【腐女子カプ厨】進撃の巨人雑談1138【なんでもあり】

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1名無し草
考察雑談腐女子カプ厨叩き合いなんでもあり
みんなで仲良く語りましょう

※【禁止】支部、ツイ、他スレ等のヲチや晒し、出禁メンバーのプロファイルやお触り
※【出禁】コピパ、虎欄厨、ヲチ厨
※ヲチネタにレスつけるやつは全員キャラアンチとカプアンチ認定
※このスレの転載禁止
※エログロリョナ話はpinkで
※実況(番組放送中)は絶対禁止
※スレ立ては>>900が宣言してから立てに行くこと

前スレ
【腐女子カプ厨】進撃の巨人雑談1137【なんでもあり】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1395506057/

避難所
【腐カプ厨】進撃の巨人雑談73.6【なんでもあり】
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/801saloon/1380844518/

規制用避難所
http://www5.atchs.jp/kyozatsu/

おエビと絵茶
http://www16.oekakibbs.com/bbs/jhdokoya/oekakibbs.cgi
http://www.takamin.com/oekakichat/user/oekakichat3.php?userid=622
2名無し草:2014/03/23(日) 06:37:12.74
次スレ(重複)
【腐女子カプ厨】進撃の巨人雑談1138【なんでもあり】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1395523820/
3ジャン×エレン腐の痛いタグ:2014/03/23(日) 06:52:16.04
浮気 良いぞジャンもっとやれ! ジャンそのままエレンを奪っちゃいなYO!! ジャンエレを幸せにし隊 ジャンー!!!早く助けてあげてー!!!! ジャンエレを援護し隊 リヴァイさんに絶望を見せる準備はできてます! エレン!俺と結婚しよう!! ぜひ、私と結婚しておくれ!!!
さーて、包丁を買いに行って来よう! エレンをかっ浚い隊 ゲス兵長 ジャン頑張れ!超頑張れ(つД`) ジャンエレを全力で援護し隊参上! 浮気は許さない、けど愛ゆえならば何だって出来るよな? エレンを幸せにし隊! エレンの幸せ笑顔がみ隊!!
浮気男以外とエレンが幸せになりますように エレン頑張れ!幸せを掴んで!! 浮気性治んないならエレンといる資格ないっしょ ジャンイケメンすぎるじゃん! ジャンの逆転の可能性は? 切ないジャン ジャンエレを全力で援護し隊参上!
エレンを世界で一番幸せにし隊 はい!私も参加希望です!!!! フルボッコ参加枠まだありますか?! フルボッコ参加列、最後尾プレート持ちます エレンを幸せにし隊 心底後悔するといいよ!! 浮気者に制裁を!! 浮気リヴァイ これは許さないエンドを
エレンを保護し隊 リヴァイさんを後悔させ隊 エレンを幸せにし隊 エレンを今すぐ抱きしめ隊 よしエレン、私と結婚してくれ! リヴァイさんをぶん殴り隊今宵も参上!エレンをかっ浚い隊! リヴァイ殴らせろ隊ここに見参!!!
4キャラヘイターかみやゆすら、つな缶、Umeo.K:2014/03/23(日) 06:54:22.00
かみやゆすら…リヴァエレ前提のジャンエレとリヴァエレ層を釣って閲覧数稼ぎをする乞食
キャラヘイトタグを付けられるが数時間後に全て削除した
リヴァイが仕事で忙しない中エレンがジャンと浮気、途中でジャンは大学中退して会わなくなるがエレンはリヴァイも忘れられず
都合よく卒業式に会いに現れたリヴァイとジャンを天秤にかけジャンを選びジャンエレエタノールエンド

つな缶…韓ドラ臭がすごい、ストーリーを成さない理由のないリヴァイの浮気から始まる
浮気相手と結婚しろとエレンに言われすんなり承諾した上、最後に殴らせろ言われて素直に殴らせたあげく
カモミールティーの会計まで押し付けられたリヴァイ、二人は別れてエンド

Umeo.K…とにかくリヴァイをフルボッコにしたいと本文後の後書きで毎回しつこくヘイトアッピル
104期から誹謗中傷を受け浮気相手の前でフルボッコにされるリヴァイ、しかしストーカー被害に遭っているエレンを助けて
ほんまはわいエレンなしやと生きていけへんのや!と最後は意味不明な自覚をリヴァイに持たせ無理矢理リヴァエレエタノールエンド

