【腐女子カプ厨】進撃の巨人雑談2014【なんでもあり】
1 :
名無し草:
2 :
ジャン×エレン腐の痛いタグ:2014/02/26(水) 23:26:05.92
浮気 良いぞジャンもっとやれ! ジャンそのままエレンを奪っちゃいなYO!! ジャンエレを幸せにし隊 ジャンー!!!早く助けてあげてー!!!! ジャンエレを援護し隊 リヴァイさんに絶望を見せる準備はできてます! エレン!俺と結婚しよう!! ぜひ、私と結婚しておくれ!!!
さーて、包丁を買いに行って来よう! エレンをかっ浚い隊 ゲス兵長 ジャン頑張れ!超頑張れ(つД`) ジャンエレを全力で援護し隊参上! 浮気は許さない、けど愛ゆえならば何だって出来るよな? エレンを幸せにし隊! エレンの幸せ笑顔がみ隊!!
浮気男以外とエレンが幸せになりますように エレン頑張れ!幸せを掴んで!! 浮気性治んないならエレンといる資格ないっしょ ジャンイケメンすぎるじゃん! ジャンの逆転の可能性は? 切ないジャン ジャンエレを全力で援護し隊参上!
エレンを世界で一番幸せにし隊 はい!私も参加希望です!!!! フルボッコ参加枠まだありますか?! フルボッコ参加列、最後尾プレート持ちます エレンを幸せにし隊 心底後悔するといいよ!! 浮気者に制裁を!! 浮気リヴァイ これは許さないエンドを
エレンを保護し隊 リヴァイさんを後悔させ隊 エレンを幸せにし隊 エレンを今すぐ抱きしめ隊 よしエレン、私と結婚してくれ! リヴァイさんをぶん殴り隊今宵も参上!エレンをかっ浚い隊! リヴァイ殴らせろ隊ここに見参!!!
3 :
ジャン・スカトロ・キルシュタイン:2014/02/26(水) 23:27:11.67
「ぎいいいいいいあああああああああああああああーっ!」
絶叫だった。
ぶじゅる、水っぽい嫌な音が個室に響く。小便のようにぼどぼどと流れ落ちていく下痢便は下腹の痛みを増長させるばかりで、ジャンはぼろぼろと涙を流し続ける。
汚濁を排泄する最中でも触手は肛門への刺激を忘れることなく、下痢便をひり出すそこをぐじゅぐじゅとと弄り回しては勝手に抜けていった。その度に直腸内に過剰な空気が入り込み、便を伴った放屁となって外に放出されていく。
その度にジャンのプライドはずたずたになって、いっそ死んでしまいたいほどの羞恥で狂ったように叫び続けた
膝を押さえていた触手が動く。ジャンの膝を胸の位置まで折り畳み、まるで扉の外の誰かに晒すかのように陰部を上方に晒した。もうやめてくれと懇願しても触手の拘束は緩まず、もちろん便意も止まらない。
「やっやだ、やああああああああああっ」
直腸から肛門に、やわらかいものが落ちてくる。上澄みが流れてきた後だ、次は形を持ったものが直腸に流れてくる。物心ついたときから知っている排便の感覚だが、今はその通過点が問題だ。
触手にいいように弄られ続け、刺激に敏感になってしまった尻の内側に、排泄物が勢いよく擦れていく。
「――ッ!!!」
発狂しそうだった。
汚物を排泄するたびに内側が刺激され、感じたこともない感覚に脳がショートしてしまう。全身が痙攣していた。陰茎の先からは大量の我慢汁が滴り、括約筋が締まったせいで汚れた肛門はぎゅうっと口を閉じてしまう。
目の前がチカチカして、呼吸することもままならなかった。舌を突き出して快感に打ち震えていると、ぐる、と腹が再び痛みを知覚した。閉じた肛門が痛みのあまり再び開き、中断した排便が再開される。
「あーっ、あ、あああああーーーっ!!!!」
汚濁は止まらない以上、内側からの快感も終わらない。絶頂した回数だけ苦痛が長引き、ジャンは枯れるまで涙を流した。
この日から、ジャンは旧舎便所に通い詰めるようになった。
4 :
キャラヘイターかみやゆすら、つな缶、Umeo.K:2014/02/26(水) 23:28:16.28
かみやゆすら…リジ前提のジジとリジ層を釣って閲覧数稼ぎをする乞食
キャラヘイトタグを付けられるが数時間後に全て削除した
リリ仕事で忙しない中ジェルがジョンと浮気、途中でジョンは大学中退して会わなくなるがジェルはリリも忘れられず
都合よく卒業式に会いに現れたリリとジョンを天秤にかけジョンを選びジョンジェルエタノールエンド
つな缶…韓ドラ臭がすごい、ストーリーを成さない理由のないリリの浮気から始まる
浮気相手と結婚しろとジェルに言われすんなり承諾した上、最後に殴らせろ言われて素直に殴らせたあげく
カモミールティーの会計まで押し付けられたリリ、二人は別れてエンド
Umeo.K…とにかくリリをフルボッコにしたいと本文後の後書きで毎回しつこくヘイトアッピル
104期から誹謗中傷を受け浮気相手の前でフルボッコにされるリリ、しかしストーカー被害に遭っているジェルを助けて
ほんまはわいジェルなしやと生きていけへんのや!と最後は意味不明な自覚をリリに持たせ無理矢理リリジェルエタノールエンド
740:名無し草 :2013/12/15(日) 16:56:43.80 [sage]
>>610 これ?
http://m.pixiv.net/novel/show.php?id=3158383カプ違うから読む気もないけど 過去のシリーズに付いとるタグでどんだけ読む価値ないかようわかるは
kiss him goodbye 10(終)
閲覧数:4152 評価回数:390 総合点:1977
投稿日時:2013年12月12日 20:01
浮気性の三十路に振り回される大学生と彼に縋られる友人の話。
リヴァエレ前提のジャンエレです。
5 :
リヴァエレにすり寄るタグキャプ詐欺キャラヘイターかみやゆすら:2014/02/26(水) 23:29:18.52
> kiss him goodbye 6 side.L
> 閲覧数:1786 評価回数:146 総合点:790
> 投稿日時:2014年01月20日 18:51
> 浮気性の三十路に振り回される大学生と、彼に縋られる友人の話。
> リヴァエレ前提のジャンエレです。
> 本編はジャンエレENDでしたが、こちらのお話はリヴァエレENDになります。
> タグやコメントを頂き、調子に乗って書いてみました。
> 5話まで共通で、6話以降分岐する形です。
> 今回リヴァイさんは一切登場しません、完全にジャンエレです(何)
> 数話続く予定ですので、本編とは違う展開をお楽しみ頂けたら嬉しいです。
> ※ご注意ください※
> 結末はリヴァエレを予定していますが、途中の描写にジャンエレを多分に含みます。
> 苦手な方は避けていただきますようお願いいたします。
・1月23日、「リヴァエレ前提のジャンエレです。 」をなぜか削除
リヴァエレはほとんどなく内容はほぼジャンエレにも関わらず下記のリジ釣り詐欺キャプを新たに追加
> (2014/01/23 説明を追加しました)
> このシリーズは途中6話から分岐して、2つのエンドが存在します。
> どちらのルートもリヴァエレ・ジャンエレ両方の描写が多分に含まれておりますので、苦手な方は避けていただきますようお願いいたします。
6 :
ジャン×エレン腐とかみやゆすらのリヴァイヘイトコメント:2014/02/26(水) 23:30:23.28
かみやゆすら orzorz様>楽しんで頂けたようで、嬉しいです!ただのクソ野郎にしたくなかったので、予定よりリヴァイさんサイドの話が膨らみまして…
この後はジャンエレを見守りつつ、しょっちゅうちょっかいをかけに来る大人げないリヴァイさんとかどうでしょうか(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら いとしき様>浮気話ってある意味おいしいですよね!私の頭ではあのままリヴァエレをくっつけられなかったのでこうなりました。浮気はやっぱりよろしくないとは思うので(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら チロリーヌ様>またも嬉しいお言葉を…!自分の力不足を痛感しつつの連載でしたが、描きたかったことをまるっと読み取って頂けてすごく嬉しいです。番外編、ちょっと妄想してきますね!(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら ありんこ様>結構最初の方でジャンエレにしようと決めて突き進みました。ハピエンと思っていただけて良かったです…!三十路のおっさんにもいつかきっと春は来るんじゃないでしょうか(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
orzorz 完結おめでとうございます!!毎回ハラハラドキドキしながら見てました。途中からリヴァイさんが切なくて、リヴァイさんにも幸せつかんで頂きたいなって思いつつ、ずっとエレンを想ってるのもおいしいですねw
ジャンエレ幸せそうでこっちまで幸せ気分です、ありがとうございました。 2013-12-13 01:38
いとしき 完結おめでとうございます…!そして今まで素敵な話ありがとうございました! リヴァエレ浮気がすンごく好きでリヴァイのせいで世界が終わって あーってなるのがたまんなくってありがとうございます。
リヴァエレになるかジャンエレになるか気になってましたが、ジャンエレでまた違う幸せでいいなあ 2013-12-13 00:42
チロリーヌ 完結おめでとうございます!また新しい一歩を踏み出すための最後の日、読み終えて、とても晴れやかな気持ちでいっぱいです。
素敵な作品をありがとうございました。おまけを拝読して、番外編を期待してしまいました・・・ご予定がありましたら、よろしくお願いいたします。 2013-12-12 22:39
ありんこ 完結おめでとうございます!ジャンを応援していた私にとっては最高のハッピーエンドでよかったです。リヴァイさんは切ないけど、その内新しい恋ができるんじゃないかな・・・と妄想w素晴らしいお話をありがとうございましたヽ(´∀`)ノ
7 :
このスレに張り付いているジャン×エレン厨=産婆:2014/02/26(水) 23:32:01.37
かみやゆすら moruru様>やっぱり浮気はいかんですよね(苦笑)最終話で色々種明かしができたらと思っています。大したことはないですが。制裁ですか…何かいいのあるかしら。。。コメントありがとうございました! 2014-02-12 21:59
かみやゆすら sinn様>再びのコメントありがとうございます!どっちにも見せ場を作りたいと思っていたので、今回はジャンに頑張ってもらいました(笑)拙い文ですが何かしら伝わるものがあれば嬉しいです、ありがとうございます! 2014-02-12 21:54
moruru Lsideとはわかりつつ結局浮気しているリヴァイさんなんかにエレンを渡したくいない(;_;)浮気野郎にはしっかり制裁を与えて欲しいです!! 2014-02-10 23:12
sinn すごく切ないですね・・・。読んでいてドキドキしました!ジャンすごい格好よかったです・・・! 2014-02-10 20:18
かみやゆすら sinn様>お返事遅くなってしまってすみません…!嬉しいお言葉をありがとうございます、ちゃんと幸せになってもらえるよう最後まで頑張ります(笑)コメントありがとうございました! 2014-02-10 19:31
かみやゆすら 綾暮様>お返事遅くなってしまってすみません…!何とかリヴァイさんにもハピエンをと思っております、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。コメントありがとうございました! 2014-02-10 19:30
sinn リヴァエレEND!ジャンエレの方もすごく素敵でしたが、リヴァエレもすごく楽しみです!リヴァイさんにも幸せになって欲しいです。 2014-01-27 22:13
綾暮 リヴァイさんEND待ってました!幸せにしてあげてください 2014-01-27 16:04
8 :
エルヴィン×リヴァイのカモミールティー6作品:2014/02/26(水) 23:33:02.20
エルヴィンはティーポットからカモミールティーを注いだカップをリヴァイの前に置き、自身はリヴァイの向かえに腰を据えた。
カボチャのスープリゾットという胃に優しい夜食をぺろりとたいらげたエルヴィンは、カモミールティーをお供に計画書作成の詰めの作業に入っていた。
慌てて視線を手元のマグカップに移す。
程よい温度のカモミールティーを(すぐに飲めるように冷ましてから持って来たのだ)立ったままズズッと啜った。
ドアを開けて部屋にはいると、机に向かって仕事をしているエルヴィンのそばに行く。
手にはエルヴィンのために入れたカモミールティ。
「…これはマネージャー命令。今日は一日おとなしくしててくれないかな。カモミールティー煎れるから、それ飲んで寝なさいよ」
「そう。リィは行ったことあるかい」
香りからして喉に良いされるカモミールティーだろう。
成る程、どうやら自分は風邪をひいて寝込んでいたらしいと漸く自認に至った。
9 :
パクリ常習犯パクラーやまだ、タイバニ使い回しきな:2014/02/26(水) 23:34:04.49
やまだ…銀魂コミック32巻(アニメ188話)マダオ観察日記から丸パクリするも元ネタが銀魂であることをキャプで一切説明しないパクラー
パクリで1月20日ランキング堂々の1位獲得!
