
石国経「しかし、汝杏様は……」

白呈春「承芳は陛下に忠誠を誓い、慕っている。実の兄の私より。だが、幼く聡明な皇族の男児は野心ある者たちの
傀儡にされる恐れもある。かつて父上と叡宗が争われたときのような悲劇が、またこの帝国で再現される可能性もあるのだ」

石国経「まさか」

白呈春「お祖父様が父上を『二十里帯刀禁止令』で護られたように、
私は承芳を厳しく押し込めることでしか護ることができぬ。それがあれにとっての幸福なのだ」

(遠く弟を見つめる瞳に暗い影がさし、杯が握力で割れ、白呈春の長い指に赤い血が鮮やかに真珠のような球形を作った)

白呈春「この私以外があれを傷つけるのは、何人たりとも許せぬ」
390名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/14(水) 13:04:43
タイタニックが氷山にぶつかったぞ
391名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/14(水) 13:24:06
壊滅
392名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/14(水) 14:54:11
妹は体つきはキョウコと比べなくても6年生とは思えないほど幼い体をしてるのに
どれ程いやらしいことを考えているのか俺には想像もつかなかった
393名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/15(木) 10:44:27
あぶ長はアンジェ先生の師匠
394名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/15(木) 16:05:03
あぶ長が最高だったんや、あとのなりきりコテなんで全部ゴミや
395名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/15(木) 18:48:07
ゼロセンチ先生に失礼だぞ
396名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/15(木) 19:32:39
ゼロセンチ先生は馬鹿だから死んでいいよ
397名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/15(木) 22:57:10
クマッタ逃亡?
398名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/16(金) 11:04:19
ゼロセンチ先生大勝利!!!!!!!!
399白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/18(日) 00:07:07
>>386-387>>389
その通り。巷には流行ってるんだろ?
儒生が殿試の為に上ってきて、京師で深窓の紅顔に恋をする小説。
それは大抵楼上の窓辺に座しているとか、庭先で洗濯をしているとか、
優れた織女の評判を有しているとか……展開は女性の身分次第だってなっ
征夫を思う夫人ならそもそも成就しないし、夜咲く大輪の花なら仙女譚に模した恋物語に発展する。
ともかく、何か一つの憧れの形があるんだろうな……
様々なモノが混在する、京師という魔窟の中に人知れぬ境がある。
そこなる女、内奥には仙界という神秘が男心を引き付けるんだろう。

ただ、多くの場合恋は長続きしない。離別してしまうのが殆どだ。
これは元の仙女譚もそうだけどな。もし長続きするとしたら、女の人物像は「仙女」から
気丈な志を持って夫の身を立てる「烈女」へと変化するみたいだ。
神秘性をもった美女を恋の相手に求めるのに、添い遂げるのは地に足を付けた女に限るとは
世の男は身勝手なものだな? 汝杏。(ふふ、と鼻から息をこぼして笑み…)

名だたる士人も、夜には身の内の魔性が首を擡げて遊びたくなる。
女が自分にしなだれかかり、アレを咥えるのを満悦そうに見下ろすんだ。
でも、そんな奴が自分の家に戻れば娘に「女としての在り方」を説き、浮いたことどもを
娘から遠ざけておく。滑稽だ。
(『アレを咥える』という、皇帝らしからぬ下品な物言いに、周りにいた誰かは顔をしかめた。
 が、彼は意図して言葉を選んだのだ。二面性を持った士人の醜性はこうして表現される。)

さて、深窓に高貴な粉黛がいて、実は男だったという斬新な物語が今宵ここにある!
その帰結はどうなるのか、気になるよな。
さあ今こそ征かん、われら、その先を知らんと欲するものどもよ!

(汝杏の演技が内心で気に入ったと見えて、芝居がかった口調で庭へと誘う。
 演技の後には大笑がこぼれ、二人の明るい声の先には白呈春の冷たくも熱き姿があった)
400白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/18(日) 00:55:56
なぁ。もし、王昭君みたいな美女が自分だけのために笑顔を見せて誘ってきたらどうする?
迷うことはないよな。
けれど、女一人抱くのにも頭を使い、従兄弟に会うのさえ気軽にできないのが『皇帝』としての陛下の立場なんだ。
女の秘所に毒や刃物が忍ばせてあるかもしれない。女の身内に邪な考えの持ち主がいるかもしれない。
そんなこと一々考えたら、どんな傾城傾国相手でもげんなりするよな。

慶雲相手に棒を振り下ろす陛下を見ておれは考えた。
陛下のお側で常に控えるのが許されるのは宦官くらいだ。陛下のことがいくら好きでも宦官になることができるかというと話は別だ。
先の熱病も宮廷内の反抗勢力による暗殺未遂だという話も燕王家には挙がってきた。
真相のほどは父ちゃんや兄貴にしかわからない。陛下には強い友人が必要だ。
行動を共にすることで陛下の心と体の平安を保つことのできる友人が。
じゃあ、どうすればいい?

おれの代わりに陛下をお側でお守りできる友人を見つけ出せばいい。
関慶雲。うってつけの人物じゃないか。
もしかすると陛下は「承芳に監視されるみたいだな」と冗談めいた不快を口にされるかもしれない。
だが、陛下の安全には代えられない。
おれは脳裏に考えが浮かぶなり、慶雲を呼び寄せた。
401白承芳 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/18(日) 00:56:53
>>359
おい、慶雲。ちょっと来てくれよ。

(慶雲に少し屈むよう頼み、背伸びをしながら慶雲の耳に囁く)

関公、今日から君の主は陛下だ。ああ、もちろんこの国の人間全ての主は陛下だ。
そういうことじゃなく……

(わざと『関公』と呼んだ)
(慶雲の両肩を両手でぽんと叩き)

今日を以て関慶雲を燕王家の任から解くことにする。父と兄には後で報告しておく。

(慶雲に口を開かせまいと立て続けに、首から玉の飾りを取り出し慶雲に渡す)

これは父ちゃんがおれの健康を願って作らせた玉のお守りだ。
餞別代りにやるよ。いじわるな先輩からのお守りにはなるだろう。
なあに、今生の別れというわけじゃないんだ。たまには元気な顔を見せてくれよ。
おれも妓楼遊びをするような大人だ。
もう、兄に閉じ込められる度に関公の助けを必要とするような子供じゃないってことだ。

ほら、行けよ。
前々から陛下にお仕えしたがってただろ。

(慶雲を軽く叩いて皇帝の方へ押し出した白承芳の目元には、かすかな涙が滲んでいた)

変だな。
雨なんか降ってないのにな。いつだって会えるのに。

(涙を皇帝に見咎められ)

久々に外の空気を吸ったら安心して眠気が……欠伸をするとなんで涙が滲むんでしょうね。

(皇帝に向かって振り向いたその笑顔は、早春の庭にぱっと咲いた白梅のように晴れやかで誇らしげだった)
402白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/18(日) 02:15:10
ああ、居るんだな。何か起こるとは思ってた。でも、まさかねえ。
祭祀でもないのに。…すぅ……はぁぁ……深く呼吸して心に平静を取り戻す。
胸の鼓動が、やけに大きいな。体全体がびりびりする。これは、相当、緊張してる。
そこに「居る」モノは、明らかに自分より大きな存在。
今まで、気配を消していたんだろう。汝杏が慶雲と一緒に離れた途端、周囲を満たした清浄な気。
生命の活力に満ちた気は、恐らくは、幾多の眷属を束ねる高位の神だろう。
自分を見に来たのか。…どくん、どくん……目の前の、白梅の樹下。
姿は見えないが、明らかにそこに居る。一歩も動けない。体が動かない。背中を汗が伝う。
……見えない? いいや、見えてるよ。


──そこに居たのは、珠のような肌を薄絹で包んだ女。
沈魚、落雁、閉月、羞花。どれも文字の上の表現だと思っていたけど、間違いだった。
周囲にありとあらゆるもの、生きとし生けるものと調和しながら、その頂点に君臨するように
女はそこに居た。
朕は知っている。彼女は、春から夏にかけて万物の生長を司る女神。花姑。
花神が牡丹を指すなら、彼女と自分は同じ名を持っている。


「選択の時は過ぎたわ。貴方は選んだ。これから、苦難が待つでしょう。
 一切は転がり落ちる石のように、終局に向けて……。
 戻ることができたのは、貴方の生き筋の遥か後ろ。もう、戻れないわ。」


こくっ。短く頷く。


「覚悟はできているのね?」


もう一度頷く。緊張のため、声は出そうとしても出なかったろう。
でも、どうであれ、朕に言葉は必要ない。


「そう」


…彼女は消えた。途端に緊張が解け、辺りは元の様子を取り戻した。
どういうわけか、姿が見えなくなっていた臣下たちの気配も近くにあり、
折りよく来た汝杏の笑顔を見て、先ほどの応答への自信が湧き上がるのを感じた。
403白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/18(日) 02:35:58
時醒、汝杏。
ふたりとも。

──呈春はその指に紅を滲ませ、承芳はその目に珠を宿らせている。
なんだか、いろんなことが起きる夜だな。

…呉帝国をとりまく花鳥風月は、本当に綺麗だ。
この呉帝国で、ふたりとこうして顔を合わせられることは、
当たり前のことじゃなくて、もっと大切にしたいと思ったよ。

朕は──本当に、この国が好きだ。
404焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/04/19(月) 22:41:34
>>386
(現れた皇帝の従弟の頭には髷が無く、子供の様に肩下に垂らされていた。)
(賈延福、王三児、李畢嵐の三人は息を呑み、互いの顔を見合わせた。)
(どうやら、郭勝、郭躍に髷を斬られた下男とは燕王家の末息子・白承芳の事らしい。)
(焦景栄と目が合うと、白承芳は猫のように舌をぺろりと出して見せた。)
(どうも憎めない。)
(そうえいば、白承芳の行く末を白如月が案じていた事がある。)
(「承芳の記憶力の良さは、宮中で生きていくには余計なものかもしれないね。そのうち承芳自身が気が付くと思うけれど。」)
(ふっと嘆息した、白如月は杯を差し出して笑った。)
(「承芳の事を宜しく頼むよ。考え無しに行動する所があるけれど、悪い奴じゃないんだ。それに、景栄が付いていてくれたら、
私も陛下も心強い。」)
405焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/04/19(月) 22:43:00
>>389
焦景栄「時醒様、これを。」
(焦景栄は一枚の手巾を取り出し白呈春に差し出した。)
(白呈春は淡然として微笑み、焦景栄に応えた。)
(一枚の白絹の手巾を通し、二つの手が繋がった。)
(二つとも彫像の様に美しく、長く完成された指が伸びていた。)
(握力で杯を割ってしまったのだろうか。)
(温かく静かな白呈春をいったい何が杯を割るまで至らしめたのだろう。)

(血は吸い込まれるように白い手巾に紅い広がりを見せ、月は冷たく冴えている。)

焦景栄「破片でも、入ったのかもしませんね。」
(白呈春の右手の様子を見ながら、焦景栄は考えていた。)
(「陛下の仰っていた『恥ずかしい秘密』とは、何なのだろう」と。)
406李畢嵐 ◆OBNJddam46oq :2010/04/19(月) 22:44:43
(破片を気にする焦景栄と白呈春は、まるで一対の画のようだった。)
(もしも、焦景栄に子というものがあったならどんな顔の子供だろうと李畢嵐は子供の頃考えた事があった。)
(皇帝の様な子供か?。)
(白如月の様な子供か?。)
(白呈春の様な子供か?。)
(それとも、白承芳の様な子供か?。)
(皇帝と白承芳の様な子供ではないだろうなと李畢嵐は思っていた。)
(親子は姿形の前に、雰囲気が似るという。)
(そういう意味では、白如月と白呈春は焦景栄にどこか似た所があった。)
(見目の良さだけではない、何かが――。)

(李畢嵐は九つの時、両親に捨てられた。)
(初めて見る京師。初めて口にする甘い菓子。初めて見る母親の笑顔。とても楽しい日だった。)
(気が付くと、母親の姿は無かった。)
(闇が差し迫り、雑踏の中から人々は『家』へ消えていった。)
(「口減らしの為に捨てられた。」李畢嵐が事実に気が付いた頃には、闇の中ぽつぽつと灯りが灯り始めていた。)
(「坊や、一人かい?。」見上げると一見、人の良さそうな中年がにやにやと笑っていた。)
(「人買いだ。連れて行かれる。」李畢嵐は悟り、人混みの中ぱっと衣の裾を掴み泣いて叫んだ。)
(「哥哥。何処に行ったんだよ。僕を置いていかないで。」)
(清潔な衣を身に纏っていたのは、白皙の青年だった。もしかすると、李畢嵐の本当の父親と同じくらいの歳だったのかもしれない。人買いには見えなかった。)
(青年は、さっと李畢嵐の手を取り、「弟弟、探したよ。」と優しく頭を撫でてくれた。)
(「本当にあんたの弟かい?。」訝しげに李畢嵐と青年を見比べる中年に青年は云った。)

(「私は劉瑶の息子・景栄。この子は弟の炳坤だ。」と。)
(青年の声に中年は尻尾を巻いて逃げた。偉い人なのかなと李畢嵐は考えた。)
(青年は「もう大丈夫。」とほくそ笑み、ひょいと李畢嵐を肩に乗せた。)
(「五つくらいかな。名前は?。」「うん。劉炳坤だよ。哥哥。」)
(実際は九つでも、栄養の足りなかった李畢嵐は五つくらいに見られた。)
(「私の名前は、焦景栄。父の養子だよ。」「うん。」「不思議な子だね。弟というより私の子供くらいの年齢だろうに。尤も私は子を成すことができない躰だが……。」
「哥哥って呼びたいから呼んでみたんだ。」「そうか。家に来るかい?。」「うん。」「じゃあ、家に帰ろう。炳坤。」)
(焦景栄二十八歳、李畢嵐九歳の時の事であった。)
407李畢嵐 ◆OBNJddam46oq :2010/04/19(月) 22:47:10
>>402
(皇帝がこくりと頷いてみせたその先に女は居た。)
(見える者にしか姿を見せぬ、花姑が。)
(あれから十年も経つというのに、少しの衰えも感じさせない艶やかさ。)
(後宮のどんな紅顔よりも艶やかで美しい。)
(花姑は李畢嵐に目で笑い、真っ赤な唇から小さな歯を覗かせて見せた。)
(皇帝にも花姑が見えるらしい。)
(花姑は皇帝に何を伝えたのだろうか。)
(李畢嵐は皇帝の表情から、花姑の言葉を読み取ろうとしたが、駄目だった。)
408朱日昊 ◆vFI55n.9TIA0 :2010/04/20(火) 12:22:28
【建康】
闖忠弘「日昊様、いよいよ我らの立つべき時が来ましたな。」
朱日昊「うむ、隴西での反乱は呉帝国の支配の衰えを如実にあらわしている。」
      「すでに白氏に中華を治める力はない、天命が革まるのだ!」
闖忠弘「では手はずどおり…。」

(建康で節度使・朱日昊が反乱の準備を整え始めた!)
409名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/20(火) 17:56:36
大丈夫、あのイチローもイッチローチって言われてアメリカでバカにされてるから
ゴキブリは偉大だよ
410名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/20(火) 18:46:59
ゴキブリ女房
411朱懿材 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/04/20(火) 18:51:03
(痩躯の男が節度使・朱日昊の元を訪問した)

>>408
兄上。時は来ました。
宮中に埋伏の毒として送り込んだ我らが朋輩も、兄上のご命令を待っています。

【姓】朱
【名】懿材
【字】
【身分】節度使・朱日昊の弟で書記を務める
【品階】
【官職】
【国号】
【京師】

吝嗇で細かい性格
どうやら同姓の朱婉花と何かしら関係があるようだが……
花姑との関連も含め、今は不明である

412名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/20(火) 21:19:31
ゴキブリ女房
413李畢嵐 ◆OBNJddam46oq :2010/04/21(水) 05:57:34
【京師下・薛珠邸】
(好々爺然とした肉付きの良い老人が、李畢嵐を迎えた。)
薛珠「ようこそお出で下さった。」
李畢嵐「機は熟しました。今こそ強き大呉再建の時かと。」
薛珠「うむ。やはり我が大呉の統治者は如月様こそ、相応しい。」
李畢嵐「しかし宜しゅうございますか。薛尚書。お嬢様は陛下の才人……。」
薛珠「娘の事なぞ。後でどうにでもなるわ。それに子でもできていれば。」
李畢嵐「薛尚書は如月様の次の代の皇帝のお祖父様となられる。しかも、如月様はお嬢様を好いておられた。お嬢様が皇后になられる可能性が高い。」
薛珠「フフ…よくわかっているな。腐っても叡宗と皇后陛下の長子。だが、生まれた時が悪かったようだ。」

(宮中の水鏡・薛珠。人心を操るのに長け、特に外交手腕を買われ叡宗時代から礼部尚書を長く勤めていた。)
(薛珠の令嬢は、皇帝の後宮に薛才人として仕えていた。)
(一尚書の令嬢が皇后ではなく、才人だというのもおかしな話だが、薛才人は不満一つ漏らす事が無かった。)
(しかし、令嬢が不満を抱いていなければ父親も満足しているというわけではない。)
(難関の科挙に及第し、常に己を高めていたい薛珠にとって現在の皇帝は自分の作品としての『政治』の失敗作であった。)
(「自分の吏僚生活に傷があってはならない。簒奪は褒められたものではない。だが、名君を生み出したとなれば別だ。」)
(皇帝に失望する度に、吏僚達の白如月への期待と神格化は進んだ。)
(平和な時代なら、それなりの皇帝だっただろう。だが、長い泰平と引き替えにこの国が失った物はあまりにも大きすぎた。)


李畢嵐「陛下を亡き者とする為、虎を庭に入れるのもいかがなものかと思いましたが……。」
薛珠「不要になった虎は縛って殺せば良い。」
李畢嵐「それもそうでございますね。問題は、如月様に簒奪の意志が見受けられぬ事。」
薛珠「なぁに。皇帝の威厳と自覚というものは玉座に座ってからつくものよ。玉座に座らせてしまえばこちらのもの。それにしても皮肉なものだな。叡宗の傳を勤めた劉瑶殿のご子息が
叡宗と皇后陛下の長子を彼岸に導くとはな。」
李畢嵐「仰ってくださいますな。」
薛珠「貴公の兄上は、陛下の寵臣・焦景栄殿。李大人。覚悟はできておられるだろうな。」
李畢嵐「元より。……眠い人間に眠りが必要なように……力なき皇帝には死が必要かと。」

(思慮深く伏せられた李畢嵐の顔が再び上げられた時、そこには動かぬ強さが顕れていた。)
(経験と力を持つ者だけが許される揺るぎない自信から来る強さ。)
(焦景栄が光ならば、李畢嵐は影。)
(美しい焦景栄と貧相な李畢嵐。)
(親子兄弟は雰囲気だけは、何処かしら似ると云う。)
(兄弟というには歳が離れ血は繋がらぬ二人だが、職務に対する自尊心と物静かな強さだけは似ていた。)

(かつて栄華を極めた叡宗の傳を勤めた劉瑶の二人の息子。焦景栄と李畢嵐。二人の『道』の歯車が、今、確かに狂い始めていた。)


>>408
>>411

李畢嵐「お待たせ致しました。こちらも準備は整っております。さぁ、惰眠を貪る皇帝に弔いの読経を!。」
414名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/21(水) 07:43:07
イチローを馬鹿にするな!!!!
415白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/21(水) 08:54:23
>>408>>411
──天江道。京師広陵と長江を挟んで対岸の建康を繋ぐ航路。
常に大小の商船が行き交う天江道は、広陵を物資の集積地、中華経済の要衝たらしめている、謂わば血管である。
ここは船の停泊する津。
広陵の商人と建康の商人が顔を合わせていた。

広陵商人「いやあ、ご無沙汰しております。お変わりありませんか」
建康商人「おお。うん、お蔭様でこの通りぴんぴんしてるよ。しかも…ん…、これからちょいと
     あたしにとって風向きが良くなりそうなのさ。」
広陵商人「それは何より。」
建康商人「いやあついこの間までは火の車でね、この歳で胸が弾むったらあ無いよ。」
広陵商人「ほほう。」
建康商人「…あんた、知らないって顔をなさるが、ん、あんたも儲ける口を掴んでるんだろ?」
広陵商人「はて、何のことでございますかな。御戯れを仰る」
建康商人「あっはっは…相変わらずさね、あんたは。それじゃあ失礼するよ。一寸人を待たせていてねえ。」

おわかりだろうか。
彼ら商人に、忠誠とかいったものは無縁だ。
それが正道であれそうでなかれ、商道を貫くのが彼らの最優先事項であり、矜持である。
平時は国を富ませ、経済を安定させるが、乱世はその流れが乱れる。
貧しくなる者がいる一方で、急速に富を得る者がいる。
彼らは節度使朱氏の起こす乱風に乗ろうとしているのだ。

このことを知る者は、遂に京師に情報を齎すことがなかった。
皮肉なるかな、長江はいつもと変わらず悠然と流れ、日は美わしく、人々の顔には笑顔が浮かんでいる。
これが乱世の幕開けであるなどと、誰が想像しただろう?
長江を隔てて対岸、ほんの近距離から、皇帝に捧げる弔いの音曲が奏でられようとしていた。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/21(水) 15:00:39
藤田は必ずクリーンな状態でクローザーに最終回を任せるけど
アンジェは好調なセットアッパーを引っ張るだけ引っ張るんで
クローザーの準備ができずに誰が投げても荒れ模様になったと石毛が言ってたなぁ

駒田も落合FA入りで競争して自分の方が良い成績だったら自分を使ってもらえるのか
それとも構想外なのか相談したくて、お話できませんか?とお願いしても逃げ回られてしまったと言っている。

小林繁も巨人が特別な球団としてのオーラを無くしたのはアンジェが監督になったからと言ってたし

監督としては最低だった事は間違いないだろう。

アンジェが去って巨人ファンをやめたのは元々長島ファンであって巨人ファンではなかったということ。
俺はアラフォーだが俺の世代は長島の威光をあまり知らない。
去っていったのは六十代間近の団塊世代だろう。これからの巨人にはどの道必要でない人たち。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/21(水) 16:47:10
アンジェの話は至極真っ当だと思うよ

日本国民は政治を政治家に丸投げして
お客様気分で文句言ってるだけだ
自らの手を汚す事無く
文句だけ垂れ流す
アメリカの骨抜き洗脳は
見事に成功してるね
418名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/21(水) 19:41:34
成功してるよね
419白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/21(水) 21:31:59
【燕王別邸】

──これから、苦難が待つでしょう。花姑は艶やかな声で冷酷に断じた。
「自然」は「自ずから然る」と書く。それは時に酷な運命を人に提示する。
それは即物的に、世界の因果律に従って動くのだ。
白牡丹の神々への崇敬は彼らの同情と庇護を勝ち得たが、事態はあまりにも逼迫していた。
戦乱という終局へ向けて転がる帝国を、引き戻すことは誰にもできない。
白牡丹は花姑の言葉を受けて、そのことを理解し受け入れていた。
今宵、ここに集うのは彼が心を置く者たち。
ひとしきりの歓談の後、彼は皆の顔を眺め、皆が彼に注目するのを待った。
皇帝の様子に気付き、各々姿勢を正して向き直る。
静寂が辺りを支配したとき、白牡丹は口を開いた──


この非常時にまた遊興に耽ってと、人は呆れるかもしれないな。
そう。衆目に映る白牡丹は稀代の愚帝。
そんな愚帝を、──時醒、景栄、汝杏、慶雲、延福、三児、畢嵐──皆はいつも見てくれていた。
皆が朕を見てくれていたように、朕も皆のことを見ていたんだ。

(泣いたこともあったし、不安になったこともあった。
 疑ったこともあったし、色々なことがあった。だけど…)
「どんなこと」があっても、朕は絶対に皆を見捨てたりしない。
皆は死なない。死なせはしない。
これは朕の誓いだ。天地と皆々、そして自分自身に誓う。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/21(水) 21:37:39

   ____
  /     \
  / / ̄ ̄ ̄\丶   くやしいです!!
 |/ \  /  丶|
 /Y ヽ   ノ   |ヘ
 ヒ|    /     |ノ
  丶- (_ノ  - イ
  |丶∈≡∋ /|
  >――――<
 / 丶__ノ \
421焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/04/22(木) 01:59:13
(苦渋に満ちた青年皇帝から突如として発せられた言葉。)
(国を愛し、民を愛し、自然を愛するこの青年皇帝のいったい何が罪だというのか。)

(「あなたは特別だから。焦景栄。」皇后の言葉が心中に蘇る。)
(一度は捨てた自分の人生に光を齎してくれた叡宗。)
(穢れた自分を信頼してくれた叡宗と皇后と皇帝。)
(――あの時と同じだ――。)
(姉を救い出す事ができなかったあの時を何度悔いた事だろうか。)
(悔いたとて過ぎ去った出来事を変える事はできぬ。)
(いや、あの時と一つだけ違う事がある。焦景栄は己に言い含めた。)
(今や焦景栄は周りの為すがまま、見て見ぬ振りをし心を痛める事しかできなかった非力な少年ではない。)
(生ける魔物が巣くうとされる宮中で二十数年も生き抜いてきた。)
(宮中で生き抜く術も義父の劉瑶から学び取った。)

(今、己にできる事は――皇帝を鼓舞し、劉瑶の筋から情報を収集し、冷静に状況を分析する事だ。)

(燕王家の下男に一声かける。)
焦景栄「どなたか算木をお持ちではないでしょうか。」
下男「私めの物で宜しければ。」
焦景栄「やぁ。これは使い込まれた算木だ。手の脂が染みこんで、使いやすい。」
(細かな算木を組み合わせ鮮やかに計算をこなして見せる。)

>>419
焦景栄「陛下。この算木上で起こりうる事の全てが商人の取り扱う世界です。そして……。」
(袖をさっと翻し、己の掌を皇帝を含めた七人に見せ。)

焦景栄「この中にあるのが大呉の運命です。世界は、大呉の政を扱う者一人一人全ての手の中にあります。時醒様の手にも、汝杏様の手にも、
慶雲殿、延福殿、三児殿、畢嵐、そして陛下ご自身の手にも。かつて、私は大呉を代表する豪商から学び取った
事があります。商品には『売り時』があり、それを読み違えないのが優れた商人であり、富を持つに相応しい『豪商』と呼ばれるものだと。また、
世情を変えてしまう『力』も豪商の持てる力だと。我らが先祖が育ててきた大呉、まだまだ売り時ではございますまい。たった一つの事に斯様に多くの
算木を必要とする商いよりも難しく、算木をも必要としない政の世界に必要な物は目に見えぬものばかり。だからこそ、組織としての力が大切なのでございます。
陛下の仰る通り。誰も死んではなりませぬ。」

(遙か遠く月へ拱手して見せ。)
焦景栄「あの月の嫦娥へ誓いましょう。我ら姓も育ちも違えども、常に命は大呉と共にあるべしと。」
422朱日昊 ◆vFI55n.9TIA0 :2010/04/22(木) 12:58:14
【建康・朱家軍本陣】
朱日昊「決起への準備はどうなっておる?」
喬大聖「すでに将兵の配備、武具糧秣の調達完了しておりますぞ。」
朱日昊「結構。宮中工作についてはどうか?」
闖忠弘「それならば懿材殿が抜かりなく進めておられます。」
朱日昊「よろしい。」
      「…では最後の仕上げだ。この書を懿材とその協力者のもとへ届けよ。」
闖忠弘「はっ。」

>>411>>413
【文書に曰く】
新月の晩、皇帝白牡丹・門下侍郎焦景栄・中書侍郎左匡輝の三名のもとに刺客を送るように。
刺客は先日建康からそちらに向かわせた者を使いなさい。
彼らは字を書けぬし?薬で喉を潰しているから万が一仕損じて囚われても我らが首謀者だとはわからないので安心せよ。
三名を暗殺した後、すぐに皇弟白如月と燕王白果が帝位を巡って争うように仕向けよ。
いずれか政争に負けたほうを我らは皇帝として擁立し広陵に進軍する。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/22(木) 15:31:15
くやしいです!!!
424朱懿材 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/04/22(木) 18:35:46
>>422
(朱日昊からの指令を読み)
文盲でおしの刺客たぁ、さすが兄上だ。

皇帝と門下侍郎と中書侍郎を暗殺し、皇弟と燕王を争わせる二虎競食の計か……。
むぅ。頭の切れる兄上らしからぬ考えだな。
李の奴ぁ、皇帝を滅ぼした後に皇弟を擁立することを条件としてるが。

そんなまどろっこしい事なんかしてねぇで、俺たちが朱氏の王朝を建国しちまえばいいものを。
それに俺ぁ、あの燕王とは関わりたくねぇ。
何を考えてるかわからねぇ皇弟も不気味だし、燕王の長子も苦手だ。
邪魔者は多く消すに限る。

まずは兄上の言う通り、皇帝と門下侍郎と中書侍郎には消えて貰い、白氏の血は全て絶やしちまおう。
宮中の内通者に協力して貰わんと困るから、表向きは皇弟擁立の方向でな。
歴代王朝を見て見ろ。
前王朝の血は残さぬのが中華のやり方だ!