740:名無し草 :2013/12/15(日) 16:56:43.80 [sage]
>>610
これ?
http://m.pixiv.net/novel/show.php?id=3158383カプ違うから読む気もないけど
過去のシリーズに付いとるタグでどんだけ読む価値ないかようわかるは

kiss him goodbye 10(終)
閲覧数:4445 評価回数:424 総合点:2254
投稿日時:2013年12月12日 20:01
浮気性の三十路に振り回される大学生と彼に縋られる友人の話。
リヴァエレ前提のジャンエレです。
5リヴァエレにすり寄るタグキャプ詐欺キャラヘイターかみやゆすら:2014/03/23(日) 06:55:23.16
> kiss him goodbye 6 side.L
> 閲覧数:2046 評価回数:180 総合点:1067
> 投稿日時:2014年01月20日 18:51
> 浮気性の三十路に振り回される大学生と、彼に縋られる友人の話。
> リヴァエレ前提のジャンエレです。
> 本編はジャンエレENDでしたが、こちらのお話はリヴァエレENDになります。
> タグやコメントを頂き、調子に乗って書いてみました。
> 5話まで共通で、6話以降分岐する形です。
> 今回リヴァイさんは一切登場しません、完全にジャンエレです(何)
> 数話続く予定ですので、本編とは違う展開をお楽しみ頂けたら嬉しいです。
> ※ご注意ください※
> 結末はリヴァエレを予定していますが、途中の描写にジャンエレを多分に含みます。
> 苦手な方は避けていただきますようお願いいたします。

・1月23日、「リヴァエレ前提のジャンエレです。 」をなぜか削除
リヴァエレはほとんどなく内容はほぼジャンエレにも関わらず下記のリヴァエレ層釣り詐欺キャプを新たに追加