「パクリ、ダメ。絶対。」
やまだ
http://m.pixiv.net/novel/member.php?id=2362010 >エレンのごろつき観察日記
>ショタエレンちゃんがゴロツキを観察したようです。
>色々とおかしい現代パロリヴァエレです。今回も安定の壊れっぷりを見せている兵長ですが、色々とアウトな言動をしているので苦手な方は本当にお気を付けください。
>やまだから言えるのはただ一言…
>「誘拐、ダメ。絶対。」
・パク
ジェル「1ねん4くみ。エレン・イェーガー」
【7がつ28にち はれ】ミカサがカゼをひいた。せっかくあそぶやくそくしてたのに。ミカサのうちからかえるとちゅうにこわいカオのおじさん…?おにいさんとあいました。
【7がつ29にち はれ】
ミカサのカゼはまだなおらないみたい。へいちょーが「あしたもこいよ」っていってたからおれはきのう、へいちょーとあったこうえんにいってみた。
へいちょーはきのうとおなじブランコにのってた。
・ラレ
大五朗「三年一組、北大路大五朗」
7月20日
今日から町に待った夏休みです。
明日から何をしてあそぼうかそんな事を考えてわくわくしてたら、ラジオたいそうにおくれました。
こうえんにいったらもうだれもいませんでした。でも…そこでぼくはマダオと出会いました
7月21日
今日からマダオのかんさつ日記をつけることにしました。
マダオはこうえんのぬしです。ヒゲの生えたグラサンの生きもので、きほん一日中働かずに、こうえんでじっとしてます。
きな…タイバニ虎兎をリヴァエレに書き換えて使い回したものを毎日更新、しかし一年かけて書いたとキャプで誤魔化し
難民スレ向けに使い回しではないと言い訳する痛いリヴァエレババア
>この話は昨年の2月の終わりから今年1月初めまで、10か月半ほどの間、こつこつ書き溜めたものです。
10 :
リリフィギュアに練乳ぶっかけてTwitter公開したエルリBBA 寒天:2014/02/26(水) 23:36:06.69
11 :
腐の大好物ワード最新版:2014/02/26(水) 23:37:09.27
ぐずぐず
はくはく
ぎちぎち
ぬちぬち
リップ音
長サンド
ひっ
バッ
なにこれすごい
グロテスクなそれ
全裸待機
巨人待機
ケツマン
女なのに一人称「俺」
半勃ち
完勃ち
深い
前立腺
らめぇ
ごぽぉっ!
トロ顔
空イキ
雌イキ
ぱちゅんっ!ぱちゅんっ!
これはいい○○
浮気
カモミールティー
エリィ
リリィ
12 :
名無し草:2014/02/27(木) 16:43:50.91
13 :
名無し草:2014/02/28(金) 01:33:39.90
14 :
名無し草:2014/02/28(金) 14:19:00.41
アリア買ってきて草
15 :
名無し草:2014/02/28(金) 22:52:22.70
16 :
名無し草:2014/03/01(土) 03:19:27.85
腹減ったで
ミンチ食いたいは
17 :
名無し草:2014/03/01(土) 09:41:20.09
ダンガンロンパ
18 :
名無し草:2014/03/01(土) 18:44:14.62
シュッ
19 :
名無し草:2014/03/02(日) 11:20:10.23
エルヴィンって、相当な遠回りしてるよな
20 :
名無し草:2014/03/03(月) 02:12:01.30
腹減ってたまらんは
21 :
名無し草:2014/03/03(月) 16:52:44.90
清く
22 :
名無し草:2014/03/04(火) 17:06:23.43
ネタバレまだ?
23 :
名無し草:2014/03/05(水) 17:10:14.51
本スレにあるお
24 :
名無し草:2014/03/06(木) 12:27:30.06
ネタバレはよ
25 :
名無し草:2014/03/07(金) 20:55:33.03
買ってきたで!
26 :
名無し草:2014/03/08(土) 21:25:10.13
ピクルルばっかりやったな
27 :
ジャン×エレン腐の痛いタグ:2014/03/09(日) 13:05:39.11
浮気 良いぞジャンもっとやれ! ジャンそのままエレンを奪っちゃいなYO!! ジャンエレを幸せにし隊 ジャンー!!!早く助けてあげてー!!!! ジャンエレを援護し隊 リヴァイさんに絶望を見せる準備はできてます! エレン!俺と結婚しよう!! ぜひ、私と結婚しておくれ!!!
さーて、包丁を買いに行って来よう! エレンをかっ浚い隊 ゲス兵長 ジャン頑張れ!超頑張れ(つД`) ジャンエレを全力で援護し隊参上! 浮気は許さない、けど愛ゆえならば何だって出来るよな? エレンを幸せにし隊! エレンの幸せ笑顔がみ隊!!
浮気男以外とエレンが幸せになりますように エレン頑張れ!幸せを掴んで!! 浮気性治んないならエレンといる資格ないっしょ ジャンイケメンすぎるじゃん! ジャンの逆転の可能性は? 切ないジャン ジャンエレを全力で援護し隊参上!
エレンを世界で一番幸せにし隊 はい!私も参加希望です!!!! フルボッコ参加枠まだありますか?! フルボッコ参加列、最後尾プレート持ちます エレンを幸せにし隊 心底後悔するといいよ!! 浮気者に制裁を!! 浮気リヴァイ これは許さないエンドを
エレンを保護し隊 リヴァイさんを後悔させ隊 エレンを幸せにし隊 エレンを今すぐ抱きしめ隊 よしエレン、私と結婚してくれ! リヴァイさんをぶん殴り隊今宵も参上!エレンをかっ浚い隊! リヴァイ殴らせろ隊ここに見参!!!
28 :
ジャン・スカトロ・キルシュタイン:2014/03/09(日) 13:06:41.29
「ぎいいいいいいあああああああああああああああーっ!」
絶叫だった。
ぶじゅる、水っぽい嫌な音が個室に響く。小便のようにぼどぼどと流れ落ちていく下痢便は下腹の痛みを増長させるばかりで、ジャンはぼろぼろと涙を流し続ける。
汚濁を排泄する最中でも触手は肛門への刺激を忘れることなく、下痢便をひり出すそこをぐじゅぐじゅとと弄り回しては勝手に抜けていった。その度に直腸内に過剰な空気が入り込み、便を伴った放屁となって外に放出されていく。
その度にジャンのプライドはずたずたになって、いっそ死んでしまいたいほどの羞恥で狂ったように叫び続けた
膝を押さえていた触手が動く。ジャンの膝を胸の位置まで折り畳み、まるで扉の外の誰かに晒すかのように陰部を上方に晒した。もうやめてくれと懇願しても触手の拘束は緩まず、もちろん便意も止まらない。
「やっやだ、やああああああああああっ」
直腸から肛門に、やわらかいものが落ちてくる。上澄みが流れてきた後だ、次は形を持ったものが直腸に流れてくる。物心ついたときから知っている排便の感覚だが、今はその通過点が問題だ。
触手にいいように弄られ続け、刺激に敏感になってしまった尻の内側に、排泄物が勢いよく擦れていく。
「――ッ!!!」
発狂しそうだった。
汚物を排泄するたびに内側が刺激され、感じたこともない感覚に脳がショートしてしまう。全身が痙攣していた。陰茎の先からは大量の我慢汁が滴り、括約筋が締まったせいで汚れた肛門はぎゅうっと口を閉じてしまう。
目の前がチカチカして、呼吸することもままならなかった。舌を突き出して快感に打ち震えていると、ぐる、と腹が再び痛みを知覚した。閉じた肛門が痛みのあまり再び開き、中断した排便が再開される。
「あーっ、あ、あああああーーーっ!!!!」
汚濁は止まらない以上、内側からの快感も終わらない。絶頂した回数だけ苦痛が長引き、ジャンは枯れるまで涙を流した。
この日から、ジャンは旧舎便所に通い詰めるようになった。
29 :
キャラヘイターかみやゆすら、つな缶、Umeo.K:2014/03/09(日) 13:10:37.13
かみやゆすら…リヴァエレ前提のジャンエレとリヴァエレ層を釣って閲覧数稼ぎをする乞食
キャラヘイトタグを付けられるが数時間後に全て削除した
リヴァイが仕事で忙しない中エレンがジャンと浮気、途中でジャンは大学中退して会わなくなるがエレンはリヴァイも忘れられず
都合よく卒業式に会いに現れたリヴァイとジャンを天秤にかけジャンを選びジャンエレエタノールエンド
つな缶…韓ドラ臭がすごい、ストーリーを成さない理由のないリヴァイの浮気から始まる
浮気相手と結婚しろとエレンに言われすんなり承諾した上、最後に殴らせろ言われて素直に殴らせたあげく
カモミールティーの会計まで押し付けられたリヴァイ、二人は別れてエンド
Umeo.K…とにかくリヴァイをフルボッコにしたいと本文後の後書きで毎回しつこくヘイトアッピル
104期から誹謗中傷を受け浮気相手の前でフルボッコにされるリヴァイ、しかしストーカー被害に遭っているエレンを助けて
ほんまはわいエレンなしやと生きていけへんのや!と最後は意味不明な自覚をリヴァイに持たせ無理矢理リヴァエレエタノールエンド
740:名無し草 :2013/12/15(日) 16:56:43.80 [sage]
>>610 これ?