それよりも、同じ文面が李の奴に渡っているとしたら大事だぞ。
李の奴は皇弟擁立を条件に俺たちに協力してくれてるんだからな。
むっ、もしやこの文書…兄上の名を騙った偽書では……。

【朱懿材は朱日昊からの文書を疑っているようです】
425李畢嵐 ◆OBNJddam46oq :2010/04/22(木) 20:28:08
>>422
李畢嵐「ご苦労。」
(朱日昊からの密書だという文書を読み、李畢嵐は己の目を疑った。)
(密書には墨痕鮮やかに「三名を暗殺した後、すぐに皇弟白如月と燕王白果が帝位を巡って争うように仕向けよ。 いずれか政争に負けたほうを我らは皇帝として擁立し
広陵に進軍する。 」と確かに書いてある。)
(李畢嵐や薛珠が朱日昊らと組んだのは、皇帝を亡き者にし、白如月を帝位に就ける為だった。それが、白如月と燕王を争わせ漁夫の利を得ようとしているという。)
(この文書を薛珠に見せたものか。李畢嵐は暫し思案した。)

(これは、燕王が朱日昊と白如月派の間を裂く為に画した計略ではなかろうか。)
(そもそも燕王は、権謀術策を好み、人を信用しない冷酷さを先々代の皇帝に案じられ帝位に就く事が無かった親王だ。)
(帝位に就くには人格に問題があっただけで、有能である事には変わりが無い。)
(そして燕王の姓が白氏だという事にも。)
(謀を好む人間が謀られる側になる事は、さぞや気分が悪い事だろう。)
(隴西の擾乱を皇帝よりも早く知り得た劉瑶と燕王。)
(使者が真っ先に報せたのは、皇帝の元ではなく、燕王の元だったという。)

(当時、皇帝が病床についていたのもあるだろうが――この密書が誤送により届いた朱日昊の本音だろうが、燕王の計略だろうが関係はない。)
(燕王は侮るものではない。そして積極的に関わるべき人物でもない。)
(答えが出るなり李畢嵐は素早く行動を起こした。)
(劉瑶に理由も告げぬまま、金銀の珍品と京師の名妓と春を売る少年を合計十五名引き連れ朱懿材の元を尋ねたのでる。)
(朱懿材が吝嗇で細かい人間だというのは、かねてから知っていた。まずは、密書の事は知らぬ存ぜぬで通し、朱懿材を皇帝よろしくこの世の快楽で骨抜きにし、じっくりこちら側につかせようとしたのであった。)
(生まれ落ちた時より人の顔色を窺い、権力者の怒りを静め取り入るのを職務としてきた李畢嵐にとって贅沢を知らぬ朱懿材を取り込む事など赤子の手をひねる様なものであった。)

>>424
李畢嵐「連日の働きでお疲れでございましょう。京師にお出でになり、京師を知らぬは損でございますよ。さぁさぁ、今日は存分にお楽しみ下さいませ。」
(金銀の珍品を取り出し。)
李畢嵐「これは、朱大人の名を慕うとある方からの贈り物でございます。どうぞご笑納下さいませ。」
426朱日昊 ◆vFI55n.9TIA0 :2010/04/23(金) 12:55:01
【建康・紅鯨酒家】
喬大聖「日昊様、本日はわざわざこのような場においでいただきありがとうございます。」
朱日昊「我が覇業を支えるに足る人材を推挙したいという大聖の言葉、無下にはできぬ。」
      「さっそくだが、大聖。その者たちを余に紹介してくれ。」
喬大聖「ははっ、ただ今。皆の者、入ってまいれ!」

(4人のたちが朱日昊の前に現れた)

金巨山「俺の名は金巨山だ。京師で棒術師範をやっていたこともある。」
田要家「私は田要家と申します。弓射には少々自信があります。」
清恵礼「……清恵礼。……剣を使う。」
安圭斎「それがしは安圭斎、我が大斧で殿の覇業を切り開かん。」
喬大聖「…日昊様いかがでしょう?この者たちは皆日昊様の治める世を望む勇者ですぞ。」
朱日昊「素晴らしい。でかしたぞ大聖。」
      「巨山、要家、恵礼、圭斎。そなたたちは今後朱家軍四天王として存分に働いてもらうぞ!」
四天王「御意!」

(朱家軍は来る蜂起のときに向けて着々と準備を整えている!)
427史逸:2010/04/23(金) 15:15:07
─京師─

ふうむ
節度使様の命で攪乱の一翼を担っているが、どうやらあまり上手くいっていないようだな
足並み揃わぬでは決起が上手くいくはずがあるまい
このままではいかんな

新月の晩に皇帝と補佐を暗殺し、即座に皇弟白如月を擁立
協力すると見せ掛け節度使様が軍勢を率いて上洛、内部と呼応して白氏を根絶やしにするぐらいが良いのだが

新月まで無限の時がある訳でもあるまい
弟殿、節度使様にご連絡を取られては?
428李堅@燕王家臣 ◆wWD8Ncl5Qc :2010/04/23(金) 22:22:18
李畢嵐の動きが臭いな…
大王と呈春様にそれとなく報告しておくか
429白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/24(土) 13:26:34
>>421
景栄の手さばきを見ていると、なんだか不思議に頼もしくなってくるよ。
その手にあるのが大呉の運命。そしてこの手の中にも。
人には得手不得手があり、領分もあるが…。
それが組織となれば、天命を引きつけられることは歴史が証明している。
皇帝の役目を含めた政をも商いに置き換えれば。
今、その『売り時』を誤ろうとしている者がいる!

(ふと衣服の中に手を入れ、古びた首飾りを取り出した。)
(年数を経て色のくすんだ石英に、細い鎖が繋がれている。)

これはな、如月が昔くれたものだ。
丁度こんな月の良い晩のことだった。
太子付きの内侍を宥め賺して、二人で庭へ出た。
そこは彼と朕の知る世界の全てだった。
そこに全てがあった。

──宝探しをしよう。
どちらが言うともなく、そういうことになったんだ。
月明かりだけが照らす夜の庭で、不思議なものを見つけようってね。
池に渡す橋の側に、これがちらりと白く見えたんだ。
最初に見つけたのは如月だった。
朕はそれに夢中になった。
如月は言った。「僕が見つけたんだ!」
そう、二人は昔は言い合うことだってあったんだよ。

でも、ある時突然、如月はこれを持ってきて、
「兄上にあげます」と。
朕を喜ばせようと思ったんだろう。
嬉しかった。無くさないように、こんなふうに首飾りに仕立ててもらった。
それから、ずっと身につけている。
今でもこれを見ると、昔をありありと思い出す。
如月はとっくに忘れているだろうが、これが昔と今を繋いでくれているように思う。
如月。あれを不幸にはしたくないよ。
もしも子が生まれなければ、帝位も彼に継承するつもりだ。

だけど、先ほども言った、『売り時』を読み違えようとしている者たち。
彼らは我々の関係を踏みにじり、犯してしまうだろう。
誓って言うが、道を曲げて継承された帝位は彼を不幸にするだろう。
彼だけではない。歪な玉座に座った皇帝・白如月は、その才覚や志と、
自らの置かれた現状の落差に失望し、その怒りは多くの命を奪うかもしれぬ。

(そう言うと、石英の首飾りを衣服の中にしまって)

月の嫦娥よ、朕も誓おう。
ここに居る我ら、姓も育ちも違えども、常に命は大呉と共にあるべしと。
人は死すべきもの、人の命が一炊の夢でしかないというのなら、
我ら儚い命を寄り合わせ、共に大義を成さんッ!
430白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/24(土) 14:15:54
──いつだって、宮中は臣僚の思惑が錯綜して張り詰めている。
殊更今は不穏な雰囲気が蔓延しているが、そんな宮中にも慶事は訪れる。


「確かでございます。ご懐妊でございます。」


薛才人懐妊の報せは、まだ内々にしか話されていないことだった。
日頃から帝室に密着している宦官たちや、情報に強い一部の臣僚はすでに掴んでいるだろうが、
公式にはまだ発表されていなかった。
多くの女性が初花が来れば嫁ぎ、子を為していたことを考えれば、
二十七歳という年齢で初めて懐妊する才人は世間的には珍しい事例であったろう。
(当代の後宮華麗には二十五を過ぎた女性が多く、そこに限ってみれば異例でもないが…
 叡宗は娘のような年齢の女官を寵愛したが、白牡丹は年上を好んだ)
才人は、彼女らしいといえようか、周囲に穏やかな貌を見せて喜びを分かち合った。
白牡丹も、言葉にできない喜びに、憂慮に満たされた胸を和らげた。
自身の未熟さを知っているから、父親の立場にそぐわないのではないかと不安を抱いたのは確かだが。

飛ぶように薛才人の室に駆けつけ、息を弾ませて飛び込む。
(勢い余って内侍医に窘められたが、才人は微笑した)
もう、何て言ったらいいか分からなかった。
ただ、顔に、全身に気持ちを表して、才人の手を握った。
そうして、時を忘れたように彼女の傍に座っていた。

生まれてきてからのことが楽しみだった。
男かな、女かな。名前はどうする?どんな子になるのかな。先生をつけよう。景栄がいいかな。
気の早い先のことが浮かんでは消え、浮かんでは消えた。
この子の生きる時代は、安寧に満ちたものでなければならない。

ただ、未来への希望の他に、現実に目の前にある問題があった。
燕王家では、子供が生まれなかった後のことを周囲に話した。
ただこうなっては、皇太弟ではなく皇太子を立てるのが順当な道だ。
如月派の臣僚にとっては、もしもお腹の子が生まれてしまえば
皇帝が「自然死」しただけでは目的を果たすことができなくなる。
薛氏の父親、礼部尚書薛珠などは当然この懐妊を知っただろう。
彼を含め、帝位交代を狙う臣僚は早期の皇帝暗殺を切実なものとして計画するに違いない……。
431華武乙 ◆.t0tqWqBjyn2 :2010/04/24(土) 16:50:25
陛下、今後はより一層皇帝らしく生きてくだされ
生まれてくる皇子のためにも…
432名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/24(土) 18:32:16
クマッタ蛆虫の巣窟
433白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/24(土) 18:41:14
>>431
わかってる、わかってるっ!

(それとなく諫言をする華武乙に、興奮さめやらず、顔中に喜びを表しながら応える)

そうだな、楚の荘王のようにはいかないかもしれない。
どこまで行っても、白牡丹は白牡丹だからね。
それでも意識の届く限りは努力するよ。

だから卿も、朕が国にとってより良い生き方ができるように、
これからも手伝ってくれ。


(皇帝らしく。それは、臣下が君主に対して抱く当然の望みだ。
 それが守られていればこそ、天下が平らかに治まり、皇帝も支持を集めることができる。
 白牡丹のような皇帝にとっては枷のように思えるが、左匡輝が邸宅にこもりがちになって以来、
 面と向かって諫言をしてくれる臣下もいなくなった。だから、これは貴重なことで……)

卿は他の多くの臣下と違い、そうして窘めてくれるんだな?
顔は覚えている。朝議のとき、参列しているのを見たことがあるからね。
だけど、話すのは初めてだ。
部署はどこに勤めているんだ?
434名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/24(土) 20:15:42
ここにクマッタ先生がいると三戦で聞いたんですが本当ですか
435名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/24(土) 21:10:51
本当です^^
436名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/25(日) 08:50:59
37 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/04/25(日) 03:06:41
ドゥーチェはオナニーをして精液を出すとき、
ただティッシュに出すことはしない
「教職課程履修の手引」のような大切な書類に射精し、それをティッシュでふき取っているのだ


39 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/04/25(日) 03:13:58
それは勿論、このドゥーチェが将来の目標を蔑ろにしている事と同義ではない
マルキ・ド・サドの『悪徳の栄え』に於いて、ある登場人物が自身の誇りとしている聖霊騎士団の勲章に
大便を排泄するよう、ジュスチイヌに命じたのと似ている。
この感覚はわかる者にはわかるだろう。


42 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/04/25(日) 03:17:17
>>40
普通であることに安心感を覚える人間は
保守に陥る危険を秘めている


43 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/04/25(日) 03:18:26
君達は私に異常性を感じるかもしれないが、
私は君達の中で最も教養を備えていることは間違いあるまい


48 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/04/25(日) 03:21:35
私は高尚なものを愛すると同時に酷く憎んでいる
そして卑俗なものを軽蔑すると同時に強く求めている


49 :アンジェ ◆YI1yrpC6Lo :2010/04/25(日) 03:22:44
さあ、夜の国は近い
諸君はもう私に付いてきてしまった。
もう、夢の中。
今までも、そしてこれからもずっと。
楽しみだな。ようこそ。歓迎しよう!


50 :無名武将@お腹せっぷく:2010/04/25(日) 03:23:22
乖離性人格障害
437名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/25(日) 10:07:50
クマッタ、コピペ乙
438名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/25(日) 10:11:21
なりきり厨は三戦の新党スレ荒らすな
本気でうざいんだよ死ね
439名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/25(日) 10:12:21
アンジェ気持ち悪い
こいつのおかげでなりきりのイメージは地に落ちた
440名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/25(日) 10:16:10
アンジェ ◆YI1yrpC6Lo=白牡丹 ◆Enju.swKJU
441名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/25(日) 12:59:16
クマッタ荒らすな
442華武乙 ◆.t0tqWqBjyn2 :2010/04/25(日) 18:58:31
そんな、陛下…わしをお忘れとは…
20余年前、吐蕃討伐の指揮をとり飛将軍と呼ばれたこのわしを…

嗚呼、わしの人生とはいったい何だったのであろうか…
443名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/25(日) 21:55:59
うっせー死ね
444白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/25(日) 22:10:44
>>442
なるほどね。
それでは聞こう、吐蕃征伐の英雄、飛将軍華武乙よ。
この二十余年間は、卿にとってどのようなものだったんだ?
かつての飛将軍の羽を錆びつかせるものか。
いや、そうではあるまい。

駿馬は老いても千里を思い、烈士は暮年にあっても壮心を喪わないという。
そうして嘆くのなら、この乱れゆく世の中にあって、
再び飛将軍として世に出給え。
そろそろ戦場の風が懐かしいのではないか。
445名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/26(月) 07:40:27
うっせー死ねアンジェ
446名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/26(月) 07:50:22
ただ、レスずっと見ても乳首舐めが全然出てこないね。
初めて舐められたときは、こんな快感があるのかと思ったものだが。
447名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/26(月) 08:48:58
乳首舐め最高!!
448名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/26(月) 09:13:41
蛆虫アンジェ
浮浪者ととのえ
二番煎じ可児丸
統失患者クマッタ
ひ魔神はいだらー
言語障害伊達政宗
高卒無職ひょーりみ
サイコパスゼロセンチ
449飛将軍・華武乙 ◆.t0tqWqBjyn2 :2010/04/26(月) 09:26:50
そうじゃ、わしの生き場は戦場…
その戦場が無いのならば作ればいいのだ…
陛下、無礼をお許しくだされ!

(華武乙は皇帝に短刀を突きつけ宮中から拉致)
(武装して邸宅に立てこもった)
450朱日昊 ◆vFI55n.9TIA0 :2010/04/26(月) 12:43:28
【建康・朱家軍本陣】
闖忠弘「日昊様、京師より早馬が参りました。」
朱日昊「ほう。それで何と?」
闖忠弘「はっ、薛才人が懐妊したとのことです。」
朱日昊「ふむ…。もし男児であれば我らの計画が破綻する…。」
      「よし、懿材に密書を。計画を一部修正する。」

>>424
【文書に曰く】
門下侍郎焦景栄・中書侍郎左匡輝の暗殺は先の指令通り行いなさい。
皇帝白牡丹への刺客は目標を変更して薛才人へ差し向けよ。
白牡丹の心を破壊するため、薛才人と胎児は極めて残虐なやり方で殺すように。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/26(月) 13:05:50
クマッタ先生がまた潜伏して荒らしてるのか
452名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/26(月) 14:39:41
ょぅι゛ょ ょぅι゛ょ
453名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/26(月) 15:43:08
クマッタ蛆虫
454白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/26(月) 19:37:33
>>449
(首筋にひやりとした白刃が押し付けられる。
 なるほど。さすがの朕も思考の虚を突かれたよ。華武乙の貌を見ると、
 深く刻まれた皺の奥に、矢のように鋭く眼が光っている。
 飛将軍は老いても衰えていないというわけか。

 佇まいに一分の隙もない。この距離から背を翻して走って逃げても、容易に腕を掴まれるだろう。
 鳩尾に正拳突きの一発でも見舞ってやろうか? おそらくは効くまい。
 それでも、実証しなけれれば気が済まないのが性なんだ。)


…無礼というなら、その返礼は……ッッ!


(気合いを入れて、拳を華武乙の鳩尾に叩き込む。
 華武乙は避けようとさえしなかった。皇帝の正拳突きは頑強な筋肉に跳ね返された。
 そのまま腕を捻り上げられ、刃を突きつけられたまま、宣政殿から引き摺り出される。
 あっという間に、皇帝は華武乙の邸宅に監禁されてしまった。)
455白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/26(月) 19:47:58
──窓もない室の中央に座らされている。辺りを見渡すと、屈強な武官が片時も外さず監視している。
居心地の悪いことだ。

さて、これから朕はどうなるのだろう?
刃で脅され、大政変を誘発する勅命を書かされるのかもしれない。
或いはこのまま首を刎ねられ、如月派の元に届けられるのかもしれない。
冗談じゃない。子供が出来たばかりなのに、顔も見ずに死んでたまるか。
ともかく、下手に騒ぎを起こすのは得策ではない。
こんな強引な誘拐が、長い間露見しないわけがない。
しばらく辛抱すれば、羽林軍が助けに来るだろう。
戦闘状態になれば、警戒も手薄になるかもしれない。
その時を待つのだ……。


皇帝は小心と思われていた。しかし、逆境に際して肝を据えてかかることができた。
そうと決まればこれ以上悩んでも仕方ない。武官に監視されながら声を押し殺し、
身じろぎもせずというのは気持ちが塞ぐ。
彼は長嘯し、その口笛は音曲を奏でた。


「場を弁えられよッ!」


監視の武官が凄む。
──控えよ! と応じる。
命もなく首を刎ね飛ばす権限はその武官にはなく、たちまち押し黙った。

白牡丹は再び長嘯し、夜闌の曲を奏で続けた。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/26(月) 20:54:21
なに荒らしてるんだ
457飛将軍・華武乙 ◆.t0tqWqBjyn2 :2010/04/26(月) 21:50:14
陛下、ご安心を
わしは陛下に傷ひとつ付ける気はござらん

…陛下のお言葉でわしは気付いたのです
この20余年わしは本当の生を全うできず、結局この朝服姿にも慣れぬままじゃった…
こんな人生はわしの人生じゃない、無為に偽りの人生を送っていたんじゃ
わしは、わしは…戦場で華々しく散りたかった!

(悲痛な表情で涙を流し着ていた朝服を乱暴に引きちぎる華武乙)
(ぼろきれになった朝服の下には鎖帷子を着込んでいた)

陛下、お喜びくだされ
もう間もなく羽林軍が陛下を助けに参りますじゃろう…
真の大呉武士の死に様、ご照覧あれ!
458朱懿材 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/04/26(月) 22:46:56
>>425
おう。貰えるもんは、ありがたく頂戴しておこう。

(美女や少年達に鼻の下を伸ばしつつ)

(こっちが辺境で戦ってるっていうのに、都じゃ宦官さえこんな贅沢をできるとはな。李の奴ぁ、
大呉を牛耳った影の内閣・劉瑶の息子だったな。こいつを完全に仲間に入れちまえば朱氏の天下も間近だな)

なぁ、李大人。
白氏の世は終末に向かっている。転げ落ちる坂のように、後は落ちる一方だ。
枯れ木みてぇな礼部尚書や泥舟なんか見極めつけていっそ、兄ぃの朱氏の天下を作らないか。そうすりゃ、李大人は建国の功臣だ。

(日頃の地が出たのに気が付き慌てて、咳払いを一つ)

とにかく。前向きにご検討いただきたい。

459白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/26(月) 22:51:01
>>457
──将軍。
いつか、こんなことも起ころうかと覚悟していた。
朕が虜囚になるときには、必ず裏に謀り事が張り巡らされ、
それは凶事を招くものだろうと。
だから、実は恐れていたんだ。取り返しのつかないことが
起こってしまうとしたら、どうやってその穴を繕えばいいんだって。
そうじゃ、なかったんだな。
やはり飛将軍の両翼は、完全に錆び付いてはいなかったんだな。

だけど、だけど……。
(皇帝を武力で誘拐した上での戦死。この愚直なまでに硬骨な将軍は、
 狂刃を振りかざした逆賊として後世に名を残すだろう。
 華武乙の悲痛な面持ち、流した涙は、苦渋の末にそれをも受け入れた覚悟を滲ませていた。
 偽りの生を振り払い、戦って死ぬことを選んだ男の涙だった。
 それを理解しながら、白牡丹は大音声で報いた)

同じ戦場で死ぬなら、死に方を選ばないかッッ!

─隴西の乱のことは記憶に新しい。いつまた同じように兵乱があるかわからない。
その時再び戦わぬで、一足先に偉名を地に堕として死んでどうするのだ!?
真の大呉武士なら、百年の先に意義ある戦をして死んでこそだろうッ!

朕が口ぞえをすれば、今からでも間に合う。機会を与えられる。
それでも、今ここで死ぬというのか──華武乙!
460朱懿材 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/04/26(月) 22:52:31
>>427
兄ぃの知恵袋・史逸先生じゃねえか!
むっ、史逸先生の目から見ても我が軍は烏合の衆に見えるのか。
協力すると見せかけ白氏を根絶やし、いいねぇ。
さすがは史逸先生だ。

ただ、俺には都でやることがあるからな。
すまんが、史逸先生が兄ぃに連絡を取ってくださらないか?
ついでに先生の策を兄ぃに授けて手っ取り早く、白氏を滅しちまいたいんだが。
461朱懿材 ◆O.CeiJNB63Sf :2010/04/26(月) 23:04:04
>>450
あ?
兄ぃ何語ってんだよ。化石みてぇな薛珠の爺さんの娘を何で目の敵にしなきゃなんねぇんだ。
後宮の才人たぁ、さぞや別嬪で天女様みてぇなんだろうな。
ただ殺すのも惜しいもんだな。まずは、兵士どもさんざん可愛がってからだ。
皇帝一人に妻が何千……そりゃぁ、身をもてあましているだろうよ。使い込まれてねぇのを一晩で……ククク。

(卑猥な笑みと共に喉を鳴らしながら)

……胎児。なるほど。
さすが兄ぃだ。フハハハハ。

【文書に曰く】
兄上。史逸先生を派遣致しましたので、史逸先生とご相談ください。
懿材は、劉瑶が養子・李畢嵐を朱氏の完璧な仲間に引き入れてみせます。
462史逸:2010/04/26(月) 23:28:15
>>460
御意に
大事決行を前に不吉な事を申して失礼致した
ただ何の由緒も無い当家が謀略で国を獲るのですから細心の注意を払わねばなりませぬ
然らば小生は節度使様の下に参りましょう
引き続き工作をお願い致す

>>450
─建康・朱家軍本陣─

只今戻り申した
史逸でござる
薛才人及び胎児の暗殺という修正案ですな
搦め手から攻める策も魅力ですが、小生は当初の案で良いよ思うのです
皇帝が精神崩壊でもすれば
誰もが如月への譲位をやむなしと考えます
中央が白如月の下に一枚岩になりかねませぬ
反面皇帝が暗殺されれば宮中は混乱状態に陥ります
暗殺したは如月か?燕王白果か?第三者か?
互いの陣営が疑い合う中で如月が即位すれば泥沼から血みどろの争いに発展しましょう
そこに兵を率いて介入すれば朱氏の天下になるではございませんか
463白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/04/27(火) 00:50:01
>>428

(大呉にたちこめた暗雲を象徴するかのような闇が、広がっている。一人の男が闇の中、白呈春の寝室に滑り込んだ。
深夜だというのに、寝室では蝋燭が幽かな光を呈していた。何事にも用心深く、燕王家の長子として
気高い白呈春の性格を表すかのような光だった)

(男の気配に気付いた白呈春。身じろぎしないままに、両目だけを開き)

白呈春「李堅か。何か報告したいことがあるのだろう。委細を述べよ」

>>429

(皇帝の言葉に顔色ひとつ変えることがない)
464名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/27(火) 07:03:52
21番が黄色に灯った
465名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/27(火) 07:04:38
アタックチャァンス!
466名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/27(火) 09:02:49
理想を言えば
・おっき時10cm未満 (7、8cmがちょうどいい)
・包茎は火星まで
・感じやすい
・細め
・でもおっきしたら上向き硬くて元気!ってのがいいなぁ^^
467渾沌 ◆Enju.swKJU :2010/04/27(火) 20:29:48
ふふ………

ふ……ふふふ………

ふふふふふふふ!

さて、如何かな? 我が俳優諸君よ。
この壮大にして馬鹿馬鹿しき悲劇的喜劇!
いや、あるいは喜劇的悲劇、悲劇的牧歌劇、牧歌的英雄劇、
英雄的牧歌的悲劇的喜劇!