> (2014/01/23 説明を追加しました)
> このシリーズは途中6話から分岐して、2つのエンドが存在します。
> どちらのルートもリヴァエレ・ジャンエレ両方の描写が多分に含まれておりますので、苦手な方は避けていただきますようお願いいたします。
6ジャン×エレン腐とかみやゆすらのリヴァイヘイトコメント:2014/03/23(日) 06:58:29.17
かみやゆすら orzorz様>楽しんで頂けたようで、嬉しいです!ただのクソ野郎にしたくなかったので、予定よりリヴァイさんサイドの話が膨らみまして…
この後はジャンエレを見守りつつ、しょっちゅうちょっかいをかけに来る大人げないリヴァイさんとかどうでしょうか(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら いとしき様>浮気話ってある意味おいしいですよね!私の頭ではあのままリヴァエレをくっつけられなかったのでこうなりました。浮気はやっぱりよろしくないとは思うので(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら チロリーヌ様>またも嬉しいお言葉を…!自分の力不足を痛感しつつの連載でしたが、描きたかったことをまるっと読み取って頂けてすごく嬉しいです。番外編、ちょっと妄想してきますね!(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら ありんこ様>結構最初の方でジャンエレにしようと決めて突き進みました。ハピエンと思っていただけて良かったです…!三十路のおっさんにもいつかきっと春は来るんじゃないでしょうか(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
orzorz 完結おめでとうございます!!毎回ハラハラドキドキしながら見てました。途中からリヴァイさんが切なくて、リヴァイさんにも幸せつかんで頂きたいなって思いつつ、ずっとエレンを想ってるのもおいしいですねw
ジャンエレ幸せそうでこっちまで幸せ気分です、ありがとうございました。 2013-12-13 01:38
いとしき 完結おめでとうございます…!そして今まで素敵な話ありがとうございました! リヴァエレ浮気がすンごく好きでリヴァイのせいで世界が終わって あーってなるのがたまんなくってありがとうございます。
リヴァエレになるかジャンエレになるか気になってましたが、ジャンエレでまた違う幸せでいいなあ 2013-12-13 00:42
チロリーヌ 完結おめでとうございます!また新しい一歩を踏み出すための最後の日、読み終えて、とても晴れやかな気持ちでいっぱいです。
素敵な作品をありがとうございました。おまけを拝読して、番外編を期待してしまいました・・・ご予定がありましたら、よろしくお願いいたします。 2013-12-12 22:39
ありんこ 完結おめでとうございます!ジャンを応援していた私にとっては最高のハッピーエンドでよかったです。リヴァイさんは切ないけど、その内新しい恋ができるんじゃないかな・・・と妄想w素晴らしいお話をありがとうございましたヽ(´∀`)ノ
7このスレに張り付いているジャン×エレン厨=30秒毎に連投する産婆:2014/03/23(日) 07:00:34.44
かみやゆすら sinobu様>改名されたんですね!再度のコメントありがとうございます。何とか完結することができました…色々見方はあると思いますが、本人が幸せそうなのでこれでよしとします(笑)最後までお付き合いくださってありがとうございました! 2014-03-13 21:46
sinobu@元sinn 完結おめでとうございます!最後までリヴァイさんもジャンも格好良かったです!どちらのルートもエレンが幸せになって、本当に良かったです。 2014-03-08 10:20
かみやゆすら moruru様>やっぱり浮気はいかんですよね(苦笑)最終話で色々種明かしができたらと思っています。大したことはないですが。制裁ですか…何かいいのあるかしら。。。コメントありがとうございました! 2014-02-12 21:59
かみやゆすら sinn様>再びのコメントありがとうございます!どっちにも見せ場を作りたいと思っていたので、今回はジャンに頑張ってもらいました(笑)拙い文ですが何かしら伝わるものがあれば嬉しいです、ありがとうございます! 2014-02-12 21:54
moruru Lsideとはわかりつつ結局浮気しているリヴァイさんなんかにエレンを渡したくいない(;_;)浮気野郎にはしっかり制裁を与えて欲しいです!! 2014-02-10 23:12
sinn すごく切ないですね・・・。読んでいてドキドキしました!ジャンすごい格好よかったです・・・! 2014-02-10 20:18
かみやゆすら sinn様>お返事遅くなってしまってすみません…!嬉しいお言葉をありがとうございます、ちゃんと幸せになってもらえるよう最後まで頑張ります(笑)コメントありがとうございました! 2014-02-10 19:31
かみやゆすら 綾暮様>お返事遅くなってしまってすみません…!何とかリヴァイさんにもハピエンをと思っております、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。コメントありがとうございました! 2014-02-10 19:30
sinn リヴァエレEND!ジャンエレの方もすごく素敵でしたが、リヴァエレもすごく楽しみです!リヴァイさんにも幸せになって欲しいです。 2014-01-27 22:13
綾暮 リヴァイさんEND待ってました!幸せにしてあげてください 2014-01-27 16:04
8かみやゆすらがキャラヘイトタグを消していることを認める:2014/03/23(日) 07:42:21.33
登録タグ
進撃の腐人 リヴァエレ 進撃の女体 リヴァモブエンド なにこれ辛過ぎる(泣 救いが無いバッドエンド キャラヘイトではないと思う… 哀しすぎる(涙) キャラヘイト

閲覧数:566 評価回数:40 総合点:184
投稿日時:2014年03月19日 19:00

リヴァエレ♀で現代パラレルのオムニバス形式小話3部作です。

第一話:数学教師と女子高生の場合 ⇒【novel/3559985】
第二話:医師と入院患者の場合 ⇒【novel/3564096】
第三話:兄と妹の場合 ⇒イマココ。

全ての話でエレンは女の子設定です。
各話は繋がっていません。
本作のみ、原作世界からの転生後の設定です。
リヴァイさん×モブ♀の表現がありますので、ご注意ください。

イメージは東京事変「閃光少女/put your camera down」から。

(追記)
3作とも「キャラヘイト」タグをいただいたのですが、そういう意図で書いたわけではないため、整理させていただきました。申し訳ありません。
9かみやゆすら大先生の最新作:2014/03/23(日) 07:43:29.42
いましかしらない act.3 ―兄と妹の場合―