http://m.pixiv.net/novel/show.php?id=3158383カプ違うから読む気もないけど 過去のシリーズに付いとるタグでどんだけ読む価値ないかようわかるは
kiss him goodbye 10(終)
閲覧数:4445 評価回数:424 総合点:2254
投稿日時:2013年12月12日 20:01
浮気性の三十路に振り回される大学生と彼に縋られる友人の話。
リヴァエレ前提のジャンエレです。
30 :
リヴァエレにすり寄るタグキャプ詐欺キャラヘイターかみやゆすら:2014/03/09(日) 13:13:04.80
> kiss him goodbye 6 side.L
> 閲覧数:2046 評価回数:180 総合点:1067
> 投稿日時:2014年01月20日 18:51
> 浮気性の三十路に振り回される大学生と、彼に縋られる友人の話。
> リヴァエレ前提のジャンエレです。
> 本編はジャンエレENDでしたが、こちらのお話はリヴァエレENDになります。
> タグやコメントを頂き、調子に乗って書いてみました。
> 5話まで共通で、6話以降分岐する形です。
> 今回リヴァイさんは一切登場しません、完全にジャンエレです(何)
> 数話続く予定ですので、本編とは違う展開をお楽しみ頂けたら嬉しいです。
> ※ご注意ください※
> 結末はリヴァエレを予定していますが、途中の描写にジャンエレを多分に含みます。
> 苦手な方は避けていただきますようお願いいたします。
・1月23日、「リヴァエレ前提のジャンエレです。 」をなぜか削除
リヴァエレはほとんどなく内容はほぼジャンエレにも関わらず下記のリヴァエレ層釣り詐欺キャプを新たに追加
> (2014/01/23 説明を追加しました)
> このシリーズは途中6話から分岐して、2つのエンドが存在します。
> どちらのルートもリヴァエレ・ジャンエレ両方の描写が多分に含まれておりますので、苦手な方は避けていただきますようお願いいたします。
31 :
ジャン×エレン腐とかみやゆすらのリヴァイヘイトコメント:2014/03/09(日) 13:14:50.68
かみやゆすら orzorz様>楽しんで頂けたようで、嬉しいです!ただのクソ野郎にしたくなかったので、予定よりリヴァイさんサイドの話が膨らみまして…
この後はジャンエレを見守りつつ、しょっちゅうちょっかいをかけに来る大人げないリヴァイさんとかどうでしょうか(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら いとしき様>浮気話ってある意味おいしいですよね!私の頭ではあのままリヴァエレをくっつけられなかったのでこうなりました。浮気はやっぱりよろしくないとは思うので(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら チロリーヌ様>またも嬉しいお言葉を…!自分の力不足を痛感しつつの連載でしたが、描きたかったことをまるっと読み取って頂けてすごく嬉しいです。番外編、ちょっと妄想してきますね!(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
かみやゆすら ありんこ様>結構最初の方でジャンエレにしようと決めて突き進みました。ハピエンと思っていただけて良かったです…!三十路のおっさんにもいつかきっと春は来るんじゃないでしょうか(笑)コメントありがとうございました! 2013-12-19 02:40
orzorz 完結おめでとうございます!!毎回ハラハラドキドキしながら見てました。途中からリヴァイさんが切なくて、リヴァイさんにも幸せつかんで頂きたいなって思いつつ、ずっとエレンを想ってるのもおいしいですねw
ジャンエレ幸せそうでこっちまで幸せ気分です、ありがとうございました。 2013-12-13 01:38
いとしき 完結おめでとうございます…!そして今まで素敵な話ありがとうございました! リヴァエレ浮気がすンごく好きでリヴァイのせいで世界が終わって あーってなるのがたまんなくってありがとうございます。
リヴァエレになるかジャンエレになるか気になってましたが、ジャンエレでまた違う幸せでいいなあ 2013-12-13 00:42
チロリーヌ 完結おめでとうございます!また新しい一歩を踏み出すための最後の日、読み終えて、とても晴れやかな気持ちでいっぱいです。
素敵な作品をありがとうございました。おまけを拝読して、番外編を期待してしまいました・・・ご予定がありましたら、よろしくお願いいたします。 2013-12-12 22:39
ありんこ 完結おめでとうございます!ジャンを応援していた私にとっては最高のハッピーエンドでよかったです。リヴァイさんは切ないけど、その内新しい恋ができるんじゃないかな・・・と妄想w素晴らしいお話をありがとうございましたヽ(´∀`)ノ
32 :
このスレに張り付いているジャン×エレン厨=30秒毎に連投する産婆:2014/03/09(日) 13:16:02.11
かみやゆすら moruru様>やっぱり浮気はいかんですよね(苦笑)最終話で色々種明かしができたらと思っています。大したことはないですが。制裁ですか…何かいいのあるかしら。。。コメントありがとうございました! 2014-02-12 21:59
かみやゆすら sinn様>再びのコメントありがとうございます!どっちにも見せ場を作りたいと思っていたので、今回はジャンに頑張ってもらいました(笑)拙い文ですが何かしら伝わるものがあれば嬉しいです、ありがとうございます! 2014-02-12 21:54
moruru Lsideとはわかりつつ結局浮気しているリヴァイさんなんかにエレンを渡したくいない(;_;)浮気野郎にはしっかり制裁を与えて欲しいです!! 2014-02-10 23:12
sinn すごく切ないですね・・・。読んでいてドキドキしました!ジャンすごい格好よかったです・・・! 2014-02-10 20:18
かみやゆすら sinn様>お返事遅くなってしまってすみません…!嬉しいお言葉をありがとうございます、ちゃんと幸せになってもらえるよう最後まで頑張ります(笑)コメントありがとうございました! 2014-02-10 19:31
かみやゆすら 綾暮様>お返事遅くなってしまってすみません…!何とかリヴァイさんにもハピエンをと思っております、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。コメントありがとうございました! 2014-02-10 19:30
sinn リヴァエレEND!ジャンエレの方もすごく素敵でしたが、リヴァエレもすごく楽しみです!リヴァイさんにも幸せになって欲しいです。 2014-01-27 22:13
綾暮 リヴァイさんEND待ってました!幸せにしてあげてください 2014-01-27 16:04
33 :
かみやゆすら「リヴァエレルート自体完全に蛇足でした(笑)」:2014/03/09(日) 13:18:22.26
かみやゆすら
kiss him goodbye 8 side.L(終)
全 37 ページ
閲覧数:829 評価回数:41 総合点:315
投稿日時:2014年03月07日 18:36
浮気性の三十路に振り回される大学生と、彼に縋られる友人の話。
いつも閲覧・評価・ブクマ・タグ付け・コメントありがとうございます。
すっかり更新が遅くなってしまってすみません!一カ月ぶりって…ううむ。
今回がリヴァエレルートの最終話です。主にリヴァイさん視線。
2ページ目はジャンエレ描写が出しゃばっておりますので、苦手な方は1ページ目のみお読みいただくと丁度いいかもしれません。
このルート自体完全に蛇足だった感が否めませんが、少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。
sinn(中学生)
ユーザーID:8381341
ニックネーム:sinn
性別:女性
職業:中学生
自己紹介:
はじめまして。
現在は進撃の巨人にはまっています。好きなキャラはエレン(巨人体も)、女型の巨人などたくさんいます。
cp傾向は基本受け固定で、現在は進撃のエレン総受け、総愛されです。なかでも好きなcpは、ジャンエレとエルエレで、最近気になっているcpは女型の巨人×エレンです。ジャンエレなどで誰かと熱く語りたいですね。
エレンと女型の巨人さんに無限の可能性を感じる今日この頃。
こんな奴ですがよろしくお願いします。
34 :
エルヴィン×リヴァイのカモミールティー6作品:2014/03/09(日) 13:19:22.78
エルヴィンはティーポットからカモミールティーを注いだカップをリヴァイの前に置き、自身はリヴァイの向かえに腰を据えた。
カボチャのスープリゾットという胃に優しい夜食をぺろりとたいらげたエルヴィンは、カモミールティーをお供に計画書作成の詰めの作業に入っていた。
慌てて視線を手元のマグカップに移す。
程よい温度のカモミールティーを(すぐに飲めるように冷ましてから持って来たのだ)立ったままズズッと啜った。
ドアを開けて部屋にはいると、机に向かって仕事をしているエルヴィンのそばに行く。
手にはエルヴィンのために入れたカモミールティ。
「…これはマネージャー命令。今日は一日おとなしくしててくれないかな。カモミールティー煎れるから、それ飲んで寝なさいよ」
「そう。リィは行ったことあるかい」
香りからして喉に良いされるカモミールティーだろう。
成る程、どうやら自分は風邪をひいて寝込んでいたらしいと漸く自認に至った。
35 :
パクリ常習犯パクラーやまだ、タイバニ使い回しきな:2014/03/09(日) 13:20:24.00
やまだ…銀魂コミック32巻(アニメ188話)マダオ観察日記から丸パクリするも元ネタが銀魂であることをキャプで一切説明しないパクラー
パクリで1月20日ランキング堂々の1位獲得!
「パクリ、ダメ。絶対。」
やまだ
http://m.pixiv.net/novel/member.php?id=2362010 >エレンのごろつき観察日記
>ショタエレンちゃんがゴロツキを観察したようです。
>色々とおかしい現代パロリヴァエレです。今回も安定の壊れっぷりを見せている兵長ですが、色々とアウトな言動をしているので苦手な方は本当にお気を付けください。
>やまだから言えるのはただ一言…
>「誘拐、ダメ。絶対。」
・パク
ジェル「1ねん4くみ。エレン・イェーガー」
【7がつ28にち はれ】ミカサがカゼをひいた。せっかくあそぶやくそくしてたのに。ミカサのうちからかえるとちゅうにこわいカオのおじさん…?おにいさんとあいました。
【7がつ29にち はれ】
ミカサのカゼはまだなおらないみたい。へいちょーが「あしたもこいよ」っていってたからおれはきのう、へいちょーとあったこうえんにいってみた。
へいちょーはきのうとおなじブランコにのってた。
・ラレ
大五朗「三年一組、北大路大五朗」
7月20日
今日から町に待った夏休みです。
明日から何をしてあそぼうかそんな事を考えてわくわくしてたら、ラジオたいそうにおくれました。
こうえんにいったらもうだれもいませんでした。でも…そこでぼくはマダオと出会いました
7月21日
今日からマダオのかんさつ日記をつけることにしました。
マダオはこうえんのぬしです。ヒゲの生えたグラサンの生きもので、きほん一日中働かずに、こうえんでじっとしてます。
きな…タイバニ虎兎をリヴァエレに書き換えて使い回したものを毎日更新、しかし一年かけて書いたとキャプで誤魔化し
難民スレ向けに使い回しではないと言い訳する痛いリヴァエレババア
>この話は昨年の2月の終わりから今年1月初めまで、10か月半ほどの間、こつこつ書き溜めたものです。
36 :
リヴァイフィギュアに練乳をかけてTwitter公開したエルリBBA寒天:2014/03/09(日) 13:21:32.97
37 :
腐の大好物ワード最新版:2014/03/09(日) 13:22:50.30
ぐずぐず
はくはく
ぎちぎち
ぬちぬち
リップ音
長サンド
ひっ
バッ
なにこれすごい
グロテスクなそれ
全裸待機
巨人待機
ケツマン
女なのに一人称「俺」
半勃ち
完勃ち
深い
前立腺
らめぇ
ごぽぉっ!
トロ顔
空イキ
雌イキ
ぱちゅんっ!ぱちゅんっ!
これはいい○○
浮気
カモミールティー
エリィ
リリィ
38 :
名無し草:2014/03/09(日) 20:33:18.83
きもい…
39 :
名無し草:2014/03/10(月) 20:20:21.41
ダイヤのA
40 :
名無し草:2014/03/12(水) 10:15:51.01
500円や!