ふふ!
そう、世界は醒めない夢。終わらない舞台。君達が踊る舞台は果たして夢か? 現か?

此処はご存知の舞台裏。世の律も此処では意味をなさぬ。
「規制」の鎖に囚われた者よ。悲観する勿れ。
此処で斯く願わば──そう、『自由になりたい』、と──手足を縛る鎖は忽ち消え失せよう。
さあ、存分に歌い踊ってくれ給え!

ふふふふふ!


【という訳で、規制中の方のための代行依頼スレッドを開設しました。】
【レスに気付かれた方は代行のご協力お願い致します。】

PC用
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9102/1272365399/l50

携帯用
http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/study/9102/1272365399/
468渾沌 ◆Enju.swKJU :2010/04/27(火) 20:41:55
【姓】----
【名】渾沌
【字】----
【身分】神
【品階】----
【官職】----
中国神話に於ける神の一柱にして【四凶】の一つ。混沌を司る。
かつて中央の帝として存在し、自らもてなした南海の帝と北海の帝に七つの穴を穿たれ
死んだとされていた……が、世界から混沌が失われることは有り得ないこと。
世界を構成する因果律の外にある空隙に棲まい、今も生き続けている。
基本的に世上の営みに介入することなく、それを「舞台」と称して眺め楽しんでいる。
469飛将軍・華武乙 ◆.t0tqWqBjyn2 :2010/04/28(水) 07:54:13
陛下、わしは…

(華武乙が何かを言いかけた刹那、家人が羽林軍の到着を知らせた)

あいわかった!それでは手はず通り奮戦せよ!
陛下、これよりわしらは大呉武士として戦って死にます…
ただひとつの心残りはまだ三つの孫・阿蘭のこと…
陛下、宦官でも構いませぬ
どうか阿蘭にご慈悲を!

阿蘭「じいじ、この人だあれ?」

阿蘭、このお方は皇帝陛下様じゃ
これからは陛下をじいじや父と思い忠孝を尽くすのじゃ!
…それでは陛下、さらばでござる
士魂の末路、しかとお目に焼き付けられよ!

(半刻後、華武乙以下華家の者は皆枕を並べて討ち死にした)
(ただひとり阿蘭を除いて…)
470阿蘭 ◆.t0tqWqBjyn2 :2010/04/28(水) 08:01:47
えーんえーん、みんな起こしても起きないよー
いつも僕より早起きなのにどうしたの?
471白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/28(水) 09:33:37
>>469-470
宮中では「死」は憚られる。皇帝以外の者が宮中で死ぬことは許されず、死期を悟った官吏は皆自邸に下がる。
だから白牡丹は初めて人が死にゆく場面に立ち会った。
壁一枚、障子一枚を隔てて刃が交えられ、いとも簡単に人が死んでゆく。
おぞましい叫喚。それだけで気が狂いそうになる。
華武乙。──馬鹿者め。大逆は九族誅滅だぞ。
この幼子も、華氏の眷属とわかれば処刑を免れない。
弁護も届かないだろう。実証してみなければ気が済まないのが性とはいえ、
あまりにも失敗の公算が大きく、失敗すれば一つの命がそこで失われてしまうのだ。


…阿蘭、鏡の後ろにいて、出てくるんじゃないぞ。


荒々しく扉が開かれ、羽林軍が室に踏み込む。──陛下! 安堵の声が上がった。
彼らの後ろには、赤赤とした血糊が一面に付着している。血の臭いが鼻を突く。
彼らに守られ宮中へ向かいながら、これからのことを考えていた。
まずは才人に会おう。きっと、いたく心配させただろうな。
精神の動揺は母体にも子供にも毒だ。できるだけ早く、安全を報せなければ。

それから、阿蘭のことだ。
処刑されてしまうのは忍びない。

>>359
おい、慶雲。
一つ頼みがあるんだ。この間、子供を拾った。孤児だ。
まだ小さい。放っておけば死んでしまう。
だから、衛府の孤児の部に入れてやってくれないか?
今、兵士も不足してる。将来の働き手が増えるのはいいことだろう。
頼んだぞ。


貴人の姓を与え、宮中での養育をしないことで、或いは阿蘭は苦労するかもしれない。
とはいえ、才能ある士が世に在るのは、例えば錐が袋の中にあるようなもの。
必ずや袋を破って姿を現すだろう。
歴史上、兵士から後世に名を残した人物は多い。
当代にも、一代の怪物楊昂譚がいる。
阿蘭もかくあれ。彼が元服するまで十年以上の時があるが、再び顔を見ることを願った。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/28(水) 12:37:53
クマッタ蛆虫
473朱日昊 ◆vFI55n.9TIA0 :2010/04/29(木) 10:20:05
【建康・朱家軍本陣】
闖忠弘「日昊様、史逸先生が懿材殿の書状を携えて参りました。」
朱日昊「おお、史逸先生か。すぐにこちらへご案内しなさい。」
闖忠弘「かしこまりました。」

>>461-462
朱日昊「史逸先生。弟からの書状を読みましたが、懿材は何か焦っているように感じますな。」
      「放伐が許されるのは周の武王のような天下に揺るぎなき大徳を誇る者のみ。」
      「余ごときでは武王はおろか春秋の覇者たちにも及びますまい。」
      「徳無き者が放伐をしたとて天下はますます乱れるだけだろう。」
      「余としては発狂した白牡丹あるいは如月なり燕王なりを傀儡として、魏武や晋宣のような形で天下を治めたい。」
      「朱家帝国の初代皇帝となるのは我が子日晟、もし日晟がその器でなければ我が弟懿材であってほしい。」
      「余が性急な乱を避けるのはそういった理由からであります。」
      「そういうことですので懿材には我が指令の通りに動くようにお聞かせ願いたい。」

(史逸先生が退席したあと朱日昊に闖忠弘が近寄る)

闖忠弘「…日昊様、どうも日昊様の望む天下と懿材殿の目指す天下は異なっているように感じられます。」
朱日昊「余はそれでも構わぬ。」
      「弟は幼い頃から上昇志向で欲張りな性格であった。」
      「上昇志向自体は余も同じではあるが、刹那主義的な弟とは違う。」
      「あの者にとって最も大事なのは自分の人生だけだ。」
      「朱家の千年帝国を望む余と己の栄達のみを志向する懿材とでは大きく異なって当然よ。」
闖忠弘「…しかし宜しいのですか?」
      「二頭を持つ鷲は各々が気ままに飛ぼうとするために猟師の格好の的となります。」
      「朱家軍の意志は統一しておいたほうが後々のためかとも思いますが…。」
朱日昊「忠弘、朱家軍を掌握しているのは余のほうだ。」
      「確かに懿材は宮中に強い繋がりを持っているが、最後に物を言うのは強大な軍事力よ。」
      「何も案ずることは無いのだ。」
闖忠弘「……。」
474蒙鐸& ◆7woqGcfwhncS :2010/04/29(木) 15:04:53
【姓】蒙
【名】鐸纘
【字】伯叔
【身分】王
【品階】----
【官職】----
【国号】雲南
【京師】蒙舎州
475蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/04/29(木) 15:08:52
【姓】蒙
【名】鐸粲
【字】伯叔
【身分】王
【品階】----
【官職】----
【国号】雲南
【京師】蒙舎州

文字化けしたので改名
476白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/04/30(金) 13:00:56
ご機嫌麗しゅう、陛下
ご機嫌よう、臣民諸君
ふふ、本日はるばる京師に参上したのは他でもございません
隴西の乱の噂、我が襄陽城にも届いております
陛下、どうか私に3万の兵をお与けください
たちどころに賊どもを討ち果たし、西方鎮撫してまいりましょう!

【姓】白
【名】勒
【字】暁獅
【身分】襄陽公
【年齢】19歳
【封地】襄陽
睿宗と燕王の父・文宗の末弟、魯王・白俊の八男
年齢は大きく離れているものの、睿宗・燕王とは従兄弟の関係にあたる
白牡丹の即位に伴い襄陽公に封じられた
477白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/04/30(金) 15:06:46
つまりこういうことです

【白氏】

順宗─┬─文宗─┬─睿宗─┬─白牡丹
      │        │        │
      │        │        └─白如月
      │        │
      │        │
      │        └─燕王─┬─白呈春
      │                  │
      │                  └─白承芳
      │
      〜
      〜
      │
      └─魯王───白勒
478蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/04/30(金) 16:42:50
【蒙舎州(永昌の近く)】
大臣  「陛下、世界を見渡しますと周囲には強大な呉国が存在しますぞ」
     「周囲の諸侯は揃って朝貢をしているとか。」
蒙鐸粲「ふむ。ならばワシも大呉帝国とやらに使者を送ってみよう」

【大呉皇帝へ】
私は雲南の西の果ての小国の王蒙鐸粲と申す
この度は即位のご報告とともに徳高く名声の通る大呉帝国と誼を通じたく思い
使者を送る
何卒お導きを宜しく申し上げる
479白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/30(金) 17:26:46
>>476-477
暁獅… 暁獅なのか? 懐かしいな、元気か!?
前に会ったのは即位の祭礼の時だから、もう五年になるよな。
あの時から朕より背が大きかったけど、ますます立派になったな!

(襄陽公、白勒。白氏の宗家からは些か遠い血筋にあるが、才気煥発で幼い頃から衆目を惹いた。
 爛々と輝く眼、朗々と響く声など彼を示す特徴は多いが、中でも際立っていたのはその体格だった。
 獅子のような偉丈夫で、武芸をすれば豹のようにしなやかであった。
 そんな彼の風評には尾鰭が付き、母乳ではなく獅子の乳を飲んで育ったとか、
 蹄鉄を二本まとめてへし折ったとか、その類の噂が飛び交っていた。)

……その言や勇まし。朕も、できるならその志を叶えてあげたいよ。
だけど、知っているだろう? 帝国の軍政が今どんな状態にあるか。

もともと、帝国軍は府兵制に支えられていた。
全国にあるだろ、折衝府。
農家の成人男子を集めて、中央や各都督府の府兵を確保する役所だ。
折衝府に募兵された戦力を組織化し、広大な帝国を守ってきたのが
今までの府兵制だ。
でも、それは崩壊してしまった。
農民は家ぐるみで本籍地を離れ流浪し、戸籍の管理もままならない。
折衝府を守る兵士もいなくなった。
今朕が好きに動かせる戦力は、北衙禁軍の一万ばかり。
非常にまずい状況だろう? 迅速な改革が必要だ。

願いを聞き入れるためにも、暁獅、まずは兵士を集めてくれ。
貧農、貴族、官吏、どんな出自でもいい。望む者を募兵して新式軍を作り、
それを使い物になるように訓練してくれ。

(こうした帝国の現状は、少し前まで白牡丹は知りもしないことだった。
 劉瑶の情報を焦景栄が伝え、それによって盲目の皇帝の眼が開かれたのだ。
 彼は改革の必要性を強く感じていた。)
480白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/30(金) 18:13:06
>>475>>478
(早朝、宮中は俄かに活気付いていた。礼部から、蒙舎州の王の使節が来朝するとの報告があって
 暫く経つが、今日がまさにその日に当たるのだ。)

【大明宮 宣政殿】

(若い皇帝は玉座から使節の傍らに降りた)…長旅、お疲れでしょう!
書は嬉しく読ませてもらいましたよ。後ほど返書をしたためさせます。今はゆるりと休んでね。

(百官は目を丸くした。たとえ吐蕃やウイグルのような大国の使節に対しても、
 皇帝がこのような迎え方をすることは有りえないのだから)

…正使殿、副使殿には、今宵はお食事を用意させるからね。
お供の諸氏にも後で運ばせるよ。
お帰りの日まで、京師を好きに見物なさってよろしい。
広陵は良いところだよ。蜀岡に登れば遥か遠くまで見渡せる。気持ちが遊戯する。
痩西湖の辺で燈籠の灯を眺めて酒を飲むもいい。
ここは呉の宝だ。

(そうして、日は過ぎゆく。皇帝は時たま忍んで使節を訪ね、南方の風俗について聞いた。)

……なるほど。ある地方では若い男女は渓流で裸になって入り乱れ、
そこで思い思いの相手を見つけて婚姻する。そこに父母の意思は介入しないんだね。
(近侍の者は何と野蛮な、という顔をするが)…素晴らしいな。それは。
本来、人間もかく自然にあるべきなんだ。いったい我が王朝というのは、しがらみが多すぎる。
それから、もっと聞かせてくれ。次は豪傑ゾトアオ、我々が孟獲と呼ぶ男の話が聞きたい……。
481白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/04/30(金) 18:41:57

(日は刻々と過ぎ、とうとう使節が国許へ戻る日限となった。)

【大明宮 宣政殿】

時が経つのは早いものだね。長いようで短かった。くつろいでもらえたかな。
これが(─宦官が黒塗りの盆に載せて、皇帝の公文を捧げ渡す)今回の返事となる。
確かに蒙鐸粲殿に渡してくれ。

それから、これは心ばかりの餞別だよ。
少し嵩張るが、書画に金銀、瑠璃、翡翠、琥珀、珊瑚……
刀剣に絹織物、陶器。筆墨紙硯。
そしてこの白牡丹の気持ちを確かに贈るよ。

それでは、ごきげんよう。
この誼をどうか忘れず、願わくば末永く、とこしえに続くことを。


【勅】
日月 美わし, 占い定めたこの佳日に発す.

蒙鐸粲を正二品, 使持節, 都督六詔諸軍事, 輔国大将軍, 雲南王に封ず.

本朝は蒙王を後見し, 雲南地域の正当支配権を認可する.

蒙王は自由にその子弟を本朝に遊学させてもよろしい.

ただし, 本朝は蒙王に, 本朝と印度との西南交易路の保護を要請する.

紫雲五年 某日 (御璽)
482蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/04/30(金) 19:46:37
【蒙舎州】
蒙鐸粲「いやしかし閑だな。」
大臣 「平和ですからな。」
重臣 「陛下、呉国よりの使者が戻りました。」
蒙鐸粲「そうかそうか通せ通せ。」

蒙鐸粲「してどうであった?」
使者 「謹んで申し上げます。」
   「呉皇帝は陛下を雲南の王と認め正二品, 使持節, 都督六詔諸軍事, 輔国大将軍, 雲南王に封ぜられました。」
   「そして莫大な下賜品の数々を御贈り下さいましたぞ。」
蒙鐸粲「そうかそうかご苦労ご苦労。」
使者 「ハハ。お褒めのお言葉誠に有り難き幸せ。」
蒙鐸粲「して呉国はどうであったか?」
使者 「ハハ。呉国の都は非常に広く区画が整理された都で御座いました。」
   「しかしその道中は戦や飢饉の傷跡がいまだ完治はしていないようでした。」
   「我らが都に滞在している間にも隴西にて乱が起きていたようです。」
蒙鐸粲「国が大きくなれば手が届かぬ所も出てくると言うもの。」
   「して、何と言っておられたか?」
使者 「ハハ。我らの国は裸族であり自由な通婚でうらやましいと。」
   「そして上古の孟獲の話をしておられましたな。」
蒙鐸粲「ほぉ。孟獲の話とはまた古い話だ。」
   「しかし呉の国の皇帝が知っていると言うのだから、記録として華の国にも残っておるのだろう。」
   「それは我らとしても見習わねばならぬ。」
大臣 「そうでございますな。」
蒙鐸粲「しかし噂によれば時の皇帝は詩人皇帝とのことだったが、それは事実か?」
使者 「ハハ、事実でございます。」
蒙鐸粲「そうか。今だ兵乱が収まりきらぬ大国。その君が詩人とは天は何を考えているのだろうか。」
使者 「しかし聡明な皇帝であられましたからきっとうまく収めるかと思います。」
蒙鐸粲「それもそうだ。我らは通称の道の平和を守り呉との盟約を果たそう。」
   「そして雲南王の威光をもって六詔を統一する。」
一同 「ハハ」
483史逸:2010/04/30(金) 23:14:06
>>473
成る程。節度使様はご自身で皇帝とならず、先ず一族支配を磐石にされる心積もりですな
そのお志固いなら史逸はこれ以上申しませぬ
弟君には然様にお伝え致します
されど重ねて申し上げます
京師にいる内通者との関係を悪化させてはなりませんぞ
我々の最大の協力者は才人の父親なのです
我が娘を殺した相手とあれば考えを翻しかねませぬ
奴の企てに協力して皇帝を暗殺し、奴と共に如月を傀儡化するのが最も穏便かつ危険が少ないのですが…

最後に、小生は如何な天命にあっても節度使様への忠誠を曲げぬ事ははっきり申し上げておきます
しからば失礼致します

>>461
…というのが節度使様のご意向で御座いました
より合理性のある策を提示致しましたが、ご決意は固いようでした
さらに諌めれば小生の忠誠が弟君に移ったかと取り沙汰されぬか心配で御座いました
そうなれば本末転倒
力不足をお詫び申す
484白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/01(土) 09:58:04
【姓】白
【名】直
【字】風悠
【身分】零陵公
【年齢】14歳
【封地】零陵、臨賀の二群

順宗の三男、陽王・白嵩の長男
まだ幼いものの頭は少々切れる
白牡丹に零陵公に封じられる
485白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/01(土) 10:04:17
へ・・・陛下お・・お久しぶりです
(京師にくるのが久しぶりのため雰囲気になれず緊張している)

暁獅も・・・久しぶり!

隴西の乱、参陣できず・・・申し訳ありませんでした
私も・・・・次になにかあった場合は零陵の精悦とともに駆けつけます
最近零陵ではぐ・・軍備も整ってきました
なにかあればなんとでもお言いつけください!!!
486白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/01(土) 10:59:59
>>484-485
ああ、ありがとう……
(短く確かに頷いた後、宣政殿を見渡して)ただ、これは確かにしなければいけないと思う。
暁獅、風悠。

天子として、あるいは幼少時代を共にした「兄」としてのことばだが。
戦うとはどういうことか、その実感を持たないままに戦えば、おまえ達が死ぬぐらいならまだよい──
(吐息のような声で告げた言葉の持つ些か冷たい印象。近侍の宦官は意外そうな顔をした。
 しかし、これは「冷酷」とは違うのだ。皇帝は言葉を続けた。)
おまえ達に従って戦う数万の兵を冥府に駆り立てることになりかねないし、
戦場となる場所の近くに住む民も生活の逼迫を余儀なくされる。
軍備を整えるのに国家財政は逼迫し、そのことによる犠牲ははるかに大きなものになるだろうね。
朕にとっては、おまえ達が死ぬのも辛いし、民と国が苦しむのも辛い。
そんな報告が届くのは、いやだ……。

だから、戦うというのは実は難しいことなんだよ。「孫氏」にもある。
おまえ達が帝国を思ってくれるのは本当に嬉しい。そして大切なことだ。
だから、まずは戦わずして社稷を立て直すことを考えなければ。
もちろん、戦時を想定して準備を整えることも忘れずに。

そう、風悠。零陵で軍備を整えてくれた……それはすばらしいこと。
やるようになったな!

何かあればその力を借りるよ。
それまでよく勉強しておくんだぞ。
487史逸:2010/05/01(土) 12:42:03
今宵は新月
節度使様も待ち焦がれていよう
さあ刺客よ、かねての指示通り薛才人、左匡輝、焦景栄を暗殺せい!

(三者に刺客が放たれた!)
488白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/01(土) 12:52:18
>>486
はい!
陛下のおっしゃるとおりです。私も今まで苦楽をともにしてきた民、臣、兵を犠牲にしたくはありません。
私は陛下を苦しめぬよう善政を敷き、精一杯生きていこうと思っています。
(にこやかにはきはきと答える)

しかし、時には陛下を悲しませるような報告が来るやもしれません・・・。
そのときはどうかお許しください。

昔が懐かしいですね、陛下。
私も5年前くらいは京師で陛下と暮らし、楽しく遊び・・・。
あの日々に戻りたい・・・。
時々そんな欲求に駆られます。
(ハハハッと幼さを残した笑顔を見せながら語る)
489史逸:2010/05/01(土) 13:15:46
>>488
ふふ、夜風が心地よいわ
この風は朱氏の次代をさしまねく先駆けよ
うん? あれは…
あの衣冠は皇族のものだな、このような夜更けにどうしたのか
しかし話す価値はあろう

もし、殿下
不躾をお許しくだされ
小生は史逸と申すもの
お父君、陽王殿下にお世話になった者でござる
そのご子息あるを聞き、いてもたってもいられず飛んで参りました
お元気でいらっしゃいますか
490白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/01(土) 13:57:25
>>489
ん?
史逸と申すのか。
父上に世話になったと?
そうかそうか。だがなぜ私に?

私は元気だよ。君はどうだい?
父に君の名を聞いたことがあるような気がするよ。
父は君の事を中華一の策士だといっていたよ。
(史逸、なかなかの切れ者なような気がする・・・)

──話すこと1時間───

では、ごきげんよう
(これは・・・・・)
491史逸:2010/05/01(土) 14:39:32
>>490
本当にお懐かしい
若君とお会いしたのは初めてですが確かに陽王様の面影がある
しかしそのように呼ばれていたとは存じませんでした
小生はむしろ腹の探りあいは苦手なのです 殿下もそうではありませんか?
お待ちください、単刀直入に申し上げます
勿体無いと思うのです
恩を受けた陽王様の御嫡子が一公爵で身を終えられるのが
…風悠様
男児たる者、身に三尺の剣を帯びて皇帝の階を上ってこそでは御座いませんか
なぜ白牡丹が自ら朕と称し貴君は臣と称さねばならぬのか
同じ白氏でありながら…
492白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/01(土) 14:55:06
>>491
嘘をつけ史逸。父が嘘をつくはずがなかろう。
(笑いながら史逸に問いかける)

なに?それはどういう意味だ?
(顔をしかめつつ、史逸を見る)

君まさかそれを本気で言っているのか?
私が皇帝に・・・・?
いやいや、戯れであろう?
私に、戯れをかけるとはおもしろいやつだなぁ!
(大きな声で笑い飛ばす)

史逸、それを本気でいっているのであれば・・・・
口を慎め!!
(史逸をにらめつける)

では、もう行かせてもらう
(従者に合図をおくり共に用意されている自室へ戻る)
493史逸:2010/05/01(土) 16:49:46

   /   __`ヾ),_
   /〃 (⌒゛`ヾv"ヽミ、
  i / /´ _ニ=-=ニ .i l|
  | 彳  〃_.   _ヾ!/   
  | _ !"  ´゚`冫く´゚`l   
  (^ゝ "  ,r_、_.)、 |,,.. -─‐\___
    ヽ_j   、 /,.ー=-/ : : : : : : : : ::)ノ: : ヽ
     \_ "ヽ  ^/ : : : : : : ソ⌒゙ヾ"ヾ、 : :ヽ
  /⌒  - -  ! : : : : : : ) ⌒   ⌒ヾ :(_,
/ /|       | : : : : :(,  _ )  __ )!:_ノ
\ \|≡∨    ヽ (aイ  ´゚   i | . ゚`〈   
  \⊇       \:_|  " . ノ 、_)、 ゙.ノ  
    |        (_ソ人   l ー=‐;! ノ    
    ( /⌒v⌒\     \ヽ__,ノ
パンパン|     丶/⌒ - - \
    / \    |  |     / |
    /  ノ\__|  |・_三_・ノ|  |
   /  /パンパン|  |      |  |
  /__/     |  |      |  |
          ⊆ |     | ⊇
494蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/01(土) 23:23:44
【蒙舎州】

蒙鐸粲「さて六詔を統一した訳じゃが。」
大臣  「大分はしょりましたな。」
蒙鐸粲「いやいや一々やっておれんだろう。」
大臣  「確かにそうですな。」
蒙鐸粲「さて国土はどうなったのだ?」
大臣  「ハハ、かのようになりましたぞ」

陽苴
会川都督
通海都督
拓東節度使
弄棟節度使
劍川節度使
銀生節度使
永昌節度使
麗水節度使

(参照 http://www.zrcx.com/Article/UploadPic/200610/20061016081431691.jpg

蒙鐸粲「しかし分かりづらい。」
大臣  「そうですな。」
蒙鐸粲「正直名前もひどい。」
大臣  「仰るとおりで・・・」
蒙鐸粲「よし統一事業の一環として名も制度も中華を見習い整える。」
大臣  「ハハ。」
蒙鐸粲「手始めに国号を南詔と称する事とする!」
大臣  「おお!」
蒙鐸粲「呉国向けには雲南王と併記すれば問題は無いだろ。」
大臣  「そうですな。」
蒙鐸粲「次は中央と地方の制度だな・・・」

蒙鐸粲は六詔を統一し南詔と改称しました。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/01(土) 23:36:27
もう統一かよ!w
496白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/05/02(日) 00:15:44
>>479
そうですか・・・帝国軍がそんな状態だとは知りませんでした
軍政を与る宰相は何をしているのか
これは立派な職務怠慢ですね!
しかし、せっかく襄陽の職人に新しい鎧を作らせたのに残念です
純白の胴に金の縁取り、獅子の鬣で飾られた襟元、真紅の戦袍、兜には鷲の羽の装飾・・・
ふふ、陛下とてこのような絢爛豪華な鎧はお持ちでないでしょう?
隴西の賊どもに白獅子と恐れられる、そのようなことを夢想して職人に指示を出しました
彼らもその私の夢に応えるために昼夜問わず働きづめで鎧を新調してくれました
皇族将軍としての武威に相応しい出来でありましたが・・・陛下にお見せできず残念です

それでは陛下、これより募兵の旅に出立いたします
まずはこの淮南より揚州へ向かい、そののちに荊南を経て襄陽城へと戻りましょう
陛下、次にこの広陵へ上るときには精兵3万、いや5万を伴ってまいりましょう!
497白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/02(日) 01:05:11
>>496
次に、暁獅が広陵に上る時には。その軍団の威容は任城王曹彰のものを遥かに凌ぐものになりそうだな?
(白牡丹は近侍の宦官に命じ、何かを運ばせるよう命じた)…少し待っていてくれ。

この細長く古い桐箱の中身がわかるか、将軍?
よく見ろ、これが──

(ぎらり。玲玲たる光が映えた。皇帝の手中に在るは三尺の清流。)

かつて太祖が呉潭に入って、竜と対峙した時に用いた剣だ。

刀身は隙月が斜めに伸び、露を削って肌寒き情景を、
また白絹の帯が平らかに敷かれ、風に吹かれても盛り上がらぬ情景を、思わせる。

その竜は東海竜王の子にして、六十の諸侯国を治める偉大なる公だったという。
何の因果か、気を違えてむやみに激流を起こし、人を喰らうようになったそうだ。
それを聞き、太祖は呉潭に向かった。

そしてこの剣は竜を切り伏せ、竜の肉体は淵に沈んだ。
一方でその魂は天地の調和の中に還って平穏を取り戻した。
ゆえに呉の地は肥沃で、豊かさを二百六十年先の今になっても保っている……。

この剣を託そう、暁獅。
白獅子は帝国の剣であり楯であり…

皇族将軍、白暁獅。
遠からずまた会おう!
498白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/02(日) 01:59:53
【宮庭の四阿】

ふわりふわり、沈香のけむり。
烏が啼く、深更の情景。
曲がりくねった沼の、蓮には波。
腰のまわりの、白玉が冷たい。

──明日は朔の日だから。そんな声を、昔、聞いた覚えがある。
いつだっただろう。本当に、覚えているけどつながらない思い出って、多いんだよ。
あれは子供の頃。今と変わらない、この庭でのことだった。
遊び相手には困らなかった。年下の従兄弟たち、親類たちがいたから。
不思議なものを見ることができたのは、朕一人だけだったけどね。

夜明けは涼しく、暮れ方は涼しく、樹木は車の蓋のよう。
千の山に濃い緑が、雲より高く映える。そんな春と初夏の間のことだったよ。
不思議な子供に会った。槐の木の下だった。
かすかな香り高い雨によって、青いもやが立ちこめ、
分厚い葉、盛り上がる花は、庭の片隅の門に火と燃える。
それを覚えているのに、その子の顔を全く覚えていない。
待ち合わせをしようとした。


明日、またここで会おう?