廊下の壁にもたれかかりながら、目の前の扉が開くのをぼんやりと待っている。
右と左、どっちが先に開くかな。先に入ったのは右だけど、支度に時間がかかりそうだから左が先かもしれない。
そんなどうでもいいようなことを一生懸命考えながら、本当は一番考えなきゃいけないことから目を逸らす。
どっちが先に開いたって用意しておかないといけない表情は笑顔の一択しかないのに、それがどうにも上手くできなくて、もう何度目かもわからないため息をついた。
俯いた視界に入ったのは、はき慣れない淡いピンク色のハイヒール。今着ているドレスと合わせて、今日の為にあの人がプレゼントしてくれたものだ。
きっと彼女と一緒に選んだんだろう、そう考えたら素直にありがとうとは言えなかった。
ああ、本当に私って嫌な奴だ。鈍く疼き出したつま先の痛みを持て余しながら、意味もなく宙を仰ぐ。
いっそのこと、今すぐ世界が終わっちゃえばいいのに。地球が爆発するとか、隕石が落ちてくるとかさ。
そうしたら、もう何も悩まなくて済むのに。とうとう現実逃避を始めた私をあざ笑うかのように、耳障りな音を立てて右の扉が薄く開いた。
「花嫁様のご準備ができましたので、どうぞお入りください」
隙間から顔を突き出して、プランナーさんが満面の笑みを浮かべて促す。それが作り笑いだとしても私より何十倍も幸せそうだと思いながら、床に張り付いたように動かない足を無理矢理に前に踏み出した。
さりげない動作で扉を抑えてくれるのに礼を言って、大きく開かれた扉からするりと中へ入る。
「…エレンちゃん」
入るなり名前を呼ばれて、ゆるゆると顔を上げる。目に飛び込んできたのは、眩いばかりの白、白、白。薄暗い廊下とのギャップについていけなくて、少しだけ目を細めた。
「どう、かな?変じゃない?」
プリンセスラインのウエディングドレスを身にまとって振り返った彼女は、おどけたようにそう言って優しく微笑む。その表情に、宥め切れなかった心の奥底がざわめき出す。
綺麗だね、とか、良く似合うよ、とか。何か褒め言葉を言わなくちゃと思うのに、口を開けば何を言ってしまうかわからなくて、それを抑えるためにぎゅっと唇を噛み締めた。
その様子を見た彼女が、少し寂しそうに視線を落とす。
彼女にとって一世一代の晴れ舞台を迎えるその日に、そんな表情をさせてしまったことに、罪悪感で胸がちくりと痛む。
10かみやゆすら大先生の最新作:2014/03/23(日) 07:44:31.52
花嫁さんは、そんな悲しい顔しちゃいけないのに。けれど、あなたがいるその場所は私のものだったはずだと。諦めきれない記憶が切実な叫び声を挙げていて、今取るべき行動が解っていても一ミリだって動けなかった。
彼女は今日、結婚する。
私の兄、――リヴァイ兵長と。
「もう少しお支度がありますから」とプランナーさんに言われ、それでも部屋を追いだされることはなかったので、手持ち無沙汰の私は部屋の隅にあった椅子に腰かけて足をぶらつかせる。
彼女はプランナーさんと忙しく言葉を交わしていて、ああ大変そうだなあなんて他人事のように思う。
私にも式での役割があれば、やれリハーサルだのなんだのって準備があったのだろうけれど、流石にこの年齢で兄妹の晴れ舞台に引っ張り出されるのは御免だったので、丁重にお断りしてある。
恥ずかしいからという私の言葉をそのまま納得してくれた兄は、ちゃんと見守っててくれよと優しく頭を撫でてくれた。
それが、どんなに残酷な言葉かも知らずに。私には、記憶がある。2千年もの昔、凄惨な戦場を共に駆け抜け、背中を預け、そうして互いが互いの唯一として心を交わし合った、前世の記憶が。
あの頃私は15歳の少年で、男同士で、けれどそこに嫌悪感なんて欠片もなくって、尊敬する兵長の傍にいられるのが嬉しくって仕方がなかった。
そうして兵長より早く最期を迎えた時、覗き込む灰青の瞳を見上げながらたったひとつ、願ったんだ。
(もし次に生まれ変われるなら、今度は女として彼の傍にいられますように)
今度は堂々と、彼の傍に立ちたかったから。そうして出来ることなら、彼の子どもを産んでみたかった。