41 :
名無し草:2014/03/14(金) 19:33:03.43
む
42 :
名無し草:2014/03/15(土) 21:32:38.40
カブトムシ捕まえたで
43 :
名無し草:2014/03/16(日) 16:27:59.24
松本潤アンチスレpart607
44 :
名無し草:2014/03/16(日) 21:21:11.18
13巻の表紙最高や
45 :
名無し草:2014/03/18(火) 00:26:53.70
ゆんてあ
46 :
名無し草:2014/03/19(水) 12:08:22.19
いましかしらない act.1 ―数学教師と女子高生の場合―
こんこんとノックの音が響いて、応える前に勢いよくドアが開かれる。
ああまた来たかと顔を挙げれば、そこには予想通りの人物が仁王立ちしていた。
仮にも女子なんだからもう少ししおらしくしたらいいのにとも思うのだが、どういうわけかこいつにはその勇ましさが良く似合う。
立ち姿にふさわしい元気のよい声が、自分ひとりの数学準備室に響き渡った。
「こんにちは、リヴァイ先生!好きです!今日も来ちゃいました!」
「………とりあえず中に入ってドアを閉めろ」
「はい!」
何だか余計なひと言が間に挟まっていたような気もするが、こいつを前にすると突っ込む気力がすっ飛んで行くのは、悪気の欠片もない満面の笑みを向けられる所為だろうか。
内心頭を抱えたこちらの心情など知らないであろうそいつは、後ろ手にドアを閉めてぺたぺたと中へ入ってきた。
そうして腕に抱えていたかばんをどさりといつもの場所に置いて、ごく当たり前のように椅子に座るそいつに、盛大に顔をしかめてやる。
「ったく、俺以外に人がいたらどうするんだ」
「今までいたことないじゃないですか、いたところで今更なので気にしません」
飄々と言ってのけるそいつ、エレン・イェーガーはにっこりと笑ってかばんから勉強道具を取り出す。
こいつに何を言っても無駄だと改めて悟って、遠慮の欠片もせずに盛大にため息を吐き出した。
そう、今更なのだ。
こいつが俺に「好きだ」と言ってくるのも、付きまといに近いくらい俺のいるところに出没するのも、この学校では日常茶飯事のことだから最早誰一人特別なリアクションなど取らないのである。
朝一番に会えば『先生、おはようございます!好きです!』と挨拶され、
授業で指名すれば『はい、答えは――です。先生好きです!』と答えられ、
下校時には『さようなら先生、今日も明日も好きです!また明日!』と手を振られ、
…ああ、頭が痛くなってきた。
俺の赴任する高校にこいつが入学してきて、数学担当として出会ってからというものの、一事が万事この調子なのだ。
最初の頃はあらゆる噂が駆け廻って対処に苦慮したものだが、今となっては皆慣れてしまって、ああはいはいまた言ってるのね、くらいに聞き流してくれているらしい。
一年以上経っても慣れないのは、残念ながら俺の方だ。
47 :
名無し草:2014/03/19(水) 12:10:15.79
想像してみてほしい、毎日顔を合わせる度に好きですと言われるこのむず痒さを。
何が楽しくて一回り以上のおっさんを捕まえて好きだの何だのほざいてるのか。
一応女子高生であるこいつの頭の中までは理解ができなくて、まあ実害はほとんどないからしたいようにさせているのだが。
「先生、お仕事中でした?」
「当たり前だろう、お前には俺が遊んでるように見えるのか」
「そういう意味じゃないですってば。何してたんですか」
エレンが伸びあがって机の上を覗き込もうとするのを、でこぴん一発で阻止する。
せいぜい4割ぐらいの力に抑えてやったのだが、それでも痛かったらしく涙目でじとりと睨まれた。
「いったあっ!何するんですか!」
「他人の答案見てんじゃねえよ、クソガキ」
「あ、テストの採点ですか」
「ああ、今日まで中間考査だったろうが」
言いながら赤ペンを握り、手元の答案に目を走らせる。
単純な数字の解だけならさっさと採点できるのだが、記述問題だと解答から言いたいことを読み取ってやらなくてはならない。
ひどく独創的な解答の連発にオーバーヒートを起こしそうになるその横で、ごそごそとエレンはノートを広げる。
「ちっ、くそめんどくせえ…」
「採点、嫌いなんですか」
「ああ、クソガキどもがえらく突拍子もない答えを必死で書いてくるからな」
「でも先生、いつも丁寧に見てくれてますよね。ちょこっとでも掠ってたら1点くれたり」
「バカ言え、採点なんざ嫌いだ。…てめえと同じくらい、嫌いだ」
「じゃあ、結構好きってことじゃないですか」
少しいじめてやろうかと嫌みを込めて放った一言に思いもよらない返し方をされて、ぐうっと言葉に詰まる。
ふざけんなと思いながら顔を上げたら、毒気のない笑顔と視線が合ってしまって、吐き出そうとした毒舌が一瞬で引っこ抜かれてしまった。
表情が間抜けな方向に崩れそうになるのをぎりぎりで踏み止まって、威厳を保つべく眉間にぎゅっと力を込める。
「…いいからさっさと勉強しろ、邪魔するなら帰れ」
「はあい、勉強します!」
睨みつけるようにして言い放つと、割合に素直な返事が返ってきて安堵する。
凄みを効かそうとして、逆に若干上ずってしまった声には気づかれていないと思いたい。
48 :
名無し草:2014/03/20(木) 16:35:21.18
廊下の壁にもたれかかりながら、目の前の扉が開くのをぼんやりと待っている。
いましかしらない act.1 ―数学教師と女子高生の場合―
こんこんとノックの音が響いて、応える前に勢いよくドアが開かれる。
ああまた来たかと顔を挙げれば、そこには予想通りの人物が仁王立ちしていた。
仮にも女子なんだからもう少ししおらしくしたらいいのにとも思うのだが、どういうわけかこいつにはその勇ましさが良く似合う。
立ち姿にふさわしい元気のよい声が、自分ひとりの数学準備室に響き渡った。
「こんにちは、リヴァイ先生!好きです!今日も来ちゃいました!」
「………とりあえず中に入ってドアを閉めろ」
「はい!」
何だか余計なひと言が間に挟まっていたような気もするが、こいつを前にすると突っ込む気力がすっ飛んで行くのは、悪気の欠片もない満面の笑みを向けられる所為だろうか。
内心頭を抱えたこちらの心情など知らないであろうそいつは、後ろ手にドアを閉めてぺたぺたと中へ入ってきた。
そうして腕に抱えていたかばんをどさりといつもの場所に置いて、ごく当たり前のように椅子に座るそいつに、盛大に顔をしかめてやる。
「ったく、俺以外に人がいたらどうするんだ」
「今までいたことないじゃないですか、いたところで今更なので気にしません」
飄々と言ってのけるそいつ、エレン・イェーガーはにっこりと笑ってかばんから勉強道具を取り出す。
こいつに何を言っても無駄だと改めて悟って、遠慮の欠片もせずに盛大にため息を吐き出した。
そう、今更なのだ。
こいつが俺に「好きだ」と言ってくるのも、付きまといに近いくらい俺のいるところに出没するのも、この学校では日常茶飯事のことだから最早誰一人特別なリアクションなど取らないのである。
朝一番に会えば『先生、おはようございます!好きです!』と挨拶され、
授業で指名すれば『はい、答えは――です。先生好きです!』と答えられ、
下校時には『さようなら先生、今日も明日も好きです!また明日!』と手を振られ、
…ああ、頭が痛くなってきた。
俺の赴任する高校にこいつが入学してきて、数学担当として出会ってからというものの、一事が万事この調子なのだ。
最初の頃はあらゆる噂が駆け廻って対処に苦慮したものだが、今となっては皆慣れてしまって、ああはいはいまた言ってるのね、くらいに聞き流してくれているらしい。
想像してみてほしい、毎日顔を合わせる度に好きですと言われるこのむず痒さを。
何が楽しくて一回り以上のおっさんを捕まえて好きだの何だのほざいてるのか。
一応女子高生であるこいつの頭の中までは理解ができなくて、まあ実害はほとんどないからしたいようにさせているのだが。
「先生、お仕事中でした?」
「当たり前だろう、お前には俺が遊んでるように見えるのか」
「そういう意味じゃないですってば。何してたんですか」
エレンが伸びあがって机の上を覗き込もうとするのを、でこぴん一発で阻止する。
せいぜい4割ぐらいの力に抑えてやったのだが、それでも痛かったらしく涙目でじとりと睨まれた。
「いったあっ!何するんですか!」
「他人の答案見てんじゃねえよ、クソガキ」
「あ、テストの採点ですか」
「ああ、今日まで中間考査だったろうが」
言いながら赤ペンを握り、手元の答案に目を走らせる。
単純な数字の解だけならさっさと採点できるのだが、記述問題だと解答から言いたいことを読み取ってやらなくてはならない。
ひどく独創的な解答の連発にオーバーヒートを起こしそうになるその横で、ごそごそとエレンはノートを広げる。
「ちっ、くそめんどくせえ…」
「採点、嫌いなんですか」
「ああ、クソガキどもがえらく突拍子もない答えを必死で書いてくるからな」
「でも先生、いつも丁寧に見てくれてますよね。ちょこっとでも掠ってたら1点くれたり」
「バカ言え、採点なんざ嫌いだ。…てめえと同じくらい、嫌いだ」
「じゃあ、結構好きってことじゃないですか」
少しいじめてやろうかと嫌みを込めて放った一言に思いもよらない返し方をされて、ぐうっと言葉に詰まる。
ふざけんなと思いながら顔を上げたら、毒気のない笑顔と視線が合ってしまって、吐き出そうとした毒舌が一瞬で引っこ抜かれてしまった。
表情が間抜けな方向に崩れそうになるのをぎりぎりで踏み止まって、威厳を保つべく眉間にぎゅっと力を込める。
「…いいからさっさと勉強しろ、邪魔するなら帰れ」
「はあい、勉強します!」
睨みつけるようにして言い放つと、割合に素直な返事が返ってきて安堵する。
凄みを効かそうとして、逆に若干上ずってしまった声には気づかれていないと思いたい。
かちゃかちゃとペンケースをかき回す音の中、自分も採点の続きをやろうと赤ペンを持ち直した。
他の場所に行けと何度言っても「ここが一番集中できるんです」と言い切られてしまって、いつの間にか放課後は2人で過ごすことが多くなった。
それでも交わす言葉は多くないし、互いに自分の仕事や勉強をそれぞれ済ませて、それではさようなら、で解散している。
誰かに見られでもしたら、また口さがない連中にない事ばかり噂されるかもしれないが、今のところこの静かな時間が壊されるような事態は起こっていない。
採点に集中しているふりをして、さらさらとノートにペンを走らせる横顔をそっと盗み見る。
目元にかかる少しだけ伸びた前髪から覗く、大きな瞳。
きゅっと結ばれた唇はエレンの真剣さをそのまま表していて、何も喋らなければ容姿端麗の優等生で通るのになあ、と複雑な気持ちになる。
実際こいつの成績は入学当初から学年5位以内をキープしていて、自分以外の先生からの評判は上々なのだ。
まあ大抵、「あれがなかったらねえ…」という残念なお言葉がくっついてくるのだが。
あれ、というのは言わずもがな。
いつの間にか意識は手元の答案の束からすっかり離れてしまって、熱心に勉強に取り組むエレンの様子をぼんやりと視界に捉える。
ふと、エレンの手元にある参考書が気になって、ピントをそれに合わせてみた。
「…基礎ドイツ語…?」
目に入った文字をそのまま読み上げたら、はっとしたようにエレンが顔を上げた。
そのまま落ち着きなく彷徨う視線を不思議に思いながら、何の考えもなしに浮かんだ問いを口にする。