──いや、明日は朔の日だから。


そうして、彼は現れなくなった。
今にして思えば、皇族でない子供が宮庭にいるわけがないのだけどね。
朔の日。一月に一度、月が天上から姿を消す日。
満月が魔性を高めるなら、朔の日は魔性を滅した。
彼も人間ではなかったのかもしれないね。
499白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/02(日) 02:39:45

丁度、今日は朔の日だ。
こうして四阿に座っていても、月は無く、別浦(天の川)も暗い。
闇の帳が下りていた。
しんと静まり返って、腰に佩く白玉の冷たさが伝わってくる。
本当に静かだ。
こんな夜に人に危害を与えるのは、良からぬ企てを秘めた悪人のみ。

池が見たいな。橋の欄干にもたれ掛かると、池は黒々としている。
そこに、薛才人、焦景栄、左匡輝の姿が映っていた。血を流して、苦悶の形相で斃れている。
馬鹿な、こんなことがあってたまるものか! 心臓が早鐘を突く。
早足で後宮に駆け込んだ。どこをどう進んだか、それすら覚えていない。
通りがかった歩哨に、無我夢中で叫んだ。「門下侍郎邸、中書侍郎邸を警護してくれ!」
気が付いたときには、薛才人の室の前に立っていた。
これから、苦難が待つわ。花姑の言葉が浮かぶ。
ああ、貴女が万物の生を司る神なら。今だけは、どうか皆を護って──
扉を押し開くと、信じられない光景が見えた。
まるで原生林のように、室内に樹が繁り乱れている。
もはや森林と言うべき有様は室の中心に行くほどに密度を増し、その中核には槐の大木があった。
皇帝が手を差し伸べると槐の幹はぱっと開き、内から気絶した薛才人が現れた。


「佳き哉、佳き哉…」


どこかで誰かがそう言った気がした。
左邸の槐の君。それしか考えられなかった。
滔々涙を零す皇帝の腕の中で、薛才人はうっすらと目を開ける。
こちらは、万事めでたし。
しかし、焦左の双璧はどうか……。

皇帝は才人を近衛に任せ、安全に警護させるや、すぐに厩に向かった。
馬蹄の音が闇夜に低く響く。
ああ、無事でいてくれ──!
500白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/05/02(日) 12:46:35
>>497
こ、これが帝国秘宝の祓竜宝剣・・・
建国神話は真実であったのですね・・・

何と美しい刀身、まるで水晶か氷で形作られているかのようだ
鞘や柄の装飾も優雅・華美なだけでなく内に質実剛健さを秘めている
そして見た目からは思いもよらぬこの重み・・・
これはこの宝剣を佩く者の責任の重さなのだろうか
しかしその重圧よりも、この宝剣を賜った歓喜、そちらがより大きい!

陛下、白獅子はこの祓竜宝剣に誓います
私は陛下の剣として盾として、必ず帝国を救い出してみせましょう!
(祓竜宝剣を抜き、右手を天に向けて高く掲げる)
501碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/02(日) 12:57:33
ひとの運命は…いえ、精霊の運命も時に思わぬ流転を辿るもの。

沈香の煙が静かにすうっと天井へ向かい立ち上る仄明るい部屋の中。
深更の幽玄な時、寝台の上に座した螺春は静かにそっと目を閉じ、両の掌を
胸の前で軽く合わせる。
部屋には十四夜の煌々とした月の光が入ってくる。
三人用の簡素な部屋を割り当てられている下級官女。
他の二人は、すでに寝静まり安らかな寝息を立てている。

…私がこの宮廷に新しく入ったのも、最初に予定されていた静流姉様が人の
手により激しい痛手を受け、動く事が叶わなくなったため…。

(静流姉様……
今は心安らかに静養なさって下さい…)

目を開けた螺春は、ふと部屋に流れ込んで来る月光に愛らしく首を傾げ、
ふわりと寝台から音もなく降りると部屋の外へ向かった。


【姓】碧
【名】螺春
【字】瑞香
【身分】宮官(尚服)・沈丁花の精霊
【年齢】人間でいうところの17歳
【官職】下級官女


(代行 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9102/1272365399/26 より)
502白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/02(日) 12:59:36
>>501
「おんや。待宵の月に惹かれて出てきてみりゃあ、珍しい。
 こんな所で会うたぁねえ。」

宮庭に下りる少女、月明りの下のこと。
そよ風のように静かでかろやか、どこか愁いを帯びた佇まい。
人離れした情景に、気の良い舅々といった趣の男が声をかけた。

「…良い月さね。いやあ、お山の幻燈会も良い按配だろうよ。」

男はうすぼんやりと浮かぶ蜀岡を眺めて言い、
改めて彼女に向き合った。
                                     ・ ・ ・
「花姑様も辛い任をくださる。…あんたにとっちゃぁ、試練かもしれん。…なんつって。
 だが、あの若造も皇帝とはいえ結局は人間さ。あまり気張らぬことさね。頑張んな。」

「そんじゃあ、あたしはもう行くよ。甘露を逃しちゃなるめぇ。
〜こまやかな愛で風の雄叫びを甘美な調べに変える者、その人こそ偉大……っとぉ〜♪」

男はたちまち一陣の風に姿を変え、ごおっと音を立てて蜀岡に飛び去った。
彼は風の精。見上げる螺春に、もう遠くなった空から声が届く。

「そうだ、嬢ちゃんにこれやるよぉ!
 寂しくなかろお!?」


螺春の手の内に、白く、長細いものがぽふっと落ちる。
どうやら風竜の稚児のようだ。
まだ子供の風竜は、何がなにやら分からずといったように双眸をぱちくりさせ、
うねったり螺春の周りを飛んだりしている…
503白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/02(日) 13:19:16
>>500
(白暁獅の言葉に、皇帝は強く頷く。
 旅支度は整えられた。身内でささやかに宴を開き、互いに破顔して労苦を讃えあう。)

まったく、悪いな! 来てもらって早々、長旅に送り出すことになって。
ただ、朕はきっと上手くいくと思う。お前は昔から人を惹きつけた。特に、荒くれ者をな。
一回りしたら、またすぐにここへ来てくれ。
中央も白獅子と並べて戦えるよう、北衙禁軍の調練を怠りなく進めよう。

----

それからというもの。
道中の酒店で、飯店で、己の力を自慢とする男達が少しずつだが集まり始めた。
日頃表立って行動はしないが、民もそれぞれに現状に不安を抱いていたのだろう。
力なき者は安寧の地を探し求め、力量に自慢のある者は危険に飛び込み変革を為そうとする。
絢爛な鎧と、上将の佩く剣は実に多くの男を魅了した。

ただし、荒くれに付き物なのが喧嘩と騒動である。
集まった男達の中には、規律を守れず良からぬ行いに走る者もいた。

「上将!」

一人の部下が幔幕で眠る白暁獅の下に駆け込んだ。

「お休みの所すいやせん……ウチのもんが、酒場に押し入り喰いモンを強奪したって苦情が入ってるんでサァ。」

これはまだ氷山の一角に過ぎないかもしれぬ。
力量のある兵は集まりつつある。次なる課題は、それを規律の取れた「軍隊」に仕立て上げることだろう……。
504白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/02(日) 13:44:04
史逸は何を考えている・・・。
そして私は何をすればよいのか。
零陵・臨賀の2郡の兵合わせざっと8000・・・。
いま、楊師候に訓練させているが・・・。
近いうちに何か起きそうだな。

早いうちに零陵に帰ろう。
京師にいては命までも危ういかもしれない。
陛下に別れの言葉を告げに参ろう。
505白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/02(日) 13:59:47
陛下、失礼いたします。
風悠です。
私はそろそろ零陵に帰ろうと思います。
零陵の”緑甲軍”の正式編成の令を出すなどまだ仕事が残っておりますので。
陛下、私の皇族としての”意味”はあるのでしょうか?
(史逸の行っていたことを思い出しながらつい口に出してしまった)

いや、今のは聞かなかったことにしてもらってかまいません。

それでは次に京師に参るときにはすばらしき”緑甲軍”をお見せしようと思っております。

陛下、失礼いたしました。
(退室し、従者をあつめ馬車へ向かう)
506白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/02(日) 14:36:47
>>504-505
風悠、何か思い悩んでいるようだね? そのことを朕に話してくれる気は、まだないのかい?
何と言ってあげれば良いか、まだわからないのだけど。ただ、思うことがあるんだよ。
風悠ならば、皇族。朕であれば、皇帝。それは生まれつき背負った【業】なんだよ。
人は、生まれつく場所を選ぶことができないから。その業を背負って悩むんだ。
自分が生きている意味は何だろう、ってな。
その答えは、たぶん考えてもわからない。
ありがちな結論だけど、その答えを見つけるために生きてるんだろうな。

好きに行きなさい。そして、好きに生きなさい。
目の前にあるものを見聞きし、自分の中に取り入れ、糧として活かし……。
いつか分かるときが来るかもしれない。お前の【意味】。
人生を変える出来事に出会うときは、必ず来る。
そのときになったら、出会わなかった頃の自分には、もう戻れない。

(皇帝は、玉座から下りる。風悠の傍に寄り、その肩に手を置いた。)

戻るなら、そこまで送るよ。


今日は、良い天気だね?
朕には、うららかで時がゆっくり流れているように思える。
ところがある者には目の前の世界は全く違って見えるんだ。
世界は同じようでいて、同じじゃない。人の数だけ世界があるんだ。

人生もそうだ。権力を求め、上を目指す生もある。
朕のような生もある。
朕のような生を渇望してやまぬ生もある。
馬鹿馬鹿しい。皇帝の椅子など、すわり心地の良いものでもないのに。

人は人に出会って相互に影響し合うんだ。
だから、友にするにも師にするにも、人を選びなさい。
良からぬ人の知恵を容れると、悪しき方へとずるずる引き込まれるよ。
507白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/02(日) 14:41:52
・・・!!!
(はっとしたような顔をする)

そうですね、陛下。
私は皇族、それ以上でもそれ以下でもない。
【皇族】という業を背負って生きていくんだ。
陛下のおかげで大事なことに築いた気がします。
ありがとうございます陛下。

(史逸の件を言う決意をする)
陛下・・・人払いをお願いできますか?
508白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/02(日) 15:02:44
>>507
いや、こんなことで役に立てたのなら、嬉しいよ。
人払いを? 何か、ただならぬ話でもあるのか?
それじゃあ、庭へ行こう。
あの四阿で話を聞こう。

皆、少し外してくれ。(その言葉とともに、宦官たちは一礼して陰のように下がる)
さて、これで大丈夫だ。話してくれ。
509白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/02(日) 15:08:42
>>508
陛下、では・・・。
(声を潜める)

史逸という切れ者がいるのをご存知でしょうか?
そのものが私に謀反を誘ってまいりました。
何かたくらんでいるとしか思えません・・・。
陛下、お気をつけを・・・。

なにか動きがあれば零陵に書をください。
陛下の要請があればいつでも京師に上ってまいりますので。

では私はもう行きます。
先ほどのことは御内密に・・・。
(馬車に乗り込む)

陛下ァー!
またいつかァー!!
(一生懸命に手を振りながら別れを告げる)
510白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/05/02(日) 15:26:34
>>504
【寿春城外】

張峰庵「若、お呼びですかな?」
鄭文秀「あと少し召集が遅けりゃ浴びるほど酒を飲んで寝るとこでしたぜw」

・・・峰庵、文秀、夜中に呼びつけてすまない
先ほどひとりの兵長から好ましくない報告があった
六の辻のとある酒場で我が軍の兵が酒食を強奪したという苦情が届いたんだ
急速にその数を増やしている我ら白獅義従だが、どうやら不届き者も多く潜り込んでいるようだな
賊を討伐するために結成した軍が、討つべき賊と同じことをしている
そのような者たちは、いかに勇敢で武芸に優れていたとしても帝国の剣・盾にはふさわしくない・・・
陛下もこのことを知ったら大いに嘆き悲しまれるだろう
そこで私は志無き者たちを振るい落とすことにした
・・・峰庵、長江を渡河するのは三日後の予定だったな?

張峰庵「はい。そのように計画を組んでおりました」
      「三日後に何か選抜を行うのですかな?」

三日後では遅すぎる・・・
これより寿春を出立する!
昼夜強行で走って明日の夕刻には長江へ到着しよう
そして兵たちには一晩だけ休みを与え、その後彼らには長江を泳いで渡ってもらう
・・・おそらくほとんどの者は脱落するだろう
しかし、高い志を持つ者はどんな苦行にでも耐え、それと同時に高い精神性とを獲得するはずだ
そういう者たちこそ我ら白獅義従に必要な人材だ
峰庵、申し訳ないが船着き場の亭長には船の用意は三艘だけで充分だと伝えてくれ

鄭文秀「無茶だ無茶だ無茶だ!」
      「そんなことしたらせっかく集めた1万8千の兵が半減どころか皆いなくなっちまう!」
張峰庵「・・・若、それはあまりにも苛烈な考えです」
      「白獅義従の名はその恐ろしい練兵方法とともに中華全土に知れ渡り・・・」
      「誰もがその名を聞いただけで忌避するようになるでしょう・・・」

・・・私はそれでもいい
陛下にお約束した5万の兵はおそらく集まらないだろう
だが苦しい試練を高い志をもって乗り越えた者は凡百とは違う精神が宿る
そういった者たちこそ四海の賊を薙ぎ払う剣、陛下と帝国をお守りする盾にふさわしい
さぁ、すぐに出立するぞ
起床の銅鑼を鳴らすんだ!
511白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/05/02(日) 15:27:36
>>510>>503宛てです、失礼しました)

【姓】張
【名】韋
【字】峰庵
【年齢】68歳
白暁獅の家臣。暁獅が襄陽公に封じられた際に魯王が随伴させた
35歳の時に科挙に合格し、20年近く宮仕えしていたが結局出世はできなかった苦労人
官職を辞して魯王に仕官したがこちらでもあまり出世できず、最終的に暁獅の傅役に落ち着く
若い頃科挙に落第し続けて妻子に逃げられたという悲しい思い出がある

【姓】鄭
【名】涼斌
【字】文秀
【年齢】41歳
白暁獅の家臣。暁獅が襄陽公に封じられた際に魯王が随伴させた
元は猟師であったが、睿宗が主催した巻狩りの際に巨大な猪を組み伏せ感嘆した魯王に登用される
しかし生来の酒癖の悪さと出自の卑しさが祟って次第に魯王に疎まれるようになり、
暁獅の襄陽公叙任を機に押し付けられるように魯国から追い出されてしまった
512名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/02(日) 16:39:58
クマッタ蛆虫まだ粘着してるのか
513白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/03(月) 03:00:00
>>509
謀反をそそのかされた。史逸という人物。そっか、そりゃあ、悩むよなぁ。
(敢えて深刻な顔を作らず、軽く受け返す。)
年若い皇族の男子に、そういう誘惑がかかるのは常だ。
これからも起こりうることだからな。
そんなこと、一々気に病んではだめだぞ。

ああ、多分遠からずその時は来るかもしれない。
本当はここに留まってもらうのが良いんだけどな。
緑甲軍のこともある。そうもいかないだろ?
それじゃあ、またな。

(風悠の姿が見えなくなると、さっと気持ちを切り替えた。)

清濁定かならぬものが宮中に這入り込んでいる。
どうすればいいか、わかっている。
景栄を呼んでくれ。
514白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/03(月) 03:19:03
>>510-511
世の中には、熱くなれる人間と熱くなれない人間がいる。
熱い野郎共の集団である白獅義従にも、後者の人間が存在した。名を単敬徳という。
彼は選考のための苛烈な指示が出ると、周囲の兵員の様子を観察した。

一瞬たりとも無駄にはできぬと寝転んで体を休める者。

游泳に耐えうる状態を整えるため、準備運動を始める者。

やってられぬとばかりにそそくさ逃げ出す者。


「──みんな、馬鹿野郎ばっかりだ。」 ふてくされたように一人ごちた。

単敬徳は非常に壮健な身体を持っていた。
しかし、彼の性質は並外れた「面倒くさがり」だったのだ。
そんな彼が凡百の匹夫と違った要因は、その明晰な頭脳にあった。
「いかに楽をして、結果を得るか」それを即座に分析して実行する才に恵まれていたのである。

さて、遂に到来した「長江を泳いで渡れ!」指令の実行時刻。

うぉぉおおおぉぉおおお!!!  すでに大幅に数を減らした荒くれ男どもが一斉に長江に飛び込む。

そして、その場に単敬徳はいなかった。
彼は指令が出るや、与えられた一日を「商船の出立時刻と津を調べる」ことに費やしていたのだ。
目を盗んで商船に忍び込むと、何食わぬ顔で隠れていた。
そして、ある程度舟が進んだとき……

…彼はいきなり船首へ出ると、長江に飛び込んだのだ!!

指令はあくまで「長江を泳いで渡れ」であって、「全工程を泳いで渡れ」とは言われていない。
しかも、賢しい彼は飛び込む地点を調整することによって、
不自然ではない到着時刻を押さえることも忘れなかった。

そうして単敬徳は何食わぬ顔で対岸に一番乗りした。
515碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/03(月) 03:38:17
「風精様、有り難うございます。お言葉の数々、胸に覚えておきます…!」
叫んだその言葉は風精に届いたろうか……
飄々として暖かな風精の姿が夜空に溶け込むのを見送って後、螺春は幼い風竜に
悪戯っぽくそっと声を掛けた。
「貴方は『風の贈り物』ね…。名前は、何としましょう」

ーそれから半月後。
眠りに就く螺春の枕元には、同室の二人には姿の見えぬ白き幼風竜が躰を
丸めている。
あの時ー独り宮庭に下り、風精と語らった時には煌々と照り栄えていた月の
光は、今日は無い。
幼竜をそっと羽で触れる様に撫で、人ならぬ語で子守唄を唄い掛ける。
やがて幼竜が寝入ると、螺春もそっと両の瞼を閉じた。

静流姉様…

閉じた両の瞼に、淑やかで可憐で、名前の通りに物静かで落ち着いた、流麗な
美貌の藤の花の精の姿が映る。
いつも私や麗華にお菓子を拵えて下さった…

それから瞼の裏に、人の手に依ってざっくりと傷付けられた藤の木が映る。
藤の花の下で、妻が夜毎に他の男と密会を重ねていた事実を知った人の男が、
憤った激しい感情に任せ鉈で切り付けたもの。
危うく切り払われなかったのは、慌てて駆け付けた老婆ー夫の母親が藤の木を
傷付けぬよう懇願した為。

…本来、精霊は強力な自己治癒力を持つもの。為れど、静流姉様はその治癒力を
失う程に消耗してしまった…

「螺春、お願いがあるの」
病床からこの任…女官として宮廷に入るよう、手を握って要請された時はただ
驚くばかりだった。
青ざめた静流姉様の手は、とてもとても冷たかった……


(代行 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9102/1272365399/29 より)
516白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/03(月) 03:53:53
>>29
その姿かたちは、うす雲が月にかかるように朧で、風に舞い上げられた雪のように軽やかだった。
柔らかい景の下、静流が淑やかに微笑するのを誰もが愛した。
人が彼女を愛するように、彼女も人を慈しんだ……。

本当に、悲しいこと。妻が夜毎、男と逢うのに彼女の藤花の下を選んだのも、
その美質に心惹かれたからだろうに。
それがために、人の男に身をひどく傷つけられてしまうなんて──
花姑も静流のために心を痛め、憐憫を垂れた。
「私の力でも、一朝一夕に治してあげることはできないわ。でも……、
 春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来て、もう一度春が来て…その季節のめぐりを生きて迎えられるように。
 少しずつ、治していけるように。力をあげるわ。今は、ゆっくりとお休みなさい…。」
艶を含んだ声は痛ましさに震えていた。

「人は尊いものを助けないのに、どうして尊いものが人を助けなければならないの。」
宮中祭祀の香を聞きながら、花姑は冷たく呟いた。
祭壇の上で一心不乱に祈る「人の統治者」の資質が、彼女が試す対象だった。

……。
……………。
………。
…………。

----

(ある日の早朝。殿中省の内侍(宦官)が尚服局へ入り、上役の女官に命じた)

じき、夏になれば衣更えだ。儀式を経て、みな冬服から夏服に衣更えをする。
例年の通り、夏服の新調の御要請が数件出ておる。
それは問題あるまい。
だが、今年は特に細心の注意を払うのだ。なんとなれば、その内に陛下の御要請も入っておるからだ。
御衣裳に一つの瑕疵もあれば、累は局全体に及ぶ。
しっかり官女達を統率してくれよ!
517白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/03(月) 03:56:35
>>29は代行依頼スレのレス番号でした。】
>>516>>515宛です。】
518白牡丹:2010/05/03(月) 12:15:03
宇喜多は星花とヤリまくりだよ
八戸も元カノとヤリまくりだよ
氷雪も元カノとヤリまくりだよ
日和見も桜龍紫玉とヤリまくりだよ
中山はオナニーしまくりだよ
クマッタも風俗嬢とヤリまくりだよ
ととのえ老臣もアンとヤリまくりだよ
氷雪萌えもピンサロ通いまくりだよ
八戸萌子も援交しまくりだよ
アンジェは自治新党と書かれた紙を見てオナニーしまくりだよ
519白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/03(月) 14:36:05
零陵まで後何里ほど?

孫応尋「もうすぐです。後5里ほどでしょう。」

まだ五里もあるのか・・・。
応尋、すこし進度をあげるぞ。
一刻も早く零陵に帰り、政治を執り行いたい。
陛下の期待も背負っているのだから着々と零陵・臨賀を発展させなければ・・・。

皆のものォー!!!
進軍速度を速める!
早く帰って早く休みたいであろう?
ならば、急ぐのだ!
520呉泰@山賊 ◆E81DmRur6Q :2010/05/03(月) 16:43:59
>>519
おおーっと!ここは通さねぇぜ?
通して欲しけりゃ金目の物は全部置いていきな!

(200人ほどの山賊が白風悠を取り囲んでいる!)
521呉泰:2010/05/03(月) 18:26:41
麻美ゆまとほしのあきは話し方とか雰囲気が似ていると思んだけど、10歳違うんだよな
522白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/03(月) 18:42:39
ふん、山賊か。
たかが200人、われ等は50人だが訓練されし者。
皇族将軍率いる従者たち山賊を打ち破る・・・。
そんな未来が私には見える。

皆心してかかれ!!!
敵は山賊、皆ここで奮戦すれば褒美もたんまり出る。

山賊の頭は誰だ?
私は零陵公だ。
私たちの味方につけば、良い地位を約束できますが
味方になるつもりはありませんか?

【零陵軍50意気奮闘!】
【山賊たちを地位を餌に揺さぶる】
523山賊・李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/03(月) 19:01:00
ヘッ、“エサ”が生意気言うぜぇ…
テメエに帰順するより、テメエらの身ぐるみ剥いでフン縛って、
身代金でもせしめる方がよっぽど美味いんだよ!

第一…
命惜しさに素性も知れん山賊を引き入れようなんて
無節操で無能なガキに帰順したら先が不安で仕方ないぜ…

お頭ァ! やっちまって構わねぇですかい!?
524白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/03(月) 20:24:35
>>523
山賊、後々のことを考えてみよ。
ここで私に下り、地位を占める。
それとここで死ぬの、どちらが正しい判断だ?
もちろん前方であろう。
下れ安心しろ。

【隙をねらい、緑甲軍に出陣命令を出す】
525李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/03(月) 20:33:02
>>524
つくづく救えねぇガキだぜ。
臭いでわかるんだよ。テメエ、人殺した事ねぇだろ?

官兵サマの“訓練”がどれほどのモンか知らねぇけどよぉ…

…日々生きる為に殺してる俺達を舐めてかかる時点で、
いやそれ以前に将たるモンが目の前の敵を侮る時点で程度が知れてんだよぉ!!

ッヒャァァァーッハッハッハァ!!!

よぉし、半分付いて来やがれぇ!
このまま横ッ腹にブッ込むぞ!!

(200人の内、半数を率いて零陵軍の側面突撃を試みる!)


ほぉらほら、俺達渇いてるんだよ……
テメエらの血と阿鼻叫喚で満たしてもらおうかい!!
526白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/03(月) 20:42:55
>>525
チッ・・・・。
50の兵ども、隊列など決めぬでいい。
勝て。勝ちに行くのだ。
官軍が賊に負けていいはずがない!
あいてはわれ等の二倍だ。
側面突撃など無駄無駄ー!!
応尋やってしまえ。

孫応尋「お前等、この孫応尋が相手をしてやろう。」

(六尺はある檄をふりまわし20人ほどをなぎ倒し死亡させる)

孫応尋「まだまだァ!!」
527李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/03(月) 20:55:31
>>526
へへ……いいのかよ。こっちばっか相手してて。
お頭の100騎への備えがお留守になってるぜぇ……

…敵は隊列もなんも打ち棄てやがったッッ!
野郎共、敵の懐に入って散り散りにさせて殺せッ!!
お頭は敵がこっちに集中してる時にゃ強襲してくだせぇ……!
敵がそっちに向いたら俺達が強襲だッ!!


おォい坊主、ひとつ“教育”してやる。
そうやって兵に抽象的な指示しか出さないでいるとなァ……


ジャーン、ジャーン、ジャーンッッ!!

(突如、山間から銅鑼が打ち鳴らされたが、その正体は如何に!?)

いずれ限界が来んだよ。
528白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/03(月) 21:03:07
くそっ・・・。
山賊ゥ・・・・・。
劣勢だがもう少し耐えるしかない!

残念だ。ここが零陵に近いことをわすれてはいないだろうな・・・?
ここはもう私の庭のようなものだ。
隊列を組みなおせ!
応尋は20の兵を率い部下の方を抑えておけ・・・。
私は30の兵とともに頭を倒す!
皆ついて参れ!
狙うは頭の首ただ一つ!!!

【緑甲軍到着まであとわずか!】
529李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/03(月) 21:15:08
>>528
ヘッ、滑稽だねぇ。
ガキ、ちょっとお目々を左右に向けてな、御味方の数を数えてみろよ。
50人もいねぇだろ?

ああ、確かに孫なんたらとかいう奴は強ぇ。
一息に二十人もブチ殺された時にゃあビビッたぜ。
だがな、それにかまけて、“一人も死んでねえ”なんて思ったんじゃねぇか?
今ここにいる緑甲軍はバタバタ死んでたよ。テメエの稚拙な采配でな。ヒャァァァーッハッハッハァ!!!