けれど私の祈りはきっと、少しばかり足りなかったんだろう。転生して物心ついたときに突き付けられたのは、10歳離れた実の兄が彼だという事実。
兄は年の離れた妹である私を、それはもう眼に入れても痛くないくらいに可愛がってくれた。傍目には、きっと仲の良い兄妹に見えているんだろう。
その陰で私がどれだけどろどろと屈折した感情を隠しているかなんて、きっと誰も知らないのだ。
役所には何度も行った、何度行っても戸籍にはしっかりと兄妹である事実が記されていて私を打ちのめした。
一縷の望みを掛けて依頼した遺伝子検査の結果は、99.99%の確率で私と兄が同じ血を分けた兄妹だと証明してくれた。
11かみやゆすら大先生の最新作:2014/03/23(日) 07:45:33.35
結果が記された紙を握り締めてひとり布団に潜り込んで泣き続けた夜を、胸にしっかりと刻み込まれた途方もない絶望を、私は何度だって思い出す。
どんなに足掻いたって、兵長と私は結ばれることなんてないのだ。
彼に記憶がないなら、尚更。
(私はずっと兵長を愛しているのに、どうして私を選んでくれないの)
妹なんて、赤ちゃんを生むどころか、恋愛対象にすらなれやしない。口に出来ない叫びは捻くれた態度となって、そうして一番傷つけたくない人を何度も傷つけてしまった。
今朝だって、ふてくされた態度しか取れない私に諦めたようにため息をついて、兄は玄関から出ていった。
それから今まで顔を合わせていないから、隣の控室にいるはずの兄に会った時にどういう表情をすればいいのか解らない。
謝って、そうしてにっこり笑って「幸せになってね」って。さらりとそう言えたなら、楽になれるのに。
「あと少しでお式のリハーサルが始まりますから、それまでお姉さまとお二人でゆっくりお話してくださいね」
「え、あ、…ありがとうございます」
打合せが終わったらしいプランナーさんとメイクさんがにこやかにそう告げて、控室を出ていく。
彼女と二人きりなんて気まずくって逃げたかったけれど、ここで部屋を出たらただでさえ良好とはいえないこの関係が更に悪化するのは目に見えていたので、ぐっと拳に力を入れて堪える。
困惑した表情を浮かべた彼女も、きっと同じ気持ちだろう。結婚を考えている相手がいると、兄が彼女を実家に連れてきたその日からずっと、私は一貫して彼女に冷たい態度を取り続けているから。
そっとこちらの様子を窺うように視線を送ってくる彼女に気づいていて、けれど私が決心を固めるにはあと少しの時間が必要だった。
「ね、エレンちゃん」
沈黙を破った彼女の呼びかけを遮って、立ち上がる。
「ちょっと待っててください、…すぐ戻るので」
「…え?」
困惑の色をありありと浮かべた彼女を置いて、私は控室を飛び出した。慣れないヒールで走る足は悲鳴を上げていたけれど、そんなものは無視して親族控室へと向かう。突然現れた私に、おじさんやおばさん達が驚いた顔で振り返った。
どうしたのだと掛けられる声に説明をする余裕は欠片もなくて、目的の袋を鷲掴むと、来た道を駆け戻る。
早く早く、彼が現れる前に。そうして戻った花嫁さんの控室には、目をぱちくりさせた彼女しかいなくって、間に合ったことに安堵する。
12かみやゆすら大先生の最新作:2014/03/23(日) 07:46:34.97
「ど、どうしたのエレンちゃん」
わたわたと両の手を動かす彼女に問いかけられて、けれど息がすっかり上がってしまって声が出ない。最近部活にも行ってないから、随分と身体が鈍ったなあ。
「…今まで、酷い態度を取ってしまって、ごめんなさい」
「…っ、エレンちゃん…」
「私が作ったんだ。…嫌じゃなければ、受け取ってください」
彼女の顔が見られなくて頭を下げたままの姿勢でいたら、持っていた袋がそっと手から離れていった。袋から取り出したそれを見て、彼女が驚きの声を上げた。
「…これ…っ!」
「ごめん、私、兄さんみたいに器用じゃないから、…すごく、不格好なんだけど」
サムシングブルーの青いリボンが、白い布地によく映えている。あ、でもそんなにまじまじと見ないで!縫い目はジグザグで、近くで見るとひどい有様なんだから。