「何でドイツ語なんて勉強してんだ、授業にはないだろう」
「あの、えっと、…読みたい本が、あるんです」
「本?」
「はい、どうしても原書で読みたくて」
そう言うと、ほっとしたようにエレンは息を零し、にっこりと笑ってみせた。
その笑顔に何となく違和感はあったけれど、深く追求することはしないでノートを覗き込む。
流れるような綺麗な筆記体で、いくつかの単語が何度も書き連ねられていた。
「なんて書いてあるんだ、それ」
「意味のある文章じゃないですよ。英語だったらisとか、thatとか、そんな単語です」
恥ずかしそうにぱたりと閉じられたノートに、少しだけ残念な気持ちになる。
意味は解らなくても、その文字をもうちょっと見ていたかったなんてくだらないことを思う。
ちょうどその時、下校時間を知らせるチャイムが鳴った。
「じゃあ先生、今日もお邪魔しました。まだお仕事されていくんですよね?」
「ああ、てめえの所為で全然採点が終わってねえ」
「ひどっ、私何にもしてないですよ」
くすくす笑うエレンが、ふと何かを思いついたような表情を浮かべる。
そうしてごそごそとかばんを漁って、取り出したのは小さなメモ帳。
少しばかり乱暴にそれを引きちぎって、何やらさらさらと書きつけると、ずいとこちらに突き出してきた。
「…いきなり何だ」
「これ、あげます」
「意味が解らん…これもドイツ語か?」
勢いに負けて受け取った紙には、先ほど見たような筆記体でいくつか単語が書かれていた。
おそらくこれは文章だろうと思うのだけれど、ドイツ語の知識はさっぱりないから読むことすらできない。
「意味は解らなくていいですから。…お守りとか、そんな感じだと思ってください」
「ほう…ま、貰っといてやる」
「はい、貰っといてください」
メモを手放した指をきゅうと握りこんで、エレンは満足気に微笑んだ。
いつもより穏やかな雰囲気を纏うその様子に、ずっと自分の中で燻っていた、けれど一度も口にしたことのなかった問いが無意識のうちにするりと放たれていた。
「…お前は、何で会う度に俺に好きだなんて言うんだ」
脈絡もなくぽつりと零したその言葉に、エレンは少し目を見開いて、そうして考える表情になった。
差し込む日の光は夕暮れの色を増していて、それがエレンの輪郭をぼやけさせる。
ぼやけたところから溶け出して、やがて光になって消えてしまうんじゃないかなんてあるはずのない妄想を展開させながら、返ってくるはずの答えを待つ。
「だって、次がないかもしれないでしょう」
やがてたっぷりの沈黙の後、エレンは俯いて独り言のように小さく呟いた。
意味が解らなくて首を傾げると、ゆるゆると頭を上げたエレンが真っ直ぐに見つめてきた。
「言いたいときにちゃんと言おうって決めたんです。なんであの時言わなかったんだろうって、後悔したくないから」
いつもの口調に戻って、ひとつひとつを噛み締めるようにエレンは言葉を紡ぐ。
何の考えなしに好きだ好きだと連呼していたわけではなかったのか。
それを知って、けれど何だか言い負かされたようでもやもやとして、絞り出すように問いを重ねた。
「…だからって、毎日会う度に言わなくたっていいじゃねえか」
「だって、もしかしたら一秒後に隕石が落ちてきて死んじゃうかもしれないじゃないですか。今が最後のチャンスかもしれないのに、伝えないまま死ぬなんて嫌です」
「それはマジで言ってんのか」
「大マジです」
…やっぱりこいつの考えていることはわからん。至極真面目な表情で言い重ねるエレンへのせめてもの情けとして、頭をわしゃわしゃとかき回してやる。
「そう簡単に人は死なねえし、寝て起きたら明日はちゃんと来る。…くだらねえことばっかり考えてないで、ガキはガキらしく食って寝て勉強してろ」
若干説教くさくなった台詞を、エレンは目を細めて「はい」と素直に受け入れた。
髪がぐちゃぐちゃになっていてもされるがままになっているのが、猫みたいで少し可愛いなと思ってしまって内心焦る。
そんなこちらの気持ちを知ってか知らずか、するりと撫でる手から抜け出したエレンは、手櫛で髪を整えながらかばんを持ち上げた。
「話聞いてくれて、ありがとうございました」
「…いや、こっちこそ」
「それじゃ、帰ります」
「ああ、気をつけて帰れよ」
「…先生、好きです!また明日!」
バタバタと駆けていく足音が遠ざかっていって、一気に肩の力が抜けた。
真っ直ぐに向けられる好意に、毎日繰り返される「好き」に、絆されかかっている自分を自覚する。
相手は生徒だぞ、未成年だぞ、なんて常識人ぶった自分が頭の中で警告するけれど、あいつへ傾こうとする気持ちを止める術が見つからない。
「…あと2年、か」
卒業までの時間は長いようで、きっとあっという間に過ぎ去ってしまうだろう。
それまであいつは変わらず、好きだと言い続けてくれるのだろうか。
あいつはきっとまだこちらの気持ちに気づいていない。
気づかないままどこかに去ってしまう前に、あいつの想いを繋ぎ止める努力くらいはしてみようか。
この時エレンと交わした言葉と、自分の甘い未来予想を、俺は後悔と共に後々思い出すことになる。
放課後、数学準備室。
座り慣れた古い椅子をわざと音を立てて軋ませながら、今日も当然来るはずの奴を待つ。
こんなに放課後が待ち遠しかったことなんて、今までに一度もなかった。
今日は1限から5限まで授業はぎっしり詰まっていたはずで、けれどどんな授業をしたのかまったく記憶にない。
他の先生に代わってもらったような覚えもないから自分で授業を行ったのだろうが、きっと恐ろしく上の空だったに違いない。
ぼんやりと思考を巡らせていたら、とっくの昔に止めたはずの煙草が無性に欲しくなって、誤魔化すように唇を指でなぞる。
それもこれも、全部あいつのせいだ。
何もしていないのに全ての責任をなすりつけて、けれど原因は間違いなくあいつなのだから、罪悪感など微塵も湧いてこない。
早く、早く来い。そう念じてドアを睨みつけたら、それが通じたのか勢いよくドアがスライドした。
「こんにちは、リヴァイ先生!…あれ、何か空気重くないですか」
恒例の言葉を発することなく訝しげに顔をしかめたエレンは、いつもよりほんの少しだけ静かにドアを閉めて中へと入ってきた。
荷物をいつもの場所に置きながら、何かあったんですか、なんて呑気に言うその横顔に苛立ちを感じる。
こいつ、あくまでしらを切る気じゃないだろうな。
波立つ心を抑えきれずに発した言葉は、無意識のうちにどすの利いた声になった。
「…お前、何か俺に言わなきゃいけねえことはないか」
「何ですか、急に。…何もないですよ」
「ほう、そうか。…じゃあてめえは俺に挨拶もしねえでいなくなるつもりだったんだな」
突き放すように冷たく言い放つと、金色の大きな瞳が更に丸く見開かれた。
そのまま2人の間に落ちた沈黙にエレンの動揺を悟って、何とも居たたまれない気持ちになる。
俺だって、こんなこと言いたかねえよ。
もやもやした気分のまま、それでもじっと反応を待っていると、漸く動揺から抜け出したのかエレンがゆるゆると首を振った。
その顔に浮かぶ表情に、心がざわつく。
まるで、全てを諦めてしまったかのような、儚げな微笑。
「……聞いちゃったんですね、転校のこと」
力なく零されたその言葉に、嘘であってほしいと思っていたことが変わることのない事実であることを知って、ぐっと掌を握り締めた。
頭の片隅で、今朝の職員室を思い出す。
「イェーガーさん、今日で最後ですね。寂しくなりますね」なんて、さも知っているのが当然のように話しかけてきた隣席の同僚は、こちらの表情を見るなり真っ青になって凍りついていた。
だって、俺は知らない。知らされていない。
こいつが、ここからいなくなるなんて。
胸中でうねる感情を抑えて問えば、エレンがへらりと笑う。
「先生だけじゃないですよ、担任の先生以外にはほとんど言ってないですもん」
「茶化すな。…何で、俺に言わなかったんだ」
随分と大人げない態度を取っていることは解っていて、けれど責める口調になってしまうことを止められない。
お前にとって、俺はその他大勢と同じ扱いをするべき対象なのか。
あれだけ好きだなんだと繰り返し告げておきながら。
言外に込めた思いが伝わったのか、きゅっとエレンは眉根を寄せた。
噛み締めた唇が痛そうでとめてやりたいけれど、机2台半の距離がどうしようもなく遠い。
そうして次にエレンが口を開いたときには、ずっと噛み締められた唇は白く変色してしまっていた。
「…好きな人に、さよならを言いたくなかったんです」
告げられた理由に、真っ直ぐ向けられる眼差しに、はっとする。
何十回、何百回と繰り返されたそれは、その全てが本気で真剣な告白だったのだと今更知って、愕然とした。
一度だって、応えてやっていないのだ。
是も否も告げることなく、答えを求められることもなく、ただひたすらに寄せられる好意に甘えて、それがずっと続くものだと思い込んでいた。
自分が彼女をどう思っているか自覚したのもつい先日のこと。
その気持ちをいつか伝えてやろうとは思っていたのに、それが出来なくなる日が来るなんて。
明日、エレンは日本からいなくなる。
今朝知ったばかりの事実が、胸に突き刺さる。
「…この前、ドイツ語の勉強してたのはこのためなんだな」
「はい。ドイツで語学学校に通う予定ではあるんですけど、最低限知っておいた方が楽かなって思って」
「いつから決まってたんだ、ドイツ行きは」
「…高校に入る前から、です。日本の高校にも通ってみたくって、両親に無理を言って入学しました」
差し込む西日がきつくなって、エレンの姿がいつかのようにどんどんぼやけていく。
突き付けられた事実にただ呆然とする俺を置いてけぼりにして、エレンは光の中でふんわりと微笑む。
「…まさかここで、先生みたいな素敵な人に出会うなんて思ってもなかったですけど」
ああ、そんな甘い言葉で俺の心臓にとどめを刺してくれるな。
からからに乾いた喉からは、気の利いた台詞なんてひとつも出てきやしない。
「…いつか、帰ってくるのか」
「解りません。多分、大学も向こうの大学に行くと思いますし」
「……そうか」
頑張れよ、とか、身体に気をつけて、とか。
教師らしい別れの言葉が脳裏にちらつくけれど、そのどれもが今の気分とはまったくかけ離れていて、おいそれと口にすることはできなかった。
ごく自然な動作でかばんを肩にかけ、ぺこりとエレンが頭を下げる。
「今までお世話になりました、ありがとうございました」
「…ああ」
「……先生、最後にひとつだけ、いいですか」
ゆっくりと上体を起こして、エレンが笑う。
傾けた首から肩のラインを、かばんの取っ手を掴む白く細い手を、そして浮かべたその表情を、きっと俺は一生忘れないだろう。
「先生、大好きです。…さようなら」
夕陽が眩しすぎる所為で目を眇めながら、せっかく禁煙に成功したのにまた吸い始めてしまった煙草をゆっくりとくゆらせる。
校内は禁煙だからここで吸っている姿を見られたら面倒だなとちらりと考えて、けれどここから動く気はさらさらなかった。
ベランダから見下ろした校庭では、ジャージ姿の生徒たちが部活動に精を出している。
そのよく通る掛け声を聞くとはなしに聞きながら、ぼんやりと思考を巡らせる。
エレンが両親と共に無事にドイツに到着したと聞いたのは3日前のこと。
その報告だって彼女の元担任経由で知らされたもので、直接言葉を交わしたわけじゃない。
結局のところ、思いを通じ合わせることも、再会の約束をすることもなかった。
かさりと音を立てて存在を主張する、手の中のそれを一瞥する。
"Ich liebe dich."