テメエの反省点は二つだ。
一つに、演義物の山賊が弱ぇからって俺達を舐めてかかった事。
もう一つは、その圧倒的なオツムの弱さだッ!!


さァて、この数で吶喊してお頭の首を取るか…くくっ、御味方の増援が来るまでこの数で防ぎ続けるか……
覇王項羽でもない限りゃ無理だろうなぁ?

おい、ガキ。
テメエじゃまだ俺達にゃ勝てねぇ。おっ死ぬ前に尻尾巻いて逃げな。
530白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/03(月) 21:21:30
くっ・・・・。
退くしかない・・・。
悔しいが引くしかない。
(なきそうになりそうだが敵がいるので我慢している)

皆、零陵に退却だ!!
急げ!


山賊に負けるなど屈辱だ・・・・。
クソォ!!!!!!!!!!!!!!!

陛下に申し訳ない。
これじゃあ、自分の領民も守れないかもしれない・・・。
私は零陵公に封じられたがふさわしくないのではないのだろうか・・・。

【驚くほどの逃げ足の速さで零陵まで退却】
531李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/03(月) 21:24:37
ふへー……、ハッタリが効いたぜ。
もしこのまま増援まで持ち応えられてたら、今度は俺達が危なかった。
舌先三寸でもやってみるもんだな。ヘヘッ!

お頭ァ!!
ここら辺にほっぽり出された武具食料なんぞ掻き集めたら、とっととズラかりますぜぇ!!
532白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/03(月) 21:43:57
>>530
風悠が山賊に襲撃された!? それで、大丈夫だったのか、あいつは!?
…そうか、よかった。よかった、ああ、本当に良かった……。

(呟くように、よかった、そう何度も言う白牡丹)

天よ、白牡丹は、あの者の天命いまだ尽きざるを感謝いたします。
あの者がこれからも健やかならんことを。

【内文に曰く】
風悠、今しがた、山賊の件を知らされた。断腸の思いだった。もしこんなところでお前が
死んでしまっていたら、朕は本当にどうしたらよいか分からなかった。京師で、お前は
「時には悲しい報告をもたらしてしまうかもしれない」と言った。それが本当にならず、
どれだけ安心したことか!
 勝敗は兵家の常という。漢の高祖は項羽に百度負けたが、最後には漢朝四百年の礎を築いた。
一度の負けなど、気にするな。兵力で劣っていて、よく持ちこたえたというべきだ。
それに、自分を責める必要などない。私はそのうちお前に追い抜かれると思うし、むしろ
そうであってほしいと思っている。絶対にお前は何でもやろうと思ったことはできると思うし、
今の辛いことを前向きに活かせたら、きっと良い成長ができるだろう。
 だからお互い、大変なことも乗り越えて頑張ろう。何も焦ることはない。お前はいつも
正しいのだから、いつもそれに自信を持っていなさい。
 とにかく、よく休んで疲れを取ること。

紫雲五年 某日 (牡丹の絵が描かれている)
533名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/03(月) 22:21:07
自治コテは権力をもてあそび、荒らしコテは他板侵攻に見られるように投機的な冒険にのめりこんだ。
全てを受け入れるを口にとなえながら、それを維持する努力を怠った。
いや、名無しすら、自治を一部の自治コテにゆだね、それに参加しようとしなかった。
専制政治が倒れるのは君主と重臣の罪だが、新党が倒れるのは全新党員の責任だ。
学徒を合法的に権力の座から追う機会は何度もあったのに、自らその権利と責任を放棄し
無能で腐敗した新党コテたちに自分たち自身を売り渡した。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/03(月) 22:22:04
新党に来い、アンジェ
535白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/03(月) 22:48:03
賊は、二百人だった。二百人もの「民」が、殺し奪わなければ生きられなくなったんだ。
討たなきゃいけない。だけど、それだけじゃいけない。
その賊を討っても、民が武器を取って賊になるおおもとの原因を取り除かなければ、
賊がいなくなることはないんだ!

…中書令を呼んでくれ。いいかい、これから書く内容は京師付近に発布される勅令だ。
実験的に施行し、うまく行けば全国に拡充する、改革のための布告だから、間違いなく記してくれ。


一に、今現在、帝国には飢饉や貧民救済のための備蓄米が蓄えられているが、
その運用が滞り、備蓄と称した米の封印に留まっている。
これを利用して農民に低利で貸付を行うこと。
貸付にあたり、十戸が集まって連帯保証を行い、非返済を防ぐこと。

二に、今現在、農民は事あるごとに政府の雑役に用いられ、これが負担となって
逃散の原因となっている。
貢納を条件として労役を免除し、その貢納で集まった利益で志願労働者を雇い、
職役を行わせること。
また、もともと労役が免除されていた官戸・寺院・道観などからも免除金を徴収すること。

三に、災害によって荒廃した農地を漸次復興させること。

四に、田地を測量し直し、税額のごまかしや隠し田をなきものとすること。

五に、これまで大商人に握られていた物資の運輸を政府の統制化に置くこと。
536浙江公司 ◆ia0T6PY4wLrN :2010/05/04(火) 00:57:33
浙江公司、それは華南一帯の豪商たちによる連合体である。
今宵も彼らは皇帝に勝るとも劣らない規模の大宴会を開いていた。
だが、そこに急報が届いた。

劉  涛「物資の運輸を政府の統制化に置く、だと?」

顔竜吉「何と愚かな。全くもってありえん考えだ」

李恒雄「フン、牡丹の糞餓鬼め。わしらの利権を脅かすつもりかえ」

蒋興道「ホホホ、まだまだ青いネェ。財貨の力の恐ろしさをまだ知らぬとは」

陸志誠「財貨の力も知らねば女の味も知らぬ。所詮は世間知らずの童貞よ」

一  同「ワハハハハハ!」

李恒雄「冗談はさて置き、糞餓鬼の思いつきをどうやって潰してくれようかの?」

蒋興道「ホホホ、それこそ財貨の力で何とでもなるワ。ネェ、涛チャン?」

劉  涛「フフフ、我らが政府高官や宦官たちと誼を通じていたのは今日のため」

陸志誠「白牡丹も気付くだろう、天下で最も強いのは皇帝でも軍隊でもない。財貨であると!」

顔竜吉「では諸君、杯を。暗君・白牡丹の破滅に乾杯!」

一  同「乾杯!」
537浙江公司 ◆ia0T6PY4wLrN :2010/05/04(火) 01:13:13
それから数日後、高官たちが続々と皇帝に布告の撤回を迫り始めたのだった。
朝議でも布告への反対意見ばかりが目立つ。
皇帝の苦悩は深まるばかりだった・・・。
538白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/04(火) 01:32:59
>>536-537
【大明宮 紫宸殿】

…五法があんなに反発を食らうなんて、思わなかった。…バンッ!! 何を考えてるんだ、あいつらは!?
口で社稷のため、百姓のためと言いながら、利権が恋しいのかッ!!
やめよう。室で一人で喚いても、気が荒むだけだ。
多くの権臣の心が見えたのは、良かったのかもしれない。
きっとちょっと前だったら、「人の心は汚い」とか言って引きこもってたんだろうな。
でも、もう決めたんだ。あの頃には戻れないんだから。
目を背けても、神々に近寄れるわけじゃない。むしろ、失望されてしまう。
戦わなきゃ。浮世から離れるんじゃなくて、浮世を良いものにするんだ。

どうしよっかな〜。どうしよっかなぁ。

(宮庭に出て、四阿に座ると……)

ん? あれって……竜? 白くて小さな竜……。かわいい。くすっ。
おいでおいで〜。…あ、行っちゃった。
はー、でもなんだかちょっと元気が出た。そうだな、権臣は反対ばかりだったけど、それだけじゃない。
皇族に味方だっているんだし、落ち込むことはないない。

まずは、そうだな。
物流を政府の統制化に置く法は、少し強引だったから、妥協しよう。

その代わり、印度から雲南を経由し、本朝へと至る貿易の要所に、「市易司」を置く。
もともとここに集まる商品は大商人に買い叩かれていたけど、それを政府が適正価格で買い上げるんだ。
市場価格を決めるのは、政府の保証を受けた中小商人の組合。
売るのも彼らだ。

新設の市易司の責任者は、……上柱国、開国九江公、白呈春。
今から尚書左僕射を兼任するとともに、この任を果たしてもらいたいんだけど。どうかな?
539蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/04(火) 01:33:49
【南詔・蒙舎州】

蒙鐸粲「平和だ。」
大臣  「僻地ですからな。」
蒙鐸粲「そう言われると実も蓋も無い。」
大臣  「平和なことは良い事ですぞ。」
     「呉国は大乱がまだ収まらぬ様子。」
蒙鐸粲「その様だな。」
大臣  「しかしどうやらそれ以上の事が起きているようですぞ。」
蒙鐸粲「ほぉ。」
大臣  「呉国との境の城には多くの商人が立ち寄りますが
     彼らの話では、呉帝が物資の統制を始めたとの事。ですぞ。」
蒙鐸粲「ふむ。」
大臣  「さらに田畑の検地を行うとの事で地方農村まで影響が出ているとか。」
蒙鐸粲「まるでかの伝説の始皇帝様のようだな。」
大臣  「ええ。まさに地方の文化人の中には暗君・暴君を髣髴とさせるとの話が出るとの事ですぞ。」
蒙鐸粲「若き皇帝も大変だな。」
大臣  「しかし目下我らにとっても一大事ですぞ。」
蒙鐸粲「うぬ、物資の動き、商人の動きの統制は我が国にとって痛手だ。」
     「かの呉帝は印度の交易路の確保をと申していたが、その統制に繋がるかも知れぬ。」
大臣  「その通りでございます。」
     「それに交州や越州、広州は既に半自立の状態でございますからな。」
蒙鐸粲「うぬ。そして奴らは時に我が領内にも押し寄せてくる。」
大臣  「陛下、ここは我らとしても考え所で御座いますぞ。」
蒙鐸粲「その通りだ。」
     「北部に隣接する吐蕃の存在も見つつ動かねばならん。」
540浙江公司 ◆ia0T6PY4wLrN :2010/05/04(火) 02:12:54
陸志誠「白牡丹は布告を修正したようだな」

蒋興道「ホホホ、案外お利口さんなのネ」

顔竜吉「・・・中小商人の組合に市場価格を決めさせる、か」

李恒雄「ほとんどの中小商人はわしらに頭が上がらぬことを糞餓鬼は知らんようじゃな」

蒋興道「あの子たちはアタシらにたくさん借金しているからネ」

陸志誠「世間知らずの坊やは御しやすいものよ。だが問題は・・・」

劉  涛「白呈春だ」

蒋興道「頭の良さは父親以上って話よネ。それと冷酷さも」

顔竜吉「うむ、厄介な男を送り込んできたものだ」

陸志誠「まずは今まで政府高官たちにやってきたように賄賂攻めを仕掛けてみるか」

李恒雄「白呈春相手には慎重に動かねばな。下手な動きは冥府への一本道と心得よ」

劉  涛「やれやれ、白牡丹は馬鹿なのか利口なのかさっぱりわからんわい」
541名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 07:38:04
クマッタ蛆虫潜伏
542名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 08:41:30
荒らすな、おまえが蛆虫だろ
543名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:13:15
なりきりコテ
なりきりを楽しむ一般人。面白い文章を書くにはある程度の慣れと文章センスが求められる。
上手いなりきりコテが話題を引っ張るスレは自然と盛り上がるが、長期化するとマンネリ化して
馴れ合いの温床となって排他的になり、ROMが離れてしまうため一般にその寿命は短い。
そのためスレが衰退し始めた時点で別コテ別キャラとしてやり直す例が多い。
こういった人物は2ch慣れしている者が多く、後述のなりきり厨房を嫌うため、
基本的に厨房・低年齢者が多く寄り付くスレには書き込まない。

なりきり厨房
上記のなりきりコテを見て、自分もなりきろうとするネット厨房。
多くは低年齢者かネット経験の浅い者であるが、稀にいい年をしてネット経験も豊富であるにもかかわらず
厨房的言動から脱却できない真性の厨房というものも存在する。
厨房は見かけこそなりきりに参加しようとするものの、その動機は上述のなりきりコテとは違い、
基本的に自分が目立つことを第一に考え、他者を省みることがほぼ皆無であるため、
自分勝手な言動や内輪の話、馴れ合いを繰り返して周囲からは嫌われやすい。
とはいえ多くの場合本人たちに悪気はなく、それが故により悪質とも言える。
だが、同じ厨房同士では何故か気が合うことが多いので、
自然と厨房は厨房同士で集まり、そのスレは独特の閉鎖的で幼稚な雰囲気を醸し出すことが多い。

アンチなりきり
上記のなりきり厨房を嫌い、それがエスカレートしてなりきり全体を激しく嫌悪するようになった過激派。
基本的に確信犯であることが多いので、スレが潰れるまで執拗に罵倒やハラスメントを繰り返すが、
自身はそれが正義の鉄槌だと信じているためまったく悪事の自覚はない。
とはいえ、上手く使えばスレ主が自分の手を汚すことなく居座る厨房を追い出すことが出来るため、
バッシングをもネタとして活用できる慣れたコテにとっては馬鹿も使いようである。

三戦系クソコテ
上記のなりきり厨房の三戦板版。
だが、三戦系クソコテは他の厨房とは違い、
仲間を引き連れて他のスレッドに集団移住し、そこで仲間内の意味不明な書き込みを繰り返し、
スレッドの治安を最悪にして住人を追い出した後十分達が居座るという行為を繰り返している。
本当にどうしようもない存在であり、三戦板衰退の一番の原因である。
現在は三戦板衰退と共に戦国板に移るコテが多く、被害を拡散させている
544名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:17:28
川メ´,_」`川 ぼく高岡ふぁびょるくん
545名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:20:28
( ´,_ゝ`)ぼくおなちゅう誠也くん
546名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:23:17
( ´,_ゝ`)ぼくおなちゅう誠也くん
547名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:31:40
>>543-546
荒らすな蛆虫二ート
とっとと職業安定所いってろ
548名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:37:44
クマッタ蛆虫は34歳無職童貞
549名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:44:09
>>548
それはおまえだろwwwwwwwwww
550名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:52:01
34歳童貞無職とか言ってる奴が哀れで仕方がない。
普通に自分がそれに近い境遇(またはそのもの)なんだろうな。
2ちゃんでコピペ荒らしみたいなことするなんて、かなりの暇がないと出来ないもんな。
俺もやったことあるからわかるけど相当に暇で性格も卑屈で病んでないと出来ないよ。
俺には無理だったw
551名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:52:01
クマッタ蛆虫必死
552名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 09:58:17
              /_/           . . -‐‐- . .
               /         ∠:: /⌒>,, `ヽ
  く  は  ク  7__       /ニ、{{∠∠二、 li ハ
  れ  や  マ   /     /. -‐…'''⌒ヽ   ij _」
  |   く    ッ  / 、__    ,'{ r‐…''⌒ヽーi  .<⌒ヽ
  |   き   タ  {/ヽ)   ! iヽ.).:.:.:.:.:.:.:xこ| |i  ト、 !i
  |   て    |  >''´}    ', ',.:.:.:/⌒し':::::::| ij  )ノ リ
  |     |  >イ     ', V^)⌒V⌒/7  >こノ
  |      ! ! ! ! >ノ     丶ヽ.__ー__彡'  /
  っ        \ーァ'⌒ヽ.._ \  ̄    {x‐/.:.
 ! ! ! !        r‐一.:.:.:.:.:/.:.:`ヽ/  ノ __//.:.:.:.:
///l/ ̄`ヽ∧j:.:.〈.:/.:.:.:.:.:.∠二 { ∠´/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
553名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:05:45
他人の企画が支持されると嫉妬心で正気を失う輩がいるね
「白牡丹」「松永久秀」の名前聞くと親の仇みたいに激しく興奮するw

とアンジェの足元にも及ばないゴミクズに言ってみるテストw
554名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:07:37
順調に盛り上がってきましたねw
555名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:10:03
「アンチ」ってなんだろう?
元は「アンチテーゼ」から来ていて特定の個人・団体・製品を嫌う者を指す。

「アンチ○○」で最初に思い浮かぶのは「アンチ巨人」
とにかく巨人が嫌い。
贔屓のチームが勝つのが嬉しいのではなく巨人が負けることに喜びを見出す人。

でも…「実はアンチも広い意味では形の違ったファン」…という人もいる。

確かに!
心理学では愛するの対義語は憎しみではない。
「愛する」も「憎しみ」も同義語だ。
なぜならば両者とも相手のことを忘れずに関心を持ち続けているから!

では愛するの対義語は?
それは…無関心。


無関心になれないアンチども
おまえら、心理学者お墨付きのなりきりファンだぞ
m9(^Д^)プギャー
556名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:12:02
またクマッタが名無しで潜伏してるのか
557名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:12:49
しかし案外釣れるもんだな、さすがGWだけあるわw
558名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:15:03
アンジェ先生はなりきり神だろ常識的に考えて。
クマッタ蛆虫は一回りも年下のアンジェ先生の才能に嫉妬して荒らしてるんだろ。
559名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:18:19
ま、よく頑張ってるけどな、アンジェ先生
クマッタ蛆虫はなりきりをしたい癖に三戦の自分のスレが潰されたときも
「なりきりなど本当はどうでもいい、自分以外の住人に問題があった」
みたいなこと言ってなかった?
ありゃ酷いわw
560名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:21:09
自分の無能さを認められない哀れなクマッタ蛆虫
561名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:24:24
クマッタはスレ立てをした時点で潰されると想像しなかったのかね?
アンジェにも同じことは言えるんだが。コテを変えないのが不思議。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:28:21
売名行為の一環なんだろ^^
563名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:28:51
クマッタは女々しいからな
荒らしてる可能性は充分にある
564名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:30:52
雌熊
565名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:31:47
つまり荒らされてスレが伸びれば名前も売れるから
荒らしが居つくのはむしろ都合がいいのか
566名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:36:21
なら、どんどん荒らそうぜw
567名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:37:23
クマッタレベルのなりきりじゃ自力で次スレまで持ってくなんて無理だからなw
スレタイにその一とか付けてた理由が今わかったわwww
568名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 10:43:53
                          r '"  ̄ ̄ ' ヽ、
                        r'" ,, ,,,、''' '";''   ヽ
                        ノ ,r     i      ヽ
八戸のぶながを受け入れなさい     l'        l      l
                       .l -ー'',,,_   L i_j,ry-、 l
                       },,-_::j,,、_,、__,,r-' ";'/,'ヽl,i
                      ,r,'-ーyj~ 、rッ',|!~ ::,;_;,;;r'};' |,l
            r^i         ヽ |`',j^ヽ、_`_jl  ,;::::::;;, /'/{
           | `',i          `r-'i   、,  ;;'',,:  ';;r-'^}--、
    r-、_,,,_    l ;;;l            ヽヽ '":ヘ、;;;;;::  ,;;';,  /`く/ \_
  rt^`'.     ̄"ー'  :;;l,             i, ,_、--r、, ::;i;; i;''/ /  / ` 、
  `'r 、,"_`ー- r ,.    L __           ヽ、- ,;j;;i ,r"/ / j'"-ー''"   ヽ,
   `ヽ、'' ` ' ヽ_ `ヽ  | ̄ヽ'ー-,       `7|~'rー'" / r'"〈,_    ヽ \
      `ヽ,_`-      |  |   j`__'rー-、,ヘ/_,l/__,/r-"-ー        l  |
          ̄"''ーt_,/  l
             l /_,  |
             `ー rl
                レ__
569名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 11:41:01
八戸蛆虫は死んでいいよ
570白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/04(火) 11:44:32
>>532
ふうっ・・・!
(君主の座に座る)

側近「帝からの使者がきております。」

通せ!

使者「帝から書状を預かってまいりました。」

これはこれはご苦労。
部屋を用意させているからそこでゆっくり休みなさい。
すぐに返書をしたためる。
(というと、すぐ読み始める)

陛下・・・。
さすがは陛下だ。とてもおやさしい・・・。
私にここまでのご温情をかけてくださるとは。
返書をしたためるか
(目からこぼれ落ちる雫がぽたぽたと落ち、書状がぬれる)

【書状】
陛下、私へのご温情ありがたく存じます。
私がそんな報告をするときは、陛下へ殉じるときのみです。
陛下、私は自らの敗北が許せません。
山賊如き、蹴散らしてやるつもりでした。
ですが、この有様です。中華は広いのだということを身にしみて感じました。
これからは国のため、さらに精進しようと思っております。
そして皇族将軍が山賊如きに敗北し面目が立ちません。
いつか必ず討伐いたします。自分を責めることはします。でないと自分へのけじめがつきません。
ですが前向きにそして後々のことを考え行動します。
最後に陛下、ご病気をなさらぬよう。
そして健やかにお過ごしください。

紫雲五年 某日  零陵公 白風悠 (印)
571名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 12:10:25
八戸蛆虫
572名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 12:59:21
おなかぽっこり^^
573李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/04(火) 13:34:45
「小兄ぃ、分捕り品ぁ運んどきましたぜぇ」

おぉう。今行くわ。

ヘッヘ、良い“エサ”だったぜ。
おい、女とガキ共呼んで来な。とっとと分配すっぞ。

それが終わったらまた“お仕事”だ。

…たっぷり啼き声聴かせてもらうぜぇ、小鳥ちゃん。
その後で焼いて喰ってやるよ……
574 ◆F80KLdWKdE1/ :2010/05/04(火) 13:57:51
【15年前 長城のはるか北 蒙古高原】
見渡す限りの緑の大地を駆ける騎手が二人。
一人は壮年の男、もう一人はその子だろうか。
まだ幼いが負けん気の強そうな少年だ。
父は時々後ろを振り返る。息子がついて来ているか心配なのだろう。
懸命に鞭を振る少年。置いていかれてなるものか。
父は安堵の表情を浮かべ、また少しだけ馬を速く奔らせる。
この地に生きる民族の通過儀礼だ。

しばらく駆けた。いくつかのパオが見える。
ここが彼らの仮初めの集落だ。
大自然とともに生きる彼らには国境なんて概念は無い。
彼らは広大な蒙古高原を中心に北はバイカル湖、東は大海、西はカスピ海まで移動する。
そして南は……。

長老「よく無事に帰ってきてくれたな、ナチン・バアトルよ。」
----「キタド(中華)軍が長城を越えたという噂は本当だったのか?」
ナチン「ええ、長老。すでにキタド軍は長城を越え砂漠まで来ていました。」
-----.「何が目的かはわかりません。ですが、かなりの大軍でこちらに向かっています。」
長老「こちらに……。ということは標的はウイグル本国ではなくタタール(韃靼)もしくは我々か。」
----「もしやついにテュルク(突厥)を滅ぼすつもりだろうか?」
ナチン「それはわかりません。いずれにせよ早く手を打たないと……。」
575 ◆F80KLdWKdE1/ :2010/05/04(火) 13:58:38
長老と父、それから大人たちは何かを話し合っている。
少年にはまだ難しい内容だ。
父を待つのに飽きた少年は母や弟妹たちの待つパオへ向かう。
ただいまの挨拶もそこそこに草原の南の話をせがまれる。
少年は旅の思い出を面白おかしく、そして大げさに語った。
兄の冒険記を子守唄に弟妹たちは眠る。
母も食事の用意がある。少年の話ばかりを聞いているわけにもいかない。

まだ話し足りない少年。幼馴染の少女のパオに遊びに行く。
久しぶりに集落に帰ってきた少年の話を、少女は目を輝かせながら聞いた。
ずっと会っていなかったから、話に花が咲く。
少女はまだ見ぬ草原の南に想いを馳せ、少年はそんな少女を喜ばせようと話を続けた。

少女「いいなぁ。あたしも南に行ってみたいわ。ねえ、今度はあたしのことも連れて行ってよ。」
少年「まだ無理だよ。僕は父さんの後ろをついていっただけだもの。」
少女「うーん、それじゃあもう少しだけ待つわ。あたしたちがもう少し大きくなったら大丈夫でしょ?」
少年「もちろん!僕たちがもう少し大きくなったらボルテを万里の長城まで連れて行ってあげるよ。」
少女「やったぁ!約束よ。あたしとっても楽しみだわ!」

少女の嬉しそうな顔を見ていると、何だか誇らしい気持ちになった。
576 ◆F80KLdWKdE1/ :2010/05/04(火) 13:59:30
その1月後、ある晩。
少年の部族は大呉帝国によって滅ぼされた。
半年前、大呉帝国の国境を越えて生活していた部族がいた。
厳しい冬の寒さをしのぐためにその部族はより南へと移動していたのだ。
しかしそれは漢民族にとっては重大な挑発行為であり侵略行為だった。
怒りに震えた大呉帝国の地方官は直ちに上奏し、帝国軍の出動を要請。
朝議の結果、これを機に東突厥そのものを滅ぼすことが決定された。
長城を越えた帝国軍は、たまたま遭遇した集落を演習がてら襲撃したのだ。
それが少年の部族の集落だった。

父は部族の戦士として勇敢に戦って死に、母と弟妹たちは大呉帝国の兵士に殺された。
あの幼馴染の少女は幾人かの若い女性たちと一緒に連れ去られていった。
部族で生き残ったのは少年の他はわずか十数人だけだった。
その僅かな仲間たちも未だ同胞の無残な骸が転がり血も乾かぬこの草原をそれぞれに去っていった。
幼く身寄りのない少年はかつて父が教えてくれた北方民族の新たな盟主ウイグルを頼って西へ奔った。
少年にはそれしかできなかった。

そこで待っていたのは予想だにしなかった奴隷としての生活だった。
ウイグルは大呉帝国と共同で東突厥を滅ぼし、新たな草原の帝国を築いた。
狡猾なウイグル商人に騙され、少年は奴隷としてウイグル軍人のもとへ売り飛ばされた。
屈辱の日々が続いた。
漢民族から見れば北方民族は全て同じに見える。
しかし実際にはテュルク系、チベット系、モンゴル系、ツングース系など様々な民族の混在する坩堝だ。
テュルク系の突厥やウイグルが草原の支配者であったこの時代。
モンゴル系部族出身の少年はその支配の対象でしかなかった。
負けん気の強い少年は湧き上がる怒りに必死で耐えた。
この頃から、少年はある志を胸に秘めるようになった。
577 ◆F80KLdWKdE1/ :2010/05/04(火) 14:00:26
【10年後 ウイグル首都 カラバルガスン】
ウイグル軍人「オイ奴隷、オ前ニ客人ガ来タゾ!労務ハ一旦止メロ!」
------------「客人ヲ待タセルノハ最大ノ無礼!急ゲ!」

主人が鞭を振り上げる。少年は慌てて馬の乳搾りを止めた。

ウイグル軍人「早ク来イ、ノロマ!」

横暴な主人の後ろを黙ってついていく。
平静を装っているがはらわたが煮えくり返っていた。
主人の向かった先には一人の恰幅のいい男がいた。
キタイ(契丹)人の服装をしているその男は商人だろうか。
自分はまた誰かに奴隷として買われていくのか。
奥歯がギリッと音を立てる。
だが。

