【どっちが】おれがあいつであいつがおれで【どっち!】
784 :
名無し草:
ゲス声にイラッとして腕を締めると、漫画の悪役みたいな呻き声が上がった。
俺を引き剥がそうと、FBの両手が俺の肩を押す。じゃれついてくる犬の相手をするぐらいの力だ。
負けじとしがみつく。しばし無言の押し問答を続けていると、FBが根負けた。苦しいよ、と笑って、背中に手を回してくる。
その頃には俺も、胴回りのサイズを確かめるために抱き付いたことなんて、すっかり忘れていた。頬をすり寄せて、洗剤の匂いに混ざったFBの匂いを吸い込む。
肺から胸へと満ちる、真綿に沈み込んでいるみたいな心地良さ。
しかし、それがふつふつと、熱を増していく。男というものは、つくづく単純だ。
「…はあー、クソが。」
FBが口端を吊り上げる。
「何い!?」
「ムラムラすんだよ。このハゲ」
伏せていた目を開いて、一気に顔を近付けた。
「…なっ、何…!?」
がぶり、と噛み付くように口を塞ぐ。何か言いたげに動き回る舌を捕まえて、絡めて、逃がさない。
少しずつ大人しくなったFBの胴から腕を離して、ベッドの上へ突き倒した。ずり上がっているTシャツを剥ぎ取る。
「待ッ…あろま!急すぎだろ!お前のスイッチがわかんないよ!」
「俺にもわかんねえわボケ」
上体を起こそうとするFBの上に乗り上げて、見下ろす。焦り切ったその顔を見ていると、じわじわと込み上げてくる、怒りと、また別の何か。
Yシャツとインナーを手早く脱ぎ捨てて、ベッドの下へ放り投げた。
FBは両手で自分の肩を抱いている。ベルトを外しにかかると、慌ててその手が俺の手首を掴む。
「待って待って、待っ…!ん……ッ」
喚いている口にもう一度唇を重ねた。