意味を知ってからはますます捨てられなくなってしまった、それ。
「ばかやろう、…置いてかれる身にもなれってんだ」
零した言葉が思ったより頼りなく掠れて、ああ引きずってんなあ、と苦笑する。
毎日のように告げられた想いも、あいつの中では若い頃によくある一時の勘違いとして風化していってしまうのだろう。
「リヴァイせんせー!!」
呼ばれる声に真下を向けば、数人の女子生徒がぶんぶんと手を振っていた。
その手やら首やらにあるタオルから察するに、部活の休憩といったところか。
ほんの気まぐれに振り返してやれば、きゃーきゃーと甲高い声を上げながら彼女たちは走り去っていく。
「あーあ、…青春だな、」
そうやって無駄にはしゃげるのも、今のうちだぞ。
後先考えずに誰かを好きになって、ほんの些細なことに悩んだり胸躍らせたりするのだって。
そんなひどくおっさんくさいことを考えながら、携帯灰皿に短くなった煙草を押し付ける。
小さくため息をついて、ひとつ大きく伸びをして、そうして仕事に戻るべくドアに手をかけた。
ほんの少しだけ、もう戻ることのない光に思いを残しながら。
終わり(笑)
いましかしらない act.2 ―医師と入院患者の場合―
「…レン、エレン」
ゆさゆさ、優しく体を揺さぶられてゆっくりと目を開く。飛び込んできたのは一面の白。
起きたばっかりの目には眩しすぎて、ぎゅうっと目を瞑って布団に潜り込む。
そのままもうひと眠りしようとしたら、苦笑い混じりの声がまた私の名前を呼んだ。
起こしに来たということは、きっともう回診の時間なんだ。うとうとしながらそこまで考えたら、寝惚けていた頭が一気に回り出した。
完全に寝坊だ!いつもならちゃんと起きて、身だしなみを整えてから先生を待つくらいのことはしてるのに。
何となくばつが悪くって、そろそろと窺うように布団から顔を出してみる。すると思いの外近い位置に人の顔があったものだから、びっくりして思わず飛び起きる。
「ぎゃっ!」
「……っ!」
ごちん。
鈍い音がして、額に走った痛みに頭を抱えながら再びベッドへダイブ。…ああもう、朝から何やってんだろう。
まるで女の子らしくない叫び声も、起き抜けのぼさぼさ髪も、赤くなっているだろうおでこも、恥ずかしくって堪らない。
色んな意味で涙目になりながら指の隙間から見上げれば、同じように頭を抱えたままくつくつと笑う男の人。
「ったく、朝から元気だな」
「あ、う、……ゴメンナサイ」
「ほら、起きろ。回診の時間だ。ぐずぐずしてると朝飯食いそびれるぞ」
ご飯が食べられないのだけは絶対に嫌なので、勢いよく体を起こす。
手櫛で髪を撫でつけながら、改めてベッド横で回診の準備をするその人をしげしげと眺める。
「はじめまして、ですよね?先生」
「…ああ、今日からお前の担当になる」
よろしくな、と薄く笑って細められたアイスグレーの瞳がすごく綺麗で、思わず返事を忘れて見惚れてしまった。年は20代後半くらいかな、多分身長は私よりちょっと低い。
艶のある黒髪と鼻筋の通った横顔は、まるでモデルさんみたい。あ、でも身長足りないか。
随分と失礼なことを考えながら、心の中でガッツポーズ。だって、こんなカッコいい先生が担当になったってことは、今日から毎日会えるわけで。
今までの先生がダメだったわけじゃないけど、変わり映えのしない入院生活にはちょっとしたスパイスは必要不可欠なんだ。
少女マンガみたいなあれこれを、想像するだけでもきっと楽しい。
「…何にやけてんだお前は」
「え?いえ別に何でも」
「何もなくてにやつくのか」
「ふふ、何もなくったって今幸せなので」
私の答えにびっくりしたような呆れたような何とも言えない表情を浮かべた先生は、やれやれと首を振って手を差し出した。
その仕草を不思議に思って、けれど素直に手を重ねたら、「そうじゃない」ときっぱりはっきり突っ込まれる。
「回診何回やってんだ、わかるだろう。…血圧測定だ、袖をまくって腕を出せ」
「あ。…はーい」
…やっぱり私、まだ寝惚けてる。 恥ずかしすぎるのを誤魔化すように、慌てて腕を差し出す。それでも先生と手を繋げたからよしとしよう。 見た目冷たそうな先生の手は、思ったよりずっと温かかった。
「そう言えば先生、名前なんていうんですか」
「あ?なんだ言ってなかったか、…リヴァイだ」
告げられた名前を聞いたら、突然つきりと胸に痛みが走った。一瞬だけ通り過ぎて消えてしまったそれを不思議に思って、首を捻る。
「…あれ?」
「どうした?」
「あ…いえ、何でもないです」
ぺたぺたと胸の辺りを触ってみても、おかしなところは見当たらない。だから、気のせいだと思って忘れることにした。
胸が痛いなんて申告したら、また検査とか診察が増えるだけだから。今日はお天気もいいし、やりたいことはいっぱいある。余計な作業は増やしている暇なんかないのだ。
先生に体のあちこちを確認されながら、私の意識はもう外へと飛び出していた。
毎日の日課、検査に診察に軽いリハビリを一通り終えて、時刻は一時半。昼下がりの日差しは柔らかく私を外へと誘う。
朝から外に出たくってうずうずしていたから、本当は一刻も早く飛び出して行きたかったけど、一応外出は許可制なので先生を探す。すぐそこの庭に出るだけなのにな。
いちいち許可を貰わなきゃいけないなんてめんどくさい。だけど先生に会えるからいっか、と考えを切り替える。
ぺたぺたと病院中を歩き回ってようやく見つけた先生は、薄暗い資料室で何やら本を読んでいる最中だった。何となく近づきにくくって、入口から覗き込んで声を掛ける。
「せんせー、リヴァイせんせー」
「あ?…何だ、お前か」
「入ってもいいですか」
「ああ、…いやちょっと待ってろ、もう出るから」
そう言って先生は、読んでいた本に栞を挟んで、机の上に積んであった他の本と重ねて抱え上げた。
結構分厚い本ばかりなのに片手で軽々持ってしまうのだから、見た目に寄らず力持ちなのかもしれない。
資料室から出て廊下を並んで歩けば、やっぱり先生は私より少しだけ背が低かった。
中学に入った頃からぐんぐん伸びた身長は、女子の平均を超えても止まらなくって、今でもまだ少しずつ伸び続けている。
これだから男女とか言われるんだよな。もう少し可愛げのある身長でありたかったと今更叶わない願いを内心零しつつ、先生を探した当初の目的を果たすべく、隣へと話しかける。
「せんせ、外行きたいです」
「は?外?」
「はい、中庭の散歩したいです。こんなに天気がいいのに、部屋の中にいたら体なまっちゃいますよ」
それを聞いた先生は、窓の外を見上げてほうと息を吐いた。つられて見上げれば、ほわほわとした白い雲がぽつりぽつりと浮かんでいる。何だか綿あめみたいで、ちょっとおいしそう。
「馬鹿みてえに晴れてんなあ…よしエレン、俺も行くぞ」
「え、一緒に来てくれるんですか」
「ああ、俺も光合成しないと午後がもたねえ」
「…先生、植物属性あるんですか」
「馬鹿言え、俺は何でもできるんだ」
それこそエラ呼吸もな。
ひどく真面目くさった顔で冗談なのかよく解らない台詞を言い放って、先生はずんずん廊下を進んでいく。
その一歩は思いの外大きくて、身長差があるはずなのに小走りじゃないと追いつけない。特に大股で歩いてるようには見えないのに、この人の体はどうなってるんだろう。
今朝初めて会ったばかりなのに、先生への興味はどんどん膨らんでいって、ちょっと苦しいくらい。
歩きながら交わす他愛ない会話も何だか嬉しくって、くふくふひとりで笑っていたら、「何笑ってんだ」と軽いパンチが飛んできた。
「お前はよく笑うな、そんなに楽しいか」
「楽しいです!今日は先生と一緒だし」
「…ほう、そいつはよかったな」
「はい!」
中庭へと続くドアを開けば、一面に生い茂る若葉の淡い緑が眩しい。真ん中にある大きな桜の木には、小さいけれど確かな蕾がしっかりとついていた。
もう少し経って満開になったら、先生と一緒にお花見したいな。お茶とお菓子を持ってきて、皆でわいわい騒ぐのも楽しいかもしれない。
木陰に置いてあるベンチに誘われて、言われるがまま隣に腰掛ける。頬を撫でていく風が気持ち良い。
思いっきり伸びをしたら、先生は持ってきた本を傍らにおいて、私と同じようにぐんと伸びあがった。露わになる喉元に男の人を感じて、少しだけどきりとする。
「…先生は、おいくつなんですか」
「あ?…30だ」
「…三十路…」
「何か言ったか」
「いえ何でも!わ、若く見えますね!」
「何だそりゃ、嫌味か」
首を竦めた先生は、けれど言葉に棘はなくてほっとする。 そっか、一回り以上年上なんだ。先生からしたら私なんて、子どもすぎるかな。
どうしてそんなことを気にするのかも解らないままぼんやり遠くを眺めていると、不意に「エレン」と名前を呼ばれた。
「お前、今いくつだ」
「えっと、15歳です」
「誕生日は?」
「3月30日ですけど」
「ほう…ならもうすぐだな」
「え?…今日、何日でしたっけ」
「20日だ」
告げられた日付に少しびっくりする。そうか、もうそんな時期だっけ。なんだか、毎日がふわふわと過ぎていくから、自分の誕生日なんて全然気にしてなかった。
「もうすぐ16歳かあ…」
呟いた一言に、先生が何とも言えない表情を浮かべる。あれ、私変なこと言ったかな。内心焦る私をよそに、先生は一瞬で表情を変えてくつくつと笑った。
「16なんて、まだまだガキだな」
「あ、ひどーい!16になったら、もう結婚も出来るんですからね!」
「…何言ってんだ、あてもないくせに」
「そうですけど…あ、だったら先生が貰ってくれますか」
半分冗談、半分本気の気持ちを込めて、そう口にした。先生だったら、私結婚してもいいのにな。かっこいいし、話してて楽しいし。
年齢差なんて気にしませんよ、なんてことを思いながら、先生の反応が気になって何気なく隣を確認する。そうしたら、一瞬で動けなくなった。
「せ、んせ…」
何で、そんな眼をしているの。私を通して誰かを見ているような、遠い瞳。けれど間違いなくその視線は私を真っ直ぐ捉えていて、そこにある確かな熱にどきりとする。
そっと背中に回された腕は、ただでさえ狭いベンチで近づいていた距離を、まるでゼロにしようとでもいうかのように力強く引き寄せてきて。初めてのことばかりでパニックになる私に、先生は大人の余裕で微笑んだ。
「…こういうときは、目を閉じるもんだぞ」
「……っ、」
言われるがまま目をぎゅっと瞑ったすぐ後、唇に柔らかい感触。キスされたのだと気が付いたのは、先生の顔がゆっくりと離れていってからだった。
私、絶対顔真っ赤だ。ふるふると身体を震わせながらちらりと先生を見たら、ひどく優しい顔で微笑まれてますます身体が熱くなる。
何これ。こんなの知らない。
心臓がばくばくして、喉はからからで、ぎゅっと手を握り締めても震えが止まらない。
初めて会ったその日に、キスされてしまうなんて。それでも嫌な感じは欠片もなくって、嬉しいのとびっくりと、ごちゃまぜになってうまく考えがまとまらない。
「…わたし、ファーストキスだったんですけど」
やっとのことで絞り出した言葉への返事は、「知ってる」の一言だった。
結局、午後いっぱいエレンに付きまとわれて、今日やろうと思っていた仕事は少しも進まなかった。まあ、たまにはこんな日があってもいいだろう。
仕事の遂行は明日の自分に任せるとして、さて今は何をしているかというと。