クイルダル「久しぶりだね、坊ちゃん。よく無事でいてくれた。」
----------「覚えているかい?君の父さん―偉大なバアトル―ナチンの友人だったクイルダルだよ。」
----------「君がウイグルで奴隷民になっていると聞いてね。馬に鞭打って急いで来たんだ。」
----------「あれからの10年、キタイで商人として暮らしていたんだ。おかげで多少は裕福な生活を送れているよ。」

少年は思いもよらぬ同胞との再会に驚き、そしてこの10年の孤独と屈辱を思い返して涙した。
だがクイルダルの次の言葉に少年は絶望することになった。

クイルダル「君を我がカガンに献上しようと思う。」
----------「高名なバアトルの遺子にカガンは興味を持っているんだ。」

少年はウイグル軍人から二束三文で売られ、今度ははるか東方キタイへ連れて行かれた。
578 ◆F80KLdWKdE1/ :2010/05/04(火) 14:02:15
だが少年の予想に反してキタイでは奴隷として扱われなかった。
それどころかカガンの計らいで奴隷身分から解放され、カガンの小姓としての生活を約束されたのだ。
軍人たちからキタイの武芸や戦術を学び、長老からはキタイの生活様式を教わった。
日々成長していく少年の姿に、クイルダルは目を細めた。
少年はキタイへの道中、クイルダルを裏切り者と思ったことを恥じた。

それから5年が経った。
その時少年はすでに青年になっていた。
青年の名はテムジン。モンゴル族の誇り高き勇者ナチンの長男。
キタイの軍人の一人となった彼の眼は今、大草原と砂漠のさらに南を睨んでいる。
その視線の先には中華と北狄の境界、万里の長城がかすかに見える。

クイルダル「坊ちゃん、これ以上はまずい。早く戻らないとキタド人に見つかってしまう。」
テムジン「大丈夫さ、あいつらは馬の扱いが下手くそだからな。」
--------「俺たちに追いつけるわけがない。」
--------「……なあクイルダル。俺はいつかあの長城をぶっ壊してやろうと思ってるんだ。」
クイルダル「それはまた随分大きな夢だね。君はそんな大言を吐く人だったかい?」
テムジン「いや。今のは大言なんかじゃない。」
--------「あんなものがあるから、キタドなんて国があるから、いつまでも争いが無くならないんだ。」
--------「……俺は必ずキタドを滅ぼしてやる。」

かつてモンゴルという部族が草原にいた。
彼らは勇猛果敢な部族として知られていたが、15年前東突厥が滅亡する直前に大草原から忽然と姿を消した。
だが誇り高き草原の戦士の血統は途絶えていなかった。
その瞳に宿る復讐と憎悪の猛炎は、キタイ、ウイグル、タタール、そして大呉帝国をも巻き込んでゆく……。

(前置きが長くなってすみません、以後は普通のレスに徹します。)
579名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 14:24:50
荒らすなクマッタ蛆虫
580蒼き狼テムジン ◆F80KLdWKdE1/ :2010/05/04(火) 14:41:23
カガン「長城を越えてキタドに攻め入りたい、だと?」
テムジン「はい。昨年キタドは久々の豊作で農村も潤っていると聞きました。」
--------「これを奪い尽くせば我らの生活も豊かになりましょう。」
カガン「……テムジンよ。お主は優れた戦士だが少し短慮じゃな。」
------「今は西のウイグルと北のタタールで手一杯じゃ。」
------「とてもキタドを相手にしている余裕は無い。」
テムジン「では、せめてキタドの属国である渤海への侵攻をお許しください。」
カガン「テムジン、なぜそこまでキタドとの戦いを望む?」
------「父の仇をとりたい気持ちはわかるが、しばし待つのだ。」
------「よいな、テムジン。まずはウイグル、タタールへの防備に専念せよ。」
テムジン「……はっ。」

テムジン「クソッ、キタドめ。命数が伸びたことを神に感謝するんだな!」
581名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 15:45:43
【15年前 長城のはるか北 蒙古高原】
見渡す限りの緑の大地を駆ける騎手が二人。
一人は壮年の男、もう一人はその子だろうか。
まだ幼いが負けん気の強そうな少年だ。
父は時々後ろを振り返る。息子がついて来ているか心配なのだろう。
懸命に鞭を振る少年。置いていかれてなるものか。
父は安堵の表情を浮かべ、また少しだけ馬を速く奔らせる。
この地に生きる民族の通過儀礼だ。

しばらく駆けた。いくつかのパオが見える。
ここが彼らの仮初めの集落だ。
大自然とともに生きる彼らには国境なんて概念は無い。
彼らは広大な蒙古高原を中心に北はバイカル湖、東は大海、西はカスピ海まで移動する。
そして南は……。

長老「よく無事に帰ってきてくれたな、ナチン・バアトルよ。」
----「キタド(中華)軍が長城を越えたという噂は本当だったのか?」
ナチン「ええ、長老。すでにキタド軍は長城を越え砂漠まで来ていました。」
-----.「何が目的かはわかりません。ですが、かなりの大軍でこちらに向かっています。」
長老「こちらに……。ということは標的はウイグル本国ではなくタタール(韃靼)もしくは我々か。」
----「もしやついにテュルク(突厥)を滅ぼすつもりだろうか?」
ナチン「それはわかりません。いずれにせよ早く手を打たないと……。」
582名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 15:50:09
【15年前 長城のはるか北 蒙古高原】
見渡す限りの緑の大地を駆ける騎手が二人。
一人は壮年の男、もう一人はその子だろうか。
まだ幼いが負けん気の強そうな少年だ。
父は時々後ろを振り返る。息子がついて来ているか心配なのだろう。
懸命に鞭を振る少年。置いていかれてなるものか。
父は安堵の表情を浮かべ、また少しだけ馬を速く奔らせる。
この地に生きる民族の通過儀礼だ。

しばらく駆けた。いくつかのパオが見える。
ここが彼らの仮初めの集落だ。
大自然とともに生きる彼らには国境なんて概念は無い。
彼らは広大な蒙古高原を中心に北はバイカル湖、東は大海、西はカスピ海まで移動する。
そして南は……。

長老「よく無事に帰ってきてくれたな、ナチン・バアトルよ。」
----「キタド(中華)軍が長城を越えたという噂は本当だったのか?」
ナチン「ええ、長老。すでにキタド軍は長城を越え砂漠まで来ていました。」
-----.「何が目的かはわかりません。ですが、かなりの大軍でこちらに向かっています。」
長老「こちらに……。ということは標的はウイグル本国ではなくタタール(韃靼)もしくは我々か。」
----「もしやついにテュルク(突厥)を滅ぼすつもりだろうか?」
ナチン「それはわかりません。いずれにせよ早く手を打たないと……。」
長老と父、それから大人たちは何かを話し合っている。
少年にはまだ難しい内容だ。
父を待つのに飽きた少年は母や弟妹たちの待つパオへ向かう。
ただいまの挨拶もそこそこに草原の南の話をせがまれる。
少年は旅の思い出を面白おかしく、そして大げさに語った。
兄の冒険記を子守唄に弟妹たちは眠る。
母も食事の用意がある。少年の話ばかりを聞いているわけにもいかない。

まだ話し足りない少年。幼馴染の少女のパオに遊びに行く。
久しぶりに集落に帰ってきた少年の話を、少女は目を輝かせながら聞いた。
ずっと会っていなかったから、話に花が咲く。
少女はまだ見ぬ草原の南に想いを馳せ、少年はそんな少女を喜ばせようと話を続けた。

少女「いいなぁ。あたしも南に行ってみたいわ。ねえ、今度はあたしのことも連れて行ってよ。」
少年「まだ無理だよ。僕は父さんの後ろをついていっただけだもの。」
少女「うーん、それじゃあもう少しだけ待つわ。あたしたちがもう少し大きくなったら大丈夫でしょ?」
少年「もちろん!僕たちがもう少し大きくなったらボルテを万里の長城まで連れて行ってあげるよ。」
少女「やったぁ!約束よ。あたしとっても楽しみだわ!」

少女の嬉しそうな顔を見ていると、何だか誇らしい気持ちになった。
その1月後、ある晩。
少年の部族は大呉帝国によって滅ぼされた。
半年前、大呉帝国の国境を越えて生活していた部族がいた。
厳しい冬の寒さをしのぐためにその部族はより南へと移動していたのだ。
しかしそれは漢民族にとっては重大な挑発行為であり侵略行為だった。
怒りに震えた大呉帝国の地方官は直ちに上奏し、帝国軍の出動を要請。
朝議の結果、これを機に東突厥そのものを滅ぼすことが決定された。
長城を越えた帝国軍は、たまたま遭遇した集落を演習がてら襲撃したのだ。
それが少年の部族の集落だった。

父は部族の戦士として勇敢に戦って死に、母と弟妹たちは大呉帝国の兵士に殺された。
あの幼馴染の少女は幾人かの若い女性たちと一緒に連れ去られていった。
部族で生き残ったのは少年の他はわずか十数人だけだった。
その僅かな仲間たちも未だ同胞の無残な骸が転がり血も乾かぬこの草原をそれぞれに去っていった。
幼く身寄りのない少年はかつて父が教えてくれた北方民族の新たな盟主ウイグルを頼って西へ奔った。
少年にはそれしかできなかった。

そこで待っていたのは予想だにしなかった奴隷としての生活だった。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 15:51:17
ウイグルは大呉帝国と共同で東突厥を滅ぼし、新たな草原の帝国を築いた。
狡猾なウイグル商人に騙され、少年は奴隷としてウイグル軍人のもとへ売り飛ばされた。
屈辱の日々が続いた。
漢民族から見れば北方民族は全て同じに見える。
しかし実際にはテュルク系、チベット系、モンゴル系、ツングース系など様々な民族の混在する坩堝だ。
テュルク系の突厥やウイグルが草原の支配者であったこの時代。
モンゴル系部族出身の少年はその支配の対象でしかなかった。
負けん気の強い少年は湧き上がる怒りに必死で耐えた。
この頃から、少年はある志を胸に秘めるようになった。
【10年後 ウイグル首都 カラバルガスン】
ウイグル軍人「オイ奴隷、オ前ニ客人ガ来タゾ!労務ハ一旦止メロ!」
------------「客人ヲ待タセルノハ最大ノ無礼!急ゲ!」

主人が鞭を振り上げる。少年は慌てて馬の乳搾りを止めた。

ウイグル軍人「早ク来イ、ノロマ!」

横暴な主人の後ろを黙ってついていく。
平静を装っているがはらわたが煮えくり返っていた。
主人の向かった先には一人の恰幅のいい男がいた。
キタイ(契丹)人の服装をしているその男は商人だろうか。
自分はまた誰かに奴隷として買われていくのか。
奥歯がギリッと音を立てる。
だが。

クイルダル「久しぶりだね、坊ちゃん。よく無事でいてくれた。」
----------「覚えているかい?君の父さん―偉大なバアトル―ナチンの友人だったクイルダルだよ。」
----------「君がウイグルで奴隷民になっていると聞いてね。馬に鞭打って急いで来たんだ。」
----------「あれからの10年、キタイで商人として暮らしていたんだ。おかげで多少は裕福な生活を送れているよ。」

少年は思いもよらぬ同胞との再会に驚き、そしてこの10年の孤独と屈辱を思い返して涙した。
だがクイルダルの次の言葉に少年は絶望することになった。

クイルダル「君を我がカガンに献上しようと思う。」
----------「高名なバアトルの遺子にカガンは興味を持っているんだ。」

少年はウイグル軍人から二束三文で売られ、今度ははるか東方キタイへ連れて行かれた。
だが少年の予想に反してキタイでは奴隷として扱われなかった。
それどころかカガンの計らいで奴隷身分から解放され、カガンの小姓としての生活を約束されたのだ。
軍人たちからキタイの武芸や戦術を学び、長老からはキタイの生活様式を教わった。
日々成長していく少年の姿に、クイルダルは目を細めた。
少年はキタイへの道中、クイルダルを裏切り者と思ったことを恥じた。

それから5年が経った。
その時少年はすでに青年になっていた。
青年の名はテムジン。モンゴル族の誇り高き勇者ナチンの長男。
キタイの軍人の一人となった彼の眼は今、大草原と砂漠のさらに南を睨んでいる。
その視線の先には中華と北狄の境界、万里の長城がかすかに見える。

クイルダル「坊ちゃん、これ以上はまずい。早く戻らないとキタド人に見つかってしまう。」
テムジン「大丈夫さ、あいつらは馬の扱いが下手くそだからな。」
--------「俺たちに追いつけるわけがない。」
--------「……なあクイルダル。俺はいつかあの長城をぶっ壊してやろうと思ってるんだ。」
クイルダル「それはまた随分大きな夢だね。君はそんな大言を吐く人だったかい?」
テムジン「いや。今のは大言なんかじゃない。」
--------「あんなものがあるから、キタドなんて国があるから、いつまでも争いが無くならないんだ。」
--------「……俺は必ずキタドを滅ぼしてやる。」

かつてモンゴルという部族が草原にいた。
彼らは勇猛果敢な部族として知られていたが、15年前東突厥が滅亡する直前に大草原から忽然と姿を消した。
584名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 15:52:23
だが誇り高き草原の戦士の血統は途絶えていなかった。
その瞳に宿る復讐と憎悪の猛炎は、キタイ、ウイグル、タタール、そして大呉帝国をも巻き込んでゆく……。

(前置きが長くなってすみません、以後は普通のレスに徹します。)
荒らすなクマッタ蛆虫
カガン「長城を越えてキタドに攻め入りたい、だと?」
テムジン「はい。昨年キタドは久々の豊作で農村も潤っていると聞きました。」
--------「これを奪い尽くせば我らの生活も豊かになりましょう。」
カガン「……テムジンよ。お主は優れた戦士だが少し短慮じゃな。」
------「今は西のウイグルと北のタタールで手一杯じゃ。」
------「とてもキタドを相手にしている余裕は無い。」
テムジン「では、せめてキタドの属国である渤海への侵攻をお許しください。」
カガン「テムジン、なぜそこまでキタドとの戦いを望む?」
------「父の仇をとりたい気持ちはわかるが、しばし待つのだ。」
------「よいな、テムジン。まずはウイグル、タタールへの防備に専念せよ。」
テムジン「……はっ。」

テムジン「クソッ、キタドめ。命数が伸びたことを神に感謝するんだな!」
585名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 16:40:12
モティブ「板を越えて歴難に攻め入りたい、だと?」
クマッタ「はい。歴難では久々のなりきりスレでアンジェも喜んでいると聞きました。」
--------「これを荒らし尽くせば我らの生活も豊かになりましょう。」
モティブ「……クマッタよ。お主は愚かな糞コテでしかも短慮じゃな。」
------「今は新党の伊達政宗となな板のととのえで手一杯じゃ。」
------「とてもアンジェを相手にしている余裕は無い。」
クマッタ「では、せめてアンジェの属国である文民党への侵攻をお許しください。」
モティブ「クマッタ、なぜそこまでアンジェとの戦いを望む?」
------「才能無き自分の心を鎮めたい気持ちはわかるが、しばし待つのだ。」
------「よいな、クマッタ。まずは伊達政宗、ととのえ老臣への防備に専念せよ。」
クマッタ「……はっ。」

クマッタ「クソッ、アンジェめ。命数が伸びたことを神に感謝するんだな!」
586名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 17:00:08
くそっ、アンジェめ感謝するんだな
587名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/04(火) 18:18:33
感謝するんだな
588碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/04(火) 21:32:45
>>515>>502宛てです、失礼致しました)

>>516
「貴女を花姑様に私の代役として推挙しようと思っているのよ…」
あの時、静流姉様に謂われて驚いたのが、つい昨日の事のよう。
「私などが…任に耐え得るかしら」
静流姉様は青ざめた頬に微かに笑みを浮かべ、
「貴女は裁縫の腕も私が時に感心する程に確かだし、人柄もすなおで柔和な質。
きっと難しい宮廷でも上手くやって行けると思うわ…」
苦しげな息の下から、まるで実の妹に言い聞かせるように優しく述懐する。
「大丈夫よ、貴女が失敗した時でも困った様に愛らしく笑い掛けられると、
つい助けて上げたくなってしまうもの…」
だから、ね。
こんな風に噛んで含める様に謂われてしまっては、病身の静流姉様の心配事を
少しでも無くして差し上げる為に頷くより他に無かった。
「静流姉様、分かりました」
そっと強く静流の青ざめた手を握り返す。
脇でやり取りを見ていた金木犀の精霊・14歳の麗華は、静流を案ずる余り涙を
流していた…。


ーーー

「さあさあ、集まっとくれ!!」
まだ朝露の滴る早朝、尚服局の全員が宮庭に集められ、上役の女官が内侍からの
言葉を皆に伝えていく。

皇帝陛下の御衣装……

風精の言葉が思い出される。
(皇帝陛下…。花姑様が斯様に試そうと為される人の最高権力者とは、どの
様な方なのでしょう…)
589白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/04(火) 21:39:34
>>588
【尚服局】

ごめんねー、紫絲一巻きー。

(片手を上げ、「ちわーっす! 荷物お届けに上がりましたー!」並の軽さで尚服局に入った皇帝。
 折しも、そこでは上級女官による訓示が行われ、緊張ある雰囲気が場を満たしていた。何という気まずさ。)


(ごめん、ごめん! 表情で謝意を伝え、また官女達が拝跪しようとするのを静止する。)


でも、夏服、本っ当に楽しみにしてるから。
今、朝議は、正念場。暫く忙しくなりそう。だから、新しい衣裳で頑張ろう、って!

まぁ、どうせすぐ汚しちゃうんだけどねぇ〜……。

(力を入れ、表情も豊かに話していた所から一転、最後の言葉は目を逸らしておどけ、小さく言う。
 その様子に何人かははにかんで苦笑し、何人かはくすっと笑みを漏らした。)


そうだ、今紫の糸が一巻き欲しくて来たんだ。
ごめんね、誰か手が空いてたら貰ってもいい?
590白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/04(火) 22:15:59
>>574-580
幼少の頃。北狄、という言葉を知ったのは宦官の物語を通してだった。
馬上で生まれ、馬上で死んでゆく者たち。その程度の認識だった。
宦官はさらに「中華思想」に基づく物語をしたが、生長するにつれてある疑問がふつと浮かんだ。
我が白氏の太祖も、もとは騎馬民族の出ではなかったか──

それでも、某祖某帝などと廟号、諡号で呼ばれるようになると、
生前の出自に関わらず「中華皇帝」として認知されるようになる。
白氏は、漢族となることを選んだ。
姓からして、もとの胡姓を棄てて漢姓に改めたのは明白だ。
さらに自らの血を呪うように、皇后や妃妾に漢族を選び続け、混血を図り続けた。
第十八代白牡丹に至ると、もはや胡族の面影すら隠れてしまっている。

外交もそうだった。
「大呉」と名付けられた「中華帝国」となったかの異民族王朝は、
四方の「異民族」に対しても中華思想に則った振る舞いをした。
朝貢と冊封の関係。
尊大なる恩寵か、または干戈の習いで「対話」した。

----

それはどうなの? と宦官に尋ねると、その宦官は顔を渋くしてこう言った。

「天が太祖に命を下されたのです」

ふうん、そうなのか。
漢族は夷狄を蔑視しているけど、夷狄にも天命は下るんだな。

ああ、だから我々は彼らを蔑むと同時に恐れるのか。
見たことはないけど、北辺には長城というものがあるらしい。

長城を越えて北征する将軍は、畏敬の対象。
多く敵を殺し、北地深くまで吶喊するほどその畏敬は大きくなった。

そういうものだと思っていた。
でも、よくよく考えると……。

侵攻された側はどう感じるんだろうな。世界は調和で成り立っている。
漢が強ければ、夷狄は弱く、現状が守られる。これも調和。
漢が弱まれば、夷狄は強く、現状は崩される。これもまた調和なのだ。

今、国力を減じている大呉帝国。その爛熟した果実を、北の幾多の部族はどのように見るのだろうか。
591李畢嵐 ◆OBNJddam46oq :2010/05/04(火) 22:32:17
>>458
(朱懿材の誘いに答えもせず。)
李畢嵐「聞けば、朱大人と朱大人の兄上は腹違いのご兄弟だとか。」
(朱懿材を無視するかの様に、独白してみせる。)
李畢嵐「伯夷叔斉の様な美談もあれば、※の様な恐ろしい話もある。『血』とはいったい何なのでしょう。宦官という子孫を残せぬ身の戯言と笑って下さいませ。
しかし、私は『血』こそが尤も恐ろしく尤も破壊力のある凶器だとも思うのでございます。「云わなくともわかる。」というその安心が人と人との関係を破壊するのと
同じく。朱大人、そもそも貴方様の兄上は何故宮中の工作を貴方様にだけお任せになったのでしょう。」

(朱懿材の口を開かせまいと先に、朱懿材に。)
李畢嵐「半分とはいえ血の繋がった実の兄弟だから?。」
李畢嵐「そうでしょうか。兄弟というものは、生まれた時から同じ条件と環境、同じ様な能力を持ちお互いの短所も長所も知り尽くした一番油断ならない相手
なのではないでしょうか。此度の事も……如月様と陛下をご覧なさいませ。同じ条件に環境。けれど、如月様の方が統治者としての政治家としての素質が
少しばかり上舞っているという事だけから生じた悲劇。これが一臣下と陛下なら、斯様な乱も起きますまい。起きたとて、また結果は明快なものでございましょう。」

李畢嵐「つまりは、朱大人の兄上にとって一番排除したい邪魔者は朱大人だという事です。」
(漸く朱懿材を一瞥し。)
李畢嵐「間違えた事を申しているでしょうか。私。宮中の工作がたとえ失敗しても罪は朱大人一人に被せれば良い。貴方の兄上は朱大人の弔い合戦を口実に
堂々と朝廷に反旗を翻す事ができる。それに、私拝見してしまいました。貴方の兄上からの書状を。「三名を暗殺した後、すぐに皇弟白如月と燕王白果が
帝位を巡って争うように仕向けよ。 いずれか政争に負けたほうを我らは皇帝として擁立し広陵に進軍する。 」と記してあった書状を。護送なのか。
それとも、故意だとしたら。故意だとしたら私の手元に送った意図は何なのでしょうねぇ。」
592焦景栄 ◆OBNJddam46oq :2010/05/04(火) 22:34:38
【京師郊外・劉瑶邸】

(花梨の椅子は、蝋燭の炎にゆらゆらと照らされ椅子の中では劉瑶が絹の袖を揺らしながら焦景栄を眺めていた。)
(焦景栄は横の椅子に座ることなく、立ち尽くしその顔は僅かに歪んでいた。)
劉瑶「久しぶりだねぇ。お前のその顔は。美しいお前が黙って堪える様子がたまらなくてね。私もよく意地悪をしたものだ。」
焦景栄「私に宮中の後継を。畢嵐に劉家の後継をとお決めになられた時もそうですか。」
劉瑶(酷く驚いた様子で)「お前から、その様な余裕の無い言葉が聞けるとはねぇ。お前から冷静さを失わせるとは、陛下も捨てたものではないね。
私が叡宗陛下を思ったのと同じく、お前も陛下を思われているという事か……。畢嵐。あれは心根が優しく素直で純真な子じゃった。あの日迄はお前とも
血の繋がった親子よりも兄弟よりも仲が良かった。観、お前はまだ私を畢嵐の事で怨んでいるかな?。」

(焦景栄の瞳に暗い迷いの色が差した。)
劉瑶「ふふふ……まぁ、いいわ。観、私はお前が愛おしい。叡宗陛下は私より先に逝ってしまわれたが、私の命はお前のものより短いだろう。
だから、観。お前に最後の贈り物を与えよう。それはお前が私の庇護から抜け出して、この大呉で真の自立をするという事だ。今までのお前は
全て私の力あっての焦景栄だった。さぁ、よく考えてごらん。これは辛いよ。恐ろしい事だよ。失敗が死を意味する宮中の事だからねぇ。
ふふふ……惜しいことだがお前のその表情を見るのがこれで最後になることを祈ろうかねぇ。」
593白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/05/04(火) 23:33:52
(李堅を送り出した後、池の辺に立ち笛を吹く白呈春)

石国経「時醒様の笛はいつも不思議な音がします」

(薄い唇を僅かに笛より離し、両手から右手に持ち替え石国経に振り向く)

白呈春「そうか」

石国経「はい」

白呈春「ただ指を動かしているだけなのだが。お前にはどう聞こえる?」

石国経「算木の音にどこか似ています」

白呈春「曲ではないと。琴と笛。種類は違えど私は伯牙の域には達せぬとな。国経、お前顔に似合わず冗談を言うようになったか」

石国経「いえ。乱れず一定の律動で狂いがない。どうも自然というものが感じられないのでござります」

白呈春「言いたい事があるのだろう。早く言うがよい」

石国経「何かお悩み事を隠していらっしゃいますね。時醒様の笛の音に人の息、鳥の囀り、四季……そうしたものが感じられないのは
心がここにないからでござります。時醒様は考え事をなさる時、いつも笛を吹きなさる」

(屋敷内で皇弟・如月への思いを漏らした後の薛才人の懐妊。白呈春が真っ先に案じたのは、如月派による皇帝の暗殺だった。
皇帝を護るにも、血族間の争いでは護りきれない場合もある。自分の献じる策に失敗があるのは許されない。献策しようとした矢先の
人事。心をどこかに置いて『無』になりたいときもある。笛を吹き、両の指を指のままに動かせば、自分の存在が春風と一体化
するような錯覚に陥ることさえあった)

白呈春「よく見ているではないか。あまり陛下をお待たせしても宜しくない。では、参内するか。国経、供をしろ」
594白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/05/04(火) 23:34:55
>>538

白呈春「陛下。お待たせ致しました。その人事、お受けするには一つだけ条件がございます。
まずはその前にお人払いを」
595李堅@燕王家臣 ◆wWD8Ncl5Qc :2010/05/04(火) 23:40:41
>>593
時醒様、家中の者たちは大王が玉座の主となることを望んでいます
今こそ決起すべきではないでしょうか
596白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/04(火) 23:40:55
>>593-594
やあ、来たね。時醒。いや、上柱国殿。

それでは、行こうか。
どこへ? 決まってるよ。幼少の頃から二人で本を読み合ったあの、宮庭の四阿へ。

子供の頃の「秘密のおはなし」から、今の大事まで。
視界が開けていて、周りに何もなく、屋根に誰かがいればすぐにわかるあそこは
他のどこよりも似合いの場所だ。


【四阿】

人払いはできた。
条件、それはどんな?
597白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/05/04(火) 23:59:06
>>595

白呈春「いかがした。李堅。お前らしくもない。かつて正道を曲げて創られた王朝が続いた例があろうか。
歴史の話をすると承芳が現れて五月蠅いぞ」

(李堅を軽く窘め、話を流そうとする)

>>596
【四阿】

白呈春「はっ。御身の安全が取れるまで、陛下に女性の姿で後宮に潜んでいただきたいのです。
陛下の身代わりには陛下と同じ背格好の若者を使おうと思います」

(白呈春は、かねてより温めていた策を皇帝に献策した。連中もまさか皇帝が女性の姿で後宮に
潜んでいるとは思うまい)
598李堅@燕王家臣 ◆wWD8Ncl5Qc :2010/05/05(水) 00:05:06
>>597
いえ、これは天命でございます
燕王府のある北平では麒麟の目撃が相次いでおります
この広陵でも北天を翔ける黄龍を多くの民衆が見ているのです
今こそ決起を!