放心したようにリングピローを抱き締めて立ち尽くす彼女に、今できる精一杯で笑い掛ける。
「…私、あなたに嫉妬してたんです。兄さんが取られちゃうって。だけど、私の幸せはあの人が幸せになることだから」
脳裏にこびりつく、悲惨な前世の記憶。私、いやエレンが死んだ後で兵長が幸せな人生を送れたのかどうか、私には解らない。
だからせめて、平和なこの世界で生きる彼には、幸せになってもらいたいのだ。あの世界で生きた、リヴァイ兵長の分まで。
「…だから、兄さんがあなたと一緒に幸せになるって決めたんなら、私はあなたにも幸せになってもらいたい。二人が幸せになるためなら、私、何だってする」
空は青くて、緑は柔らかくて、二人の門出にはぴったりの1日。そこに、私の黒い感情は、要らない。
それをふっ切るのに、ついさっきまで時間がかかってしまったけれど、それは今の私の幼さのせいにしてしまおう。
胸元から込み上げてくる何かを必死で抑えながら、私は微笑む。
「…二人で、幸せになってください。そうして赤ちゃんが生まれた時、それをファーストピローとして使ってもらえたら、…すごく嬉しい」
ぎゅうぎゅうと腕に力が込められて少しだけ苦しかったけれど、それだけ自分が彼女に心苦しい思いをさせていたのだと改めて感じて、申し訳なさに堪らなくなる。
子どものように声を上げて泣き出した彼女を宥めるように背中に手を回せば、余計に彼女の泣き声は大きくなった。
つられるように、私の眼からも雫が流れ落ちる。今泣いているのは、私なのかな。…それとも、前世のあの子なのかな。
13かみやゆすら大先生の最新作:2014/03/23(日) 07:47:37.59
ぐるぐると渦巻く感情は整理できそうにもなくて、それでもひとつだけ、嘘じゃない私の気持ち。
「…結婚、おめでとう」
彼女の耳元でそっと零せば、さらに腕の力は強くなって。
そのまま二人抱き締めあってわんわん泣いていたら、扉を開けたプランナーさんがひどく慌てた様子で飛び込んできた。続いて飛び込んできたのは、ばっちり正装に着替えた兄さんで。
これまでの私の態度を知っているから、すわ喧嘩かと構えた顔で入ってきたけれど、そうじゃないのだと彼女が必死に否定してくれた。
「…一体、何があったっていうんだ」
「ふふ、内緒よ。ね、エレンちゃん」
「そうだよね、…姉さん」
初めて口にしたその単語に、聞いていた二人はぽかんと口を開けて。そうしてまた、姉さんの目からぽろぽろと涙が零れてきて、メイクさんが慌ててそれを拭う。
何だか楽しくなってきて、ふと隣に立つ兄さんを見上げたら。
「…あれ、兄さん、…泣いてる?」
「…っ、泣いてねえよ、何言ってんだ」
ぐいと乱暴に目元を拭って顔を背けるその様子に、可笑しくなってきて声を上げて笑う。むっとした表情を無理矢理作った兄さんに軽く小突かれて、ああ、やっぱりこの人が好きだなあなんて思う。
この気持ちは当分引きずるだろうけれど、幸せそうに目を合わせて笑う二人を見ていたら、なんだか色んなことがどうでも良くなってきた。
彼が幸せなら、私も幸せなんだ。これから先、きっとずっと彼が幸せに生きていくのを、私は妹として見守っていける。
「ね、兄さん」
「ん、なんだ?」
「そのタキシード、よく似合ってるよ」
「…なんだいきなり、褒めたって何も出ねえぞ」
「ふふ、言いたかっただけだってば」
「…そうか」
「ね、兄さん」
「…今度はなんだ」
「……結婚、おめでとう」
兄さんには言ってなかったもんね、とその言葉を口にした瞬間、どこか遠くでばちんと何かが弾ける音がして、私の両の眼から大粒の涙が溢れ出した。
がくがくと膝が震え出して、立っていられなくて思わずしゃがみ込む。心配そうに声を掛けてくれる兄さんや姉さんの声は聞こえているけれど、ちゃんとした反応は返せそうになくて、そのまま顔を両手で覆った。
せめて嗚咽は零さないように、きつく唇を噛み締める。
ごめんね、兄さん。リヴァイさん。今だけ、少し泣かせてください。
この涙は幸せすぎるせいだと、きっとすぐに誤魔化してみせるから。

終わり(大爆笑)
14名無し草