「眠るまで傍にいてほしい」というエレンの願いを叶えるべく、彼女のベッドの傍にスツールを持ち込んでエレンが眠りに落ちるのを待っているというわけだ。
待ってはいるのだけれど、他愛のない会話が思いの外心地よくて、もう少しだけ喋っていたいと思ってしまうのは仕方がないだろう。それでも温かい布団に潜り込んだエレンは眠気に勝てないようで、少しずつ発音が怪しくなってくる。
「眠いんだろ、大人しく寝ろ」
「いやです…もっとせんせいとはなしたい」
「…また明日もあるだろうが」
そう言って頭を撫でてやれば、気持ち良さそうに目を細める。半分夢の世界へと旅立ちかけているエレンは、それでも何とか言葉を紡ごうと口を開く。
「せんせ」
「何だ」
「あした、はれてたら、またいっしょにさんぽしてくれますか」
「…ああ、晴れてたらな」
「やくそく、ですよ」
「ああ、約束な」
「わすれちゃだめですよ」
「…ああ、お前も、忘れるなよ」
「ね、せんせ、」
とうとう眠気に負けたエレンが、すうっと息を吐く。瞼を降ろす瞬間に、その唇からぽろりと零れた言葉。
「……だいすき」
聞いた瞬間、心臓が激しく脈打った。込み上げてくるものを必死で抑え、そっとそのまろい頬に手を伸ばす。
「…おやすみ、よい夢を」
額にひとつキスを落として、起こさないようにゆっくりと部屋を出る。崩れ落ちそうになる足を何とか動かして、自室へと向かう。
歩き慣れたその距離がいつもよりずっと遠く感じて、もどかしい。そうして漸く自室へと辿り着き、そのままずるずると座り込んだ。かたかたと震える手で、口元を抑える。
そうでもしないと、込み上げる衝動に任せて辺り構わず喚き散らしてしまいそうだった。
「ちくしょう…っ」
しばらくぼんやりとしていたが、ふと思い出して机の一番上の引き出しを開け、そこにある小さなノートを取り出した。精一杯背伸びしたような格好つけた文字で、"エレン・イェーガー"と綴られた表紙。
"忘れたくない"
"忘れたくない"
"忘れたくない"
表紙の字よりもずっと幼い字で、余白を許さないかのように幾度も書き殴られたその言葉。後になるにつれてその字はどんどん乱雑になっていき、あちらこちらに滲んだような跡が目立っていく。
あいつが抱えることができる記憶の量は、たった一日分。寝て起きたらすべてリセットされてしまう、張りぼてのようにひどく脆い、それ。
16歳の誕生日を迎える少し前、ちょうど一年前のあの日から、あいつの中に流れる時間は止まってしまった。
そうしてあいつは、このどこもかしこも白い病院の中で、15歳の一日をただひたすらに繰り返している。
"もし忘れてしまっても"
"ずっと愛しています リヴァイ先生"
泣きながら、この言葉を直接言われた時のことを思い出す。自分に訪れるだろう現実を知らされた日の深夜、あいつはこの部屋にやってきて一晩中泣き続けた。
そうして泣き明かした次の日から、あいつは一度も泣かなかった。
お前が覚えておけない今を、俺が傍でずっと覚えていてやる。たとえ、お前が俺を忘れてしまっても。
「…あいつの中に、俺は欠片も残っちゃいないんだろうな」
解りきったことを呟いて、その情けない声におかしくなって小さく笑う。明日の朝、エレンの病室に行けば、また「はじめまして」と言われるんだろう。
「忘れちゃだめ」なんて、あんなに念押ししたくせに。ファーストキスだって、もう何度奪ったことか。
きつく目を閉じて椅子の背もたれに体重を掛けて寄りかかれば、長年愛用しているそれは年季の入った音でぎしりと応えた。
間近に迫った、エレンの17歳の誕生日。あいつにとっては、16歳の誕生日だ。
プレゼントは何がいいだろう。この前、可愛い部屋着がないと零していたから、それにしようか。
これから先、きっと何度だってエレンは16歳の誕生日を迎える。
何度だって変わることなく、生まれてきたそのことを祝ってやりたい。過ごした全てをあいつが忘れてしまっても、その一瞬だけは本物だから。
ろうそくの本数を間違えないようにしないといけないなと思いながら、手元のノートをそっと閉じた。
終わり(笑)
いましかしらない act.3
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進撃の腐人 リヴァエレ 進撃の女体 リヴァモブエンド なにこれ辛過ぎる(泣 救いが無いバッドエンド キャラヘイトではないと思う… 哀しすぎる(涙) キャラヘイト
閲覧数:566 評価回数:40 総合点:184
投稿日時:2014年03月19日 19:00
リヴァエレ♀で現代パラレルのオムニバス形式小話3部作です。
第一話:数学教師と女子高生の場合 ⇒【novel/3559985】
第二話:医師と入院患者の場合 ⇒【novel/3564096】
第三話:兄と妹の場合 ⇒イマココ。
全ての話でエレンは女の子設定です。
各話は繋がっていません。
本作のみ、原作世界からの転生後の設定です。
リヴァイさん×モブ♀の表現がありますので、ご注意ください。
イメージは東京事変「閃光少女/put your camera down」から。
(追記)
3作とも「キャラヘイト」タグをいただいたのですが、そういう意図で書いたわけではないため、整理させていただきました。申し訳ありません。
いましかしらない act.3 ―兄と妹の場合―
廊下の壁にもたれかかりながら、目の前の扉が開くのをぼんやりと待っている。
右と左、どっちが先に開くかな。先に入ったのは右だけど、支度に時間がかかりそうだから左が先かもしれない。
そんなどうでもいいようなことを一生懸命考えながら、本当は一番考えなきゃいけないことから目を逸らす。
どっちが先に開いたって用意しておかないといけない表情は笑顔の一択しかないのに、それがどうにも上手くできなくて、もう何度目かもわからないため息をついた。
俯いた視界に入ったのは、はき慣れない淡いピンク色のハイヒール。今着ているドレスと合わせて、今日の為にあの人がプレゼントしてくれたものだ。
きっと彼女と一緒に選んだんだろう、そう考えたら素直にありがとうとは言えなかった。
ああ、本当に私って嫌な奴だ。鈍く疼き出したつま先の痛みを持て余しながら、意味もなく宙を仰ぐ。
いっそのこと、今すぐ世界が終わっちゃえばいいのに。地球が爆発するとか、隕石が落ちてくるとかさ。
そうしたら、もう何も悩まなくて済むのに。とうとう現実逃避を始めた私をあざ笑うかのように、耳障りな音を立てて右の扉が薄く開いた。
「花嫁様のご準備ができましたので、どうぞお入りください」
隙間から顔を突き出して、プランナーさんが満面の笑みを浮かべて促す。それが作り笑いだとしても私より何十倍も幸せそうだと思いながら、床に張り付いたように動かない足を無理矢理に前に踏み出した。
さりげない動作で扉を抑えてくれるのに礼を言って、大きく開かれた扉からするりと中へ入る。
「…エレンちゃん」
入るなり名前を呼ばれて、ゆるゆると顔を上げる。目に飛び込んできたのは、眩いばかりの白、白、白。薄暗い廊下とのギャップについていけなくて、少しだけ目を細めた。
「どう、かな?変じゃない?」
プリンセスラインのウエディングドレスを身にまとって振り返った彼女は、おどけたようにそう言って優しく微笑む。その表情に、宥め切れなかった心の奥底がざわめき出す。
綺麗だね、とか、良く似合うよ、とか。何か褒め言葉を言わなくちゃと思うのに、口を開けば何を言ってしまうかわからなくて、それを抑えるためにぎゅっと唇を噛み締めた。
その様子を見た彼女が、少し寂しそうに視線を落とす。
彼女にとって一世一代の晴れ舞台を迎えるその日に、そんな表情をさせてしまったことに、罪悪感で胸がちくりと痛む。
花嫁さんは、そんな悲しい顔しちゃいけないのに。けれど、あなたがいるその場所は私のものだったはずだと。諦めきれない記憶が切実な叫び声を挙げていて、今取るべき行動が解っていても一ミリだって動けなかった。
彼女は今日、結婚する。
私の兄、――リヴァイ兵長と。
「もう少しお支度がありますから」とプランナーさんに言われ、それでも部屋を追いだされることはなかったので、手持ち無沙汰の私は部屋の隅にあった椅子に腰かけて足をぶらつかせる。
彼女はプランナーさんと忙しく言葉を交わしていて、ああ大変そうだなあなんて他人事のように思う。
私にも式での役割があれば、やれリハーサルだのなんだのって準備があったのだろうけれど、流石にこの年齢で兄妹の晴れ舞台に引っ張り出されるのは御免だったので、丁重にお断りしてある。
恥ずかしいからという私の言葉をそのまま納得してくれた兄は、ちゃんと見守っててくれよと優しく頭を撫でてくれた。
それが、どんなに残酷な言葉かも知らずに。私には、記憶がある。2千年もの昔、凄惨な戦場を共に駆け抜け、背中を預け、そうして互いが互いの唯一として心を交わし合った、前世の記憶が。
あの頃私は15歳の少年で、男同士で、けれどそこに嫌悪感なんて欠片もなくって、尊敬する兵長の傍にいられるのが嬉しくって仕方がなかった。
そうして兵長より早く最期を迎えた時、覗き込む灰青の瞳を見上げながらたったひとつ、願ったんだ。
(もし次に生まれ変われるなら、今度は女として彼の傍にいられますように)
今度は堂々と、彼の傍に立ちたかったから。そうして出来ることなら、彼の子どもを産んでみたかった。
けれど私の祈りはきっと、少しばかり足りなかったんだろう。転生して物心ついたときに突き付けられたのは、10歳離れた実の兄が彼だという事実。
兄は年の離れた妹である私を、それはもう眼に入れても痛くないくらいに可愛がってくれた。傍目には、きっと仲の良い兄妹に見えているんだろう。
その陰で私がどれだけどろどろと屈折した感情を隠しているかなんて、きっと誰も知らないのだ。
役所には何度も行った、何度行っても戸籍にはしっかりと兄妹である事実が記されていて私を打ちのめした。
一縷の望みを掛けて依頼した遺伝子検査の結果は、99.99%の確率で私と兄が同じ血を分けた兄妹だと証明してくれた。
結果が記された紙を握り締めてひとり布団に潜り込んで泣き続けた夜を、胸にしっかりと刻み込まれた途方もない絶望を、私は何度だって思い出す。
どんなに足掻いたって、兵長と私は結ばれることなんてないのだ。
彼に記憶がないなら、尚更。
(私はずっと兵長を愛しているのに、どうして私を選んでくれないの)
妹なんて、赤ちゃんを生むどころか、恋愛対象にすらなれやしない。口に出来ない叫びは捻くれた態度となって、そうして一番傷つけたくない人を何度も傷つけてしまった。
今朝だって、ふてくされた態度しか取れない私に諦めたようにため息をついて、兄は玄関から出ていった。
それから今まで顔を合わせていないから、隣の控室にいるはずの兄に会った時にどういう表情をすればいいのか解らない。
謝って、そうしてにっこり笑って「幸せになってね」って。さらりとそう言えたなら、楽になれるのに。
「あと少しでお式のリハーサルが始まりますから、それまでお姉さまとお二人でゆっくりお話してくださいね」
「え、あ、…ありがとうございます」
打合せが終わったらしいプランナーさんとメイクさんがにこやかにそう告げて、控室を出ていく。