群臣「今こそ決起を!」
599白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/05(水) 00:11:58
>>597
女性の姿で。女性の姿でか、それはいい…。

(下を向き、くつくつと笑ってみせる皇帝。)

…そんな顔しないでよ。真面目な話だってことはわかってるさ。
この人事で、時醒は朕の傍にいて護る時間を奪われる。
朕の死は混迷を深める。だから、安全のために、だろう?
わかってる。百も承知だ。だけどな、こっちは命狙われてるんだぞ。
この状況を楽しむぐらいの気持ちがなかったら、悲観して悲観して気が狂うだけだ!

安全のため、という口実で女装という貴重な体験ができる。
折角だから、後宮生活を楽しむことにするさ。
前々から女性の衣裳には憧れてたしな……。
髪も、装飾品も、衣も、男のものより意匠が凝らされていて、優美で、華やかで……。
化粧もいいな。朕の貌、どんなになるんだろうなっ!


ただ、心配なのは身代わりだな。
外見が似ている者なら捜せるだろうが、立ち居振る舞いや物の考え方までは複製できない。
朕は山野や宮中、市中を駆け、風景山河を愛でて詩を作り琴を弾じ、
臣下にも気軽に話しかける皇帝だ。
それが大人しくなったら、不審に思う者が現れないか?
600白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/05/05(水) 00:18:08
>>598

白呈春「『礼記』では瑞獣だとされる麒麟が北平に現れたか。これは、陛下の仁政を我が燕王家が
これからも補助せよという天命だ。天命も、経典も解釈を間違えると武器になるものだからな。
李堅、お前の燕王家に対する忠心は父上も私も承芳も知っている。だが、主に道に逸れたことを勧めるのは
忠臣のすることではない。それは、己の欲に負けた逆臣のすることだ。李堅、お前は忠臣だ。
我らが大呉の忠臣であり、燕王家の忠臣だ。どうか、このまま私と共に大呉の臣下としての道を
歩んでいってくれないか」

(李堅の手を取り、静かに言った)
601李堅@燕王家臣 ◆wWD8Ncl5Qc :2010/05/05(水) 00:22:22
>>600
む、むう・・・
では今回は引き下がります
ですが大王が皇帝となる日、我ら家臣団が切望していることはお忘れなく・・・
602白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/05/05(水) 00:27:28
>>599

(身代わりを誰にするか。それが一番の問題だった。多少の不審は皇帝お得意の祭祀関係で繕うとして、
一番怖いのは皇帝の妻たちの目だった。「お告げが出たので一月顔を隠す」「お告げがでたので、〜とは口を利かぬ」
理由は何でもよいのだ。しかし、妻の目だけは欺けまい。薛才人も心配だ。そこで考えたのが、偽皇帝の寵姫としての
白牡丹であった。これならば、皇帝の妻たちから嫉妬の目は向けられても、白牡丹も偽皇帝も不審の目から
逸らすことはできるだろう。ただ、問題は偽皇帝の人選であった。歳背格好似ていて、暗殺者からも身を守ることのできる
武芸に通じた若者――)

白呈春「こういうわけでございまして……陛下、誰か適任者のお心当たりはございませんか?」
603白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/05/05(水) 00:35:19
>>601

白呈春「わかってくれたか。ありがとう。やはりお前は、燕王家の一員だ」

(人は決めつけられると、その通りの人生を歩んでしまうことがある。ならば良い方向に導いてやるのが主としての
務めではなかろうか。白呈春は、日頃より家臣に厳しかったが、その倍家臣の長所を見つけ、また家臣に
「お前は賢いのだから」「お前は忠臣だ」と言い含めてきた。『時』は、望まなくてもいつかは来るかもしれない。
だが、燕王家のから一人たりとも『逆臣』を出してはならない。それが主としての責任なのだと白呈春は信じていた)
604李堅@燕王家臣 ◆wWD8Ncl5Qc :2010/05/05(水) 00:39:22
・・・時醒様はああ仰っているが、やはり大呉の皇帝にふさわしいのは我らが大王だろう
在位五年でもう良い頃合だろう、白牡丹には如月ともども「退場」してもらうとするか

(燕王家臣団は白牡丹・白如月を亡き者にする計画を練っています)
605白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/05(水) 00:44:15
>>602
そうだな…。

(皇帝は嘆息した。ひとつ、思い当たる節はあった。だが、それは…。)

如月…。思いつくのは、如月だ。でもそれは意味がない。
如月は注目されてる。いきなり居なくなったら、騒ぎになる。

うーん……。

昌谷公主はどうだろう。公主は女性だが、騎乗と短弓の射を好んで基礎の体力は備えている。
また、動く物を捉える視力と反応は誰にも増して優れていた。
暗殺者からの護身。手箭を袖に忍ばせれば、たとい力で負けても、
ものを言うのは反射の速さだ。勝てる公算はある。

どうかな?
606李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/05(水) 13:39:55
よぉし、臨賀を荒らすぜぇ…!
官兵サマが来る前に分捕るだけ分捕れェ!
607白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 14:50:21
また山賊だと・・・!
臨賀の緑甲軍3000で鎮圧させよ。
率いる将は金昌雄でよい。
まったく・・・。頭が痛い。
山賊どもめ、いつかは根だやしにしてやろうとは思うのだけどいい策がない。
とりあえずはそのときそのとき対策を講じるしかないか・・・。

おい、山賊の本拠地を調べてまいれ!

【山賊の本拠地を探る密偵が派遣されました】
608蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 14:57:30
【南詔・蒙舎州】

蒙鐸粲「平和だ。」
大臣  「ですな。」
蒙鐸粲「しかし、周辺諸国の状況はどうだ。」
大臣  「そうですな・・・」
蕭衡  「陛下、薛勒様申し上げます。」
蒙鐸粲「うぬ、申してみよ。」
蕭衡  「ハハ、大秦婆羅門より隊商が麗水へ参ったとの事です。」
蒙鐸粲「そうか、それは誠によい知らせ。」
      「麗水節度使にしっかり保護してやるように伝えよ。」
蕭衡  「ハハ」
薛勒  「大秦婆羅門といいますと、麗水のさらに西の果てですな。」
蒙鐸粲「うぬ、あの果ての果てに印度がある。」
薛勒  「遥々我が国まで交易とは・・・恐れ入りますな。」
蒙鐸粲「うぬ。商人は強い。我らも見習わねばならぬ。」
      「しかし呉国はどうだ?少しは平穏となったのか?」
薛勒  「その件で御座いますが、商人らの話では布告が弱まったとの事。」
蒙鐸粲「ほぉ。」
薛勒  「江南の大商人らの反対により国家による統制ではなく中小商人に任せる事になったとか。」
蒙鐸粲「ふむ。」
薛勒  「ただ実際の効果は分かりかねますな。中小の商人は大商人に隷属しておりますから。」
蒙鐸粲「まだまだ見通し不明か。」
薛勒  「それより広州、いや嶺南道や江南道でも賊が暴れているとか。」
蒙鐸粲「ほぅ。その方が重要だな。」
薛勒  「左様で御座います。何より嶺南道は直近で御座いますからな。」
     「周囲には皇族の零陵公が封ぜられておりますが・・・あまりに若く実力は分かりかねますからな。」
蒙鐸粲「ふぬ。確か零陵公は桂管、襄陽公は山南東道だったはずだ。」
      「一度使者でも立ててみるか。」
薛勒  「そうですな。特に零陵公とは交易・軍事両面で連携したい所。」
蒙鐸粲「うぬ。」
609南詔家臣:2010/05/05(水) 15:04:53
>>608
失礼致します
どうも我が国の領土云々の情報が分かりにくいので
一度解説して頂けませんか
また、地図も中華全土の地図の中で範囲を示して頂きとうございます
610李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/05(水) 15:21:08
>>607
>>608
チィッ… 本格的に来やがったかッ。
それにどうも臭ぇんだよな。近頃、俺達の周りで何やらコソコソ嗅ぎ回ってる奴等がいる。

あーあ、そろそろ此処も潮時かねぇ。
良いエサ場だったのによ……

おぉうテメエ等、聞いたかッ!
今夜にでも出発だ! 此処を出て、南行くぞ南ッ!


(南詔)

ッヒャァァァーッハッハッハァ!

そこの隊商、命が惜しけりゃ、運んでるモン全部渡しやがれェ!
611蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 15:45:36
【南詔・蒙舎州】

蕭衡  「陛下、臣曰く>>609との事。」
蒙鐸粲「ふぬ。」
薛勒  「そう言えば六詔統一後の地図等は公開しておりませんでしたな。」
蒙鐸粲「我が臣すら国土の状況が分からないのは大きな問題。」
      「至急新たな地図を作れ。」
一同  「ハハ、仰せのままに。」

・・・数日後・・・

蕭衡  「陛下、地図が完成したとの事。」
蒙鐸粲「そうか、ご苦労。」
蕭衡  「当国のみならず商人を駆使し呉国の地図も一部使いました。」
薛勒  「これで越境してくる賊徒対策も楽になりますの。」
蒙鐸粲「うぬ、」

南詔全図 http://www.zrcx.com/Article/UploadPic/200610/20061016081431691.jpg
中華全図 http://www.zrcx.com/Article/UploadPic/200610/20061016081004378.jpg
大陸全図 http://www.zrcx.com/Article/UploadPic/200610/20061016080952763.jpg

蒙鐸粲「しかし混乱の最中とはいえ呉国は広い。」
      「北に控える吐蕃も脅威だ。」
薛勒  「我らもうかうかしてはおれませんぞ。」


**地図借用してきました。
  時代背景が唐との事だったので唐の地図です。
  三国時代等に照らし合わせると益州南部三郡(永昌・雲南・建寧)あたりが国土になります。
612白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 15:51:45
>>608
側近「南詔という国から使者が来ております。」

なに?南詔から・・・。
なんのようだろうか・・・。
まあ良い、通せ!


はるか南の国からご苦労様です。
どうぞゆっくりしていってくれ。
おい、水を飲ませてやりなさい。

ところで何のようでしょうか?
(使者が水を飲み終わったのを見て、その後聞く)
613蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 17:02:29
【南詔・蒙舎州】
>>610

急使  「陛下、申し上げます!賊徒が越境し通海府へ入り暴れているとの事です!」
薛勒  「なんと!」
蒙鐸粲「そうか、すぐに鎮圧させろ。」
薛勒  「通海都督は蒙章様でしたな。」
蒙鐸粲「奴に任せれば問題は無いだろう。」


【通海都督府】

蒙章  「賊徒が呉国より侵入したらしいな。」
長史  「その様で。」
蒙章  「どんな奴らだ?」
長史  「どうやら食い潰れた山賊のようで。」
蒙章  「山賊か、まぁいい。3万も出せばいいだろう。
     「さっさと片付けるぞ。」
長史  「ヘイ。」


蒙章ら3万の兵が鎮圧にあたりました。


【零陵国・零陵】
>>612

使者  「面会頂き誠に感謝致します。我が名は江輅、この度は我が君蒙鐸粲の命にて参りました。
     我が南詔と貴国はもっとも近くにあり。我が君は貴君(零陵公)と誼を通じたく思っております。
     そして両国の発展の為、互いに協力し合う事を望んでおります。
     特に我が君は貴国と我が国の間の通商全般と、呉国からの賊徒の侵入と呉国内の乱れに、
     強い関心を思っており、二つの面で貴国との連携を望み、また貴君の考えを知りたく思っております。」
614白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 17:43:12
>>613
ほう、私と誼を通じたいと?
別にかまいません。共に発展していきましょう。
そして、通商全般、軍事での協力も認めましょう。

私の考え・・・。
それは、呉国の陛下を支えこの世を平和にしていくことです。
鐸粲殿にも協力していただきたい。

とりあえず、賊徒を共に殲滅しましょうと鐸粲殿にお伝えください。
必要に応じて、援軍も出しましょう。

615蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 18:14:01
【南詔・通海都督府】

蒙章  「賊徒共はどうだ?」
長史  「ヘイ、さすがに3万の兵とならば引きつつあり呉国との境へ追いやりましたぞ。」
蒙章  「そうか、奴らが再度来るならば叩く。」
     「それまで陣を張り様子を見る。」
長史  「ヘイ。」


【零陵国・零陵】
>>614

江輅  「そうですかそうですか。それは良かった良かった。」
     「我が君もきっとお喜びになります。」
     「私もいい知らせを持ち帰ることができて一安心で御座います。」
     「しかし、貴君のような者がいるのであれば呉国もまだまだ大丈夫のようですね。」
     「地方は荒れ、民は困窮し、役人は腐敗し、乱が頻発する。」
     「そんな地にも国と君に対し忠義を誓い、賊徒におびえる事無く立ち向かう者がいるのであれば、
     まだまだ死に体とは言いませんからな。」


616白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 18:23:26
>>615
こちらもうれしいよ。
貴君らのような優秀な方々と協力できて。
それほどでもないよ。
私の取り柄といえば陛下への忠誠心だけだしね。
正直、呉も末期かもしれない。
だがね、私は呉をしっかり守るつもりだよ。
それができなかったときは国とともに滅びる。
それが私の使命だからね。

それと貴公の君主殿に賊を挟み撃ちにする策を提案してみてくれ。
零陵の白風悠からってね。
617李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/05(水) 19:20:53
>>613
(南詔)

こいつぁすげえ。香木に、書物…
漢土じゃ手に入らねぇモノばっかりだ。
コイツを売ればその筋じゃあ偉い金になるな。

…へぇ。王サマが慌てて兵を出して来やがったかい。

で、数は幾らだ?
3万…? 3万ねぇ…

クックックックック……

ッヒャアァァァーッハッハッハッハッハァ!!!

こいつは傑作だ!
200を片付けるのに、3万とはァ!

見えるぜ。怯えてガタガタ震える王サマの姿がよぉ…

そうだ、もっとだ。もっと震えやがれ…
この“李徐泰”の名になぁッ!!


おぉい、呉錫!
南詔の街に偽報は送ったかぁ!?

「ぬかりねぇ、小兄ぃ。奴らのトコには、俺達が
 『3万の兵に押されて引きつつあり、呉国との境へ追いやられた』(>>615)って伝わってるハズだぜ」

クククッ… 滑稽な事だなぁ?
日々生きる為の略奪と殺戮をしてる俺達が、軍隊サマとぶつかる道を選ぶモンかよ。

軍隊サマが来た頃にゃ、俺達は闇に紛れて逃げちまってる。
追いかけっこを楽しもうぜぇ、王サマよぉ…
618劉敦@白風悠家臣 ◆JIsvOprbII :2010/05/05(水) 19:33:13
>>616
主公、他国の者に「呉は末期」だなどと・・・
不用意な言は謹まれよ
それで付け入られたらどうなさる

(やはりまだ未熟・・・)
619白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 19:39:46
>>618
ごめん、ごめん・・・。
こんな縁起もないことを皇族が言っていてはだめだ。
前言撤回ッ!!!
毎日帝國のためにがんばるぞ!
620蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 19:40:27
【零陵国・零陵】
>>616

江輅  「そうですか。貴君の国に殉ずる覚悟がおありのようだ。」
     「そのような志をもった者がいると知ることができたのも
     大きな成果と言えます。」
     「しかし、我ら華の果てから華を見続けた民として一つ。」
     「華が三国に別れ覇権を争った頃が御座いましたが、
     かの時代の後、全ての王朝は皇帝の猜疑心と宗族の
     欲によって国が傾き滅びております。」
     「貴君はまだ若い。政も人心も臣もわからないことは多
     いでしょう。」
     「だからこその強い信念も汚れなき志もある。」
     「ただ時として国を思い民を思うのであれば立ち上がら
     ねばなら無いこともある。」
     「凡庸で暗愚な皇帝は国の為にならないが、暴虐な皇帝
     は害にしかならない。そのような時にも見の保身のため
     の忠義を払うのは果たして天が望むのか、とね。」
     「そしてまたそれは時を間違えると単なる暗愚な戦いにも
     なる。」
     「尽くす忠義だけではなく時として覇を唱える事も民の為
     になることは覚えておくとよいでしょう。そして常に時勢を
     読み臣民の思いを読むことを。」
     「幸いな事に我が国はまだまだ未熟。それほどの混乱は
     ありませんが、我らとしても貴君ら華の民と国より学んだ
     一つの知識です。」
     「それでは私はそろそろ失礼致します。」
     「多忙な時期にお時間を頂き心より感謝致します。」
     「そして今後とも両国の平和と繁栄の為宜しくお願い致し
     ます。」

江輅は退室しました。

副使  「江大使、次は如何致しますか?」
江輅  「折角だ、若き王のもう一つの領地をみてみよう。」
副使  「賀州(臨賀)ですな。」
江輅  「あぁ、賊徒が暴れた地でもあるからね。」
     「しかしいくら広大な領土では強大になるとはいえ、皇族
     の封地を別の道にばらばらに置くとはね・・・」
     「この国の最大の敵は皇族内の相互不信だろうね。」
副使  「難しい問題ではありますからな。」

江一行は賀州(臨賀)へ向かいました。
(永州(零陵)は江南西道(湖南観察使)に賀州(臨賀)は嶺南道(桂管観察使)に属します
(もし隣接して領有してるなら次書くときからそうしますんでOKです。
621白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/05(水) 19:47:52
>>620
ふむ・・・。
陛下は暗愚でもないし、暴虐でもない良い方だよ。
私に良くしてくれるし、民のことを常に考えている。
そういうお方なんだ。
覇を唱えること・・・。少なくとも陛下の治世の間にはしないな。
陛下は、とてもよい帝だと私は思っている。

私にとっても君との会話は為になった。
また機会があったら話をしよう。
じゃあ、また。

(すいません無知で。三国時代の郡を参照にしたので隣接しているということでお願いします)
622蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 21:14:54
【南詔・通海都督府】
>>617

蒙章  「賊徒共はどうだ?」
長史  「ヘイ、奴らでございますが、ここ数週間で色々と分かってきましたぞ。」
蒙章  「そうか。」
副官  「蒙都督、爨長史、報告致します!」
     「奴らの大将は李徐泰。兵力は200程度。」
     「奴らは国境の部落や商人を襲い物資を強奪しているとの事。」
     我らが討伐に向かうと呉国側へ逃亡する、というイタチゴッコで御座います。」
爨懋  「それで丁殿、民や商人に被害は?」
丁宝  「今のところ大きな被害の報告はありません。」
     民にしろ商人にしろ賊徒に物資を渡しては逃げおおせているようです。」
蒙章  「ならば良い。」
     「しかしこれでどれくらいになる?」
爨懋  「ヘイ、もう一月はゆうに経ったかと。」
丁宝  「被害は数十に上ります。」
爨懋  「奪った物資はどうしているのだ?」
丁宝  「どうやら奴らは安南や容州などで転売しているようです。」
     「なかでも安南は地理的に近く、交易も盛んな所ですから第一の捌き先との事。」
     「そこから他国の品として偽装し舟で広州へと送られているとの事。」
爨懋  「まさに商売というわけだ。」
丁宝  「ええ、爨長史の言うとおりです。」
     「呉国では珍重される物も多くかなり旨みがあるとの事。」
蒙章  「なるほどな。」
丁宝  「どうやら蒙都督のお考えになられたとおりの結果でしたな。」
爨懋  「となると、やはりそうか。」
蒙章  「そろそろ方針転換が必要だな。」
     「よし、叔父、いや王に使者を立てよ。」
爨懋  「ヘイ!」


【南詔・蒙舎州】

蕭衡  「陛下、蒙章様より使者が。」
蒙鐸粲「何。通せ。」

使者  「陛下、どうやら賊徒どもは安南や容州を基盤に活動しているようです。」
     「奴らは略奪品を引き込んだ商人どもに売り、商人はそれを転売して
     暴利を稼ぎ、さらには役所の官たちも賄賂で潤っているとの事。」
     「そこで奴らを徹底的に叩く為に陛下にも助力をして欲しく参りました。」
蒙鐸粲「そうか、ならば蒙章のみに任せてはおけん。」
      「ケ遂、阮薦の二将軍と7万の兵を送る。」
     「蒙章によろしく伝えよ!」
使者  「ハハ、有難き幸せ!」


ケ遂、阮薦率いる7万の兵が通海都督府へ合流
>>621 いえ地方は三国ベースとの事ですから問題ないです。
(ただ南詔自体が唐の時代の国なので地図参照すると差異が生じてしまい
(むしろ確認せずすいませんでした。
623蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 21:24:13
【南詔・通海都督府】
>>617

急使  「蒙都督!都からケ大将と阮大将と7万の兵が参りましたぞ。」
蒙章  「そうか、両大将が参られたか、直ぐに通せ。」

ケ遂  「これはこれは蒙都督。お久しぶりです。」
阮薦  「お元気な様子でなによりでじゃ。」
蒙章  「いやいや両大将こそ相変わらずで。」
ケ遂  「ワシは白髪になってしまったがな。」
阮薦  「そう嘆くもんじゃないぞ。禿げるよりはましじゃろ。」
蒙章  「時には勝てませんからな。」
一同  「はっはっは」
爨懋  「で、ですね。」
一同  「うむ。」
爨懋  「本題で御座いますが、敵は李徐泰、兵力は200程度。」
     「拠点は国境で御座いますが、我が国で略奪し安南などで捌いているようです。」
阮薦  「なるほど、呉国側に協力者がいるわけじゃな。」
蒙章  「そのように思われます。」
丁宝  「この期間、実際に奴らに兵をつけましたが、呉国側で討伐はさておりません。」
ケ遂  「黙認か、討伐する力も無いか。」
丁宝  「商売として商人も介在しております。」
     「そこそこの数の武装者が自由に闊歩できるわけですから何らかの接点はあるかと。」
蒙章  「あろうがなかろうが敵には変わらず、また助長しているのも同罪だ。」
一同  「うぬ。」
阮薦  「してどの様に攻め込むのじゃ?」
丁宝  「ハハ、安南は目と鼻の先、まず交州(龍編)を落とし続いて峰州(新興郡臨西)、愛州(九真郡)と落とせば宜しいかと。」
     「民は越人ですから収奪に対し反乱が度々起きておりますし大きな障害はありません。」
蒙章  「ならば、その方向で進める。」
一同  「おう!」

南詔軍10万が安南へ攻め込み道中で目立った抵抗もなく交州に進軍。
さらに越人の豪族らが蜂起し愛州を制圧しさらに南下。
624碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/05(水) 22:52:57
(参考レス>>538
「あらっ、慶雲、一体何処へ行っていたの?」
仕事中――忙しく布地を広げる螺春の肩へ、散歩から戻って来た幼竜が
くぅ〜〜、と啼きつつそっと止まる。
人の子には聞こえない、螺春の人語ならぬ言の葉で問われても、慶雲、と
名付けられた幼い風竜はさして気にした様子もなく、口から円い雲をぽかり、
ぽかりと吐いて寛いでいるばかりだ。
螺春は思わずくすり、と笑うと、
「幼いとはいえ一日に五十里をも走れると謂われる貴方の事だから心配無いと
思うけれど、迷子にはならないでね」
と優しく語り掛ける。

(風精様が預けて下さったこの子だから、大事にしなくちゃ…)
625 ◆Enju.swKJU :2010/05/05(水) 23:03:24
>>623
>呉国側で討伐はさておりません。

【いえ、黙認でも、力が無いということでもなく】
【零陵公に討伐に当たってもらう、というのが方針のつもりでした】
【目の前の賊討伐は現地に封じた皇族に指揮を執らせ】
【帝国政府は根幹を断つべく改革の五法を……ということです】
626白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/05(水) 23:33:48
>>624
螺春の語りかけを聞いてか聞かずか、幼竜はんん、と目を細めて安らかな様子だ。
彼は彼女のことが気に入ったらしい。
彼女の人語ならぬ言の葉は、心に穏やかな調和を呼ぶ調子を持っていた。
大切にされている。彼はそれを感じていた。


「…心配になって覗いてみれば、随分と懐いてるじゃあないか」

遥か上の方で、莞爾と微笑むのは風精だ。

「慶雲か。佳い名前をもらったものさねえ。」
「あれも可哀相な身の上なのさ。拾ってやったものの、あたしじゃあ持て余すばかり。」
「いやあ、嬢ちゃんに預けられてよかったよかった。」

「碧螺春、かい。……なかなか大変な子だけど、『選ばれた』だけはあるのかねぇ。」
「まぁ しっかりおやり。少しずつだが、変わってきてる筈だよ。色々ね。」

「慶雲を預かってもらったお返しは、見えないところでちゃんとさせてもらおうね。」

「さぁて。それじゃあ、こっちは今んとこ心配なさそうだ。」
「あたしはそろそろ、行くかねえ。」
627蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/05(水) 23:39:25
>>625
それは失礼致しました。
それでは

>呉国側で討伐はさておりません

この項を

呉国側では目立った掃討といえるような動きは見られず、実際の効果も上がっていないと言えます。

と置き換えさせて頂きます。

趣旨としては
対策は行われているのかもしれないが、目だってそのようには見えず、また奴らにも変化はなく
その成果は上がっていない
というような意味合いで
628 ◆Enju.swKJU :2010/05/05(水) 23:41:55
>>627
【こちらこそ失礼いたしました。】
【了解です、ありがとうございます。】
629朱日昊 ◆vFI55n.9TIA0 :2010/05/05(水) 23:54:52
【建康・朱家軍本陣】
朱日昊「薛才人、焦景栄、左匡輝の暗殺はどうなっている?」
闖忠弘「はい、京師の懿材殿からは何の報告もありません。」
朱日昊「そうか。ではもうしばらく待つとしよう。」
闖忠弘「…日昊様、懿材殿にこのような大事を一任していて大丈夫なのでしょうか?」
      「日昊様の理想と懿材殿の野望は目的と手段が全く違います。」
      「ここは我らが単独で動いたほうが宜しいのではないでしょうか。」
朱日昊「忠弘の心配はよくわかる。」
      「だが懿材の宮中工作の成果は素晴らしいものだ。」
      「おそらく朱家軍であれほどの成果を挙げられる者はおるまい。」
      「しかし忠弘の考えを無視するわけにはいくまい。」
      「京師へ四天王の金巨山と清恵礼を潜らせることとしよう。」
闖忠弘「金巨山はかつて京師で棒術師範をやっていたとか。」
      「今でも知己の者が多く京師にはいることでしょう。」
      「また清恵礼は寡黙で無用なことは日昊様や父母にさえ一切喋らぬ性格。」
      「潜伏工作にはもってこいの人選、さすがは日昊様。」

(朱家軍四天王の金巨山・清恵礼、京師に潜伏中!)
630碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/06(木) 00:35:33
>>589
螺春がふっとまだ見ぬ皇帝陛下の人柄及び資質へと思いを馳せた丁度その時、

「ごめんねー、紫絲一巻きー」

颯爽として清冽な容姿、そしてその容貌に削ぐわぬ程にお茶目な物腰の
闖入者が突然現れた。
(まあ…)
着てらっしゃる服と、対処している尚服局の人々の態度で朧気に分かる、
この方こそ皇帝・白牡丹様だ。
(麗貌も宛ら、人の子にしては神仙の気の様なものが強く感じられる…)

皇帝の口から紫絲が必要だ、と聞いた女官達が俄に色めき立つ。
「んまっ、それでは私(ワタクシ)が」
「お待ち下さいまし、わたくしが…!」
積極的な女官達は、我こそが皇帝陛下に近付こうと争い始める。
螺春は最後列からその様を眺めているばかりだ。
「静かにおし!」
上役の女官が両の手を強く叩いて女官達を正気に帰らせる。
彼女は皇帝陛下に恭しく一礼すると、
「陛下、今持たせて参りますので暫し御待ちを」
年配の古株の女官に糸を持って来る様に指示する。
その間、螺春は無礼な事と知りつつも皇帝陛下を凝視してしまった。
すると、不意に皇帝陛下もこちらを見た気がして、螺春は慌てて下を向いた…。

くわぁああぁん〜〜

肩の白竜が暢気に欠伸をして皇帝陛下にふわりふわりと寄っていったのにも
気付かなかった。
631白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 00:36:48
>>630
ありがとう、「おばあちゃん」。

(真心からの慈しみと優しい尊敬を込め、年配の女官に笑みを向ける白牡丹。)

今年、故里に下がるんだってね。
寂しくなるよ。小さい時から知ってるもの。今まで、本当にありがとうね。

(紫絲を受け取る時、彼は彼女の皺々の手を両手で包んだ。彼女の手は、彼が生涯の中で触れた
 多くの衣類を紡いできた。誰よりも精緻に、誰よりも真心を込めて服を作った。
 垂楊と同じく、人は老いるもの。彼女を見ると、慈しみと同時に寂寞を感じるのだ。)

ん、

(ふと、若い女官達の色めく視線に混じって、気色の異なる視線を感じる)

──人の子にしては、清澄な気が強いな。そして、肩にいる、あの……

(彼女は、すぐに目を逸らして下を向いてしまったが。
 奇しくも彼女が持ったのと同じ印象を、彼も彼女に対して抱いた。)


くわぁああぁん〜〜


くすっ。
(お前、雲みたいだな。おいでおいでっ!)

