【社会現象の】あまちゃんアンチスレ35【押しつけ】

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125名無し草
○架空の国からイギリスへ向かう国際列車
国際間の緊張が高まっている時期に作られたイギリスの映画だ。他国名を実際に表現しては
まずいようで、列車の出発地は、「バンドリカ」という架空の国。物語の多くはバンドリカ
国内の列車内が舞台だ。ちなみに、劇中に登場する駅名も、「Zolnay」「Dravka」
「Morsken」となっていて、なんとなくロシアっぽい。ただしバンドリカ国民はドイツ人の
雰囲気がある。機関車の型番、客車の車体の文字などは読み取れない。モノクロ作品で、現
在発売中のDVDは画質が荒いからだ。また、途中ですれ違う機関車については、わざわざ型
式プレートを墨塗りで消しているようにも見える。時代や国際情勢を考えると、おそらくロ
ケはすべて英国国内。架空の国・バンドリカの機関車や客車を表現するために、イギリス国
鉄の車両だとわかっては具合が悪いだろう。なお、走行中の場面では模型とスクリーン投影
を使った特撮も取り入れられている。客室からの窓の風景も投影だ。これでも当時の技術の
最先端だったかもしれない。モノクロ映像だから模型と実写が見分けにくい上に、ストーリ
ーに引き込まれるから、あからさまな合成でも興が覚めることはない。水野晴郎監督の『シ
ベリア超特急』の手法は、この作品からヒントを得たかもしれない。鉄道趣味的に興味深い
場面は、蒸気機関車の運転台と連結器。蒸気機関車の運転は複雑な操作が必要だけど、ある
人物が「ミニチュア鉄道でやったことある」と運転してみせる。途中の駅で客車を切り離す
場面があって、リンク式連結器の作業の様子をバッチリと見せてくれる。消えた女性はどこ
へ行ったか? なぜ消えてしまったか? その謎に引き込まれる。そして、現在の作品から見れ
ば迫力は少ないとはいえ、列車サスペンスの原点ともいうべきアクションシーンも盛り込ま
れている。第2次世界大戦前の、「国際列車が世界をつなぐ役割を担っていた時代」をしっ
かり見せてくれる映画。登場人物たちのように、紅茶やブランデーを飲みながら余韻に浸り
たい。