彼女と二人きりなんて気まずくって逃げたかったけれど、ここで部屋を出たらただでさえ良好とはいえないこの関係が更に悪化するのは目に見えていたので、ぐっと拳に力を入れて堪える。
困惑した表情を浮かべた彼女も、きっと同じ気持ちだろう。結婚を考えている相手がいると、兄が彼女を実家に連れてきたその日からずっと、私は一貫して彼女に冷たい態度を取り続けているから。
そっとこちらの様子を窺うように視線を送ってくる彼女に気づいていて、けれど私が決心を固めるにはあと少しの時間が必要だった。
「ね、エレンちゃん」
沈黙を破った彼女の呼びかけを遮って、立ち上がる。
「ちょっと待っててください、…すぐ戻るので」
「…え?」
困惑の色をありありと浮かべた彼女を置いて、私は控室を飛び出した。慣れないヒールで走る足は悲鳴を上げていたけれど、そんなものは無視して親族控室へと向かう。突然現れた私に、おじさんやおばさん達が驚いた顔で振り返った。
どうしたのだと掛けられる声に説明をする余裕は欠片もなくて、目的の袋を鷲掴むと、来た道を駆け戻る。
早く早く、彼が現れる前に。そうして戻った花嫁さんの控室には、目をぱちくりさせた彼女しかいなくって、間に合ったことに安堵する。
「ど、どうしたのエレンちゃん」
わたわたと両の手を動かす彼女に問いかけられて、けれど息がすっかり上がってしまって声が出ない。最近部活にも行ってないから、随分と身体が鈍ったなあ。
「…今まで、酷い態度を取ってしまって、ごめんなさい」
「…っ、エレンちゃん…」
「私が作ったんだ。…嫌じゃなければ、受け取ってください」
彼女の顔が見られなくて頭を下げたままの姿勢でいたら、持っていた袋がそっと手から離れていった。袋から取り出したそれを見て、彼女が驚きの声を上げた。
「…これ…っ!」
「ごめん、私、兄さんみたいに器用じゃないから、…すごく、不格好なんだけど」
サムシングブルーの青いリボンが、白い布地によく映えている。あ、でもそんなにまじまじと見ないで!縫い目はジグザグで、近くで見るとひどい有様なんだから。
放心したようにリングピローを抱き締めて立ち尽くす彼女に、今できる精一杯で笑い掛ける。
「…私、あなたに嫉妬してたんです。兄さんが取られちゃうって。だけど、私の幸せはあの人が幸せになることだから」
脳裏にこびりつく、悲惨な前世の記憶。私、いやエレンが死んだ後で兵長が幸せな人生を送れたのかどうか、私には解らない。
だからせめて、平和なこの世界で生きる彼には、幸せになってもらいたいのだ。あの世界で生きた、リヴァイ兵長の分まで。
「…だから、兄さんがあなたと一緒に幸せになるって決めたんなら、私はあなたにも幸せになってもらいたい。二人が幸せになるためなら、私、何だってする」
空は青くて、緑は柔らかくて、二人の門出にはぴったりの1日。そこに、私の黒い感情は、要らない。
それをふっ切るのに、ついさっきまで時間がかかってしまったけれど、それは今の私の幼さのせいにしてしまおう。
胸元から込み上げてくる何かを必死で抑えながら、私は微笑む。
「…二人で、幸せになってください。そうして赤ちゃんが生まれた時、それをファーストピローとして使ってもらえたら、…すごく嬉しい」
ぎゅうぎゅうと腕に力が込められて少しだけ苦しかったけれど、それだけ自分が彼女に心苦しい思いをさせていたのだと改めて感じて、申し訳なさに堪らなくなる。
子どものように声を上げて泣き出した彼女を宥めるように背中に手を回せば、余計に彼女の泣き声は大きくなった。
つられるように、私の眼からも雫が流れ落ちる。今泣いているのは、私なのかな。…それとも、前世のあの子なのかな。
ぐるぐると渦巻く感情は整理できそうにもなくて、それでもひとつだけ、嘘じゃない私の気持ち。
「…結婚、おめでとう」
彼女の耳元でそっと零せば、さらに腕の力は強くなって。
そのまま二人抱き締めあってわんわん泣いていたら、扉を開けたプランナーさんがひどく慌てた様子で飛び込んできた。続いて飛び込んできたのは、ばっちり正装に着替えた兄さんで。
これまでの私の態度を知っているから、すわ喧嘩かと構えた顔で入ってきたけれど、そうじゃないのだと彼女が必死に否定してくれた。
「…一体、何があったっていうんだ」
「ふふ、内緒よ。ね、エレンちゃん」
「そうだよね、…姉さん」
初めて口にしたその単語に、聞いていた二人はぽかんと口を開けて。そうしてまた、姉さんの目からぽろぽろと涙が零れてきて、メイクさんが慌ててそれを拭う。
何だか楽しくなってきて、ふと隣に立つ兄さんを見上げたら。
「…あれ、兄さん、…泣いてる?」
「…っ、泣いてねえよ、何言ってんだ」
ぐいと乱暴に目元を拭って顔を背けるその様子に、可笑しくなってきて声を上げて笑う。むっとした表情を無理矢理作った兄さんに軽く小突かれて、ああ、やっぱりこの人が好きだなあなんて思う。
この気持ちは当分引きずるだろうけれど、幸せそうに目を合わせて笑う二人を見ていたら、なんだか色んなことがどうでも良くなってきた。
彼が幸せなら、私も幸せなんだ。これから先、きっとずっと彼が幸せに生きていくのを、私は妹として見守っていける。
「ね、兄さん」
「ん、なんだ?」
「そのタキシード、よく似合ってるよ」
「…なんだいきなり、褒めたって何も出ねえぞ」
「ふふ、言いたかっただけだってば」
「…そうか」
「ね、兄さん」
「…今度はなんだ」
「……結婚、おめでとう」
兄さんには言ってなかったもんね、とその言葉を口にした瞬間、どこか遠くでばちんと何かが弾ける音がして、私の両の眼から大粒の涙が溢れ出した。
がくがくと膝が震え出して、立っていられなくて思わずしゃがみ込む。心配そうに声を掛けてくれる兄さんや姉さんの声は聞こえているけれど、ちゃんとした反応は返せそうになくて、そのまま顔を両手で覆った。
せめて嗚咽は零さないように、きつく唇を噛み締める。
ごめんね、兄さん。リヴァイさん。今だけ、少し泣かせてください。
この涙は幸せすぎるせいだと、きっとすぐに誤魔化してみせるから。
終わり(笑)
69 :
名無し草:2014/03/22(土) 08:55:57.34
廊下の壁にもたれかかりながら、目の前の扉が開くのをぼんやりと待っている。
70 :
名無し草:2014/03/24(月) 22:05:36.01
スレ立つまで黙れないクズってなんなの?
71 :
名無し草:2014/03/28(金) 10:08:36.71
「ぎいいいいいいあああああああああああああああーっ!」
絶叫だった。
ぶじゅる、水っぽい嫌な音が個室に響く。小便のようにぼどぼどと流れ落ちていく下痢便は下腹の痛みを増長させるばかりで、ジャンはぼろぼろと涙を流し続ける。
72 :
名無し草:2014/03/30(日) 08:49:21.61
おおお期待していいんだな?!
73 :
名無し草:2014/04/02(水) 15:30:01.70
腐女子って頭が悪い上に攻撃的だから大嫌い
74 :
名無し草:2014/04/04(金) 04:53:02.44
ライベルのエロはガチっぽいやろな
75 :
名無し草:2014/04/05(土) 20:59:23.73
もうおこった寝てやる
76 :
名無し草:2014/04/08(火) 22:56:00.60
ヒスちゃんユミル依存症かと思ってたけど
そうでもなくて意外やったな
ただゴリ達のことはホンマに信頼してないは
77 :
名無し草:2014/04/12(土) 17:26:34.68
なるほど
78 :
名無し草:2014/04/14(月) 15:23:54.45
わいは神やないけど絶対嬉しいはずやで
79 :
名無し草:2014/04/15(火) 04:24:53.76
わいに神などいない
80 :
名無し草:2014/04/18(金) 01:12:09.49
スパコミでやっと完結する続き本を今回まとめて買うでと意気込んどったんや
81 :
名無し草:2014/04/18(金) 01:15:19.87
さすがに今だに間違えとるままなのは萎えてまうは・・・
82 :
名無し草:2014/04/20(日) 06:55:34.24
MMDなんて大多数がきもいは
原作で踊るようなキャラならともかく
83 :
名無し草:2014/04/24(木) 06:43:15.51
夏目で言ってたけど台詞量増やすからとかそういう話やで
84 :
名無し草:2014/04/27(日) 09:42:16.33
わい始めてジェットスター使うんやが飛行機子供んとき以来やから乗車場所間違ったり
ミスって乗り遅れそうで今から怖いわ…
85 :
名無し草:2014/04/27(日) 09:43:13.08
チーズなんてあるんか
86 :
名無し草:2014/05/03(土) 09:23:51.62
スパコミで神に感想の手紙渡そう思ってるんや
87 :
名無し草:2014/05/06(火) 23:53:32.78
変おじはアカマンにころされたやろ
88 :
名無し草:2014/05/10(土) 18:32:54.64
わい味噌民やけど味噌嫌い
89 :
名無し草:2014/05/13(火) 17:01:29.20
螢こんなとこ来とる場合ちゃうで
90 :
名無し草:2014/05/14(水) 13:39:29.44
自分の好きカプのセクロス視姦を興味ないキャラにやらせた上に
そのキャラになって自分が視姦したいとかほざくアホは滅びてや
あと自分の萌えを興味ないキャラに代弁させる奴も
91 :
名無し草:2014/05/14(水) 15:18:15.79
・研究室は埃っぽくて書物と器材で溢れている
・昔からずっと世界の本質を知りたかった
・巨人を憎んでいたのは人類を「壁の中に押し込めた」存在だったから
・調査兵団に入ったのは巨人殺せて世界の本質を知れるから
・子供の頃スコップで壁を削りに行ったことがある(憲兵と壁教にこっぴどく怒られた)
・訓練兵時代の成績は「悪くなかったんじゃないかな」
・巨人のことを語り過ぎて二日経ったこともある
・風呂に入らないとリヴァイが気絶させて風呂に入れられる事もある(部下と共謀している?)
・エルヴィン、リヴァイ、ミケ、モブリットに対しては優秀とか冷静とか好意的
92 :
名無し草:2014/05/18(日) 16:49:16.66
カニー渡部篤郎
93 :
名無し草:2014/05/31(土) 23:50:27.24
気持ち悪うて吐いたらなんか黒いもんが浮いとるんやけどこれ病気?
94 :
名無し草:2014/06/29(日) 18:13:23.27
まだまだあるなぁ
95 :
名無し草:2014/10/01(水) 00:50:22.48
96 :
名無し草:2014/10/01(水) 23:18:19.94
97 :
名無し草:2014/10/01(水) 23:18:45.54
98 :
名無し草:2014/10/01(水) 23:23:39.15
99 :
名無し草:2014/10/16(木) 18:38:41.23
a
100 :
名無し草:2014/10/29(水) 20:17:41.96
みんな冬コミ壁博どっちいくん?
日にち近いから迷うは
101 :
名無し草:
>>100 他のジャンルのも買ったりせんなら壁博でええんやない?
あとは神がおる方選ぶとか?