(幼き白竜は、そのまま白牡丹の肩に止まって欠伸をしている。)

(彼女に、この竜が見えているのかな。もし見えているなら、それって、大切なことだよ。)

(再び、彼女と目が合った。驚いている。見えているんだね。皇帝は、ふっと笑って彼女に目配せした。
 この場で話しかけて竜を返すのは、あまりよくない。女官というのは、家族のようなものだ。
 しかしその「家族」は、嫉妬によって容易く崩壊する。そして自分の振る舞いは嫉妬の原因となることを、
 白牡丹はよく知っていた。)

それじゃあ、絲、本当にありがとうねっ! 作業頑張ってねっ!

(全員に笑いかけ、最後に螺春に目配せをすると、白牡丹は竜を肩に乗せたまま出て行った。)


─その夜─

くぅぅん…

(風の良い夜だ。風を取り入れるため開かれた螺春たちの室の窓から、慶雲は帰ってきた。
 彼は背中に銀色の手鏡を乗せていた。
 鏡は物質だから、下手をすれば同室の女官にばれてしまう。
 賢い慶雲は、彼女達が寝静まるのを見計らって入ってきたのだ。)

くぅぅ〜…

(慶雲は鏡を差し出し、次いで貌で螺春の懐を示す。鏡を懐に入れるよう促しているのだ。
 鏡を懐に入れて心を安らかにし、お告げを聞く。『鏡聴』である。)

(彼女がそれに従うとき、このような言葉が聴こえるだろう)


『これから、太液池まで忍んできて下さい』
632蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/06(木) 00:44:29
【呉国・零陵公国・臨賀】

副使  「ここが賀州で御座いますか。」
江輅  「のようですね。」
副使  「確かに、賊徒が暴れまわった傷跡は大きいようだ。」
     「道中の話ではあの零陵公も襲われたとの話。」
     「こいつは本当に呉国は力を失いつつあるのかもしれませんな。」
江輅  「しかし賀州の民はそれほど死んだ顔のものはいないですね。」
副使  「ええ。」
     「話してみれば皆民は零陵公や呉帝の事を信じているようですからな。」
江輅  「まだ若いが治世はうまくいっているようですね。」
     「しかし、零陵公の封土は永州(零陵)と賀州との話でしたが、
     実際には陸続きでしたね。」
副使  「きっと中心地が居を構える永州と南の賀州という事だったんでしょう。
     だが、確かにこうしてみると意外と封土は大きいですな。」
江輅  「さすがは大呉帝国の皇族様ということでしょうね。」
     「しかし、彼の話はしっかり陛下に伝えなければなりませんね。」
副使  「そうですな。」

*南詔の使節は帰国中


【安南・交州】

蒙章  「して役人どもはどこだ?」
丁宝  「主だった者達は我らが安南に入る前に逃亡したとの事。」
ケ遂  「まさか一戦も交える事無く交州に入城できるとは思わんじゃった。」
蒙章  「確かに。」
阮薦  「これも皆交州の民の協力があってこそだ。」
丁宝  「ええ、既に我らが安南に入った頃には愛州(九真郡)が反乱によって陥落、
     今ではさらに最南端の唐林州まで越人の反乱の手に落ちましたとの事。」
爨懋  「北部・東部の諸州も主だった役人は逃亡し残った兵士や下級役人も順々
     と降伏しております。」
蒙章  「そうか。」
ケ遂  「それで奴らの賊徒の対策はどうであったのじゃ?」
丁宝  「それなのですが、主だった者が逃亡した今、詳細を知るものがほとんど
     おりませんのでハッキリとは申し上げれませんが。」
     「どうやら、残った者や民の話では賊の討伐よりも越人の討伐が優先され
     中には賊と手を結んでいたものもいたとの事。」
阮薦  「なるほど、予想通りではないか。」
丁宝  「しかし、下級役人の中には心苦しく思い討伐に当たっていた尉もおり、
     住民は自警団を作って自衛していたようです。」
     「それと、北部、東部の投降した役人の話では、一向に変わらない現状に
     対し呉帝自らが永州に封ぜられた皇族に鎮圧に命じたとの事で、どうやら
     その皇族が封土の賊徒の討伐と復興を行っている間に我らが打ち倒した
     格好になったとの事。」
ケ遂  「それでは、皇帝の耳に入るほどこの地の役人どもは動かなかったという
     わけじゃな。」
爨懋  「しかし討伐を任された零陵公は嶺南を一手に振られた訳ですから手一杯
     だった事でしょうし、今回の件は怠慢とはいえないでしょうな。」
阮薦  「しかし広大な土地を占領した格好になったがどうするのだ?」
丁宝  「それですが、越人達の反漢人意識は凄く、漢人からの解放を皆一様に喜
     んで蒙章様へ帰属を願い出る豪族も出てきておるとの事。」
蒙章  「ふぬ。とりあえずだ。当面は我らが駐屯し治安の維持を行い軍はこれ以上進軍しない。」
     「当地の民は南詔の民と同じく扱い、略奪や暴行は一切認めん。」
一同  「ハハ」

安南経略使の領域を南詔軍が征服しました
633 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 00:56:02
そろそろ、容量500KBが近づいてきましたね。
次スレを立てる時期が近づいています。
まだあと15〜20KBありますが、もう少しレスが付いたら立てましょう。
もし私が不在、あるいは立てられなかったら、以下のテンプレでお願いします。(ちょっと改変しました。)

----

ここではない場所、いまではない時に
ひとつの王朝が興りました。

その王朝の名は呉帝国。
建てたのは、鮮卑族の出の将軍でした。
彼の開明的な視野と政策は、長期に亘る泰平を創出しました。
しかし万物は流転するもの。
統一から二六〇年の後、太祖以来の名君・叡宗の後を継いだのは、
まだ年若い皇帝でした。
彼の治世に、権臣は賄賂を扱い、政治は弛緩、
その綻びはとうとう戦乱という形で噴出しました。

稀有の人材を登用し、帝国の中興を図る皇帝。
野心と次代への思いを胸に、剣を抱く英雄。
そして、人間がこの地上に生を繋いで良い生き物かどうか、
その資質を試す神々と精霊。

それぞれの思いは交錯し、広大な中つ国の歴史は紡がれてゆくのです……。

----

このスレは、仮想中国史なりきりスレです。
皇帝から吏僚、軍閥、思想家、庶民、はたまた神々に精霊。
あらゆる立場で参加することができます。
大まかな時代背景や官制は唐朝後期を想定しています。


【前スレ】
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/nanminhis/1261757311/

【規制時の代行依頼スレ】
PC用
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9102/1272365399/l50
携帯用
http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/study/9102/1272365399/


※初参加時テンプレ(推奨)
【姓】
【名】
【字】
【身分】
【品階】
【官職】
【備考】
634名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/06(木) 01:18:27
クソッ、アンジェめ。命数が伸びたことを神に感謝するんだな!
635名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/06(木) 01:27:28
「白牡丹は馬鹿だ!白牡丹は馬鹿だ!」
週末の広陵の大通りを一人の農民が大声で叫びながら走り抜けた。
農民は逮捕され、裁判の結果懲役25年を言い渡された。
1年分の罪状は侮辱罪、もう24年分の罪状は国家機密漏洩罪だった。
636白風悠 ◆7VdsgQfXAw :2010/05/06(木) 06:59:00
>>625
陛下から、山賊征伐の命が下った。
緑甲軍はどれくらいいる?

楊師候「40000ほどかと・・・・。」

ずいぶん増えたな。これで賊も討伐できよう。
孫応尋、7000の兵をもち鎮圧してきてくれ。
臨賀城に入って対策を練ってもいいし、ここからそのまま討伐でもいいよ。
とにかく頼むよ。
637白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/05/06(木) 12:17:08
>>514
【長江南岸】

鄭文秀「おお、あいつなかなかやるじゃねぇか!」
      「昼夜ぶっ通しで走った次の日に長江を泳いで渡るなんて俺でもきついってのに」
      「殿下、あいつにお言葉と褒美を賜ってやったらどうです?」
張峰庵「若、信賞必罰は君子の務め」
      「さあ、このような苦行を見事乗り越えた勇者にお言葉を」

そうだね、では少し彼と話をしてみよう
峰庵と文秀はここに残って二番手以降の者たちを整列させていてくれ

(単敬徳に歩み寄り)
君の名を教えてくれないか?・・・そう、単敬福というのか
敬福、君はなぜ白獅義従の兵に志願したんだ?
・・・いや、少しだけ気になってね
638白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 16:12:29
>>637
自信満々に歩み出る単敬徳。

「しからば、『嘘を吐かぬ』のが白獅義従の軍規ですから、正直に申し上げます。」

「如何なる職種であれ、自らの能力を遺憾なく発揮できる職こそ、士の求むる所。」
「上司が属僚を選ぶように、今は属僚とて上司を選ぶのです。」

「目下、白獅義従は帝国の精鋭ならんと志高き様子!」
「そういう場所に居らねば、人間は緊張感を失うてしまいます。」

「敢えて申しましょう。この単敬徳、上将の仰せ通り『長江を泳いで渡り』ましたが、
 その全工程を泳いではおりませぬ。」

「与えられた一日を、商船の日取りと出着場所の把握に費やし、肉体の疲労を抑える一助と致しました。」

「さあ、上将はどうなさる?」
「皆が注目しておりますぞ。」

「敬徳を斬れば、全員一致して忠君愛国に燃える鉄の軍隊だが、画一的で研鑽に欠けるというのが
 白獅義従の目指す方針となりましょう。」

「敬徳を許せば、清濁併せ呑んでしまいこそすれ、各人が柔軟に己の持つ能力を活かし
 またそれぞれの『個性』を発揮できる軍隊が方針となりましょう。」

(個性。無論、この時代にも、いや遥か昔の時代にも個性の存在に気付いた者はいた。
 しかし、それは圧倒的少数であり、社会全体にとって個など存在しないというのが前近代の通念だった。
 敬徳はその「個」というものを持ち出したのだ。)
639白暁獅 ◆LEO/C6kwuU :2010/05/06(木) 19:28:35
>>638
ふふふ、ははは、あーはっはっはっは!

(突然大笑いしだした白暁獅に居並ぶ将兵たちは怪訝な顔をする)
・・・いや、すまない
敬徳、君は実に面白い男だ
まさか途中まで船に乗ってくるとは、いやはや、私だけでなくそこの峰庵や文秀も想像していなかった
実に素晴らしい発想だが、しかし君をここで報奨しては他の兵たちに示しがつかないのだ
・・・私は君を斬るような不粋な真似はしない
だが君には白獅義従の兵卒という名誉ある職はふさわしくないので残念だが解雇させてもらうよ

鄭文秀「お、おいおい殿下!そりゃちょっと違うんじゃないですかい?」
      「そりゃまあ、俺がこいつの同僚だったら一発殴らにゃ気は済まねぇけど・・・」
張峰庵「若、確かにこの者は長江を全て泳いで渡ったわけではありません」
      「それは武人にとっては卑怯かもしれませんが、素晴らしい智慧者ではありませんか」

・・・ああ、まったくその通りだよ
敬徳、君のような者が兵卒の中にいたとは私にとっても驚きだ
繰り返すが、君は白獅義従の兵にはふさわしくない
・・・だが、私と白獅義従の参謀にはうってつけの人材だ
いずれ我々は大呉帝国の剣として盾として、この中華を駆け回ることになるだろう
その過程で多くの兵が戦地に斃れることになる・・・
しかし、将の努力次第でその犠牲を最小限に留めることは可能なんだ
自らの体力を消耗しないように君は努力し、実際それを成功させた
今度はこの優秀かつ忠実な兵たちからなる白獅義従を消耗させないために努力してくれないか?

単敬徳、我々には君の智慧が必要なんだ
陛下のため、帝国のため、そして何より天下万民のため、白獅義従の参謀になってくれ!
(白暁獅は単敬徳に深々と頭を下げる)
640白呈春 ◆HI17hraKmDw5 :2010/05/06(木) 23:15:29
>>605

白呈春「昌谷公主――」

(昌谷公主の名を口にすると白呈春は、皇帝をしばし見つめ己の薄い唇に長い指を置いた。
真っ先に浮かんだのは白呈春自身であった。だが、白呈春と皇帝ではあまりに外見が違いすぎる。
では、皇帝の実弟・如月か? 如月の影武者を白呈春が務めることはできても、皇帝の影武者を
白呈春が勤めることができぬように白如月と皇帝も外見と醸し出す雰囲気に類似点がなかった。
それに皇帝が指摘した点が気に掛かっていた)

白呈春「昌谷公主でよろしいのですね」

(昌谷公主は皇帝の生母である皇后から生まれた姫君で皇帝と趣味嗜好、声音何から何まで似ていた。
探し出す必要など端からなかったのだ)
641碧螺春 ◇ZRvclcf//A:2010/05/06(木) 23:29:48
>>626
螺春は不意に、微かに渦巻く様な風の流れの気配を感じて頭上を見上げる。
だが其処には、尚服局内に在る仕事場の天井が在るばかりだ。
でも、これは――。
全然嫌な気配では無い、寧ろ懐かしい様な。
この目で確かめて見たい――螺春の意識が其方に動く。すると、ふっと気配は
消えてしまった。

もしかして――風精さん?

その気になれば天井をもすり抜けられる彼女だが、
「風精さんに挨拶出来ずに申し訳無いけれど、今はお仕事に専念しなくては……」
僅かに汗ばむ額の端を手の甲で拭うと、作業を再開した。

>>630
先程まで戯けていた皇帝の真摯な敬愛の念に触れ、年配の女官は涙を
光らせるとそっと己が袖で拭った。
皆の前でこうして顕彰の御言葉を頂き、長年尚服に携わって来たものとして、
名誉もこの上無いだろう。
その様子に貰い泣きをする心優しい女官もいる中、螺春もまた、ほんわりと
暖かい気持ちを覚えた。
だから、再び皇帝陛下と目が会った時は立場を忘れ、先程よりも凝視してしまった。

―まあ、あの子!

ふと皇帝の肩を見ると、慶雲が心地良さそうに欠伸をしている。
――と、
皇帝は肩で雲を吐く幼竜にちらっと眼差しをやったが、何等動ぜず此方に
目配せして来た。

慶雲が見えている!?

まさか…しかし、人の子にも稀では有れど伝わる能力と聞いている。
驚愕を顔に表した螺春に悠然とまた目配せをすると、皇帝は慶雲を肩に
乗せたまま出て行ってしまった。

慶雲ったら……!

どうしようかと思ったが、此処で目立つ様な真似をする訳にも行かない。

―そして、その夜――

「太液池とは…此所で良いのかしら……」
642単敬徳 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 23:31:36
>>639
「それがしを、参謀に…」

兵には向かぬが、参謀には向いている。それゆえ、兵としては解雇し、
改めて参謀として迎えるという。
この粋な計らいに、単敬徳は感じ入った。

「上将、この単敬徳は真に身の置き所を見つけた思いでございます。」
「この勇猛なる白獅義従を、もっともっと強くしてみせたい。」

「どうか、頭をお上げください。」
「それがし、自らお願い申し上げても臣下の列に加えていただき、
 御馬前で力の限り働きたいのです。」

「これよりは軍師の衣:◆bba6.0YO2g を纏い、采配を振るいましょう。」

単敬徳は白獅義従の参謀として遇され、軍略をもって貢献した。
当初、至極当然ながら他の兵達にはやっかまれたが、やがてはその実力を
彼らにも評価されていくことになる。


「ざっと見た所、五千の猛者が此処に立っております。」
「過酷な苦難を物ともせぬ一騎当千の者共が五千でございます。」
「これを軍の中核とすれば、数合わせのためにかき集める多数の兵とて奮い立ち、
 訓練次第で白獅義従に追いつき追い越せとばかりに励むでしょう。」
「さらに我らには、関中、中原、長江中流域を結ぶ要衝・襄陽がある。」
「襄陽府を制する者が、楚を制するのでございます。」
「荊南の白風悠殿下と連携を取り、これをもって江南に一大勢力を築き、陛下の藩屏たり、
 進んでは敵を打ち破り引いては固く守って呉の盾となるが最良の道かと。」
643李畢嵐 ◆OBNJddam46oq :2010/05/06(木) 23:36:26
【京師郊外・薛珠邸】

薛珠「さて、李大人。あれが、娘が孕んだらしい。」
李畢嵐「そのようで。」
薛珠「これでもう――婿も用無しだな。反乱軍に、皇帝派。面倒なものよ。」
李畢嵐「抵抗も天命の前では無駄に過ぎないことが、何れ彼らにもわかる日が来る事でございましょう。」

【礼部尚書・薛珠と宦官・李畢嵐が本格的に皇帝暗殺の計画に向けて動き出す模様です。】
644白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/06(木) 23:53:35
>>640
それなら─

それで決まりだね。
燕王家の庭で誓ったように。社稷の病巣に柳葉刀を突き入れ、摘発する。
これまで、政府は問題があれば微温湯のような対処を取ってきた。
叡宗陛下の治世から、朕の治世にかけて
泰平は揺らぎ、その解れは少しずつ見えてきていた。
景栄から色々な話を聞いて、それがわかった。
だけど、我々は見て見ぬ振りをしていたんだ。
激しい摩擦を生まない、お茶を濁すような対処で問題を先延ばしにしてきた。
もう、それはならない。
どんな痛みが伴おうとも、十年、百年の後に成果を残す改革をせねばならない。
燕王家の庭で決めたことだよ。

助力してくれるね。

それから、汝杏のことだ。
汝杏は、どんな様子なんだい?
この世の中で。
邸の中にいて、歴史を記すことができないのは、
彼にとって幸か、それとも不幸かな。
645白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/07(金) 00:31:10
>>641
【太液池】

──後宮の庭。幾多の文人の筆によって人々が識るその「全貌」は、実物の美質に到底及ばないものであった。

(「ここ」は、外臣の知らざる領域。
 訪なう人を、さやかな夜風が迎える。
 星の光は届かないが、その代わりに翩々と咲く麗花が光を投げかける。
 背筋を凍らせるような白、幽玄の白。)


ごきげんよう、(鶴が羽を休めるように、蕭々として佇んでいた。足音を聞き、振り返って笑みを作り)
さっきまで、慶雲と話していたんだよ。

慶雲はね、親の顔を覚えていないんだ。
それだけじゃない。自分の見てきたもの、食べてきたもの。聴いたもの。逢ったひと。
それを片端から忘れてしまうんだそうだ。
でも、貴女のことは忘れないんだ、と。
貴女のところにきて、まだ日は浅いけれど。その記憶は、水が水瓶に溜まるように失われないのだと。

それを聞くと、朕も嬉しくなって。そして、貴女に逢いたくなった。
さぞかし、驚いただろう。悪かったよ……。

(清澄に揺れる波を眺め)

名前、教えて。(ぽつり、呟くように言う皇帝の鼻腔を、わずかに沈香がくすぐる。)

(急に香を焚き染めた、無作法な香りではない。
 それどころか、この若さで香道の奥義を極めたが如く、自然の花が生きているように香るのだ。
 しかし、そのことについて詮索すまい、と思った。
 女官には複雑な幼年時代を抱き、そしてそれは幸せならぬ思い出であることがままあるのだ。
 ただ、良い香だね、と言った。)
646李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/07(金) 01:49:07
あれから一月。
やりにくくなったモンだぜ。

俺達の正体もやり口も、だんだんと暴かれこのままじゃ丸裸だ。
今を逃せばお縄一直線だろうな。


稼ぐだけ稼いだ。未練は命取りにならぁ。

おぉう、そろそろここを去るぜ。
次は襄陽でも行ってみるかな。
647李徐泰 ◆oDPXp4Tdgc :2010/05/07(金) 02:17:39
エサで釣った役人共に商人共が鼠みてぇに逃げ出すから、
こいつぁヤベェと一緒んなって逃げ遂せた。

嶺南道から江南西道を北上してえが、嶺南道にゃ孫のバケモンが7000連れて来てる(>>636)って話だ。
7000がウロウロしてるってこたぁ、江南西道のお家にゃもっと官兵サマが控えてんだろう。

ここを通るって賭けは、ねぇな。
ちと危ねえが、朗州(武陵)経由で襄陽に向かうとするぜ……
648蒙鐸粲 ◆TAbgaMHQWM :2010/05/07(金) 03:45:51
【南詔・蒙舎州】

蕭衡  「陛下、薛丞相、安南府が陥落したとの事です。」
蒙鐸粲「そうか。」
薛勒  「やけにあっけなかったですな。」
蕭衡  「ええ。蒙都督の報告によると抵抗を受ける事なく交州も陥落したとか。」
薛勒  「矛を交える事なく?」
蕭衡  「ええ、安南府南部は越人の反乱により陥落。」
     「交州を含む中部・北部・東部の諸州は主だった官吏が逃亡。」
     「そのため残った兵士や下級官吏が続々と投降。」
     「結果として戦といえる戦をする事なく安南府全土を掌握したとの事。」
薛勒  「なんとまぁ・・・節度使をはじめ上級官吏らが我先に逃亡するとは、
     思わなかったですな。」
蕭衡  「民の反乱といい、賊徒の発生といい、官吏の腐敗といい、呉国も
     地方から屋台骨が大分痛んでいるようです。」
蒙鐸粲「それで賊徒と官吏らの関連はあったのか?。」
蕭衡  「ええ、それは間違いないとの事です。」
     「我が国で賊が略奪し、それを商人に横流しにする。」
     「商人はそれをさらに広州へ運び転売する。」
     「この利益を賊、商人、官吏で山分けしていたとの事です。」
     「また奴らが逃亡する際に、官吏や商人、さらには衛兵ら兵士どもも
     一緒に逃亡したとの事で、徒党を組んでいたのは確定でしょう。」
薛勒  「地方には方の目が届かず、ですな。」
     「しかし陛下、広大な安南府は如何しますかな?」
蕭衡  「どうやら南部を陥落させた越人豪族らは占領した土地を蒙都督に
     献上し忠誠を誓い王になるように求めたとの事です。」
     「北部、東部の諸州も民衆から官吏まで反発等は起きていないとの
     事ですから我らは受け入れられているようです。」
蒙鐸粲「そうか。」
      「ならば、安南(節度使)府を安南都督府とし蒙章を都督に任じる。」
      「また蒙章を鎮東大将軍・安南公に封ずる。」
      「なお後任の通海都督には蒙典を任じる。」
蕭衡  「ハハ、早速使者を派遣致します。」
蒙鐸粲「うぬ。」


【南詔・蒙舎州・蒙典邸】

家人  「ご主人、陛下からの急使が参られております。」
蒙典  「何、戦の召集か?」
蒙桓  「急使であって、何要かまでは仰って無いでしょう。」
蒙典  「おぉぅ。うっかりうっかり、で、通せ通せ。」

急使  「蒙典様、この度は陛下の名代としてまいりました。」
蒙典  「で、ワシは誰と戦をするのだ?」
急使  「いえ、そういった話ではないのですが・・・」
蒙桓  「お兄様。ここは、黙ってろ。」
蒙典  「おぉぅ。すまぬすまぬ、続けてくれ。」
急使  「コホン、ではですね。蒙典様、これより蒙典様には蒙章様の後任
     として通海都督に任じ、通海府へ入って頂きます。」
蒙典  「何、大将軍とな?」
一同  「・・・」
蒙桓  「・・・ハァ・・・わかりました、と陛下にはお伝え下さい。」
急使  「ハ、ハハ、受任としてご報告させて頂きます。」


*蒙章が鎮東大将軍・安南公・安南都督に封じられました。
  また蒙典が通海都督に任じられました。
649 ◆Enju.swKJU :2010/05/07(金) 07:36:12
>>648
【一人で、空白地の占領を進めることをどれだけ容認するか?】
【というのは、難しい問題だと思っています。】
【少なくとも、これまでの蒙さんのネタを見る限り】
【たった1レスの内に、ご都合主義の展開で】
【あっという間に広大な版図を占領し続け、一大強国になりましたね。】
【ある程度まではいいのですが、「やったもの勝ち」になってしまいますからね。】

>皆さん
次スレを立てられなかったので、>>633のテンプレでどなたか立てていただけると嬉しいです。
650 ◆Enju.swKJU :2010/05/07(金) 07:59:47
【問題は、時間の流れです。】
【他の方に比べて、南詔国周辺だけ時の流れが速すぎるなと。】
【ゲームでいうなら、改造プレイをされているような印象で。】
651名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/07(金) 08:11:50
652白牡丹 ◆Enju.swKJU :2010/05/07(金) 08:22:58
>>651
ありがとうございます!
本当に助かりました。

うーん、なんか感無量。
それでは、次スレでもよろしくお願いいたします。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/07(金) 12:11:24
皇帝陛下万歳!
654名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/07(金) 12:12:45
大呉帝国万歳!
655名無しさん@お腹いっぱい。:2010/05/07(金) 12:15:07
早く戦乱が起こらないかな〜
656名無しさん@お腹いっぱい。
100年規模の戦乱の時代があると面白い
隋→唐や元→明みたいなのはあっけなさすぎる